なんでもQ

金曜日 午前9:15〜9:30

土曜日 午前9:00〜9:15

対象 幼稚園・保育所


 学校教育放送の極北。まさに「終末の浜辺(JGB)」。ブチ壊れかたはここに止めを刺す。幼稚園・保育所向けの科学(?)番組。番組内容は、一言で書くと動物や昆虫についてのクイズ。昆虫だけのクイズのときは「むしむしQ」、動物だけのクイズのときは「あにまるQ」、両方のときは「むしまる又はなんでもQ」とタイトルが変わる。まあ一見昔乍らの教育テレビの番組のように見えるが、製作はあの「ウゴルー」を作っていたスタッフ。そう一筋縄ではいかないのであった。

ねらい

・この番組は、子どもたちの身近な自然環境への興味を、クイズなどのインタラクティブな手法で喚起する番組です。

・番組のテーマは、生き物に対するやさしさと、自然とのふれあいです。虫や動物たちの不思議さが、子どもたちの感性に訴えます。

・実写映像で生き物の生の営みの素晴らしさに共感してもらうのがねらいです。

(NHKテキスト 幼稚園・保育所の時間 より)

 まずは進行役のうららちゃん=声・三石琴乃のトビ方が凄い。「ぽっちゅわりわりぱんげらびー!」と訳の分からない言葉を絶叫するわ、「お仕置きよ!」なんてつい言ってしまったりとか。もうワルノリし放題。「キリンは英語で、ジラフよ」。最近激増したへたっぴ声優(そりゃそれで味のある人もいるが)では決して不可能な貫禄が感じられるが、あまりのトビ方に一種怖いものさえ覚える。チャアミイ(町田康)みたいに。

 次には、クイズを出題する昆虫や動物のキャラクタがブッ飛んでいる。カブトムシ=相撲取りってのはまあわからなくもないが、なぜ蜂が名古屋弁のオバサンなのか?なぜネズミが殿様で、カバが姫なのか?なぜ蛍が文学女学生なのか?言うまでもなく、この辺に対する説明は一切ない。ああ、現在に受け継がれる「ウゴルー」テイスト。呆気に取られること請け合い。私も最初に見たときには目が点になった。

 最後には、中盤に挿入される歌がこれまた尋常ではない。「何これ?何のつもり?」てな歌ばっかり。中には教育的な内容を持った歌もあるが、「牛の胃袋は四つある」とか、完璧なる無内容の歌もある。それに歌い手が凄いのだ。たま、影山ヒロノブ、団しん也…この歌だけを集めたCDも出ている(8曲2800円って高くないか?)。後ろに流れるCGもまさに「ウゴルー」。徹夜明けの午前6時、あの番組を見てさらに脳がとろとろになった感覚を思い出す。

 ほんとにこれ教育テレビか?なんて言う疑問もふつふつと湧いてくる。が、これが教育テレビでオンエアされているということは、まぎれもない事実だ。現在の教育テレビの奥行きの深さは、こういったところに現れている。

 ちなみにこの番組は、96年度の第23回「日本賞」教育番組国際コンクール就学前教育部門における「放送文化基金賞」(長い)を受賞したとのこと。良く出来てるのは分かるし、評価されたのは面白いけど、ホントに見てるの?番組を。それとも「ウゴルー」により、こういったものも受け入れられるようになったの?謎は深まるばかりである。