2001年02月後半

2001/02/17(土) 23:00:23 とりこ
タイトル (2)夏の丘、石のことば/イン・ザ・ペニーアーケードほか 今日の気分 胃が荒れたのは風邪薬のせいだと

さて、いつぞやのキミのおだてに乗って、今回は児童文学のご紹介を。
比較的新作よん。でもハリー・ポッターではないのよ。ケヴィン・ヘンクスという人の作品です。

『夏の丘、石のことば』(徳間書店/1996) 『マリーを守りながら』(徳間書店/1999)

前者は少年少女の出会い・別離・再会モノで、後者は父娘カンケイもつれモノ(※かなり極端な分類)。どっちも泣けます(モチロンお涙系ではありません)。どちらも、コミュニケーションをめぐる部分で泣かすんだ。

裏切り/信頼、拒絶/受け入れ。この辺の揺れが素晴らしいのだ。
つい理不尽な行動/言動に出ちゃったり、期待が大きいぶん余計傷ついたり。意地はって張り詰めて感情の爆発を見るとことか、「ポロっと言ってしまった」り、とか。でもこの先彼らは大丈夫、とちゃんとわかるお話です。

だから、ワタシだって大丈夫なんだよね、と、大人になって見失いがちだった土台を取り戻したような、守られていた頃の世界の揺るぎなさを再び手に入れたような、安心した気持ちになります。

『バーナム博物館』は再読でした。ミルハウザーはいいですね。あれっと思って即チェックしたのですが、博物館をテーマに資料を漁っていた頃、検索に引っかかって出てきて、スゴク良かったのに、しかしその後見失って(ありがち ←論文作成中に逃避で読んだんだから尚更)、探していたのでした。
おかげ様で再び巡り合えました。すげーウレシイ。ありがとう。(偶然を云々するより、キミのアンテナ力に感謝する方が妥当に思われます。)ゆっくり楽しんでいます。うへへ。

で、ついでなんで『イン・ザ・ペニー・アーケード』(1986/白水社)も読んでみました。これまたグウよ。柴田氏訳という保証もアリ(笑)。タイトルから立ちのぼる、懐古でレトロで切ないイメージは裏切られません(表題作品なんてブラッドベリまで行ってるかも…)。
『「いま、ここ」でない世界』にココロ惹かれるタイプの人には、ミルハウザーはたまらなくハマるかも?

ところでキミは、アン・タイラーという米国ボルティモア在住の女性作家さんをご存知ですか?


2001/02/18(日) 11:35:46 とりこ
タイトル 20世紀SF1 星ねずみ/ハードボイルド/ハードラック ほか 今日の気分 書けるときに書いとこうと思って

野田昌宏さんは、何しろ小説(文庫)版『STAR WARS』の解説を書いてくださってたので、ワタクシにはとても長いつきあいなキモチです(一方的に)。しっかし、ええ本見つけたのね。パルプ本表紙…アメコミ絵の説得力・迫力はスゴイよね。そして、なぜロボットでこうまでリリカル(でもおバカでラブなんだよね!)。

ところで、ワタクシも河出文庫読んだトコです。SFアンソロジー(またかい)、『20世紀SF1 星ねずみ』(2000/河出文庫、中村融/山岸真編)。表題作はフレドリック・ブラウンで、本の表紙のパワフルポップなねずみくんが、もうピッタリです!
A.C.クラーク、ブラッドベリ、アシモフ、ハインライン、と愛すべきお話がてんこ盛り、ってーか選集だけあっていいヤツしか入ってない。いやあ、『空想科学』は楽しいね!続刊もチェックするぞう。

『ハードボイルド/ハードラック』(ロッキング・オン/1999、吉本ばなな)
後の方がよりばななサンらしい感じで、久しぶりにばななさんを読んだという気持ちになりました。前のはレズのお話で、後のは脳死のお話なのですが、日常の中の非日常的状況を愛すべき日常として相変わらず淡々と描いてくださってます。奈良美智さんの挿絵でもイカちゃんには訴えるのでは?

さて、かつて我々(特にキミ)の愛読書の中に、クリスティがでかい位置を占めていたことをアナタは憶えておいでか。そーだよABC殺人事件とかオリエント急行とか(笑)
クリスティを読むと、たとえば女の人は妊娠中に風疹に罹ってはいけないとか、そんな知識も身についたりするが、キャラ読みヤロウだったワタクシには、クリスティ作品のヒーロー/ヒロインの面々はちと年齢層が上過ぎで、どっちかってーとルパンやホームズに痺れていたことが懐かしくも思い出されます。

そんなワタクシに、キミは『春にして君を離れ』を貸してくれたのだった。
憶えておいででしょうか。衝撃的でしたあれは。すごく良かったのよ。今でももちろん大切な1冊なのだが。

今、お返しにワタクシはキミに、アン・タイラー『ブリージング・レッスン』(文春文庫/1993)をお勧めしよう。
流れ的には逆に流れると思って。つまりこちらでは、もとからおしどりな熟年夫婦に、更に通じ合う(或いは何も変わらない)ラストが待っているよん。


2001/02/19(月) 10:41:30 ヤマナ
タイトル 満ち足りた人生/おめでとう 今日の気分 ひとしごと終わりました

週末の「とりイカ」はとりこ祭りでしたね。とりあえず3月末までは、平日はヤマナ祭り、休日はとりこ祭りでいきますかね。

W.P.キンセラ「インディアン・ジョー」は前に勧めてもらったときに、読んでみたよ。面白かった。ただあんまりパワフルなもんで、軟弱者のイカには割と一冊でおなかいっぱいな感じでした。んでも、とりこはそりゃあ好きだろうよコレ、というのは読んでみてものすごく、わかりました。とりこ感あふれる本というか。(なんだそれは)

吉本ばななはもう、5〜6年は読んでいない気がする。久しぶりに手に取ってみようかな。まんまと奈良美智さんの挿し絵につられてみます。

アガサ・クリスティは、中高生の頃読みまくってたねえ…。懐かしい。私は年寄り好きなのでマープルさんとポアロさんラブでしたよ、モナミ。
「春にして君を離れ」は、だいぶ内容忘れているのだけれど、衝撃を受けた記憶だけは新鮮に残っています。アン・タイラー探してみるね。あと、ケヴィン・ヘンクスも。(こちらは児童書のコーナーを探した方がいいのかな?)。

別役実「満ち足りた人生」(1997/白水社)読了。皮肉と屁理屈に満ちた人生指南書。図書館の「随筆」の棚で見つけたのだけど、それってどうよ?ってぐらいのぬけぬけとしたホラ吹き節が味わえます。人生指南書の皮をかぶったブラック・ショート集つうか。
以前読んだ姉妹作(?)「日々の暮らし方」(白水Uブックス)は更にナンセンスで更におすすめ。

川上弘美「おめでとう」(2000/新潮社)も読み終わりました。とてもとてもよいですね。あるかなきかの、かすかなもの、こと、気持ちにきちんと温度を与えて描出できる人なのだな、とつくづく思います。今回はおんなのひと同志のお話が特に印象的でした。


2001/02/20(火) 14:24:11 ヤマナ
タイトル 鼠と竜のゲーム/虎よ!虎よ! 今日の気分 昼寝したい

コードウェイナー・スミス/伊藤典夫・浅倉久志訳「鼠と竜のゲーム」(1982/ハヤカワ文庫SF)読了。なるほど、とても面白い短編集でした。そして、とりこの強力プッシュがなければ、表紙見て本棚に戻してた可能性も高そうです(笑)。

猫大活躍だね。しかも、活躍の仕方がとてつもなくて、びっくり大興奮でした。表題作での猫の扱いなんて、ひどいのかカッコイイのかかわいいのか、さっぱりわからないところが素晴らしい。(「スズダル中佐の犯罪と栄光」もすごかった…。猫の国ってアンタ。)

スミスさんは猫ネタに限らず、大変なアイデアや設定をことさら騒ぎ立てず、当たり前にあるもののようにさらっと書いてしまうところがモダンですな。はじめは戸惑うけど中毒性あるね。シリーズを読み進めていくうちにパズルのピースが揃っていくような、いやしかし、それほど整合性ないような、変な感じ。次は「ノーストリリア」に行くぞう。

ところでとりこはアルフレッド・ベスター「虎よ!虎よ!」(ハヤカワ文庫SF)は読みましたか?いや、別に虎が活躍する話じゃないのだが。そして別にスミスぽいわけでもないのじゃが。スミス読んでたら、ふと思い起こされた。主人公の虎男への変身(?)っぷりのせいじゃろか。復讐に燃える主人公がイヤでイカスので、未読だったら是非読んでね。前半退屈だけど、後半いきなりスケールがでかくなって面白くなります。

あと、とりこには横内なおき「サイボーグクロちゃん」(講談社・KCボンボン)を是非是非読んで欲しいなあ。サイボーグ猫クロちゃんと愉快な仲間たち(捨てられた電気スタンドから作られたお手伝いロボットナナちゃんとか、そんなん)が大活躍の、どたばたでブラックでセンチでスピーディーな、とてもおもしろい漫画です。この漫画がとりこのお気に召さなかったら、一食おごってもかまわないぞ。もはや9巻まで出ているのがアレじゃが、とりあえず、読切のつもりで1巻だけでも!


2001/02/23(金) 13:57:51 ヤマナ
タイトル 回路/これが万国博だ 今日の気分 震度4だったとは

映画館で黒沢清監督「回路」を観てきました。どんな映画だったか、簡単に言葉には出来ない感じなのだけど、あえて一言で言うならば、「すっげえ怖い映画」でした。それも、「お化けが出ました」「キャー」っていうだけではない(それもあるし、それもすっげえ怖いのじゃが)、タナトスてんこ盛りな怖さ。絶望や孤独や死が、抽象ではなく具象的な、形を持って確かに存在するものとして描かれています。そして、それがひたすら徹底化されていく物語展開。ものすごく、絶望的な映画でした。

ただ、その一方で、絶望を拒否する心も、無力かもしれないけれど確かに存在するものとして描かれていて、それがとても美しかったです。絶望が深い分、小さな明かりがかけがえのないものに感じられるような美しさ。乾いた肌触りの映画なので、そんな風に感じたのは、私がセンチにすぎるせいかもしれないけれど。ちょっと泣いてしまったよ。

とりあえず「すっごく怖くてすっごくよい映画」なので、これは強力に勧めておきます。絶望とか孤独にとりつかれたことのある人、でも、どうにか生きていかんとな、と思っている人には、たまらんのではないかな。ホラー映画苦手な人(ワタシなのですが)でも、もはやホラーどころじゃないところまで行ってくれるから大丈夫。まあ、とりこには無用な心配かな…。なんか今、とりこ貧乏そうであまり声高には言えないのだけれど、映像の説得力が素晴らしいので、できたら映画館で観て欲しいです。

「回路」観た後に立ち寄った古本屋で「週刊読売臨時増刊 これが万国博だ」を買いました。大阪万博を特集した30年前のボロ雑誌。B4の大判でカラーグラビアが豊富。へんてこな形のパビリオンとか、だせえロボットとか、コンパニオンさんのクレージュ入ったコスチュームとか、昔の未来に溢れていて、眺めてとても楽しい本です。100円でみつけてしまった。これは紹介と言うより、ただの自慢ですな。ゴメン。いひひ。


2001/02/24(土) 09:48:15 とりこ
タイトル 『七夕の国』/『北斎の罪』 今日の気分 締めでOLは月末に死ぬ

今週末のとりイカはあまり祭れていなくてスミマセン。(先に謝っとくね…)

ところで祭りと言えば、『寄生獣』で有名な岩明均『七夕の国』(全4巻、講談社)は読みました?(寄生獣は読ませたよね?)
ヒロイン少女のヒロスエに似ている度は衝撃的です(アンチヒロスエ派のワタクシですがこのマンガにおいてはラブだ!)。主人公の青年がのほほんとした、比較的人死にの少ない(『寄生獣』に比べれば…)ホラーマンガ。地味だが私はとても好きです。ナゼ祭りかといって、お話の要が七夕祭りに絡むのですね。

ネタばれになるのであまり詳しく語れませんが、ついでなんで、このマンガとセットで高橋克彦氏の『北斎の罪』(講談社文庫)もお薦めしよう。

ワタシは民話ベースのホラーに強く心惹かれるのです。(児童文学ですが)松谷みよこの『龍の子太郎』、とてもとても好きでした。高橋作品は民話や昭和30年代頃の日本にこだわったお話が多いようですが、(『悪魔のトリル』(講談社ノベルス/1986)も、あまのじゃく伝説モノでコワいよん)要するにノスタルジーに絡んだ恐怖に敏感な方です。

『北斎…』には私の大好きなコワイお話が2本(『鏡台』『鬼追う者』)入ってて、『鏡台』だけでも読んで欲しいにゃー。横尾忠則さん的ビジュアルよ。というか私はこれを読んで横尾さんのサイケな怖さの魅力に目覚めてしまったのでした。

「回路」はホントウに良いようね。すげー観たいよう。3月末になっても上映続いてたらきっと観にいける。上映が続いて欲しい。(泣)

ところで、ワタシも大阪万博モノの古雑誌持ってます。某建築企業のPR誌「Approrch」1970年夏・万博特集号。コチラもB4で、鼻血なカラーグラビアいっぱいです。
大阪万博ってほんとステキ。パビリオンもコスチュームSFを具現化すりゃいいってモンじゃねえだろう(いいや!よくぞやってくれた!!いいぞ!もっとやれ!)てな具合。モデルの頭がでかいのがまたなんかいいカンジ。ミニスカートから出ている足も太くてイイカンジ。化粧も濃くてイイカンジ。原色&蛍光色満載な色遣いも。とりイカツアーやろうよやっぱ(現在予定探訪地(1):秘宝館、(2):岡本太郎館)。

空想あふれるSFな未来観ってステキ。


2001/02/24(土) 09:53:37 とりこ
タイトル 『光の帝国』/『ゲイルズバーグの春を愛す』 今日の気分 ノスタルジーSF特集になっちゃったかも

ネタがないので、もうちっと黙っとくつもりでしたが、カード出さざるを得ないワタクシ。
いま追っかけているのは恩田陸です。今のトコ、一押しは『光の帝国−常野(とこの、と読む)物語−』(集英社/1997)。一見バラバラな物語が縦糸で貫かれている式の短編集(コードウェイナー・スミスもこれか)。「超能力」が出てきちゃうあたりとか、丁寧に情感を追うあたりとか、癒しも入ってるし、中・高生にも読めると思います。

まだ未読なのですが、myラブJ・フィニィ『盗まれた街』(ハヤカワSF文庫)へのオマージュとして、恩田さんの『月の裏側』が高い評価を得ていると聞き、とても楽しみにしています。

そういえばJ・フィニィ『ゲイルズバーグの春を愛す』(ハヤカワSF文庫)はご紹介しましたっけ?
フィニィもノスタルジー系です。タイムトラベルもののSFとして『夏への扉』を君に薦めた私を信じて、フィニィにも行ってみて欲しいです!あと広瀬正。広瀬正はご存知ですか?(うおお…止まらない…のでここで止める。)
恩田さんはチェックし次第ご報告いたしますね。

ところで、キミがコードウェイナー・スミスを気に入ってくれてて本当に本当にウレシイです。あまりにアンマリなあの表紙も、実は、下手に知らなくてイイ人にまで知られないようにするための、ハヤカワの陰謀なのかもよ(※ココまで誉めるか??)?

『虎よ!虎よ!』は未読だなあ。とりイカっていいシステムだねえ(ほれぼれ)。チェックします。しばらくご猶予下されい。読むよー。

それにしても、別役氏か。別役サンって今までまとめて読んだことないのですが、コラムやインタビュー読む限りでは、皮肉屋で毒舌家でイジワルで飄々、な印象です。早速図書館であたってみますね。ひょっとしてルックス的にもイカ心を誘うのかい??『食えないジ●゛イ』度にイカちゃんノックアウト!て寸法か?(笑)キミのお勧めの『イカす●゛ジイ』は外れないから、楽しみだな!(^_^)

クロちゃんには興味ない訳じゃないです。プレとりイカ&アウトオブとりイカというか、折に触れて君はワタクシにクロちゃんを訴えるじゃないか〜。
ちゃんと聞いているよう。キミがそんなにも推すのに、気にならない訳ないでわなイカ。金銭面とか、色々事情が。もうちょっと待って。いずれ読みますとも(泣)。きっとだ!


2001/02/26(月) 16:05:41 ヤマナ
タイトル ノーストリリア/なまいきシャルロット 今日の気分 豆腐落とした

や、無理に祭らんでも。きまぐれお祭りロードで行きましょう。私も今週は種火かも。週末にリアルワールドでのお祭りがあるので。準備準備。

恩田陸は名前しか知らないのです。興味はあるので、とりこを水先案内人にさせていただくよ。いいとこどりさせてくれ。(ヒドイ)。フィニィも「名前だけ」だったので、この機会に探してみるね。

コードウェイナー・スミス「ノーストリリア」(1987/ハヤカワ文庫SF)読了。とても面白かったです。少年だね!冒険だね!宇宙だね!猫だね!キャットマスター、ラブ!(またじじいか…)。

なるほど「シェイヨルという名の星」の感想で書いた「この世界観でもうちょっと明るい話はないものか」なる要望に、どんぴしゃりな作品でございました。そして、こんな胸躍るわくわく冒険譚であってもやっぱり、スミスさんの小説には「自分が自分であること」の困難と誇り高さが、常に底辺に感じられて、その辺もとても好ましいです。シリーズ、残りあと一冊かあ…。お名残惜しいなり。

ビデオでクロード・ミレール監督「なまいきシャルロット」(1985/フランス)を観ました。シャルロット・ゲンズブール主演の少女映画。いかにも思春期〜って感じのシャルロット13才がかわいくなくてかわいかったです。友達がみんな下らなく見えたり、背伸びして失敗したり、自分の思いこみに裏切られたり。

シャルロット、全然いい目にあわずに終わるんだけど、不思議と風通しのいい映画でした。少女漫画っぽいせいかな。郊外の夏休みーって感じの画面もきらきら美しいし。岩館真理子「森子物語」(全2巻/1984/集英社・マーガレットコミックス)を読み返したくなりました。
ヒロインの「ここではないどこか」に焦がれる小娘ぷりに、ちょっと近いものがあるかも。



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