2001年04月後半

2001/04/13(金) 00:18:53 とりこ
タイトル 「リセット」 今日の気分 ワタシも歯の詰め物が取れちゃってさ

鴨井まさね、ずっと気になってました。いつも立ち読み。読まねば読まねば、と思いつつ、まだで…やっぱ、いいのだね。読みたいよ〜(泣)

さて。
「リセット」(北村薫/2001、新潮社)。読みました!
待望の《時と人》シリーズ第3作。
輪廻転生のおハナシです。メロドラマです。泣けます。

(ノスタル狂信者な私が言うのもアレですが)ノスタルジーってのは甘くてたいへん美味しいのですが、そのおいしさにヤバさがあると思うのです。安易にそれに頼りたくないんだろうな、と読みながら思いました。過去の世界が丁寧に描かれているのに、立ち上がってくるのは郷愁より「リアル」感なのですよ。雑誌の付録やハヤリのお菓子など、古い時代の生活の細部が丹念に描かれているのですが、それとも、私にとって郷愁を感じるには物語世界はあまりに遠いのでしょうか?

チガウと思いたいです。実際、物語中盤ではノスタルジーも感じます。でもこれを「時代が近くなった」からという解釈で流したくないぞ私は。その辺の緩急は北村さんの狙いなのでは、などと思うのです(深読みかもですが)。

全体を通して「戦争」への北村さんらしいやんわりとした問いかけを感じました。犠牲者でありながら加担者でもあるということ、どのように日常が戦争に巻き込まれ、あるいはどのように戦争が日常化していくのか。声高に主張されてはいませんが、北村ファンもそうでない人も、たいして意識せずに、でもココロになんか引っかかるように作ってあるのではないかな、と思いました。

で、肝心のメロドラマ部分ですが、めっろめろで〜す。相変わらずの北村節で、要するにラブってモンのお楽しみは「どぎつい行為に及」んだりやたらめったら「愛してる」を連発するだけが能じゃないのさ!ってなご期待は外れませんとも。山場ではきっちりと泣かされます。展開がわかっていても涙が。心揺れるよう。くー。

そうそう、作中沢山引用されている主人公の少年時代の日記は、実は北村さん御自身の日記だそうです。すごい。年月を超えた同一人物合作!

あと、「会議は踊る」ネタも。イカちゃんワリとタイムリー(とりイカ過去ログ参照)。元ドイツ語専攻者は各所でニヤニヤした。ま、たまにはね(今流行らないコトバなもので)。

…こんなものでイカがでしょう。筋立てが単純なだけに語りにくい。やっぱりずいぶんネタばれした?そしたらゴメンね。


2001/04/13(金) 19:51:14 ヤマナ
タイトル サボテン・ブラザーズ/デイジー*ラック 今日の気分 夕飯は鯵の塩焼きよ

リセット」の紹介ありがとう。期待高まります。ネタバレの方は多分大丈夫、今のところどんな話かあまり見当ついてません。うーん、でも読んでから「くそう!」とか思ったり?いや、大丈夫大丈夫。…多分。

ビデオで映画を観ました。ジョン・ランディス監督「サボテン・ブラザーズ」(1986/アメリカ)。落ち目の西部劇俳優達が本物の正義の味方と勘違いされて…って、これはもしや「ギャラクシー・クエスト」の元ネタ!?

でもね、だいぶ味わいの違う映画なので両方とも観て全然OKでした。むしろ好都合だ!緻密に作られた印象の「ギャラクシー・クエスト」に較べてこちらはかなりのんびり呑気な雰囲気。そして主人公3人組の「スリー・アミーゴーズ」はかなり天然におばかな感じ。「スリー・アミーゴーズ流の挨拶」は真似したくなること必至です。

歌って踊ってミュージカル風味もあり。亀も喋ってメルヘン風味もあり。牧歌的なロマンスもあり。間の悪さが変におかしいギャグもあり。楽しみどころは盛りだくさんなのだけれど、なぜだかゆっくり空気の流れるほんわか楽しい映画でした。「ギャラクシー・クエスト」より先に観ておけば、もっと楽しめたかなーというのが心残りだけど。ま、いっか。

あ、海野つなみ「デイジー*ラック(1)」(2001/KC KISS・講談社)読み終わりました。よいね。キレイゴトと言えばキレイゴトだけど、でもそうやって切り捨てるのにはもったいないようなキラキラした気持ちを、鮮やかにすくい上げられた感じ。「レディースもの」というよりは「大人の少女漫画」ですな。

あと、「Telescope Diary」なんかもそうだったけれど、お話のわくわく感を壊さずに読者をちょっぴりものしりにさせてくれるところがウレシイです。上意下達ではない、女の子同志の情報交換の気分が上手く出せる方だなあ。
ところで私は四話目に出てきた双子のじじいにメロメロです。う〜ん、フォトジェニック!


2001/04/14(土) 02:51:40 とりこ
タイトル ギャラクシー・クエスト/銀河帝国の弘法も筆の誤り 他 今日の気分 SFバカのシヤワセな週末

ついに観ました、「ギャラクシー・クエスト」
良かったです。泣きました。なんて幸せな映画なの!

中盤からずっと涙止まらなくて、あとで見たら、マスカラが…(ちょっとショック)。
これはね、うれし涙なの。嬉しさのあまり、もう泣けて泣けて。
三谷幸喜の「ラヂオの時間」にハマったそこのアナタ!
きっともっとイイですよ!なんてね(「ラヂオ」はビデオ入れたら何回見たやら…)。こんなの観ちゃったあとは、どうしよう。当分ホカの映画への点がからくなってしまいそう…。
最後の最後まで泣かされました。ホントウに幸せな映画です。

そうそう、「スタトレ」知らなくて楽しめると思うヒト手を挙げて。は〜い!(ここはとりイカ内満場一致だよね)

そんな私が今!
読んでいるのは、田中啓文さん話題の新刊「銀河帝国の弘法も筆の誤り」(2001年2月、ハヤカワ文庫JA)。オムニバス形式で、更に1話毎にSF界著名人が愉快なコメントをつけて下さってます。
内容はズバリ、おバカSF。スバラシイですよ!
まだ途中ですが、勿体無くって、ゆっくり読んでます(なんてったって、イキナリ第1話から「脳光速」ですぜ)。

田中さんは、最近、ホラーと言うかスプラッタ方面でも激しいご活躍ぶりで、廣済堂出版会の異形コレクションシリーズ「ニグ・ジュキペ・グアのソテー。キウイソースがけ」とか「オヤジノウミ」とか「怪獣ジウス」とかの名作をぜーーんぶ収録し、その上書下ろしまで入ってる豪華本「異形家の食卓」(2000年10月、集英社)、の次の、待望の新刊がコレだなんて、アナタ!んもう、目が離せません!!

「サボテンブラザース」に関しちゃこっちに運があったかな?
ワタクシはなんと6年前、ドイツで、しかも独語吹替え版で観ました。独題は「Drei Amiego(三人のアミーゴ)」(まんまだな…)。西部劇役者3人組が主役なんだよね。あの決めポーズ!役に立たない必殺技!光る歯!ヘンな衣装!そして、それにあきれるインディアン達!!

すっげーおかしくて、一緒に見てた北京美人と手を取り合ってひーひー泣いてしまいました(いい思い出)。何年か前、中野でやってたって噂も聞いてたのですが、それをイカちゃんが見てくれるとは…サスガな情報力だ。ビデオ化してたのね。やったああ!
私の中ではマボロシの映画だったのです。
わーい♪もう1回観るぞう!


2001/04/15(日) 01:12:33 ヤマナ
タイトル 陽だまりの庭で/まぼろしの市街戦 今日の気分 眼精疲労

「サボテン・ブラザーズ」観てましたか。しかもドイツ語ですか。わたしまけましたわ。ところでこの映画、原題が「スリー・アミーゴーズ」らしいので、独題の方が原題に忠実といえよう。

で、「ギャラクシー・クエスト」観て泣いたとりこには今度はフィリップ・ド・ブロカ監督「陽だまりの庭で」(1995/フランス)をオススメしましょう。これもね、嘘を本当にするお話。

舞台は第二次世界大戦中のナチス占領下のフランス。でも、特別深刻な感じではなくて(悲しい場面はあるけれど)、呑気で可愛らしいおとぎ話みたいな映画です。そしてどうにもイノセントな美しさがあってね、あんまり美しくて映画館でぼろぼろ涙がこぼれてしまいました。イノセントなんて言葉をあんまり軽々しく使いたくないけれど、でも他に言い様のないほどイノセント。
画面もキラキラ美しいし、偏屈な爺さんとお転婆な少女という、イカの2大好物が主役を張っているしで、イカちゃんかなりのフェイバリットです。

あと、ブロカ監督では「まぼろしの市街戦」(1967/フランス)も超オススメよー。戦争で置き去りにされた精神病院の患者達が、不思議な町を作り上げるの。これまた激烈イノセンス。しかも濃ゆい。
世間の評価も高いようだし、オススメ度は実はこちらの方が高いかなー。不思議な味わいも深いし。でもリアルタイムで映画館で観れた分、「陽だまりの庭で」の方が思い入れは強かったりするのでした。

ちなみに「陽だまりの庭で」は一緒に観に行った弟も泣いてました。(こいつに「ギャラクシー・クエスト」観せたら泣く、に500円)。ビデオで観た夫は「なかなか愉快な映画だね」と言ってました。どっちに転んでもまあ、つまらんことはないのではないかしら。


2001/04/18(水) 22:39:32 とりこ
タイトル 脳男/象と耳鳴り 今日の気分 季節の変わり目は服に困る

まけました、だなんて…映画経験はアタシの遥か先(まあざっと見積もって、10万光年?)を行くクセに…。
もう一度日本で観たら、思ってたのとストーリーが違うかもってトコが一番怖いですよ…(冷や汗)。キミのオススメ映画はたいてい当たるから、GWはビデオ屋に通おうかな(実現可能だが、ちとわびしい展望?)。

さて、第46回乱歩賞首藤瓜於「脳男」(講談社、2000年)読みました。
「アルジャーノン」と「ビリー・ミリガン」を足したようなカンジで、何だかんだ言ってどんどん読めます。とくに主人公が幼女(バクダン仕掛けられてんの)を救出するシーンは、圧巻!
ヒロインの女医さん(精神科医)やサブキャラの刑事さんがややステレオタイプなのですが、21世紀、今新しいのは精神病!とか思いながら読みました。

恩田陸「象と耳鳴り」(祥伝社、1993年)
ダンディな爺さんを核にしたミステリ連作で、エラリイ・クイーンとかクリスティとかを愛したことがあり、今は北村薫ファン、とかいうような方は安心して楽しめると思います。
ただし、「イカジジイ」度(※イカ好みによるジジイ基準)には、偏屈度がやや不足かも…(だって、上質のツイードジャケットをご愛用、大柄で体格が良くて、姿勢が良くて、人々の信望も厚い元名判事!年より若く見え、若者に理解ある。どうです、チガウでしょう)。
ただし、「金曜日ラビは寝坊した」シリーズの、ハリイ=ケメルマン代表作「九マイルは遠すぎる」へのオマージュ作品が入っている時点で、とりこ偏差値は70をマーク。ジジイ造形の細部なんかどーでもいー!(裏切り者?)

しかし、恩田さんは、すごいです。
そのうちまた書きますが、「SFメロドラマ(後書きにて本人談)」の「ライオンハート」はマジでメロドラマだし、宇野亜希良の表紙がハマリすぎてる「ネバーランド」は、正統派学園モノ(リトルホモ。だって男子高且つ寮モノだし、お・約・束!)だし、「3月は深き紅の淵を」&「麦の海に沈む果実」といい、なんだかもうイロイロ過ぎます。スゴイです。

読者としては、イキナリ枯渇した、とか言われると怖いから、もっとゆっくりでもいいのに、とか言いたくなるです。でも、どれもこれもよろしくてよ!
(※とりこったら近頃恩田教に入信しちゃって…。
落ち着いてから紹介した方がいいのでは、とも思ってます。
信者の紹介でいいなら、目の眩んだヤツ書きますが…)


2001/04/20(金) 16:18:33 ヤマナ
タイトル 鳥少年/幻想博物館/ハード・デイズ・ナイト 今日の気分 春眠暁を覚えず

とりこオススメ短編集、皆川博子「鳥少年」(1999/徳間書房)を読みました。色ガラスの破片のような、艶やかで棘のある幻想世界にうっとりです。とりこの予想と違い、70年代後半から80年代初めの古い濃ゆい作品の方がどうも好みのようなワタシ。精神病院モノ「火焔樹の下で」とか。なので「愛と髑髏と」はきっと読んで見せましょうとも。

「鳥少年」のお返しには中井英夫「幻想博物館」を是非おすすめしたいです。これも精神病院モノ。咲き乱れる薔薇に囲まれた精神病院を訪れた主人公が院長から聞く、患者たちがここに来た不可思議な由来の数々。むせかえるほど美しくて、激しく絶望的な本です。これ自体で連作短編集なのですが、「とらんぷ譚」というぶ厚い本の中に「悪夢の骨牌」「人外境通信」「真珠母の匣」と一緒に収録されていることもあります。

中井英夫は変格推理小説「虚無への供物」も相当素晴らしいです。タイプは違うけれど「ドグラマグラ」が楽しめた人なら面白く読めるのではないかな。読んだ後、一週間ぐらい呆然としてしまいました。

映画館で映画を観てきました。リチャード・レスター監督「ハード・デイズ・ナイト」(1964/イギリス)。6年ぐらい前、まだタイトルが「ビートルズがやってくる ヤア!ヤア!ヤア!」だったころにビデオで観てるのですが、改めて観てもとても楽しかったです。ポップでオシャレでスラップスティック。どうってこともないお話なのですが、ちょっとしたセリフや仕草が小粋で楽しい。そして何より忘れちゃならないのはこの映画が「じじい萌え映画」だってことです。ポールの爺さん大活躍!偏屈&奇天烈ぶりでビートルズ喰ってます。すんばらしい。

ちなみにタイトルは「ビートルズがやってくる ヤア!ヤア!ヤア!」の方が頭悪げでカッコイイと思います。ヤア!ヤア!ヤア!ってアンタ…並のセンスじゃないぜ。


2001/04/24(火) 00:55:01 とりこ
タイトル ハミング/愛と髑髏と ほか 今日の気分 ねむいったらねむい

山名沢湖「ハミング」(OUR’S LITE6月号掲載作品)、良かったです。
内輪ネタにならないようにとの声もありますが、でもでも、どうしても書きたくなってしまって。

おおすじをご紹介すれば、主人公、信じていたものの裏切りを目にして、カノジョの「世界」は崩壊の危機に直面しちゃうのですが、その時、彼女はいったいどうするのか。
そんなおハナシです(と私は思うぞ)。

「見たくないものは見ない」と決めた主人公は、どでかい代償を払わなきゃならないのですが、山名沢湖さん本領発揮!のシュール・ブラック・リリカルなストーリー展開もさることながら、まず、何かを「ああそうなんだ」と知ってしまうことが、どれほど辛くて悲しくて厳しくてタイヘンなことか。

知ると言うことは同時に失うということでもあって、このおハナシは、まさにココ(「認識する」と言うことへのショック)に焦点が当たっていて、素晴らしいです。

そして更にひどいことには、このマンガには「勝ち目」とか救いとか、フォローなんかどこにも描かれてない。
カノジョ(主人公)のこれからはとってもタイヘン。投げられたボールの行方は見えないまま、おハナシは終わってる。
スバラシイですね。

このラストは、読者自身の自己投影をかならず呼ぶと思う(ワタクシも呼ばれた。イロイロと。)。
すごく辛くて、すごくいいマンガ。でした。

あ、それから、皆川博子を気に入ってくれたようで、タイヘンタイヘンウレシイです。よかったあ。
じゃあ、「鳥少年」よりさらに濃い「愛と髑髏と」は、もう大プッシュです。エキス10倍は保証いたします。
あと「たまご猫」「骨笛」あたりも、イカガかなあ。きっとお気に召すと思いますよ。
中井英夫は未読です。探してみます。ご紹介アリガトウございます!

それから、過去ログ読み返してて、書きっ放しにしてたのに気づきました。
コバルト祭り。
このまま流してしまうには惜しい企画だと思うのですが…。
いずれ、やりましょうよ〜(懇願)。


2001/04/26(木) 23:04:06 ヤマナ
タイトル 哀しみ/光の帝国 常野物語 今日の気分 食欲不振

「ハミング」感想ありがとう。面と向かってものすごい身内ホメホメっぷりだ!…というのはともかく、描きたかったことを十二分に受けとめて貰えてとても嬉しいです。ただ、それはとりこが読む気マンマンの読者でいてくれたお陰であって、私の筆力ではまだそこまで描き切れていないかなあとも思います。

まあ、でもこういう前向きとは言えない(後ろ向きとも思ってないのだけれど)テーマの漫画を発表できる場を商業誌でいただけたのは、すごくラッキーな出来事でした。気持ちの振り幅が広がった感じ。またちょっと頑張ってみるよ。個人的には「間違った女の子」が思う存分描けて楽しゅうございました。

ドナルド・バーセルミ/山崎勉訳「哀しみ」(1998/彩流社)読了。タイトル通り、「哀しみ」を軸にした短編集。

どのお話も哀しくておかしいのだけれど、突き放したような空虚な視線があるからか、ペーソスというのとは違う感じ。もっと不思議な透明感があるというか。詩的なんだけれど下世話だったり、つかみどころのない魅力のある作家です。奇抜な設定も面白い。

現代アメリカの小さな町にやってきた聖者のお話「聖アントニウスの誘惑」、タイトル通りの話でしかないのに不思議にポエジックな「パウル・クレー工兵、一九一六年三月、ミルベルツホーフェン、カンブレ間で航空機を一機紛失す」が特に気に入ってます。

ところで私はどうやらこの本でバーセルミは読み終わってしまった模様。ちょっとサビシイ。バーセルミはどの本もハズレなしですが、「雪白姫」「死父」が特にオススメかな。ヴォネガットとコードウェイナー・スミスを愛するとりこには是非読んで欲しいです。それとも、もう、読んでる?

とりこオススメ恩田陸「光の帝国 常野物語」(1997/集英社)読みました。表題作がいいね。悲しい児童文学みたいで。作品によっては、「長編の第一章?」みたいな食い足りなさも感じたのですが、もしかして資質が長編向きの方なのかな?次は長いのを一冊読んでみたいと思いました。てゆーか、フィニイの「盗まれた街」読んだんで(おもちろかったー)、とりこの期待を背に受けて「月の裏側」行くよ。探してみるから待っててね。



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