2001年06月

2001/06/05(火) 19:17:31 ヤマナ
タイトル 虹色魔術探偵団/おぼろ探偵帳 今日の気分 復帰が遅れてゴメン

小野不由美さんは以前「魔性の子」(新潮文庫版)だけ読みました。面白かったんだけど、シリーズ追うのが面倒でそこで止まってたんでした。根性なし。あでもシリーズ読破したとりこにも「魔性の子」は当たりだったのね。やったぜ。とりあえず「月の影 影の海」だけでも読んでみようかな。

ところでとりこは、「十二国記」ホワイトハート版のイラストを描いている山田章博さんの漫画を読んだことがありますか?私はハタチ前後の頃、そりゃあもう心酔してました。大正ロマン風の絵物語とか、ノスタルジックなSFとか、とぼけた感じのギャグとか色々なタイプの作品を描く方です。

その中でもとりこに読んでもらいたいのは「虹色魔術探偵団」(1989/ノーラコミックDX・学研)。私が持っている学研版のは多分もう絶版だけど1999年に日本エディターズから復刻版がでているそうです。

主なキャラクターはマッドサイエンティストのドクター・フーとその助手の美少女梨華、それから彼らに無理矢理契約させられた美形の悪魔の3人組。彼らがレトロで妖しげな都市ノイエ・ジャポネでくりひろげられる珍事件怪事件を解決したり、しっちゃかめっちゃかにしたり。ポンチで耽美な探偵コメディなのでありました。

この漫画の何がいいって、山田章博さんの趣味的要素てんこ盛り!って感じが素晴らしいのです。(まあ、山田章博作品はどれも趣味的という気はするのだけれど。)人造人間奇術師宇宙人エトセトラ。このレトロで怪奇でSFで幻想な感じはとりこ心をかなりゲットするのではないかと。一話一話のオチもまぬけだったり苦い味があったり色々いい感じ。丁寧に描き込まれた画面も雰囲気バッチリです。口絵にカラーイラストが8枚も収録されているのだけれど、これまた粋で達者で素晴らしいのでありました。(カラーページは復刻版にもあるのかな?)

「虹色魔術探偵団」には姉妹編に「おぼろ探偵帳」(1991/マイコミックスデラックス・東京三世社)というのもあって、こちらは舞台が明治東京。すっきりハンサムな泉鏡花が登場したりします。


2001/06/26(火) 18:36:40 ヤマナ
タイトル ぼくはオンライン古本屋のおやじさん/夢二が好き 今日の気分 暑い

どうも更新がままならんですなあ。お互い。
仕事が入ってる月も、読書はしてるんだけれど、どうもなかなか感想を書き込む時間がとれなくて。今までの長文2本立てスタイルにこだわらない方がいいような気がしてきました。
というわけで今回は更新休んでた間に読んだ本をメモ程度で。とりあえず今日は軽いところから2冊いってみます。今度こそ続くとよいのじゃが。

●北尾トロ「ぼくはオンライン古本屋のおやじさん」(2000/風塵社)
ライター業の傍ら、オンライン古本屋を始めた方のエッセイと日記の本。さっぱりとひとなつこい文体で、丁寧にご自身の体験を綴っています。なんかね、本と人と、どちらも大好きな方なんだなあって感じ。古本屋日常エピソードがいちいち楽しいのでした。買い取り一つとっても、いろいろな出会いがあることかな。新しいことを始めるわくわくが詰まった本でした。オンライン古本屋作りのノウハウもわかりやすく書いてあって、一瞬、古本屋始めそうになったよ。

●小暮亨「夢二が好き」(2001/文化出版局)
竹久夢二のデザイン仕事とスケッチに焦点を当てたムック。夢二の美人画はイマイチ好みではないのですが、グラフィックデザイナーとしてはかなり好きだったりするので、この企画は嬉しいです。薄い本なので、ちょっと食い足りない感じはあるんだけど、贅沢は言いますまい。
マッチの模様の千代紙とか、たんぽぽ模様のうちわとか。モダンなグッズの数々が楽しいです。装丁関係もぺたっとした色使いがステキ。もっとカラーで見たかったな。
あと、かっこいいポスターだなあと思ったら「結核予防デー」ポスターだったりする、時代な感じもよろしいかと。


2001/06/27(水) 21:31:52 ヤマナ
タイトル かめくん/マイナス・ゼロ 今日の気分 暑すぎる

またすぐ滞るのはわかっているので、時間がある内にレッツ連続更新。
今日はノスタルジックSF2連発です。

●北野勇作「かめくん」(2001/徳間デュアル文庫)
リコちゃんの強力オススメで読んでみました。とてもよかった。
メカのカメのかめくんの淡々とした、でもなかなかに奇妙な日常と、そこからにじみだす、いろいろなきもち。でもそれは本当に「きもち」なの?という問いかけも静かになされていたりして。
木造2階建てのアパートや、木星行きの路面電車なんかも登場する、なつかしい感じのSFなんだけれど、「なつかしさ」がただの表層的なお飾りではなくて、テーマの一つとしてきちんと扱われています。ノスタル信者のワタシは、ラストでちょっと泣きそうになりました。とてもとてもオススメ。

●広瀬正「マイナス・ゼロ」(1982/集英社文庫)
こちらはとりこの強力プッシュで読みました。おもしろかった。なるほどタイムマシン物なのね。過去の描写がすごく生き生きしていて魅力的でした。でも懐古趣味というのとは違う感じ。「現在」と同列にただ明るく(もしくは切なく)そこにあるものとして、「過去」を扱っているような印象。さっぱりとした筆致が心地よかったです。

あとこの主人公、かなり数奇な運命を辿るんだけど、一向に深刻にならないところが素晴らしいです。いい性格してやがります。イカス。

北村薫さんの「リセット」を楽しんだ方ならどちらもそれなりにイケるのではないかしら。2冊ともそれぞれにユニークな小説で、タイプはかなり違うのですが。


2001/06/28(木) 23:43:32 とりこ
タイトル アド・バード 今日の気分 (現代人らしく)冷房病

久々の更新アリガトウ!
こちらもヨウヤク通常の精神モードに戻ってまいりました。

映画「A.I.」原作の書評をみて「オールディス読まなきゃ」と思い立ち、まずは有名処「地球の長い午後」(ブライアン・オールディス/ハヤカワSF文庫、初版1967年)をゲットしました。
が、同じトコで「アド・バード」(椎名誠//新潮文庫、初版1990年)も見つけ、これも「読まなきゃと思いつつ、まだ」なアレだったので、「オールディス=寝る前にお家で、椎名=通勤電車内で」、と分けて読み始めたのですが、なんか最近おんなじようなハナシばっか読んでるなあ、てな気持ちになりました。
それもそのはず「SF読者なら、この長編が『地球の長い午後』を下敷きにしていることにお気づきだろう(※後書き・目黒孝二より引用)」…がーん。どうりで。
惜しいことをしたかなアタシ???

で、中身ですが、「怪しい探検隊」シリーズのあのテイストやテンポは、ここではむしろ背後に仄かに、という程度で、「読みやすい椎名」と思ってかかると痛い目に逢うかもしれません。
でも、そこがイイ。

「ねご銃」をにぎりしめ、父を救う旅に出たマサル&菊丸の兄弟が、道中で部品を交換しバリバリの関西弁になってしまう、腹の出た中年男アンドロイド「キンジョー」を加え、ヒゾムシやら赤舌やら酸出しやら地ばしりやら、インドカネタタキといった生物たちが蠢く中、マザーK市に潜入するSF冒険モノてなカンジですが、ゲリラと言うよりヘルメットに角材を持って走ってそうな「粛正派」の「デンキ屋」といい、黒幕のドンは「ターターさん」だし、なんというか、独特の言語センスで綴られる近未来異世界廃虚ビジョンが、とぉぉってもナイスです。

文明の崩壊度は「AKIRA」であり「未来少年コナン」でも手塚なカンジでもあり、そか、廃虚というのは「核戦争後の地球」でなくともいいんか。とか思ったです。スバラシイ。椎名作品としてはイカちゃんにもオススメ可能だな。安易さも人死にもスプラッタもなくって安心だし(これはホント)。ラストには思いも寄らぬカタルシスもありやす。

椎名作品は実は「岳物語」が大好きなんですが、トリも沢山出てくることだし、今後は「アドバード」をmyベストに置こうと思いました。

オールディスはまだ途中です。読了したらご報告いたしますね。


2001/06/29(金) 21:57:22 ヤマナ
タイトル 北斎の罪/放課後退魔録ロストガール 今日の気分 頭痛

「アド・バード」は夫が確か持っていたと思います。「家族の所持本はなんとなくあとまわし」の法則(?)にのっとって、嫁入り2年過ぎたというのにまだ読んでないんだけど。この機会に読んでみようかな。ディティールがいろいろ面白そうな予感がします。

●高橋克彦「北斎の罪」(1993/講談社文庫)
とりこのオススメで読んでみたよ。ホラーとミステリとSF、それぞれのジャンルの作品を収録した短編集。…と言うことに、なかなか気付かなかった私は「冒頭作がホラーだから残りも全部ホラー」と信じ込んで、いろいろ途方に暮れました。あと、SFモノはこじつけパワー炸裂で、ここでも途方に暮れました。
とりこイチ押しの「鏡台」は怖い描写がいい感じにキモチワルくて、これは素直に面白かったです。オチはベタだけど、それもまたよしで。
でもやっぱりこの本、SFモノのインパクトが凄すぎたよ。もっと読みたいとは思わなかったけど、一度は読んでおいてよかったな、珍しいもん見ちゃったなって感じがしました。ああ驚いた。

●岡本賢一「放課後退魔録ロストガール」
(2001/角川スニーカー文庫)

そんでもって、高橋克彦の「怖いモノ描写」にしびれるとりこには、この本をちょっぴり勧めたいかな。高校生の男の子が学園に巣くう妖怪を退治するという、あらすじだけ説明すると、わりと中高生向け定番ぽいものなんだけれど。過剰なキャラクターと淡々と進む物語の取り合わせがなかなか不思議な味わいの小説でした。

で、とりこへのオススメポイントはズバリ妖怪描写です。怖い妖怪も怖くない妖怪も得体しれなくて素晴らしいですよ。異生物描くの上手い人なんだよな…。今まで見えなかった妖怪がだんだん見えてくる感じとか、リアルでオモシロイです。
あと、この小説、ラスト近くでものすごく途方に暮れるオチが待ってるんで、その脱力感をちょっと共有してみたいのだった…。話の大筋とはほとんど関わりないとこなんだけど…。本読みながら声上げて「えええー!?」って驚いてしまいましたよ。

というわけで、今日は途方に暮れる本2連発でした。(ていうか、怖い描写秀逸作品2連発のつもりだったのだが…)


2001/06/29(金) 22:51:33 とりこ
タイトル ベルセルク 今日の気分 冷房に勝てない。

広瀬正の「マイナス・ゼロ」気に入ってくれてヨかった!
高橋克彦の「鏡台」も(笑)。
「かめくん」は絶対チェックします。スッゴク面白そう!
&岡本賢一さんも。短編しか読んだことないので、楽しみです♪

さて、巷でウワサ(MSN人気投票第2位)の「ベルセルク」(三浦建太郎、既刊21巻、白泉社JETS COMICS)トリアエズ14巻まで読みました。三分の一残ってる。ウヒヒ(笑)。

重厚な骨太漫画です。主役はその名も「ガッツ」だし(笑)。舞台設定はチューダー朝頃の欧州かな?。3巻ごろから過去に溯って、彼の生い立ちと宿敵・グリフィスとの因縁が綴られていきます。
イカンともし難く絵がうまい。表紙が地味めで損ねとか思ってしまう。この迫力・この存在感!

アツいネームが、ぐいぐいココロに迫ってきます。絵の持つチカラかと思います。時折、多少のデッサンの崩れより、ここで表現したいのは何か、を最優先させてあるカンジですが、それでいいのじゃ!と思った。そこだよ!それなんだよ(泣)。

おハナシに華を添える妖精(エルフ)のパック君は、なんと思いきった設定なことには、もう完全に全裸なんですが、性器レスでなぜこんなにエッチっぽいんだあ!!(そりゃ、全裸だからだよ…)重厚でグロテスクな化け物描写もスバラシイ。横尾もダリも大喜びしそうな悪夢ぶりです。

そんなカンジなんで、エッチシーンも重厚な説得力を持って、省略することなくしっかりと描かれてたりする。とても電車の中では読めません(ヒイイ)。ですが、それ、物語に不可欠なのね。おハナシの進行上避けられないので、読者としては「うへへ」ばかり言ってられない(笑)。要するに、全編余すことなくドラマなのです。

人を信じることができない、孤独な少年期のガッツくん(語弊アリ)。そんな彼に初めて出来た「信じるもの」、それは親友・グリフィス(宿敵)。剛直なガッツ、対するグリフィスは、宝塚の男役も真っ青!な美青年。一番のライバルで、決して負けたくない。好きだから、対等でいたいからこそ、側にいられない。互いのカンケイをなあなあにしたくない。もう、こんなナイスなホモカンケイ(※チガウ)ほかに知りません。ヒットして当然だ。読んでて鳥肌が(トリなんだから元からか)!

まあ、いいから、気が向いたら読んでくれ!きっと、「ああコリャとりこが熱くなる訳だよ」とイカちゃんが納得すること請け合い。


2001/06/30(土) 12:11:19 とりこ
タイトル リトル・ダンサー/ホワイトアウト(原作の方) 今日の気分 冷房病、悪化

オレ様も、連続更新に挑戦。

今更観ましたが、よかったです。
●「リトル・ダンサー」
(S.ダルドリー監督/主演:ジェイミー・ベル、2000年)

(スデに有名な)筋立ては、炭鉱の町に生まれた少年が、クラシックバレエへの憧れに目覚め、夢に向かうという、一種のサクセスストーリーです。
その年頃特有のなまいきさと危うさともどかしさと真摯さとひねくれぶりが、これ、ドキュメンタリー?と思いたくなるほど主役の美少年くんにハマってて、何故そんなにも??というほどボロボロ泣いてしまいました。
過剰な自己投影が原因ですが、要するに「何かやりたいことがあって、でも大事な父は賛成してくれない。でもやりたい。やらずにはいられない」葛藤と、「好きを見つけた」ヨロコビ、「好き」に打ち込むことへの快感、親への後ろめたさ(裏切り)、親をかばうキモチと自分の「好き」への自信と自信の無さ、色々思い当たるわけですな(笑)。

「夢を手に入れる」ことそのものより、憧れに手を届かせようともがく、そのもどかしさにうたれました。そして、70年代のスんバラシイグラムロック。やられた。CD欲しい。

●「ホワイトアウト」(1995年、新潮社、真保裕一)
そうです、織田裕二の映画で有名なアレの原作(笑)。山間部ダム発電所をゲリラが占拠したのを、主人公がたった一人で奪回するという、シンプルな筋立てのお話です。
真保代表作の「奪取」激プッシュ!!な知人がいたので、真保作品は幾つか読んだのですが、現代日本においてリアルなラスト、と言えば仕方がないとは言え、時折なんだか不完全燃焼な印象がありました。ですが、成る程これは燃え尽きル。読んでスッキリカタルシス。ホントに。

必ず入念な取材を下敷きにしてある真保作品は、例えば「震源」では火山観測所、「奪取」ではお札作りの知識なんかをバッチリ学習できてしまうのですが、今回は山間部のダム及び発電所について、タイヘン勉強になりました。高村薫さんの「神の火」なんかと併読すると、これでアナタも日本の電力ハカセに(ウソ。)!

徹底的に寒そうなおハナシです。冷房病なワタシはますます寒気に苛まれ、臨場感が出てきてグーでした(???)。
こないだ書いた「ベルセルク」もそうですが、ややもするとハズカシー位アツイオトコゴコロ(笑)が、よかったです。



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