2001年07月前半

2001/07/04(水) 00:13:40 ヤマナ
タイトル 乱切りにんじん 今日の気分 でかいミミズを見た

最近読んだ知人の漫画に「いわばガッツとグリフィスな関係」ってフレーズが出てきて、「これ一体なんだろう」と疑問に思ってました。意外なところで謎がとけて嬉しいです。そっか、「ベルセルク」か。ネーミングだけでも熱すぎます。そりゃあ、とりこのハートも溶かすでしょうよ。

ちなみに私は「ガッツ」というと、大島弓子「乱切りにんじん」という短編を自動的に思い出します。「綿の国星」7巻(1986/花とゆめコミックス・白泉社)に収録されてる漫画。
主人公の女の子が落ち込んでるとき、片思いの男の子に「腸」って言われて励まされるんだよね。「腸とは英語のガッツのことです」ってナレーションがついて。

なんかそれだけ書き出すとけったいな漫画のようですが(で、実際、大島弓子の魅力はこの作品含め、そのけったいさにもあるわけですが)、思春期の女の子とお父さんの葛藤をするどくやさしく描いたすんばらしい漫画です。前向きに泣けます。大好き。大島弓子はいろいろスゴイのでやっぱりいつかバッチリ読んで欲しいなあ。


2001/07/04(水) 23:34:45 とりこ
タイトル フレームシフト/さよならダイノサウルス 今日の気分 冷房病から回復中

イカちゃんから「ベルセルク」ネタに反応があるとは、驚きました(笑)。
「綿の国星」だけはトリアエズ全部読んだので、腸ネタは薄ぼんやりと記憶があります。
大島弓子は、そりゃあもう極めたいッス。今後も継続してご指導賜りたく。

さて、ロバート・J・ソウヤー「フレームシフト」(内田昌之訳、ハヤカワ文庫SF、2000年3月)、やっとゲットしました。

ソウヤー作品はどれもハズレなしですが、「さよならダイノサウルス」(1996年、同社)はホントウに面白くて、読み終わるのが勿体無いくらいワクワクしました。何故恐竜は絶滅したか?がテーマなのですが、「科学」と「学習」とか学研マンガを愛読していた頃のあの気持ちで、読んでいてついSFを信じたくなります。
おハナシって判ってても、「でもでも、もしかしたら、あるかもよ?」って思いたくなってしまう、スッゴく大好きな、夢いっぱいの一冊です。

今回の「フレームシフト」は、SF臭が少なくて、殆ど医学ミステリなノリ。
まるで「ハンチントン舞踏病」患者リカイへの啓蒙本だし、生命保険のお勉強にはなるし、DNA解析及び染色体情報のSF部分はすごい説得力(とシロートには思われます)。その上イキナリなことにナチ戦犯モノ、と相変わらず贅沢なネタ使いなのですが、さらに加えてのっけから○○○゜○―が出てくるとは(そんな安直な!)。「あ、そかヒロイン○○○゜○だから意思疎通可能なんだ!」とか、この設定はあとあと物語の重要部分に激しく役に立つ。てか、なしでは多分おハナシが成立しないので、ああ、もう何でもやって!なキモチにも…。

クレーム覚悟の発言ですが、時折、良くも悪くもソウヤー氏は、根っからのイイヒトなんだろうなあ、と思われてなりません。
なぜなら、氏の作品における「悪人」は、どの人も「所詮、善人に思い付く程度の悪人」な域を出ないように思われるのです。悪人像がステレオなの。(笑)
そんな意味で「どこかで安心感を求めつつ」おハナシをエンタテイメントしたい向きには、ソウヤー作品は全面的にオススメいたします。

このおハナシには食えないジジイも出てきたけど、残念なことには今回はイカジジイでなく、ただのやなジジイでした(ごめんよイカちゃん)。


2001/07/05(木) 17:57:15 ヤマナ
タイトル みずたまレンズ 今日の気分 初クーラー

「さよならダイノサウルス」は、楽しそうだねえ。ソウヤーさんは初耳なのですが今度探してみるよ。「『科学』と『学習』とか学研マンガを愛読していた頃のあの気持ち」と言われると、やはり気になってしまいます。もう心は内山安二の元へ!!(ウソ)。

「科学」と「学習」、学研マンガはさすがに読まなくなって久しいけど、まんがの資料として科学絵本にはいまでもお世話になってます。自然物の大判写真に大きな字のキャプションがついてるやつ。この夏は「アサガオ」科学絵本の数々にお世話になりました。絵を描く資料としてだけでなくて、ときにはお話をふくらますヒントになったりもします。あとはやっぱり「あの頃の気持ち」に少しでも触れられるウレシサもありで。

とまあ、盛り上がったところで(?)。今回は素敵な科学絵本の紹介を。

●今森光彦「みずたまレンズ」
(福音館書店/「かがくのとも」2000年6月号)

はい、みずたまです。タイトルからして好みです。逃げられません。
どんな本かというと、水滴の科学絵本です。水滴のいろんな動き、いろんな形が色鮮やかな写真で紹介されています。蜘蛛の巣いっぱいにかかったみずたま、かえるが跳ねたあとのみずたま、花のうえのみずたま、虫のうえのみずたま。ミクロでマニアックでたまらんです。すばらしい。心がふわっとみずたまに吸い込まれるような感じです。

本文デザインもしゃれててかわいらしいのですよ。写真をまあるくきりぬいてあったりして。写真には、短い文も添えられていて、これがまた平明で簡素で、それゆえのポエジーを醸し出しています。なんだろう、虫映画「ミクロコスモス」を見たときの楽しさ、ポエジーに近いものがあるかも。

たった32ページしかないんだけど、小さなみずたまが大きな波紋を残すような、広がりのあるよい本でした。この季節、見て涼めるのも吉だ。

ただ、この本雑誌扱いなので、本屋さんではもう置いてなさそう。図書館の子供室で探してみて下さい。私は先月偶然入った本屋の「こどものとも」「かがくのとも」バックナンバーフェアで買いました。


2001/07/07(土) 12:07:12 とりこ
タイトル 地球の長い午後 今日の気分 今度は腹壊した。

福音館の「かがくのとも」かあ。
「こどものとも」と共に、随分お世話になってました。かこさとしさんとか、柳生源一郎さんとか、今でもココロの先生です。大判でめくりやすいし、あのシリーズは、やっぱめっちゃいいよね!いい上に廉価だし、薄いときてる。捨てられない(笑)。今は「おおきなポケット」とかも出てるよね。

昔のもいいし、新刊もいっつも質が高くて、正直追いかけきれてないのが現状です。力不足はなはだシ。やばい〜〜。サスガイカちゃん、気が抜けねえ。図書館の子供室行ったら探すわー。2000年のやつならまだ絶対見られると思う。見るね。

さて、「地球の長い午後」(原題”HOTHOUSE”、ブライアン・W・オールディス、伊藤典夫訳、ハヤカワ、初出1967年)読了しました。

読み終えてみれば、成る程「アド・バード」は、この作品へのアツク激しいオマージュでした。今読んでもこれだけイロイロと衝撃なので、当時はかくやと思われます。60年代SFにお約束なアレ(?安易つーか短絡つーか)はモチロンあるんだけど、まあそれはいいのよ。それでこそ、だし。
でも、例えば「腐敗もまた、進化の一過程なのであった」って、どうよ。
アタシは驚きました。

ラストは「もののけ姫」とか「ナウシカ」のラストにかぶるような。って、モチロンこっちが先ですが。「この先滅びるであろうことがほぼ確定したようなモノになってしまった地球」にて生きる、という道を選ぶのね、主人公は、ラストで。
でもってスゴイのは、「すでに手中にある、別の新天地へ踏み出すチャンス」を、あっさりと蹴ってるトコだす。
いいのか?とか、つい考えちゃうじゃないですか。

でもって、ここから「アドバード」を引きずり出す椎名さんも、すごいなあ。
いやあ、やっぱ、併読して、トクしましたわアタシ(ほくほく)。


2001/07/07(土) 12:09:59 とりこ
タイトル みんなのいえ(/ラヂオの時間) 今日の気分 ベープマット(液体)にアレルギー起こした

三谷幸喜監督第2作「みんなのいえ」
(三谷幸喜脚本&監督/出演:唐沢寿明、田中邦衛、八木亜希子、田中直樹ほか)観てきました!

前作「ラヂオの時間」は、「オンエア中のラジオドラマ製作現場でトラブルガ続出! 生放送なのに、番組は支離滅裂に…」といったおハナシでした。
今回は、建主夫妻と大工さんとインテリアデザイナーのそれぞれが、「こんなお家を建てたい!」と互いに主張してもめる、いわば「お家騒動(パンフ惹句によれば“ホーム”コメディ)」かな。

「ラヂオ…」が、クリエイター魂を貫きたい現場と、スポンサー第一主義の管理側との対立にポイントがあったのに対し、今回は「『アーティスト魂』にこだわるインテリアデザイナー(※アメリカかぶれ)(唐沢)と、現場の棟梁(※ニッポンの大工)(田中邦衛)との対立」が入ってるので、カタチ的にはある意味同じかも…。

で、加えて「ラヂオ」では「クリエイター魂」の人はモチロン、給料生活者なら誰だって、スポンサーに気を遣って神経をすり減らすヤツ(西村雅彦)を見て、ナニか、こう、ココロ当たる仕組みになってました(笑)が、今回は建主夫婦の旦那さんがそういった役ドコロ。

立場上も「嫁さんと大工さん(実は義父。嫁さんの父親が大工さんなの)とデザイナー」の3者の板ばさみなのですが、実は職業が「TVドラマ脚本家」で、「クリエイターのはしくれ(役中本人談)」なのね。でもって、常日頃から、こう、とやかく言われがちな、ガマンの人なの。
でねでね、こだわりを持つ二人が、それぞれ譲らずにぶつかり合うのを見てて、この旦那さんは、シットすんの!
ここトリポイント激しく高シ。ギャグになってますが、笑いながらマジ泣き入ってる自分発見。
涙誘われ、ココリコ田中のファンになりそう。てか既にファン。メガネもとってもよくお似合い。なんつか、こういう旦那さん、いまメチャメチャ欲しいんすけど、アタシ(※まじで)。

例の如く「一見やなヤツが最後にいい人」になったりして、「けっ!」とか(照れてどうするよ)なんですが、相変わらず笑いのツボは冴えまくりです。
見たら、絶対、元気になりますよ!

パンフも、可愛いの。アソビゴコロ満載。映画のなかで完成するお家の紙模型が、切り抜いて作れるようになっててね(買っちゃったよ…)。


2001/07/09(月) 23:22:29 とりこ
タイトル スーパートイズ/しりあがり寿の多重人格アワー 今日の気分 疲れ目(そりゃな…)

書けるうちに、連続更新!という魂胆です。さーてどこまで続くかな?

●「スーパートイズ」(B・W・オールディス/中俣真知子訳/2001年4月/竹書房)
短編集です。1990年以降に執筆された作品ばかりが揃えてあります。ショートショートがメインですが、どれもきちんとSFで、現代的で、都会的で、洒落てます。
ステキです。

表題作はスピルバーグ監督に映画化された「A.I.」の原作です。
なにしろ映画は未見なので、映画の設定は判らないのですが、表題作「スーパートイズ」は、ショートショート程度の長さのおハナシが3本、連作になったものです。
テディベアが非常にキュートでした。
…てかね、このクマ、「悩みをみんな飲み込んでくれる」系のクマさんなのだ(最近どっかで見かけたなあ、そんなクマ…)。

一番古い部分は1969年に執筆されたそうで、当初は、S・キューブリックによる映画化が予定されてたそうです。
最終的にスピルバーグに渡るまでの経緯が、後書きにて、オールディス本人によって語られてます。
後書きまで美味しい本です。

●「しりあがり寿の多重人格アワー」(1996年8月/中央公論社)
…こんなの「とりイカ」に載っけていいものやら?とも思いましたが、キミも、しりあがりさん大好きだし、いいよね??

「ビリー・ミリやん」なる、冴えない多重人格者が主役で、ほぼ、ミリやん精神内の分身ら(例:有名私大ミリやんと、無名公立大ミリやんと、有名国立大ミリやん、有名女子大文学部ミリやん、帰国子女ミリやんに分裂、など)の会話だけで進行するスタイルを取ってます。

「これは自分の立場の選択の練習本です。
はっきりいって、立場ともいえないよーなものがダラダラ並べられてるだけで、内容的にも稚拙です。
だけど『立場』というのは、その問題に対して答えを知ってよーが知るまいが選択するもんだと思ったので、ええい!てな感じで書きました。」(後書き抜粋)

しりあがり氏、ナイス過ぎます。

「95年春の新宗教コレクション!
キリスト様もお釈迦様もみーんな待ってるよ!
ゲダツなんてもう古い!いまはスーパーゲダツだ!!
新人神様大募集!われこそは神様と思わん方、どうぞ!」
って、アンタ…。
随所に挿入されている挿し絵が、ホントにもー、いちいち超ナイスです。
ああ、笑った。


2001/07/10(火) 20:41:39 ヤマナ
タイトル ぼくの伯父さんの喫茶店学入門 今日の気分 ネーム難渋中

オールディスのテディ・ベア短編(?)、すごく気になります。シンクロニシティ?巨匠の魂が私の心に降り立った?…まあ、寝言はここまでにして、とりあえず、読まねばなるまいよ。

かこさとしさんと言えば、今通ってる歯医者の待合い室に「むしばミュータンスのぼうけん」があって、久しぶりに読み返したところです。いやー、今読んでもおもろいね。むしばミュータンスが「すてき!」とか叫ぶタイミングが絶妙で、歯医者の待合い室でくすくす笑う危険な女になってしまったよ。

●沼田元氣・堀内隆志編著「ぼくの伯父さんの喫茶店学入門」
(2001/ブルース・インターアクションズ)

写真家詩人(ポエムグラファー)の沼田元氣さんと鎌倉で喫茶店のマスターをしている堀内隆志さん。喫茶店に造詣の深いお二人が、喫茶店についての様々なテーマを、文化系著名人の方々とゆったりおしゃべりした本。「喫茶店学」はカフェロジーと読みます。

そもそも私は沼田元氣さんのファンなのです。で、ヌマゲン独壇場みたいな本を期待していて、中身開いたら対談集で、ちょっとがっくりきたのですが。お家に帰って読んでみたら、もいちどびっくり、考えたり感心したり笑ったり、とても楽しい本だったのでした。

「古本とカフェの関係」「カフェの建築の関係」「映画の中のカフェ」…と、まあテーマの立て方がまず、よくってね。で、そのテーマに沿ってなされる会話がくつろぎつつも濃ゆい、なんともよい湯加減なのでした。チチ松村さんが出会った変わった喫茶店を紹介する「世にも不思議なカフェ話」とか、おかしかったですよ。あと、ゲストの話に対する沼田さんや堀内さんのしょうもないダジャレ相槌もなかなかなごめました。

なんか今カフェブームで、この本もその余波で出版できたところはあるのではないかと思うのだけれど。沼田さんたちはむしろ喫茶店に対しての精神的なもの、普遍性を大切にしていて、ブームに乗っている人も乗りきれない人も、喫茶店ですごす楽しい時間を味わったことのある人なら心地よく読める本ではないかと思います。

沼田さん撮影の喫茶店写真が使われた「カフェトレーディングカード」もおまけについてるよ。もったいなくて切り放せないけどな。

「東京人」でやってた「ぼくの伯父さんの喫茶店案内」って連載もよかったので、あれもまとめてくれないかなー。



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