2001年08月前半

2001/08/04(土) 00:19:25 とりこ
タイトル 千と千尋の神隠し 今日の気分 久々の更新で、大変スミマセン

●映画『千と千尋の神隠し』…宮崎駿監督・脚本(公開中)

面白かったです。
濃ゆ〜い映画でした。
監督ご自身のお言葉(劇場パンフ参照)を借りると、主人公・千尋(ちひろ・10歳の女の子)が、異世界に迷い込み、くじけそうになりながらも知恵と勇気で生き延びて、魔法によって姿を変えられた両親を救い出し、元の世界に生還する、という物語です(カナリ違って聞こえますが)。
この、「異世界」観がね…。

始まりは、草に埋もれた遊園地(のようなところ)です。
すっかり風化しているようで、近くへ寄ってみると、案外キレイ。見かけより意外と奥まで続いていて、誘われるまま足を伸ばすうちに、ふと、いい匂いが流れてきて…。
匂いに引かれるまま、狭い軒がひしめき合う屋台街に迷い込むと、気配は次第に生々しくなり、

「お父さん、お母さん、ねえ、もう、帰ろうよう」

(既にこのあたりで、ノスタル信者やホラー愛好家は、目が離せなくなること請け合いですなあ)

見所はホカにも満載なんですが、私が一番心打たれたのは、海のシーンでした。
視界一杯に広がる青い海、くっきりとした入道雲。明るい太陽、木製の欄干に身をあずけ、潮風に吹かれる主人公。湿気で真っ黒の柱、ぺったんこの布団、古きよき正しき、ニッポンの海の家。
長く続く遠浅の海に、夕日が落ちかけて、水平線には夏のたそがれが映り、足首ほどの透明な水の中にどこまでも伸びる線路。下り線の、2両編成の列車。ゆっくり走る。微風。潮風の湿り気。夏の夕方の、傾く陽の寂しさと怖さ。車掌さんに回数券を渡して乗る列車。6番目の停留所は、「沼の底」。

嬉しい事に、今回、「怖さ」にスポットが来てるんですわ。非常にナイスです。夏休み映画にふさわしい。

あと、パンフには「クラバート」や「ゲド戦記」の影響が、とありましたが、舟崎克彦「ぽっぺん先生と帰らずの沼」、松谷みよ子「龍の子太郎」、末吉暁子「星に帰った少女」、なんかも入れてよ。
なんてね。

民話ベースのホラーに心惹かれる向き、昭和初期の和洋折衷のキッチュなケバさ(擬洋風建築、深川たてもの園)のお好きな方々、観ないと勿体ないです。(イカちゃん、キミもだ!)

しっかし、この映画1本から、5本分くらいネタ取れそう。そのくらいギッシリ。ねえ、そんなに何でもかんでもいっぺんに詰め込んじゃってさ、ずるいよ。もっと小出しにしようよ!とか、思いましたよ。


2001/08/07(火) 21:41:53 とりこ
タイトル ぽっぺん先生と帰らずの沼/星に帰った少女 今日の気分 時間が足りん。
前回のとりイカで引き合いに出した、「ぽっぺん先生と帰らずの沼」(舟崎克彦/筑摩書房/1974年)について、書いちゃおうと思います。

あら筋は、大学敷地内にある、自然沼(「帰らずの沼」)の生態系(主に食物連鎖)に関しての論文を執筆中のぽっぺん先生が、ふと気づくと小動物に変身していて、沼の生態系に巻き込まれ、あたふたする…というものです。
「あたふた」の詳しい部分は、勿体無くて語れません。
が、コミカルで、飄々としてて、且つあったかいおハナシです。

物語内で、イキナリ恋が成就するんですが、そのくだりを今回大人の目で読むと「ひえー、ここまで暗示しちゃうんかあ??」と、なんか、今になって驚くのでありました。
しっかし、主人公の「ぽっぺん先生」ったら、母親と同居の、30になりたて位の、うだつのあがらない(女の子にもてる、という言葉からは程遠いカンジの)独身男で、研究に夢中!なタイプの、いかにも白衣の似合いそうなメガネ君(という印象を受けたよ、今回読んでて)で、イカちゃんのオトコの好みは、もはや小学生の頃から一貫しておったのか・・・と感心いたした次第でございます。

今回再読して、ヤハリとーーっても面白かったのですが
でも、「どうしてあの映画を観て、これを思い出したのか」今ひとつ、分からなくなってしまいました。
「面白いんだけど、どこかブキミでコワかった」という印象があったのに、今回はあまり怖くなかったのだ。
一緒に読んでくれたお子様(小学6年男子)にも、
「特にコワくないよ?」とか言われてしまいました。うーん・・・。

あ、今思いついた。このおハナシ、「明日から夏休みの、ガラガラの学校」が舞台なんだよね。もしかすると、「千と千尋・・・」で引っかかってきたのは、その辺りの『夏休み感』かも。

それから、「星に帰った少女」(末吉暁子/偕成社)は、主人公少女が、お下がりの服のポケットに入ってた、古い回数券でバスに乗ったら、過去にタイムスリップしてしまい・・・というおハナシで、要するに、「千と千尋」には、小道具でなにかが出てきたってことです。
(見てない人にはナイショ。)
このお話は、物語の雰囲気がちょっと暗いし、もしかすると、価値観にも時代からくる違和感があるかも?
でも、きっと、ラストで泣くよ。いいおハナシです。孤立と融和がキーワードかな。


2001/08/08(水) 20:53:57 ヤマナ
タイトル ぽっぺん先生の日曜日クラゲの海に浮かぶ舟 今日の気分 仕事明けで放心状態
「ぽっぺん先生」シリーズは私もなにやら怖かった印象があるのだけれど。そうか、今読むとそうでもないのか。なんかちょっぴり残念なような。恐がれる時期(小学校3〜4年くらい?)に読めてよかったような。

このシリーズ、たいていぽっぺん先生が異世界に迷い込むお話で、なんかこう「元の世界へ帰って来れなくなったらどうしよう」みたいな不安があったんだよね。それだけ異世界描写が優れていたってことなのかもしれません。舟崎克彦本人による挿絵もすごくよかったし。ていねいに描き込まれた線画で、情景を思い浮かべやすかったな。

シリーズ中私が一番好きなのは「ぽっぺん先生の日曜日」(1973年/筑摩書房)です。ぽっぺん先生がなぞなぞの本に迷い込むお話。ラストがちょっぴりリリカルでね。霧に景色がにじむさまが切なく美しかった。もちろん愉快で不気味(当時)なのはシリーズの他の作品と比べても遜色なし。というか「ぽっぺん先生の日曜日」と「ぽっぺん先生と帰らずの沼」が、やっぱりシリーズ中頭抜けて面白かったように思います。「ぽっぺん先生の動物事典」も好きだったなあ。

●北野勇作「クラゲの海に浮かぶ舟」(1994/角川書店)

同じ作者の「かめくん」が面白かったので、過去の作品も読んでみました。絶版なので図書館で探すのがいいみたい。
怪獣、古い商店街、土手、ノスタルジー、世界や記憶の揺らぎエトセトラ。「かめくん」と共通する要素たっぷりの小説でした。こちらの方が感傷の表出がストレートかな。ストーリー展開もなかなかドラマチック。でも飄々とした味わいはかわらず。
私の拙い言葉で説明すると、すべてネタバレになってしまいそうなデリケートな小説なので、くわしくは書けないのですが、よかったですよ。怪獣映画とフィリップ・K・ディックのどちらも好きな人、にはかなりたまらない作家かも。バラバラのお話だと思っていたものが、だんだん一つのかたまりになっていく仕掛けも面白いです。

蛇足ですが、章ごとに歌のタイトルが使われていて、そこそこ自分と趣味がかぶっていたのも嬉しかったです。「自転車でおいで」(矢野顕子)だの「雨は手のひらにいっぱい」(シュガーベイブ)だの。「クラゲの海」って時点でムーンライダーズファンは「九月の海はクラゲの海」って名曲を思い出すわけですが。その辺の音楽がお好きな方(かつ、SFオッケーな方)にもオススメかな。


2001/08/09(木) 21:49:23 とりこ
タイトル 20世紀SF(3) 1960年代 砂の檻 今日の気分 ダメダメモード
そか、「ぽっぺん先生=コワイ」って記憶は、アタシだけの幻想もしくは勘違いとかではなかったのね(ちょっと安心しました)。
何しろ、書架に並んでる背表紙を見かけるだけで、なにやら暗いオーラを感じるほど、怖い印象だったのですが、今思うと、読んでいる間の奇妙な不安感、宙ぶらりんなカンジが怖かったんだと思います。
ハッピーエンドで終わるだろうという安心感を持ちにくくなかった?ぽっぺん先生って・・・。(予定調和の予測というか・・・。)
ワタシも「日曜日」が一番スキだったので、キミもお気にだったと聞いて、嬉しいな。

小学生当時は、(当時の自分から見たら)「いい年をしたオトナ」な男性が、
結婚もせず、「ばあさん」と同居してる、というシチュエイションが、どうしても理解できず、違和感に悩んだものでした。
ばあさんて、ぽっぺん先生のお母さんなんだよね。今読むと何ら不思議はないのだった。
(※シリーズ続刊で、確かお嫁さん、来るんだよね?)

さて、先日に引き続き、SF選集の3巻です。
●「20世紀SF(3)1960年代 砂の檻」・・・中村融・山岸真編/河出文庫/2001年

今回はダントツに地味です。
そして、静かで、美しい。
巻頭「復讐の女神」(R・ゼラズニイ)はコードウェイナー・スミスのパスティーシュ(しかもモチロン成功してる)で、あの「華麗で少女趣味」なゼラズニイが、・・・って意味も含め、驚きでした。

本邦初訳の「イルカの流儀」(ゴードン・R・ディクスン)は、ファーストコンタクトモノなんですが、イルカとコンタクトするの。その先はヒミツ。君が読んでくれた高橋克彦「北斎の罪」所収の、「鬼追うもの」っぽいかも??既視感モノではないんだけど、・・・。とり的にツボなおハナシでした。
表題作「砂の檻」(J・G・バラード)なんて、も、「夢のあと」を夢にしたような寂寥感で、乾いてて、いいよ〜〜。

そういや、いつぞや紹介した「スノウ・クラッシュ」、この春早川で文庫化(上下巻で)してたのね。知らなかった。本屋で見かけました。
元の装丁、目茶目茶良かったんですが、文庫版も、またポップでいいですよ。

それからね、ついに北野勇作の「かめくん」図書館に届きました。ついでに「クラゲ」も見つけたんですが(※君より先に行けるかと思ったのに、甘かった・・・!)、どっち、先に読むべきかな??


2001/08/10(金) 11:07:03 ヤマナ
タイトル 気になる部分死んでいるかしら 今日の気分 これから上京
ハッピーエンドで終わる安心感ってたしかに持ちにくかったよね。ぽっぺん先生。おはなしが終わりに近づけば近づくほど、どんどんのっぴきならない状況になっていく感じ。
「ぽっぺん先生とどろの王子」とか「ぽっぺん先生地獄へようこそ」とか、思い出せばタイトルもすごいのだった。

北野勇作ですが「かめくん」でも「クラゲの海に浮かぶ舟」でも、どっち先に読んでも大丈夫。共通する要素はいろいろあるけど、どちらかがどちらかのネタバラシになることはないです。どっちも面白いから読んでね★とだけ言っておきます。

翻訳家のエッセイを2冊紹介。どちらも翻訳についての話はあまり出てこない本だけど。

●岸本佐知子「気になる部分」(2000/白水社)

岸本佐知子さん。ニコルソン・ベイカーとかミルハウザーとか、ディティールにこだわった小説をよく訳している方、という印象があったのですが。いや、ご本人もディティールというか些事へのこだわりがもんのすげえ方でした。些末な日常のものごとからもわもわふくらんでいく妄想っぷりが素晴らしいです。
算数の文章問題に出てくる「あるひと」(あるひとが80円のりんごを3つ買いました。とかそういう、あるひと)にほのかな恋心を抱いたり、眠れない夜のひとりしりとりが国家問題に発展したり。わたしもぼんやり妄想者なので共感するところもあるんだけれど、岸本さんの妄想暴走っぷりにはかないません。畏怖の念を抱きつつ、たくさん笑わせていただきました。大真面目なのかとぼけているのか判断の付かない(いや、とぼけてるんだけど、でも!)底の見えない文章がいい感じです。

お笑い方面だけじゃなくて、胸の痛むような子供時代の追憶とか、さすがのセレクトの書評とか(笙野頼子を大プッシュ!)、岸本テイストは貫きつつ話題に幅のある楽しい本でした。

●柴田元幸「死んでいるかしら」(1997/新書館)

みんな大好き(?)柴田元幸さん。岸本さんの「気になる部分」に比べると、こちらはちょっと雑学寄りかな。でも、新元号に不安になったり、奥さんを殺しそうになったり、日常も大忙しなのでした。
雑学なお話では屋敷中ぱんぱんにがらくたを詰めて、ほとんど外に出ずに暮らした兄弟の話が特に印象的でした。
柴田さんのエッセイ集、結構いろいろ出てるみたいですが私が読んだのはあとは「生半可な学者」「愛の見切り発車」かな。どれも面白かったです。


2001/08/11(土) 11:01:51 とりこ
タイトル ラジオ デイズこの部屋に友だちはいますか?M色のS景 今日の気分 朝から夕立かな??
「愛の見切り発車」、読もうと思っては先送りしててさ。
やっぱ、面白いですか。そか。
じゃ、チェックしなきゃ。&岸本さんもだ!

●「この部屋に友だちはいますか?」/「M色のS景」
(三浦俊彦/河出文庫/1994年、1993年)

イカちゃんは、三浦作品はもう既読ですか?
以前読んだ「M色」はとにかく濃かったんですが、今回読んだ「友だち」は、読み易くなってた上、楽しい系に突き抜けてどっかいっちゃってました。
よかったら、共に友気(※)を高めあおうではないか、イカちゃんよ…!

※友気=真の友達同士の間に発生する、神秘のパワー。オーラとなって目に見えたりもする。修行により高めることが可能。これ持ってる人は、色々とスゴイ。
どうスゴイかは、読んでない人にはヒ・ミ・ツ。

2作とも、笙野頼子の毒エキスを清水義範で薄め、赤坂真理になったトコロを久米宏の喋りに…、てな印象です。
うがってて、饒舌で、機知に富んでて、神経逆なで系で、スラップスティックで、そして都会人らし〜く、軽佻浮薄。「ドリンク剤くわえて著者近影にうつってる、ふざけたヤロウ」の印象、まんまなの。
……面白かったです。

●「ラジオ デイズ」・・・鈴木清剛/河出文庫/初出1997年
瑞々しいです。
文章的には「ボクの作文」調で、ストーリー的にも、劇的な事件は殆ど起こらない。「主人公の部屋に、古い知り合いが転がり込んできて、初めは迷惑に思うが、慣れた頃に去られる、その短い滞在の日々を丹念に綴った」おハナシです。

この感触は、最近では平野啓一郎氏の「日蝕」読んだ時、古くはサガンの「悲しみよこんにちは」を読んで感じたアレで、要するに、とてもジューシイなのです。
あ、このフレッシュさは、吉本ばなな(特に初期の)にも似てるなあ。
イワユル「文学」には、構成とか、象徴とか、研究・解説して深めていくべきものが沢山あると思うし、そういった意味では、もしかすると、この物語からなんぞ読み解いたり、切り取っている「今時の若者像」をイロイロと研究対象にしたりとか、そういう意味もあるのかも知らん。でも、ここで描かれているフレッシュな、等身大な何かは、そんなん関係なしに、きっといつの時代の人が読んでも、きっと好感を持つと思う。だって、たぶん、誰もが知っていることだからさ、これは。
よかったです。ちょっぴり泣きました。


2001/08/12(日) 15:49:42 とりこ
タイトル クラゲの海に浮かぶ舟時間旅行者は緑の海に漂う 今日の気分 食いすぎた。
●「クラゲの海に浮かぶ舟」(北野勇作/角川書店/1994年)

とりあえず古い方からと思って、読んでみました。
なる程、こ、これは…。
ネタ的には、一種「ドグラマグラ」っぽくない?
「道案内を媒介に巻き込まれ」式の筋立ては、江國(香織)さんの「なつのひかり」、村上春樹「羊をめぐる冒険」とか思い出しました(※とても素敵な2作です)。記憶追っかけ型だけに注目すれば、宮部みゆきの「レベル7」も思い出したなあ。
世界観でいえば、何と何を混ぜてるかって辺り、こないだの「アドバード」(椎名誠)も近いモノがあるかも。似たようなサブキャラもでてくるし。

SF且つFTで、文系なんだか理系なんだか判然とせんトコロに、非常にそそられました。その上、仕立てがこの柔らかな語り。キミのおっしゃるように、小道具がまたステキですね。大体、リトルホラー入ってんじゃん、これ。(やられたよもー)
はやく「千と千尋」観に行って、イカちゃんっ。

●パトリック・オリアリー「時間旅行者は緑の海に漂う」(中原尚哉訳/ハヤカワSF文庫/1997年)

この際だから、類似系で連想したこちらを、オススメいたしましょう。
「緑の海」では、クラゲの代りに、機械仕掛けの赤い小鳥がでてくるよ。こっちは完全にSFではあるんですが、なんというか、一種心理系(主人公はセラピストだし)。そういやこれも時間モノだな。冒頭の叙情の美しさは「夏への扉」かも(誉めスギ?)
展開の強引さに、リクツ通ってるかどうか考えることを途中で放棄してしまいました。アタシが驚くくらいだから、かなりじゃないかい?(なんつって)奇想天外とも言う。まあ、読み手をどっかに連れてってくれます。それに乗れるかどうかで評価割れるかも。
ヴォネガット(スロータ−ハウス5とか)、ディック(ユービックとか)、夢野久作とか髣髴とさせるぜ、とアタシは思うのですが、なんか世間での評価は割れてるらしいのです。「わけがわからん」「これはSFではない」で切っちゃう人も多いようで。ぜひイカちゃんの判断を仰ぎたいとこかも。

まあ、そんなわけで、これから「かめくん」読みますわ。楽しみ〜〜。


2001/08/14(火) 23:22:09 とりこ
タイトル かめくん20世紀SF(4) 1970年代 接続された女 今日の気分 ヒドイ肌荒れ
●「かめくん」・・・北野勇作/徳間デュアル文庫/2001年

面白かったです。
今回は「クラゲ」に比べ、なんというか、ひょうひょうから淡々に変わったカンジでした。
イカちゃんよ、何も語らないでいてくれて、アリガトウ。
これ最後まで読んじゃうと、誰かにオススメするときに、あまり語れないね。
勿体無くて。

読者の等身大の日常に、どう見ても明らかな異端者(※この場合、かめくん)が混ざってて、その異端者が主役。
異端であるが故に、言われなき圧力とか苦しみもあるんだけど、周囲には理解者もいて、その溶け込み/受け入れは一種のユートピアな感じも受けました。

そんなかめくんの日常が、淡々と綴られています。
サイエンス・フィクション(空想科学)でも魔法科学(サイエンス・ファンタジー)でもあるな、と思いました。
昭和世代で良かったなあ(生意気?スミマセン…)というような、色んな懐かしい風景がいいね。
あと、もしかすると、「アルジャーノンに花束を」(D・キイス)が好きな人も、お好きかも?と思いましたが、どうかな。

●「20世紀SF(4) 1970年代 接続された女」
… 中村融・山岸真編/河出書房新社/2001年

乾いた印象の3巻に比べ、ガラリと変わって華やかです。女性作家も多く、物語内の女性の扱いや人物像も全然違ってきてます(社会進出ていうか、男性と肩並べたカンジ)。
フェミニストもので凄い(「変革の時」/ジョアンナ・ラス)のもありました。「モダンガール論」読みたての自分は、傍証を見たってカンジです。恐るべし、70年代ウーマンリブパワー・・・。

U・K・ル・グィンの「アカシア種子の著者をめぐる考察ほか、『動物言語学会誌』からの抜粋」(長い…)は、ショートショート3本で構成されてるのですが、1本目だけだって大したネタなのに、3本目までテンション上がり続けです。才媛というコトバは彼女のためにあるようなカンジ。これだけでも読んで欲しいよ。
…そういや、来年(2002年)、「ゲド戦記」の5巻出るらしいって、ご存知ですか?

あと、「情けを分かつ者たちの館」(マイクル・ビショップ)は、抑えた筆致で、でも烈しくて、ちょっと退廃で、良かったです。


2001/08/15(水) 15:07:24 ヤマナ
タイトル ぽっぺん先生文庫版 今日の気分 夏コミ疲れ抜けず
おお!浜松を離れている間にいっぱい書いてくれてありがとう。とりあえず返事だけ書いておくね。

●ぽっぺん先生岩波少年文庫版

去年の終わりに「ぽっぺん先生の日曜日」、今年の始めに「ぽっぺん先生と帰らずの沼」が、それぞれ岩波少年文庫で出ています。ということを、上京ついでに寄った本屋さんで知りました。どちらも表紙や本文の絵は昔のままで、下手に書き下ろしにしなかった岩波書店をほめてあげたいです。

「ぽっぺん先生の日曜日」は、本のたたずまいそれ自身からお話が始まっているようなものなので、やっぱりあの見返しで!あの奥付で!と思ったけれどそれは叶わず。でも、今の子供達にも手軽に手にとってもらえるようになったのは本当にめでたいことです。
あとがきはそれぞれ、舟崎克彦さんの書き下ろし。「ぽっぺん先生の日曜日」の方のあとがきではぽっぺん先生誕生秘話が語られています。立ち読みしながらちょっぴり泣きそうになりました。

●鈴木清剛

「ロックンロールミシン」(1998/河出書房新社)だけ読みました。
悪くなかったんだけどぴんと来なかったんだよね。ちなみに吉本ばななもぴんと来たことないので、私はこの辺の「瑞々しい作文調」純文学に不感症なのかもしれません。
邪道なことを言うならば、漫画で読んだらもう少し入り込みやすいかなあとも思ったりする。嫌いではないので「ラジオ デイズ」見かけたら読んでみるよ。一作だけで判断するのは早計かもしれんし。

●三浦俊彦

未読です。友気…。なんじゃそりゃ。すごい気になります。

●「クラゲの海に浮かぶ舟」

円環型の「ドグラマグラ」とはちょっと違うかなと思うのだけど、言いたいことはわかります。なんかこう、お話の構成自体に興奮できる小説だよね。もちろん、物語内容も切なくてステキです。



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