2002年3月(3)

2002/03/22(FRI)・・・ヤマナ
ミスター・ヴァーティゴ
●ポール・オースター/柴田元幸訳「ミスター・ヴァーティゴ」(2001/新潮社)

ポール・オースター「ミスター・ヴァーティゴ」読了。
師匠ステキ!激ラブ!!
しかし、この師弟の両想いっぷりは「センセイの鞄」を遥かに凌駕してますね。
つい同志を求めて「ミスター・ヴァーティゴ/ホモ」でGoogle検索かけちまったよ…。オースターごめん…。
流石に該当ページはみつかりませんでした。
ちょっと今忙しいのでまともな感想はまた今度。(書けるといいな)

映画版「ピンポン」予告編

なかなかいい感じ。漫画漫画してる。
去年から雑誌記事で見てましたが、キャスティングかなりはまってますね。特にドラゴン。
小泉先生はやっぱじじいの方がいいなーとか思うけど。
上映は東京だけなのかな?


2002/03/22(Fr) ・・・とりこ
なかよし増刊 はるやすみランド

●「なかよし 2002年4月号増刊 はるやすみランド
講談社/2002年

全体に手堅い印象で、読みやすかったです。
以下、ちょっとご紹介。

小坂理絵「山田さん」
第1話の物凄さ(※笑いながら泣いたもん。ワタシ)もかくや、今度は友情にスポットが来てて、目が離せません。「心は優しいがカオが怖い山田さん」とその周囲を巡るお話なんですが(※語弊ありまくりだなあ…うーん…)
山田さん、なんか別方向にキャラ立ちしてる気もするんですが、まあいいや。もうどんどん行って欲しいです。ぜひ。

新井葉月「春眠」
恋のビョーキに罹りゆく中盤の盛上がり、相変わらずです。
ラスト間際でいったん現実着地しつつ、その先まで描くことで、また新たな夢へ入りゆくような印象も受けました。
※ネームでは「春の夢はもう見ない」ってなってるですが。
次見るのは、目を開けたまま見る夢? ていうかさ←照れるなよ自分。

山名沢湖「春風郵便」
2000年夏の「真夜中郵便」も素晴らしかったのですが、「春風」てタイトルにふさわしい、軽快なリズムの今回も良いです。
サワコ手紙モノ、外れがナイねー。絵の軽さもナイスです。ミルルちゃん、くるくるしていてかわいいのうー!

にしても。
男子幻想に「メガネっ娘」があるとして、女子にも「メガネ少年」幻想っての、あるよね。新井葉月と山名沢湖が揃う今号の隠れ見所(?)は、ズバリその辺? なんつて。

●ミスター・ヴァーティゴ
いいよね。
てか、オースターでこんなおノロケが読めるとは。
ワタシこのお話大スキなんで、イカちゃんのお気に召したならシアワセ倍増よ。

●「ピンポン」予告
先週「アメリ」観た際、映画館で観ました。同行者と「絶対観よう」と誓い合ったよ。
竹中直人さん、いいんだけど、どうしても「また?」って思ってしまうよ。他に誰かユカイな役者さんていないのカー!

◆無謀にも・レビュー予告(?)
○「ユリイカ 2002年2月号増刊」
とりこ内部において、この号の伝説化は決定致しました。
…もう1冊、買っちゃおうかな。
(1800円するのだが、むしろ3600円出したい気分)


2002/03/23(SAT)・・・ヤマナ
蚊-か-コレクション
●アンソロジー「蚊-か-コレクション」(2002/電撃ゲーム文庫・メディアワークス)

執筆者は飯野文彦、小林泰三、田中哲弥、田中啓文、牧野修、森奈津子。

PS2のゲーム「蚊」のノベライズ・アンソロジー。ですが、クセのある執筆者ぞろいで、なんかもう、ゲームそっちのけ、いかに反則技をくり出すかの勝負になっています。「あんたら自分出しすぎ!」とツッコミ入れつつ、そりゃもう楽しく読ませていただきました。

特に面白く読んだのは以下の3作品。

・田中啓文「赤い家」

探偵かおり(蚊)と刑事人見二郎(人間)が、謎の殺人事件と殺蚊事件を追う。駄洒落駄洒落しつこく駄洒落。そして読後感はなぜかハートフル。
田中啓文作品は「銀河帝国…」と「ベルゼブブ」しかまだ読んでいなせいか、ハートフルさがなにやら新鮮でした。

・田中哲弥「か」

妹を亡くしたヤクザあがりの男の、蚊にまつわる奇妙な物語。切ない。切ないけれど、繊細なだけじゃない、ふとい、つよいものも感じられて、特に市井のひとびとの会話や描写がいいなあと思うのでした。

・森奈津子「タタミ・マットとゲイシャ・ガール」

蚊に身をやつした女吸血鬼が、カンチガイ・ジャパニーズ妄想に身を焦がす。カンチガイの徹底ぶりが素晴らしい!です。おっかしいよう。「サムライ・レンズマン」のカンチガイ武士道にほくそ笑んだ方はぜひこちらもご賞味あれ。
ゲームの方は未プレイなので憶測ですが、ゲームの設定の生かし方が頭抜けて上手い印象があります。

あと、牧野修「虫文」(…)も、やりたい放題っぷりが伝わってきてよかったのですが、短編一本で終わらせるにはちょっと設定が複雑すぎたかも。とは言え、独特のダークでテンション高い文体にはやはり眩惑されました。

●「なかよし増刊はるやすみランド」

「春風郵便」感想アリガト。

「山田さん」は本当にいい漫画だね。山田さんのキャラは確かに第一話と別方向かもしれんが、大切なものはちゃんと手放してないし。
幼年誌掲載作品ということで敬遠される方もいらっしゃるかもしれませんが、小坂作品は桑田乃梨子が好きな方なんかにも読んでいただけたら嬉しいなあ。

「春眠」のポエジー爆発っぷりは、なかなか衝撃的でした。新井葉月…正統派にして冒険家な漫画家よ…。いいぞ、もっとやれ!(笑)


2002/03/24(Sun) ・・・とりこ
鯨統一郎「CANDY」/諸星大二郎「栞と紙魚子」シリーズ

●鯨統一郎「CANDY」/祥伝社/2001年

掲示板でいただいた、おススメ&非おススメコメントに興味を惹かれ、読んでみました。

「目覚めると、僕は自分が誰だかも判らなくなっていた」ような状況から物語は始まるのですが、ダジャレですらない、ゴーインなこじつけネタで、物語は進んでいきます。

マジメな方には、違和感あるかも? だって、物語のつじつまより、こじつけの成立が優先されているのであります。
不真面目なワタクシは、あははは!と笑って読みました。
というか、このこじつけっぷり、身近な誰かを思い出させる。
あ。自分のことかも。

本日イカちゃんに荷物を送ったのですが、ついでに「CANDY」入れときました。
30分で読めると思うので、どうでもいい時に適当に読むと、脳の負担が軽減されるかもしれません。

表紙に「SF」って銘打たれてあることだけが気になります。物事をややこしくするのではないかしら。

●諸星大二郎「栞と紙魚子」シリーズ
(「栞と紙魚子の生首事件」「栞と紙魚子と青い馬」「殺戮詩集」
/朝日ソノラマ/1996年、98年、2000年

バラバラ死体を偶然発見した女子高生が、死体の一部をこっそり自宅に持ち帰り、… そんな具合に第1話は始まります。
ホラー漫画とはちょっと様子が違うみたい、じゃあ、シュール系かしら! と期待しつつ読みすすめると、…。

進行役の女子高生コンビ、栞ちゃんと紙魚子ちゃんの住む、どこか奇妙な胃の頭(いのあたま)町での、日常怪奇マンガ。  ? かな??
伝奇ホラーもたまに顔を出してます。
まあ、諸星大二郎プレゼンツ・「アダムズ・ファミリー」みたいなものかも。不気味で恐ろしくて、怖いのに、マヌケ。てか、おなか抱えて笑ってしまいます。
でも、相当イロイロおかしいけど、垣間見える異世界は、実は結構ちゃんとコワイ。

コワイものが好きだというわりには、ぼくは自分の画いたものがコワイとはあまり思えないのです。それで、今回はコワサではなく、どこかひとつハズしたものに (1巻後書き引用)
作者の意図としても、「ひとつ」ハズしたマンガなのか。(※「ひとつ」で済むとは、とても…)

彼らの「町内感覚」、竹本泉ファンのイカちゃんにも、多分お気に召すと思うので、機会があったらゼヒ。
特に、ホラー作家の段一知(ダンイッチ)氏と、外国出身の奥さん。イカちゃんも好きそう。


2002/03/25(MON)・・・ヤマナ
CANDY/栞と紙魚子
荷物届いたよサンキュー。送ってもらった本の内、森奈津子「西城秀樹のおかげです」は既読でした。表題作、本当に西城秀樹のおかげだったのでびっくりした。私も「地球娘による地球外クッキング」がいっとう好き。

●鯨統一郎「CANDY」(祥伝社/2001年)

30分で読めるとのことで早速読んでみました。本当に30分で読めました。

しかし、うーん、ごめん。やっぱ私は鯨統一郎、肌にあわないみたい。果てしなくつまらなかった…。話の整合性なんかは最初から期待してなかったんですが、連発される駄洒落、ひとつもかすりませんでした。
ムチャクチャやるならやるでやはり文体とかテンポとかセンスとか、その辺で魅せるものがないとツライなあ。「なみだ研」は困りつつも抜群の破壊力に引き込まれるものはあったんだけど、こちらはただ困っただけに終わってしまいました。残念。

とりあえず「あぶのうまる」の当て字は岡田あーみん「こいつら100%伝説」最狂キャラ、「危脳丸」の圧倒的勝利だと思います。

●諸星大二郎「栞と紙魚子」シリーズ

鯨統一郎バナシではオイラ盛り下げ係になってしまっていてホント申し訳ないのですが。
大丈夫!こっちは盛り上げるわよ!

「栞と紙魚子」シリーズ、私も読んでます。大好きだ!
恐怖と不思議とおとぼけがイイ感じにブレンドされた、得も言われぬ味わいがクセになる、ステキ日常ホラー漫画です。一見マニアックだけど、ちゃんと外向きに楽しくて、ハラハラしつつワクワクしつつ、妙になごんじゃう、そんな感じ。

とりこの言ってた「町内感覚」と「異世界感」っていうのが、どちらもホンモノで、しかもちゃあんと両立してるのがヤハリすごい。なんだろね。視線がズレつつフラットというか。
おかげでダンディでボケボケな段一知先生はもちろん、先生のストーカー(かつ殺人鬼)のきとらさんなんぞにまで、読んでる内に妙な愛着が湧いてきてしまうのでした。困ったなー。でもこれは楽しい「困った」だなあ。

ヒロインの一方である紙魚子ちゃん(すごい名前だ!)は古本屋の娘という設定で、本人もかなりの珍本マニア。おかげで割と古本もしくは古本屋奇譚が多くて、それがまたとても楽しいです。
古本や古本屋のいかがわしさだけではなくて、古本好きの業の深さもぼわりと書き出していて、本だらけの屋敷のエピソードなんて、つい共感してしまう本好きの方もいらっしゃるのでは。

とりこが読んだのは「殺戮詩集」までかな?最新刊の「夜の魚」もおもしろいよ。シリーズ続いても相変わらずのコワほのぼのさです。新キャラ、5つ頭の兄弟がちょっぴり気に入り。


2002/03/26(Tue) ・・・とりこ
栞と紙魚子/邪馬台国はどこですか ホカ

●「栞と紙魚子」シリーズ・ホカ

ナニ、新刊! そりゃ買わなきゃ。
今回、人さまにお借りしたのでした。実は「妖怪ハンター」もお借りしてるので、週末にでも読むわ。楽しみです。
きとら嬢には、とりこ弟も惚れこんでおるよ。ワタシもお気にです。あとさ、ムルムルもかわいいよね。小学生(に読ませたのか、オイ)と跳びはねてて、年甲斐もないとか叱られたよ(やりたくならんか、アレ)。

既読と知ってりゃ「ラブクラフト全集」(東京創元社)も送ったのに・・・(いらんて言われるかな)。まあ今回「玩具修理者」入れといたから。※いや、本命は併録の「酔歩する男」なのですが・・・

ホントはヨグとか外国出身のお母さんとか、クトゥルー神話ネタだから、ちと違うけど。まあ、先ずはラブクラフトからよね!(ガッツ)←何のガッツかね、キミ。

●「邪馬台国はどこですか」
(鯨統一郎/創元推理文庫/1998)

おススメにより、読了しました。これも1時間で読めた。

結論から言うと、既読4作の中で一番つまんなかった…というか読むとこがない…(この意見、あまり共感いただけなかろう。スミマセン。)

てことで、「なみだ研究所」がとりイカ内ベストに落ち着きそうな気配? 予想外の展開か、必然の帰結か…うーん。
でも、お勧め下さった方々、ホントに有難うございました。
※多分、ワタシが高橋克彦読者なのがネックかもです。目新しさが全然なくて、ちっとも驚けなかったのでした。
驚けないと、読み処が全然なくて、そうなると語りがつまんないとかキャラが痛いとことかがしんどくて…って、あれどっかで聞いた意見に似てきたな。
…そか、イカちゃんの気持ち、何となく判ったかも。成る程。


2002/03/26(Tue) ・・・とりこ
ユリイカ 臨時増刊号「総特集 絵本の世界」

●ユリイカ 2002年2月臨時増刊号
「総特集 絵本の世界」/青土社

「2月増刊号」、重版出ました。やった(→青土社HP)。
ワタシも重版で買えたクチです。今店頭に出てるし、絵本ファンはチェックするといいと思う。

この、垂涎な目次(→ココ)。
「作家を訪ねて」。石井桃子、瀬川康男、大道あや(酔っ払い最強ババ92歳!)、太田大八(カッコ良すぎるぜ84歳!)氏らを自宅(アトリエ)に訪ねたインタビュー。
豊富に、大きくとった図版がとてもいいです。表紙と中のページがちゃんと同サイズで掲載だったり、見開き載せたり。ページ余白トリミングしないとか。そういうのも凄く嬉しい。

作家陣の老熟に焦りや切なさを感じるのは、ワタクシの勝手かも。でも、お伺いできるうちにもっともっとお話聞いておかなくちゃ。と、悶々としてしまったよ。お会いできる筈もない、憧れの方々のお話を、ナマで聞いてる気がしてくるのよ。

巻頭の江國香織×荒井良二(「ぼくの小鳥ちゃん」ペア)対談での、小野明氏のお茶目司会ぶりもユカイ。

自作絵本と他人の文章に絵をつける際の違いに言及して、
小野「もし絵本の文章だけ頼まれたら、引き受ける?」
荒井「うん。やれると思うけど。」
(※荒井さんも小野さんも相当キャラ立っておられます。無論江國さんも。てか、この本、濃い人ばっかだ・・・おもろいよー。)
小野「それで絵描きさんが決まっていて、例えば荒井良二=文、長新太=絵、だったら長さんを想定して文章を書く?」
(おい!)

荒井さんの、「挿絵になっちゃうのが一番こわいことだもんね、絵本では。」て発言は象徴的だなあと思いました。

「絵本の現場から」、「絵本を拡げる」、「翻訳家の使命」、「エッセイ」。若手&中堅絵本作家、翻訳者、編集者、現場の売り手ら、による様々なアプローチもバランスいいです。

とり的出色は、池内紀さんの「TOMの冒険」。TOMこと村山知義氏だけでなく、奥さんの(旧姓岡内)壽子さんにもスポットを当て、つーか、彼女ナシに彼はありえん、と言わんばかり。
イカちゃん、村山壽子さんご存知ですか。
「川に落ちた玉ねぎさん」、幼少時に愛読しました。短いお話だけど印象強くて、とってもスキだったの。
池内さん・ス・テ・キ!

児童文学愛好者はお判りの如く、今江祥智氏恒例(?)の、絢爛たる回顧絵巻も(書名の羅列だけで幸福に)。
高山宏さんの絵本論で、やっとユリイカっぽさ(ひらたく言や理屈っぽさ)が出てます。

ワシらの愛する安野光雅さんも目次においでですが、実は再録。安野氏って、エッセイも相当おもろいんだよね。書き下ろしかと期待してたので、ちょっぴり残念でした。

長谷部奈美江さんが、「私の1冊」に「ちびくろ・さんぼ」を挙げ、静かに書いておられたのもステキでした。ちょっとだけ反骨も感じて、そこもまたステキ。
私もこの絵本、とてもスキでした。たいそう共感して読みました。忘れたくないな。いい絵本だったと思う。手元にないのが悔しいな。いいな。

巌谷國士氏が「もじゃもじゃペーター」、長谷川宏氏が「トリゴラス」を「私の1冊」に挙げてるのも喝采。
イカちゃんも見かけたらチェックしてみて。充実の1冊だと思います。ホント。


2002/03/27(WED)・・・ヤマナ
またまた栞と紙魚子
「ユリイカ」増刊はトテモよさそうだね。探してみるね。竹本泉「よみきりもの」も最近2巻が出たそうなので、早く本屋に行きたいのう。

「栞と紙魚子」シリーズ

ムルムルは私も好きー。段センセイの奥さんも好きよ。っていうか、登場人物みんな変な愛嬌があっていいんだよねえ。きとらさんの担当編集者さんなんかもなかなかいい味醸し出してるよな!

このシリーズはうちの夫もお気に入りです。とりこの弟くんとうちの夫、20歳は離れていると思われますが「サイボーグクロちゃん」と「栞と紙魚子」で心通じ合ったな。そういやどちらも町内モノだ。

「ラブクラフト全集」は以前とりこに薦められてたよなーと思って、本屋で見かけたときに文庫版の一巻を購入済みです。でも、手元において安心しちゃってまだ読んでないの。「栞と紙魚子」をより楽しむためにも(?)、なるべく近いうちに読んでみるね。

ところで、何度も言ってる気もしますが。ふふふ。「妖怪ハンター」はいいぞうー。


2002/03/29(Fri) ・・・とりこ
イリヤの空、UFOの夏 他

秋山瑞人さんの作品を、ちょっとまとめ読みしました。

●「鉄(くろがね)コミュニケイション」
(1)ハルカとイーヴァ /(2)チェスゲーム

/メディアワークス/電撃文庫/主婦の友社/1998、1999

舞台は最終戦争後の地球、のようです。生き残りの少女ハルカと、彼女を守る、家族同然のロボット達。

ルークと呼ばれるメカがカッコよくてステキ。得体の知れない不気味さ、桁外れの強さ、そして毒虫色に光るあたり、がとても良い。制御不能に陥る様、(一見)意味不明な振舞いとか。

しかしコイツ、ややめめしい。めめしさはそれはそれでイイのですが、ボクという一人称はちょっと残念。

これって要は三角関係のお話だと思うのですが、ある矢印が最後に向きを変えてしまうので、どうも「筋立て」に納得できない印象が。キャラには悪いなあと思いますが、残酷悲劇で終わって欲しかったな。まあ、文体の割に血塗れな印象はもともと強いのですが・・・折角ココまで引っ張っといて勿体ないー。なんつて。

●「猫の地球儀」 焔の章 /その2 幽の章
/メディアワークス/電撃文庫/角川/2000(2冊とも)

人類が死に絶え、いつしか猫が主となった、とある世界。
猫は知性化しておりまして、ニンゲンの残存文明を適当に利用した独自の文明を持っていて、という設定です。

楽しく読めました。キャラもイラストも可愛い。
「震電」と「日光・月光」というロボがかわいかった。猫ではビリビリの円さんと坊主猫がお気に入り。
クリスという多少コワレな女の子ロボが、「近似値解」で間に合わせるさまがたいへん微笑ましかったです。(ネタばれ避けると相当意味不明な表現に・・・スミマセン)天気予報とかね!

●「イリヤの空、UFOの夏」その1/その2
/メディアワークス/電撃文庫/角川/2001(2冊とも)

近未来学園モノです。戦争が薄く影を落とした、一見何の変哲もなく過ぎていく日常。でも辛うじて薄い氷の上に立っている、ことを本当は皆気づいてる。知ってる。

冒頭、主人公の少年は、中学校生活最後の夏休み、の最終日、の真夜中のプールにやってきた。→予想外にも先客が。
(以下、翌日の新学期、例の定番から物語は始まります)

不安定な年齢。かすかな不安。いつこの日常が失われるか判らないという無言の圧迫、それでも日常は流れていくその様。センシティブな繊細さ、センチメンタリズム、十代中頃、心の振れ。郷愁。晴れた秋の空に、遠くかすかに尾を引いて戦闘機が飛ぶ、という構図はこんなにもノスタルジック。
たいそう甘く、底に流れるかすかな血生臭さ。ひたひたと寄せ来る潮のような、まだ足首にも満たない。ぬるい不安。
とても良いです。

しかし、こうまでロマンチックに描かれる鼻血、というのも珍しいかも。このお話読んで、なんか鼻血に憧れるワタシがいるのだった・・・てか、鼻血出してみたいとか出されたところをこうぐっと介抱してみたいとか思ったでしょうええどうです?←言いたい放題だな。

1巻の馬乗りのシーン、ぜひともあのまま行って欲しかった。ぐっと一突き。わくわく。「パルプ・フィクション」←この映画大好き。を思い出したり。

「イリヤ」は良かったです。イカちゃんにもおススメ。続刊が待ち遠しいです。


2002/03/30(SUT)・・・ヤマナ
猫の地球儀
秋山まつりありがとう。「猫の地球儀」しかまだ読んでないんだけど、ロマンと気骨の、いい作家だよね。

「イリヤの夏、UFOの空」

読もうと思ってあとまわし、だったので、とりこ感想文に背中押されてみようかと思います。ただ、この小説あちこちで「エヴァ」とか「ガンパレ」という声が聞こえてくるので、どちらも触れてしまっている身には、とりこ程新鮮に読めないかもーという一抹の不安が。でもまあ、そういうのは読んでから考えればいいことだな。読むサ!

「鉄(くろがね)コミュニケイション」

確か原作付きだったと思うので、とりこの不満はもしかして、原作にあわせた部分なのかも?と、原作も小説も未読で適当に憶測してみたり。憶測にも程があると反省してみたり。

と、読まずに言いたい放題したところで、唯一既読の「猫の地球儀」の感想を。

●秋山瑞人「猫の地球儀」

この小説は私も好きです。まわりで評価高いなあと思って、手に取ってみて、出だしの一行目から「お?」という感じでした。言葉の選び方がいいのよね。やさしい言葉と強い言葉のバランスがきもちいいです。

猫とロボの珍道中を楽しみ、戦闘シーンでどきどきし、クライマックスでがーんと来て、ラストで胸しめつけられるかのような開放感(変な表現ですが)を感じました。

で、私もやっぱロボ萌え。ロボなりの感情表現が可愛かったり切なかったりして素晴らしいです。特に震電がへぼくていじらしくてなー、コワレロボ好きにはたまらんでした。

とりイカ的には「ねこめ〜わく」+「サイボーグクロちゃん」+「夏のロケット」(川端裕人さんの小説の方ね)÷3、ハードSF風味、みたいな感じもあるかな。

あ、天気予報!イイヨネ!


2002/03/31(Sun) ・・・とりこ
左眼を忘れた男

●浅暮三文「左眼を忘れた男」/講談社/2002

気づくと闇の中に横たわる自分がいた。
漏れ聞こえてくる人声から、どうやらここは病院らしい。
手も足もぴくりとも動かず、呼吸やまばたきすらままならない。
意識はあるのに体は動かない。その事に誰も気づいてくれない。

というような状況、と書けば、大体想像はつくと思うのですが、全然それだけじゃないのでした。横たわっているこの人は、事故? の折に目玉を失くしてて、その目玉がリモートで自分に映像を送ってくるのでした。

???

ミステリなんですが、異色、というか…ナマの目玉がその辺をコロコロしていくのです(目玉が繊維の上や床の上や! だけじゃなく…そこをナマで! …イヤですよ…)。いくら痛覚は繋がってないとしてもイヤです。書き手は判ってて書いておいでという感じ。うーん…気持ち悪。

一種不思議なリーダビリティをもって波乱万丈な目玉の冒険は続き、でもって更に、全然それだけじゃないことが判明するのでした。
目玉の視点が(文字通り)変化していく様はナカナカ面白いのですが、しかしどうしてもコレが目玉であることを忘れられない(忘れさせてくれない)ので、「気持ち悪」は付きまとうのでした。ぬらぬらと。

それなのに、ついにハッピーエンドっぽく終わる! ような…違うのかなあ…。うう、確かに異色だ。

■「震電」豆知識(??)

打ち込みを覗きにきた拙弟クンが教えてくれました。
「震電てのはね、実在した戦闘機なんだよ!」
とり 「? …はっ。もしかしてさ、マヌケな形の、アレ?」

※フツウ飛行機って頭にプロペラがついてますが、「震電」はお尻についてるの。だから見た目、どっちが頭か一瞬判らないの。ナカナカな違和感なのよ。

弟 「んなこと言うなよ。当時としてはね、世界でもトップレベルの速度」
とり 「えええ?? あのお尻が???」
弟 「…を出す筈だったんだけど、試験飛行を1・2回やっただけで終戦になっちゃったから、実際に実戦で活躍する事は、なかったんだよ」
とり 「そーなんだあ。(…顛末もマヌケなのか…)」

…戦闘機「震電」のファンの方、どうもスミマセン。けど、なかなかユニークな見かけの飛行機だと思うです。
※正式名称は「十八試局地戦闘機『震電』」。←図鑑まで持ってきてくれた。弟ヨ有難う。



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