2002年9月(2)

2002/09/21(Sat) ・・・とりこ
S-Fマガジン10月号/平均的「○○」サイト管理人像

●「S‐Fマガジン 2002年10月号」/早川書房

今号は大充実でした。「日本SF全集」(日下三蔵)では、先月に引き続き川又千秋を取上げてます。未読作のチェック(い…いっぱいある…)に、超! 有難いです。また、ヨコジュンこと横田順彌「近代日本奇想小説史」では、先々月から3回連続で杉山藤次郎(※)を紹介。す…スゴイ人なんだな、杉山さんて…。

また、「私的・英米児童向けファンタジイ紹介」(中野善夫)は未邦訳の作品に限った紹介。個人的に興味津々…J・P・ブレイロックの児童向け作品? それは読んでみたいなあ…。

※…作夏「SF2001」で「午睡の夢」「豊臣再興記」が紹介され、明治期トンデモSF小説の書き手かと思ってたトコロ、先月「文明の花」という女性主役の作品が紹介されました。今号、更にそれだけじゃないと判明…

◆「遺跡の少女」恩田陸…+0
新シリーズ第1弾。というか、巨大なパズルの1ピース的作品だとか…異世界神話っぽいお話が、現代に繋がるのかな? てとこで終わってます。恩田ファンなので今後楽しみです。でも「アガルタ」って何??
あ・そうそう、今号は恩田陸特集も組まれてて、全既刊のレビュー(19冊分!)(「恩田陸全著作解題」柏崎玲央奈/編集部)や対談も掲載されてます。

◆「夏の硝視体(グラス・アイ)」飛浩隆…+2
飛浩隆氏の作品掲載は、10年ぶりなのだとか。で・この短篇、今月発売のJコレクション新刊「グラン・ヴァカンス」の、序奏に充たるんだとか。
今のトコ、深堀骨「隠密行動」の次にお気にです。てか、癖がない分、普遍性やヒトさまへのオススメ度ではこっちが上かも。断片とはいえ世界観の強さは充分で、もっとこの世界に触れたいと思わせます。

白く眩しい夏、海。海辺の小屋をぬける風、寝台。裏返しの暝さ。透明、退廃。幽かなノスタルジー。残像のような美しい挿絵(安心院貴子)も、とても効果的です。
テレパシー(ではないけど)の焦点を結ぶのが、美しい石(「視体」)ってあたり、M・J・ブラッドリー「ダーコーヴァ」ファンは必読かも。ギブスン曰くの「没入(ジャック・イン)」がセックスに絡むのもステキ。そう、FTでなくなる代わりにAIが絡んでます…Jコレ出たら(読むツモリ)、またご報告しますね。
「夏」絡みの感傷には、そもそも弱いのですワタクシ…(「千と千尋」とか)。夏が終わってしまった今の季節に読むと、こう、ますます…

◆「狩猟と農耕」草上仁…+0
気持ちのよいショートショートでした。こういうの久しぶりで楽しかったです。西島大介さんのイラストも、とってもラブリーです。

◆「<トースト>レポート」チャールズ・ストロス…+0
<記事>カッコイイ、ハッカー小説です。</記事>

◆「最後の祈りの日」マイクル・A・バースタイン…+2
ホロコーストを扱っています。でも、そういうのに詳しくなくても、充分読めます。
提示されてるテクは特に目新しいものではなく、社会派小説、という印象が強いかも。
難しい問題なだけに結論に到るのが早いな、という印象はあります。でも、この手のアイディンティティ問題に長く関わってきている作者(名前から判る通り、ユダヤ系作家だそうです)の様々が滲み出ていて、短くとも安易ではない。つい涙ぐんでしまいました。

◆「影目」 (ことのはの海、カタシロノ庭)
山田正紀/藤原ヨウコウ…+0

フォント配置、タイヘンカコイイ(こういうの、好きです)。でも内容は、なんか良く判んナイ…てか、そもそも、何故このタイトルなのでしょうか…??

■余談 平均的「○○」サイト管理人像

日頃拝読してるサイトで話題になってたので。でも「○○」はジャンルでなくて「感想文」、てことで宜しくです。(でないと絶対、回答不可能…)

(1)日記を中心とする更新回数は15回〜20回/月程度
……。(すでにダメ。)

(2)感想ないしレビューは10冊から15冊/月をこなす
………。(…ナゼ、二人がかりなのに、……)

(3)当初力入れてた筈の、日記・書評以外のコーナーは滞りがち
ハナからそんなもんありゃしません。

(4)「SF系日記更新時刻」は、ネット接続する限りは毎日チェック
ハーイハーイ。新聞よりマメに見てるかもっ(だめじゃん…)

(5)年齢は20代後半〜30代
その通りでございますが何か。

(6)独身。
…イカちゃんは該当しないよ?(←…墓穴…)

(7)オフ会には1〜2ヶ月に一度くらいの割合で参加
してません。

(8)DASACONに参加経験があるか、もしくはしてみたい
DASACON6、参加するつもり/現在。です。どきどき。

(9)新刊購入が中心だが古本や図書館を利用
丁度先日、お借りしてた本を返送したとこなのですが…2年前は新刊だったよね……。スマン(極悪)。「新刊:古本:図書館:ヒト様のご好意」=1:1:1:1。かも。「利用」じゃないや「おすがり」かなあ、こりゃ…(コラ)

(10)月に数冊は追いかけているマンガを読んでいる
地元本屋で中・高生に負けるのですよ。立ち読みの。もうオレ様じゃ平台の前に立てないのよ。(ワリ込む勇気と体力の喪失)もうダメだ…←買えよ。
実家なので、雑誌を家に持ちこむのが恥ずかしいよ…(何の雑誌だよ)でもコンビニってすぐなくなっちゃうのよ。←店自体が?(あっ、そんなことを)

8以上が平均なんだとか…? いたらなさの露呈に終わったっぽいなあ…。むむ、自虐ネタか…(違)。


2002/09/22(Sun) ・・・とりこ
怪盗ブラックタイガー

●ウィシット・サーサナティヤン監督「怪盗ブラックタイガー」 (→公式HP

…見たトコ、日活アクション映画をちょっぴり彷彿させるかも? でも、あの怒涛パワーとはまた少し違うかな…日活アクションて、慣れないうちは痛くて観てられない人もいるかも・つーか…つまりあのう、カッコ悪い箇所も。色々。勿論、それらすべてをゴーインにやっちゃう突き抜け&開放感が、スっバラシイんですが。

でもこの映画、主演はイチローもかくや。脚長! 腰細! 逆三! ひと匙童顔入った、このりりしさ…(マンガ? てカンジ。公式HPご覧アレ。眉太い…)ヒロインも美人。化粧濃いけど(演出上しょうがない)。そしてこの極彩色…ピエール&ジル作品をご存知の向きは、アレご想像くださってもいいかも。
て調子でまた別の迫力が。要はね、本当に「美しい」、つか「絵」になっちゃっているのよ。

その上、昨今流行のフリンジ上着に革長ブーツ、革ベルト、帽子、首にはスカーフ腰には銃帯、手には拳銃、完全西部劇スタイルのガンマンたち。ただしタイ人。
が、集団でウマに跨り野山を駆け巡る…ただしあくまでタイの野山。ブラックタイガーなんてね、黒尽くめ(※スカーフだけは赤)で白馬に乗ってるよ。アナタめちゃめちゃ目立つわよ…標的になっちゃうのでは…(ムダな心配)

タイはああいう気候なので、始終小雨が降りしきる…のに空にウツクシイ三日月。…??(※要は作り物)。酒に酔いしいれる若きガンマン二人、義兄弟の血の契りを野ざらしの大仏の前で誓う。恐ろしいよ…(真夜中の大仏が)。馬の足元は泥のぬかるみだし。沼地に堂々たるログハウスが建っておるし。タイの風土のど真ん中に、言い伝えのある西洋風あずまや。ち…力技ちゅーか…「そうか、うん、そうなんだね。」としか。でもね、そんななのにね、美しいのよ。←ホントだよ。驚く以外にナニしろってんだ。

個人的に、盗賊を取り締まるタイ警察、の制服が旧帝国陸軍に酷似していて、視覚的に混乱するのでした(「日本軍VS西部のガンマン??」に見えるのよ…でも、両者の対決なんて史実的に有得ないじゃん)。

ミテクレのお遊びは確信犯だから楽しめばよくて、ところで肝心のストーリー。も、きっちり悲恋で、良かったです。

筋は単純。お屋敷の幼いお嬢さん(ヒロイン)と出自の低い少年(主役)が、まあ、因縁を持つわけです。その後別れ別れとなり、10年の時を経て再会するが、身分の差は二人の恋を許さない…。ベタベタな展開。でもガッチリ成功してます。温故知新というか、非常にフレッシュな印象を受けました。シンプルで。典型って強くて美しいんだなあ、と思いました。

「池に蓮(はす)がたくさん咲いているんですって。あなた、わたしをボートで池に連れて行くのよ。 今すぐに!」
「あなたは、まだ海を見た事がないのね…? 海はね、それはそれは、ステキなところよ…いいわ、今度お父さまに言って、お前を連れて行ってあげる。」
「でもその前に約束して。お前はもっと私に優しくするの。約束できる?」

お嬢さま・10歳のみぎり…。
(※台詞、うろ覚え…多少チガってもご容赦を。)
子役の名演技&美少女度…フリルの白いワンピース。おでこ、巻き髪とリボン、気の強い幼い女王サマ…

ただ、銃撃シーンの派手さがね…。重くドロリと/どぴゅーと吹き上がる血飛沫。無闇な人死に…。同行者、嫌がってました。気持ち判るー。でも、アンチ残酷のワタクシですが、この映画の場合は、まあ、理解できるのよ…(もちょっと頻度少なくてもいいかな、とは思いますが)。独特の配色のため、一種、様式美的な印象があるのでした。

だって、この色彩感覚あってこそ、冥い湿地帯に真っ赤な河、葦の間を縫う血の真紅、小雨けぶる中、残像が残るほど強烈なピンクのスカートを纏う女、とか、ショック&シュール、鮮烈で美しくどこか懐かしい、怖いような風景がたくさんたくさん堪能できるのでした。アジアの土壌に洋が入る違和感の美しさ。逆光の黒さ、いつまでもけぶる雨、奇妙な洋装、フリルのパラソル。ホラーファンは特に一見の価値ありかも、と思いました。配色も、めかめかケバケバに見えますが、悪趣味(キッチュ)で括らなくても済むんじゃないかな。ファッショナブルで鮮烈な迫力があります。インパクト強。カッコいい。

そうそう、監督は「コドモの頃TVで観た、タイガーマスクのアニメをやりたかった」んだとか。成るほど、劇画調はそこから来てるのかも…?「少林サッカー」系お楽しみも盛り沢山でした。弾丸と弾丸が激突したり、瞳に星がキラーン(音響効果つきで)とか。主役の「義兄弟」マヘスワン、恋敵のガムヂョン警部、と脇役もナイスでしたよ。


2002/09/24(Tue) ・・・とりこ
「本格ミステリ/翻訳SFファン度調査」

「本格ミステリ度調査」(@Mystery Laboratory

結果→33冊。
もろ・作家読み(京極、宮部、北村薫、岡嶋二人、井上夢人、恩田陸、…)でした。ので、潔く作家でソートかけちゃいました。

『空飛ぶ馬』(北村薫)
『夜の蝉』(北村薫)
『秋の花』(北村薫)
『冬のオペラ』(北村薫)
・『覆面作家は二人いる』(北村薫)
・『盤上の敵』(北村薫)
『姑獲鳥の夏』(京極夏彦)
『魍魎の匣』(京極夏彦)
『狂骨の夢』(京極夏彦)
『鉄鼠の檻』(京極夏彦)
『絡新婦の理』(京極夏彦)
『火車』(宮部みゆき)
『パーフェクト・ブルー』(宮部みゆき)
『我らが隣人の犯罪』(宮部みゆき)
『理由』(宮部みゆき)
『クラインの壺』(岡嶋二人)
『99%の誘拐』(岡嶋二人)
『ダレカガナカニイル…』(井上夢人)
『プラスティック』(井上夢人)
『puzzle』(恩田陸)
・『象と耳鳴り』(恩田陸)
・『木曜組曲』(恩田陸)
・『邪馬台国はどこですか?』(鯨統一郎)
・『九つの殺人メルヘン』(鯨統一郎)
『ハサミ男』(殊能将之)
『月光ゲーム Yの悲劇'88』(有栖川有栖)
『東亰異聞』(小野不由美)
『煙か土か食い物 Smoke, Soilor Sacrifices』(舞城王太郎)
『そして夜は甦る』(原りょう)
『タイム・リープ あしたはきのう』(高畑京一郎)
『GOTH リストカット事件』(乙一)
『散りしかたみに』(近藤史恵)
『赤い額縁』(倉坂鬼一郎)

「翻訳SFファン度調査」(@不純粋科学研究所

結果→71冊。あれ・そういや「いさましいチビのトースター」て、一緒に読んだようなキオクが…>イカちゃん。違ったっけ?

<ダーコーヴァ年代記:9巻以降>(86) マリオン・ジマー・ブラッドリー
『愛はさだめ、さだめは死』(87) ジェイムズ・ティプトリー・Jr.
『カウント・ゼロ』(87) ウィリアム・ギブスン
『たったひとつの冴えたやりかた』(87) ジェイムズ・ティプトリー・Jr.
『エンダーのゲーム』(87) オースン・スコット・カード
『スキズマトリックス』(87) ブルース・スターリング
『いさましいチビのトースター』(87) トーマス・M・ディッシュ
『悪夢機械』(87) フィリップ・K・ディック
『ノヴァ』(88) サミュエル・R・ディレイニー
『ロボットと帝国』(88) アイザック・アシモフ
『ポストマン』(88) デイヴィッド・ブリン
『蜂工場』(88) イアン・バンクス
『ゲイトウェイ』(88) フレデリック・ポール
『死者の書』(88) ジョナサン・キャロル
『モナリザ・オーヴァドライヴ』(89) ウィリアム・ギブスン
『蝉の女王』(89) ブルース・スターリング
『ソフトウェア』(89) ルーディ・ラッカー
『ウェットウェア』(89) ルーディ・ラッカー
『時間衝突』(89) バリントン・J・ベイリー
『星の海のミッキー』(89) ヴォンダ・N・マッキンタイア
『世界の合言葉は森』(90) アーシュラ・K・ル・グィン
『知性化戦争』(90) デイヴィッド・ブリン
『死者の代弁者』(90) オースン・スコット・カード
『黒い時計の旅』(90) スティーヴ・エリクソン
『故郷から10000光年』(91) ジェイムズ・ティプトリー・Jr.
『ウォー・フィーバー 戦争熱』(92) J・G・バラード
『アイヴォリー ある象牙の物語』(92) マイク・レズニック
『80年代SF傑作選』(92) 小川隆&山岸真
『ゴールデン・フリース』(92) ロバート・J・ソウヤー
『どろぼう熊の惑星』(93) R・A・ラファティ
『辺境の人々』(93) オースン・スコット・カード
『ロボットの魂』(93) バリントン・J・ベイリー
『世界の果てまで何マイル』(93) テリー・ビッスン
『タンジェント』(93) グレッグ・ベア
『内なる宇宙』(93) ジェイムズ・P・ホーガン
・『シェイヨルという名の星』(94) コードウェイナー・スミス
『ブルー・シャンペン』(94) ジョン・ヴァーリイ
『旅立つ船』(94) マキャフリー&ラッキー
『ヴァーチャル・ライト』(94) ウィリアム・ギブスン
・『ハイペリオン』(94) ダン・シモンズ
『ドラキュラ紀元』(95) キム・ニューマン
『ラッカー奇想博覧会』(95) ルーディ・ラッカー
『ヴァート』(95) ジェフ・ヌーン
『ハッカーと蟻』(96) ルーディ・ラッカー
・『さよならダイノサウルス』(96) ロバート・J・ソウヤー
『つぎの岩につづく』(96) R・A・ラファティ
『ミッドナイト・ブルー』(97) ナンシー・A・コリンズ
『第81Q戦争』(97) コードウェイナー・スミス
『火星転移』(97) グレッグ・ベア
『内海の漁師』(97) アーシュラ・K・ル・グィン
『ターミナル・エクスペリメント』(97) ロバート・J・ソウヤー
『火星夜想曲』(97) イアン・マクドナルド
・『時間旅行者は緑の海に漂う』(97) パトリック・オリアリー
『スペアーズ』(97) マイケル・マーシャル・スミス
・『グリンプス』(97) ルイス・シャイナー
・『三つの小さな王国』(98) スティーヴン・ミルハウザー
・『スノウ・クラッシュ』(98) ニール・スティーヴンスン
『造物主の選択』(99) ジェイムズ・P・ホーガン
『スタープレックス』(99) ロバート・J・ソウヤー
『星ぼしの荒野から』(99) ジェイムズ・ティプトリー・Jr.
『キリンヤガ』(99) マイク・レズニック
『順列都市』(99) グレッグ・イーガン
・『フレームシフト』(00) ロバート・J・ソウヤー
・『SFの殿堂 遥かなる地平』(00) ロバート・シルヴァーバーグ編
・<20世紀SF>(00) 中村融&山岸真編
『祈りの海』(00) グレッグ・イーガン
『タクラマカン』(01) ブルース・スターリング
『フラッシュフォワード』(01) ロバート・J・ソウヤー
『ノービットの冒険』(01) パット・マーフィー
『ゲーム・プレイヤー』(01) イアン・M・バンクス
・『90年代SF傑作選』(02) 山岸真編

※「・」ついてるのは「とりイカ」内に感想文があるので、ご興味のある向きは「さくいん」から探してみて下さい…

2002/09/25(wed)・・・ヤマナ
本格ミステリ/翻訳SFファン度調査
とりこの真似して私も「本格ミステリ」と「翻訳SF」のファン度調査に挑戦してみました。読書感想文サイト管理者としての資格を疑われそうな数字が出ました。はーどきどき。

「いさましいちびのトースター」は中学生だか高校生だかの頃、とりこと二人「かわいいねーかわいいねー」と言いながら図書館で読んだ記憶があるのですが、どうだっけ?

「本格ミステリ度調査」(@Mystery Laboratory

結果→16冊。

『すべてがFになる』 (森博嗣)
『有限と微小のパン』 (森博嗣)
『今はもうない (森博嗣)
『狂骨の夢』 (京極夏彦)
『空飛ぶ馬』(北村薫)
『夜の蝉』(北村薫)
『秋の花』(北村薫)
『冬のオペラ』(北村薫)
『覆面作家は二人いる』(北村薫)
『盤上の敵』(北村薫)
『我らが隣人の犯罪』 (宮部みゆき)
『ロートレック荘事件』 (筒井康隆)
『煙か土か食い物 Smoke, Soilor Sacrifices』(舞城王太郎)
『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』 (西尾維新)
『紫骸城事件』 (上遠野浩平)
『鬼の探偵小説』 (田中啓文)

「翻訳SFファン度調査」(@不純粋科学研究所

結果→11冊。

『愛はさだめ、さだめは死』(87) ジェイムズ・ティプトリー・Jr.
『たったひとつの冴えたやりかた』(87) ジェイムズ・ティプトリー・Jr.
『いさましいチビのトースター』(87) トーマス・M・ディッシュ
『ロボットと帝国』(88) アイザック・アシモフ
『暗黒太陽の浮気娘』(89) シャーリーン・マクラム
『黒い時計の旅』(90) スティーヴ・エリクソン
『シェイヨルという名の星』(94) コードウェイナー・スミス
『さよならダイノサウルス』(96) ロバート・J・ソウヤー
『時間旅行者は緑の海に漂う』(97) パトリック・オリアリー
『三つの小さな王国』(98) スティーヴン・ミルハウザー
『スノウ・クラッシュ』(98) ニール・スティーヴンスン


2002/09/26(thu)・・・ヤマナ
ピンポン往復書簡
とりこの「ピンポン」感想文の後、とり・イカ間でメールのやりとりがありました。原作大ファンのヤマナのいちゃもん(?)がそもそものきっかけです。

こちらの感想文が映画の話題中心だったのに対して、今回のやりとりは原作について好みの違う二人が意見をたたかわせる形になっていて、こういうのもたまにはおもしろいかなーということでこのたび公開してみることにしました。
このやりとりを元に とりこ感想文もいくらか変更されているのでちょっとタイミング外したかなという気もしますが。(ひとえにヤマナがちんたら作業していたせいです。)まあ、かまうこたねえ、やっちまえ。

ピンク色の背景がヤマナ、オレンジ色がとりこです。 せっかくなので月と星のマークにしたかったんだけど、三日月のマークがワープロで出なかったので、あの、これ(●)満月と言うことでお願いします。

●ヤマナ
ピンポン感想文読みました。

あのね、「指輪物語」うんぬんって私が言ったことかな?
私が言ったんだったら、なんかニュアンスがちがってる気が。
「とりイカ」で訂正するほどのことでもないのですが、ちょっと居心地が悪いので、ここで訂正させてくれ。

(悪い映画じゃないけど。と前置きをしつつ、
どうしてもケチつけてしまう私の状態が、「ロードオブザリングス」を観た後のとりこと状態が似てるかもー。
って意味で、映画の出来を云々したんじゃないよー。ってこと。
そりゃ、「指輪」の方が段違いで恵まれてるさー。)

あと、とりこの「ピンポン」感想文は私は結構フシギだったのですが(諦念にあふれた漫画だよなーと思ってたので)、きちんと「イカサイド感想」を書く余裕が今あんまりないのだ…。
なので、忘れた頃に「いや、しかし」とか言い出すかもしれないのですが執念深い奴と思わないでやってね。

★とりこ
その「諦念」が、映画にはあんまり出てないじゃん…(ワタクシの文章も不味いつーか足りないと思うけど)。
マンガの「ピンポン」って、すごく冷めて描かれてるじゃん。

指輪云々は、キミ以外の人にも言われたのでした。
のである程度汎用性のある意見かと思ったので書いてみた。気にスルメ。

執念深いヤツなんて全然思わないよー。考え纏めるのって、時間かかるし。お好きなときに投げて下さいませ。

●ヤマナ
>あと、「ピンポン」の感想文は私は結構フシギだったのですが

これはとりこの「ピンポン」漫画版への感想文のことね。
わしの言葉足らずでまたやりとりがフシギになっておるな。

「勝つ」「負ける」の両方に向かって一度にスポットライトを浴びせる、どちらが素敵か・なんてどちらもこんなに素敵だ・としか言えないのさ! というような視点で描く、それが「ピンポン」なんだな、と、マンガを読んでて思ったのですが、しかしそれってすげえキレイ事じゃん。(「ピンポン」感想文・変更前)

とりこのこの文章から「諦念」を読みとるのはわしにはできなかったよ…。
とりこにはすげーサワヤカ漫画に読めたのかと思ったのだった。
「勝つも負けるも素敵」ってかんじの漫画とも違うと思うし。
作品内でことさらに何かを賛美したりしてるわけではないからさー。
(おとしめたりもしてないけど。)
あと、冷めてるとも思わないんだよなー。温度は確実にある。微温かもしれんけど。

指輪云々はなるほど。単にみなさん「ネバーエンディング…」のことはすっかり忘れてたんだと思うよ。
で、最近の例だと「指輪」になっちゃうのは仕方ないと思う。
「部分的にはかなり原作に忠実」感とかなー。
でも「ネバーエンディング…」はすげー的確なたとえだと思います。
おいら、なるほど!と膝をうったもん。たぶん、みんなも大納得だ!

★とりこ
なんかねえキミが言いたいの、多分、判る、と思う。枯れてんだけどアツイし(マンガの方ね)。
醒めてる、て言うのは、大人っぽいというかドライというか。対象との距離の取り方が、高野文子っぽいというか。

「キレイ事」というのは、完成度高スギることへの反発、とかかもしれんです。例えばスマイルとかドラゴンの身のふり方、の描き方、あまりにもフラットで、その事実っぽさは残酷でもステキでもあり、しかし遠いトコから描いてやがる、みたいにも見えるんだよなあ。

多分それはワタクシが「諦念」に到ってないからかも…(と、今これを書きながら思った)。あ、勝ち負けのどちらかに偏って欲しいわけじゃないよ(偏りのなさに「ピンポン」があるわけだから)。でなくて、「どっちもオレ(作者)とはカンケイない話」っぽく感じられることへの、反発、とまではいかなくとも。

ワタクシが「日常を遠いところから眺めつつ生きて」るわけではない(諦念に到ってない)から、かも…。定年に到ってない? そりゃな!(←バカ) も少しライブな方が好みなんだと思う。社会(外界/ゲンジツ/リアル?)との関わりへの目線、というものが。

しかしmy感想文、「判り易くするために一面だけを掬って」るという部分においては映画版(の「ピンポン」)と、まるきり同じことをやっているな…。スマンね。

でも、もしそんなドライさを映画に活かしたら、なんつーか、きっと老人映画になっちゃうよね。映画は、なんかぴちぴちしてたというか。
(マンガより随分ぴちぴちしてると思う。んだがどうかな)

あ、ネバーエンディングストーリーの例え、これぞオレ様の執念深さというヤツです。
何年経っても忘れません←エンデには愛あるからなあ、ワタクシ。

●ヤマナ
とりこの言い分も納得してきました。なるほど。
スマイルとかドラゴンの身のふり方はなー。私はすげえ「ああ、生きるってこういうことだよなー」とかしみじみ共感するんだけどね。

とりこは自分の人生を負け犬人生と書いてたけどわしの人生はあきらめ人生だからなー。(負け犬、よりチョット枯れてる。)
あきらめモノ(でも生きていくよ?なもの)に弱いのだよ。
わたしにとっては「ピンポン」って決して遠いものではないっていうか、ある意味とてもナマなものなんだよ。

あと、私はリアルタイムで手に汗握って漫画「ピンポン」を追いかけてたクチなので、(コミックスもそりゃあもう読み返したよ。セリフ暗記するほどに。)やはりキャラクターへの思い入れがとりこに比べて過剰なんだと思う。ひどく恥ずかしいけど、奴らとともに生きていた時間つーのが確かにあったのよ…。
そうするとやっぱ彼らが「身の振り方」を選ぶまでの、描かれていない時間に思いを激しくよせてしまうのだよね。そしてその描かれなかった時間はやはり決して平らかなものではなかったは思うのよ。

ちなみに「ピンポン」何が一番切ないって、あれだけの激戦があって、でも実は描かれているのは地区予選にしかすぎないってとこだと思ってます。
あと、原作の「静」の部分は小津安二郎っぽいかなーとか思ってる。Mr.小泉はぜひ笠智衆に!(それも違うだろう。故人だし。)

■補記
★…あのう…高野文子は、たいそう好きです、ワタクシ。念のため…(とりこ)

●このやりとりでなにやらスッキリしてしまったので、原作の感想文は結局書かない気がします…。(ヤマナ)

■書誌情報
松本大洋「ピンポン(全5巻)」(1996-1997/小学館・Big Spirits Comics Special)



2002/9/28(Sat) ・・・とりこ
「グラン・ヴァカンス 廃園の天使(1)」/「蜘蛛の王」

●飛浩隆「グラン・ヴァカンス 廃園の天使(1)」
/早川書房Jコレクション/2002
「蜘蛛の王」(「S‐Fマガジン」2002年11月号掲載)

よく知らないで引き合いに出すと、その道の筋モンからお叱りが来るのよ(先日も、「日活映画、だと日活ロマンポルノと紛らわしいので、日活アクションと書けい」てのが…)←まじで。
ので、全然詳しくありません。と前置きしつつ。…この作品、なんか「浜崎あゆみ」っぽい…。

なんで? どこが? …ええと、全体から受ける印象が…詳しくない人(つまりワタクシ)の連想するイメージの濃さとか、インパクトの強さとか。今回ワタクシもゲラいただいたんですが、ゲラから立ちのぼる、毛並みのよさが…。なんかこう、つやつやしてました。(感想遅れ気味で、スミマセン…)

奇しくもこの小説に登場するキャラクター達は、基本的に全て「AI(人工知能)」。浜崎あゆみの「サイボーグ/アンドロイドっぽい」印象(※1)とも、ひょっとすると被ってるかも…。

Jコレには、挿絵一切ありません。でも読者10人にイラスト描かせたらほぼ似たようなのになりそう。
って程・イメージの強度があります。リーダビリティある上語勢も強いので、出だし数ページで、あっという間に読み手は「バーチャル世界」(物語の舞台)に引きずり込まれます。

イントロ。
仮想リゾート空間「夏の区界」。南欧の小さな海辺の町を模したこの区界を彩る、様々なAI達。彼らは訪れるリゾート客、即ち人間の「ゲスト」をお迎えし、この世界で快適に過ごせるよう奉仕する為の存在。
最後の「ゲスト」が去って以来、千年…「ゲスト」を待ちながら、千年間、同じ「夏の一日」をなぞりつづけてきたAI達。その生活に、ある日突如異変が…

SFM10月号掲載の短篇「夏の硝視体(グラス・アイ)」と同じ「夏の区界」が舞台です。(my感想→ココゆるやかに流れる短篇に比して、この怒涛っぷり…ヒラマドさま曰く「ジェットコースター」 のっけから、「イリヤ」で言えば「その3」状態、なのです。(※2)

「ロボ萌え」(おおたさま感想)は、ワタクシもそう思います。てか、シリーズ最新作の「蜘蛛の王」(SFM11月号掲載、200枚書き下ろし!)では、よりそれが顕著でした。今度は、「夏の区界」じゃない、別の区界が舞台なのですが…って、スミマセン、「グラン・ヴァカンス」より、こっちの方がワタクシは面白かったです…。官能表現が、こっちではサバイバルなバトルになってます。カッコエエ…! ビジョンも麦畑の海を泳ぐ鯨、とか、異世界度高くてグウです。「水寄せ」とか魔法科学めいたのもカッコイイ。ロボ萌えのおニイさん、あなたにも宜しいかもよ?(←指名)。

何度も繰り返す鮮烈なエピソードは、中盤ややノルマめいて感じられる気配も。でもクライマックスは良かった。「そのように定義されている」AIたちの哀しさ。後書きに「清新であること、残酷であること、美しくあることだけは心がけた」とありました。クライマックスでココロ打つのは、ピュアと呼ぶに相応しいものでした。イワユル純情。

表紙装画、清冽な青緑が鮮やかで、とてもきれいです。実は、ゆうべ某SFカンケイの集まりで、現物持参して紹介してみました(出た真似を…まあまあ。それで酔っ払って帰ってきて、昨夜は結局感想UPしそこないました。スミマセン…)普段ライトノベルを読まない方に「美少女イラストは手に取りにくいけど、コレなら」と、たいへん好評でした(マジで)。老(…えっと、だからライトノベル読まない層、とか)(中高生とか。)男女、色んな人の手に取るのに、いいカンジなのでは。

AI達の哀しく美しいエピソードもさることながら、「数値海岸」のビジョンは圧巻でした。数列データや文字列や符号の羅列から為る情報の海。遠く消える水平線の果てまで続く、情報の海…寄せて返す波は大量のデータから構成されていて、水飛沫のように、細かな情報が宙に溶けていく…。

ワタクシといたしましては、有里さま曰くの三婆萌えに一票。あと「蜘蛛の王」の蜘蛛(6体いるヤツ)も。「萌え」つーか欲しい。

※1…さして珍しくない意見なのでは。
※2…秋山瑞人「イリヤの空、UFOの夏」1〜3。サイト内に感想あるので、ご興味のある向きは「さくいん」からどうぞ。設定は同作者の「E・G・コンバット」っぽい部分も(先行例がコレなだけで、どっち優劣って話ではないです。念の為)「蜘蛛の王」だとそれが「鉄コミュニケイション!」になるつーか(ルークがいるよ…←嘘)

◆SFセミナーの折、ヒラマドさまが「ひこんー!」と騒いでらしたの、そういやワタクシも目撃しました(思い出した…)。けどこの無知蒙昧オンナは、当日「飛ぶ、って書いてとび、って名前の作家さん、知らない?」、とのお話を「知らない。」と、もう、あっさりと。ぐわー…どうもスミマセン…


2002/9/29(Sun) ・・・とりこ
「グラン・ヴァカンス 廃園の天使(1)」/「蜘蛛の王」感想追記

●飛浩隆「グラン・ヴァカンス」/「蜘蛛の王」感想追記
※やや内容に言及してます。まあ大丈夫とも思いますし、反転表記も使いますが、ネタバレ避けたい方は、一応ご注意下さい。

「否定的な意見」の方も何名か出ておいでとのこと、勇気出てきたので、ワタクシもちょっと言及避けてた(逃げてた)部分を、思い切って追記してみます。

違和感は中盤(ホテル攻防のあたり)にありました。官能→残酷の繰り返しに対する幽かな反発、というか。手を変え品を変え…たって結局は…(「ノルマ」っぽいと書いてしまいましたが。)…彩り豊かな・でも・使い捨てみたい。というか。

ただそれは物語の「骨子」の魅力とは別の部分で、ある意味必要な部分でもあって。好みの問題か、とも思いました。
世界設定はとても魅力的で、クライマックスの美しさ、哀しさ、残酷さは、素晴らしかったです。「ひとつになれない」のがフツウで、そこで「ひとつになれる」という嘘をつく、のではなく「今までひとつになれたのに、もうひとつになれないもどかしさ」という描き方がなされたくだりや、ラストのアンビバレントな状態。素晴らしかったです。

ただ、「抑えた感情の仄見えるさま」や「これから悪くなっていきそうな予兆」、そういったムードが好きなので、高いテンションが続く本編より、この世界設定を背後に孕み、かつ切なさ、不安等がゆらゆらと美しい「夏の硝子体」(SFM10月号掲載)は、本編よりむしろ好きかも…。

ところでSFM11月号掲載のシリーズ最新作「蜘蛛の王」、面白いです。いやマジで。荒々しくて…「蜘蛛衆」にスカウトされる主人公の少年が、緑褐色のざらざらの断崖を、殆ど素手で上っていく場面から始まるの。カッコイイ。それに、「汎用樹の区界」の異世界感…「グラン・ヴァカンス」イマイチ、って方もこっちはOKかも、とも思ったり。続刊はこれの続きかな、それとも全く新たな書き下ろしなのかな…楽しみです。

◆書誌情報…飛浩隆「グラン・ヴァカンス 廃園の天使(1)」/早川書房Jコレクション/飛浩隆「蜘蛛の王」(S‐Fマガジン 2002年11月号掲載)


2002/9/30(Mon) ・・・とりこ
「グラン・ヴァカンス 廃園の天使(1)」/「蜘蛛の王」感想補記
●「グラン・ヴァカンス」/「蜘蛛の王」感想の追記(2)

リンク集(@おおたさま)一通り拝読いたしました。AIへの言及等、ワタクシの浅く拙い違和感よりずっと深いご考察を幾つも拝読して「ぬおお…」と唸ることしきりでした。

ところで、谷田貝さまの「ヴァーチャル空間でリアルの住人のやることはまずセックス(しかも倒錯的なもの)というのはどうでしょうね?」とのご指摘は、ご慧眼だなあと思いました。

というのもシリーズ最新作「蜘蛛の王」では、区界の別の側面が出てた為です。今度の区界は、アクションやサバイバルゲーム体感風の、ゲスト用お楽しみが色々。ついでに言えば育てゲー的要素も加味されておるです(ちょとチガウ?)。 あ、モチロン「グラン・ヴァカンス」伏線の解題もありますが、新たな伏線も出てきてます…油断なりません。(※「蜘蛛の王」話が多いなあ…←自分)

にしても、ヴァーチャル空間てのはリアルの肉体を伴わずに済む世界で、主体の精神がリアルから自由な、お好みの容器を纏ったり、その他色々な可能性を帯びることが出来る、ので、リアルの不自由具合にうんざりしているワタクシなんかは、読んでて気持ちいいわけです。
でも、ヴァーチャルな空間につきまとう筈の制限(不自由)に「ヴァーチャル空間である」リアルさが足りないとか言って、またナットクがいかなくなったりもするわけで…何求めて読むんだか判らんですねホント。トホホ。

「区界」という世界設定、なんというか一種妄想を呼ぶよ…サイドストーリー欲望妄想、というか…「世界設定萌え」??

◆とりこ感想 その(1)その(2)その(3)

◆書誌情報…飛浩隆「グラン・ヴァカンス 廃園の天使(1)」/早川書房Jコレクション/飛浩隆「蜘蛛の王」(S‐Fマガジン 2002年11月号掲載)


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