| 2002/12/1(Sun) ・・・とりこ |
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■バリー・ユアグロー自作朗読&トークショー ユアグロー氏の自作朗読の後、柴田氏が同作品の邦訳を日本語で朗読、という交互の形式でした。 ユアグロー氏は、くっきり眉毛がひょいひょい動く、表情豊かな方でした。声色巧みに聴衆を惹きつけ、身振り手振りも熱が入り、自在で、楽しそうな朗読……いえ、ご自分でも仰っておいでのとおり、朗読というよりパフォーマンスでした。誰よりもご自分が一番楽しんでおいでなのだなあ、という印象。 座ると椅子から長い脚が余ってしまう、体の大きな方でした。(日本の椅子が小さいのかも)あとねえ、おでこも広かった。というか、ほぼ頭頂部までがおでこ。というかタマゴ。そして口ひげなので、ワタクシは「ちょっと『おやつ神様』に似ている。」なんて思ったことです。 対する柴田元幸氏は、思っていたよりずっと小柄な方(ユアグロー氏と並ぶので、余計小柄に見えたかも?)でした。 Q:たいへん短く、1ページに満たない作品もある、シュールともファンタジーとも言いきれない、時には通常の起承転結すら伴わない独特の作品スタイルは、どのように生み出されたのでしょうか? A:ごく若い頃は、長い(そして、今イチたるい)ものも書いていました。20代になってから、どこかの文芸誌で夢を模倣した形式の作品を読み、こういうやり方もあるのか、と思ったのです。 Q:次作は、どのようになっているのでしょう? 「最新作は、"Haunted
travelers"(邦題「憑かれた男」。柴田元幸訳で、新潮社「波」誌上連載中。近いうちに刊行予定だとか)。 ※1…2004年に米国で出版されることが決まっているそうです。 「コンマの位置がキマらなくて、そんなことが気になって、夜、眠れなくなったりもします。でも、そうやって一生懸命直したものが、それでホントに良くなってるのか、それもまた、ホントのとこ、よく判らないんだよね。」 「オリエンタリズムという言葉には、ネガティブな含意もありますが、自分の作品は、世界に対する自分のオリエンタリズムとそのギャップを描くもの、とも言えると思います。」 「僕はクリーシェをよく用いますが、それらは、ただ道具に過ぎないものです。 Q:「ユアグロー作品を訳す上で、なにか特徴的なことはありますか?」(翻訳者の柴田氏に向けた質問) 「じろじろ、ひたひた、ずるずる、ひそひそ、のような擬音を多用しないよう気をつけています。ユアグロー作品の場合、特に動詞に顕著ですが、例えば、ただ「見る」というシンプルな動詞ではなく、表情を伴う動詞が多いのです(ex:lookやseeでなく、stareやgazeであるとか)。」 たいへん充実の2時間でした。面白かったです。あっという間でした。「セックスの哀しみ」に、柴田、ユアグロー、両氏のサインをゲットしましたよ。イエイ。(ミーハー) |
| 2002/12/3(Thu) ・・・とりこ |
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●R・A・ラファティ「地球礁」柳下毅一郎訳/河出書房新社/2002年 没後刊行ですが、ホントは1967年発行、ラファティのデビュー作だとか。 ※3作同時刊行、という派手なデビューだったそうです。「トマス・モアの大冒険」と、コレと、もう1作(未邦訳のようです)。 河出から出てますが、晶文社っぽいなあ(コラコラ)。例えばコクトーの「恐るべき子供たち」、ただしラストに退廃と絶望でなく明るい光が拓けていました。そんな印象です。 2つの家族が主役です。2組の両親と7人の従兄弟たち。ただの家族じゃないよ。宇宙から来たプーカ人です。(また宇宙人かよ……) 魂の在処はカワ(見てくれや社会的位置付け)では、ない。という主張が濃い(と思う)ので、ブコウスキーや笙野頼子がお好きな向きは、きっと気が合うと思います。 オトナ抜きで子供たちが広い海へ乗り出していく、という構図に「ツバメ号」シリーズ(A・ランサム)がかぶるので、余計嬉しいのかも。でも、「船出」ってものは、誰が見たって、心踊る光景かも。とも思います。 「私は卵を割ってしまった! ドラゴンは孵った!」 子供たちは、タフでエネルギッシュで、輝く魔法の緑の目を持っている。7対の目が夜明けの海で緑に光る。これから出会う全てを食ってやろうと思ってる。 カッコイイ! プーカ人は「バガーバッハ詩」という万能の呪文を使いこなすという設定。「詩」として「どう」なのかワタクシにはよく判らないのですが、この「魔法」なら、知ってる。と思いました。 例えば「この山はカンチェンジュンガ」と名づけてしまえば、誰がなんと言おうとそこはカンチェンジュンガだし、敵をギッタンギッタンにして、血の海が流された。て認識があれば、それはもう「真実」としてそこにある。 「訳者後書き」にて、「プーカ」はアイルランド語でゴブリンを指す、等アイルランド移民の開拓史とも読める旨などの解説があります。ナルホドう。ビブリオグラフィを含む、判りやすく読み易い、簡単なラファティの手引きとなっています。 解説に「これはメタファーではない」とあります。ワタクシもそう思う。SFというより、FTかもしれません。ブラッドベリ好きはお気に召しそう、これは請け合い。 物語構造として、「共同体に新規参入するマイノリティーが、どうやってその世界と関わっていくか」という物語にカンタンに置換されうるので、「世界に対して絶対的な不安感とか孤立感とかを、時々、味わってしまう」タイプのニンゲンは、気分が暗いとき読むと、きっとタイヘン元気が出ますよ。 子ども同士、コドモ×親、親たち同士の関係性、拮抗具合がスバラシかった。 ……って、ついつい長くなりまする。いやはや。 |
| 2002/12/8(Sun) ・・・とりこ |
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例の如く「*」のついてるヤツは、サイト内のどこかに感想があります。 ・『傀儡后』(02) 牧野修 300作品中106作品読了 見直して「『エリコ』(99)
谷甲州」に入れ損ねたと気づいた。ま・いっか。 ところでこのリスト、「そのうち、感想書きたいなあ」と思ってた本、多いです。例えば「竜の棺」。高校時代ハマりました。ナニャドヤラ〜。おかげでデニケンまで読んだわよ。もう、土偶は全部エイリアンだから。特に遮光器土偶! あと、リストに笙野頼子が。嬉しー!(笑) そうそう、「天才えりちゃん」は、とりこ家にあります。 |
| 2002/12/17(Tue) ・・・とりこ |
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そう。千夜一夜なのです。ので、神秘的な美女が、実にナイスな口ぶりで、物語って下さいます。「語り」の快楽って、原点なんだわー。ホン、というかお話好きの原点に立ち返るキモチ。 「虚構」の快楽なのよ。「あ、そっか、お話なのだった」と度々認識させられるのです。絶対、コレ、わざとやってる。膝を乗り出して熱心に聞くトコをひょいと掴まえて「これはお話だから」と引き戻される。 千夜一夜てのは「続き物」でもあります。つまり、ヒキがある。これがまた、いいトコで切る。そして山場で逸らさない。読者の予想を大幅に超えたでっかいお楽しみが、広がり、謎が解け、また出会う、キモチよさ。 うねり流れる語りを支える要素の一つに、独特のルビ(=二重言語)があります。同じ熟語に同じルビ、という整合性にはむしろ無頓着で(逆に「そうか、言葉なんて文脈毎に違うもんだし」なんて思わされてしまう)、ひたすら「いい得て妙」が最優先。絶妙な言い当てや節回し、「うまいこと言いやがる」って、ニヤリとしたりスカっとしたり。 初の「推理作家協会賞」「日本SF大賞」ダブルクラウンだとか。でもホント言えば、どちらの賞もイマイチしっくりこないかも。てか、選定委員がよってたかって好きな本に票を入れちゃったんでは。という気も。しかし選者諸氏、シュミいいな……てか、両賞選者のスゲエやる気を感じますよワタクシは。 字の密度高い? 漢字多そう? それただのカワ。絶対へーき。まあ、人によってはエンジンかかるまで多少辛抱要るのかな……身近の、厚さに萎えがちな人物の場合、150Pあたりでやっとこバーストが来たらしいです。ちなみにその人物は、その後6時間、そしてちょっと寝てからまた6時間、計12時間ぶっ続けで残り一気読みしたとか(うらやましいぞ……)。 「こんな分厚いの読むんか」て思った。ワタクシも。しかし苦じゃなかった。てかニンゲン、キモチいいことはするなと言われてもしますわ。逆に時間足りないって。マジで。読んでる間、毎日が飛ぶようでした(仕事時間はすごーく長い日々でしたが)。 アラビアンナイトの異国情緒、豪華絢爛な絵巻物が紐解かれ、あれよあれよと物語が立ちあがる。 それだけでは終わらない。この「騙り手」、更にウソをつく。短くも鮮烈なこの「後書き」。やんなっちゃう。短い文章から立ちあがる砂埃、喧騒、現代イスラムの臭い。最後まで気を抜くことなくお楽しみ! 入れ子式構造で、内も外も魅力的で、更にもう一枚あって、どれも手を抜いてなくて、とか「幻詩狩り」(※)なとことか、読みドコロは色々です。でもまあ、読んでのお楽しみ、てことで。 一見クラシックな面してますが、実のトコ(特に後半)は、ライトノベルなノリ。本音言うと、デュマっぽいかも……でも、デュマって、中世期におけるライトノベルみたいなもんかとも思うし。 荒唐無稽、イロゴトもあり。下世話もここまで突き抜けりゃ爽快です。しっかし、節操ねえなあ……んなアホな! とか、そんな奴いるか! とか、顔歪むこと必至。不二子ちゃんでドロンジョさまな蛇神様……ラブ! あと、やっぱ善玉はこの位とことん、アホでなきゃいかん。陰のあるダークヒーロー、マンセー! しかしちゃっかりモノだなアンタ。とかとか。 相当支離滅裂になってますが、要は、オススメであります。まあ、いいから読んでみるヨロシ。そしてワクワクしたまい。そうそう、あと、ある方のご意見によると、持ち歩いて多少ボロくする方が、この装丁はムードが出てよいらしい。成程。 ※…川又千秋「幻詩狩り」。第5回日本SF大賞。大変おもろい。ドゥバド。 |
| 2002/12/18(Wed) ・・・とりこ |
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●S・スピルバーグ監督「マイノリティ・リポート」/公開中/→公式HP 舞台は、近未来の米国。 そんな折、アンダートンは自分の犯す殺人を予知されてしまう。彼の逃亡と、予知された殺人への謎解きが始まる。何故自分は、まったく見知らぬ人物を殺す破目になるのだろう。予知された未来から逃れることは、出来ないのか。未来は絶対不変のものなのだろうか? 青くザラついた画面は、硬質でうす寒く、ディックの世界観にたいそう似つかわしい。暗くいかがわしく、カッコイイです。 プレコグの予知するガイシャとホシの名前は、フクザツなシステムにより、ビリヤード球みたいなカラフルな木の玉に刻印され、パイプからコロコロと転がり出てくるのでした。殺人事件だと赤玉。計画殺人だと茶玉が出てくるんだって……って、福引じゃないんだから! パンフによるとスピルバーグのアイデアらしい。うーむ。ハイテクなんだかアナログなんだか。 警官の無能さ。逃げ込む先はナゾの工場。なんか「ザ・ワン」を思い出す……SW2といい、モンスターズ・インクといい、工場ってお約束なのかしら。 結構小ネタがほっぽらかしで、手作りサンドの行く末がやたら気になるワタクシでした。美味しそうなのに……未来のミルクって、腐るとあんな色になるの?(てっきり、ヨーグルト化するもんだと…)まあ、未来だから、合成ミルクかもね(ホントどうでもいいツッコミだな…)。 途中、●玉がコロコロ転がる場面に、内心「左目を忘れた男!」とツッコミ入れたワタクシでした。浅暮魂、スピルバーグと通じ合った…? 女性プレコグのアガサちゃんは、腰が抜けた酔っ払いの仔猫ちゃん、てな風情で可愛かった(違?)。お気に入り。髪の毛は生えてない方が可愛いと思うなあ。 ラストに吃驚でした。ハッピーエンド、になってることが肝心なんでしょうか……だって、あの3人、あれでいいの??? 失ったら再生産(つーか)すればいいてもんでもないと思うしなあ……人魚姫をハッピーエンドにしちゃうお国柄だけはある。てことかしら??? 2時間半の長尺、結構消耗しました。もちょっと枝葉落としたシンプルな方が嬉しかったかも。と、ちょっと思いました。
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| 2002/12/19(Thr) ・・・とりこ |
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●早川書房編集部編「フィリップ・K・ディック・リポート」 ディックの生涯って、こんなに酷かったのか…… 双子の妹と生後40日で死別。両親の離婚。幼児期に祖父から虐待を受ける。それらのトラウマ。 チャールズ・プラットによるディックへのインタビュー、邦訳長編の全作解題、巻末年譜。作品は読んでいてもディック研究は不勉強だったワタクシには、色々面白かったです。 ディックを読みこんで長い方々(SF作家諸氏の寄稿とか)も面白いのですが、もうちょっと若い世代の寄稿も読みたかったかも。なんて思いました。対談にご出演の中原昌也氏が若い世代の代表ってことなのかなあ? ところで、寄稿者紹介は、ちょっとでもいいから、あった方がいいのでは……(一切ないのだ。)せめて代表作が挙げてあれば、名前だけじゃピンとこなくても「そう言えば」とか思うかも。もう少し「普段SF読む人以外」へのサービスがあればと思いました。そうすれば、ディック入門として使えるよ、って、初心者(?)にオススメも出来るのに。……勿体無いなあと思いました。(文句たらたらで済みません。) 関連小説ガイド「ディックの影響を受けた、かもしれない作家たち」(中野善夫)は興味深かったです。 評論「神はどこにいるのか:断章」(東浩紀)は、のってきたかな、てとこで終わり……続きが、とっても気になります。 |
| 2002/12/20(Fri) ・・・とりこ |
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●山名沢湖「ユキノヒBOOK」/講談社「なかよし増刊ふゆやすみランド」掲載/2002年 「ユキノヒ図書館」と「ユキノヒBOOK」のショートショート×2本。両方で22Pなので、案外しっかり読めます。スバラシイ。 雪の日 と始まる前者は、本好きのイワナミくんとみすずちゃんが、とある雪の日に、出会うお話。中学1年生かなあ、このウレシハズカシなお二人さんは。 「この本! すげー! レアじゃん! 超読みてー!」 そして、続いてはヤハリ本好きのナツメくんと、さえらちゃんのカップル。 デートはいつも 本屋 図書館 古本屋 本好き男子ってス・テ・キ! ひゅー!(いやはや……) まあ、両作とも、イカ漫画の定番たる「察しのよい男子」抜きには、成立しえないラブではありますけれども。(※) そーいや先日掲示板(「ミズウミ電報」共用)で少々話題(?)になってた「恥ずかしくない少女漫画の買い方」ですが 「店員さんに「●●って本、どこにありますか?」と聞いて、持ってきてもらって、そのまま買う」てのが有効らしい。成程。ネット通販も良かろうとか。ナルホド。 いっそフェイスガード着用して、変装するってのは、どう? (ダサっ。)←……。 掲載誌の「なかよし増刊 ふゆやすみランド」はA5サイズ。分厚いです。前半4分の1くらい(p127〜)に載ってます。520円。 読んでお気に召した向きには、1月6日発売「いちご実験室」、超プッシュいたします。こういうのご期待いただいて、間違いないです。マジで。 (※)…12/22追記。 ◆また改めて書きますが、「いちご実験室」は、主役少女ミソラちゃんが、メガネ&白衣の科学青年「ハカセ」の実験室に入り浸り、ハカセの数々のトンデモ発明品と、うんぬんかんぬん……という漫画。販促ページイラストの黒ネコくん、背中にぜんまいがついてますが、そういう次第。つまりロボ。 |