2003年6月

2003/6/1(Sun) ・・・とりこ
山名沢湖「でりつま」第2話/「つづく・しずく・しずか」

ぼやぼやしているうちに、イカ漫画新作ラッシュがスタートしております。6/11発売の「まんがライフオリジナル」にも初登場とのこと、「いちご実験室」刊行以来、読者は嬉しい悲鳴…初めて買う雑誌もいろいろで、売り場をウロウロしたりしております。
出てる分から大急ぎで感想を書いてみましたYO!(^o^)丿

●山名沢湖「でりつま」第2話(「エース特濃Vol.2」掲載/角川書店)

各地で衝撃を呼んだ(?)「幼児ガオの団地妻」こと、主婦・ももえさんの萌え萌えシリーズ第2話。1Pマンガ×8本=8P、という、毎度たいへんコストパフォーマンスのよろしいマンガであります(結構多く読んだ気がするのに、切り抜いてみると数枚しかないんだよー)。

さて、今回のお題は「デンワ」。主婦3人ムスメこと、メガネ&のっぽの女教師すみこさん、ちょっぴり斜めなフリーライターたまよさん、そして専業主婦ももえたん。三者三様のデンワ絡みのノロケに…きいっ(←チガウ)。

前回より更にスゥィート度UPしてます。てか、つい「実話?」とか「あ、これ、アタシもやったさ〜」なんて言いたくなる、のんびりほんわか&「甘酸っぱ!」なネタでいっぱいです。

でも、それだけに終わらないイカマンガ。「デンワ」という不便なコミニュケーションツールだからこその萌えに発展させてあるのでした。山名色がガッツリ仕込まれたラストで落ち。イエー。次回掲載もとっても楽しみです!

●山名沢湖「つづく・しずく・しずか」(「コミックZEROSUM 7月号」掲載/一賽舎)

「ゼロサム」初登場。雑誌の表紙に小さいカラーカットが掲載されております(ワタクシは初めて買う雑誌だったので、これはたいへん助かりました)。

梅雨てことで、ちょっぴり憂鬱な水玉時間から物語はスタートします。パラレルな展開がある一点で交錯する、少女・ミーツ・少年(&少年・ミーツ・少女)の不思議ファンタジーです。
ところでこの冒頭、ワタクシはどうしても谷山浩子「水玉時間」を思い出さずにはいられないのでした(この曲、めっちゃ好き!)。

前半の「無色」から、後半は元気いっぱいなタッチに転調します。可愛らしくリズミカルで、どこか陸奥A子を思わせる(とワタクシは思った)。
あんまり書くと読む楽しみがなくなっちゃうし、まあ、読め、と言うことで。
ハッピーを孕むラストは梅雨のうっとうしさを吹き飛ばし、明るい夏を予感させます。夢が続く物語で、とっても楽しかったです。「アワーズライト」のイカマンガをご愛読の向きは、要チェックですYO! 

その他、ゼロサム掲載作では夢路行「モノクローム・ガーデン」(第7話)も、たいへん素敵でした。
梅雨のうっとうしさの中、ふと一筋の爽やかな風が…という物語は手堅く既視感もあるものなのですが、語りかた、雰囲気で、ああこんなにも。
幻影を否定せぬまま送るこのラストは、とてもとても素敵です。

ところで「つづく・しずく・しずか」と夢路作品、要素だけ抜書きすると「梅雨」「日常と地続きの不思議ワールド」「バス」まで重なる、ニモカカワラズ、全然かぶっていない(てか、全然違う)。
意図されたものではないと思いますが、結果的にちょっぴり競作めいていて、相乗効果があります。うむう面白いなあ、と思いました。

2003/6/22(Sun) ・・・とりこ
「田中一光回顧展」/「舟越桂展」 ミニレポート

◆「田中一光回顧展」 於 東京都現代美術館(開催中)

昨年1月に急逝した、デザイナー田中一光の回顧展。まだまだ現役で、第一線で活躍しておいででしたので、ファンとしては、今でもとても残念なのです。
展示を観て、変わらぬスタイリッシュさと制作年におどろく、の繰り返しでした。「田中一光は初めから新しくて、変わったのは時代なんだなあ」という印象。
安藤忠雄デザインの展示空間は、ペットボトルが多用されてて実にナルホドでした。

フォントの鋭さ、配色の鮮やかさ、際立ったセンス、いま街中で見かけても何の違和感もなく「へえ、カッコいいポスターだな」と感じるだろう作品が、見ると1972年制作だったり。
見覚えあるロゴの数々に「これも田中一光かあ!」と改めて感じ入ったり。

例えば西武百貨店の包装紙、緑と青の円形のあのデザイン=田中一光、てのは有名だけど、同時にセゾン・グループのデザインも手がけていて、つまり「Loft」のロゴも「SAISON」のロゴも「無印良品」のロゴも田中一光の作なのでした。多才、多芸さに、本当に舌を巻きます。

竹中工務店の広報誌「Approach」も展示の最後に、ショーケースの中に4冊展示されてました。中が見られない展示なのは残念。

ところで、カタログは3800円。高い! ブ厚い! 重いよ買えないよ!( iдi )  
でも、帰宅後、ヤッパリ欲しくなってきました……会期中、もう1度行って、今度は買ってこようかなあ、なんて思ったり。

2003/6/28(Sat) ・・・とりこ
「田村セツコ&水森亜土」展/「田村セツコ サイン会」ミニレポート

キュート・ハッピー・ちょっぴりセクシー!
田村セツコ&水森亜土展 70’チック プチレトロワールド

(於 弥生美術館

上京中のイカちゃんと一緒に、「田村セツコ&水森亜土展」を観に行きました。
たいへんな見応えでした。少女パワーに魂を吸い取られました。帰り際のイカちゃんの「オレたち、あと30年はこのまんまでもいいんだね!」とのコメントが心に残ります(ホント、心強いさ!)。

まずはセツコ作品の展示から。
モダンな配色からカントリー調まで、女の子・女の子・女の子。くるくる髪の毛、でっかいリボン、ワンピース。水玉、お花のもよう、赤白の縞々くつ下、ほっそりと平板なボディ、ぱっちりまつ毛、ふわふわ。「チェックのおしゃれ」!(あばれる)
あ、でも、最初期の原画はちょっとつのだじろうの絵みたいでした(笑)

1960〜70年代の活躍の程は、展示室中央の膨大な「セツコグッズ」の山に実に顕著にうかがわれました。本来はアクセント的存在の筈の「おしゃれページ」が、連載マンガ陣を差しおいて「なかよし」の表紙を飾ったり。
サンリオ「いちご新聞」創刊号から11年連載され、現在も続く「HAPPYおばさん」は知名度高いし(ハウス「フルーチェ」TVCMでも起用されてたし)、ワタクシと同年代までの女子なら、セツコ文具に見覚えがない方は皆無の筈。

展示の中に、見覚えのあるハンカチを見つけてビックリ。箪笥の奥の、母の若かりし頃の「大切なあれこれ」の中に入ってたアレだー。セツコさまの絵だったとは存じませんでした(帰って確かめたら、ちゃんと「SETSUKO」とありました。勿体無くて一度も使わずに取ってあったんだとか)。

「毛糸で作った三つあみよ、かわいいでしょ!」なる、2次元だと可愛いけど、実際にできるの…?? てなおしゃれ提案(「おしゃれページ」原画の中の1つ)、母に話してみたら「ああ、やったわね!」。

聞けば、キャスケット帽から、毛糸で作ったうそっこのお下げを2本垂らしたりしてたんだとか。おお、それならありそうだし、可愛いかも。

2Fに回ると、亜土たんの展示。バイオグラフィは興味深かったです。周囲を愉しませる天性のエンタテイナー・亜土たんのルーツが、実にナットクされました。
一人っ子で、たいへんな芸術教育を受けて育ったとか。左利きを右利きに矯正したため「両手描き」が可能になったとか。

同時代の田村セツコとの最大の違いは、エロティシズムから逃げていない(てか、むしろ好んで追求している)点。
描かれたオンナノコ(男の子も)、すべからくぷりぷりでムチムチ。特にお尻(おなか、おへそ)へのこだわり。

例えば「月曜日はダメよ」というタイトルの絵は、ボクシンググラブ嵌めたセーラー服の、見返りノーパン少女。一体、どんなシチュエーションですかソレは……?? お色気の方向性がちとマリリン・モンロー的な気配なので、男性は案外ひくかも? なんて思ったり。

サインペンで書き飛ばしたような軽いタッチのイラスト群、洒落てて、ぷりぷりで、セクシーでキュートで、とっても可愛かったです。

◆田村セツコサイン会 ミニレポート
(2003年6月28日(土)/於 弥生美術館)

イカちゃんと行った日に買いそびれた、オリジナル限定絵本が、後からどうしても欲しくなり、週末、再び根津へと足を運んだのでした。(全部で6種類ほどあったと思いますが、中でも、ぶっ飛び乙女チックで超キュートな「ぺっちゃんこのカンカラ」と、「コレは実話ですかセンセイ!」てな「ショッピングカーちゃん」の2冊。もう、可愛いんだよう!)

美術館に到着すると、いつも人影少ない(スミマセン)弥生美術館が、満員御礼の人だかり。「最終日とはこういうものか」と思いつつミュージアムショップへ向かうと、奥から姿を顕したのは、せ、セツコセンセイご本人……! 要は、サイン会が開催されていたのでした。

リアルセツコさまは可愛らしく、とてもステキな方でした。白黒格子柄のワンピに、手ずから「ふくらんだ袖」をつけ足された模様。長い白手袋もお召しでした。「あら、でもね、ユザワヤで買ったビーズなのよ!」 このおしゃれ魂!
それらが、どんな風にお似合いか。「ああ、写メール付の携帯を持っていれば!」と打ち震えるワタクシ。先日、靖国神社で鳥肌実氏のご登場に居合わせた時もそう思いましたが、無念さは10倍どころでは。

これも運命、と2時間並び「おちゃめなふたご」(ブライトン/ポプラ社)に、がっちりちサインをいただいて参りました(※サスガに画集の2度買いはつらかった……そうと知ってれば持っていったのに!)。

セツコ先生は、ファン一人一人に、とても丁寧に時間を割いてくださいました。小学3,4年生くらいの女のこを連れたお母さんが私の前に並んでいて、センセイはとても嬉しそうでした。いいなあ。

この日は、偶々行きがけに乙一のサイン本を入手していたので、奇しくも一日にサインを2つも手に入れることとなりました。そういう日もあるもんだー。

2003/6/28(Sat) ・・・とりこ
S-Fマガジン 2003年7月号

●「S‐Fマガジン 2003年7月号」/早川書房

◆冲方丁「マルドゥック・スクランブル“104”」…+2

序盤、ヒロインの言動がお人形さんじみてるなあ、とか、どうも主張がお仕着せに感じられたり、などもあったのですが、中盤〜ラストの駆け抜けるようなボルテージは快感でした。読書って娯楽だね! 読んでて熱くなること間違いなし。

なんだか既視感があるのですが、これは米国が舞台のアクションもの(アクションかどうかビミョウだなあ、コロンボものとかパレツキーとか、R・B・パーカー、P・コーンウェルとか、あのへん)を多く読んでいると感じるものかもしれません。「いかにもアメリカ!」ってカンジのハリウッドなテイストのキャラ、エンタテイメントっぷりに起因するかも、と思いました。

矢継ぎ早に繰り出され、ぐいぐい飛ばすスピーディな展開。山あり谷あり、あっという間に持っていかれます。面白かったー。やっぱ、ウフコックとボイルドには萌えずにおられまてん。

◆元長柾木「デイドリーム、鳥のように」…+0

リーダビリティ、奇妙な狭窄感、世界設定や思わせぶりな文体、こういうエンタテイメントもあるんだなあ、と興味深く読みました。

ただ、言葉にしづらいある種の違和感が……女子なら気づくと思います。主人公に対してというより、主人公の擬似恋人クンと主人公とのやり取りへの違和感かも。なんだかね、「嫌よ嫌よも好きのうち」というアレの間違ったカンジというか。むしろ思いっきり「嫌」そうに描かれてたらおおいにナットクしたと思う。

◆吉川良太郎「ぼくが紳士と呼ばれるわけ」…+1

楽しかったです。「マルドゥック」は米国で、こちらはおフランスが舞台……でも、あんまりワタクシの思う「おフランス」ぽくはなかったなあ。
イワユル「獣人」モノがお好きな向きは、きっとお気に召す筈。平井和正好きとかにオススメしたいです。
同キャラで同世界の続編、また読みたいなあと思いました。

にしても、「アル」って愛称、そのアルなのか。そかー。(笑)

◆西島大介「ジョージ・アダムスキー連続体」…+0

西島さんの絵、とっても可愛かった! (^o^)丿
でも、放り投げっぱなしのラスト、イマイチナットクできなくて+0。ここ、断言してもしなくても変わらないのではないでしょうか……なら、断言しないメリットって何だろう? とか思ったのでした。

◆長谷敏司「地には豊穣」…‐1

絶えず脳内で文章を補完しながら読まねばならず、読みづらかったです。1行1行の間が繋がっていないというか。

そうそう、「ミフネ」をティラノの横で展示云々というアレは、熊本の白亜紀層に「御船(みふね)層」というのがあり、コレがネタ元なのでは、と思います。

「デイドリーム」に+0をつけたいので、相対的に-1の採点になりました。アイデアはイーガンの「しあわせの理由」や「順列都市」にも通ずるものがあり、問題提起や着眼点は面白いなあと思いました。
でも、主人公の価値観が一瞬で覆される場面、ここ、ちょっと納得いかないです。そんなカンタンなことかなあ?


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