つれづれなるマンガ感想文5月後半

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一気に下まで行きたい



・「むっ尻娘」 さつき優(2001、双葉社)
・「B.A.D」(2)〜(3)(完結) 鈴木ダイ(2001、秋田書店)
・「コミックバンチ」3号(2001、新潮社)
・「コミックバンチ」2号(2001、新潮社)
・「リイドコミック爆」7月号(2001、リイド社)
・「アワーズライト」7月号(2001、少年画報社)
・「アワーズライト」6月号(2001、少年画報社)
・「アワーズライト」5月号(2001、少年画報社)
・「アワーズライト」4月号(2001、少年画報社)
・「アフタヌーン シーズン増刊 No.7」(2001、講談社)
・「週刊少年チャンピオン」26号(2001、秋田書店)
・「コミックまぁるまん」7月号(2001、ぶんか社)
・「週刊少年チャンピオン」25号(2001、秋田書店)
・「コミックバンチ」創刊号(2001、新潮社)





・「むっ尻娘」 さつき優(2001、双葉社)

アクションヤングと漫画アクション掲載。成年コミック。尻研究家・猿田紋二郎が、毎回「究極の美尻」を求めてさすらう1話完結モノ。「漫画アクション」では巨乳マンガが多い中、「尻担当」(?)だった作品。なんというか「悩んでいる美女たちを、セックスで癒したり自己変革をうながしたりして去っていく」という、昔っからあるエロコメのパターンを踏襲しているんだけど、出てくる女の子はカワイイしこういうのはいつまでも残っててほしいと思う今日この頃。
それと、毎回女の子側からの描写ではじまって、そのたびにその女の子の身近な職業に就いている猿田、というパターン、好きなんだよねえ。
(01.0531、滑川)



・「B.A.D」(2)〜(3)(完結) 鈴木ダイ(2001、秋田書店)

月刊チャンピオン連載。BRAINのあきら、ARMORの蘭紅蓮(ラングレン)、DISCHARGERの断道(ダンドー)が組んで「始末屋」稼業を始めようとするが、あきらがさらわれてしまう。蘭紅蓮と断道はあきら救出のために立ち上がる。

チャンピオン独特のテイストである「ヤンキー+SFアニメ調」を全面展開した作品。「ヤンキー調」というのは、私が考えるにどうしてもドラマが浪花節に流れてしまうということで、ここではたとえばどっちかというとマニア誌の掲載作品に感じられるクールさは望むべくもない。けれど、結末になだれ込む過程ではちょっとしたアイディアが盛り込まれていたりする。
(01.0531、滑川)



・「コミックバンチ」3号(2001、新潮社)

新連載2本。「ガウガウわー太」梅川和実は、獣医の息子が動物の言葉がわかるようになり、なんじゃのかんじゃのというコメディ。「男たちの好日」城山三郎、ながいのりあきは、明治の終わり頃? の起業家である牧玲睦の伝記もの。個人的には伝記ものは好きなんだが、この人が実質的に「何をやったか」の説明がなくてもいいものか。第1話を読んだかぎりでは「何をやったかわからない人の少年時代」を読まされるという、なんか中川いさみのマンガを読んでいるような気に、少しなったんだが。ちなみに「日々是好日」という言葉で有名な人らしい。代ゼミのスローガン「日々是決戦」ってここからとったのかな。
「蒼天の拳」原哲夫は、まあだいたいやりたいことはなんとなく読めてきたような感じ。面白いからいいが……。もう少し飛躍してもいいかなあ。
(01.0530、滑川)



・「コミックバンチ」2号(2001、新潮社)

創刊号発売から一週間が経ち、マンガ感想サイトなどネット関係をざっとまわってみた。冷笑する者あり、「おっさんくさい」という者あり、「面白い」という者ありで意見はいろいろ。まあ読もうという人は毎号でも買うだろうし、読まない人は鼻もひっかけない雑誌だとは思う。問題はその「読もうという人」が何人いるかということなんだけど、けっこう売れてはいるみたいだ。

2号まで読んだかぎりでは、どうしても「往年のジャンプ」のにおいが強すぎる……というより、これが本誌編集長のカラーなんだろうね。ジャンプ時代からの。そして作品レベルは高いと思う。はっきり言って、これが「中堅」パワーというものではないかと思う。
読者が明確に「あ、この人だ」と手の内を知ったうえで作品を読む場合、新人よりずっと不利なわけだし、またジャンプ的なマンガというのは作家の内面の変化がどうこうってモノでもないんで、パターンが読まれてしまうのはかなりのマイナス。だから、本誌を「ワンパターンである」という意味で批判するのは、「中堅作家」の存在自体を否定するような気がしてならない。手の内を知ったなら、あとは「味」を楽しむのも鑑賞のしかたのひとつだと思う。
けっきょく、似たようなキャリアの作家を起用している「スーパージャンプ」との戦いになるんじゃないでしょうか。
戦略の意図はわかりませんがギャグマンガがない。ここらで思いきって、尾玉なみえとかをひっぱってきたら個人的には盛り上がるんだが。

さて、「蒼天の拳」原哲夫、監修/武論尊はマンガとしての面白さを堪能させてくれるものの、個人的に気になっていた最大の見せ場がない。そう、「北斗」で最大のインパクトを与えた人体爆発のシーン。おそらく史実をベースにした作品にそぐわないということと、ドラマ重視ということで意図的に入れなかったのではないかと思うが、そんなこと気にしちゃイカンと思う。
「現在大無職 再就職活動中 山下たろーくん」こせきこうじは新連載。肩を壊して野球をやめてしまったたろーは、サラリーマンになるもリストラにあってなんか廃人みたいになっている。草野球に飛び入り参加するうちに、かつての闘志が目覚めて……という話。最初「ケッ」とか思ってたけど、だんだん引き込まれて不覚にもちょっと泣けた。
「ターキージャンキー」にわのまことは、ヴァーリトゥードやPRIDE全盛にあって、「見せるプロレス」を実践する滝念五郎の物語。まあこの作者なんで大ハズレということはまずないと思うが、なんか「いつものやつ」って感じにおさまる危険なきにしもあらず……。基本的には好きですけどね。出てくる女の子が、あくまでも色っぽい系なのがイイ。
(01.0528、滑川)



・「リイドコミック爆」7月号(2001、リイド社)

こいずみまりが今月から3号連続、集中連載。また、来月には山本直樹と三山のぼるが描くらしい。

「レネゲイド」中山昌亮は、謎の人物から殺しを依頼されストーキングされ続けている男が、殺せと言われた女性とともに謎を解こうとする。当然(?)、その女性も謎の人物に監視されていた。
ストーカーを扱ったマンガは最近多いが、これはちょっと出だしから面白い展開。
「青春! 轟厨房」市川智茂は読みきり料理マンガ。学食の料理人・万平と、自分の娘には自分の料理しか食べさせない傲慢フランス料理人・ロバート鈴木が対決。出てくる料理もおいしそうだし、展開にもひとひねりあってけっこう面白い。市川智茂ってヤングマンでも漫画アクションでも見かけたけど、もしかしてすごい売れてるのかなァ。
「パート退魔(タイマー) 麗」矢野健太郎では前作「コットンプレイ」のヒロインだった琴美がわりとちゃんと登場。セルフツッコミが入ってましたが、今回の妖魔はあまりにベタなデザインのような気が……(^^;)。いろんな趣向はこらされてますね。
「カマキリン」石山東吉。「近未来ヤンキーバイオレンス」。
鎌樹倫祭夏彦鬼龍院千秋重杜剛太路以抜軌、など、名前を見ただけで盛り上がってくるヤンキーマンガだ。すばらしい。
(01.0527、滑川)



・「アワーズライト」7月号(2011、少年画報社)

「エビアンワンダー」おがきちかが新連載。旅する姉弟を描いたファンタジーもの。「純粋! デート倶楽部」石田敦子は、毎回本当に素晴らしい。「妄想戦士ヤマモト」小野寺浩二も素晴らしい。
(01.0527、滑川)



・「アワーズライト」6月号(2001、少年画報社)

・「恋愛ディストーション」 犬上すくね

「好きな相手の何げない一挙手一投足がいちいちツボに入ってしまう状態」、名付けて「チャームの魔法」。さまざまな場面でツボに入ってしまう大前田くんだが、

「濡れ髪 そしておさげ」

……というのには参ったよ(笑)。ツボ入った。確かにオチに持ってくるならコレだね。参った。

・「紺碧の國」 水原賢治

今回、少年たちの圧倒的な支持を受けながらも、小説誌の編集部には「わけわからん」ということで打ち切りになった小説「ZONE」の内容が明らかになる。
これがねー、独特の「恥ずかしさ」があって、なんつーかたとえば「ノーライフキング」であるとか「少女革命ウテナ」であるとかにイタイ感動をしてしまった少年少女の感想をかいま見てしまったような気分になる。
でも前にも書いたけど、本作はどうも「ただのイタイマンガ」ではないんだよね。象徴性の高い作品が比較的多く載る本誌の中で、かなりのストレートな表現を用いている=イタさにつながりやすいんだけど、それだけではないところに行き着きそうな気がする。これを「不器用だけど誠実」などと言ってしまえれば簡単なんだが、この作者は決して不器用じゃない。
実に不思議な感触を持つマンガ。

・「Humming(ハミング)」 山名沢湖

読みきり。女の子の、子供の頃にもらったくまのかたちをした「たいせつなものをしまうカバン」。あらすじを説明してしまうとぜんぶ説明してしまうことになるのでしませんが、ラストは意外でもあり、なんか毅然としててイイです。

・「水窓(みずまど)」 おがわさとし

読みきり。ある朝、カッパのように頭に水のお皿ができてしまった鏡子。これもあらすじを説明するとネタバレになってしまうのでしないけど、イイなあ。
(01.0527、滑川)



・「アワーズライト」5月号(2001、少年画報社)

・「恋愛ディストーション」 犬上すくね

今回は「デブ専で彼氏を『お兄ちゃん』と呼ぶ女の子」が登場だ。うん、ツボつかれまくりの殿方も多かろう。

・「ハニー・クレイ・マイハニー」 おがきちか

短期連載最終回。終わっちゃった……残念だなァ。ここまでくるとどのような結末でもハッピーエンドなら許せる感じ。で、実際そうなった。うまい。

・「ひねもすヨメ日記」 ひぐちきみこ

カワイイ4コママンガ。表紙は「パワーパフガールズ」ですね。

・「絶望男は希望羊の夢をみるか?」 あびゅうきょ

読みきり。簡単に言えば「ダメ人間(つーよりダメ男)が励まされるがやっぱりダメなマンガ」なんだが、その執拗なまでの描き込みとは対照的な脱力モノのオチは実に素晴らしい。昨今「ダメ」を描く作品は多いが、あびゅうきょの「ダメ路線」は新たなダメの地平を切り開いたといっていい。すごい。
(01.0527、滑川)



・「アワーズライト」4月号(2001、少年画報社)

あまりにも雑誌の刊行ペースが(私にとって)早くて、読むのがとうてい追いつかない……。7月号が出たので一気に読んで、と思ったがけっきょくかなわず。

・「紺碧の國」 水原賢治

途中から読んだから、(個人的に)ずっとよくお話が見えないまま。だけど、思春期の傷つきやすい心情というかそういうのを表そうとしている……んではないかと思う。一歩間違うとすごくイタイマンガになっちゃうと思うが、絵は細密ながら見やすいしコマ割りやセリフの流れなんかもとてもわかりやすい。要するにプロ仕事だと思うんですよね。そういう意味ではすごいんじゃないかと思い始めた。

・「純粋!デート倶楽部」 石田敦子

「失われつつある『トキメキ』」を提供するビジネス「純粋デート倶楽部」の物語。駆け引きでもゲームでもない、契約としての恋愛を演出する。

今回は「片思いの相手をずっと陰で見ていたい」という奇妙な依頼。ああ、これもすっごいいいなあ。石田敦子は本作で気になって「あかりミックス!」や「いばら姫のおやつ」を読んだけど、今月号の時点までということで言えば(まだその先を読んでいないので)本作が最大の傑作だと個人的に思っている。突っ込んでいったらドロドロになりそうな心情を、1話完結でスマートにまとめていると思うので。

・「ハニー・クレイ・マイハニー」 おがきちか

短期連載第4回。SFおしかけ女房モノカテゴリ。掘り出されたハニワが女の子に変身する。
コレほんとすばらしいわ。言葉はいらないね。連載第1回目のときにこまごましい感想書いたけど、そんなのいらないよ。いつまでも読んでいたいマンガ。

・「暴流愚(ぼるぐ)」 芦田豊雄

新撰組に入隊した謎の外人用心棒の話。うーん、この人の描く戦闘シーンはいつもカタルシスがないなあ。絵柄のわりには残虐ですね。
(01.0526、滑川)



・「アフタヌーン シーズン増刊 No.7」(2001、講談社)

ほぼ毎号買い続けてきて、本誌のノリを理解できるようにもなり、読みきりでも面白いのがけっこう載るのでお気に入りの雑誌となった。なんかウレシイ。大学のサークルに入ってちょっとなじめたような感覚だ。

・「みんみんミント」 士貴智志

コスチュームに疑問を持つとハダカになってしまうという、困った弱点を持つ魔法少女のマンガ。今回はロボットオタクの眼鏡っ子が登場。ノタクラした生きざまをこれでもかと見せつけてくれる。やはりこのマンガは本誌に必要だ。

「G組のG」しんえもんは、あまりにもノリと絵柄が某作家に似てないかー? と思っていた4コマ。でも今回はそうとう面白いなあ。「ラブやん」田丸浩史は連載になってますます無意味化・ダメ化が進んですばらしい。今回はラブやんの後輩・ミノっちが登場、「どちらが早く片思いを成就させるか」で勝負する。ロリコン男の勝敗なき不毛な戦い。すばらしい。「神戸在住」木村紺は、番外編で阪神大震災から1年、ボランティア仲間がひさしぶりに集まったときの話。しみじみするイイエピソード。

・「日陰のアタッカー」 カジ モリエ

本誌5号で「ケッタマシ〜ン」という、死んだ彼氏が自転車に乗り移ってしまったという奇妙なラブストーリーを描いていた作者。今回は、あんまりストーリーをバラすとアレだが、バレー部の女子とたぶん帰宅部の男子の話。
女子バレー部のエース・定岡から告白されて付き合っている松川。定岡はバレーの練習が忙しく、あまり会えないところに手伝って決して裸を見せてくれない。ひたすらに自分の都合で相手を振り回す定岡と、振り回される松川の対比が実に面白い。我を突き通す・通されることによるすれ違いをヒョウヒョウとした感じで描いている。個人的には前作より好きかな。

・「67000(ロクナナ)」 神原則夫

さえない中年男の西田は、妻と娘にいつもバカにされている。ある日、彼はイカれた娘に6万7000円で売りに出される。売られた先にはカウンセラーの女性と、盲目の小さな娘がいた。
簡単に書くと陳腐になってしまうが、疑似家族の話。似たようなストーリーはどこかにあるかもしれないが、ギャグっぽい筆致とどこまでも俗物っぽい西田(カウンセラーとヤリたいヤリたいと思い続けるところなど)の描き方が独特な味を出している。なかなか感動的。

・「勝ち抜き・ギャグ大喧嘩」

アンケートハガキで4コマ作家を勝ち残らせる企画らしい。今回は「世迷い言あらかると」浅原一正がいちばん面白かったかな。どこかとぼけた味わい(紋切り型の形容でスイマセン)。
(01.0526、滑川)



カンケイない話ですが、ビデオとか見てるとそのままマンガを読む分量が減りますな。

・「週刊少年チャンピオン」26号(2001、秋田書店)

次週から新連載攻勢で、「無限のリヴァイアス」の脚本書いたヒトが原作のとか、ピエール瀧と漫・画太郎のコンビとかが始まるらしい。

・「バキ」 板垣恵介

なんじゃあ、こりゃア!! う〜ん、あまりに納得行かない展開だなァ。まあ愚地独歩に対する感情移入度で評価は変わってくると思うが……ちょっとぶっとび的展開っていうか、作中のリアリズムをすでに飛び越えてしまっているような気がするが。

・「エイケン」 松山せいじ

美少女ばかりの謎のクラブ「エイケン部」に入ることになった少年の話。連載第4回目にして、早くもおれの中でフリークス的美少女マンガとしての地位が不動に。今回は中国人とイギリス人のハーフ、グレース=鈴のエピソード。
この子の不自然すぎるパンチラ、頭のおだんご(なんていう髪型だっけ?)の奇形化したデカさ、先人たちが編み出した手法の、誤解の集積であるかのようなトーンワーク。お話もあまりにあまりな内容。いやけなしてるんじゃないって。読み飛ばされるようなモノよりはよっぽどいいですよ。それがチャンピオン魂ですよ。

・「ブービー中坊伝」 足立トシノブ

2週だか3週だか、連続して掲載された1話完結のギャグマンガ。脳内麻薬でっぱなしの中学生のバカぶりが出ていてイイと思う。ラストはちょっと「浦安鉄筋家族」っぽかったけど。
「ファントム零」小宮さなえ、野々村秀樹は最終回。意外にアッサリ終わったなって印象なんだけど、単行本4巻ぶんはやったんだね。あとはあいかわらず「ななか6/17」八神健がいい。
(01.0525、滑川)



・「コミックまぁるまん」7月号(2001、ぶんか社)

巻頭グラビア、藤川のぞみ。あと浅田りょうとか。

「新出動! ミニスカポリス」岡田正尚は、ピンチを切り抜けるためにスケベなことをしなければならないというパターンのエピソードなんだけど、イキナリ性器そのものを見せるってのが直接的。まあいつもこんななんだけど。「聖魔(せま)ってミーア」宮本たつやは、人間の男に惚れた美少女悪魔のミーアの話。SFおしかけ女房モノカテゴリ。最初モテない設定だった主人公のもとに、次々と美女が群がります。「極楽貧乏カンパニー 大貧民!!」川尻よしひろは今回で最終回。作中、本宮マンガをチャカしてる。このヒトって、絵柄からして本宮ひろ志の元アシスタントだと勝手に思ってたけど違うのかな。「戦うメイドさん!」西野つぐみは、3人のメイドロイドが過ごすそれぞれの1日を描く。なんと形容していいかわからないんだけど、いい意味で70年代末から80年代初頭の少女マンガか、あるいはそれの影響を受けたSFマンガって感じですごくイイ。
(01.0525、滑川)



・「週刊少年チャンピオン」25号(2001、秋田書店)

・「バキ」 板垣恵介

ドリアン戦決着、してねーじゃん! 先週私が長々書いた「まとめ」はなんだったんだー。結局最後まで「どこまでもキタナイことをするヤツ」というキャラクターで通すらしい。だがここまで来るといいかげんウザくなってくるというか、本当に早くやられろよドリアン! おれ的には、柴千春とかにやっつけてもらいたいです(小学生の感想モード)。
正直、ちょっと今後の予想をするのもアホらしい展開です。今週号の「バキ」を読んでから、他の作品を読む気が失せました。
……で、気を取り直して、

「家族のオキテ」沖田龍児は新連載。札付きの問題児が、保護司の女性の元で、他の問題児とともに「家族」として共同生活をすることに。他のヤツらはキャラクターがまだはっきりわからないが、見たところ単なるツッパリとかばかりじゃない模様。作者は私の知るかぎり「近代麻雀」でヤクザの親父と義理の小さな娘の親子関係を描いた人情コメディをやっていた人。前作を見るかぎり、今後が楽しみ。
「虹色ラーメン」馬場民雄は、「二杯以上のラーメンをつくる」話。「急かされてラーメンをつくってものすごいプレッシャーに」っての、すごくよくわかるなァ。だから食べ物屋さんはたいへんなんだよね……。腹減ると気が立つしねー。ドロナワサービスって感じでウェイトレスの女の子がメイド風なのがワビサビか。
「エイケン」松山せいじは、エイケン部でいちばん小さい女の子(でも乳はデカい)の話。けっきょく「エイケン部」ってなんだかわからないままずっと進むのかなー。「ザッショノ学園」というネーミングといい、どうもなんだかよくわからないです。主人公を「お兄ちゃん」とか呼ばせてます。やはり妹ブームなのか。兄くん。
「がんばれ酢めし疑獄!!」施川ユウキは4コマ。「出題者」というシリーズは、マンガで「一人ごっつ」をやってみたいという意志のモノか。私は好きですが。
「ななか6/17」八神健は、本当に面白い。修学旅行中に本来の年齢の人格を取り戻したななか。6歳の頃の記憶は失われてしまっている。彼女は、その間にオトナになった幼なじみの稔二を見直す。しかし、稔二の方は17歳に戻ったななかになじめない……。バイプレーヤーの雨宮さんもイイ役割を果たしているし、いいよなあ。ただ「萌え」とか言ってるだけだと大事なものを見落とすような気がするぜ。
「ブービー中坊伝」足立トシノブは再登場の読みきりギャグ。頭の悪い中学生が頭の悪い行為を繰り広げるという「稲中」的なマンガなんだけど、これは私、好きです。中学生の「脳内汁」が恒常的に出ている感覚をよく表している。
(01.0518、滑川)



・「コミックバンチ」創刊号(2001、新潮社)

(以下、「ゲームセンターあらし」調のナレーションで)「世はまさに続編マンガ戦国時代! そこにまたひとつ、新雑誌が名乗りをあげようとしていた!」

ガカッ(稲光)

……ということで、フード付きマントをかぶった男たち(顔は影で見えない)が崖の上に立っているような印象の雑誌です。

「週刊プレイボーイ」ではかなり前から「キン肉マン2世」がやっており、漫画ゴラクでは「銀牙」の続編、あるいはコンタロウや田中つかさといったジャンプ出身者の起用。そして「スーパージャンプ」や「オールマン」のなりふりかまわぬ続編攻勢。正式名称は知らないが、80年代ヒット作品のコンビニ流通を主眼とした単行本の発刊。

本当に世は続編マンガ戦国時代です(とくに80年代ジャンプの)。

私自身はたとえばクイックジャパンなんかが思い入れる感じの100分の1も「雑誌文化」とか特定の雑誌には思い入れがないクチですが、自分の青春時代とシンクロする点、「マンガ雑誌の有りよう」そのものをエンタテイメント化していたという点で、80年代ジャンプは忘れられない雑誌です。
当時のジャンプは他誌からの移籍組がまったくいない点(今もでしょうが)、すべてが自分のところで育てた作家であるという点、それまでの少年マンガ文化を支えてきた作家をまったく起用しなかったという点などにおいて、実に異常なマンガ雑誌でした。その立ち姿はまさに「リンかけ」の主人公だった姉弟にも重なるものでした。
私は当時から、「こうして新人の新連載を繰り返していくうちに『ジャンプ内中堅作家』が育ち、やがて彼らがこの雑誌を占めるようになるだろう」と思っていました。が、まあ結果はあいつぐ雑誌の新創刊と、ジャンプブランドが青年誌に拡大していったためにそうはならず、週刊少年ジャンプ出身者は他誌へ流れていきました(「ジョジョ」と「こち亀」、鳥山明は除く)。

もともと才能ある作家たちだったので、それぞれがそれぞれの活躍をするのは当然ではありますが、あの頃の「ジャンプ的」なパワーが当時その「集団」によって発揮されていたこともまた否定できません。描いている方はそんな意識はなかったかもしれませんが。集まれば勢いってものが出てきますから。
もちろん編集者とのつながりや意識的な戦略もあるでしょうが、再び「80年代ジャンプ」という群体として打ち出していくことになったのは、あまりにもすごすぎた往年のジャンプを考えるとまた必然だったのかもしれません。

しかし、今までの70〜80年代作品の続編は、読者に失望こそ与えないものの特別な傑作を生みだしたとも言えません。このため、さらに続いていく続編攻勢にうんざりしている読者もいると思います。
けれども、まさに世は「続編マンガ戦国時代」となったのです。読者は「どの続編がいちばん面白いか」を、よりどりみどりで選べるという恐ろしくぜいたくなことになってます。とくに少年ジャンプ出身者に関しては、当時の過酷すぎる人気投票システムが(もちろん現在の連載雑誌でも人気投票はあるでしょうが)、目にみえないかたちで復活したことになるのです(単行本が出て売り上げデータが出ればそれは可視的なモノですが)。

状況的には非常に面白いことと言えましょう。

さて、前置きはともかくこの「バンチ」なんですが、創刊号にかぎって言えば予想以上に面白かったです。北斗神拳が復活した「蒼天の拳」原哲夫、監修/武論尊は(月並みな言い回しですが)単なる続編ではないことを予感させてくれるし、北条司の「Angel Heart」はいい意味で裏切ってくれました(悪い意味で裏切られた読者もいたらしいですが……)。続編続編言ってきましたが、それ以外の完全新作も悪くないし、おおつぼマキはいいポジションに付けていると思います。今後、旧ジャンプ組あり、まったくの新人ありでいろいろ見ものだと思います。が、すべてをすっ飛ばして個人的にひとつだけ提言をするなら、

「必殺技を忘れるな。でないと危ない」

です。実際人気があるらしいんで文句も言えないんですが、「銀牙伝説ウィード」では「銀牙」時代にあれほど頻発した必殺技がほとんどなくなりました。個人的にこれがものすごく物足りない。宮下あきらも「天より高く」では、「男塾」であれほど見られたトリッキーな技をすべて放棄しました。これはこれで長期週刊連載をこなす知恵ではありますが、たぶん同じことをやったらスーパージャンプの「暁! 男塾」はヤバいと思います。
「キン肉マン2世」は飽くなき超人創作と必殺技製造に打ち込んでいるからこそ「キン肉マン」なのであり、唯一80年代からの現役少年ジャンプストーリーマンガである「ジョジョ」は、「新必殺技をつくる」ことからまったく離れていません。
もちろん「バンチ」は青年誌であり、人間ドラマの面白さはマンガの重要要素でもありますが、たとえば今週号の次原隆二作品のような人情ものはラインナップの一環としてはイイけど中心に据えたら雑誌全体がヤバいことになると、勝手に予想してます。

予想がはずれたらそれはそれで雑誌が続いていくんだから、めでたくてイイと思うんですが。
(01.0516、滑川)

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