14 おかしいコトバ、もう負けでいいです

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一気に下まで行きたい






・14 おかしいコトバ、もう負けでいいです(ちなみに、「声に出して読みたい日本語」は声に出さなくても読んでません)

・もうどうだっていいさ……そんなこと

もう何カ月も前になるが、テレビで、お店の店員が「○○円からお預かりいたします」というのと、「こちら、○○になります」と言うのはおかしいと言っていた。
こういう「おかしなコトバ」というのは定期的に話題になる。少し前は、言葉の語尾を上げる「半疑問形」や、「〜みたいな」と語尾に付けること、「〜じゃないですか」と相手にゲタを預けるような話し方も「おかしい」と指摘されていた。

で、私はどうかというと「○○円からお預かりします」の「から」はおかしいと思ってはいた。なぜ「から」が付くのかと思い「お預かりした○○円から、○○円をお返しいたします」の縮まったものではないかと想像をしてみたが、すぐにどうでもよくなった。

・おかしなコトバについて2分くらい考えてみた
こうしたおかしなコトバに関しては、以下の3つのパターンがあるようだ。

・「人との会話のときに出てくるもの」
・会社やお店などの、従業員が日々使っているものでおかしなもの(とくに敬語)
・心理的にムカつくもの

一番目の「人との会話のときに出てくるもの」は、私は別にそれでいいじゃないかという立場である。そういう立場になることにした。今、この瞬間から。
「〜じゃないですか」と「半疑問形」は相手に同意を求める形、「〜みたいな」は断定を避ける表現。大きくとれば、どちらも物事を曖昧にしていく方法だ。
「〜みたいな」は、もっと前は「〜だったりして」というのもあった。要するに、定期的に出てくるのである。

これを完全に批判するには、「物事を曖昧にする」という表現がいつ頃から手を変え品を変え出てくるようになったかを調べ、そこから日本人の心理をえぐり出して見せなければならない。
もうひとつは男言葉、女言葉の境界が崩れたというのもあるだろう。ま、どうせ私がそんなこと考えたって床屋政談になるからいいや。まあ今書いていること自体が床屋政談なんだが。正確に言うと「政談」じゃないか。

この間、タモリが「自分で自分の考えを『なんだろ、なんだろ』と自問自答しながら話すヤツがいるのがイヤだ」と言っていた。これは「相手に同意を得る」ところからさらに内向しているのが面白いが、面白いだけでやめろとは思わない。

二番目(従業員が日々使っているものでおかしなもの、とくに敬語)の成立というのがよくわからない。私も知らず知らずのうちに使っていて、国語学者かなんかが指摘しているのを読んで「そうか、間違ってんだ」と思うことが多い。
マクドナルドなんかにしても、マニュアルがきちんとできているだろうから、いくら敬語が崩壊してきたからといって、そうそうおかしな言葉遣いが出てくるとは思えないのだが。
まあ、出て来ちゃうんだからしょうがない。

で、実はこちらの方もどうでもいいじゃないかと思うんだよね。だって、それで間違っていたからといって、怒られるわけじゃないんでしょ? お客さんに怒られれば直してるよね。商売なんだから。
現に、「こちら○○になります」は、直されつつあるらしいし。

三番目は、厳密には「おかしい」というわけではないが、ムカつく、カンに障る言葉だ。 これもタモリが言っていたが「『等身大』という言い回しがムカつく」そうだ。 他にも「大人の隠れ家」とか、「いつまでも少年の心を忘れない」とか、自己満足的だったりキザったらしい言葉がヤリ玉にあげられることが多い。

これに関しては、用法の誤用なども含むが、結局は使う側、聞く側の感性の問題ということになるだろう。これも、まあ酒飲みばなしのレベルのことという気がする。今、この瞬間そう思うことにした。

・おかしなコトバについて2分くらい考えてみて、やめた
言葉遣いの問題は、「私」と「公」があって、「私」の部分は日々変化しているからある程度変わってきてもいいが「公」の部分はきちんとしていなければならない、というのがもっともシンプルでいいいんじゃないかと思っていたけれど、会社とか仕事の現場でおかしい言葉遣いが出てくるというのは、もうお手上げだ。
だって普通さ、先輩の言葉遣いをマネするじゃん。「じゃん」って、もう呼びかけ口調になっているけど。馴れ馴れしい。
逆に言うと、マネしないと怒る人とかいるでしょ。じゃあもうその人に従うよりしょうがないもん。そういう現場って。

なんでこうしたことに一章立てたかというと、けっきょく突き詰めると言葉は使う本人の美意識に帰結すると思う。
逆に言えば美意識に過ぎないと言える。
それが何で、言葉だけ「これが絶対正しい」って言われて、言う方がすごいいばってんのかなあ、といつも思ってた。
女の子が電車の中で化粧するなとか、そういうレベルの話でしょ。

まあ、あんまり言葉遣いがむちゃくちゃになっても困るとは思うけど、言葉だけ言う方がいばりすぎ、っていう感じはするなあ。
あともうひとつは、「その言葉遣いには心理的にこういうところが現れているから悪い」という理屈か。
一面正しいと思うけど、あんまりしつこく言われるとウザいよねそういうの。
血液型占いを信じている人間がみんなカルト宗教を信じるかっていうと、そういうわけでもないように。

・自分が気になるコトバ
そういうわけで、私はあまり話し言葉に目くじらは立てない方だ。いっつも「ホントはこの言い方はおかしい」とか言っているジジイの言葉遣いを、もう死んじゃったさらなるジジイが幽霊になって指摘したらさぞかし痛快だなどと夢想してはいるが。

そんな私でも、実は気になる言葉遣いはある。
ひとつは「〜しない前に」。「私が生まれない前にすでにその建物は建っていた」とかそういうの。「生まれない前」じゃないだろ。「生まれる前」だろ。

もうひとつは2ちゃん用語。でもあまりにたくさん使う人が多くて、いちいちおかしいと思っていたら私は孤立し、友達もいなくなり、孤独で死ぬと思う。だからみんな使っていいと思う。おれ必死だな。ムリして使ってみました。

もうどうでもよくなった。終わり。
とにかく、どこかコトバがおかしくても、もう負けでいいです。私の負け。ハイハイ、あなたの勝ちですヨと(こういう言い回しの方がムカつくな)。

なお、いっさいの反論は受け付けません。反論してきても、両耳を手でふさいで「わーわー!」とか言って聞きません。
(03.0906)



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