「ヒッサツ!」

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一気に下まで行きたい

作品リスト

 ・「ヒッサツ!」 伊藤清順 (月刊少年チャンピオン連載)

ヒッサツ!02

ついにあの「ぶかつどう」の伊藤清順が帰ってきた! 日々月颯耶(ひびづき・さつや)、通称ヒッサツ。彼は私立三島中学校に「格闘部」を設立した! 格闘部は、海外で強盗に襲われた父が元プロボクサーでありながらまったく無力だったことに衝撃を受けた颯耶が、「ルール無用のデスマッチ」をやるためにつくった部活なのだ。

しかし新しい部として校長の認可を得るため、恐ろしい格闘家がうようよしている謎の弱肉強食地帯「三島中暗黒地帯(ダーク・エリア)」へ踏み込んでいく颯耶と新入部員・玲香であった。彼らの行く手に待ち受けるものは何か……!?

2001年

(以下、作品リストです。掲載誌はすべて月刊少年チャンピオン。)

・6月号 Vol.1「吹きすさぶ旋風(つむじかぜ)」

     Vol.2「沼の上の髑髏」

初回は1話、2話一挙掲載、巻頭カラー50ページ。
あいかわらず最初っから飛ばしていく展開。5人いないと認められない部活を格闘家としてははなはだ心許ない美少女・鈴木玲香と2人で立ち上げたり、底なし沼にピラニアを入れ、その上に部室をつくったり、「相撲取りにマウントポジションをとられたとき」を想定して発泡スチロール制の巨大な岩の下敷きになってみたりと「ぶかつどう」の金田以上の奇行を連発する颯耶であった。

・7月号 Vol.3「ドラゴン殺し」

サングラスをとった校長の正体が明らかに。なんと、「未確認武装物体」の異名を持つ伝説の格闘家だったのだ。さらに素手で巨大なタツノオトシゴを倒し、「竜(ドラゴン)殺し」とも言われていた……! ここに出てくる必殺技、あまりにも面白い。

・8月号 Vol.4「三島中暗黒地帯(ダーク・エリア)」

格闘部の部員を集めるため、「三島中暗黒地帯(ダーク・エリア)」に踏み込んだ日々月颯耶と鈴木玲香。連載間もないし、読者の人気をつかむための重要な回だと思うが、どびっくりするようなザコキャラが登場。私は大好きですけどね。

無限流統主・紅切刃が思わせぶりに登場。

・9月号 Vol.5「悪魔に追われる男」

「三島中暗黒地帯(ダーク・エリア)」に踏み込んだ日々月颯耶と鈴木玲香は、セルゲイ・ポリャンスキーという「外人部隊」の一人と遭遇する。「こ……これが外人……!」というセリフが笑える。「ぶかつどう」にも出てきた、三枚目的キャラ(でもけっこう小ずるいことを考えている)がここでも登場。

・10月号 Vol.6「間一髪!」

「体がでかすぎてすぐに天井に頭をぶつけるため、それをさけるよう常によつんばいで生活していた」ことから生まれた格闘技「獣人拳」を使うポリャンスキーと戦う颯耶。

・11月号 Vol.7「幻といわれる状況」

3年に1度開かれる、「ダーク・エリア最強位争奪レース」の全貌が明らかに。
タイトルの「幻といわれる状況」とは、「ハンドレッド・イヤー・サークル」。「全員が背後をとられ100年たっても身動きできない状態がつづくといわれている形」。こういう「究極過ぎてバカバカしい結果に帰着してしまう」という技を考えるのが、この作者はすごく得意。

・12月号 Vol.8「かくされた真意」

三島中ダーク・エリア最強を決めるバトル・レース開始。少々ストーリーの破綻を埋め合わせるセリフが見られるが……まさかまた打ち切りが決定してお話を単純化しようとしてるんじゃ……!? 頼むよ、月刊チャンピオン。終わらせないでくれよ!!(と、連載中思っていた)

2002年


・1月号 Vol.9「地獄のあみだくじ」

三島中ダークエリア最強を決めるバトル・レース、予選第一次関門はあみだくじ型の崖上の道を1時間以内に渡るというレース。登場人物も出そろって、あのいとおしい作品「ぶかつどう」のテイスト再び……!! である。でもこの頃ってたぶん連載終了決定してたんだろうなァ……。

・2月号 Vol.10「恐るべき正体」

「ぶかつどう」のように、連載終了が決まって大急ぎで広げた風呂敷を畳まなければならない。予選とか言っておいて、次の関門にはいきなり闘技場が出現。しかしこの辺も、この作者が描くとホントに違和感なくギャグになるから楽しいといえば楽しい。
ここでダーク・エリア最大最強チーム・「ジェノサイダーズ」のリーダー、枡崎ナオトが出現。闘技場でサツヤと死闘を繰り広げることになる。
なんといっても「連載の店じまいをギャグに変える」という点では、「いろいろなチームが構想を繰り返す無法地帯・ダークエリア」とか言っていたのに、実は「ジェノサイダーズ」がダークエリアの95パーセントを支配していたことが今になって発覚したりするところがすごいです。

・3月号 最終話「光が生まれる日まで」

相打ちとなったところから、「蛇拳」を繰り出してきた枡崎ナオト。ギャラリーのセリフは、「ジャッキー・チェンの映画をみてマネをしてるだけではないとはっきり断言できる!!」
それに対して、サツヤは「だれも見たことがないツチノコの動きを取り入れた形意拳・つちのこ拳」で対抗する。

ああ〜、終わってしまった……。すでにわかっていたこととは言え……。

サツヤの最後のセリフは、こうだ。

「格闘部を発足してからまだ1週間も経ってないけど…… レイちゃんに教わったことがある……」
「前のオレは 強くなるためにまず部員を集めて 強い部員を集めたら 今度は校内で最強をめざし」
「その次は学校最強チームで外の大会に出て じっくりと腕を磨こうなんてことを考えてた」
「でもいつも一生けんめいのレイちゃんを見てておもいしらされたよ……」
「そんな先のことなんか考えてたってしょうがない…… 先のことなんてどうなるかわからない 突然先がなくなることだってあるんだから」
「大切なのは今を考えることだと…… 未来のことよりも今が一番大事なんだとね……!」
(以下略)

これ……私には作者のマンガ家としての気持ち、として受け取れてしまってしょうがない。マンガ家や編集部の内部事情なんて知らないけれど、「ぶかつどう」から5年のブランクを経て復活したことには、それだけの期待があっただんと思う。にも関わらず、また連載が短期に終わってしまった。
でもねえ、私は短期間でも輝いていたと思いますよ。伊藤清順氏には、機会があればまた復活してほしい。
(02.0520)

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