つれづれなるマンガ感想文9月前半

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「つれづれなるマンガ感想文」9月後半
一気に下まで行きたい



・「パチンカーワールド」5月号(白夜書房)
・「おげれつ戦隊バスターV」 戯遊群(1986、1995、虹の旅出版)
・「噂のJカップガール」 戯遊群(1998、久保書店)
・「パチスロ7 10月号」(2000、蒼竜社)
・「地獄先生ぬ〜べ〜」(19)〜(21) 真倉翔、岡野剛(1997、集英社)
・「地獄先生ぬ〜べ〜」(16)〜(18) 真倉翔、岡野剛(1996〜97、集英社)
・「地獄先生ぬ〜べ〜」(13)〜(15) 真倉翔、岡野剛(1996、集英社)
・「漫画大衆」6号
・「週刊少年チャンピオン」42号
・「おませな人魚姫(マーメイド)」 いがらしゆみこ(1976、集英社)
・「地獄先生ぬ〜べ〜」(10)〜(12) 真倉翔、岡野剛(1996、集英社)
・「地獄先生ぬ〜べ〜」(1)〜(3) 真倉翔、岡野剛(1994、集英社)
・「地獄先生ぬ〜べ〜」(4)〜(6) 真倉翔、岡野剛(1994〜95、集英社)
・「地獄先生ぬ〜べ〜」(7)〜(9) 真倉翔、岡野剛(1994〜95、集英社)
・「オマージュ」(1) 矢野健太郎(1993、ラポート)
・「オマージュ」(2) 矢野健太郎(1996、ラポート)
・「超香少年サトル」全10巻 上田悦(1995〜97、秋田書店)







・「パチンカーワールド」5月号(白夜書房)

なぜ今頃5月号か〜というと、買ってそのままになってしまったから……。
雑誌ってのァちょっと読まないとすぐ時間が経っちゃいますなァ〜。
で、この雑誌、確か隔週刊だったような記憶が……。やはり出版不況なのだろうか(勘違いだったらすいません)。
執筆者は吉沢やすみ山本夜羽高倉あつこ塚原洋一茶畑るり堂上まさ志近藤大介沖圭一郎坂本タクマいましろたかしあかつきけいいち一の瀬正キクチヒロノリほか。

しかし一見見知ったマンガ家でとっつきやすそうだな〜と思って読んでみると、非常に実践的な内容で、「パチンコで勝ちたい!」と思いある程度予備知識がないと歯が立たないモノがほとんどだった。まあ私が門外漢すぎるんだが……。
吉沢やすみが入っているのは「ど根性ガエル」のパチンコ台ができたからで、当然「ど根性ガエル(パチンコ版)」というのを描いている。コレでさえパチンコに関して最低限の知識がないとよくわかりません……。

そんな中、いましろたかしの「脱力(だつりき)パチゴロ マモちゃん」は前・中・後編の後編だが、もともとアウトロー出現率、およびそのリアリズムにおいて一般誌の追随を許さないギャンブルマンガ誌でも、ちょっとどうかと思われるダウナーな雰囲気が目をひいた。いいのかなこんなやりきれないマンガ載せちゃって……。

ふくしま正美「玉男」はあいかわらず休載。次号予告では「復活」と書いてあるが、確認してない。
(00.0915、滑川)



・「おげれつ戦隊バスターV」 戯遊群(1986、1995、虹の旅出版)

おげれつ戦隊

成年コミック。A5判。主にハーフリータ掲載。
私はもともとHマンガに詳しいわけではなく、コレが80年代のHマンガとなるとさらに詳しくない。ただし思春期であったこともあり、「漫画ブリッコ」などをはじめHマンガ誌にある種の熱気みたいなものは感じ取っていた。それだけに、あまりうかつなことは書けないのである(と言いつつ書こうとしているワケだが)。

……で、昔「いつみセンセーション」っていうHマンガを戯遊群が描いていて、それが私が学生時代のかなり早い時期に買ったHモノだった(本屋に1巻がなかったので2巻を買った)。内容がどうとかいうより「Hマンガ」そのものに免疫が無かっただけに、(私にとって)ある種のインパクトを持った作品だった。ラジオ「伊集院光の深夜のバカ力」風に言えば「思い出したら若い頃のなんかが開いちゃいそうな」作家、それが私にとっての戯遊群。などと思いながら読んでいたら、なんと「いつみ……」は累計40万部も売ったそうだ。
ということは、私もその中に入っているわけで、どういう選択基準で選んだのか忘れたが少ない小遣いでウケ狙いのような本の買い方はしていなかったから、何かひきつけるものがあったんだろうなぁ。ちょっとこの辺りのヒット事情については、いつか調べてみたいもんである。

本作は戦隊モノパロディかと思ったらぜんぜん違っていて、22世紀、異星人の侵略から地球を守るために、ジェインルイエリナの美少女3人が「バスター隊」として活躍するというモノ。ただし、彼女たちはコスチュームはほとんど全裸で、異星人の前でオナニーしたり、股間に銃を装着して発射するなど、常軌を逸した行動で敵のドギモを抜くというある種の奇襲戦法を得意とするまさに「おげれつ部隊」なのであった……。

これに対抗するために異星人側がつくったレプリカントが「超女兵団イグナシア3」で、「女性だけに地球の平和を守らせるわけにはいかない」と地球側がつくったのが「バスターVフォーメンズ」(バスターVの男版)なのであった。

ところがここからお話はいっこうに進展せず、何十ページにもわたって「バスターV」と「バスターVフォーメンズ」のHシーンが続き、バスターVが「超女兵団イグナシア3」と出会ったところでプッツリ終わっている。あとがきには「コスチューム、メカニックだけで100枚以上の設定資料をつくり、完全描き下ろしで続編を出す」ということだったが、本当に出たかどうかは知らない。

最近のHマンガは、ほとんどが1冊で完結しており、シリーズであっても1冊でいちおうエピソードはまとまっているものがほとんどだと思うが、本作はいかにも連載風で終わっているので尻切れトンボ感が甚だしい。昔はこういうのもアリだったのか? わからん。まあHシーンはねちっこく描いてあるのでOKだったのだろうか……? わからん。

他愛ないというか、何も考えずに楽しめると思うので、リラックスするときとかに読むのが吉かも。
(00.0914、滑川)



・「噂のJカップガール」 戯遊群(1998、久保書店)

成年コミック。A5判。初出不明。まあいろいろ収録されている短編集なんだけど、これを読むかぎり戯遊群ってイキナリHが始まることが多い。「愛のラーゲ」なんてホントにただカップルがいろんな体位を確かめているだけだし。収録作品中、「夏にご用心」「噂のJカップガール」も、「エ○バの子供たち」もそうだ。
イキナリH、っていうパターンは他作家もたくさん描いているけれど、何というか起承転結が明確でないので読んでいて非常にモヤ〜とした気持ちになる。イキナリはじまってぐっちょんぐっちょん、かというとそうではなくて、ヤりながらも2人は会話しててちゃんとドラマも進行している。そこがもどかしいと言えばもどかしいし、まあこういうものなんだ、と言われればそうかな、と。

アンソロジー本で、きちんとテーマが決まった中での一編、とかならもっとスムーズに入っていけるんだろうけど。収録作品「ゲームの時間」なんて、なんの説明もなく高校生がHなゲーム(ひいた紙に書いてあるとおりのことをやらなければならない、当然Hなことも)をやり続けるというだけで、そこにはなぜそんなことをやることになったかの説明もないし……。そうした状況をパロディにする気もあるようでいて、ないようでいるような。
「BOUNDLESS SAGA」は、明確なRPG的ファンタジー世界のパロディだと思われるが(たとえば登場人物が全員全裸であるなど)、阿宮美亜のようなドライさや、後藤寿庵のようなシュールさのような過剰なアピールは感じられず、オタク的ディティールとも無縁。非常にフンワカした地に足のついてないような気分になる作品。

収録中もっとも長い「聖戦記」は、ファンタジー的世界で「業気(ゴウキ)」という、股間からエネルギーを放出し擬人化させ敵を倒すという技をきわめた女・シェールが、老師とその孫娘エリシアを倒して世界を征服しようとする、という「ジョジョのスタンド」プラス香港カンフー映画のような作品。
シェールを倒すため「千人斬りの儀式」の修行を達成したエリシアは、強大な業気を身に付けてシェーラに立ち向かう……という、まあ一種の性闘技モノですな。
この作品も、どこまでギャグでどこまで本気で描こうとしているのかよくわからない。「スタンド名」(違うか)も、シェールのは「エンプレス」、エリシアのは「ビビアン」、でもユーリス(男)のは「ポンチ君」、特技は「爆裂チンポ」

なんというか、コマ運びとかドラマの持っていき方があまりタイトでないのが戯遊群の特徴かなと思ったりしますが。登場するアイテムもそうなんだけど。
ただ尻切れ的な結末ではあったのだけれど、「業気」同士の戦いは面白かったですよ。
(00.0914、滑川)



・「パチスロ7 10月号」(2000、蒼竜社)

ランブルアイズ

私、ギャンブルはほとんどやらないんだけど(当然パチスロもやらない)、たま〜に気まぐれにコンビニでギャンブルマンガ雑誌は買って読む。
最近は意外な人とかも多く描いているし。……っていうかすでにギャンブルマンガ界ではそういうの意外でも何でもないかもしれないけど。本誌も、おおつぼマキやチャンピオン系で描いてた早坂よしゆきなどが描いている。
しかしなんといっても熱いのはヤンキーマンガの巨匠・石山東吉「ランブルアイズ」だ!!
昨年単行本を読んで、全1巻だったのでなんとなく忘れていたんだが、パチスロ雑誌ではノリノリで連載をしていたー!!
ちょっともう柱んとこにある「あらすじ」とかネームを抜粋するだけで充分熱いので見ていただきたい(問題ある場合は速やかに対処します)。
(以下引用)

(あらすじ)エンジェルバンプとピラニアブロスの戦いを一般の人達に見届けてもらうため店内に大量の見物人を入れ、戦いが再び始まった。エンジェルバンプは女3姉妹で1台の台を打つという奇抜な技を出してきた。どうなる瞬。

「ザ・ハード・インパクト!!」

バアアアン

「な……なにィーー!?」
「ユナイト3−D!!!」

エンジェルバンプ最終兵器 三位一体の技が炸裂ーー!!!

「ああーー!?」

ウオオオオッ

「痺れるぜェーー エンジエルバンプゥーー!!」
「これぞ究極のパチスロパフォーマンスだァーー!!」

「ユナイト3−D」
「非の打ちどころのない完璧な演技だ……」
「3人で打つという非合理なパチスロを……」
「合理的かつ3人を合体させることで重厚な技として完成させるとは!?」

「フフフ……」
「一言で『斬新』と言って欲しいねェ」
「私たちは別にパチスロに深く興味があるわけじゃない」
「享楽を得る手段なのさ!!」

「享楽……」
「パチスロは金を生む手段だと言い切るのか!?」
「だからこそパチスロの常識を覆し3人で打つという発想に至ったのか!?」

「クスリ漬けの頭はかなりぶっとんだセンスを発揮してくれるぜ!!」

「それがエンジェル(天使)……」
「エンジェル(天使の)バンプ(毒婦)!!」

「エンジェルバンプは人間界の王国を創造する!」
「創造の根源はMONEY(マネー)!!」
「享楽の完成はMONEY(マネー)!!!」
(当然この後も続く、引用終わり)

……まあとにかく熱い、熱すぎるよ!!
この後、エンジェルバンプに怒り爆発の瞬(主人公)が思わずパチスロの台をぶったたいてしまい、「筐体に責任はねェ」といなされたり、なんかもう本当にすげェ。今や往年のファミコンマンガの熱さを体感するには、パチンコ・パチスロマンガしかないのかもしれん。
(00.0912、滑川)



・「地獄先生ぬ〜べ〜」(19)〜(21) 真倉翔、岡野剛(1997、集英社)

週刊少年ジャンプ連載。
単行本第19巻 「#162 サンタクロースっているんでしょうか? の巻」
クリスマスプレゼントを買い出しに行くぬ〜べ〜に付き合うかたちで、ゆきめ登場。

単行本第20巻は、表紙がCGのぬ〜べ〜とゆきめなのだが、わずか3年前なのにものすごく古くさい感じがする。今のCGがずっと発達しているからか? よくわからないんだが。

単行本第20巻 「#168 明石谷老人の不思議な旅の巻」
屋台のきなこ餅屋の明石谷老人は占いの名人だが、実はアカシック・レコード(宇宙のすべてが記録されていると言われる)を読みとる能力を持った予言者だった。
「的中する危険な予言は (みんなが回避するので)当たらない」という運命を受け入れ、人を救って去っていく孤独な老人の話。
この話で私(滑川)と細川美樹は誕生日が同じことが判明。う〜ん超無意味な情報だ……。ちなみに、確か鉄腕アトムとも同じ

同巻 「#170 ぬ〜べ〜・ゆきめ愛の最終決着!? の巻」(前編)
同巻 「#171 ぬ〜べ〜・ゆきめ愛の最終決着!? の巻」(後編)
ぬ〜べ〜と結婚し山を降りることの許しを請うため、山神・オオミズツに会いにいくぬ〜べ〜とゆきめ。自然の神であり人間の神ではない山の神の説得は通用するのか!? という話。

同巻 「#174 童守町死滅!? 彗星が疫病神を呼ぶの巻」
彗星に乗って未知の病魔が童森町に降り注ぐため、疫病神がやってくる。
この疫病神がブキミでなかなかイイ味を出している。週刊で読んでいると気がつかないけど、本作は「人間が近づけない、絶対的なあちら側の領域」が存在することにかなり自覚的である。
それは妖怪ものとして正しい(と思う)。

単行本第21巻は、ゆきめがまったく出ない。
単行本第21巻 「#178 ア・ブ・ナ・イ育成シミュレーションの巻」
ものすごく妹思いの克也。ある日アクシデントで、育成シミュレーションゲーム「お嬢様メーカー」と妹・愛美が連動してしまう。すなわち、育成シミュレーションどおりに愛美が変化してしまうのだ。カンペキな女の子にしようと克也がシミュレーションに凝ったあげく、愛美は克也より年上の超ナイスバディ女に変身してしまう……。

まァタイトルだけで結末は想像ついたんだけど、スゴイところは最終的に変身した愛美が「お兄さま」とか言って克也にせまってくる(ように見える)描写にまったく根拠がないところだろう。ジャンプが「最大部数の同人誌(その描写スタイルがね)」と言われるのがわかるというもんだ(ホメ言葉)。
(00.0911、滑川)



・「地獄先生ぬ〜べ〜」(16)〜(18) 真倉翔、岡野剛(1996〜97、集英社)

週刊少年ジャンプ連載。
単行本第16巻 「#133 お色気妖怪・精霊パウチの巻」
おとなしかった中島法子・愛称のろちゃんが、「精霊パウチ」が乗り移ったために突然お色気キャラに変身。みんなを惑わす。
この後も、のろちゃんは「外見はおとなしいが実はスゴイことを考えている」というキャラでちょくちょく登場。

同巻 「#135 濡れ女に恋した男の巻」
男にとりついてジメジメした湿気でとり殺してしまう妖怪・濡れ女が、ものすごく汚くて湿気を気にしないオタク男にとりついたため、殺すことができず逆にものすごくいやがるという話。
少年誌にしては相当変態じみた話になっている。赤ちゃんプレイなんてさすがに滅多に出ないでしょ? しかも女の。

同巻 「#137 次元妖怪・まくらがえしの巻」
「まくらがえし」のいたずらで、次元の違う26歳の自分に乗り移ってしまう郷子
そこでは好きだった美樹と結婚、ゆきめは山から戻ってこず、ぬ〜べ〜は妖怪退治で重傷を負って、半身不随の彼をリツコ先生がつつましく看病していた……という、ぬ〜べ〜ダークサイドというか「ダークですよ〜」っていちいち断らないで突然ダークになる「ぬ〜べ〜」世界の代表的作品。

同巻 「#138 ゆきめ・童守町へ帰るの巻」
ゆきめは死に、雪の結晶を山の神が再構成してまったく別人(別妖怪?)に生まれ変わったが、雪の結晶一つひとつに以前のゆきめの魂が残っていて、ぬ〜べ〜を忘れられずにいた。
「記憶のつながり」がなかったらカンペキ綾波レイだよな。これってエヴァンゲリオンより前だよね? じゃ偶然。

同巻 「#139 童守町・恋の大混戦! の巻」
リツコ先生や魔女志願の黒井まみ先生とぬ〜べ〜の争奪戦を繰り広げるゆきめ。
ゆきめのミリョク大爆発、って感じ。

単行本第17巻 「#144 船幽霊の巻」
ぬ〜べ〜たちが海水浴、ゆきめも登場。
「船幽霊が、人々が捨てた空き缶でボートに水を入れる」というアイディアは面白い。

同巻「#143 響け! こだまの巻」、「#147 妖怪けらけら女の巻」は「泣かせ」系。単純ながら私はこういうのにヨワイ。とくに「けらけら女」の回は苦しいとき悲しいときにちょっと思い出す。

単行本第18巻 「#152 妖怪つらら女・氷の国から来た刺客! の巻」
ゆきめの幼なじみ・つらら(ナイスバディの色っぽいおねーさん系)が、山の神に言われてゆきめを連れ戻しに来る。「見たものをすべて氷でコピーでき、しかも本物と同様の機能が得られる」というつららの能力は、ゆきめとの差別化という意味においてもよく考えられている。

18巻は、その他にもグロテスクな話は少なく、アイディアのきいたものが多い。
(00.0911、滑川)



・「地獄先生ぬ〜べ〜」(13)〜(15) 真倉翔、岡野剛(1996、集英社)

週刊少年ジャンプ連載。単行本の作者コメント「たとえ自然が全て失われても、人間がいるかぎり妖怪も存在する」という考え方は基本的に賛成。……っていうかマンガの恐怖ものってたぶんだいたいこういう考え方だと思うけど、自然=妖怪ってする考え方もあるみたいだからちょっと書いてみた。

単行本第13巻 「#110 対決! 木枯らしに消えた雪女の巻」で、消えてしまうゆきめ。

単行本第14巻 「#114 幸福のケセランパサランの巻」は、70年代中期に話題となった謎のホコリ型生物(?)ケセランパサランが登場。毛玉のようなもので、おしろいを食べると言われた。本当に「飼っている」人がテレビに出たのを私も見たことがあるが、あれは何だったのだろうか? 名前も不思議な感じだ。
本作は、おそらく本格的にケセランパサランを主役とした唯一のマンガだろう。

同巻 「#119 女郎蜘蛛の巻」で、ゆきめ1カットだけ登場。

同巻 「#120 寄生虫の巻」は、妖怪でも何でもない、ただ寄生虫の話。マジで気持ち悪い。絵がかわいらしくなければ完全トラウマ物件。

単行本第15巻 「#126 ゆきめ再会の巻」で、ゆきめと再会(まんまな説明だな)。

同巻 「#128 座敷童子の悲しき過去の巻」は、かわいらしい座敷童子の悲しい過去の話(これもまんまな説明だ……すいません)。

この辺りから、ウェアウルフや悪魔など、西洋ものの妖怪が登場している。
(00.0910、滑川)



・「漫画大衆」6号

・「牙のイン・ハイ」 内山まもる、峠野一九

プロ野球マンガ。ヒトのいい打撃投手が、一軍で投げられるかもしれない……。「いいヒト」がのし上がっていく話に私はヨワイ。

・「実録レイプ裁判」 熊谷くにを、(案)宇野津光緒

毎回いろんなレイプの手口を実録風に描き、レイプ犯がどのように捕まって裁かれたかを描くマンガ。「レイプはいけないこと(当たり前だが)」とうたっているわりにはしっかり扇情的なあたり、「いいのかな〜」とも思うが、今もやってるかどうかわからんが週刊新潮の「黒い報告書」を思い出させる。

・「成田アキラのムハムハSEX相談室」 成田アキラ

作者の成田アキラがDJ風に読者のSEXに関する悩みに答えていく連載らしい。
「パンティでオナニーしてて悩んでる」男性読者に対しては「他人に迷惑をかけるやつは本物の変態 迷惑をかけずに楽しんでいるやつはヘンタイ こう区分けしておこーじゃないの」とサラリと答える作者は徹底して陽性。
それと、「週刊大衆から生まれた大人のマンガ誌」である本誌は、ほとんどすべてが「記事をマンガにした」形式のものが多く、いやな言い方だが「記事を料理しないでそのままマンガにした」ものも少なからずあるんだけど、成田アキラのマンガは妙に読みやすくてカラッとしていて、独自の味があって実録風作品の中ではいちばんイイと思った。いまさらですが。
(00.0908、滑川)



・「週刊少年チャンピオン」42号

・「ファントム零」 小宮さなえ、野々村秀樹

エッチコメディアクション「それゆけ まりんちゃん」(1)(2)がわたし的には印象に残っているコンビの、チャンピオン新連載
「近未来ガンアクション巨編」になる予定らしいが、第1回ではいまいち話が見えなかった。が、「パンティの食い込みを描かせたら五指に入る」(私が勝手にそう思ってる)作者のことなので、とんでもなくつまらない作品にはならないだろう(パンティとお話は関係ないだろうと思われがちだが、……まあ直接は関係ないがこの世には眼福というものがある)。

ところで、あるフィギュアのHPを読んでいたら、「女の子のフィギュアにおいて、制服だろうが戦闘服だろうが、スカートの中のパンツがほとんど勝負パンツみたいのだったりヘンに食い込んでいたりするのはおかしい。シワもおかしい。グラビア撮影ではシワを強調するために霧を吹いたりするが、フィギュア制作者はグラビアなどのみを見てパンティ部分を制作したに違いない。しかし女の子のパンツにもTPOがあるし、リアリティもあるのだからきちんとつくり込んでもらいたい」と書いてあった。
まったく正論である。しかし正論ゆえに私はこう思う。「食い込んでても、シワが不自然でもいいじゃないか」と。
ファッションや季節感とは無縁でミニスカートをはき、夜眠るときはベビードールを着て、趣味はお風呂に入ること。「のび太さんのエッチ〜」って、そんな子はマンガの中にしか存在しない。そういうのが少しいてもいいじゃないか。グラスの底に顔があってもいいじゃないか(古)。

あ、本作がそうだと言っているのではないので念のため。

・「バキ」 板垣恵介

バキ敗北に対し、じわじわと怒りを噴出させ、最後には号泣する「地下闘技場」オーナーのご老公。
彼こそ読者、観客の代表。格闘技を「見る側」はときには「やる側」よりも思い入れが強く、ときに残酷になる。
なにしろバキが怒りに燃えた「夜叉猿をトーナメントに参加」させたのはご老公なのだから。

PRIDE10の、ボブチャンチンVSエンセン井上に対し「非常に残酷な試合。もっと早くやめさせるべき」という意見をネットで読んだ。速やかな審判は危険な格闘技には必須であることは正論。正論ではあるのだが、そこに「見る格闘技」があるかぎり、残酷性は観客の中にデフォルトで宿っていると言える。「柔道」や伝統派空手が競技として残酷性を捨象していった、それを拾い上げていったのが総合格闘技であることを考えれば(もちろん競技化推進の動きもあるが)、もっとも残酷なのは常に観客だということは肝に銘じねばなるまい。もちろん無責任な客たる私が。

愚地克巳まさかの再登場、やられ役にならなきゃいいが……。
それと、かつて柳と立ち会ったことのある渋沢が、「空師」たる柳の技をよく理解していなかった(しかもその技の完成は刑務所であった、ということは渋沢との立ち合いの後か???)ことは説明不足だと思った。先週の話だけど。
(00.0908、滑川)



・「おませな人魚姫(マーメイド)」 いがらしゆみこ(1976、集英社)

おませな人魚姫

なぜ今この作品紹介か? というのを言い訳めいて書けば、趣味のよいドラマ性というか、良質の荒唐無稽さというか、そういうのを蘇らせたいと私が思っているからである(単に探していた単行本が手に入ったというハナシもある)。
もちろん日常の細かな心理の機微を描写する作品も好きなのだが……。

・「おませな人魚姫(マーメイド)」
なかよし76年9月号掲載。貧しさからどろぼうをやっている女の子・ビリーが、気まぐれなお金持ちがつくった海賊船に男装してしのびこむ。そこにカッコいい男の子・キッドがやってきたので、人魚の扮装をしてごまかしたりしているうちに冒険あり、恋愛ありの物語が展開するという作品。
「男装の美少女」と「人魚姫」を、同じ女の子が演じているのがとてもエロチックです。ブラがとれて「いや〜ん」とか言う人魚だし。展開もセンス・オブ・ワンダーがあってとっても面白い。同作者のぼくのブラジャーアイランドをほんの少しだけ、思い出す作品。
発表年代は「キャンディ」とほぼ同時期か? 最近は「キャンディ」の原作問題でモメてますけど、少なくともいがらしゆみこに波瀾万丈の冒険志向があったことは(この作品を読むかぎり)確かだと思う。

・「OH! 四畳半」
単行本「おませな人魚姫(マーメイド)」収録。週刊少女フレンド12号〜13号掲載作品。
なんかのつごうで四畳半の自室に男の子を預からなくてはならなくなった女の子・はずみ。元気いっぱいのはずみは、少年野球チーム「ハズミーズ」の監督でもあるので、小学生の男の子かと思い込み楽しみにするが、来たのは同年代の山岳部の男の子だった……という、ラブコメによくある同居もの。……というか、構造的には少年・青年マンガにある「SFおしかけ女房もの」に近い作品。めちゃくちゃよくできていて、これ読んだら少年ラブコメのあんな作品やこんな作品、アホらしくて読めなくなります。

もともと「男の子みたいな性格」のはずみが「『女っぽい女』嫌いの男の子」から「嫌われるため」に「女らしさ」を演じるが、最後には「ありのままの自分」を受け入れてもらえる、という王道パターンなんだけど、とにかく描き方がうまいので引き込まれて読んでしまいました。
しかし考えてみれば、「ありのままの自分」を受け入れられるオチというのは伝家の宝刀というか、男が主役のハナシではなかなかそうはいかないんだよね。この辺から何かがわかりそうな気がするんだけどな。

超どうでもいいことですが、来るのが「小さい男の子」だと思い込んでいた頃のはずみ、自分で買った「ゴッドバード」のおもちゃを貸してやろうと楽しみにするシーンがあるんだけど、いがらし先生、ライディーンファンだったのだろうか(^_^)。
(98.1205、00.0907、滑川)



・「地獄先生ぬ〜べ〜」(10)〜(12) 真倉翔、岡野剛(1996、集英社)

週刊少年ジャンプ連載。
単行本第10巻 「#79 対決! 雪女VS座敷童子の巻」は、座敷童子に誤解されて恨みを買ったゆきめが、ぬ〜べ〜とリツコ先生をくっつけようとする座敷童子を妨害しようとする。ゆきめのウェイトレス姿が見られる。

単行本第11巻 「#94 小麦色の雪女の巻」では、海に行ったぬ〜べ〜に、けなげについてくゆきめの話。「真夏の海に雪女」ってのは、確かアニメ「はれときどきぶた」でもあったように思うが、内容はぜんぜん違う(「はれぶた」のこの回はおもしろいです。っていうか、「はれぶた」全体が面白いんだけどね)。

同巻「#95 おばあさんは魔法使い!?の巻」は、迷信深いおばあさんの話。「迷信」というよりは、「おばあちゃんの知恵袋」に実用性と呪術性が混在していた頃のおばあちゃん。民間除霊師としての「ぬ〜べ〜」の基本コンセプトに忠実な話。

単行本第12巻 「#97 最強の敵!?の巻」は、ゲストキャラクターは「貧乏神」だが、一瞬だけゆきめが出てくるのでチェック。
(00.0907、滑川)



・「地獄先生ぬ〜べ〜」(1)〜(3) 真倉翔、岡野剛(1994、集英社)

週刊少年ジャンプ連載。小学校教師鵺野鳴介、通称ぬ〜べ〜が、民間除霊の能力と左手に封じ込めた「鬼の手」を使って、子供たちを妖怪や霊から守るというマンガ。

連載当初からぬ〜べ〜の能力にいまいちインパクトがないのを不満に思っていたのだが、読みきり時代から読むと、ぬ〜べ〜の力は「町の駄菓子屋のおばあちゃんなどが行っていた民間除霊」につながる能力だということで、納得がいった。ぬ〜べ〜はメチャクチャに強い特別な霊能者ではなく、霊や妖怪と人間が今とは違い同居していた時代の名残を持つ先生なのだ。
物語内の霊や妖怪に対する説明も、疑似科学的というよりは、どちらかというと民俗的なものの方が多い。
この巻まででは「巨乳でいたずらっ娘」という細川美樹のキャラクターがまだそれほどさだまっていなかったりする。

中途半端にエッチなシーンばかりが記憶に残っていたが、再読するとグロいシーンもかなりきっちり描いていることがわかる。「学校の怪談」的な不気味な話も多い。基本的にはホラー寄りなアプローチだと思うが、絵柄がかわいらしいので読後感にそうした印象があまりない。

カンケイないが前の会社の上司に「子供(当時小学三年生くらいか?)にあげるから読み終わったらジャンプをくれ」と言われてあげたら、「エッチなマンガがないかどうかチェックする。この『ぬ〜べ〜』はエッチだから子供には見せられない」とか言っていた。(00.0906、滑川)



・「地獄先生ぬ〜べ〜」(4)〜(6) 真倉翔、岡野剛(1994〜95、集英社)

週刊少年ジャンプ連載。けっこう後味の悪い話もあるのね。また、プロットにヒネリをきかせたものもある。エッチなだけじゃないのだ(そんなとこばかり見ているのはおれだけか……?)。

単行本第4巻 「#30 なごり雪−季節はずれの雪女の巻」で、はじめてSFおしかけ女房ゆきめが登場。最初はもう少し大人っぽかった。

単行本第6巻 「#49 真夏の雪女の巻」で、ゆきめ再登場。SFおしかけ女房ファンは随喜の涙を流すがよい。
同巻「#46 走る! 二宮金次郎の巻」はある意味ケッ作。子供たちを守るため、変態教師の霊をブン殴る二宮金次郎像!! 「ぬ〜べ〜」全体でここまですっとんだ展開はほとんどないと記憶しているが、これはたまらんゼ。ちびっ子しょくん、まじめに勉強しような。
(00.0906、滑川)



・「地獄先生ぬ〜べ〜」(7)〜(9) 真倉翔、岡野剛(1994〜95、集英社)

週刊少年ジャンプ連載。
単行本第7巻 「#56 ぬ〜べ〜・ゆきめの最強タッグ!の巻」。ぬ〜べ〜を慕って山を降りてきたゆきめは、アイススケート場でアルバイトしながらぬ〜べ〜のもとへ通う。コーフンすると東北弁になるのがかわいい。なお、キャラクター人気投票ではみごと第6位に。

第8巻 「#65 雪女の季節の巻」では、ゆきめのありあまった妖力から雪童(ゆきわらし)「ゆきべ〜」が登場、暴れ回る。

第9巻では「霊能力美少女イタコギャル・いずな」が登場。この当時まだガングロコギャルはいなかった。あんだけ文句言われたのに、当時の方がまだマシだったように思える今のコギャル……。(00.0906、滑川)



・「オマージュ」(1) 矢野健太郎(1993、ラポート)

おすすめコーナー「矢野健太郎」ここを参照のこと。

(00.0816、0905、滑川、02.0822)



・「オマージュ」(2) 矢野健太郎(1996、ラポート)

おすすめコーナー「矢野健太郎」ここを参照のこと。

(00.0816、0905、滑川、02.0822)



・「超香少年サトル」全10巻 上田悦(1995〜97、秋田書店)

超香少年サトル

週刊少年チャンピオン連載。謎の転校生・香野院悟は、わずか14歳でどんな香りもかぎわけ、また調合することのできる天才香り師。その技で人を助け、あるいはやっつける。

基本的には「魔少年ビーティー」のような魔少年ものだが、サトルははっきりと正義の味方。ただ孤独を好み、自分の判断だけで行動する少年だ。

「幻想のケシの香! シナミックアルデヒド! そして五味子の香!」
「超香!!」
「これにて闇を浄化せん!!!」
……というキメ文句とともに、人に本音を吐かせる、記憶を消す、眩暈を起こさせる、幻覚を見させる、などのさまざまな香りを調合して悪いやつをやっつける。

こうした話が5、6回続いた後にライバルが登場、そしてもうしばらくしたらトーナメントが開催され……たらジャンプパターンなんだが、そうはならない。
基本的にすべて1話完結で、だいたい以下のようなパターンが繰り返される。

「サトルが『超香』で悪いやつを倒す」、「サトルが『超香』で人を勇気づけたりなごませたりする」、「サトルが警察に協力しての犯人探し」、「サトルが香りを駆使してトリックを暴き立てる」、「サトルが香野院家の跡目争いにつながる香り師の競技に参加する」、「サトルがコーヒーやワインなどの香りを当てるグルメもの」……。

香りだけをネタに、非常にバラエティに富んでいる。ジャンプパターンというより、むしろ「学校怪談」、もっと前なら「ブラックジャック」に近いパターンだ(掲載誌が同じだから当然かもしれないが)。
とくに香りを題材としたトリックものは、「物語の中でひとつだけ現実離れした設定で、後は論理的にすればミステリマンガもより新しいものができるのではないか」という私の持論を証明してくれた(←エラソーな私だが、実際この机上の空論を証明したものは本作の他に「ジョジョ」しかないのである。「コナンくん」が子供なのは、また別の話)。
すりかえられてしまった茶碗を盗んでもう一度すりかえる「香の72 すりかえ」(単行本第7巻収録)や、撮影禁止の仏像にフラッシュを炊いた者はだれか? そしてその理由は? という「香の75 フラッシュの理由(わけ)」(同じく単行本第7巻収録)は、なかなか面白いと思うがどうだろうか。

また、「人の思い出の香りを再現する」というのも、とりあえずは思いつくパターンだとは思う(楽しかったキャンプの思い出のために、そのときにつくったこげたカレーの香りを再現するなど)。しかし、「香の55 喜びの記憶」(単行本第5巻収録)では、サトルは思い出に直結する香りではなく、以前自分が勇気づけた香りを再現することによって、「勇気づけられた事実」を記憶として蘇らせる。飯を食ったから飯の香りとか、そういうのもイイんだがここでは「いい香りが、そのまま思い出になっていく」過程を描いていてシブい。

最終回直前「香の117 香り師の本道」は、もう号泣モノの展開。クラスメートの川村めぐみに、交通事故で瀕死の飼い犬・チロを救ってくれと頼まれるサトル(「ドラえもん」でも似たような話があった)。しかし、香りで痛みや苦しみをやわらげることはできても、命まで救うことはできない。ここでスーパーマン的存在だったサトルは面と向かってめぐみに非難される。結局、めぐみの飼い犬は死んでしまう(ここは「ドラえもん」とは違う)。
サトルは落胆すると同時に、香り師としての自分の歩む道に悩むが、このときに慰めてくれたのは今までのび太くん的存在だった田原正司だった。
そしてめぐみが真夜中にサトルを訪ねてくる。めぐみは、サトルが「チロとめぐみの一番の思い出」を香りで再現したことを後で知ったのだ。死の瞬間、チロはめぐみとの思い出の中にいた。そのことに気づいためぐみは、サトルに謝りに来たのだった(もうここが最高に泣けるんだよ。ホントに)。
めぐみの感謝の言葉に香り師としての何かを掴んだサトルは、香りの力を使い権力を得ようとするライバル・香野院政輝との戦いに挑むのだった……(最終回「香の118 香導師」)。

作者は基本的に「泣き」パターンが非常に上手い。それに、キャラクターがいきいきとしている。
メインキャラクターの田原正司(のび太くん的存在)や、川村めぐみ(テニス部員。しずかちゃん的存在)、矢野さん(テニス部員。川村さんの親友)、佐々木タカシ(気はよくて義に厚いが軽率なトラブルメーカー)をはじめ、セミレギュラーの今井由美子(ドジなめがねっ子)、郷間(ケンカはしないと誓った元暴れん坊)、大原先生(図書室担当の初老の先生)、松木冴子先生(田原たちの担任、厳しいが生徒思い)、墨田先生(ひたすらに厳しい生徒指導の教師)、静谷(トリックを使ってはサトルに見破られるズル賢いヤツ)、片済さん(意地悪な演劇少女)、神宮寺龍一(香野院家の分家出身で、家を盛り立てる野望を持ちつつサトルを励ますこともある男)など、数回に1回しか登場しない普通の人々も多面的に描いてあって、「泣かせ」に持っていく過程が上手いんである。
しずかちゃん的存在の川村めぐみですら、人を憎むシーンが出てきたりとなかなかイイ。

クールなサトルの引き立て役が最終回直前と最終回にも登場した田原くんだが、彼は運動が苦手でいつも図書館で本を読んでいる。テニス部の川村さんの練習が終わるのを待って一緒に帰るという生活パターン。ハイキングなどにも行くが基本的には書斎派。そのガールフレンド(?)川村さんも、テニス少女だがやたらとお寺や美術館に行ったりと、中学生ながらシブい趣味を持っている。田原くんも自然にそれに付き合っているし、サトルも「いつも一人で本を読んでいる」という設定なので、登場人物全体に何かと「文系臭」、さらにサブカルなどではない「マジメ系文系臭」が漂っている。
コレは美術品の鑑定を香りで行う、などといった物語上の要請もあるにはあるが、作者の好みでもあると思う。図書室にいりびたっているから図書室の大原先生と仲良くなった、とか、田原くんとサトルは本の貸し借りをしているようだし。軽率な性格設定のタカシのお兄さんも医者志望だし。全体的な「文系っぽさ」が本作の魅力のひとつだろうと思う(どことなくモッタリした絵柄の中で、さらに「中学生らしい服装」をしていて文学や美術を好むテニス少女、という川村めぐみはほとんど「文系中坊のあこがれイリュージョン」である)。

1話完結で、一つの話が次の話のヒキになるということがないので次から次へと全10巻をむさぼり読んでしまうという感じではないが、寝る前に1冊ずつ、あるいは1話ずつ、読んでいったりするのが心地いい作品かもしれない。
(00.0904、滑川)

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