◆ 1999年6月下旬 ◆

6/21〜30
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6/30(水)……B2K

 来月のお買い物予定。ブラッグビッグキング、黒田硫黄の単行本がなんつっても楽しみ。MANGA EROTICSも。

タイトル作者出版社
1犬狼伝説 藤原カムイコレクション(1)藤原カムイ/荒俣宏角川書店
5the山田家(6)阿部潤小学館
5カケル(9)竹下堅次朗小学館
5ザ・ワールド・イズマイン(8)新井英樹小学館
5海猿(2)佐藤秀峰小学館
5同じ月を見ている(4)土田世紀小学館
6Grass Breath(2)城倉浩司講談社
6おやすみなさい。(2)小田原ドラゴン講談社
6超・学校法人スタア學園(16)すぎむらしんいち講談社
6闘破蛇烈伝DEI48(3)前川かずお/島久講談社
7イケてる2人(6)佐野タカシ少年画報社
8バロン・ゴング・バトル(8)田口雅之秋田書店
8悟空道(8)山口貴由秋田書店
9SATELLITEぢゅにゃ(3)サガノヘルマー講談社
9好きなんだってば!!田中ユタカ富士美出版
9別冊ヤングジャンプ集英社
12陰陽師(1〜3)岡野玲子/夢枕獏白泉社
15MANGA EROTICS(2)太田出版
大王黒田硫黄イースト・プレス
16たとえばこんなラヴ・ソング(3)北崎拓小学館
16ひな菊雁須磨子オークラ出版
17GO!GO!ゆみこちゃん99町野変丸エンジェル出版
17かってに改蔵(4)久米田康治小学館
17俺たちのフィールド外伝村枝賢一小学館
19ガールフレンズ(1)山下和美集英社
19ケチャップマヨネーズいくえみ綾集英社
19人形芝居(2)高尾滋白泉社
21係長ブルース(2)ロドリゲス井之介日本文芸社
22なるたる(3)鬼頭莫宏講談社
22バガボンド(3)井上雄彦/吉川英治講談社
22犬神(7)外薗昌也講談社
23Super FEEL祥伝社
25おさんぽ大王(3)須藤真澄アスペクト
25幽玄漫玉日記(2)桜玉吉アスペクト
27DOKI SELECT気まぐれナイチンゲール井荻寿一竹書房
30ギャラリーフェイク(17)細野不二彦小学館
30国立博物館物語(3)岡崎二郎小学館
30持病のシャタク藤野美奈子小学館
30青空(3)原秀則小学館
30戦国子守歌(1)森秀樹小学館
30龍−RON−(22)村上もとか小学館
哀錠物語北原武志オークラ出版
近未来馬鹿(改訂版)唐沢商会青林工藝舎

【雑誌】ヤングキングアワーズ 8月号 少年画報社 B5中
 創作系同人誌サークル、まるちぷるCAFEでおなじみ(?)のなかせよしみが初登場。サラリーマンらしき人物が一通の手紙をポストに入れるところから始まるショートストーリー。ちんまりとした出来で、今回はまあそこそこという感じ。ただ、これで商業誌でのとっかかりはできたので、どんどん作品を発表していってくれるとうれしい。犬上すくね「グレイトブリーダーNATUME」。なんともあつあつな恋愛譚。くつくつと煮詰められた感じの濃密なヌルさ。骨を抜かれる幸せさ加減。アツアツもやりすぎくらいがちょうどいい。どざむら「鍵穴の世界」。幼いころから外に出ることを許されず、鍵穴から覗き見る世界がすべてだった王女様。ちょっぴりフェティッシュな表現がHでよろしい。

【雑誌】週刊少年マガジン 7/14 No.31 講談社 B5平
 MMRがやってきた。というわけで今号からしばらく週刊連載。女の子の部屋に入ってパソコンを見ただけで、インターネットをやっていることを見抜く編集者。慧眼である。森川ジョージ「はじめの一歩」。青木のタイトルマッチを控えた前哨戦。青木のこれまでの戦歴につい笑ってしまう。塀内夏子「Jドリーム完全燃焼編」。柳負傷で嶋投入。嶋は「Jドリーム」シリーズきってのおいしいキャラクターであるだけに、見せ場は多そう。

【雑誌】週刊少年サンデー 7/14 No.31 小学館 B5平
 藤田和日郎「からくりサーカス」。王女エリ編終了。最後のナルミとエリの別れのシーンがなかなか切なくて暖かくて良かった。「おまえ、残ってもいいんだぜ」って感じか。なんと気持ちの良い連中じゃろう。作:森末慎二+画:菊田洋之「ガンバ!Fly High」は、駿がなんだか新しい技を出そうとしていて期待高まる展開。


6/29(火)……第18話 眠れ! 復活の奈緒子キャノン

 今日の日記サブタイトルは勝手にサブタイトル!!で作ってみた。いろいろ遊んでみたけど、これけっこう面白い。
しばた」でやってみたところ「大暴れしばた! 暴走の鼓動」「激闘! 驚異のしばたジェット」「友よ! 勝負のしばたキック」「発動! 復活のしばたブレード 」「吠えろ! 宿敵のドクターしばた」といった素敵なフレーズが続出。「OHP」でやったら「俺で変われ!萌え萌えのプロフェッサーOHP」に。ちょっといいかも。
 毎日の日記のサブタイトルだけど、最近なかなかジャイアントなものができなくて困っていたのだが、こういうのがあると楽でいいね。そういえば昔、BASICで「俳句自動作成プログラム」とか作ったなあ。ひらがなをランダムに並べて俳句を五七五にするという奴。「よもげらね はのみすでりぬ そほじむだ」。うーむ、名句メイク。

【雑誌】快楽天 8月号 ワニマガジン B5中
 華沢れなの新連載「Paranoid」がスタート。かるま龍狼「ゴローダイナマイ!」。きっちりエロもやりながらギャグもこなしている。楽しく読ませる底力は大したものだ。OKAMA「スクール」。今回はワイン用の葡萄の詰まったバスタブの中で、草薙くんと女の子がたわむれつつ絡み合う。罪のない気持ち良いお話。キャラクターたちの造形の美しさも際だつ。今回は4色カラーが4ページ含まれていたのだが、そこで出てくるメイドの真美さんのかわいいこと。このシリーズはお話が比較的他愛なく気軽に読めるし、無菌室でハウス栽培されたようなクリーンな絵柄も効果的。ポヨ=ナマステ「愛すべき人」。そこかしこにちりばめられた、ちっちゃなギャグにセンスを感じる。

【雑誌】コーラス 8月号 集英社 B5平
 聖千秋「そーだそーだぁ!」が新連載として本格スタート。元気でガチャガチャした楽しげな学園モノ。他愛なく微笑ましくてそれなりに面白い。小沢真理の読切「道草の目」。自分で髪を切ってお母さんにしかられ、ワカメちゃん的髪型にさせられた小学生の女の子。彼女が近所で出会った、自分と同じ髪型をした不思議な女の子。二人はたちまち友達になるが……。整った造形の少女の絵、ちょっとしたセンチメンタルさとファンタジックさが同居したストーリー回しなど、感心するうまさ。くらもちふさこ「天然コケッコー」は、一話まるまるそよが想像する大沢くんとの将来の生活で埋められている。あくまで想像なのに、妙にディティールが細かいのが読んでておかしい。そのだつくし「女の花道」は今回で最終回。開き直った作風が最後まで楽しかった。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 7/12 No.30 小学館 B5中
 山本直樹「ビリーバーズ」。一度ラインを越えてしまった『副議長』さんは、だんだん性的欲求をあらわにしだす。いよいよ本能が解き放たれるか……というところで、2号ほど休載。そんな殺生な。伊藤潤二「うずまき」。町全体がうずまきとなり最終回……のはずだったのだが、8月30日発売のNo.39にて最後を迎えることになったようだ。「うずまき」という一つのキーワードで作品を染め上げ、見事に奇想あふれる異世界を作りあげた。つづきは2ヶ月後になってしまうけど楽しみだ。作:坂田信弘+画:中原裕「奈緒子」。ついに感動のゴール。いや、それにしても引っ張った。最後の何百メートルかに何週間もかけていたので、今回もまたゴールしないかと思っていた。

【雑誌】ヤングキング 7/19 No.14 少年画報社 B5中
 有村しのぶ「HOPS」。前回で無事結ばれたバクと亜澄が大学に入って新展開。アツアツで罪がない楽しい展開。佐野タカシ「イケてる2人」は毎度テンション高し。ちょっとH。お見事。全般的にヤンキー系漫画が多いが、なんかけっこうどれも読めちゃう。吉田聡「荒くれKNIGHT」、田中宏「グレアー」、高橋ヒロシ「キューピー」などなど。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 7/12 No.31 集英社 B5平
 つの丸の新連載「サバイビー」がスタート。主人公(主虫公?)はミツバチのパズー。ミツバチだけにみなし子だ。仲間を失った虫同士でグループを作っていたパズーたちだが、瀕死のミツバチにたくされた王台が彼らの運命を大きく変える。オオスズメバチたちの追跡を交わしながら、この王台をほかのミツバチたちに届ける、パズーのつらく長い道程が始まる……といったところで第1話おしまい。いきなりミツバチが主虫公というのには面食らったが、内容はなかなかまっすぐで力の入った少年漫画という感じ。受けるかどうかは別にしてけっこういけそう。森田まさのり「ROOKIES」。たいへんクサイ青春漫画だけどこう正面きられると泣ける。秋元治「こちら葛飾区亀有公園前派出所」。DDR的なボンオドリダンスゲームとかが出てくるのだが、これ実際にあったらコナミに訴えられるだろうなあ。金井真隆「絶!!漢前伝説」は、読切ギャグ漫画。漢の中の漢であるヤンキー、ユンボのカリスマ的行状を描く作品。ノリの良いお話回しがなかなか楽しかった。瑳川恵一「マッハヘッド」。前号に続いて、小柄な女の子の寿美がかわいい。それから道元宗紀のハンドボール漫画「大好王」は今号で最終回。


6/28(月)……Mickeyの血

 指は4本。

【雑誌】ヤングサンデー大漫王 7/28 No.27 小学館 B5中
 山口かつみの読切「カミングアウト」が巻頭カラー。しょっちゅう女に告白されるけど、その数だけフラれ続けるちょっと軽薄そうな男子高校生。なんだかあれよあれよという間に彼は家族からも見放されてしまうのだが……。力の抜けた、軽やかな作品に仕上がっていて気持ち良く読める。山口かつみって軽薄そうに見えるけどけっこう漫画はうまいと思うのだ。吉本浩二「淋しいのはオマエだけじゃない!」。絵はうまくないんだけど、山田芳裕的に無駄に力の入ったキャラクターたちの表情が印象的。垢抜けなさも味だ。弱小制作会社の下っぱADである、モテなくて情なげな男が、ある日ねるとんパーティ(死語やもしらぬ)で素直で可愛い女の子と知り合う。彼の、結局はうまくはいかないけど爽やかな青春恋愛譚。木村信吾「和広」。オカルトグッズ狂いのちょっとおかしな同級生、和広を取り巻くクラスの人々の悲喜こもごも。クセの強い絵と下らない展開でなんだか味がある。今回で最終回。巻末4色、阿部潤「プチ」は相変わらずのテンションの高さで楽しい。
 絵はさほどうまくないけどクセというか臭みのある新人を集めてて、雰囲気としては好きな雑誌だ。実際のところ、ヤンマガ系の新人ほどの荒っぽさやパワーはなくさほど面白くはないのだけど、こういう雑誌はときどき当りがあってくれればそれでいいのだ。

【雑誌】モーニング新マグナム増刊 7/14 No.9 講談社 B5中
 カッコイイ充実ぶり。バクッと買ってモリモリ読むべし。
 加藤伸吉「バカとゴッホ」。ゴッホの恋は正二との出会いでちょっぴり揺れるも、さらに輝きを増す。実にまっすぐ青春である。小田扉「話田家」。ちょっと引いた感じのアングルの画面で、軽妙なネームがポンポンと飛び出す。この人のギャグセンスは一種独特でとっても気持ちがいい。つかみどころなさげな、間の取り方が抜群なのだ。絵もうまいと思う。この作品を面白くするうえで、実に効果的に作用している。岩館真理子は読切「いつかどこかで雨の日に」で初登場。ん〜、まあそこそこ。冬目景「文車館来訪記」は、彩色が美しい。全体が寒色系である中で、黄色や赤といった暖色系の色がパッと目を射る。そして、今回一番のお気に入りは清田聡「ミキ命!」である。ミキと、同棲している男「ユンボのマサ」の生活を描く。いきなり帰ってきたと思ったらマサを犯し始めるミキ。そしてヒモ化しつつあるマサを殴りつける。マサはいったん家を出ていこうとするが、また思い直して戻ってくる。ユンボのマサである自分を取り戻して。その一部始終、ミキはずっと全裸だ。激しいぞ。それにしてもこの作品、かなりに無軌道に暴走する変態っぷりが気持ち良くて気持ち良くて。

【雑誌】ヤングマガジン 7/12 No.30 講談社 B5中
 巻頭カラーで日本橋ヨヲコ「極東学園天国」が新連載スタート。いったん入ったら卒業するまで出ることのできない学校、「要塞学園」……ではなく極東学園に転校してきた主人公らしき男子、平賀信号。自由ではあるけど秩序はなく、自分の身は自分で守らなければならない学園内で巻き起こる青春の嵐、……といった漫画になりそうな気配。今後どのようにお話を転がしていくかに注目。平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」。ゲンさんが、脱サラ山奥カントリーペンション野郎の生活を踏みにじる。悪意バリバリ。すぎむらしんいち「超・学校法人スタア學園」。ついに奴らが帰ってきた。ペアでそろえたブリイフ、春夏秋とかけぬけ。ビバ! ブリーフブラザーズ。かっこいいぜ、ぷちんぷちん。


6/27(日)……オフィスラヴ行進曲

 この週末は会社でずっとマザーボードとにらめっこ。緑色の板とオフィスラブ。ウラジミール・母板。裏面のちくちくがいいよね。

【単行本】「えの素」4巻 榎本俊二 講談社 A5
 葛原さん! 菖蒲沢ひろみ! 秘書のおねえさん! イエー、バッバッ。感じるぞヒートッ、燃え尽きるほどハート! というわけでまあいつもながらに呆れるほどダイナミックに下品でアクティブでリズミカル。そして女性キャラクターがキュートでH。人生は下半身に支配され、男は勃ち女は濡れる。テンションを高めまくり、記号的表現を極めまくったその表現は脱帽するかっこよさ。まさに猫まっしぐらである。ボッキボッカーボッケスト。チンポチンパーチンペスト。ダンコンダンコナーダンコネスト。

【単行本】「夢の温度」1巻 南Q太 宝島社 A5
 最近の南Q太はうまい。憎たらしいほどに。小さな町に住む高校生の兄と、中学生の妹。兄はかっこいいと評判の色男。妹は成績は中くらいだけど頭の回転自体は早く、兄貴が好きなブラコン気味の女の子。彼ら二人の、それぞれの恋愛模様を描く作品。体温がきっと34度くらいなのではあるまいかと思えるような、微妙に低温な表現。ベッドの中のまだ体温でぬるまっていない部分のような、ひんやりとして心地の良い肌触りの読み口。実に雰囲気のある距離感。急がずちょっとずつ話を動かしていくさじ加減の巧みさに、ほうとため息をついてしまう。最近の南Q太はかっこいい。悔しいほどに。

【単行本】「江戸川乱歩のパノラマ島奇談」 長田ノオト 蒼馬社 A5
 タイトルどおり、江戸川乱歩の「パノラマ島奇談」を漫画化した作品。原作はあまりにも有名であるからストーリーをくだくだしく説明はする必要もあるまい。未読だったらまず原作を読むべし。そしてこの漫画を読んで浸るべし。耽美な表現。可憐な少女。繰り広げられるユートピア。もうちょっとパノラマ島に込められた幻想と妄執の数々を、ページ数を使ってじっくりと表現してくれるとうれしかったが、作品の雰囲気としてはとてもよくできていると思う。千代子さんが可憐で本当にいい。惚れる。


6/26(土)……250万の瞳

 メールチェックをしていると、なんだか愉快なメールが届いていた。以下引用。

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【雑誌】きみとぼく 8月号 ソニー・マガジンズ B5平
 今までシリーズ読切で掲載されていた植木家朗「南北高校番長部」が短期集中連載としてスタート。この人の、ちょいとデタラメで読み口としては上品な作風はわりと好き。後味が軽やかで楽しい。架月弥「チョコの歌」。ホームシックになっていた忍を、圭都の間抜けさが救う。最後はきっちりと爽やかに締めくくるし。ほぐれた描線の感じも気持ち良い。藤枝とおる「レンアイアレルギー」は、くっきりはっきりして整った描線がいつもながらきれい。お話もけっこう読ます。画面全体が整理されているので読みやすく、目を惹く作品。

【雑誌】LaLa 8月号 白泉社 B5平
 津田雅美「彼氏彼女の事情」。両想いになった十波と椿だが、自由なままな椿が好きである十波は、相手を縛りつけたくなる自分の想いに耐えきれなくなる。そんなこんなな想いを乗せつつ、学校は学園祭に突入である。森生まさみ「おまけの小林クン」。学園祭のミスター/ミス学園選びのお話は今回でおしまい。他愛なく楽しい。これだけのイベントなのに引っ張ったなあ。

【雑誌】マガジンZ 8月号 講談社 B5平
 創刊号。総ページ数800ちょい。分厚い。重い。メディアミックス狙いで目玉はターンエー。
 作:永井豪+画:衣谷遊「デビルマン黙示録AMON」がなかなか良い。人間たちによるデーモン狩りが始まってから、最終戦争までの期間、不動明の中で目覚めたアモンの魂。本家の雰囲気を生かしつつシャープにとんがらせた画風が、デビルマン世界にマッチしていたカッコイイ。熊倉裕一「王ドロボウJING」は「KING OF BANDIT JING」と名前を変えてスタート。克・亜樹「煌羅万象」。なんだかかなり大風呂敷な、超能力学園番長漫画になりそう。克・亜樹には「符法師マンダラ伝カラス」というたいへんにたわけた漫画があるのだが、ああいう路線再びなのか? 「ふたりエッチ」とかを経てちょっとHなカットが増えている点も見逃せない。林田球「魔剣X ANOTHER」は、細かいペンタッチで、適度に乾いた感じの絵柄が目を惹く。見開きの使い方も印象的。唐沢なをきの「カスミ伝」シリーズ最新作「カスミ伝△」は、例によって漫画的常識を逆手にとった実験的な作品。ネタ自体は自分で読んで確かめようという感じだが、今回は前にも見たようなネタであったのと、使われている事物が案外まともなものだったのでちょっと冴えない。永野のりこ「STAND☆BYみ〜ちぇ!!」。み〜ちゃという名前の、泣くとかいじゅうに変身する少女のお話である模様。永野のりこのかいじゅう趣味が爆発してくれると面白くなりそう。メガネくんも例によって登場。作:矢立肇+画:有賀ヒトシ「THEビッグオー」は早くもアニメ化が決定しているそうな。「ジャイアントロボ」的に、ちょっと大時代入った冒険活劇。徳光康之「OVA」は、下らぬガンプラギャグが楽しい。
 とまあ見るべきところもけっこうあるマガジンZだが、定期的に買うかとなるとちょっと微妙。こういうメディアミックス系オタク少年誌ってあんまり得意なジャンルじゃないし、重いので持って歩くのはちょっといやだし。まあ様子を見てって感じか。


6/25(金)……ラブレター、やぶられたー

 あ、UFO!

【雑誌】アフタヌーン 8月号 講談社 B5平
 巻頭で2000年までに出る号の予告をしている。
9月号:作:浅田次郎+画:ながやす巧「鉄道員」
10月号:樹なつみ「暁の息子」、高野文子の新作「黄色い本」
11月号:大西巷一「女禍」連載開始、木村紺「神戸在住」連載化、篠房六郎「空談師」
 それに加えて1999年冬に小田ひで次「クーの世界」とトニーたけざき「スターピンチー(仮)」が、2000年春に士郎正宗「封神抄」が開始予定。というわけでたいへんに豪華である。俺にとっては高野文子、篠房六郎、小田ひで次あたりがとくに。ただ、こんだけ豪華だとせっかくだから予告も小出しにしてほしかった、というのは贅沢か。これもまた、一つの2000年問題。
 高橋ツトム「地雷震」は新章スタート。そしてこれが最終章になる模様。出だしはかなりドラスティックだが果たしてこれからどう展開していくというのか。遠藤浩輝「EDEN」。最近ずいぶん面白い。読者が思い入れを持つであろうキャラクターをいともアッサリ切り捨てるクールさ、甘えのなさが効果的。植芝理一「ディスコミュニケーション」。次号で三島塔子が7年ぶりに再登場するらしい。そんなに久しぶりだったっけという思いと、もうこの作品7年以上もやってるんだなあという感慨が交錯する。大本海図[V.O.C.E]。他星系種族と向かい合う生活が、太陽系全体に浸透した時代。精神感応の力を持つがゆえに他の族との外交職を担当するミュータントたち。星系の中で複数の族が共存していくうえで起こる現象と、大きなうねりの中にいやおうなく巻き込まれていく個人を描く、骨太な宇宙SF作品。内容はかなり難解で理解しづらいが、その実力はかなりのものがある。鉛筆描きのような(たぶんCGなんだろうけど)くすんだ画風もかっこいい。インク量が多そうで、読んでいると手が真っ黒になりそうではあるが。近藤和久「フォワード」は今回で最終回。

【雑誌】ヤングアニマル 7/9 No.13 白泉社 B5中
 文月晃「藍より青し」が再開である。子供のころからの許婚と一つ屋根の下。圧巻なくらいに腐れたお話は健在。たいへんにベタベタ。いやはや。二宮ひかるの3号連続読切「ラブレター」がスタート。3本のショートストーリーをまとめたオムニバス形式。それぞれ短いながらきれいにまとまっていてうまい。1本めの最初を見たときは、一瞬「ナイーヴ」の続きかと思った。三浦健太郎「ベルセルク」。聖鉄鎖騎士団団長のファルネーゼが、自分の性癖に悩みつつ溺れる。艶めかしい。田中ユタカ「愛人[AI-REN]」。トキメキ好き合う二人を延々と、しかもコンスタントに描き続ける田中ユタカの手腕には毎度感心させられる。そう、毎度なのだ。いやあ、もう、恋っていいよね。

【雑誌】ヤングジャンプ 7/7 No.30 集英社 B5中
 紅林直の新連載「山靴よ疾走れ!!」がスタート。山岳救助隊から発展した北アルプス警備隊の活躍を描く物語。山岳モノってけっこう面白い作品が多いような気がするので期待。奥浩哉「ZERO ONE」。さっそくかわいい女の子が出てきてたのに転校しちゃうことに。ちょっと残念。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 7/8 No.31 秋田書店 B5平
 田口雅之「バロン・ゴング・バトル」が最終回、になったのは先週だ。そして今回は川島よしお「グルームパーティー」が最終回である。川島よしおは来週からさっそく新連載「O・HA・YO」がスタートするらしいが。
 今週からは内海甲介「SPRING MAN」が新連載。一度転校してまた戻ってきた、やたら喧嘩の強いトラブルメーカー・ハル。彼の帰還により学園がざわめき立つ……といった出だしだが、どうやらバスケ漫画になるらしい。能田達規「おまかせ!ピース電器店」。今週はアイちゃんがいっぱい出てくるのがいい。アイちゃんの想いはちょっと切なくてどうにもたまらねえ。あと、4コマの施川ユウキ「がんばれ酢めし疑獄!!」が最近ちょっと面白いと思う。

【雑誌】ドルフィン大将 VOL.13 司書房 B5平
 今号が最終号らしい。わりと好きな雑誌だったので残念……といっても、7月から月刊で新雑誌が出るらしいので別にいいんだけど。
 東海道みっちぃ「ドキドキBODYガード」。ちょっと頭弱げで身体はばいんばいんな女の子が電車内で痴漢されるというお話。むちむち。KASHIみちのく「交性人」。KASHIみちのくにしては大人しいか。やってることはやっているけれども、もうちょっと馬鹿やってほしくもあり。最終号ということでDr.モロー&スタジオ寿「エロバカ学級日誌」。学校内で繰り広げられる低レベルな青春模様ともお別れ。最後はちょっとホロリとさせられる。ラスト4ページのみ4色カラーという構成も効いている。

【雑誌】ステンシル 夏号 エニックス B5平
 エニックスが送る少女漫画雑誌の第2号。少女漫画とはいいつつも、「オトコノコにも読んでほしい」というだけあって、けっこう男寄りなところも。普通の少女漫画雑誌とは若干肌触りが違う。あと、なんとなく全体的に印象が薄い作品が多いような。
 この雑誌の特徴は、こがわみさきが描いているところだ。俺にとっては。今回のタイトルは「サンドロット」。タイトルにあるサンドロットという名前の少年野球チームのお話。このチームには、あきふみという名前のやたらうまい奴がいるのだが、何か事情があるらしく試合のときに顔を出さない。あきふみは実は……というお話。こがわみさきの絵は上品で爽快。ただ、今回のキャラクターたちは、どうも小学校6年生には見えないなあ。あとは坂田靖子「両国サマ〜・デイ」がほのぼの。


6/24(木)……マツオだからマーツン

 今日モーニングで第6回MANGA OPEN第1次選考通過作品が発表されていたのだが、その中にJ・マツオの名を発見。J・マツオだぜ、J・マツオ。自費出版の単行本「キャンバス」(詳しくは98年2月8日の日記参照)を読んで「タダモノではない」と思っていたのだが、こりゃぜひ作品掲載まで行ってほしい。でも、選考委員が青木雄二、わたせせいぞうだと通らないかもしらんなあ。

【雑誌】モーニング 7/8 No.30 講談社 B5中
 王欣太「蒼天航路」。「三顧の礼」も、かなりうまく王欣太流にアレンジされていてかっこよかった。作:亜樹直+画:的場健「サイコドクター」が掲載。今回もベタベタでんな。ところで、この人のCGはグラデがキツくていつもなんか違和感があるのだけど。この前、コミックビームに掲載されていた市橋俊介が登場。タイトルは「雨の日には傘をっ!」。元はマルチまがいのセールスマンをやっていた男が、訪問先のジジイと仲良くなり、ジジイにたかりつつ友達付き合いをするようになる。実はジジイにもいろいろと厄介な身の上があったりしたが……。若者とジジイのマブダチっぷりが爽やかで、ラストも気持ちがいい。描画テクニックはあるほうではないけど絵には味があるし、話作りもなかなか良く、けっこうな実力者という印象を受けた。
 次号では松本剛(+春場州太夢)の新作「ラストマウンド」が掲載されるそうだ。松本剛ファンは要チェック。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 7/24増刊 Manpuku! 小学館 B5中
 スピリッツ21からManpuku!に変わったばかりの、ギャグ路線のころはイマイチだったが、最近は読切作品が増えて面白くなってきた。
 吉田戦車「山田シリーズ〜ハーブ〜」。言葉の使い方がやはり抜群にうまい。滑稽で力の抜ける擬音。そして、一見普通だけどあらためて呟いてみると間抜けな名詞選びのセンス。山田の表情も素晴らしく味わい深い。このシリーズ、たいへんに面白いと思う。吉田戦車の言葉遣いに、俺はかなり影響を受けたものだよ。榎本ナリコ「スカートII」。シリーズ化が決定したそうだ。男が好きな男一人を含む、男2女1の三角関係。「男はスカートをはけない」ということに象徴される、親友に恋する男の心の揺れ。微妙なバランスの上に成り立つ彼ら&彼女の想いはすれ違いゆらぐ。「センチメントの季節」でもそうだったけど、象徴的なアイテムを物語のキーとしてうまく使っていて鮮やか。高橋しん「フレデリック」。「いいひと。」に出てきたイナバの、昔の恋の物語。今回は説教もなく、絵のうまさがストレートにプラスになっていてなかなか良かった。ラストも爽やかでキレイだったし。それから村上かつらの新作、「かさぶた」が載っているのもうれしい。もうそろそろ単行本にまとまってくれると嬉しい人だが、この人で採算をとれるかというと難しそうだしまあ多くは期待しない。どうせ今までの掲載作品は切り抜いて保存してあるしー。石井達哉「プロファイリング師 朕集院犬清」は今回も下品で馬鹿馬鹿しくて下らない。その程度の低さがたまらねい。

【雑誌】ヤングサンデー 7/8 No.30 小学館 B5中
 短期集中連載、福山パブロフ「愛ほどおいしい」がスタート。愛のために、コックを目指すことに決めたプーな若者の物語。情熱の発露の方向がちょいとねじ曲がり気味なあたりに、面白くなるかもという期待。阿部潤「the山田家」。奇矯な着ぐるみが山田家パパ・トムを襲う。「the山田家」って、もちろん花子たち家族もスゴイのだけど、ときどきでてくるブチキレた脇役もまたたいへんにテンションが高くて好きだ。

【雑誌】CUTiE comic 8月号 宝島社 B5平
 先月「ラブ・マスターX」が終わったばかりの安野モヨコがさっそく新連載。タイトルは「バッファロー5人娘」。5人娘のうち、今回は二人が登場。売春宿から逃げ出し、追っ手につきまとわれることとなったキャンディとスージー。舞台となっている荒野はかなり西部劇。この作品もまた、適度なパワフルさとノリの良さがあり、かつちょうど良くオシャレで元気がいい。よくまあこれだけコンスタントに次から次へと、エンターテインメントできるものだ。小野塚カホリ「ソドム」も新連載。今回は長期連載になるそうだ。今どきやたら門限が早かったりいろいろ窮屈な家庭に育ったお嬢さん。その彼女が、遊び人と評判の男と付き合い始めるが、門限などのせいでなかなか夜まで一緒にいられない。そんなこんなの障害があり、なおかつちょっとライバルっぽい男も出てきてこれから彼らはどうなるのか、といった感じのお話。長期連載というのを意識してか、今のところ全体的な雰囲気はあまりとんがってない。多少のまろやかさがあって読みやすい。南Q太「夢の温度」。南Q太の描写力はますます研ぎ澄まされてて、一本一本の線がさりげなく、そして効果的。魚喃キリコ「南瓜とマヨネーズ」は次回最終回。楽しみ!

【雑誌】COLORFUL萬福星 Vol.6 ビブロス B5平
 いやあ、それにしてもオシャレでセンスのいい絵を描く人が増えたもんだなあ。ここ数年のこういう方面の女の子絵のクオリティの向上には目を見張るものがある。それがストーリーの面白さに直接結びつくわけでもないけど、絵がうまさが大きな武器であるってのは確かだ。
 町野変丸「タワーゆみこちゃん」。CGコミック雑誌だけらしく、フルタワーケースに入れられて拡張されまくったゆみこちゃん。拡張するのはいいことだとばかりに、やみくも増設に対して「ああ〜んステキ」と叫ぶゆみこちゃんの様子が実に立派。ちなみに今回は遅刻しそうにはならない。西木史郎「愛は萌えているか!!」。ゲーム系の同人漫画を描くために、そのキャラクターに成りきろうとする男女。のびのび元気な絵もいいけど、ラストのオチのキレも良かった。あるまじろう「ぼくの伯父さん」。普通に描いてもうまいが、CGも趣がある。ところでエロ漫画でCG使うのってモザイクかけるのに便利だなあと思ってみた。粟竹高弘「隣星1.3パーセク」は今回で最終回。ラストはなかなか難解。これは最初っから全話読み返してみたいところではある。

【単行本】「菫画報」4巻 小原愼司 講談社 B6
 最終巻である。背が高くて粗暴だけれどもロマンチストでセンチメンタルな女子高生、スミレの淡々としてファンタジイに満ちた日常を描いた作品。作者の視点は、スミレとその周囲の人々を、突き放すでもなく熱く迫るでもなく、気持ちよくサッパリした距離から見つめている感じ。押しつけがましくなく、さりげなくちりばめられるセンチマンタリスム。それから軽妙なテンポ。たいへん面白い作品だった。大好きだった。終わってしまったのはちょっとだけさみしいけれど、これでまた小原愼司が新しい作品を始めてくれるのなら、そちらに対する期待のほうが高まる。「菫画報」でやれることはあらかたやった感じがあるので、次はまたそれとは違う、新たな地平を見たいものだ。


6/23(水)……ネオデビデビ

 今日の朝食はアジの開きと白飯であった。しかし、昼飯は会社の近所のほかほか弁当屋で買った豚肉とナスのピリ辛炒め弁当。ああ、そして、晩飯はチャーハンとコンビーフとトマトとキュウリであったのだ。

【雑誌】コミックフラミンゴ 8月号 三和出版 A5平
 駕籠真太郎「わが恋せし乙女」。女淫を通じていくつものパラレルワールドを行き来する女学生・愛子さん。愛子が別の愛子の女淫から顔を出し、その愛子の女淫からも別の愛子が。どんどん増殖する愛子たち。そして最後には愛子たちによる戦争に至る。今回はいつもの「大東亜共栄圏」シリーズとはちと趣が違うが、テンポが抜群に良くその発想の妙も見事。後半のキレ味鋭い展開はかなり素晴らしい。海明寺裕「続・異境の掟−謝肉祭−」。K9ワールドは今日も着実に足場を固めつつある。そういえばAMDの次々々期CPUってやっぱK9なのだろうか。蜈蚣Melibe「バージェスの乙女たち」。今回は政府軍に捕まったゲリラの少女が、フェラチオ奴隷へと改造されていくさま。バージェス博士たちは出てこない。いつになく普通なHだった。蜈蚣Melibeにしては、だけど。天竺浪人「便器」では、本山くんが自分が今付き合っている藤沢さんが、公衆便所ちゃんとしてぐちゃぐちゃに凌辱されているところを見せつけられる。彼女の尊厳を守るためか、自分も便器であるということを宣言してしまうが……。ついに自分の便器性を言葉に出してしまったことで、本山の便器願望に拍車がかかっていってしまうのか。境界を越えるところまで話を持っていくやり方が非常にうまい。

【雑誌】週刊少年マガジン 7/7 No.30 講談社 B5平
 大島司「シュート!熱き挑戦」。平松がFWとして一皮むけてきてかっこいい展開。ただし、眼鏡はとったほうがよろしいかと。大暮維人の読切「魔神−Devil−」の後編。格闘描写やら女の子の表情とかは非常にうまいし魅力的。ただ、お話としては前後編だけでやるのはツラかったかなという印象。それにしてもホットミルクからデビューして出世したなあ、この人。

【雑誌】週刊少年サンデー 7/7 No.30 小学館 B5平
 原秀則の読切「一本それまで!!」の後編。う〜ん、見事なまでにまとまったラブコメ。手堅い。久米田康治「かってに改蔵」。今回のお題は忘れてしまいたい、恥ずかしき過去の不発弾たち。一人DJゴッコは確かに恥ずかしい。それを32歳になってまでやっているアゴナシ運送のゲンさんは相当にステキだ。

【単行本】「ネオデビルマン」1〜2巻 永井豪ほか 講談社 A5
 当初の予告よりだいぶ遅れての2巻同時発売。モーニング新マグナム増刊でシリーズ掲載された、さまざまな漫画家が、それぞれの解釈によるそれぞれの「デビルマン」を描く異色のアンソロジーである。第1巻は永井豪/萩原玲二/江川達也/寺田克也/石川賢/ヒロモト森一。第2巻は永井豪/岩明均/永野のりこ/高寺彰彦/夢野一子。どちらかといえば2巻のほうが面白く感じた。不動明を人知れず恋する一人の少女を描いた切ない物語である、夢野一子によるお話が出色の出来。あとは高寺彰彦の緻密な作画もカッコイイ。それぞれ実力のある人が描いているだけに興味深く読めることは確か。ただ改めてまとめて読んでみると、一つひとつの作品はうまいのだけれども、ガツンと衝撃を与えてくれるほどではない。その作品自体の出来より「この人ならどう描くのか」という興味のほうが先に来てしまっているような気はするし、また作品自体もキレイにまとまってはいるがパワーには欠けるきらいがなきにしもあらず。

【単行本】「無限の住人」9巻 沙村広明 講談社 B6
 地方の道場主に見込まれた天津が、道場を譲る代わりに娘婿になるよう要請される。凜は空腹に駆られながらの一人旅。そして卍は療養し、無骸流の百琳は逸刀流の男たちによって囚われる。というわけであっちゃこっちゃで話が動く今回の巻。派手な斬り合いのシーンこそほとんどないものの、これからの急展開に向けて素地はどんどん整えられきている。というわけで今後の展開に期待膨らむ巻。

【単行本】「キリコ」3巻 木葉功一 小学館 B6
 本格的に殺し屋としての道に入ってしまった遊佐が、仕事でキリコたちと組むことに。もともと不安定になっていたキリコの精神はぐらぐらと揺さぶられる。最初のころと違って、だいぶ弱くなってしまった感じのキリコは、なんだか危うい魅力がある。白痴美にもほの近い。


6/22(火)……トム・ボンバー汁

 http://www.diana.dti.ne.jp/~optic/birz/に新情報掲載。ソニー・マガジンズからのバーズ復刊日が決まったらしい。復刊第1号の発売日は7月12日。スコラから出ていた単行本に関しては、ソニー・マガジンズから順次、新装版として発売されるそうだ。

【雑誌】オールマン 7/7 No.13 集英社 B5中
 本宮ひろ志「男樹四代目」が新連載。本宮ひろ志らしい大ざっぱで大風呂敷な感じの出だし。荒木飛呂彦「デッドマンズ・Q」は今回ので中編。主人公の吉良が今回対峙するのは、全体が霊魂となってそこに存在する屋敷。家の壁、屋根、窓などすべて霊魂であり、中にある調度などもすべてそう。自身霊魂である吉良が、すべてをダイレクトに感じることのできるこの家は彼にとって一種理想的な場ではあるが……というところで以下次号。深谷陽「運び屋ケン」は今回で最終回。最後までエスニックで粋で面白かった。地味ではあるけれども。

【雑誌】ヤングチャンピオン 7/13 No.14 秋田書店 B5中
 富沢ひとし「エイリアン9」。だいぶ物語の種明かしが進んできた。エイリアンたちの共生争いに巻き込まれた3人組にはさらに過酷な展開が待つ。そしてついに業を煮やした先生の出動。可愛らしい絵とは裏腹に、描かれる世界は非常にハード。哀しいほどに。山本夜羽「マルクスガール」。今回のサブタイトルは「青年の性的闘争1999」ということで、古くから彼の作品を読んでいる人は思うところ多いかもしれない。この作品、かなり意図的に巨乳とデカチンに挑戦しているような気がしないでもない。いやあ、なかなかにいい乳である。丸尾末広「笑う吸血鬼」。トルエンでイカれた少年たち、ピエロの恰好をした浮浪者に凌辱される少女。かなりイヤな展開になってきてうれしい。

【雑誌】コミックドルフィン 8月号 司書房 B5中
 今号はうめつゆきのりが病気ということで、表紙がほりべひでろう。図柄的にいつもと大した違いがないせいか、一見した雰囲気はいつもと同様。
 みやびつづる「艶母」。息子の一彦に捨てられかかっているお母さん、美沙子の息子欲が爆発中。とくに今回は最終ページの前の見開きが大迫力。パワフルでいやらしい。これだけエネルギッシュだとむしろ爽快。草津てるにょ「blind…」。今回は半分くらい(8ページ)が2色カラー。乳のつややかさ加減がよろしい。じゃみんぐ「鬼の杜」。地方の村に伝わる民間伝承。淫祠邪教の類を題材に、泥臭くもパワフルなエロスが展開される。まあそんなわけで今回が最終回。割り切った実用的な作品作りがけっこう好きだった。

【雑誌】パイク Vol.20 文月 ふゅーじょんぷろだくと A5平
 天真楼亮一「はあど・とう・ふおーるど」。絵柄的には多少たどたどしさもあるし、お話もあんまりよくできていない。でもエロ魂はけっこうある。下乳と胴体を区切る線にソソられているのかもしれない。お話は双子姉妹がお互いの男に内緒で入れ替えデートを行い、疑似スワッピング状態になるというもの。うらまっく「いつかみたそら」。3回めの今回が最終回。娘を失った中年オヤジが、行き場を失った少女を監禁し、娘と暮らした家に閉じ込める。苦しみもがきながらお互いにすがり合うことになる二人の痛々しさが印象的な、ヘヴィでハードなお話。報われないラストも味わい深い。これ単行本でまとめ読みしたらかなり面白かろう。TAGRO「ザー汁大好き奈々子ちゃん」。ぶっかけビデオに出演することになってしまった女の子が、精液雨あられの中で精液のなんたるかを知る。いつもより淡いトーンの絵柄の感じもいいし、ぶっかけられまくった女の子の姿もソソるが、お話的にはあんまり工夫がない感じ。あめかすり「ちらかった部屋」。引っ越したばかりのカップルの何気ない一日を描いたお話。小さいけれどもよくできている、という感じ。ほとんど同じだけど微妙に構図の違うコマを横に三つ並べるとか、画面的にも面白い。パルコ木下「最悪爆弾」はラフでゴチャゴチャした絵が、コピー誌の同人誌的。ヤケクソな疾走ぶりは気持ちがいい。


6/21(月)……デラ・ゼッピン!

 街を歩いていたらバッタリ佐々木さんに出会ってビックリ。その後、店に行ったが伊藤さんはちょうどいないときだった。そのほかに土屋さんや田中さんたちとお話する。昼食は肉と飯。会社に戻る電車の中で、前の席に座っていた前田さんと高木さんの話を漏れ聞きつつ、心の中で「それは違うのでは」と呟いた俺だった。会社ではエレベーターの中に渡辺さんがいた。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 7/5 No.30 集英社 B5平
 毎週何をやってくれるか楽しみでしかたがなかった高橋陽一「−蹴球伝−フィールドの狼FW陣!」が最終回となってしまった。期待に違わぬ中途半端な終わり方で満足。やっていることはかなり大馬鹿なのだが、開き直ってやっているわけでもなさそうなナチュラルさ加減がたいへんに素晴らしかった。ありがとう、陣。僕はタコヤキ作戦を忘れない。絶品ループシュートを忘れない。島袋光年「世紀末リーダー伝たけし!」。今回はなかなかに良かったと思う。世界2位のカメラマン、チャーリー玉城のしゃべり方がテンポが良くて光っていた。森田まさのり「ROOKIES」。野球部の生徒たちの心が完全に一つになって、爽やかで感動的な試合終了を迎えた。いいお話である。瑳川恵一「マッハヘッド」。新キャラクターである女の子登場。寸詰まりな感じでなかなかかわいい。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 7/5 No.29 小学館 B5中
 作:坂田信弘+画:中原裕「奈緒子」。ここまで、引っ張りに引っ張ってきたこのレース。すべての想いが、残りわずかな距離、日本海の疾風の脚に託される。うおおおお、疾風ぇーーー、とばかりに総毛立つような描写。ゴールシーンはもうすぐだ。山本直樹「ビリーバーズ」。外部からの闖入者によって3人のバランスがついに破綻。そして性的方向への傾きが、ついに一線を越え始める。いやあ、それにしてもこれまでためにためてきただけあって、そのシーンのなまめかしいこと。快感が脳天の奥のあたりで爆発してそうな感じが、たいへんにうらやましい。

【雑誌】ヤングマガジン 7/5 No.29 講談社 B5中
 巻頭カラーで古谷実の新連載「グリーンヒル」がスタートである。とくにやる気も目標もないけど身体だけは健康な男子。その彼がダラダラと時間を過ごしていたときに見かけたのさ。ボインを。ナイスバディを。ダイナマイツを。イカした彼女はグリーンヒルという名前のバイクチームに所属する女子。彼女に心奪われ追いかける、若き男子の闇雲な日常が始まる。そんな感じの出だし。志低き男子たちのどうでもいい日常に期待高まる。平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」は、禍々しき2色カラー。ヴィジュアル系もゲンさんにかかればこのように恐ろしきものへと変わる。ヴィジュアル系ーっス。


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