◆ 2000年8月下旬 ◆

8/21〜31
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8/31(木)……GG砲弾

 オツアン8月分「泣ける漫画」が終わった……。1位はやはり「さようなら、ドラえもん」だった……。8月分については熱いコメントが多かったので、思わずその作品を読んでみたくなるというケースが多かった……。とりあえず「大長編ドラえもん」を全巻買おうと心に決めた……。あと川原泉も読まなくちゃ……。

 ……9月分は「絵がうまい漫画家」にした。……「アンケートをとってほしいテーマ」にも要望があったし。……「絵がうまいだけ」と認識されるようなタイプの人は軽んじられがちだけれども、漫画が絵と言葉で出来ている以上、その片方が物凄くうまい人は、それだけでそれ相応の評価は受けちゃってもいいと思うのだ。……だから今回は、とにかく技術面で秀でていると思う人を挙げていただきたい。……「好みの絵」よりも、むしろあくまで「うまい絵」を描く人に投票していただけるとありがたく。

 9月は……こんな感じでお買い物をしようと思う。古屋兎丸が……2ヶ月連続というのはうれしい限り。はっとりみつる「イヌっネコっジャンプ!」1巻も出るので……ご家庭でもお手軽に萌え萌えできますね。雑誌も含めた買い物スケジュ……ールはこちらをどうぞ。

タイトル作者出版社
「プラスティック・ガール」古屋兎丸河出書房新社
2「ここちよい重さ」ミルフィーユヒット出版社
5「海猿」7巻佐藤秀峰小学館
6「超・学校法人スタア學園」20巻すぎむらしんいち講談社
6「フローズン」6巻山崎さやか講談社
7「マドンナの片想い」梶原にきソニー・マガジンズ
8「イヌっネコっジャンプ!」1巻はっとりみつる講談社
8「コギャル寿司」1巻小田原ドラゴン講談社
12「トトの世界」4巻さそうあきら双葉社
12コミック燃絵 Vol.3松文館
「豪快さんだっ!」泉昌之青林堂
19「Papa told me」23巻榛野なな恵集英社
22「リーマンギャンブラーマウス」2巻高橋のぼる講談社
22「バカとゴッホ」1〜2巻加藤伸吉講談社
22「天才柳沢教授の生活」16巻山下和美講談社
22「天才柳沢教授の華子との生活」山下和美講談社
22「天才柳沢教授のタマとの生活」山下和美講談社
22「犬神」10巻外薗昌也講談社
22「BLAME!」5巻弐瓶勉講談社
25「ハード・コア」1〜3巻いましろたかしエンターブレイン
25「ハニバニ!」1巻いくえみ綾集英社
25「ピンクパレード」御形屋はるかシュベール出版
25「俺と俺と俺」藤子・F・不二雄小学館
25「カワイイ女と呼ばれたい」矢凪まさし富士美出版
25エクストラビージャン集英社
27「マラヤ」4巻安彦良和メディアワークス/角川書店
27「イケてる2人」9巻佐野タカシ少年画報社
28「恋愛ジャンキー」2巻葉月京秋田書店
28「CURA」2巻六田登双葉社
29「火星田マチ子」吉田戦車ソニー・マガジンズ
29「火星ルンバ」吉田戦車ソニー・マガジンズ
29「SF/フェチ・スナッチャー」西川魯介白泉社
30「ギャラリーフェイク」20巻細野不二彦小学館
「喜劇駅前花嫁」駕籠真太郎太田出版
「みかりん単行本(仮)」みかりん心交社
「幼稚なOTONA」QBB青林堂

【雑誌】ヤングサンデー 9/14 No.40 小学館 B5中
 北崎拓「なんてっ探偵アイドル」。今回の見どころは何度もウォータースライダーをするアキラ。そしてラブコメ風味。プールサイドで育ちつつある真夏の恋にドッキドキだあ。アイドルが主役でなおかつ探偵ということでイロモノっぽいんだけど、実は煩悩と青春と謎解きのバランスがけっこううまい具合にとれているような気がする。なかなかどうして、ちゃんと面白いじゃないっすか。山本英夫「殺し屋イチ」。イチの襲来にワクワクドキドキな垣原の表情がすごくいい。顔だけで見せてしまえるんだから強いですわ。

【雑誌】モーニング 9/14 No.40 講談社 B5中
 今回のモーニングの表紙に衝撃を受けた人はどうも多いようで。
 この号の目玉は、初登場池沢さとし「GG」であろう。ディーノ246GTを駆るスーパー爺ちゃん「GG」の物語で、クルマと女の子とレースというまさに池沢節。絵は全然うまくなっていないというか、昔よりもぎこちなくなっている。さすがに1年間遊んでただけのことはある。それにしてもこの物語全体に漂う、珍妙でお気楽なノリはなんだろう。エロシーンはあるけれども、脂っけは抜けていて、軽妙な賑やかしとして機能。お話自体が面白いわけじゃないが、かんらかんらって感じのノリにどうもあてられてしまう。ハナっからいい作品にしようって気がなさそうにさえ思えるこの投げ遣りっぷりはすごい。本当にどうでもいいんだけど、目を吸い寄せられてしまう怪作であります。山下和美「天才柳沢教授の生活」。魔女と噂されるおばあさんと華子、そして柳沢教授の物語。昔を想う魔女ばあさんの表情に惹かれる。惣領冬美「ヒトノ賞味期限」。引っ込み思案な感じの小説家の卵な女性が、昔憧れていた女の子について語り出す。ヒトが最も輝く時期をテーマに、対照的な二人の女性の人生を描く。少女時代のエピソードをうまいこと挟み込んで読者を引き込み、最後はキレイにまとめあげている。達者な一作。桝田道也「朝倉家騒動記 〜爆走! 八百八町〜」。二人の大名が、江戸を舞台に駕籠で猛レースを展開。パワフルにテンポ良くドタバタギャグを展開していて、なかなか面白かった。イキの良さに好感。

【雑誌】ヤングジャンプ 9/14 No.40 集英社 B5中
 作:相田公平+画:佐藤久文「アンファン・テリブル」。幼いころ結婚する約束を交わした幼馴染みの女の子が帰ってくる。普通ならばラブコメ的な展開なのだが、その約束の陰には忌まわしい記憶がまとわりついていて……という感じ。今回は前編。この作品、絵は文句なしにうまいし、構成力など技術的な面はしっかりしているんだけど、お話の面で今一歩押しが足りないところが惜しい。今回はわりと引き込まれる出だしなので、後編でバシッとしめてもらいたいところ。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 9/14 No.41 秋田書店 B5平
 水島新司「ドカベンプロ野球編」。微笑本塁打連発。岩鬼三振連発。でも、岩鬼に代打日高(BW)を望むファンはいくらなんでもシブすぎだと思うぞ。あと広島・犬神のウヒヒヒ投法は見ててなんだか愉快な気分に。ウヒヒヒ。橋本俊二「麻雀鬼ウキョウ」がついに最終回。『これであんたたち3人とも「ぶっとび」だ!!』というセリフにまず脱力。そして『果たしてそうでしょうか?』といきなり敬語なウキョウ。麻雀鬼なのに最後はラブコメ調であるあたりも絶妙。何気に登場人物たちの服装の季節感もバラバラだったり、最後までツッコミどころだらけの痛快な漫画でありました。

【単行本】「スワンレイク」 樋口橘 白泉社 新書判
 ちょっと遅ればせながらの購入。最近の花とゆめ系の人では最も気になっている人。この人の描くお話の特徴は、主人公がなんらかのコンプレックスを抱えていること。表題作「スワンレイク」においては、美人で品行方正で上流っぽい雰囲気を身にまとい学園のマドンナ的地位を勝ち得ているけど、実は家がド貧乏でけっこう苦労していたりする女の子が主人公。とはいえ、ド根性モノになるでなく、痛々しくなるでなく、シリアスになりすぎるでなく。物語はあくまで軽やかにドタバタ。目の描き方は少し濃いめながら、全体的にはサッパリとした絵柄。けして内にこもらず楽しく読ませてくれる。現在「花とゆめ」で連載中の「MとNの肖像」もそうだけど、キャラクターたちにそれぞれクセがあって、しっかり立っているのがいい。これ以上伸びるかというとよく分からんけど、とりあえず現時点で面白いのでとても良い。

【同人誌】「頭脳パン」 袴田めら <逆ギレ刑事>
【同人誌】「くみなな」 袴田めら <逆ギレ刑事>
 ステンシルとかで描いたら似合いそうな、きれいにまとまった清涼感のある絵柄が特徴。どちらのお話も、少年少女の気持ちが繊細な筆致で描かれており、読後感は爽やか。とくにバイオリン留学をしようとしている少年と、彼のことが好きな女の子が、学校の屋上で不思議な光景を目にする「頭脳パン」はふわっとした浮遊感があって良い感じ。ただ、幻想的な光景が展開されるシーンがいまいちシンプルすぎな気がする。もっとこういうところは、いろんなイメージを描き込むなり、画面構成をダイナミックにするなりしたほうが、全体に厚みが感じられるようになると思う。きれいでスッキリしていてこれはこれで完成しているのだけど、ちょっと描かずに済ませちゃっている部分が多いかなあと感じた。

【同人誌】「オブラート」 山名沢湖 <突撃蝶々>
 軽やかな筆致、コロコロと転がる言葉。爪先立ちでトタタタタ。ヲトメチックでいいですなあ。描かれるもの自体は少ないのだけど、そこから大きくイメージを喚起する。たった2ページとかでも十分な余韻を残してくれるのだ。いつもいいけど今回も。

【同人誌】「沈黙の夏 -epilogue- 海の向こうのカタツムリ」 檜木倭世 <あまちゃづる三昧>
 それまでつかず離れずといった感じだった大学の研究室同期の二人が、書店くじで当てたヨーロッパ旅行に二人で行って、物思ううちにお互いの気持ちを確かにしていく。スッキリとした絵柄は好みだが、今回のは仕上げ切っていない部分があって、まだ製作途中といった趣。ちょっと言葉でお話を進めすぎちゃっている感じはする。その部分を解消すれば、お話は悪くないし、いい作品になりそうなのだけど。

【同人誌】「走る空のように音楽あふれる言葉」 <数学とミシン>
 いやあうまいなあこの人。絵といい、言葉選び、配置のセンスといい。昔から好きな女の子がいて、今でもなかなかほかの人間とはうまくつき合っていけない女の子の物語。お話を進めていくテンポは軽やかながら、端々の表現はとても繊細。絵も整っているだけでなくハッと目を惹くものがあるし、キャラの表情なんかもすごくよく描けている。なんだかものすごく感心してしまった。いい。


8/30(水)……天然コーカガッコー

 地元の文教堂系の本屋さんが、漫画雑誌にビニールひもをかけ始めた。とくに平積みの週刊少年誌にひもをかけているところを見ると、夏休みでヒマを持て余したガキどもがマナーに反する立ち読みをしまくったためだろうなあとは思うのだが、あんまりいい気持ちでない。漫画単行本については前からビニールカバーがかかっているので、その本屋ではほとんどの漫画が立ち読みできないってことになる。これじゃあ自分が何を買うべきかすでに分かっている人しか本を買えんでしょ。こういうことをどこの書店でもやるようになると、書店という場所が普通の人間にとって「行って楽しい場所」じゃなくなってくるんじゃないかって気がする。BOOK-OFFが流行るわけだよね。あそこ行けば、いろいろ珍しいモノも見つかるうえに、立ち読みし放題なんだから。不況で目先のお金が大事な時期であることはよく分かるけれども、立ち読みの排除は将来を見据えるとあんまり得策でないと思う。本屋さんを責めているみたいで申しわけない物言いだけど。一冊の本を売ることだけでなく、「ほっといても本を買うような読者」の育成を考えていくことが、これからはたぶん必要になってくるんじゃないかにゃー。
 まあそんなことも考えたうえで、読者も立ち読みするなら、きれいに大人しく、短時間でチェックを済まそう。やんちゃな読み方をするガキはさりげなく妨害だ(俺は平積み本の上に本を広げた立ち読みしているガキを見ると、わざわざその下の本を取ったり妨害活動けっこうします)。というのはさておき本屋さんだけに任せるのではなく、利用者のモラルも向上してかんとね。

【雑誌】GOTTA 10月号 小学館 B5平
 いやあ、最近GOTTAいいよ。なんだかすごく元気がいい。その原動力がなんといっても作:高橋克彦+画:原哲夫「阿弖流為II世」だ。宇宙からやってきた破壊神・坂上田村麻呂と聖なる守護神・阿弖流為が、現代を舞台に激突するのだ。強烈なハッタリと、豪胆で大ざっぱなストーリー運びがたまらなく快感。銀行に立て籠もって謎の男たちに射殺された19歳少年のニュースが流れているのを見た阿弖流為先生。「こんなつまらん奴を映すために、たくさんの電飾をつかうとは、無駄なことをしよる」とバッサリ。今回のラストシーンの潔さも実に痛快。原哲夫テイストバリバリ。巻頭カラーでは土田世紀「ルート77」がスタート。「もう一つの尾崎豊物語…」というサブタイトルが付いているのはともかくとして、これもなかなかいいお話だった。中学校卒業後、プロレス一本で生きていくことを決意した3人組。チビ、メガネ、あと一人と、全然強そうでもない3人組なんだけど、マッチョ主義を掲げてとにかくガムシャラに突っ込んでいく姿勢は気持ちがいい。勝ち負けでなく、筋を通すためにムキムキの体育教師との度胸試しに挑むチビの姿は、若くなきゃこうはできない馬鹿さに満ちていて、なんだかとても羨ましくなった。
 松本零士「新宇宙戦艦ヤマト」。見開きで宇宙空間ボーン、宇宙船ボーン。今時こんなシーンを描く人は松本零士以外、数えるほどしかいない。なんかお話的にはとっちらばっている感じではあるんだが、無性にワクワクする。橋口たかし「シザーズ」は妹ちゃん到着で見せ場シーン。女の子をきれいに描く腕前が炸裂している。

【雑誌】MANGA F 10月号 太田出版 B5平
 ここまでの2号同様、メンツは充実。安田弘之、松本次郎、南Q太、たいち、小野塚カホリ、山口綾子、福山庸治、安彦麻理絵、駕籠真太郎、マサキノリゴ、田村マリオ、町野変丸、中村日美子、深谷陽、畑中純、ひだまりん。それぞれの作品のクオリティが変わっているわけではないのだけど、3号めでだいぶ全体がしっくり馴染んでこなれてきた感じ。次号から砂が連載開始というのも楽しみだ。
 松本次郎「熱帯のシトロン」。どこからが幻覚で、どこからが醒めているのか分からない、あいまいで熱に浮かされたような感じが良い。でもお話はやはり徐々に進んでいる。駕籠真太郎「六識転想アタラクシア」。日常風景が何気にイカれてていいですな。実はまともな人は全然出てきてないし、ツッコミ役もいない。どこまで行ってくれるのか非常に楽しみ。田村マリオ「白い肉」。作品を書けなくなった作家、その女、編集者、犬、そして蝉。それぞれのアイテムが作り出す鮮烈なイメージが、じょじょに恐怖を増幅させていく。白昼夢のようなくらくらする味わい。深谷陽「Knuckle or Nipple」。相手のボクサーが半裸の美女に見えてしまうようになってしまったボクサーのお話。その美女ともみ合ってセックスしていると、実際にはきちんとボクシングの試合で殴り合いをしている。奇抜な着想をしっかり物語の中で生かすことができていて、面白く読めた。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 10月号 少年画報社 B5中
 ああ、やっぱこの雑誌は合わん。オタク系月刊少年誌ノリは昔から得意でないのだ。
 その中で、今回は平野耕太「ヘルシング」と西村竜「TAFFY」が目を惹いた。「ヘルシング」はいつものことではあるのだが、大仰でハッタリのききまくったセリフ回しと派手な戦闘シーンがカッコイイ。「TAFFY」は、男に惚れてはフラれ、すぐ別の恋にチャレンジする女の子を中心としたドタバタもの。シンプルでスッキリした絵柄と、コロコロ心変わりしたり忙しいキャラクターたちが楽しそうであったりするところが魅力。

【雑誌】週刊少年サンデー 9/13 No.40 小学館 B5平
 三好雄己「デビデビ」が最終回! お疲れさまでした。だんだんパンチラが少なくなっていたのが寂しかったです。田中モトユキ「リベロ革命!!」。いい感じ。自分はママさんバレーの監督をやっているだけで試合はしていないのに、着実に成長している主人公の姿が頼もしい。久米田康治「かってに改蔵」。今回のテーマは「自分酔い」。かなり引っかかるキーワードだ。考えてみれば、個人Webなんて究極ともいえる自分酔いツールである。偉そうなこといったり、反省したり、自分の怒りをぶつけてみたり、他人を許してみたり、デザインに凝ってみたり、逆に凝らないでみたり、大勢に逆らってみたり、擁護してみたり。自分でWeb作らなくてもそれに「あえて作らない」理由を見出せれば酔えるし、掲示板で発言して酔うという手もある。俺もWebのために使っている金を考えると「情報発信するためにお金を払うなんてもの好きだなあ」とか思ったりすることもあるが、自分酔いのためならそれもやむを得まい。「自分のいっていることを他人が聞いてくれている『気になれる』」というのは、とても重要なことなのだから。

【雑誌】週刊少年マガジン 9/13 No.40 講談社 B5平
 警察漫画に続いて今度は自衛隊漫画ですか。所十三「突撃め!第二少年工科学校」が新連載。「突撃め」は「すすめ」と読む。というわけで自衛官を目指す少年が主人公。名前は「国尾守」。おおストレートだ。でもなんか初っぱなから暴走族と工科学校のケンカバトルも始まったりしているところが所十三らしい。マガジンらしさでもあるか。福本伸行「無頼伝 涯」。いやー、いいわ最近の展開。人間学園・澤井。いっていることはある意味正論。でも手段はクレイジーでサディスティック。このやりすぎっぷりが素晴らしいね。

【単行本】「月下の棋士」29巻 能條純一 小学館 B6
 名人戦を前に、氷室vs.佐伯のプレーオフ始まる。なんだかずっと盤外で勝負しているようでもある。ぐいぐい引っ張ってきてはいるんだけど、やはり長いなあ。

【単行本】「昴」2巻 曽田正人 小学館 B6
 昴がいよいよ本格的に、プロのバレエの世界を目指し出す。圧倒的に他とは違う器を見せつけ始めた昴。天才のみが持つ凄みを存分に感じさせる。確かな作画とダイナミックな表現で、読むとやはり物語にぐいぐい引き込まれていく。あとはさらに昴がレベルアップしていく過程をどこまで描き込めるかが、物語に厚みを持たせるためのキーになるかなという気がしている。

【単行本】「おさなづま」5巻 作:森高夕次+画:あきやまひでき 双葉社 B6
「めぐみのピアノ」アニメ化で、日本列島大騒ぎ、な巻。そのとんとん拍子ぶりは現実離れしすぎてはいるけれども、それでも読ませてしまう間口の広さと展開力はやはりある。でもこのアニメ騒ぎ後半あたりから、「おさなづま」のテンションがちょっとずつ下がってきているようにも思えるのはちょっと気掛かり。

【同人誌】「metamorphose」 きづきあきら <GRAIL>
【同人誌】「LOVE HORIZON」 きづきあきら <GRAIL>
「metamorphose」には、「SWEET SCRAP」という作品が収録されている。これは性処理に使われていて故障した少女型ロボット・カオリを巡る、一組の男女の物語。心を持たぬロボットではあるが、感情らしきものを持ってはいるカオリと暮らすうちに、クールに見えていた男の中に優しい気持ちが芽生えていく、というよりも優しい気持ちが表に出てくるといったほうが正しいか。ロボットだから何をしてもいいのか、どこまで割り切るべきなのか、そんなことをいろいろ苦悩させながら物語は進み、最後は優しく締めくくっている。50ページと同人誌としてはページ数も多く、なかなか読みごたえがあった。
「LOVE HORIZON」は、かつては男で現在は女になろうとしている性不一致障害を持つ裕二(ユウコ)と、昔裕二に告白したこともある女性・ユキの物語。恋心と友情と、それからだましているみたいな後ろめたさの交錯する複雑な感情が、短いページの中で描けている。ただ、テーマ的にけっこう大きい問題なので、もっと長い物語にしちゃっても良かったような気はする。
 それにしてもきづきあきらはやはり絵も達者だし、お話をつくりまとめてくる腕も大したもの。ハズレのないコンスタントさも特筆ものだ。商業誌に合うかどうかは正直よく分からないんだけど、面白い作品を描く人だということは確かだ。いつも楽しみにしております。

【同人誌】「激切」 おざわゆき
 国家が戦争に巻き込まれる中で、同じ列車に乗り合わせたことが縁で知り合ったキティとモグラ。二人は運命の波にもまれながら、別離しまだ出会う。出目金のように目がデカい、コミカルで特異な絵柄ながら、おざわゆきの作品の語り口は非常に真摯である。しっかりと物語を作り、最後にジーンとくる感動を与えてくれる。この作品の場合、大河な物語を80ページ強で語ったため、少し詰め込みすぎかなあという印象はあるんだけど、やはり最後は美しく締めくくってくれた。物語の道具立てとかからいって、坂口尚「石の花」をちょっと思い出す。あそこまで長くする必要はないが、「激切」もこの2倍くらいのページ数はあっても良かったかもしれない。

【同人誌】「EMPTY BOX 6」 <武蔵野美術大学漫画研究部>
 1999年5月24日発行。アフタヌーンに掲載された、割礼失敗にいさん(篠房六郎)の「空談師」の途中までバージョンが掲載されている。それにしても美麗であるのに重厚感があってカッコイイ絵だなあ。


8/29(火)……アイレンカタログ

 だいぶ涼しくなってきたというのに、パソコンとディスプレイの電源を入れるとむわっと生暖かい。早く冬になんないかなあ。夏はビールはうまいけど、その分がばがばいっちゃって太るので嫌いだ。肌は強くないから日焼けすんのも嫌だしー。

【雑誌】Bstreet Vol.2 ソニー・マガジンズ A5平
 探偵モノのアンソロジー本。漫画執筆陣は冬目景、斉藤岬、東城和実、雁須磨子、亀井高秀、羽海野チカ、梶原にき、しまじ月室&Mar。実力のある人が揃っていて、それぞれに楽しげな作品を描いている。この中ではまず羽海野チカ「ミドリの仔犬」は、少年冒険モノ風味が濃厚。かわいらしい絵柄と丁寧な話作りで面白く読めた。それから梶原にき「小さな出来事」も良い。線がキレイで、小学生のほんのりとしたトキメキ模様も爽やかに描かれている。雁須磨子「よろめきの昼下がり」。今回もぼんくらな感じで、巻末で全体の読後感をゆるめてくれるところがいい味。

【雑誌】快楽天 10月号 ワニマガジン B5中
 米倉けんご「エヴァーグリーン」。やっぱりうまい。エロに十分なボリューム感があるし、線が細めな眼鏡くんもソソるし。普通の女の子のHとショタ風味が共存して一粒で二度おいしい。作画クオリティも相変わらず高いし。新人の三浦靖冬「とおくしづかなうみのいろ」前編。この人はなかなかうまい。白と黒のコントラストの利いた筆致で、描線のキレがいい。閉鎖空間の中での少年と少女の、ちょいと悲しげな空気の中でのエロスとかを描いていて、文系臭が漂っている。新人とは思えないほど作画がしっかりしているし、細部の描き込みも緻密。後編にもよるけれども、楽しみな人が出てきたものだ。それから綾瀬さとみ「ああっ青春オナニスト」も面白かった。二人でオナニーしまくるオナニストカップルの物語。端整で達者な絵柄もいいし、ノリの良いお話も楽しい。ラストのぶっちらばった展開と、そこに行くまでのテンポの良さもマル。あと神宮千寿「ガラス」の繊細で淡いタッチもなかなかに魅力的。

【雑誌】ラッツ 10月号 司書房 B5中
 火野聡司「LOVE2 SHOW」。またちょっと絵柄変えてきたかな。なんか陽気婢っぽい表情もあるし。今回は頭ゆるめの女の子がなかなかかわいい。櫻見弘樹「うっかり兄妹」。ソツなくうまい。作画もきっちりしているし、兄妹の物語もトキメキ十分。エロ方面では、BENNY'S「桃色西遊記2nd」。この人のむっちりした女の子キャラは好きだ。2色カラーもうまく作用しているし。快感にトロけそうになっている表情がすごくいいねえ。今回は触手もあるし。IDEA「真夏の出来事」。女の子のキャラが魅力的になってきている。コマの使い方もけっこう大胆だし、伸びてきてる印象。

【雑誌】漫画アクション 9/12 No.37 双葉社 B5中
 順調にエロ化しているけど、もうだいぶ慣れた。考えてみるとアクションって週刊でエロ漫画雑誌をやろうとしているのだということに思い至ったわけなんだが、これってけっこう画期的かも。エロで週刊の漫画雑誌って今までほかになんかあったっけか? 記憶にないんだけど……。
 で、今回はジョージ秋山「ブルースの錠」と六田登「CURA」が最終回。「ブルースの錠」は最終回だというのに、なんかどうにもやる気がない感じが素敵であります。絵とセリフが微妙に合ってないような気がするのだけど、まあいいか。国友やすゆき「幸せの時間」。いや〜脂っこい。この作品はリニューアル後も続いちゃうのかな? 実はかなり楽しみにしているので続いてほしいけど。H方面では月下冴喜「超個人指導ハルカ」が乳がふんだんな感じでわりとようござんした。巨乳で眼鏡で母乳。

【単行本】「Wsamarus 2001」 古屋兎丸 イースト・プレス A5
 古屋兎丸が各所で描いた、読切、ショート、イラストなどなどをごった煮的に集めた作品集。
 こうしていろいろ読むと、古屋兎丸の凄さが改めて思い知らされる。イラストの美しさ・センスの良さ、パロディものなどギャグのキレ、グロテスクなもののヴィジュアル的なインパクト。どれもハイレベル。そして、Super FEEL掲載の「サチといった海」「いちばんきれいな水」。この2作品は、雑誌掲載時にいたく感動して何度も何度も読み返したのに、また読んで泣けてしまった。「サチといった海」の読後すぐの感想は1999年7月23日の日記、「いちばんきれいな水」のほうは1999年4月23日の日記のSuper FEELの項を参照していただきたい。この2作品がページ数的にもボリュームがあるし、この単行本の中ではとくに印象に残るのだけど、そのほかの作品もそれぞれに工夫が凝らされていてとても面白い。「サチといった海」が最初で、最後が「いちばんきれいな水」という締めくくりになっているのだが、最初から最後に至るまでの全体の流れにも起伏があって、やはり一冊読んで総合的に評価したい本だ。装丁も(さすがに「Palepoli」の最初の版ほどではないにせよ)凝っているし、すごく面白かった。この単行本は、きっとまた何度も読み返すだろう。

【単行本】「愛人[AI-REN]」2巻 田中ユタカ 白泉社 B6
 第1巻のあらすじ等はオスマンのほうで書いたので、そちらを参照のこと。
 今回の巻では新たな伏線も用意されてきてはいるけど、基本的にはあいとイクル、二人の生活を描き続けている。一緒にいる日々が続くほどに、愛がしっかりとした形をとるほどに、どんどん切なくなっていく二人の想い。どちらも、自分がいずれ消えていく存在であると知りながら、それでも愛するからこそ今を生き、生きる限り愛し続ける。その気持ちのまっすぐさに、涙がポロポロとこぼれてしまう。第2部は終わったけれども、物語はまだまだ続く。これからもきっと、また泣かされてしまいそうだ。ヘンにひねこびた見方などせず、真っ正面から受け止めたい。

【単行本】「マウス」2巻 作:あかほりさとる+画:板場広志 白泉社 B6
 次はうってかわってたいへんお馬鹿さんで気楽な奴。この巻は怪盗的行為よりもサービスシーン方面のウエイトがさらに増している感じで、馬鹿馬鹿しさは止まるところを知らず。こちらの予想を上回るあざとさ、唐突なエロシーンに「なにー」と立ち上がる俺(スズキトモユさん的)。いや、それにしてもこれほどまでにあっけらかんと、テンポ良くどうしようもない話を突きつけてくるというのはまったくもってスゴイことだと思います。思わず立ち上がるほどに(しつこいか)。

【同人誌】「ケミカルズ」 九谷イナゲ <ナゲチック>
【同人誌】「COOKIE DAYS」 九谷イナゲ <ナゲチック>
 「ケミカルズ」では好きな人に恋愛対象として見てもらえない女の子の切なさを、「COOKIE DAYS」は甘くてコミカルなバレンタインデー模様を描く。どちらも短いながら、スッキリとして滑らかな描線で恋愛風景を描写できているのが魅力。

【同人誌】「けだもののようにII-7」 渋蔵 <ぐんたまカンパニー>
 渋蔵(商業誌では比古地朔弥)が同人誌でずっと続けている長編作品。今回はヨリ子とおっさんの、頼る者なき東京生活が描かれる。東京に来てもヨリ子はあくまでマイペースで自由闊達。だんだんと社会のルールも身体で覚えてきつつはあるようだけど。すでに完成の域に達している感のある絵柄で、堂々と物語を進めており、いつも楽しみ。

【同人誌】「バンパイヤ5」 果竜 <竜の子太郎>
【同人誌】「RESTAURANT」 果竜 <竜の子太郎>
「バンパイヤ5」は完結編。二人の少女の深いところで結ばれた愛の形が、美しく描かれた作品で読みごたえがあった。以前の長編「プリズム」が暖かくはあるけれども悲しい結末だっただけに、今回もドキッとさせられた。ジーンと余韻が残る読後感。今度1〜4を発掘してきてまとめて読もうと思う。「RESTAURANT」は短編集。短いながらも少女漫画ごころがあって読ませる佳作が多し。この人のキラキラした少女らしい華やかさのある絵柄はやはり大きな武器だ。


8/28(月)……テンピュール甍

 なんかもりもり眠れると評判であるらしい「テンピュール枕」というものを購入してみた。むにゅむにゅする不思議な素材の働きにより首にジャストフィッツ。頸椎をいい感じにしてくれるものらしい。枕のクセに1万2000円もする豪の者だ。先週の土曜から使っているのだけど、たしかになかなかいい。起きたときに首近辺が妙にスッキリしている感じ。まだ2回の睡眠で合計8時間くらいしか使ってないので、あんまり詳しくはいえないのだが。なんでこんなものを買ったかといえば、普段の睡眠時間が少なめなので、その短い眠りをできるだけ深く気持ち良くしたかったから。そういうことを気にし出す年ごろになりつつあるのかもしれませぬ。
 今日の没タイトル:ゴーヤーテンピュルー。日清てんぴゅる粉。てんぴゅる者は救われる。テンピュル騎士団。てんぴゅるすぽーん。

【雑誌】別冊ヤングサンデー 9/28 No.5 小学館 B5中
 秋重学「ピンチライダー」がいい。どんなに時間がなくても依頼は守る、マッハライダーバイク便。無鉄砲なライダー春日一が、受験票を忘れて入社面接を受けられず困っていたひどくトロい女性のために東奔西走。決めゼリフの使い方がうまいし、ピチピチしたヤングマン&ウーマンぶりが爽やかに描けている。やはり秋重学の青春モノの技量はとても高い。戸田尚伸「最後の電話」。とある女性が入ったまま電話ボックス内の時間が止まってしまう。正確には止まっているのではなく、時間の流れがとても遅くなる。その流れがおよぶ空間の範囲はしだいに広がり、ある日、その電話ボックスへ一台の車が突っ込んでいく。このままでは彼女は電話ボックスごと吹っ飛んでしまうことになるが、人々は違う流れの時空間にタッチすることができない。電話ボックス内の女性の彼氏は、それをジリジリじたばたしながら見つめることになるのだが……。序盤で不可思議な状況をズバッと呈示し、そこから一歩一歩お話を進めていっている。地に足の着いた作風でなかなか読ませる。

【雑誌】ヤングキング 9/18 No.18 少年画報社 B5中
 中西やすひろ「愛DON'T恋」。ベタベタに脂っこい。まるで村生ミオや国友やすゆきのような。最近こういう饐えた風味の作品が妙に気になる。花見沢Q太郎「ももいろさんご」。今回も骨抜き。この作品は、サービスシーンが案外直接的。も少し生殺しにするかと思っていたのだが。

【雑誌】コーラス 10月号 集英社 B5平
 くらもちふさこ「天然コケッコー」。今回は猫視点で村の噂話を集めていく。そしてラストでちょっと意表を衝いてくる。見せ方、構成が実にうまい。よしまさこ「1丁目の楽園」。今回は犬のお話。ぽかぽかしてて楽しいなあ。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 9/11 No.39 集英社 B5平
 うすた京介「ピューと吹く!ジャガー」が巻末2色カラーに。巻末ポジションってけっこうめくってしまいがちな部分ではあるし、そこを有効に使うという意味でこの配置はなかなか良いかも。岸本斉史「NARUTO」。第1次試験は終了。いまいち納得行かない結論ではあるが。

【雑誌】ヤングマガジン 9/11 No.39 講談社 B5中
 えっ?平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」ってこれで最終回なんすか?かなり爆裂な感じでものすごいのだけれども、まだまだどこまでもやれそうな感じだっただけに意外。ゲンさんだけでなく、ケンヂまで(というかむしろケンヂのほうが)行き着くところまで行っちゃっててステキでした。車を運転しているときのケンヂの悪いクスリでもやってるかのごときテンパった表情に爆笑す。馬場康誌「空手小公子 小日向海流」。ようやく主人公が格闘技の才能を顕してきて、だいぶ面白くなっている。松本光司「クーデタークラブ」。女装少年がどんどん厄介な流れにからめとられていく。出だしでガッチリ読者を引き込んで、今回も興味深く読ませている。連載2回めだが、ここまではいい調子。これからもこのテンションで進めていってもらいたい。阿部秀司「エリートヤンキー三郎」。今回は一郎、二郎、三郎に河合を加えた面子で麻雀。たいへんに濃い場を形成。ロクニシコージ「すべてに射矢ガール」。矢のおかげで今まで誰にもきちんと相手にしてもらえなかったがゆえに、本当に手つかずでピュアなあすみちゃん。痛々しくて胸にキュンキュン響くなあ。この作品、まだぎこちないところはあるけれども、かなりいいとこ掴んでると思う。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 9/11 No.39 小学館 B5中
 まずは柳沢きみお「SHOP自分」が最終回。最後までチョクは流されるまま。おいおいおいおいそれでいいんかい、とかツッコミたくなるけれども、いやいやきっとこれでいいんだと思います。柳沢先生のやることだし。最後まで冷やし中華のこと心配してたり、「いいよなァ、コタツって」とかいいつつ、原宿ビールとかほざいているのがステキであります。玉井雪雄「IWAMAL」。こちらも今回で最終回。岩丸の過去が明かされ、そして未来へという感じ。けっこうズシンとくるエピソードだったので、あと何回か続けてみたほうがおいしかったかもしれないが、それも野暮かなあ。窪之内英策「ショコラ」。いやあカワイイなあ。女の子。仕種といい表情といいセリフといい。俺はいたくトキメいてしまった。

【同人誌】「覗いたビー玉」 入江アリ <にら>
 作者が後書きで「ちゃんとつじつまあうようにして、そのうちオフセでちゃんと出せたら」というように、お話としては現時点では断片的。お祭りの夜に手に入れた不思議なお面によって出てきたふしぎな怪獣。子供ごころが夜を走る。線は少ないけれどとても形のいい、スッキリした爽快な絵柄が魅力。画面も整理されてみやすいし、実力は確かなものアリ。というわけでちゃんとした形のが出るようだったらぜひ読んでみたい。できればページ数ももっとあるとうれしい。ちなみにこの人、今年8月発売の徳間デュアル文庫、新井素子「ラビリンス」の挿絵を描いているそうだ。

【同人誌】「Sweet One」 坂本弘道 <デジタルボウイズ>
 フルカラーでスプレー状のボヤけた描線がなかなか面白い。短いけれども、ちっちゃい男の子、女の子のかわいらしい恋の物語が、優しく描けていて良かった。理屈っぽい眼鏡くんと行動派の女の子。どちらか片方というよりも、二人揃った姿がいい構図であります。まだ荒削りではあるけれど、心惹かれるいいお話を描く人だと思う。

【同人誌】「スキムミルク」 高乃かすみ <宇暇>
 飛行石を発見し、そこから抽出したガスで空を飛ぼうとする発明少女と、それを心配そうに見つめるボーイフレンドのお話。まとまりのいい絵柄でなかなか可愛らしい。スッキリした読後感も良好。続きを読んでみたくなるような物語に仕上がっている。

【同人誌】「海月/エンタテイメント。」 西村竜 <ちくちくNET>
 見覚えのあるタイトルだなと思っていたら、1998年11月コミティアに出ていた本のリメイクだった。そういえば。その当時の感想は1998年11月23日の日記に書いたが、そのときはやはり背景がきちんと描かれていなかったのが気になっていた模様。ちょっと1998年版のほうが、今どこに埋もれているか分からないので、そのうち発掘できたら見比べてみよう。今回は背景とかトーンとかに手を入れたそうで、確かに舞台とかが分かりやすくなっているように思う。繰り返す日常の中で、少しずつ引かれていく登場人物の心の動きが、なかなかよく描けていて気持ちのいい作品。と改めて読み返してみて感じた。

【同人誌】「BLUE BLUE WORKS」 アオゾラ透湖 <YELLOW Tag>
 1998年11月発行の本。この人の透明感のある絵柄は好きなのだが、やはり漫画で読みたいと思って今まであんまり買っていなかった。で、この本は漫画の短編が何本か。元は宮沢賢治本用に描いたという「宇宙の空」がファンタジーごころあふれていて、柔らかな読み心地。言葉選びのセンスも良し。とてもきれいな作風。


8/27(日)……海はひろいなりょうきいな

 コミティアに行って参りました。今回は東京流通センターの第2展示場だったのだが、会場が1階と2階に分かれるという変則的な形。1階を回り終えた後「ありょ?今回はあのサークル来てないの?」とか思ったりしてしまった。今回のコミティアは、コミケ後ということもあってか、エロ系が多めな印象(まあほかの即売会に比べれば少ないほうなんだろうけど)。コミティア全体の雰囲気はやはりいつもどおりで、本当にいい人揃いという感じ。草食動物的なイメージもあるので、「好きな食べ物は?」と聞かれて即座に「焼肉」と答えるような人には(以下略)。

 会場ではいろいろな方々にお会いできてホントーにうれしうございました。実は最近どうも精神的に不調ぶっこいてたんだけど(ここ3日ほど日記の前口上部分がなかったのはそのため。不調なときに下手に書くとろくなこと書かないからあえて省略してたのだ)、同人エキスとかコミティア汁とかその他もろもろを吸収したおかげでだいぶ元気になったような気がいたします。

 回り終えた後は、顔なじみの人を誘ってなんかメシでも食うべということに。沼田さん、立ち読み屋さん、ンバキさん、Koujiさん小田中さんスズキトモユさんしばたの7人で、新宿のアサヒビールのビヤホールでぐいぐいもりもり。3時間半ほど楽しくお話。不調とかいっておきながら、なんかしばたくんしゃべりすぎな感も。

 で、今回のお買い物。兄貴分も購入したので、いつもより多めなり。本日は帰ってきてからすぐ吸い込まれるように眠っちゃったのでまだ読んでないッス。ゆるゆると消化していくつもり。とかいいつつ商業誌を4冊ばかり。なんていうか俺っちは悪しき商業主義にどっぷり浸っておるからのう。

【同人誌】「ケミカルズ」 九谷イナゲ <ナゲチック>
【同人誌】「COOKIE DAYS」 九谷イナゲ <ナゲチック>
【同人誌】「覗いたビー玉」 入江アリ <にら>
【同人誌】「metamorphose」 きづきあきら <GRAIL>
【同人誌】「LOVE HORIZON」 きづきあきら <GRAIL>
【同人誌】「けだもののようにII 東京編1〜3」 渋蔵 <ぐんたまカンパニー>
【同人誌】「けだもののようにII-7」 渋蔵 <ぐんたまカンパニー>
【同人誌】「激切」 おざわゆき
【同人誌】「バンパイヤ5」 果竜 <竜の子太郎>
【同人誌】「RESTAURANT」 果竜 <竜の子太郎>
【同人誌】「Sweet One」 坂本弘道 <デジタルボウイズ>
【同人誌】「スキムミルク」 高乃かすみ <宇暇>
【同人誌】「海月/エンタテイメント。」 西村竜 <ちくちくNET>
【同人誌】「EMPTY BOX 6」 <武蔵野美術大学漫画研究部>
【同人誌】「BLUE BLUE WORKS」 アオゾラ透湖 <YELLOW Tag>
【同人誌】「さいはて」 泉川康裕 <R-Gray>
【同人誌】「釣りフェチ3P」 鵜匠カシヲ <赤色オレンヂ>
【同人誌】「好奇心は猫を殺す」 鵜匠カシヲ <赤色オレンヂ>
【同人誌】「菊男ちゃんのはちみつハゲ」 諏訪与志子 <赤色オレンヂ>
【同人誌】「菊男ちゃんの穴ほってプー」 鵜匠カシヲ <赤色オレンヂ>
【同人誌】「かおりちゃんの焼肉大定食」 鵜匠カシヲ <赤色オレンヂ>
【同人誌】「ソレハボクジャナイ」1〜2 鵜匠カシヲ <赤色オレンヂ>
【同人誌】「菊男ちゃんの目から鼻から流し雛」上下 鵜匠カシヲ <赤色オレンヂ>
【同人誌】「かおりちゃんのスッポニアスッポンポン」1〜3 鵜匠カシヲ <赤色オレンヂ>
【同人誌】「少年犯罪」 三五千波 <つくりもの>
【同人誌】「ソクセキ」 YANMAR <梟亭(蜻蛉企画)>
【同人誌】「DASH」 YANMAR <梟亭>
【同人誌】「Tableau 3.5」(Tableau 4お試し版) 志賀彰 <憂貧局>
【同人誌】「ぶっとびマンガ大作戦 Vol.4」 新田五郎/滑川ニュッピー/田中三郎 <WAIWAIスタジオ>
【同人誌】「MY LITTLE WORKS」 さくらのりたか <darumaya factory>
【同人誌】「みるく☆きゃらめる 7号」 <みるく☆きゃらめる>
【同人誌】「用水」 粟岳高弘 <あわたけ>
【同人誌】「ホタル」 山川黄予美 <YOIKO>
【同人誌】「えのころ漫画館」 えのころ工房 <えのころ工房>
【同人誌】「クラウス 12」 <Claus>
【同人誌】「あんちょ」 朋田のえ <satomin>
【同人誌】「それから」 鈴木ちょく <直立不動産>
【同人誌】「Night-Marcheの幻想雑誌 2000.8.27版」 村山慶
【同人誌】「THE PERFECT FRACTAL」 佐藤直大 <エレキ天国>
【同人誌】「イヌデイ」 橋本晋 <プロペラ>
【同人誌】「聖処女13騎士団」(カラー) あびゅうきょ
【同人誌】「戦慄毒饅頭 竜頭玩偶 参」 吉川博尉 <腐蝕金属>
【同人誌】「DISTINCTION」 若月神無/吉川博尉(キイカ) <王立工房>
【同人誌】「頭脳パン」 袴田めら <逆ギレ刑事>
【同人誌】「くみなな」 袴田めら <逆ギレ刑事>
【同人誌】「オブラート」 山名沢湖 <突撃蝶々>
【同人誌】「沈黙の夏 -epilogue- 海の向こうのカタツムリ」 檜木倭世 <あまちゃづる三昧>
【同人誌】「走る空のように音楽あふれる言葉」 <数学とミシン>

【雑誌】少年エース 10月号 角川書店 B5平
 吉崎観音「ケロロ軍曹」。今回は怪談話。オカルトマニアの冬樹の得意技炸裂。ギャグがピリッとききつつほのぼの。愉快なり。大和田秀樹「たのしい甲子園」。突如、太田が地球を守るための宇宙大使に任命される。途中のパワフルで馬鹿馬鹿しい展開とか、〆の威勢の良さとかなかなかイカしている。ひな。「1ねん3くみ桃ちゃん先生。」。今回は水着バリバリでロリ悩殺。やべえ。幼女あり小娘あり。両方ともつるぺただ。木村ひかげ「ジェット★レンチ★デイズ」は3号連続掲載が今回で終了。スッキリとして柔らかい絵柄、ドタバタした楽しい展開、それからファンタジーテイスト。ラブコメ風味も心地よし。

【雑誌】Cookie 10月号 集英社 B5平
 C・C・Cことクッキー・コミック・チャレンジでいわみえいこがクッキー賞を受賞。その作品、「海にかえったあじの君」が掲載。小学3年生のてるよし君と、いつも一緒に遊んでいた親友あじの君。二人の別れの物語。一言残して海に消えていくあじの君の姿が泣かせる。やはりこの人は泣かせ系はうまい。谷川史子「魔法を信じるかい?」。お話としてはいまいちキャラとか弱いような気がするんだけど、谷川史子の場合は絵で半分くらい勝っちゃっているので強い。

【雑誌】アックス Vol.16 青林工藝舎 A5平
 特集は川崎ゆきお「猟奇王」。今回掲載された作品も実にいい。「しかし夢はある」「この現実のどこかに」「信じてはおらぬ」「その余地があると申しておるだけじゃ」。このセリフのあたりなんてとくに。失われし猟奇。そしてロマン。「走るネタなど既につきておる」。でも猟奇王は走るのだ。古泉智浩「チェリーボーイズ」。今回も青春模様がイカくさく描かれていていい感じ。男部屋の生暖かい空気の感触がよく出ている。

【雑誌】コミックめんま No.03 実業之日本社 A5中
 井荻寿一「メイドロイド雪之丞 セカンド・エディション」。井荻メイドはやっぱりカワイイなあ。そして今回はナースロイドまで登場。でも萌え度ではやはりメイドロイドに軍配が上がる。うらまっく「黒い砂」。田舎からやってきた男友達と、都会で汚れてしまった自分。さすがコンスタントでソツがない。

【同人誌】「五郎本」 小田扉 <みりめとる>
 これは実は買えなかった本。帰りの電車で立ち読み屋さんに読ませていただきました。片方のポッケに変身ボタン、片方のポッケに自爆ボタンを装備したヒーロー系のおじさんが、犬を従えて若い二人になんか語るといった内容の作品。しかしこの人の絵って、どうしてこういいんだろう。へろへろの描線なのに、一つ一つのコマがどうにも絵になっている。なんか一コマだけ抜き出してきても、なんか味のあるドラマが見えてくるんだよね。ヘンなドラマが。オヤジの表情とかとってもいい。そして「いい絵描くなあ」といつも思うのが、犬や猫の顔。ここらへん、絵柄的にはだいぶ違った趣ではあるけれども、吉田戦車に通ずる漫画絵としての絵のうまさを感じる。
 コピー誌であることが抜群に似合う肩の力の抜けっぷり。今度出るらしい単行本もいっそのことコピー本でやってほしいとか思っちゃったりもする。


8/26(土)……プリーズヘルグミー

【雑誌】アフタヌーン 10月号 講談社 B5平
 「空になる青」の秋山晟の新連載「天の回廊」がスタート。いきなり123ページの大ボリューム。しかも描き込みがむちゃくちゃに細かい。中世的世界の宗教国家における壮大な物語。お話もかなり周到に作られている感じで、相当に気合いが入っている。ただ、スケールがデカいということもあってか、第1話めについてはお話がスッと頭に入ってきにくかった。いろいろ入り組んでいるようで、何回か読み返したほうが良さそう。小田ひで次「クーの世界」。第2部の2回め。今回のクーの世界での物語は、ちょっと辛いこともからんできそう。れねいたちはどのような道を歩んでいくことになるのだろうか。やはり楽しみ。次号で最終回の「ディスコミュニケーション」は謎解きが進んできている。さて、100回以上にもわたった「ディスコミュニケーション」の物語。次でどのような決着を見せてくれるんだろうか。富沢ひとし「ミルククローゼット」。ミルク隊のみならず人類ピンチ。まだまだ何が起こるか分からない。それにしてもヘンな物語ではあるのに、アフタヌーンだとすごくよくなじんでいる。岡田謙児「ブルーグレー」。四季賞で谷口ジロー特別賞を受賞した作品。細かいタッチを丁寧に積み重ねている。ただ、いまいちハジけるものがなく、行儀良く収まりすぎている感がある。もう少し暴れても良さそうな。

【雑誌】COLORFUL萬福星 Vol.13 ビブロス B5中
 月野定規「夏の忘れもの」。父の転勤で引越が決まった少年が、それまでずっと恋心を抱いていた女教師に自分の気持ちをついに打ち明ける。眩しい季節の優しくほろ苦い物語。全体的な雰囲気づくり、ストーリー運びともなかなかよくできている。春沢一「華人」。お話自体はあんまり頭に入ってこないのだが、絵の強烈なうまさにほれぼれする。篠房六郎「マラベスク」。達者な絵柄で今回もくだらないことを。ポコチンスキー先生がなかなかいいルックス。

【雑誌】MEN'Sドルフィン VOL,14 司書房 B5中
 なんとなくぱっとしない印象。ドルフィン、ラッツ、オルカ、MEN'Sドルフィンとくる司書房美少女漫画雑誌の中では、けっこう当たり外れが激しいほう。うさぎのたまご「公園授業」。この人のなんだかものすごく楽しそうで、かつエロもけっこう激しい作風は気に入っている。実はわりと鬼畜なことをしてたりするんだけど、ノリの良さでなだれ込むように読ませてしまう。

【単行本】「敷居の住人」4巻 志村貴子 エンターブレイン B6
 おっもしれえなあ。小生意気でこぎれいなルックスの小僧&小娘たちのウダウダした生活を描くだけの作品なのであるが、その心情描写の丁寧さ、そして気の利きっぷりに思わずうなる。なにかに打ち込むでもなく、どっちに行っていいか分からない。恋や性欲もちゃんとある。そんな青春が描かれる。実際の小僧どもがこれほどまでに小粋であるわきゃあねえとは思うのだけれども、それはわりと気にならない。この世界の中でこうあるのは実に正しい。コンスタントでありながら、少しずつ少しずつ面白さが着実にアップしている。1巻よりも2巻、2巻よりも3巻、3巻よりも4巻のほうが、より面白いぞ。

【単行本】「扉をコジあけて」 ZERRY藤尾 笠倉出版社 A5
 ZetuManにて連載されたシリーズ全8話を単行本化。同じ生徒会役員である男子・村松に処女を奪われ、その後もさんざんにいじり倒される巨乳娘な菱見さん。カバー裏のコメントで筆者はこの作品を「純愛もの」と主張しているが、確かにまあ純といえば純であり愛といえば愛である。村松は本当に菱見さんを菱見さんだからこそイジりたくて仕方ないのだし、菱見さんもなんだかんだで恥ずかしい思いをさせられいつもしてやられているのだがやっぱり村松がダイスキであったりはするのだ。ガシガシHをやったかと思えば、ラブコメ的風味を匂わせ、また突き放したり。常に一筋縄ではいかさず、いろいろ仕掛けてくる作風は相当にうまい。最終話の仕掛けなんかは雑誌掲載時思わずうなったものだし。それから「絵を描くのはキライ」と公言する筆者ながら、最近エロ描写もずいぶんうまくなっている。菱見さんのおちちとか、十分に実用にも供せるレベルに達している。ナイス物件。

【単行本】「天使の法則」 あうら聖児 A5
 肉弾系実用派作家。昔はそんなでもなかったのだが、最近の単行本収録作品ではもう加速度的に乳がデッカくなっている。ジューシィな肉体を駆使してばっちんばっちんエロシーン入れまくり。というわけで実用度は高め。このところ、初期のハッピーエンド路線だけでなく、いやらしいオヤジどもが女体をねっとりねぶり回す的な作品もやるようになってきている。ただ、男のキャラがいまいちぎこちない。ときどきコピーの切り貼りとかしたりするし。そういったところもあってか、エロシーンがちと生ぬるく感じられてしまうのは惜しい。

【単行本】「地獄組の女」4巻 SABE 久保書店 A5
 これにて最終巻。いや〜とても面白かった。地獄組、天国組にまつわるもろもろが、ヤケッパチ気味に混乱の度合いを増していきラストまでドドーンと突っ走る。なんか各キャラクターもろとも読者までぶん回して、遠くにぴゅーって感じで投げ飛ばしてくれるようでたいへんに気持ちが良い。キレまくる登場人物、どこに行くかさっぱり分からない、そしてどこに行ったって全然かまわない物語がとっても素晴らしい。こんなオモシレー漫画が今年になるまでまったく単行本化されてなかったってのは、いやはやなんとも辛抱たまらん事態でありますな。
 一度、4巻まとめて読み返してみてからSABEページのほうで詳しくレビュー予定。いちおうページレイアウトだけは作っておく。


8/25(金)……ハヌマーン猿だ

【雑誌】エクストラビージャン 9/30 集英社 B5中
 表紙は村生ミオ。おっぱいの大きな女の人がビールのジョッキを掲げている。ここ数年の村生ミオの脂っこさは、とても好きだ。なんだかものすごい存在感がある。平松伸二「どす恋ジゴロ」。今回はヤング恋吹雪の恋が描かれる。相撲とりと闘ってもいる。ところで今回一番気になったのは、相撲甚句を書いている人の名前。「初恋はレモンの味 伸男」。「初恋は〜」というのが名字なのでありましょうか。町田ひらく「正直者の誕生日」。今回もヒネリの利いたお話。会社の不祥事により窮地に追い込まれた男が、自殺前の最後の流れでマスをかき、そのあと昔の同級生の眼鏡娘を思い出す。ラストはさりげなく救いなし。

【雑誌】ヤングアニマル 9/8 No.17 白泉社 B5中
 二宮ひかる「ハネムーンサラダ」が巻頭カラーで今回もまた面白い。それぞれに関わりのある二人の女と同棲中の男は、やはり彼女らに振り回されてしまうのだ。どちらにも、ちょっと目を離すと何をしでかすか分からない似たようなアブなかっしさと、陰と陽、というほど極端でもないのだが違った種類の魅力がある。おいしいようでいて、まあおいしくないわけではないのだが無条件においしいわけでもない状況。ストライクゾーンからボール半個ぶんくらいの出し入れを、巧みにこなしておりまったく感心するほかない。三浦建太郎「ベルセルク」。ああっモズグスさまっ。強い、丈夫、恐ろしい。もともと化物じみた方ではありましたが、さらにレベルアップ。とてもすごいキャラクターだ。作:出海まこと+画:高橋雄一郎「女刑事ペルソナ」。今回の最初のほうの数ページは、ここまでやるかというくらいのあざといサービスぶりがすごかった。それが終わったかと思ってちょっとすると、お話自体も終わっていたという感じ。オパーイ。


8/24(木)……予想屋を装うのはよそうや

【雑誌】CUTiE comic 10月号 宝島社 B5平
 羽海野チカ「ハチミツとクローバー」。「コロボックル」と呼ばれさえするちんまりした女の子、はぐちゃんが強烈にかわいい。キョトキョトちまちましているあたりがなんとも採集欲をくすぐるというか。いわみえいこ「いつかきっと」。足が不自由で車椅子がなければ生活できない兄と、母が兄ばかりをかまうことに不満気味な妹の物語。足が不自由というハンデを持つ人間を、容赦なくイジめる子供の無自覚な残酷さにハラハラしつつ、暖かく描かれた兄と妹の絆に泣かされてしまう。事態の重さをあまり意識しない子供ならではの健全さが目にしみる。いわみえいこがときどき描く泣かせ系作品には、けっこう高確率でやられてしまう。

【雑誌】LaLa 白泉社 10月号 B5平
 津田雅美「な忘れそ」が掲載。読切で70ページ。子供のころから深く惹かれ合い、親友としてライバルとして育った二人の少年の物語。しかし、片方の少年がホルモンの病気で「完全な成年男子になれない」と分かったころから二人のバランスが崩れていく。お互いを想いながらもすれ違っていく心が、切なく描かれる。美少年同士の触れ合いにキュンときつつ、悲しく優しく読ませる一作。筑波さくら「目隠しの国」。好調だ。まっすぐにお互いを思いやる二人の気持ちが爽やかで暖かで心地いいし、波乱も織り交ぜつつきれいにまとめてくる話作りもうまい。ヒロイン・かなでがとてもいい笑顔。なかじ有紀「ビーナスは片想い」。なんだかものすごくほのぼのとラブコメをしていて微笑ましい。あと、やまざき貴子「ZERO・V」が100ページ掲載。半裸の美少年たちが狭いところで汗をびしょびしょにかきながら雑魚寝しているページが最初からずずっと続き、萌え度高い。とか思っていたら物語はけっこうハードに展開して読みごたえあり。

【雑誌】ヤングサンデー 9/7 No.39 小学館 B5中
 新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」。今度はヒグマドンの捕獲作戦が始まる。圧倒的な力であるヒグマドンは、いったいどう出るのか。そしてトシモンはどう絡んでくるのか。まだまだこの先、いろいろありそうだ。ハラハラしながら待つ。

【雑誌】モーニング 9/7 No.39 講談社 B5中
 水島新司「野球狂の詩」。オールスターで岩田鉄五郎とイチローが対戦。それにしても鉄五郎、73才。間違いなくすごい。そういう年齢の人間を現役選手として描いてしまうことからして。弘兼憲史「部長島耕作」。気を抜いているとNyaccoの歌に直撃されてヘロヘロになってしまうこと必至。「ハートブレイクな夜のレストラン 私はあなたをもう待たない〜〜」。Nyacco節を自家薬籠中のものとしたい。
 李學仁「蒼天航路」。このところまただいぶいい感じになってきている。今回は、劉備のレベルアップの模様を聞いた曹操の様子がとてもかっこいい。若林健二「神の予想屋」。4色カラーを含む読切。競馬をする者のもとへ、どこからともなくアタリ馬券を教える電話がかかってくる職場。そのとおりに勝って的中させると、その人間の身内が死ぬ、という薄気味悪い現象が続いていた。カネは欲しいが呪いは怖い。その狭間で揺れる男と女の物語。分かりやすい絵柄、お話で読む者を引き込んでいく手際は見事。ただ、最後のほうの展開は、「なぜそのときだけそうなったのか」という部分の説明が弱い。女性キャラはけっこうかわいいし、ハートウォーミングな結末もいいのだが、そこらへんがネックとなってちょっと釈然としないものも残ってしまうのは残念。いがらしみきお「心配右衛門」。右衛門のクラスにやってきた転校生の心の病は想像以上に深い。なかなかグッとこたえるハードな展開になっていて予断を許さない。予断を許さないといえば福島聡「DAY DREAM BELIEVER」たいへんなことになってきている。船の上で行われる凶行。ここにきて主人公たちの身の危険度が増し、ググッと緊迫感が高まってきた。

【雑誌】ヤングジャンプ 9/7 No.39 集英社 B5中
 奥浩哉「GANTS」。じょじょに物語は盛り上がってきている感じ。まだ物語の骨格はいまいちつかめないんだけど、いろいろ起こりそうな気配はぷんぷん。現在のところキャラがまだ生ききっていないので、どのように持っていくか。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 9/7 No.40 秋田書店 B5平
 水島新司「ドカベンプロ野球編」。こちらもオールスター。微笑三太郎絶好調。それ以上に水島先生のノリノリっぷりにどうにも圧倒されてしまう。まったくもって問答無用だ。能田達規「おまかせ!ピース電器店」。今回は、ケンタローの作っているプラモデルのキット名がツボにヒット。モモ子もいっぱい出てくるし楽しいな。松本英「アイアンメイド・アリス」。今回で最終回。唐突でスッとぼけたギャグの連続がなかなか面白かった。この人、菱形の口の描き方を見ていると、「京四郎」の樋田和彦周りの人かな〜とか思ってしまうのだけどどうなんだろう。


8/23(水)……アイラ武勇

 ひのぼりドッとネッと!。これいいなあ。shibata@bystonwell.netで心ゆたかになってみるとか、shibata@soloship.netで無限力を感じつつスペースランナウェイしてみるとか。1アドレス300円かー。これ以上メールアドレス増やしたくはないけど一つ欲しいような気も。

 本日は以下のもののほかに、鳩山郁子「カストラチュラ」の新装版(青林工藝舎)を購入。

【雑誌】フラミンゴ 10月号 三和出版 A5平
 ついに最終号。判型がA5に変わってからはとくに代わりのきかない雑誌となっていただけに名残惜しい。でも10月12日は新雑誌「アイラ」(名称は仮)が創刊するとのこと。フラミンゴほどにギチギチなことをやってくれるかどうかは分からないけれども、ともあれ期待、である。
 海明寺裕「奴隷立國」。最後まで、奴隷という道を選択した「そのくにのかたち」を描き出してくれた。その体系構築の周到さにゾクゾクする。願わくばこのシリーズは、新雑誌でも続いてもらいたい。もし新雑誌に載らないとしても、どこかで……とか思っていたのだが、海明寺裕のホームページの「ときどき日記」7月6日の項によれば新雑誌での継続の予定はなく、他雑誌も難しいようだ。「奴隷立國」の単行本も出ないようだし。うーん、もったいない。純田可奈江「M」。全身ラバー姿で女性がじっくり調教されていく様子は良い。絵もペンタッチ細やかでなかなか達者。ただ、きれいにまとまりすぎて押しが弱くもある。天竺浪人「便器」最終回。最後はええ話感を漂わせつつ締めくくり。少年に結局行き先を与えないラストはクール。ただ、深みという点ではもう一つ。若干消化不良気味。駕籠真太郎「夢で逢いましょう」。愛子シリーズだが、今回は大人しめ。何気に女の子キャラが少しずつ可愛くなっているような。
 というわけでお疲れさまでした。

【雑誌】週刊少年サンデー 9/6 No.39 小学館 B5平
 大和八重子「タケル道」が新連載。人殺しの技である古流柔術が身に着いてしまっているため、柔道部に入るも引き分けゲッターを目指すことで自分の力を抑制している少年が主人公の柔道漫画。アクションが派手に展開されていて、導入部としては上々。作:坂田信弘+画:万乗大智「DAN DOH!!」。町をいっぱいに利用したアクロバチックなゴルフを繰り広げながら、今回のエピソードでもちゃんとトキメキ要素を用意するサービス精神が実にこの漫画らしい。三好雄巳「デビデビ」は次号でいよいよ最終回。

【雑誌】週刊少年マガジン 9/6 No.39 講談社 B5平
 加瀬あつし「ポリ公マン」。連載第2回めの今回も48ページ。主人公の裕次郎が警察学校に入学。主人公だけでなく同僚のキャラも立ってきそうな気配で、なかなか面白い。さすがに長く「カメレオン」をやっていただけあって、ドタバタギャグコメディを構築する力は確かなものがあるなあと感心。

【単行本】「スマグラー」 真鍋昌平 講談社 B6
 雑誌のときは月刊ということもあってお話がうろ覚えだったところがあるのだが(不覚にも)、まとめて読むと実に面白い。ガッチリとして骨太な絵柄の迫力は、タダモノでないと思わせるものがある。物語はまずイカついとてもカタギとは思えない顔つきをした男が運転するトラックの中から始まる。車中には男が3人。運転している男と、中年の小男、そして気の弱そうな青年。そして舞台は変わり、今度はヤクザの親分が二人組の殺し屋に惨殺されるくだりへと移る。トラックの3人が運んでいたのは、このヤクザの親分の死体だったのだ。
 この作品の登場人物、とくにトラックを運転している男、そして殺し屋二人には、どんな修羅場を渡ってきたのかと思わせるゾッとするような鬼気迫る凄みがある。人間の命などなんとも思っていないような光のない目。そして彼らや、甘ちゃんの青年たちによって繰り広げられるギリギリの綱渡りには、腹にこたえるハードな読みごたえがある。物語全体としても、浮ついた一人の青年が根性の据わった「男」へと変わっていく成長のドラマとなっていて、良い読後感を残してくれる。気合いの入ったとてもいい作品。

【単行本】「ぽちょむきん」1巻 北道正幸 講談社 B6
 正義の味方によって壊滅させられた悪の軍団の生き残りであるおじさん4名が、最後の怪人である少女二人とともに軍団の再興を目指す。というとなんか仰々しいが、実際のところはドタバタギャグコメディである。北道正幸の細かく描き込まれた美しい作画はますますクオリティが上がってるし、爆笑するというタイプではないが気の利いたユーモアがそこかしこにちりばめられていて、漫然と読んでいるだけでも十分楽しい。

【単行本】「最終シスター四方木田」1巻 イラ姫 集英社 A5
 バイタリティあふれるシスター四方木田恵子の賑やかな生活。四方木田があまり大きくからんでこないお話もけっこう多いけど。軽やかなドタバタコメディテイストとメルヘン・ファンタジーごころが共存。楽しく柔らかい雰囲気を醸し出す画風もいい味わい。途中までこまごまとした感じでお話を展開し、見せ場になるとドバッと見開きを使ったりして、一気に解放してくれるようで読んでいてとても気持ちがいい。しゃべる人形とゴチャゴチャ言い合いながら歌を作る女性の話、街のカラスの物語などなど、メルヘンチックでありながらもそれだけで終わらずしっかりこちら側の世界にお話を着地させてくれる手際は鮮やか。前に出てきたキャラとかが、その後の話で味のある役として物語にからんでくるあたりもうれしい。


8/22(火)……禍福はジュブナイル縄のごとし

 ウチの近くの宝くじ売場に「ドリームジャンボ1等出ました」という貼紙がしてあっていたく気分を害する。ソレってこの前、俺が20番違いで逃したヤツじゃねえか。なぜ隠した。なぜ俺に売らなかった。バギンズにくむ、いつまでもにくむぅ。

【雑誌】ドルフィン 10月号 司書房 B5中
 待ってました。いや、載るとは期待してなかったので待っていたというのには語弊があるけれど。VARY GONZO「1st BADMEN」。博内和代であり、世棄犬であり、品葉諸友であり、馬利権作/馬利権造(ドルフィンの目次と作品扉で表記が違う)である作家の作品である。今回のお話は、父の仇を探して地下の坑区をさまよっていた少女(綾波レイ似)が強姦されているところから物語がスタート。その最中に、彼女と男どもは、罪を犯すすべての者の敵「バッドマン」と出会う。そしてバッドマンの物語が語られていく。といった感じなんだけど、見どころはなんといっても少女のフェラチオシーンであろう。絵がうまいのはもちろん、セリフによる焦らしっぷりとかも巧みで、かなりエロい。ただでさえ俺はフェラチオシーンが好きだってのに、こんなふうに描かれちゃあたまんねえなあ。女性に関しては、アフタヌーンで描くときよりもだいぶ描線を単純化して、アニメっぽい雰囲気を取り入れている。バッドマンやその他の者どもは、黒々と荒々しい描線。そのコントラストも目を惹く。アフタヌーン掲載作のようなトリッキーな作品を期待する向きにはさほどオススメしないが、エロ度は十分。この人は、エロ方面でも相当な実力を発揮できる人なだけに、どっちのフィールドでもいいから作品が読みたいところ。今回の作品はどうやら続きモノのようなのだが、無事続いてくれることを祈りたい。
 森高たかし「お父さんの憂鬱」。けっこう元気のいい作風なのだが、案外エロシーンが充実していて最近気に入っている。ドキドキしつつもHな雰囲気に流されていくって感じの娘さんたちがソソるのだ。

【雑誌】ヤングチャンピオン 9/12 No.18 秋田書店 B5中
 新連載、河村万里「魔女の名前」がスタート。主人公の学校教師が、自分の学校の生徒である(どうやら多重人格であるっぽい)少女に魅入られていくといった感じの物語になりそう。作:高見広春+画:田口雅之「バトル・ロワイアル」。毎度毎度、強烈に脂っこい。青春は、どうやらギトギトであるらしい。「朝を眠る」の石川聖が再登場(「朝を眠る」の感想は4/11の日記参照)。タイトルは「越川まち子たち」。政府の募集に応じた5人の畸人が宇宙人退治に赴く。かなりヘロヘロした描線で、力の抜けたギャグをふんだんに入れながらお話を進めていく。わりと好き勝手やっててでたらめ感のある楽しさ。コンスタントに活躍していくにはまだ線は細いけど、センスはあると思う。ええんでないか〜と思わせてくれる作品。

【雑誌】漫画アクション 9/5 No.36 双葉社 B5中
 リニューアルは9月5日発売号からなのだが、すでに作品の半分近くがエロ漫画になっていて、だいぶ電車の中で読みにくい状態になってきた。今回も美女木ジャンクションらが登場。作:高橋三千綱+画:かざま鋭二&堀井ひろし「元祖Dr.タイフーン」は最終回。次号、六田登「CURA」、ジョージ秋山「ブルースの錠」が最終回。そのほかの長期連載モノもじょじょに終息に向かっている雰囲気は感じとれる。エロ漫画自体は好きだし、これから描く作家さんたちが悪いわけじゃないんで、あんまり違和感ばかり強調しすぎるのも申し訳ないんだけど、けっこう楽しみだった作品がぽんぽこ消えていくのは残念。「こういうやり方はないよなあ」と改めて思ってしまう。


8/21(月)……いやすきりすと

 LAOXのインターネットショップでマウスを購入。USBのワイヤレス。使っているキーボードの関係で、現在マウスはUSBのものを使用しているのだが、USBでワイヤレスの製品というのはあまり多くない。たぶんこれから増えるだろうけれども、まだそんなにたくさんは見ない。んで少ない選択肢の中から選んだのが、松下電器産業のXJ-WM3DUC
 赤外線方式のUSBワイヤレスマウスも試してみたのだけど、これは受光部との角度によって反応がだいぶ悪くなるので、いまいち使いづらかった。XJ-WM3DUCは電波式なのでそこらへんがクリアされている。実際に使ってみたけど、これはなかなかいい。操作感がクイクイととても小気味良い。PC機器で久しぶりに当たりを引いた気分。

【雑誌】OURs LITE 10月号 少年画報社 B5
 軟弱!軟弱ゥ!! いや〜、こりゃなんともすごいですわい。実に凶暴なまでの軟弱ぶりに小生叩きのめされてしまいました。文系オタク層の狭い地域をピンポイントに爆撃するその狙いの確かさにクラクラ。好きな食べ物を聞かれて間髪置かずに「焼肉」という答えを返すような人間にはちと厳しいかと存じます。本屋さんで立ち読みしてビビッと来た人は即買いでOK。コンセプトのしっかりした誌面は、分かりやすく隙がありません。ある種の人々にとってバッチシかと。本全体の雰囲気は俺にはかなり合ってないんだけど、読む作品はいっぱいあるし、よくできた雑誌ではあると思う。

 それでは作品のほうに。
 TAGRO「6年1組」。タイトルどおり、6年1組の物語。頃合いは昭和五十X年。お話の中心は、マセガキ のカネヤンと、ちょいと人格に問題ありなハゲの助平オヤジ担任教師。懐かしき少年時代的物語に、木版画っぽい雰囲気のあるタッチがよくマッチしていて、やんちゃな楽しさがある。そして、ふくらみかけのおっぱいに心踊る。個人的にはいまいち小学校時代はあまり輝いてなくて記憶も薄いんだけど、そういう人間にも「懐かしい感じ」というものは追体験できる。そういうあたりが筆(画材としての筆って意味でなく)の力って奴なんでありましょう。石田敦子「いばら姫のおやつ」。優しい絵柄のわりに、物語的にはかなり息苦しい。けっこう登場人物を追い込んでいて、事態としてはキツイ。甘くない虚構内現実をあいまいにごまかさず直視しているのが良い。今後の展開においても安易に癒したりはしないでいただきたいもの。癒すなら、根っこの部分から徹底的に。
 犬上すくね「恋愛ディストーション」。ちっちゃい女性に惹かれて病まぬ山野辺くんのお話。ミニサイズ。かわいらしい。あめかすり「あまだれを借りに」。1ページめからいきなり意表を衝く展開。これはたぶんネタバレしないほうが良いかと思うので詳しくは書かないけれど、実にあめかすりらしい、ゆらゆらと危うい雰囲気。この朦朧とした不確かさはちょっとほかの人には出せない味だ。とても個性的な人なので、今後も継続して掲載されてほしい。そういう場があってほしい。小野寺浩二「妄想戦士ヤマモト」。少女漫画に自分勝手に妄想を突っ走らせるヤマモトくんの男っぷりに惚れる。
 宗像明将さんの音楽評コラムは、文章構成がたいへんうまくて感心するとともに嫉妬する。軽やかで変幻自在な文章を見ていると、一本調子で平板で硬い自分の文章が恥ずかしくなる。頑張ろう、俺も。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 9/4 No.38 集英社 B5平
 鈴木央「ライジングインパクト」。ガウェインのスーパーショットのあたりが痛快。タメをしっかり作って、一気に爆発させる間合いが良い。樋口大輔「ホイッスル!」。まともにサッカーやっててだんだん面白くなっている。健全。うすた京介の新連載「ピューと吹く!ジャガー」は巻末で2本同時掲載。奇人と縦笛と凡人とギター。素っ頓狂な展開で意表を衝く出だし。この人、絵うまいよなとか見るたびに思う。全般にセンスがいいですな。

【雑誌】ヤングマガジン 9/4 No.38 講談社 B5中
 松本光司「クーデタークラブ」が巻頭カラーで新連載。デパートのトイレでオナニーしている女の子、女装に夢中になりつつある優等生。初っぱなからけっこうインパクト強めなキャラを呈示してきて、ツカミは十分。読ませる物語を構築する力はある人だし、これからの展開に期待を持たせてくれる。安達哲「バカ姉弟」。今回もバカ姉弟は無邪気である。姉のテカテカおでこに触りたくなる。ロクニシコージ「すべてに射矢ガール」。あすみちゃんにキャラとしての味が出てきて、良くなってきている。山田クンがちと弱いかなとは思うけど。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 9/4 No.38 小学館 B5中
 柳沢きみお「SHOP自分」が次号で最終回。冷やし中華。原宿ビール。いろいろ想い出深い漫画であります。榎本ナリコ「センチメントの季節」2度目の夏の章がスタート。かつてはキレる短歌を詠んでいたけど、今では齢19にしてちんちんも勃たず、高校の頃を懐かしむばかり。そんな空っぽな男のもとに転がり込んできた少女。そこから物語は動き出す。この作品の場合、面白いと思う場合とイラついちゃい場合の境界がとても微妙なのだが、今回のシリーズはどんなふうになっていくだろうか。吉と出てくれるとうれしい。ところで、なんか大学の文芸部の風景がかなりアナクロな感じがするんだけど、今でもこんな感じなんすかね。山本康人「僕」。自分がアゴに弱点を抱える「グラスジョー」であることを指摘されたたけしが、なぜか欣喜雀躍。変わりつつあるたけしの姿がどんどん頼もしくなってきている。「私は変わりたい」。そして変わる。いやあ面白いじゃないですか。


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