ガロ98年6月号

<総評>

●吉本 今回はギャグが良かった。その分ガロにおけるメインストリーム系の作品が弱いような気もしたが。それにはゲストの作品が少なくなってきたことも影響しているだろう。あとは新人がだんだん力をつけてきていることが好もしく感じる。
ただ、雑誌の方向性としては少々焦点が合っていないような印象も受けた。旧ガロ系の人材を中心にしていくのか、新人を積極的に育ててゆくのか、ゲストを生かしてゆくのかが分かりづらいのだ。理想をいえば三者のバランスを取る形がいいのだろうが…。個人的には、多彩なゲストの、他の雑誌では読めないような作品が読みたい。
●久遠 頑張っているのはわかる。が、まだ実になっていないような気がする。なんか毎月きちんとのるマンガ以外の作品の毛色が大きく違うし。

(▽はハートマークの代用)

  吉本松明 久遠永遠
新世紀アダム好キーUFO解脱マン

キクチヒロノリ

7.5 最近はキャラクターを作り出す魅力に取り憑かれているようで。マンガの文法から外れまくってはいるが、独特の「道理」があって酔える。 5 うーん、今日の俺様ちゃんのアンテナには、電波がトドかないなあ。
過ぎし日積みし日

松本充代

6 成功して、有名人になって、人々から称賛を浴びるのもいいが、ささやかな幸せをつかみ、自分の地平を確立することもまたいいのではないか。それはそれとして、女の嫉妬はあいかわらずうまく描けている。 8 ちっくしょう、俺様ちゃんが行けないとわかっていて同窓会を開きやがったなっ。それ以前にそのお誘いもなかったぞっ。終わってから「どうしてこなかったのー?」なんちゅう電話をよこしやがってっ。貴様らなんて嫌いだー。うわーん。
馬馬虎虎

逆柱いみり

7.5 久しぶりの一つ目ウサギはやはりねずみ男であったか。しかしそれにしても今静岡が熱い。早くに成長したところは高度成長期の遺産をそのまま残しているだろうから。 7 UFO解脱マンより、よっぽどクるなあ。疲れてんのかな。
サンディッシュ・メモ

津野裕子

8 定着してきた感のある夢日記。普通の雑誌だったら絶対に載らないであろうこの手の作品を載せ続けるガロはほんとうに偉い。それにしても流麗な描線であることよ。 7 一番最近泣いたのは、ファミリーマートのいちごみるくにやられたときでした。
魔に憑かれて

イタガキノブオ

8 ひょっとしたら男の単なる思い込みかもしれない、ということを想起させる奥の深いプロット。やらしくて良い。 5 はっきりしない線に、幻想的な話。境界線が危うくなっていく。
幼稚なOTONA

QBB

8.5 いきなり扉から濃厚なトホホ感。今回は飛ばしている。散々馬鹿な話をやっといて最後になんだかリリカルに落とすところにただならぬものを感じる。 6 うおー、メローイエローが飲みてえぜーっ。
ブレーメン

河井克夫

7 癪ってこんな病気だったのか。怖いなあ。 6 じゃあ、むーすんんーでーひーらーいいてー、の歌の題名ってなーんだ。
ミイラ君▽

町野変丸

6 まあいつものアレだけどミイラ君を「タイプ▽」と言っちゃうゆみこちゃんがイイ。 5 相も変わらずくだらないなあ。
愛にボンジュール

山波千紘

5   4 なんつーかなー、「せつなさ」がたりないなあ。
ルンルンアワー

山本ルンルン

7.5 いいじゃないですか。まずは絵が確立されているところが良いし、オハナシも適度にブラックで良い。飛びぬけた良さ、とまではいえないものの、手堅さは評価できる。もうチョイ「粗削りだが光るもの」があってもいいと思うが、これだけ完成されていればそれは高望みであるといえるだろう。 4 どこかで見たことのある絵だ。話もどこかで・・・
あんてな

片岡聰

6 ついにガロにも登場。ある程度キャリアのある人なのに入選になっているのが少々哀しい。最後の一コマがこの人らしいし、ガロの入選を決めたのだろう。そこだけ良し。 7 仙術裁きの6倍ぐらい良いじゃないか。俺様ちゃんも、子供の頃は、アンテナのある家は空を飛べると思っていたからなあ。
おかたづけ

細川貂々

6.5 鳩山郁子先生の流れを汲んだ、それでいて簡略化された絵。絵にこもる「力」は少々弱いものの、それが「少女らしさ」を高める結果にもなっている。ムラサキパンツにドキッとするあたりなんて他愛無くてよし。 8 白く、そして拙い画面でも、味があり、そして独特の間がある。そして少女達の想い。たまらん。
ゆれる空

太宰ベベ

7.5 前回載ったものに比べて構成、織り込まれた考えともに大きく向上している。着目点もいい。つらい日常の中でもちょっとした面白さを見つけだそうという姿勢に共感する。そう、それでいいのだ。 5 自らを犠牲にしてまで人に笑顔をもたらそうとするのはすばらしいと思います。
ドリーム・ストーカー

塚本知子

6 飛びぬけたところはないものの、じわりと染み込んでくる良さがある。 6 雨は、好きだ。ずぶぬれになるのも、また楽しい。
セイガク本線

杉作J太郎

3 ノスタルジーはもっとスマートでもいいんじゃあないか。 3 綾波に対する熱病が癒えたんだろうねえ。
孤独探偵佳境冴子

かなつ久美

3 最初から6回予定だった割には、終わり方が慌ただしい。まあ予想される結果ではあるものの。 3 感動的な最終回だ。この感動は、BLEAK−AGEの休載に匹敵する。
招く猫

やまだ紫

5 ちょっと絵が荒れてるんじゃないか。ベタフラもトーンだし。相変わらずのやまだ節ではあるけどね。 4 毎日新聞の連載はまだやっているのかなあ。

<今月のベスト>

●吉本 琴桃川凛の広告!勝手に連載にしているところが凄くイイ!
…じゃなくて。久住兄弟の変な癖がフュージョンし、とんでもないことになっている「幼稚なOTONA」にしよう。
●久遠 うむっ。ここはあっさりと「おかたづけ」に決定。

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