◆ 1999年3月上旬 ◆

3/1〜10
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3/10(水)……桐絵、偉え損

 起きたら午後4時で会社に行く気にもなれなかったので、欠席の連絡をしてまた寝る。夕食を食った後、ゴロゴロしてたらまた眠くなり寝て起きると夜中の0時近く。一歩たりとも家の外に出なかったため、少年サンデーやらマガジンやらも入手していない。空白の一日。ていうか人生無駄遣い。

【単行本】「悟空道」6巻 山口貴由 秋田書店 新書判
 悟空が三蔵の戒めを破り、友である酋王の村を救うため、武器国の王に闘いを挑むのがこの巻。見どころは女に化けた悟空の色っぽさあたりだろうか。最近ちょっとこの作品はテンション低めで、俺の心をズンズン打つところが弱まっている。要強まり。

【単行本】「遥かな町へ」下巻 谷口ジロー 小学館 A5
 中年おやじが自分の中学生時代にタイムスリップする。意識だけは大人のまま、身体は中学生時代の自分となる。再び中学生として生まれ変わり、新たな恋、学業やスポーツの喜びに浸る。そんな中、自分の父親がそのころに失踪したのを思いだし、それを止めようとするが、家族をほうり出して新たな人生を生きようとする父の姿に、家族から逃げていた大人の自分の姿をダブらせてしまう……といった感じのお話。
 谷口ジローの描写は地味だ。しかし、ごまかしが全然ない。細かな部分まで実にきっちりと描写してくる。その折り目正しい作風にはいつも感嘆させられる。ドラマ的には大したことがなくても、きちんきちんと積み重ねられた描写でいつの間にか物語に引き込まれてしまっている。このお話もラストの結論としてはありがちなものではある。しかし、それでも嫌味にならずしみじみとした感動があるのは、やはりその描写力のたまものであろう。

【単行本】「うずまき」2巻 伊藤潤二 小学館 A5
 うずまきという一つのモチーフを切り口に、どんどん発想がエスカレートしていくさまが小気味いい。グロテスクではあっても同時にユーモラスなので、目を背けずに済む。怖いもの見たさな欲求を実に手堅く満たしてくれる。今回はびっくり箱の話と、うずまきが高じてカタツムリになってしまうお話の2編が楽しくて良かった。それにしてもヒロインの桐絵は異様にうずまき的なものに好かれる女なわけだが、ひょっとして彼女がすべての現象を呼び寄せているのでは?

【単行本】「少女ケニヤ」 かわかみじゅんこ 宝島社 A5
 今までなんとなく買っていなかったのだが、気になっていた人の一人。気になったらやっぱり買わなきゃダメだなあと読んでみて痛感。
 たいへん今っぽくオシャレな絵柄で、今の少女たちの恋愛模様をかっちょよく描く。実際の恋愛はこんなふうにきれいには行かないのだろうけど、それでも生っぽさやみずみずしさを感じさせる作風はイキが良くて気持ちいい。とくに二人の少女の恋愛模様をそれぞれの視点から描いた「あした泣くかも」と「少女ケニヤ」が面白かった。こういったオシャレな恋愛系の作品には珍しく、パサパサした感じではない。パサパサした感じの奴は一作だといいけどまとめて読むと腹にもたれるようなところがあるが、かわかみじゅんこの作品はもそっと口当たりなめらかな感じがする。

【単行本】「臥龍解封録 ナムチ」 高寺彰彦(共同原作・脚本協力:須永司) アスキー A5
 1993年発行の単行本。秋葉原のコミック虎の穴になぜか新刊で置いてあったのでザクッと買っておく。
 人間がほかの生き物たちとまったく同じレベルにあり、神を奉って平和に生活していた時代。スメルという部族が、大地の神、大物主を眠らせさまざまな者たちに災厄をもたらし始める。そんな時勢とはまったく関係なく、素直で純朴で、ちょっと頭の悪い河童のナムチがなりゆきのままに大物主を目覚めさせるための旅に出る。途中で小人のポックルや、クマビトのキムンらと出会い、冒険の旅が続いていく……というお話。この単行本に収録されているお話は途中までなのだが、たしか続刊は出ていなかったはず。高寺彰彦といえば、今ではコミッカーズでの絵画教室の印象が強いが、さすがに描画力はむちゃくちゃ高い。精密で細かい筆致、狂いのないデッサン力はまさしく職人芸。高寺彰彦でとくにオススメなのが「かちかちやま」だけど、彼の単行本は今となっては入手が難しいかも。もっともっと作品を読みたい人ではある。作風自体は閉じているところがあるので、一般受けはしづらいのだが、実力は大したもの。

【単行本】「俺に血まなこグレート」 おおひなたごう アスペクト A5変型
 TVBros.に連載された作品。発行日は1997年。おおむね下らないギャグなのだが、思いもよらない方向に発想を飛躍させる唐突さが楽しい。それを強調するでなく、あくまでクールに淡々と描いてくる。最近の作品のほうが内容的には乗っていると思うが、絶妙に読者の予想を外してくる呼吸はこのころから変わらない。


3/9(火)……山は黒鉄

 今まで常用していたデイパックが、度重なるムチャな漫画詰め込みにより完全に壊れる。ファスナーがちゃんと閉まらなくなっていたのだ。そんなわけで本日ついに新しいのを購入。今度のは、今までのより横幅、奥行きはないが縦に長く、収納できる量は増えそう。とはいっても、あんまり詰め込むとそろそろ重量的に持ちきれなくなるかもしれない。ともあれ、どうせ近いうちに限界容量を試すことになるとは思う。

【雑誌】ヤングチャンピオン 3/23 No.7 秋田書店 B5中
 注目はやはり巻頭カラー、今村夏央(=米倉けんご)の新連載「ファイヤーキャンディ」。出生率が低下し、滅亡の危機を迎えた人類が、人口増加のために作り出した人間と獣のハーフ「「半獣人」の少年たちが主人公。使いすぎると身体が発火してしまう薬物「ファイヤーキャンディ」に溺れながら、彼らは行き場のない青春を暴走させる。何も信じるものを持てずに生まれてきた彼らは、ファイヤーキャンディの刺激と狂ったような日常に身を投げ出し、止まっていると崩れてしまいそうな自我を辛うじて保っている。かなりシリアスで、悲痛なお話になりそうな出だし。米倉けんごは絵柄が華やかですごくうまいし、話作りもそれなりの力を持っている。それだけに初のメジャー誌連載であるこの作品がどういうふうに展開していくか楽しみだ。今回のを読んで、なんとなくウルトラジャンプとかに載っていそうな作風って感じがした。岡田和人「教科書にないッ!」。別に肝心なことをやっているわけでもないのだが、サービスは満点で色っぽい描写が吉である。富沢ひとし「エイリアン9」。宇宙船の森で、かすみとくみが大暴れ。悲壮な雰囲気が高まってきた最近は、ますますこれからの展開の予想がつかない。いつもこちらの予想を裏切ってくれて飽きさせない。大したものである。

【単行本】「ザ・ワールド・イズ・マイン」7巻 新井英樹 講談社 B6
 この巻の前半の主役は「大館のマリア」。大館市に住む、トシモンとも深い関わりを持つ少女だ。そして後半ではヒグマドンの怒濤の暴走が始まる。マリアのヒューマニズムが少しゆっくりとしたテンポで描かれた後、ヒグマドンの破壊・虐殺がものすごい速度と威力をもって描かれる。老いも若きも男も女も、圧倒的な力の前には平等に、そして実にあっさり死んでいく。圧倒的な命と、そして意味もなく消えていく命を同時に感じさせる大作。描写の激しさ、力強さ、速度。読者を圧倒する画面を作り出す、その演出力もまた素晴らしい。今さらいうまでもないことだが傑作である。

【単行本】「髪切虫」 ふくやまけいこ 発行:メディアワークス+発売:主婦の友社 A5
 コミック電撃大王掲載の「髪切虫」と月刊少年キャプテン掲載「桜−SAKURA−」を収録した単行本。共に都会の片隅で主人公たちの出会う、ちょっと怪奇テイストの入り混じった心暖まるファンタジーを描いた作品。どちらもものすごく面白いというほどでもないが、手堅く読める佳作。そして相変わらず読んでいてホゥッとため息をつきたくなるような、暖い雰囲気の、鬼のようにラブリーな絵柄がたいへん素晴らしい。俺の心を生ぬるい風でトロトロにしてくれる。ねんねこだにゃーん。

【単行本】「えっちーず4」 陽気婢 ワニマガジン B6
 最近の陽気婢はいまいち不調だなと思っている。短編一作一作は消化不良な感のあるものも多い。しかし、こうやってまとめて読むと印象が変わる。前みたいに一作品で読者をノックアウトしてしまうほどの甘酸っぱさではないが、作品の中にある幸せな雰囲気と切なさとサンチマンタリスムが少しずつ、少しずつ蓄積されていって総合的になんとも気持ち良くなってしまう。とくに何気なく可愛い女の子の姿をサラリと描いてくる絵の洗練具合はさすが。スレンダーな女の子の描き方もピシッと決まっていてうまい。ただやはり、陽気婢には「もっともっと」と思ってしまうのも確か。この人の場合、ギャグをやると外すことが多いし、中性的な男の子とかわいい女の子以外はあまりうまくキャラクターを作れないきらいがあるので、ストーリー面の幅がどうしても狭くなってしまうのは弱点。それを逆に武器とできるかどうかが勝負かもしれない。

【単行本】「アカギ」9巻 福本伸行 竹書房 B6
 金と血液を賭けた、アカギと妖怪的老人・鷲巣の勝負が続く。ルールはいろいろとムチャだが、読者を引き込んで読ませる豪腕はさすがである。ストーリー展開や駆け引きの妙も面白いが、その読みやすさも特筆すべきものがある。テンポ良く読んでいるうちに、いつのまにかすっかり福本伸行の手の内に乗せられている。演出の妙を感じる。

【単行本】「黒鉄」4巻 冬目景 講談社 B6
 冬目景作品の中では俺内評価があまり高くないお話ではあるんだけど、雑誌で読むのと単行本で読むのとはまた印象が違う。雑誌で読むとちょっともの足りない感じがあるのだが、単行本で読むとそれがちょうどいいバランスに感じられてくる。今さらいうまでもなく絵はたいへんにうまいし、義理と人情の時代劇ものとしてそれなりに面白い。何度も書いているけど、俺としては「僕らの変拍子」「羊のうた」といった現代ものの作品のほうが好きなのだが、だからといってこちらが楽しめないというわけではなく、読めば読んだでそれなりに楽しめたりもするのだ。


3/8(月)……夢見る若者の昼と夕

【雑誌】ヤングマガジン 3/22 No.14 講談社 B5中
 平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」。野性のブタの間にまじってグチャグチャとエサを貪るゲンさんの姿が大変に邪悪で良い。福本伸行「カイジ」では、カイジがティッシュの箱の構造に興味津々。これでどうやってあの会長を倒すというんだろうか。う〜ん、よくわからん。先が気になる……と思っていたら次号は休載。小田原ドラゴン「おやすみなさい。」。鉄郎には週刊誌から重要なエロ部分を切り取る「エロファイリング」の習慣があることが判明。こういう自分にしか役に立たないことに、黙々と打ち込んでいる姿が馬鹿馬鹿しくていいなあ。鉄郎の顔もいつになく真剣だ。地味な部分で鉄郎は世界をなんだか動かしてしまっているらしい。前川かずお「闘破蛇烈伝DEI48」。今週も表紙でミミガーズが笑わせてくれる。ここらへんのアオリって前川かずおが入れてるんだろうか、それとも編集部だろうか。どちらにしてもマヌケてていい。あと、カタカナで「ツナギメツナギメ」「ハツジョウハツジョウ」「モットハツジョウ」「イーニオイ」などと奇声を挙げ続ける敵のザコキャラもヘンテコだ。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 3/22 No.14 小学館 B5中
 スポーツ選手へのインタビューページが今回は鹿島アントラーズの本山だったのだが、彼のヒーローが愛原司「VIVA CALCIO!」の主人公・シーナだというのはちょっと笑った。オタクサッカー漫画はサッカーオタクに訴えかけるようだ。
 浦沢直樹「Happy!」は次号で最終回。試合展開がアッサリとしか描かれなかったのは残念。いくらでも盛り上げようがあったと思うんだけど。坂田信弘的盛り上がりが欲しかった。江川達也「東京大学物語」は、村上のSEXが猛威を振るい始めてからまた面白くなってきた。作:坂田信弘+画:中原裕「奈緒子」。最後のデッドヒート、ついに一人が脱落。ここらへんからさらに悲壮な展開になっていってしまうのだろうか。俺の読みでは次はアメリカ人か中国人。その次はアフリカ人。最後は黒田と雄介の一騎打ちと見た。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 3/22 No.15 集英社 B5平
 武井宏之「シャーマンキング」。キャラクターのデザインがかわいくてイカしている。ただ、最近の展開はバトルものになりつつあるのがちょっとつらいか。シャーマンキングを決める大会が始まるまでの流れがもうちょっと自然だったら良かったんだけど。作:ほったゆみ+画:小畑健「ヒカルの碁」は、石を打つときの描写や、いちいち盤面に宇宙を見てしまうあたりが気持ちいい。地味なジャンルなのに、それなりにハッタリも利かせてあって飽きない。島袋光年「世紀末リーダー伝たけし!」は、ようやく最近続いていたバトル編が終了。そろそろ一話完結形式に戻ってくれるとうれしい。

【雑誌】ヤングキング 4/5 No.7 少年画報社 B5中
 有村しのぶ「HOPs」。音大受験に失敗したあずみが、失意の中町をふらふらしていたら、タチの悪い男につかまってべろんべろんに酔わされる。寝込んでいるあずみを男は襲おうとするが……というところで以下次号。ヒロインの女の子が悪い奴にイタズラされるって話、実はかなり好きだ。肝心なところまではいかなかったとしても。

【雑誌】YOUNG YOU 4月号 集英社 B5平
 逢坂みえこ「ベル・エポック」が掲載。行儀の良い絵柄とコンスタントな話運びで手堅い。武内直子の例のエッセイ漫画はリニューアル。「武内直子姫と富樫義博王子の結婚ぱーんち!!」に。なんか今回は大人しい。馬鹿っぽさは相変わらずだが。もうちょっと暴れまくってくれるかと期待していたのだけどお疲れか? 谷地恵美子「明日の王様」は、数馬倫と有がテレビドラマの脚本で競作することに。まだまだ力及ばぬ有だが、ついつい意地を張ってしまう。ホッとするキャラクター作りと、見せ場のシーンの演出がなかなかうまく、嫌味のない絵柄も手伝って面白く読める。
 今号は全般的にテンションが低めに思えた。来月は山下和美と岩館真理子が掲載され、さらに安野モヨコの新連載も始まるらしく、けっこう楽しみ。

【雑誌】FEEL YOUNG 4月号 祥伝社 B5平
 こちらも今月はイマイチ低調。安野モヨコ「ハッピー・マニア」が休載なのはその一因。三原ミツカズ「ハッピー・ファミリー」がドロドロとした息の詰まる、カタルシスのない展開だというのもそれに拍車を駆けている感あり。やまだないと「ビューティフル・ワールド」は空の描写の解放感や、必要最小限の事物、線で構成された画面が気持ちよく、面白く読めた。

【雑誌】花とゆめ 3/20 No.7 白泉社 B5平
 第23回アテナ新人大賞優秀新人賞受賞作品、という長ったらしい肩書きが付いている福山リョウコ「心臓が足りない」が良かった。かわいいんだけど霊感能力が強くてしょっちゅうあらぬ方向に向かってお話している女の子が、主人公の男にネコの霊が憑いているといってくる。で、この二人のかわいらしいラブコメが展開するというお話。のびやかでスッキリした画風が気持ちいい。個性的ってわけではないが、爽やかなストーリー展開と画風で楽しめた。望月花梨「笑えない理由」は、主人公の瑛士に恋していた桂川麗子の気持ちに決着。ヒロインのかな子よりも意地らしくて良かったのだが、中学生段階で3年生と1年生ではしょせん勝負にならず。あのくらいだと2年の差ってむちゃくちゃデカイし。


3/7(日)……まーんがのおにおにー

 昨日の日記で「2月進行も一段落」と書いたが、実際には日曜日の朝までは仕事をしていた。朝9時ごろ帰宅し、それから日記をアップしたわけだが、「昼夜逆転した生活を戻すために今日は夜まで起きていよう」などとむちゃなことを考え昼のうちに漫画を読んでおく。疲れていたので、読むのが楽なものを中心に選んでいったところ気がつけばエロ漫画がほとんどになっていた。ちなみにその後、やっぱり眠気には勝てず夕食を挟んで7時間くらい寝てしまう。この日記を書いているのが月曜日の午前2時。むう。

【雑誌】マンガの鬼AX Vol.7 青林工藝舎 A5平
 今号はイマイチ。なんか自己完結的な作品が多い。その中で花輪和一「冬の一日」は別格の面白さ。刑務所シリーズも回を重ねるにつれ、その執念深く異様にねちっこく丹念な視点が迫力を増してきた。囚人がカレーライスを食べているシーンも、作業をしているシーンも、まったく同じウエイトで細かく細かく描く。その意味がないくらいのひたむきさは恐ろしいほど。いや〜おもしろい。東陽片岡「人生えろえろナイト」。いつも通りの淡々とした作風で、みみっちい楽しさがある。三本義治「夜の蝶」は、ぶち壊れた絵柄で弁当工場の労働者のしみったれた日常を描く。この情けなさはわりと好き。

【雑誌】YOUNG Hip 4月号 ワニマガジン B5中
 SABEが短編を描いていたので購入。タイトルは「玉突き女」。ビリヤード好きの女がそれまでの男と別れて、同じビリヤード好きの男と寝る。かっこよくない日常を淡々と描くお話で、それなりに楽しい。どのキャラクターも自分のことしか考えてないドライさが魅力。巻末2色、かるま龍狼「ベル・パニック」は微笑ましい節分のお話。軽いギャグもこなせる器用さで毎度楽しい。

【雑誌】ホットミルク 4月号 コアマガジン B5中
 今号の目玉は永山薫のエロ漫画書評コーナー「コミックCOLUMDUM」である。今までの2ページから5ページに一気に増量。ジャンキーズのような形式で、一冊一冊コマを設けて詳細にコメントを付けている。これを続けていくと資料的価値はむちゃくちゃ高そう。ジャンキーズがなくなって惜しいと思っていた人はこれを読むべし。……で、それはともかくこのコラムが目玉だといったのはそれだけほかの漫画が面白くないということの裏返しでもある。実用方向に走るでもなく、オシャレ系に徹底するでなく、どうにも中途半端。あんまり気がつかなかったがリニューアル号らしい。
 瓦敬助の新連載「菜々子さん的日常」は、個性的な絵柄とのんびりした雰囲気がわりといい。それから猫井ミィの巻中カラー「スタア専」は華やかな絵柄が魅力。オシャレでうまい。あとG=ヒコロウの日記漫画「みんなはどぅ?」が、雑誌を変えて復活しているのでファンはチェック。

【雑誌】ペンギンクラブ 4月号 辰巳出版 B5中
 久しぶりに買ったが、なんか何年経っても作風が変わらないような人たちが集まっていて、キッチリお仕事しているな〜という感じ。飛龍乱の調教モノ「TEACH ME PLEASE」は、やっていることはハードだけど、その中にセンチメンタルな雰囲気もあり、実用的でもあり、いろいろな要素をまとめあげてくる手腕は大したもの。ちゃたろー「でんじゃらすマンション!」は豊満な女の子が幽霊の何十本もの手によって、もみもみされまくるというお話。執拗な描き込みと濃厚なエロスは相変わらず。いい仕事してますな。マイケル原腸「アリスったらもお!」。ちょっとクセは強いけどかわいい絵柄で、ブラックなギャグを連発するほのぼの漫画。かっちりとした絵柄がわりと好き。それからこの雑誌を買った一番の目的である、なめぞう「大人だね山チー!」。なめぞう(=米餅昭彦)は、どの雑誌に載っていても浮きがちな作風をしている。前はモーニングに掲載されていたこの作品、エロ漫画雑誌でも妙に座りが悪い。自意識過剰な主人公の暴走、居心地の悪さ、むずむずした暑苦しさが俺はかなり好きなのだ。絵はクセは強いが、文句なくうまいし。コンスタントに作品を描き続けてほしい作家の一人。

【雑誌】コミックライズ 4月号 メディアックス B5中
 猫玄「こんな彼氏の事情」。大学生なんだけど、中学生に間違われるような童顔でかわいい容姿を持つ男を彼氏に持つ女の子のお話。ショタっぽいお話はやっぱりうまい。EB110SS「G.T.Concert」は、幼馴染みの女の子二人の友情物語。片方は冴えない容姿の眼鏡娘で車オタク。もう片方は華やかな容姿の明るい女の子。でも二人は子供のころから友達で、その友情は固い。ある日明るいほうの女の子が彼氏を連れてくるのだが……といったお話。カエルっぽい平ぺったい顔の垢抜けないキャラクターで、なんとも暖かい雰囲気があってよろし。この人の絵柄を見ているとホッとする。そろそろ単行本出るといいなあ。かかし朝浩「彼女−あのおんな−」。ちょいと奥瀬サキやイダタツヒコを思わせる、クールでエロティックな絵柄がいい。この人ってエロ漫画雑誌ではちょいと浮き気味なところがあるので、青年誌のほうが合うかも。

【単行本】「マジカルちゅ〜ん」 春籠漸 さくら出版 A5
 魔法少女モノの連作「マジカルちゅ〜ん」などを収めた作品集。絵柄的にはわりと凡庸なタイプだと思うのだが、実用面で妙にヒットしてしまうので最近気になっている。このタイプの絵柄で実用的に感じてしまうのはちょっと悔しいのだが。くっきりとした乳のくびれの曲線やら男根・女淫の描写がなんかいやらしい。それからこの人の特徴として、結合部の描写がきゅっとしまって絡みついてくるように感じられる。陰毛もしっかり描いてあるし。結合部がおざなりなエロ漫画は案外多いものだが、春籠漸はそこのところはしっかりしている。絵柄全体としてはそれほどではなくても、局部局部の見せ所の描写がしっかりしているところがいやらしさにつながっている。

【単行本】「どきどきトラベル」 マーシーラビット ワニマガジン B6
 明るく楽しげな絵柄で、乳のでっかいおねーちゃんたちがうれしそうにあえぎまくる健康的でサービス満点な漫画を描くマーシーラビットの最新刊。今回は成年マークなしの単行本で、ちんちんが出てこない(=SEXシーンのない)作品も多くちょっと大人しめ。でもたぷたぷとして柔らかく、重たげなお乳の描写はきっちりといやらしい。お話はご都合主義的なところが多くて別にどうってことないんだけど、実用面はしっかりしていて、きっちりお仕事している。俺としてはもっと体液が多い、ぬるぬるした作品のほうが好きだが、これはこれでお色気があって気軽に楽しめる。手堅い。


3/6(土)……アナゴ資源通れ物語

 ようやく2月進行も一段落。読むべき本もたまっているし、そろそろ強まらねば。とりあえずうまいもんでも食いに行きたいなあ。

【単行本】「アゴなしゲンとオレ物語」1巻 平本アキラ 講談社 B6
 待ちに待ってた単行本である。
 剛毛、ひげ面、パンチパーマ。金も人徳も才能もなく、女もいない。いいところなどまったくなく異様に醜悪な32歳男・ゲンさんと、ゲンさんが社長を務める運送会社「アゴなし運送」の唯一の社員・ケンヂが織りなす魂の物語である。武蔵丸を小さくしてこ汚くして体毛を濃くしたような、ゲンさんの容貌がもう圧倒的に濃い。相棒のケンヂでさえ嘔吐してしまうほどに。いいところなんぞまったくなく、性格的にもぶち壊れているゲンさんが、好き放題なこともできず、醜悪な人生を送るさまを描き続けるその作風は非常にヤバい。町のアブないおじさんをいじめる子供のような精神性を連想させる作品である。こちらのブラックな笑いのツボを強烈に刺激しまくる。だが、ダメ人間の救いようのない生活を露悪的に描きながら、その描写はなんだか暖かだったりもする。どうしようもないゲンさんの描写からは、愛さえ感じる。そう、みんな町のヘンなおじさんは大好きなのだ。その愛はかなり屈折しているが。
 なんとも濃厚な作品であるため、繊細で綺麗な漫画が好きな人にはちとキツいはず。嫌悪感さえ感じるかもしれない。でも、いったんツボにハマってしまうとこのアクの強さがたまらなくなる。クセになる。ヤンマガらしい野蛮なテイストにあふれた作品。イヤでなかったら買うべし。俺激賞。

【単行本】「球魂」3巻 岩田やすてる 小学館 B6
 なんだか意味もなく濃厚な卓球漫画。「卓」「球」「魂」「!」という文字の書かれたオレンジ色の卓球の球を指に挟んで、主役格の明彦が何やらすごんでいる表紙も迫力とマヌケさが共存していてなんとも味がある。明彦をライバルと付け狙う、ナルシストな石黒の派手なアクションやら、アフロな中国人留学生・鄭の邪悪な表情とか、濃い口の味付けがたまらない。

【単行本】「闘破蛇烈伝DEI48」2巻 前川かずお 講談社 B6
 一見すると岡村賢二風の力強い格闘モノなのだが、その実はかなり確信犯的にマヌケなギャグを連発するキワモノ漫画である。組体操のように6人の裸女が合体し、全体でハートマークをかたどっている表紙を見ただけでもそのヘンテコぶりが伺える。今回の巻は、沖縄に伝わる謎の最強格闘術「裏手」(うらでい)の継承者である破武男が、第2、第3の「繋ぎ女」(つなぎめ。その女と交わることにより裏手が伝授される)と交わるあたり。雑誌連載を読んでいる人は分かると思うが、お話はこれ以降もどんどんおかしくなっていく。下らなくて痛快な馬鹿っぷりが最高に楽しい作品。前作の「DEI48」と合わせてぜひぜひチェックしてもらいたい。

【単行本】「王道の狗」3巻 安彦良和 講談社 A5
 明治中期、北海道の奥地で強制労働させられていた服役囚、加納と風間が脱走。アイヌの姿をとり追手から逃れる。加納は武骨に闘いの道に足を踏み入れていき、風間はずる賢く立ち回り権力に取り入っていく。彼らは好むと好まざるに関わらず、近代日本の歴史の闇に巻き込まれていく……というお話。最近、歴史物では描写が骨太になってきてなかなか読みごたえのある漫画を描く安彦良和だが、現在連載中の漫画ではこの作品が最も面白いと思う。明治中期というのは、知っていそうであんまり知らない時代だけになかなか興味深い。というわけで続刊も楽しみ。


3/5(金)……ナメゾ・ザ・欄マン

 不覚。先月、っていうか1月30日発売のペンギンクラブ3月号からなめぞう「大人だね山チー!」の連載が始まっていたらしい。4月号はまだ店頭にあるから買えるけど、3月号は手に入るかなあ。いちおう探してはみるけど。もし、これをご覧になっている方でペンギンクラブ3月号をお持ち&処分しようと考えている人がいらっしゃいましたらぜひプリーズギブミーな感じなり。「くれてやろう」とおぼしめしになられた鬼のように優しい方がいらっしゃいましたら、メール もしくは掲示板にてご一報くださいまし。
 それにしても最近、立ち読みをしっかりしてないのでこういう洩れが出てしまうなあ。遺憾。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 3/20 No.6 小学館 B5中
 弘兼憲史「黄昏流星群」。前回でゲイの道に目覚めた熟年サラリーマンが、オカマバーでバーテンダーをやっているところを同僚に見つかりリストラされ、一気に男道を突き進んでいく。今までの人生を取り戻すべく。業が深くてなかなか読ます。浦沢直樹「MONSTER」。ドイツ連邦捜査局の切れ者刑事、ルンゲの手によって、いよいよ魔の屋敷の真相が明かされようとしている。作品全体に漂う緊迫感、深まる謎、奥深い闇。うーん、面白い。ちなみに今回が第100回。逢坂みえこの浪速おんな消防官物語「火消し屋小町」が今回は掲載。シリーズ第3話。ドタバタでそれなりに楽しい。まあとりあえずファンはチェックだ。次回は4月5日発売のNo.8に掲載されるらしい。取材+脚本:流智美+画:山田貴敏「笑う東郷」も第3話め。東郷の真の姿がじょじょに明らかになってくる。東郷の不気味で残忍で何を考えているか分からない笑いが、さらに凄みを増してきた。なかなか骨太で面白い。

【雑誌】ヤングキングダム 4/4 No.4 少年画報社 B5中
 佐野タカシ「イケてる刑事」は、ヤングキング系では一番オヤジ度の強い雑誌ということもあってか、佐野タカシのヤングキング系雑誌の連載3作品の中で一番ストレートにエロである。主人公・近藤のデカチンぶりも痛快。恋愛よりもサービスのほうにベクトルが向いているあたりは仕事してるな〜という感じ。「イケてる2人」みたいなラブコメ的展開も好きだが、こういうお仕事的エロスもこれまた大好きだ。大石まさる「みずいろ−月と人魚−」はたぶん新連載。東京からの転校生で学校では近づきにくい雰囲気の女の子。しかし、彼女は外に出て太陽の光を浴びるととたんにイキイキとして輝き出す。そんな彼女を見つめる同じクラスの男……といった感じの出だし。女の子のキラキラとした姿が眩しくて、なかなか面白くなりそう。なんかこの人、またしても線が細く、そして絵がうまくなったような気がする。今回は光を描くことにずいぶん力を入れている感じ。太陽、そして月の光に照らされた少女の姿を美しく描いている。

【単行本】「今日のだいちゃん」2巻 太陽星太郎 小学館 A5
 オスマンにデータがあるんで、そちらも参照のこと。毎朝6時25分から放送される長寿人気番組「今日のだいちゃん」。内容は地球上のどことも知れぬ場所で、ずーっと立ち尽くしている奇妙な動物、だいちゃんを映し続け定点観測するというだけのもの。その番組を巡って起こる数々のドラマがこの作品では描かれる。ほとんどの話でだいちゃんはバックグラウンドとしてしか登場しないのだが、常にドラマの中心にいる。不気味だけどユーモラスな外見、何もいわず動きもしないだいちゃんの姿には得もいわれぬ味がある。コメディあり、ブラックジョークあり、ちょっと泣かせる話あり。そのどれもが短いページ数の中で、実に鮮やかにまとめられ、それがコンスタントに続いている。週刊でやるのは難しいかな、と最初は思ったのだがなかなか汲めど尽きないものがある。うまい。

【単行本】「ないしょのおんなのこ」 井ノ本リカ子 一水社 A5
 一水社、司書房系の雑誌で作品を発表しており、前々から気になっていた人。これが初単行本。特徴はなんといってもその柔らかな絵。すごく単純で整理された線なのだけど、ふっくらとした女体の描写にはなまめかしい色気が漂っている。きれいでおんなのこ的な繊細さのある画風でありつつ、なおかつ肉感的で実用性も兼ね備える珍しい絵柄。そして、それがあくまでも上品に仕上がっているバランスは大したもの。
 作者はきれいでかわいくてグラマーな女の子を描くのが大好き、というのが作品からひしひしと伝わってくる。そこらへんは青木光恵にちょいと似ているところがあるかもしれない。乙女チックな切なさを交えながら、やることはやる。けっこうオススメ。難点をいうとするなら、エロシーンはけっこういやらしくていいんだけど、少しボリュームが不足気味。それでも十分いやらしく見せてしまうあたりはとてもうまいのだけど、もうちょっとページ数があってねっちりとやってくれれば実用にも足るだろう。それでもたぶんこの絵柄や作風なら、下品になりすぎてしまうこともないと思う。上品で、さらに実用的になったりしたらそりゃもう大したものだ。


3/4(木)……竹とミサと死

 春眠暁を覚えず。そろそろ春だ。眠いぜ。

【雑誌】ヤングサンデー 3/18 No.14 小学館 B5中
 大漫王のほうで「柔らかい肌」を描いていた山田たけひこが短期集中連載。タイトルは「ビューティフルエナジー」。なんだかたどたどしい人物の表情とは裏腹に、女性の身体だけむんむんとしているのが特徴。ストレートにダイナマイトな肉体描写からは作者の業も感じる。話的には本当にどうでもいいのだけど、とにかく女の子の肉体が描きたいという感じの開き直りに奇妙な味がある。実はけっこう好きだ。岩重孝「新・花マル伝」では、高校で実力を伸ばした花マルと木元の対決がついに実現。花マルの迷いも吹っ切れて、激しく熱い試合が始まりそう。次号は巻頭カラー。今から楽しみ。山本英夫「殺し屋イチ」では垣原の暴力に刺激されたホステスが、サドの本性に目覚める。凄惨な暴力描写と、病みまくったキャラクターたち。おなかにドスンと来る面白さ。濃い。
 新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」は今回休載。

【雑誌】モーニング 3/18 No.14 講談社 B5中
 井上雄彦「バガボンド」。吉岡道場で死地に陥った武蔵は極限状況の中、必殺技を開眼。というのはウソで、今回は休載。「奈津の蔵」「魂のカルテ」も同じく休載。
 本宮ひろ志「旅の途中」。なおも続く耕輔と海部の一騎討ち。力と力、意地と意地でぶつかり合う男臭い勝負模様が痛快。今回とても面白かった。木葉功一「キリコ」は、キリコと遊佐が敵に捕らわれ窮地に陥る。拷問される中でキリコは過去の記憶を取り戻していくが……といった展開。人形のような表情のキリコのアイデンティティの揺れ動くさまの描写、それから力のある言葉など、熱と激しさを包み込んだ作風でいつも面白い。MANGA OPEN対象受賞作、松井晴男「りんりん走平」は、無骨で無愛想で頭が悪くて一見恐そうだが、実は心優しい自転車屋の男と、彼の妻の物語。ちばてつやっぽい泥臭いペンタッチが特徴。平凡だけど人情味に富んだ彼らの日常を地に足のついた筆致で描いている。メシを食うあたりの描写がなんともうまそう。生活は苦しいけれど、それなりに楽しい生活をポジティブに描いていてしみじみとした面白さがある。作風はすでに古くさくもあるが、しっかりとした読みごたえ。

【雑誌】ヤングジャンプ 3/18 No.14 集英社 B5中
 今回は武富智が掲載。タイトルは「アイニージュー」。すごくかわいくて大人しく見えるのだけど、その実はあっちこっちの男に手を出している女の子に翻弄される男二人の、かっこわるいあがきの物語。別冊ヤングジャンプのほうにときどき作品が掲載される人で、表面がつや消しな感じの描線でくっきりかつスッキリしたなかなかにうまい絵を描く。クールっぽい雰囲気ながら、同時に温さも感じる抑えの利いたここちよい絵柄。今回のお話はまあ普通の出来。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 3/18 No.15 秋田書店 B5平
 川島よしお「グルームパーティ」。今回は1本めのお話が好き。脈絡がなく、かつ下らないだじゃれのセンスが楽しい。高橋葉介「学校怪談」。今回は九段先生危機一髪。なんだか色っぽくて良かった。大熊良「パーフェクティーチャー」は今週で最終回。いまいち盛り上がらないまま終わってしまったかなという感じ。この人だと「ジャージマン」のラストあたりとかはけっこう好きだったのだが、「パーフェクティーチャー」の場合は最初から奇をてらいすぎたかもしれない。田口雅之「バロン・ゴング・バトル」。ああ、ラミエルがラミエルが。ぶっ壊しっぷりが容赦ない。


3/3(水)……ラヴリーなところを拝見

 雑誌を読んでいると新人さんの漫画に出くわすことがあるわけだが、それほどすごいと思っていなくてもなんとなくルーチン的に「これからに期待」などと書いてしまうことがある。でも、実のところ、本当に期待できる新人さんってそんなに多いわけじゃない。デビュー作を見てちょっと面白いけどおおむねもの足りない場合に「これからに期待」という言葉を使いがちだが、そこからののびしろが大きい人かどうかなんてことは、ある程度読んでいる人なら判断できるはず(それが正しいにせよ間違っているにせよ)。それなのに、大して考えもせず習慣的に「これからに期待」などと書いてしまうのは安易だと思うし、本当に期待しているわけでもない無責任な「期待」という言葉は、いわれるほうにとっても不愉快であり重荷であろう。
 下手に期待してしまうと、それが裏切られたときについネガティヴな行動やら思考に走ってしまいがち。でも俺は自分がネガティヴな感情に支配されてしまうっていうのが、いやでいやでたまらない。「期待しないで待つ」のもいやだ。待つくらいなら俺は攻める。その間に別の作品を読む。待つとかそんなんではなく、作品が出てきたらそれを自然体で受け取って、面白ければ面白がり、つまらなければほうっておく。そんな感じでいたいもの。他人に求むるところは少なく、自分に求むるところは多く。

【雑誌】週刊少年サンデー 3/17 No.14 小学館 B5平
 満田拓也「MAJOR」。吾郎は結局海堂に居残り。辞めたら辞めたで展開的には面白かったと思うけど、地獄の特訓編がもうちょっと続くのもまた楽しそう。曽田正人「め組の大吾」は、ついに大吾と落合先生が再開。とくに冒頭の2色カラーページは、二人の激情が弾ける描写に迫力があって良かった。村川和宏「歩武の駒」は新連載。コミカルで元気の良い画風の将棋漫画。少年ジャンプの「ヒカルの碁」といい、最近テーブルゲーム漫画がトレンドなんだろうか。北崎拓「なぎさMe公認」では、まーくんが宮里の想いを乗せて力走。まだぶつかり合いへの恐怖は直っていないが、このレースに勝つことによって多少吹っ切れるという展開なんだろうと思う。

【雑誌】週刊少年マガジン 3/17 No.14 講談社 B5平
 今号は「Jドリーム完全燃焼編」と「Let's ぬぷぬぷっ」が休載。森川ジョージ「はじめの一歩」は、期待どおりガッツンガッツンの殴り合い開始。緊張感あふれる静と、激しく荒れ狂う動のリズムの作り方がうまい。寺沢大介「将太の寿司」。今回はいつもと違って時代劇編。時代は変わってもやっていることは寿司。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 3/17 No.6 講談社 B5中
 巻頭カラーで咲香里の新連載、「春よ、来い」がスタート。この人って前から一般誌が向いていそうだなと思っていたのだが、均整がとれていて華やかな画風はこの雑誌の中でも目をひく。ストーリーは、東京で一人暮らしをしている兄のもとに、その妹である少女がやってくる。彼女は学校の友達とのレズ関係が親にバレて、強制的に転校させられた。そして、彼女を追いかけてレズ相手の女の子も兄の住むアパートに押しかけてくる……というところで第一話終了。迷いのない鮮やかなタッチで描かれる女の子たちは、スリムすぎず豊満すぎず、ちょうどいい塩梅に艶やか。それなりに面白くなりそうな気配。どうでもいいことだけど、こうやって見ると咲香里って絵柄的にヤンジャンが似合いそうな気がする。
 桑原真也「0(ラヴ)リー打越くん!!」。今回は打越登場せず。打越をめぐる3人の女の子のやり取りで話は進む。シノヴの色っぽさ、藤原京花の可憐さ、織部ケイの健気さと、三者三様の魅力がある。泉谷圭吾「さばかれざる者」。かなり重度のマグロ女が、マグロ状態を改善させるべく、奇妙なカウンセリングにて修行を積むという物語。お話としてはまあまあだけど、力強さやら荒唐無稽さがもっと欲しい。細い線で切れ味のあるペンタッチで絵はなかなかうまい。村枝賢一「RED」。白人たちに追い詰められたレッドが伊右エ門に助けられ、今まで一人で戦ってきて抱えてきたものが一気にあふれ出す。ちょいと過剰気味でハッタリの利いた画面作り、展開で面白くなってきた。
 あと、今号のE-Oppersは寺田克也。


3/2(火)……笑うとGO!

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 3/5 No.5 小学館 B5中
 弘兼憲史「黄昏流星群」。50歳を越えてから自分がホモであることに気づいてしまった元会社員と、オカマバーのホステスの愛の物語。この作品は、毎回一筋縄では行かないどうにもならぬ人間の気持ちをじっくり描いていてけっこう面白い。読みごたえがある。弘兼憲史は語らせるとうっとうしいところがなきにしもあらずだが、作品は虚虚実実の駆け引きの描き方とかがうまく、しっかり楽しめる。取材・脚本:流智美+画:山田貴敏「笑う東郷」は、太平洋戦争前後にアメリカで活躍した悪役日本人レスラー、グレート東郷の生きざまを描いた作品。卑屈さと不遜さと残忍さの入り交じった東郷の笑いが、いかにも憎らしげ。数奇な人生が骨太に描かれていて面白い。山田貴敏の最近の作品の中ではいちばんいいんじゃないだろうか。山田貴敏ってストーリー作り自体はけしてうまいほうじゃないと思うが(というか幅が狭い)、絵はうまいのでいい原作をつけてあげると絵に力を集中できていいかも。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 3/15 No.6 小学館 B5中
 スペリオールを読むと毎回同じこと書くようだが、やはり高田靖彦「演歌の達」が面白い。ストーリー的には古くさい根性+人情モノではあるのだけど、それが古くさく感じない。新鮮でさえある。説教的な部分があっても、読者に訴えかけるというわけでなく、あくまで達のドラマであるというふうに描かれている。安っぽい分かったような結論を出そうとしないところに好感が持てる。骨太ながらスッキリとした描線もすがすがしい。それから今回は六田登「シネマ」がすごく良かった。12年間続いた長寿ドラマ「刑事・古田京介」のラストをサバニが撮るという一連のシリーズが今回で決着。このドラマのラストシーンはセリフといい、展開といい、なかなかゾクゾクくるものだった。そして、俳優と犯人の人生の重みがサバニの作為をはるかに超えてしまう。次号からサバニたちは「地獄の底」に突き落とされることになるらしいのだが……。これからも目が離せない。小山ゆう「あずみ」。最近出てきている無法者の、頭のところにつけたヘンな飾り物がなんだか異様でたまらない。それからきくが激しく凌辱され、さんざんに痛めつけられるシーンがまた悲惨。ここまで時間をかけて、改心の様子を描いたキャラクターをここまでズタボロにしてしまう甘えのない展開はなかなかすごい。


3/1(月)……勃起せよ!我が人生

 今日読んだスピリッツに今年の小学館漫画賞の最終候補作品が掲載されていた。顔ぶれは以下のとおり(太字が受賞者。少女向け部門は該当作なし)。
【児童向け部門】あらいきよこ、てしろぎたかし、CLAMP、高橋和希
【少年向け部門】万乗大智+坂田信弘、皆川亮二、尾田栄一郎、星野泰視+さいふうめい
【少女向け部門】秋里和国、高田りえ、上田美和、小野佳苗
【一般向け部門】岩明均、あべ善太+倉田よしみ、山口かつみ、甲斐谷忍+城アラキ
 一般向け部門の顔ぶれを見ていると、とくに「本当に漫画読んでる人が選んだのか?」と首を傾げたくなってしまう。小学館の雑誌に限っていっても、もっとほかに名前を挙げるべき人はたくさんいると思うのだけど。高田靖彦とか新井英樹とか中原裕とか……。まあどうでもいいことではあるんだけど。

 気を取り直して今月のお買い物予定。詳しくは買ってから書く。イチオシは平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」。断然。

タイトル作者価格出版社
TOKYO TRIBE2(2)井上三太905祥伝社
4ザ・ワールド・イズ・マイン(7)新井英樹505小学館
4球魂(3)岩田やすてる505小学館
4アガペイズ(5)山田玲司505小学館
5悟空道(6)山口貴由390秋田書店
5闘破蛇烈伝DEI48(2)前川かずお+島久505講談社
5アゴなしゲンとオレ物語(1)平本アキラ505講談社
5えっちーず(4)陽気婢505ワニマガジン社
5どきどきトラベルマーシーラビット505ワニマガジン社
9RED(1)村枝賢一505講談社
9王道の狗(3)安彦良和838講談社
11さくらんぼ論理(1)川島よしお514秋田書店
12軍鶏(3)橋本以蔵+たなか亜希夫533双葉社
12歌麿(2)六田登533
15弥次喜多 in DEEP(2)しりあがり寿1000アスペクト
15金魚銀魚須藤真澄880アスペクト
15バージェスの乙女たち〜アノマロカリスの章蜈蚣Melibe933三和出版
北神伝綺(下)森美夏+大塚英志1000角川書店
16たとえばこんなラヴ・ソング(1)北崎拓676小学館
16FLOWERS(1)奥瀬サキ600スコラ
17Jドリーム完全燃焼編(5)塀内夏子390講談社
18快楽天星組ワニマガジン
18からくりサーカス(7)藤田和日郎390小学館
18かってに改蔵(2)久米田康治390小学館
19イエスタディをうたって(1)冬目景505集英社
19アガルタ(2)松本嵩春590集英社
19Papa told me(22)榛野なな恵505集英社
23天才柳沢教授の生活(13)山下和美457講談社
23バガボンド(1)(2)井上雄彦/吉川英治505講談社
23キリコ(2)木葉功一505講談社
23ディスコミュニケーション(13)植芝理一457講談社
23スカタン天国(3)北道正幸457講談社
23油断ちゃん吉田戦車667講談社
25PLANET 7(1)竹谷州史620アスペクト
25真剣ゼミ片岡吉乃390集英社
29ベルセルク(17)三浦建太郎505白泉社
30ムカデ戦旗(5)(完)森秀樹505小学館
30月下の棋士(23)能條純一505小学館
30青空(2)原秀則505小学館
30ダイヤモンド(3)青山広美505小学館
30奈緒子(20)坂田信弘/中原裕505小学館
30電脳炎〔ウィン版〕(1)唐沢なをき476小学館
30電脳炎〔マック版〕(1)唐沢なをき476小学館
ZORO−ZORO(仮)唐沢なをき/唐沢俊一620アスペクト
Jの悲劇(仮)西家ひばり/しりあがり寿850アスペクト
ドキドキ変丸ショウ町野変丸897イースト・プレス
進め!聖学電脳研究部平野耕太880新声社

【雑誌】ヤングマガジン 3/15 No.13 講談社 B5中
 平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」では、ゲンさんの愚息がずっとボッキしっぱなし。折しもすぎむらしんいち「超・学校法人スタア学園」でもコキジのちんちんがボッキしっぱなしだが、コキジのユーモラスなちんちんに比べてゲンさんの邪悪な勃起の迫力はどうだ。前述したように今月は単行本1巻も出ることだし、このうっとうしさ、むさ苦しさ、邪悪さにたっぷり浸るとしよう。連載週刊化第2回目、東和広「ユキポンのお仕事」。今回はユキポンたちがスキーに。ペン描きの絵柄がのどかさを増幅していて、なんとも味わい深い作風。ヤンマガはショートギャグ系の作品が本当に充実している。地下沢中也「創立100年ギンザ小学校」もだんだんよくなってきた。デブゆえ乳のデカい少年が、マラソンをすると乳頭が体操服にこすれて出血するという悩みに直面する。悩みも解決法もみみっちく下らなく、ギャグの向かう方向性が奇妙で過剰なのがとてもいい。城倉浩司「グラス・ブレス」。主人公・宇佐美の異常なまでに伸びのある球筋が見ていてすごく痛快。とにかくスピードボールがグングン伸びまくる、そのスピード感が気持ちいい。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 3/15 No.13 小学館 B5中
 作:坂田信弘+画:中原裕「奈緒子」が抜群に面白い。ハードなサバイバルレースの中、自分の信じる者たちを思いながら微笑む壱岐雄介の姿に鳥肌が立つ。しかし、この作品もここのところずーっとテンションが上がりっぱなしで推移している。ダレるところがほとんどない。すごい。浦沢直樹「Happy!」。必死に闘う幸の姿が、世界中の人たちの感動を呼び起こす。ウィンブルドン決勝もいよいよ最高潮。ここまで積み重ねてきたものが一気にあふれ出てきている。最近かなり面白い。藤野美奈子「まちこSHINING」は今回で最終回。ところどころキラリと光るギャグはあったものの、全般的にはちょいと低調だった気がする。面白い回とそうでない回がけっこうハッキリ分かれていた。

【雑誌】ドルフィン大将 4/11 VOL.11 司書房 B5平
 KASHIみちのく「描き辺」。最近は、単行本「THE NEW MOVEMENT」収録作品のようなブチ切れたギャグとはちょっと趣を変えて、ストレートな肉弾路線に走っている。でも根底を流れる陽気さは健在。ばいーんばいーんと身体が揺れるさまは見ていてなんとも楽しい。実用性もわりとある。ドリルムラタ「噫無情」。頭と同じ程度の大きさの乳を二つブラ下げたOLが会社のために肉奴隷と化して、取引先を接待するというお話。ストーリーはなんてことないのだが、とにかく乳がデカくて激しければよかろうという感じの潔い作風に好感が持てる。初単行本「ないしょのおんなのこ」が出たばかり(俺は買ったけどまだ読んでない)の井ノ本リカ子「ナグサメハ……ノハジマリ」。柔らかくて淡くて女性的な雰囲気のある線なのだけど、やることはきっちりやり、そして切なさをにじませつつ綺麗に終わる。うまい。この人はけっこうオススメ。東海道みっちい「チャーミーチャーミー」。ちょいとクセの強いオタクっぽい絵なのだが、とにかく素晴らしくむっちりした身体の描き方がいい。エロシーンもハードで実用性はかなり高い。豊富だけど、多すぎはしないぬるぬるした体液とか、畳みかけてくるように連続するさまざまなアングルでのエロ描写とか、なかなかいい仕事っぷり。

【雑誌】コーヒーブレイク 4月号 富士美出版 B5中
 ZERRY藤尾の漫画が読みたくて購入。今回のタイトルは「ラブラブバスター中村」。人がイチャイチャしている真っ最中に壁を粉砕して乱入してくる、アメコミ調のヒーロー的ファッション(でも変態系)の男、ラブラブ・バスター中村。相手の都合なんぞお構いなしに一人ボケ一人ツッコミを繰り返し、イチャイチャする男女を共に犯して去っていく。パワフルさとスピード感あふれるギャグの連続がキレまくっていて楽しい作品。ZERRY藤尾はエロもうまいけど、ギャグもなかなかのもの。センスあるなあ。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 3/15 No.14 集英社 B5平
 巻頭カラー、道元宗紀「大好王(ダイスキング)」が新連載。子供のころ、女の子と世界一のピッチャーになると約束してアメリカに渡り、15歳になってそれを果たして帰国した少年。しかし、相手は自分のことを覚えていず、しかも現在はハンドボールに夢中。そんな奴らが何人も集まってハンドボール部を結成するという話。正直なところそんなに期待しないで読んだのだけど、ガムシャラな力強さと下らなさがあって、出だしとしてはけっこう面白かった。インパクトもあったし。あまり開拓されてない分野でもあることだし、ちゃんとやるとイケるかもしれない。作:ほったゆみ+画:小畑健「ヒカルの碁」。わりと高いレベルで安定して面白い。キレのいいタッチの作画でけっこう読める。桂正和「I''s」。今回はえらくこっぱずかしい話で素晴らしかった。伊織の可愛さの前に、止まれない一貴。桂正和ならではの女の子描画能力が爆発。作:真倉翔+画:岡野剛「地獄先生ぬ〜べ〜」はついに美奈子先生との別れ。ベタベタではあるものの後味は爽やかで、けっこう泣けるお話だった。


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