◆ 1999年6月上旬 ◆

6/1〜10
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6/10(木)……びわこでウチュッ!

 俺自身は確認していないが、「噂の真相」に「コミックビーム休刊決定」とかいった内容の記事が出たらしい。でも、それはまったくのデマとのこと。コミックビームのメールサービスにもそれについてのコメントがあったけど、それに先んじて直で奥村編集長からメールをいただいた。というわけで、「噂の真相」を真に受けてあらん風説をまき散らしたりしたらダメだよ〜ん。実は奥村氏にはそれ以前にも何度かメールをいただいたことがある。こんなWebページを気にかけて下さって、ホントにありがたい限り。奥村氏によれば、あと1年は少なくとも大丈夫、保証するとのこと。これはもちろん1年後の休刊が決まっているという意味ではなくて、その間ちゃんとした成績を残せばそれ以降も発行され続けるってことのようだ。
 とはいえ、ビームに限らず、また出版業界に限らず、この世の中何が起きるか分からない。守りたいものがあるなら、自分が何かやれるうちに何かやっておいたほうが後で悔いは残るまい。読者としてできることは、やはり本が出ているうちに買っておくってことだ。その1冊1冊が、自分の好きな雑誌、作者、出版社を支える力となり、ひいては自分の楽しみを守ることにもつながるんでゲスヨ。おいはそう信じちょるばい。取り返しがつかなくなってからじゃ遅い。ほかのいつでもなく、今が買いってことよ!

【雑誌】週刊少年チャンピオン 6/24 No.29 秋田書店 B5平
 表紙のアオリ。「男を磨く24大コミック」。少年誌で磨きますか、男を。
 板垣恵介「グラップラー刃牙」は今回で第一部終了。うっ……ってことは第二部もあるってことね。次回からはしばらく外伝。馬場的存在と猪木的存在が闘うなり。田口雅之「バロン・ゴング・バトル」。前回出てきた異形な感じの方は、実はバロンではなくあの方だったのか。そしてお待ちかねの敵も登場。そろそろ終わりも近いかな。

【雑誌】ヤングサンデー 6/24 No.28 小学館 B5中
 柏木ハルコ「ブラブラバンバン」。自分では意識せず色っぽかったりする行動を取ってしまう芹生さんが魅力的。それにしてもマイペースなブラスバンド男、八田くんはなんか仲能健児の昔の作品に出てきたような顔しとるのう。岩田康照「球魂」では、今までボケ役っぽかった部長、細川たけしがやけにかっこいい。次号、大仏サーブがうなるか。ポテチンと。今号は新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」がちゃんと掲載。まとめて読むも良し、連載で毎回「どうなるんだろう」とドキドキしつつ読むも良し。

【雑誌】モーニング 6/24 No.28 講談社 B5中
 今週のモーニングは、四季賞告知のイラストを山本昌幸が描いてたり、プレゼントコーナーのイラストがこうの史代だったりと、なんだかたまりませんな。それにしても最近、モーニングはかなり面白いと思う。かつての作品のリバイバルに走って保守的になったかと思ったが、それらの作品がけっこう読ますし、また時折ドキッとするような新人も登用する。中堅層も手堅い。「保守的になって嫌だ」という色眼鏡さえ外せば、捨てどころなく楽しめる雑誌である。
 ヒラマツ・ミノル「ヨリが跳ぶ」。すっごく気持ちいい〜。チーム全体の力を受けて、ヨリがまた新たなレベルへと成長。ひしゃげ弾けてうなって飛んでいくボールの軌跡のなんと痛快なことか。ゾクゾクと鳥肌の立つ表現の連続。面白いぜブラヴォオ! かわぐちかいじ「瑠璃の波風」。海江田少年の初恋編が続く。まだ子供ながら、恋する女の子を守ろうとする海江田少年の姿はまぎれもなく男なり。かっちょいい。
 それから幸村誠「プラネテス」。今号のモーニングの白眉。宇宙に漂うゴミ(デブリ)を回収する業者である男、ハチマキが作業中に足を骨折して月面にある病院にしばし入院。そこで出会った二人の患者。一人は惑星探査の元英雄、そしてもう一人は不思議な雰囲気を持ったやけに背の高い少女。彼らの姿を通して、ハチマキは宇宙で暮らしていくということの意義に想いを巡らせる。ある人にとっては仕事の場であり、またある人にとっては愛する冒険の地であり、そしてまたある人にとっては生まれ故郷でもある。そんな人間の意思に関係なく宇宙はただそこにある。そしてその中で、人間は自分との関わり合いにおいて宇宙を位置づける。宇宙における地味な生活と、そこから生まれるドラマを丹念に描いている。それゆえに荒唐無稽な宇宙モノでは終わらない。肌になじむ宇宙、身近なものとしてそこにある宇宙。そんな感じである。作画の確かさ、見せ場での大胆な構図取りや場面転換など、技術面も大したもの。深みのあるストーリーもグイグイと読者を引き込む。今号はコレを読むためだけでも買いでしょ。最近、少年サンデーで石渡治がロケットものの「パスポート・ブルー」という作品をスタートさせたが、やはり今、時代は宇宙なのかもしれない。

【雑誌】ヤングジャンプ 6/24 No.28 集英社 B5中
 月イチシリーズ、山本康人「打撃天使ルリ」が掲載。タメにタメて、それを一発の打撃でだしゃあと粉砕するカタルシスがこの作品の一番の魅力だが、今回はタメの部分がちょっと弱いかなと感じた。あと力の入りまくった絵で、ルリがクルクル踊るマヌケな構図がなかったのもちと残念。山口譲司「BOiNG」。ぼいん世に出る。というか学校に。ぼいんがすべてを凌駕する、底抜けに明るい馬鹿馬鹿しさがとても楽しい。ぼよよ〜ん。

【雑誌】零式 Vol.10 東京三世社 B5中
 たかしたたかしの新連載「Mミゼラブル!」がスタート。やることはもちろんやっているが、なんだか絵がだいぶ少年誌っぽくなった感じ。すえひろがり「CIRCLE」は今回最終回。お得意の白昼堂々健康的でかつ淫靡なエロスもあり。スマートな絵柄なんだけど、この人のエロはとても鋭く劣情を刺激する。全10話とまとまった分量があるので単行本化もあるかな? 鬼魔あづさ「あのこ」。変態一家の兄と妹が、お互い向かい合わせになってオナニーに興じるというお話。この人の生ぬるい作風は、実はあんまり好きではないのだが、今回はわりと良かった。妹ちゃんがなかなか健気だけど、ついつい兄貴に流されちゃうあたりが良い感じ。
 新人、之瀬ハルオ「Dear my baby」。レズの赤ちゃんプレイもの。その内容よりも、アゴが外れそうなほどガパッと開いたキャラクターの表情のダイナミックさが印象的。なんか勢いがあって個性的な人で期待できそう。目黒三吉「モイットレム・カ・ネルドース」。オムニバス形式。ペンタッチが非常に美しい作画はやっぱすごい。お話は解釈が難解な、もしかしたら空っぽなのかもしれない、不思議でトリッキーなもの。展開は脈絡がないし、筋はよく分からないけれども、すごいモノが潜んでいそうなもの哀しい世界観を作り上げている。何かありそうに見せるだけの、かっこいい描写力、演出力がある。この人は、一度もっと長い作品を読んでみたい。50ページくらいの奴。


6/9(水)……シャーモンファイト

 早く帰ってきても遅く帰ってきても、休日でも平日でも、読む本の数が多くても少なくても、一日のWebの更新が終了する時間がいつもだいたい同じになってしまうのはなぜだろう。それはね、ナボナを食べているからだよ。それにしても亀谷万年堂のWebページ、URLと壁紙がいい味出してるなあ。

【雑誌】週刊少年マガジン 6/23 No.28 講談社 B5平
 なんかあんまり特筆すべき作品がないような。
 蛭田達也「新コータローまかりとおる!柔道編」、三四郎 vs.醍醐の試合が爽やかに決着。でっかい「!!」マークと共に。ライバル関係に遺恨がなくなって気持ち良い幕切れ。さすがに安定していいお仕事。

【雑誌】週刊少年サンデー 6/23 No.28 小学館 B5平
 ながいけん「神聖モテモテ王国」復活。これに備えて今日の夕食はトンカツだった俺だ。ウソ。「これに備えて」の部分あたり。それにしてもトンカツはグッドですな。モテモテ王国のほうは、長期休載の後の復活だったが、テンションはいまいち高くない。ところで扉ページの柱のところに「最新単行本第7巻絶賛発売中」とあるのだが、第5巻の間違いじゃないだろうか。もしかして俺の知らない間に謎の6巻と7巻が? あだち充「H2」。主人公の比呂の代役、木根が力投。脇役にもきっちり見せ場を作るいいエピソード。久米田康治「かってに改蔵」。しっとり濡れ透けシャツがとても良い。ビバ!濡れ透け!

【単行本】「軍鶏」4巻 作:橋本以蔵+画:田中亜希夫 双葉社 B6
 オスマンのほうも参照していただくと、まあちょっとだけいいかもしれない。
 親殺しで少年院に収容された主人公・成嶋亮は、過酷な生活の中から空手の腕を磨き牙を研ぐ。亮は少年院を出てからも、裏街道を歩むことに。空手を使って他人を襲ったりと、生きていくためにもがき闘い続けていた。そんな亮を利用しようともくろむ者が現れ、表の世界に引きずり出されようかという展開。カバー見返しの部分に抜き身のナイフの写真があるが、自分を守るときは人を傷つけずにはおけない、亮の危ういバランスに惹かれる。そしてたなか亜希夫の骨太な描画による格闘シーンは迫力がある。物語の最初からして単純な空手格闘モノという雰囲気ではなかっただけに、これからどう転んでいくか分からないという先行き不透明感も魅力。


6/8(火)……広末と末広

 メーカーさんを訪問したり秋葉原をうろうろしたりと、一日中歩き回る。こういうときはどうにもビールな気分。昨日はオヤシラズ様を抜いたため、歯医者さんから酒を飲むなといわれてちょっとつらかった。今日はもうOK。たぶん。グビー。

【雑誌】YOUNG YOU 7月号 集英社 B5平
 鴨居まさね「SWEETデリバリー」が巻頭カラーで50ページ。オリジナル結婚式プロデュース会社勤務のデコラちゃんこと鈴木ふみえが、恋愛したり、仕事にやりがいを見出したり、お気軽に展開するドタバタコメディ。小ぎれいな絵柄ではあるが、ちょうど良い感じに力が抜けていて、オシャレになりすぎず気持ち良い。岩館真理子のショートコメディ「冷蔵庫にパイナップルパイ」が掲載。ロリロリ。次号ではコレと「アマリリス2」の2作同時掲載。篠有紀子の読切「ゾンビーズ」は、なんだかビジュアル系なゾンビもの。武内直子「武内直子姫と富樫義博王子の結婚ぱ〜んち!!」は、なんかいつもと違って妙に普通。姫と王子のアツアツ話ではあるのだが、夫婦間の何気ない愛情と信頼感の発露といった感じで、ちょっぴりいい話でさえある。さらに4ページしかない。お疲れか?
 次号では岩館真理子2本立てに加え、坂井久仁江と吉野朔実の読切も。

【雑誌】FEEL YOUNG 7月号 祥伝社 B5平
 南Q太の新シリーズ、「恋愛物語」がスタート。3月号掲載「天井の下」の続編っぽいお話。「天井の下」では女子高生だった二人の女の子がオトナになってからのお話。この二人は先輩後輩の間柄でかつては一人の男をめぐって三角関係にあったが、実は後輩の女の子のほうが先輩の女の子が好きで妙になついていた。今回も男と別れた後輩のほうが、先輩の家に突如転がり込み、一緒のベッドで寝る。性交渉はなし。そういうベタベタとしたのではなく、スカッと乾いた、ごく日常的な愛という感じが心地よい。そういう現実にはあまりありそうにない、不思議な距離感を実にうまく描くなあと感心。次回は8月8日発売の9月号に掲載。これから楽しみ。そういえば単行本「天井の下」が本日発売になっているはず。買っておいてくれたまえ>兄。安野モヨコ「ハッピー・マニア」。今回もドタバタとコミカル&リズミカル。浮き沈みがないというか、浮きはあるけど沈みがない。

【雑誌】ヤングチャンピオン 6/22 No.13 秋田書店 B5中
 今号のグラビアは広末。そして丸尾末広の「笑う吸血鬼」が復活。第2部スタート。第1部が中途半端な形で終わっていたので、復活は喜ばしい。昨年の7/7 No.14以来の再登場。当初は1998年秋再開予定とアナウンスされていたが、ここまでズレ込んだというわけだ。ここまでは、呪術師の老婆に呪いをかけられた男子中学生、毛利少年がその呪いによりじょじょに吸血鬼へと変貌していく……というお話だった。第1部は4話掲載され、これが第5話め。丸尾末広にしては、ずいぶん普通っぽい感じもする。今村夏央「ファイヤーキャンディ」。今回は主人公の半獣人、リョーキの歯止めの利かない暴力衝動が爆発。追い詰められているがゆえの容赦ない瞳の光が鬼気迫っていて、同時に痛々しくもあり。今回は再び、宿命がのしかかるだいぶヘヴィなお話に戻った感じ。富沢ひとし「エイリアン9」。2巻が11日に発売になるが、それを記念してまんがの森で原画展が開催されるとのこと。6/13〜19が上野店、6/20〜26が池袋店。さあ、行くんだその顔を上げて。


6/7(月)……パパやママにはナイショだよ

 会社をコッソリ抜け出して一本ヌいてきた。黄色みがかった白濁色をした奴がズッポリ。ペアレント・ネバー・ノウ、つまりオヤシラズである。カタカナで書くと殺鼠剤のようでもあり。オヤシラーズだと、アメリカの2Aあたりに属するベースボールチームといった感じだろうか(現在28勝24敗でリーグ3位)。通っている歯医者さんの治療プランによれば、一本ずつ、最終的に4本ヌクことになる。今日は右の上側の奴。幸いあんまり血も出なかったし、痛みも大したことない。痛くないので抜かんでもいいかなとか思っていたが、実物を見て納得。黒々とけっこうな虫歯になっていた。残るはあと3本。抜くぜ抜くぜ、抜いちゃうぜ? 自分で抜くんじゃないけどね〜。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 6/21 No.28 集英社 B5平
 高橋和希「遊戯王」。かなりクライマックスな模様。問題はこのゲームのルールが全然分からないことだ。作:ほったゆみ+画:小畑健「ヒカルの碁」。最近、ライバルの塔矢が燃えててなかなかに健気。絵柄は綺麗だけど、心根は静かに熱くてええ感じである。鈴木央「ライジングインパクト」。再開2回め。なかなか面白い。この作品、背景がきっちりペンで細かく描かれていてきれいなところも好き。

【雑誌】ヤングマガジン 6/21 No.27 講談社 B5中
 巻頭カラーで安野モヨコ再登場。1/19+25 No.5+6号に掲載された「花とみつばち」の続編。俺日記では1999年1月4日の項参照。かっこよくならんとする男子学生が、男エステでいじくり回されズルズルとかっこ悪さの泥沼にハマっていくのを面白おかしくテンポのいい語り口で描く。それにしても安野モヨコって、あれだけ多作なのに、どれも品質がコンスタントに高いレベルでまとまっているってのは大したもんだ。福本伸行「カイジ」。なんかプレステでゲームになるらしい。今年秋発売。限定ジャンケンができるとのこと。演出しだいでは面白くできると思うが、それがダメだとクソゲーとなりそう。限定ジャンケンみたいな、ゲーム自体は地味な分野だとゲームボーイとかのほうがいいかも。3Dでヴァーチャル鉄骨渡りも……つまんないよソレ。小田原ドラゴン「おやすみなさい。」。今回は鉄郎がじゃま〜るで見つけたアイドル応援隊に入るという話。次号にお話は続くようだ。最近テンションが落ち気味だったが、アイドルがらみということもありちょっと期待。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 6/21 No.27 小学館 B5中
 作:小林信也+画:秋重学「宙舞」は今回最終回。変則的なコマ割りで、セリフは少なめに、拡散するように爽やかに終わっていった。理屈っぽくならずきれいにまとまっててなかなかいいラストだった。柴門ふみの新連載「九龍で会いましょう」。香港を舞台に、地元のOLと日本のサラリーマンが繰り広げるラブストーリーだそうだ。香港観光+恋物語といった感じでなんだかどうにも安いのだが、ちゃんと仕事はしているし消費物としては良いのでは。能條純一「月下の棋士」。氷室が少し復活の気配。前のような、またそれ以上のキレを取り戻せるか。っていうか詰むや詰まざるや。山本直樹「ビリーバーズ」。「議長」さんが拾った雑誌の情報や、配給状況、その他もろもろから自分たちが「会」に見放され始めているのではないかという疑念が「副議長」さんと「オペレーター」さんの間に芽生えてくる。どんどん「会」による禁忌の壁が揺らいできていて、もうそろそろ大きな展開もありそう。読めば読むほど、いやます期待。

【雑誌】月刊少年マガジン 7月号 講談社 B5平
 ハロルド作石の新連載「ベック」がスタート。よわっちいけど実はけっこう正義漢の平凡な14歳中学生男子、田中幸雄が、バンドやっててロンゲで危険な雰囲気を漂わしている16歳のリュースケと出会い、それが彼の人生を変えていく。リュースケはクールで自分勝手で乱暴な奴だけど、妙に人をひきつける魅力がある。ちょっぴりケンカあり、危ないことありの、青春模様が描かれていく気配。第1回めはすごい展開があるわけではないのだけど、それでもツカミはきっちりとしていて読ませる。ここらへんはさすがハロルド作石。あと、主人公の田中幸雄が、1歳上に同姓同名の田中幸雄がいたので「コユキ」と呼ばれていたとかいうあたりもハロルド作石らしい(知らない人のために補足しておくが、プロ野球日本ハムファイターズの田中幸雄にこういうエピソードがあったのだ)。間部正志「SPEED KING」では主人公・末藤の前に、陸上ロボットとでもいうべきパーフェクトなランナーであるライバルが現れる。今までのライバルたちとは異なる冷ややかな空気にとまどう末藤だが、ライバルの走りの影響か、今までとは一段違うさらに爆発的な走法に目覚める。走っている最中の濃いめの邪悪な表情が目につくけど、案外スポーツ漫画としても骨太でしっかりしている。


6/6(日)……UFOの日

 6月6日にはUFOが墜ちてくる。あと、金閣寺は燃やさねばならぬ。

 サッカーキリン杯、日本 vs.ペルーをテレビ観戦。0-0で引き分けだったが、なんか今日の試合はつまらんかった。ペルーはゴール前にボールを運ぶまでは南米らしくうまいのだけど、最後のツメはからきしダメ。それ以上に日本の選手起用はわけが分からなかった。柳沢、楢崎をスタメンで使ったのはうれしかったけど、名波→斉藤、藤田→三浦、呂比須→奥、中田→北沢という選手交代は意図がよく分からず。とくに名波を下げたのはどうしたわけだったのだろう。三浦もむしろ相馬と代えて左で使ってほしかった。FWも、代えるなら途中から消えてた柳沢だったと思うし久保も見たかった。
 あと、横浜FCは本日も4-1で大塚FCに勝って、JFL 1stステージ優勝を決めた。今のところ6勝1分。とりあえずこの調子ならJFL残留は安泰か。

【アンソロジー】秘宝KAN VOL.1 ワニマガジン A5平
 B5中とじで不定期刊行されていた(といっても2号しか出ていなかったけど)雑誌の変玉が、判型と名前を変えてアンソロジーとして復活。それがこの秘宝KANである。執筆陣は邪琅明、しろみかずひさ、A-10、籬讒贓( まがき・ざんぞう)、江戸川春泥 WITH MDM、戸隠イズミ、大越孝太郎、町野変丸、石川次郎、CHERRY、TAGRO、シャーク闇鍋、トレヴァー・ブラウン。変玉はなかなか個性的な雑誌で、俺がすごく好きな作家であるしろみかずひさ(既刊単行本は「アルコールラムプの銀河鉄道(上)」「天気輪の丘から視た世界」)や、同人誌ではカシミイルという名前で活躍している戸隠イズミなどを登用しているのがうれしかった。第3号は4月上旬発売と予告されていたのだがなかなか出ず、もう出ないのかなとも思っていたのだけど、何はともあれ形を変えてでも出てくれてよかった。ちなみに本当は6月7日発売。
 まずはしろみかずひさ「CUBERING」。宇宙ステーションの中の無機質な一室で、清彦という名の少年が目覚める。清彦は鏡に映った自分の姿を見て驚く。なんと自分の姿が少年に若返っていたからだ。そしてその部屋には、絵描きだった自分が描いていたはずの少女が現実の人間としてたたずんでいた。二人だけの閉ざされた世界で、複雑に絡み合う知恵の輪のように、二人は言葉を交わし身体を重ねる。お話は幻想的で、ラストは哀感を漂わせながら光に溶けるようにすうっと消えていく感じ。多少分かりにくいところはあるものの、久しぶりの新作だけあって描線にも力が入っている。心を遠くへと飛ばしてくれるラストシーンはなかなかにいい出来。やはりしろみかずひさは非凡である。
 江戸川春泥 WITH MDMは、半獣半人の愛玩動物と少女がからむ、ロリ系のお話。この人の細かいペンタッチは前から好きだった。ロリ系としてはかなり真性。A-10「ラジオの女」。オタクで友達がほとんどいない内気な女性が主人公。社会に対して疎外感を持っていた彼女は、後にあるセクトに入り、反社会的活動に従事する。その彼女が唯一、心の支えにしていたのが自分の部屋のテレビに映る男性。彼は130光年離れた星の人間だと語るが……。スタイリッシュで達者な絵柄のわりにお話は陰鬱。ヒロインがセクトの作戦に失敗した責任をとらされて、同志の性処理係にされるあたりは悲惨でソソる。戸隠イズミ「花日記」。淡々と何ごともないかのように繰り広げられる、脈絡のないイカれてダークなギャグはそれなりに面白いが、今回はなんとなく無理に作ってるって感じもある。そんなわけでノリがいまいち。あと、最終ページ、原稿を見ながら頭を抱えている作者らしき人物のカットは蛇足。こういうのは照れないでやらんと。と文句はつけたものの、この人の乾いた絵柄や飄々としてシャレたセンスは大好きではある。コミティアやコミケでハーベストホームというサークルから出ている本に、カシミイル名義で描いている作品がすごく面白かったので、機会があったらぜひ読んでみてもらいたい。石川次郎「ありすぎる世界」。この石川次郎って、「みぃんなじろうちゃん」(青林堂刊)の石川次郎なのだろうか。だとしたらだいぶ変わったなあ。

【同人誌】「南極十三夜」 トオジョオミホ
 知人に譲っていただいたもの。発行は1990年7月。トオジョオミホがガロやLaLaに持ち込んだ作品などを集めた作品集。個人誌だが160ページ超とボリュームはある。収録作品は「トロピカル・ナイト」「ミニヨン」「4コマシリーズ」「休日」「愛じゃないのね」「苦力の歌う物語」「午後の夢」「竜退治異聞」「カーナバル・カノン」「お葬い」。……といっても商業誌掲載作はほとんどないので、タイトル挙げても知っている人はほとんどいないと思うが。ミスターマガジンで賞を取ったりする前の作品でもあり、このころのトオジョオミホはまだあんまり洗練されていない。昔のちょっとSFノリが入った少女漫画って感じ。後の商業誌作品につながる兆しはほの見えるが、出来としてはまだまだ。
 ちなみにトオジョオミホの単行本、「東洋綺談」「風水譚」はともにオススメなのでこちらは古本屋で見つけたらぜひ。


6/5(土)……解説マン

 お金が欲しいのでどりーむじゃんぼ3億円当たりくじを50枚ほど購入。ハナから1等以外は眼中にないので、当然全部連番。50枚だから15億円か……。

【単行本】「ローカル線の午後」 菅野修 青林堂 A5
 知り合いの人から譲っていただく。発行は1982年。
 鈴木翁二とかそういう路線にある文芸的で、地味ながら味わいのある作品集。日常生活の中でのとりとめのない瞬間のゆらぎを描き出す。うつむいて沈思黙考しているがごとき自画像といい、いかにも「この時代のガロ」という感じ。こういう作品について書くのはかなり苦手だ。私小説的、創作的、純文学的な語り口から、ふとした局面で面白みは感じる。畳敷きの狭苦しいアパートのごとき、薄暗くもっさりとした作風は皮膚感覚にもなじむ。ところが、それがかなり「ふとした」ものだから、大ざっぱな言葉しか持たぬ俺ではいまいちうまく言語にすくい取ることができぬ。したとしても、なんかイマイチ実際に面白さを語れていないように思える。自分の力不足がもどかしい。でも、いつかはきっと。クラウン?

【単行本】「げだつマン」 キクチヒロノリ 青林堂 A5
 ほ、本田健さんのページも見てやっておくれ。というか詳しいことはそっち参照的。
 アッパー。ひたすらにアッパー。一見キャラクターもののようなクッキリした線なのだけど、その造形は激しくイカれている。そしてこの楽しそうなさまはどうだ。やたらとわさわさでてくる奇妙な造形のキャラクターたち。愛敬はあるのだが、それは著しくバランス感を欠き、むしろ不安になりさえする。何かを超越したネームのセンスはまさにインクレディブリー。恐ろしいほどの切れ味。狂人派遣サービスのくだりなど、こちらの予想などおよびもつかぬ展開に驚嘆させられる。イカレ系の作品でありながら、読みやすいのも特筆すべき。これはこれなりにきちんとコントロールされているという印象を受ける。「げだつマン」シリーズで未収録分があるのは残念なところだが、とりあえず今はこれが発行されたということを素直に喜びたい。胸を張って万人にお勧めする。一万人くらいに。

【単行本】「デカスロン」21巻 山田芳裕 小学館 B6
 世界陸上もいよいよ大詰め。この巻で8種目めの棒高跳びが終了し、9種目めのやり投げに突入。種目を重ねるごとに凄みを増してくるダン・オブライエン。そろそろクライマックスである。今回はCGによるポリゴン的万吉が表紙。なんかやけに美男子。

【単行本】「球魂」4巻 岩田やすてる 小学館 B6
 無駄なところに力が入りまくりな感じのヘンテコ卓球漫画、第4巻。運動能力は高いが、今まであまりいいところのなかった主人公の一人、明彦が卓球の魅力に目覚めて一歩成長する試合が白熱していて面白かった。それにしても、主人公たち属する玉磨高校の準決勝の相手はプロレスラーたちがモデルっぽいのだが、各選手がやけに濃厚でキャラクターが立っている。彼らが主に本領発揮するのは次の5巻になるが、そういう脇役たちの良さもあり、最近どんどん面白くなってきている。


6/4(金)……アリ・ダユウ

 くそ昨日のくそ日記で「壬生ロビン」を「壬生バロン」とくそ間違えていたことは、みんなにはくそ内緒だゼ!

【雑誌】ヤングキングダム 7/4 No.7 少年画報社 B5中
 きくち正太の新連載が始まる。タイトルは「太夫[Da-You!]」。チビでお人よしで高校入り立ての女の子、禿(かむろ)は意地悪な同級生によって5万円持ってくるよう脅かされる。ところが折しも親の勤務先が倒産し、とてもじゃないが親の力は当てにできない状況に。そんなわけで水商売に手を出そうとする禿だが、その前に花街を仕切っているアネさんに面通しさせられる。ところがこのアネさん、太夫は実は禿と同級生であった……といった感じの第一話。この太夫は15歳なんだけど、粋でいなせで大人びた雰囲気を持っている。ぶっちゃけたところ、ぶら雲先生みたいな感じだ。最近こんな感じの作品が多いきくち正太だけに、さすがに手慣れたうまさはある。反面、この路線には少々食傷気味ってところがなきにしもあらずだが。
 佐野タカシ「イケてる刑事」。いやー、見事。なんでこんなにテンション高いかねえ。今回は水着素材の警邏用コスチュームに身を包んだ婦警さんたちと、暴走する近藤のHugeなBocky、そしてそれを見て身悶える婦警さんたちがその内容の中心。セリフもノリがいいし、なんだかもう。大したもんである。堀田あきお「チンピラ」。ヤクザのお嬢さまと、そのお目付け役を仰せつかったチンピラのお話。お嬢さまがチンピラの一人、ゴローにだんだん惹かれていくさまがくすぐったくて気持ち良い。小生意気でなかなか素直になれないお嬢さまのスネっぷりがいい。大石まさる「みずいろ」。夏休みで東京に帰った、巨乳的女子、川上さんの複雑な家庭事情が垣間見える今回。そんなわけでいつもよりもヘヴィな展開だったのでいつもの伸びやさはなかったが、柔らかくてちょっと色っぽい絵の魅力は今回も健在。

【単行本】「ギンザ小学校」1、2巻 地下沢中也 講談社 B6
 ヤンマガでの当初の告知よりだいぶ遅れて発売。2巻には「ギンザ小学校」に加えて「デカちゃん」も同時収録。「ギンザ小学校」は、大都会の真ん中で、周辺に住んでいる人が少ないため生徒数も数えるほどの小学校で繰り広げられるギャグ漫画。授業なんかそっちのけでゴロゴロとあさっての方向に逸脱していくお話は、かなり馬鹿馬鹿しい。例えば第一話からして、授業中居眠りした担任の先生(生徒ではない)が、何かの角につかまっていないと眠れないという性癖を発揮し、教卓、教壇、教材のブロック、階段……というふうに、生徒に導かれて寝場所を移していく……といった感じでお話が終始する。こういった逸脱傾向は回を重ねるほどエスカレートしていく。パーマ狂の生徒とその親とか、存在自体が謎のUMA的生徒とか、どうしようもない奴らばかりで楽しい。「デカちゃん」は、乳児を抱えた女刑事が主人公のはずなのだが、最後のほうは変態的なその同僚たちがすっかり主役の座を占めてしまう。事件の低レベルさ、刑事たちの頭の悪さに妙ちきりんなおかしみがある。
 地下沢中也の作品に出てくる人間たちは、皆頭が悪そうで行動も情けない。それが回を追うごとに程度を増していく。なかなか行動や次の展開が予想できない低能っぷりがたまらなくステキなのだ。


6/3(木)……蹴球七日

 イエーイ! 以上!

【雑誌】漫画ホットミルク 7月号 コアマガジン B5平
 巻頭カラー、百済内創「お姉さんはトラブルメーカー」。スッキリとしてほどよく肉感的。滑らかな手触りで、いい具合にこなれている絵柄がよろしい。りえちゃん14歳「彼氏」。最近ちょっと顔のパーツの配置などが若干アンバランスかなとも思うけれども、スラリとした少女様たちはやはりうまい。最近ちと足が太めな感じもする。瓦敬助「菜々子さん的な日常」。あけっぴろげで天然系の無防備な女の子、菜々子さんが自然で健康的なエロスを振りまく。あっけらかんとしてのんびりした雰囲気が気持ち良い。この人の絵は、下乳のたっぷりした感じが魅力的。みかん(R)「Actress」。白黒のコントラストが利いた、ダークな雰囲気のホンモノくさいロリ漫画を描く。唇のぽってりした感じの描画がいい。ロリ系というか幼女系の人でホンモノな人は、子供ならではのお腹のぽっちゃりさ加減をしっかり描く人が多いような気がする。大山田満月とか月角とか。ZetuMan(笠倉出版社)で描いている榊原薫奈緒子がホットミルク初登場。しかも、巻末4色カラー4P。タイトルは「いち・にのさくにゅう」。ZetuMan掲載作同様、頭身の低いかわいらしい絵柄なんだけど、テンポよくちょいと鬼畜でお気楽なギャグを繰り出してくる。くるくる変わる絵柄とか、ヤケクソな展開とか楽しいなあ。しかもエロが案外いやらしかったりするのも吉。

【雑誌】ヤングジャンプ 6/17 No.27 集英社 B5中
 第39回青年漫画大賞入選作品、壬生ロビン「仇討ち」が掲載。64ページとちょっと長めの読切。父親の期待に押しつぶされそうになって侍の道を捨てた跡取り息子の雄一郎。その父が、追い詰めた下手人により斬殺され、雄一郎は仇討ちに乗り出す。しかし、その相手も実はやむにやまれぬ苦しい過去を抱えており……といった感じの剣劇モノ。線は細めだが勢いはある。かなりドラマチックな展開だが、もう少し激しく盛り上げてよかったかもしれない。のびしろはあんまり大きそうには思わないが、新人の作品としてはなかなかによくできている。俺の予想を裏切るほど成長してくれるとうれしい。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 6/17 No.28 秋田書店 B5平
 小沢としお「フジケン」。いつのまにやら連載50回め。今回はいつものフジケンたち御一行が、風呂屋で男根長を比べ合うというお話。微笑ましい。田口雅之「バロン・ゴング・バトル」。バロンがなんだかすごい形態に激変。激変といえば地獄丸か? 分かりにくいネタだが、そういう漫画が昔あったのだ。三浦文祥作。

【雑誌】ヤングサンデー 6/17 No.27 小学館 B5中
 岩田やすてる「球魂」。最近とみに面白い。玉磨高校はついに決勝進出で、次は宿命のライバル彩華と激突。それにしてもチャイナである鄭の髪型はいつ見てもスゴイ。柏木ハルコ「ブラブラバンバン」。ここまで好調。ホルンを吹くと性的欲求が高まりまくっていしまう芹生さんの過去が明かされる。沸き上がる衝動とままならぬ自分を、実にうまく描いている。山本英夫「殺し屋イチ」。イチの精神状態は絶不調。暗闇からイチをにらみつける風俗嬢の目つきが怖い。いやはやなんとも濃厚な作品である。山田芳裕「デカスロン」。マンキチの底抜けに脳天気なパワーが復活の気配。ヘラヘラ笑いつつ激走する姿は馬鹿そのものであるが痛快。

【雑誌】モーニング 6/17 No.27 講談社 B5中
 今号はちばてつや大賞受賞作、佐藤純也「Planet Football」が良かった。各地を回ってJリーグチームの入団テストを片っ端から受けまくる、かつて高校選手権で活躍した元天才プレーヤーと、彼と行動を共にしスポーツノンフィクションルポを書こうとしている駆け出しライターと、なぜか彼らにつっかかってくる女の子という3人が主要キャラクター。サッカーを愛し、もがき苦しみつつもサッカーのそばで生きていこうとする人々の青春物語。サッカーというスポーツの美しさ、そこから生まれる感動、またそれに賭ける人々の熱い想いが誌面からバシバシと伝わってくる。サッカーが好きな人ほど楽しめるだろう。「愛情のある作品=いい作品」とは必ずしも限らないが、この作品は愛が作品の品質に直結している。それだからこそ面白い。ジタバタする青春模様は、なんとなく加藤伸吉「バカとゴッホ」を思い出す作風でもある。主人公の一人である元天才プレーヤーのほうは、結局は大成しないまま終わる。愛があるからといって、成功できるというわけでもないという厳しさを見せつけつつ、ラストは爽やかに、かつ感動的に締めくくる。やることをやった後の彼の表情がとても印象的だった。こういうサッカーを愛してやまぬ人間にこぞ、気合いの入ったサッカー漫画を描いてもらいたいもの。
 ヒラマツ・ミノル「ヨリが跳ぶ」。ヨリがついに、チーム全体から認められる真のエースへと覚醒していく。力強い成長のさまを見て、これからの展開に期待が高まる。今谷鉄柱「ダイブマン」は3回め。ダイビングスクールのインストラクターをしている嬉野純平が主人公で、彼がダイビングを通じてさまざまな人々の生き方に触れていくというお話。今回は海よりも、氾濫する川での救出作業がメインなので、海水欲(海水的欲求)は少し満たされないところもあるが、少年誌的に骨太な話作りのできる人で読みごたえはある。うえやまとち「クッキングパパ」。今回のヒロインは、絵のタッチがなんかうえやまとちっぽくないような。別の人が描いたとか?


6/2(水)……ネオバレー

 お仕事関係で付き合いのできた漫画家さんと飲みに行く。前からその人の漫画は大好きだったので役得役得ラキハッピーという感じだったのだが、帰りの電車で寝過ごしてタクシーで帰ったら4000円近くとられてしまったのはかなりダメダメ。
 コミックバーズ系の作品でまた新たな動き。作:夢枕獏+画:板垣恵介「餓狼伝」はヤングマガジンUppersに移籍するとのこと。7月7日発売のNo.14より。

【雑誌】週刊少年サンデー 6/16 No.27 小学館 B5平
 曽田正人「め組の大吾」は今号で最終回。主要キャラクターそれぞれのその後も語り、爽やかにしめくくり。少し長くしすぎたかなという印象もなきにしもあらずだったが、総じて面白かった。盛り上げ方の勘どころも分かっているし絵もうまいし。次回作はどうなるのか知らないが楽しみ。あだち充「H2」。比呂の代わりにマウンドに登った木根が予想以上のナイスピッチング。今まで脇で支えていたキャラクターにスポットライトが当たるというのは楽しいもの。久米田康治「かってに改蔵」。毎度おなじみ女の子のコマぶち抜きカット。今回は部長さんのパンチラすれすれのところがいい感じですわい。皆川亮二「ARMS」。今回はセリフなし。サイレントで惨劇。たまにこういうのが差し挟まるのもかっこいい。たぶん単行本で読むとなおさらなのだろう。

【雑誌】週刊少年マガジン 6/16 No.27 講談社 B5平
 塀内夏子「Jドリーム完全燃焼編」。鷹も柳木も絶好調。このまま終わるはずはないと思うが、プロならではのレベルが高いプレーの描写を見たいもの。大島司「シュート!熱き挑戦」。田仲のファントムドリブルは早くも防がれてしまいそうな気配。わざわざスペインまで行ってきたわりに、無敵期間は短かったなあ。

【雑誌】オールマン 6/16 No.12 集英社 B5中
 荒木飛呂彦「デッドマンズ・Q」(デッドマンズクエスチョンズ)。3号連続掲載第1回め。職務を遂行するべく準備をととのえ町をうろうろする幽霊的存在が主人公。スタンドが単体でさすらっているという感じか。絵とかの表現はかっこいいのだが、お話としてはさほど……という感じ。3号連続なんで3回分見てから判断を下したいところではある。六田登「親愛なるMへ」。しばらく読んでなかったら大東がなんかたいへんなことに。そろそろ単行本の2巻が出るので楽しみ。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 6/16 No.12 講談社 B5中
 咲香里「春よ、来い」が巻頭カラー。なかなか好調な模様。部屋に転がり込んできた妹のレズ相手が自分にも手を出してきて、という展開。奇妙だけど居心地のいい三角関係という感じをうまく作り出してて楽しいなといったところ。桑原真也「0(ラヴ)リー打越くん!!」は、シノヴと打越の関係が妙に初々しいラブコメ調に。シノヴが健気で可愛くていい。平松伸二「世紀末覇王 渡部謙吾物語」。パンクラスの渡部謙吾に題材をとった「ノンフィクション・フィクション」(多少は作りが入ってるってことなのだろうか)。内容も馬鹿馬鹿しいが、最終ページのアオリも立派。「心・義・棒!! 世紀末こそが性器末!! それが時代に選ばれた男の”俺ジナリティー”!!」とのこと。田中ユキ「drop」後編。今回はイマイチ消化不良の感あり。絵もお話の雰囲気も好きだが、ストーリー面での完成度はこれまでの短編と比べるとちと劣る。各場面は印象的なコマが多く、かっこ良くはあるのだけど。


6/1(火)……電撃スーパーE

 漫画に対する自分の立場としては、評論家にも漫画家にも編集者にもとくになりたくはない。読者以外の何かになる気はさらさらなく、あえていうなら良い読者でありたいとは常々思っている。ただ「良い読者」とはいっても、読者の間に貴賤や優劣があるわけじゃない。他人は他人。自分は自分。要するに自分が自分に満足できる状態でありさえすれば、ほかはどうでもいい。良い読者の形は人の数だけあって全然かまわない。
 で、自分にとって良い読者とはどんなものかと考えるに、それは「よりたくさん楽しんだ者」となる。量や経験、分析能力などなどは二次的なものに過ぎない。100冊読んで100の楽しみを得るよりも、1冊読んで1000の楽しみを得るほうが望ましい。もちろん100冊読めば10000の楽しみを得られるのならそっちを選ぶ。俺がいっぱい読もうとするのは、得られる楽しみの量をなるべく大きくするためだ。量が少なくても、そこから巨大な楽しみを得ているなら、それは量を読んでいてもちっとも楽しんでいない人よりはるかにかっこいい。また、ほかの人がすごく楽しそうに読んでいる作品を自分が面白がれなかったときは、俺としては悔しかったりもする。また、楽しみは何も1ジャンルから得る必要もなく、結果的に楽しみが大きくなるんだったらそれはそれでいいのだ。俺は漫画を読むことくらいしかできないけれど、幅広いジャンルに通じている人は正直うらやましい。
 もっともっと、たくさんのものを楽しめるだけの度量と知識と、そのための時間が欲しいもの。まだまだ、俺は楽しみ足りていない。この程度で足りちゃうようではなんだかもったいないような、そんな気がしてならぬ。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 6/15 No.12 小学館 B5中
 北崎拓が読切で登場。タイトルは「メールランナー」で今回は前編。愛英史の原作付き。ヒマラヤのふもと。地元の村のシェルパの青年が、昔なじみの娘と結婚するための高額な資金を得るため、ヒマラヤからカトマンズからカトマンズまでの300kmの道程を3日で走るレースに参加することに。主人公の名はまーくん、娘の名はなぎさ(当然嘘である)。今回は走り始めで次回で決着する模様。評価はそれを読んでから。岡崎二郎「国立博物館物語」。バーチャルな生態系をプログラミングすることにより、生物の進化を完璧にシミュレーションするニューロチップコンピュータ「スーパーE」。今回はそれを利用して1000万年後の地球の姿を見ることになるのだが、スーパーEの計算した未来は人類にとって過酷なものだった……という展開。毎回コンスタントに面白い科学話を見せてくれて楽しい。ちなみに「電撃SPY」は大噴火五郎の作品。

【雑誌】COMICラッツ 7月号 司書房 B5中
 桂よしひろ「MY LITTLE LOVER」は今回で最終回。子供にしか見えない女教師と、生徒の障害多き恋愛譚。滑らかな手触りで伸びやかな絵柄が目を惹く作品で、わりと好きだった。お話はちょいと暗めのトーン。いったん主人公の二人が別れてどん底に堕ちるあたりは読みごたえがあった。それからかかし朝浩「全裸の王女」も最終回。この人の少年漫画的ノリはエロ漫画系だと浮きがちではあるのだが、力強いストーリー回しは好きだ。キャラクターもけっこう立ってるし。漫画はとてもうまい人だが、どこで描くとハマるかという立ち位置は難しいタイプでもある。英丸「赤と黒の家庭訪問」。家庭訪問に訪れた女教師が、訪問先の生徒の父親に凌辱されるというお話。巨乳系。脇のあたりから乳へ向かってのラインが滑らかで熟れていてよろしい。実用向き。須藤るく「月がとっても犬だから」も巨乳系だが、こちらは女の子がまだ女子高生。指がめり込むたぷたぷとした乳がダイナマイツ。それからきゃらめる堂「ドレスレス」は粘着質ないやらしさ。この人って昔はギャグ系というイメージがあったのだが、だいぶいやらしい漫画描くようになったなあという印象。デカい乳が若干いびつなのが生々しく、イヤイヤしつつも感じてしまう表情の付け方とかセリフもいい仕事していると感じる。
 それにしても司書房系の雑誌は、やっぱみんなデカ乳ですな。

【単行本】「ダイヤモンド」4巻 青山広美 小学館 B6
 天性のホームラン打者としての才能に開花した、身代わり野球選手種田の前に新たなライバル出現。今度は、自分のチームのエースである早川の兄で、メジャーでも活躍していた投手・フラッシュ早川が相手。リリースぎりぎりまで腕が見えない理想的なフォームから繰り出される圧倒的な投球を種田はいかに打ち砕くか、というのがこの巻の見どころ。勝負の決着は次巻に持ち込み。力の入った打者対投手の対決は読みごたえがある。

【単行本】「宙舞」2巻 作:小林信也+画:秋重学 小学館 B6
 ジタバタもがき、あがく、みっともない青春物語。
 高校時代、偶然水の上を歩くという「奇跡」を起こした少年・宙樹と、その奇跡を共有した少女・舞子。二人はその後離れ離れになり、舞子は東京の大学でバスケの選手、宙樹は冴えない浪人生となる。宙樹は舞子を追いかけて東京に出てくるが、輝きを失った彼から舞子の心は離れていく。舞子の心を取り戻すべく、宙樹はのたうちまわるが、それは余計に舞子の彼に対する想いを冷めさせていった。
 絵柄はスッキリしていてハイクオリティだが、主人公・宙樹の生き様はたいへんにかっこ悪い。口先ばかりで努力もせず、昔の思い出にしがみつき、舞子をも縛りつけようとする。しかし、そのかっこ悪いさまを逃げずに正面から描き出しているのは、むしろかっこいい。現在、ビッグコミックスピリッツに掲載されている連載は次号でいよいよ最終回。青春の落とし前はどのようにつけられるのか。楽しみである。


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