2000年3月上旬

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2000年3月10日(金)

ヤングアニマル 6号   白泉社 <漫画・雑誌> 248円

 二宮ひかる『ハネムーンサラダ』の連載が再開してます。今回は『ベルセルク』が載ってないのですが、ひかる先生の存在感が強烈なので、テンションが下がったようには見えません。詳しくはクロスレヴュをご覧下さい。

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2000年3月9日(木)

レディ・プラスチック 深谷陽 講談社 <漫画・単行本> 505円

 「ミスターマガジン」に連載されていた作品です。ミスターマガジンは普段チェックしてないのですが、こういう作品も載っているんですねぇ。映画界の巨匠が、かつて製作中断に追い込まれた映画のリメイクに取りかかる。それに参加することが決まる特殊メイクを生業とする主人公。しかしまわりでは不可解な事件が起こり、そしてかつて撮影が中断した事情が明らかに…というものです。コピーでしょうか鉛筆でしょうか、とにかく他の人とは大きく異なった画面構成が秀逸です。そして単行本一冊できちんと物語がまとまっているところも注目すべきところです。今度からちゃんとチェックしなきゃ。…とおもいきや、「ミスターマガジン」はとうの昔に休刊しているではないですか。あちゃー!

ハッピーセット うらまっく ワニマガジン社 <漫画・単行本> 505円

 うらまっくの最新刊で、「快楽天」などに発表された作品を集めています。うらまっくらしいお馬鹿なオハナシもありますが、何となくやり切れないようなオハナシが多くなっています。理性では「おかしい」と分かっていても、自分の存在を否定されるのが怖いために、カルト的集団に居続ける女性を描いた『トモダチ』。他の男とセックスしたことがきっかけで、今の男に急激に冷めてしまう女性のさまを描いた『sf』。馬鹿漫画を期待していると痛烈なカウンターを食らいます。胃が痛くなるような感覚。ですが、それぞれの作品に容赦や逃げはなく、きっちりと読ませています。後味の悪さは漫画としての完成度の高さをあらわしています。丹念に読み込まれるべき作品といえましょう。

ちいさなガラスの空 山田ユギ 芳文社 <漫画・単行本> 562円

 イジメを受けている高校一年生、鈴木。かれはきれいな顔をしているが、そのために「オカマ」と呼ばれ嫌がらせを受ける。かれはいじめられる中、ひとりの「きれいな」クラスメイトの男、矢田に目を付ける。他のクラスメイトの手前、矢田は鈴木に殴りかかったりもするが、いじめられる鈴木をそれとなく助けてくれる…。すっかり山田ユギにはまっております。一方で高口里純師匠を受け継いださばさばした展開を見せると思えば、屈折した魂が解放される様子も丁寧に描く。もちろん内面性の描写こそこうしたボーイズラブの基本とはいえ、山田ユギの描写力は図抜けていると思います。

貧乳大王 V.A. あまとりあ社 <漫画・アンソロ> 900円

 タイトルからいえば、ちちの小さいセクサブルな女性もののアンソロ、と考えられそうなところですが、実はほとんどロリもの。山野紺三郎、さんずい、栗東てしお、てるき熊、三原ジュンなどがばっちりチャイルディッシュなセックスをキメてます。ロリはまだまだ元気です。安心安心。ロリものばかりの中、例外は流星ひかる先生。今はなき「レモンピープル」に収録されていた作品の続きを描かれています。これがもうお馬鹿で可愛くってお花が乱舞していてメロメロっす。5月に単行本??5冊買います!!

青い菊 鳩山郁子 青林工藝社 <漫画・単行本> 1000円

 むろん蔵書票付きの初版は出た日に買いました。なぜこれを買ったかといえば…なんとサイン本なのですね。開けてみたらペンですらすらと書かれた流麗なサインが。くう!繊細すぎ!ちなみに今日は『パレポリ』のサイン本も見たのですが、あまりに大量にあったのと、造本がちゃちいこと、内容がおんなじ事を考慮して買いませんでした。大和堂青林堂は造本にお金をかけるべきだと思いますな、ここでは関係ないお話ですが。

エースネクスト 4月号   角川書店 <漫画・雑誌> 619円

 阿部吉俊『NIEA_7』は今回も快調。ぶっ飛ばしまくってます。後は『ガサラキ』が300ページくらい(嘘)載ってます。『あかりミックス』が載ってないのでどうも投げやりになってしまうのですね。田丸浩史はちゃんと読みますが。

コミックビーム 4月号   アスペクト <漫画・雑誌> 467円

 新連載は林光默(Lim Kwang-Mook)の『橋無醫院』。梁慶一に続く二人目の韓国作家です。一挙二話掲載で、元々左とじのために雑誌の天地を逆にして読むという形式。作品を大切にするビームらしい処置といえましょう。架空の町に現れる身元不明の男。「どこそこへ連れてってくれ」という札を下げ、フラフラした感じ。だが戦うと非常に強い。そしてその男に関わりを持つ一人の娼婦…。O村編集長が韓国作家にホレる、というのもよく分かるものです。ハングルの擬音にルビを振る、という形式はちょっと読みづらいのですが、白と黒のコントラストのはっきりした画面と、先に期待を持たせる展開は引き込まれます。その他『オールナイトライブ』『BAMBi』『サルぽんち』『テルオとマサル』などなど、今回もテンション高くて感電しそうです。詳しくはクロスレヴュを。

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2000年3月6日(月)

ばなな果汁 美女木ジャンクション エンジェル出版 <漫画・単行本> 古書価600円

 美女木の新作を古本でゲット。ホントは奥手のおとなしい女の子が、強力なホステスのお母さんの指南のもと、男修行に励む…という内容です。作者初の(?)続き物で、かなり読みでがあります。例によって縦に並ぶちちも健在。女の子が感極まって下品な言葉を叫ぶ、っちゅうところもヌキでがあるところです。エロ劇画の流れは現代にこういう形で現れているのかな、なんて思ってしまいます。

なんのこれしき EB110SS メディアックス <漫画・単行本> 古書価500円

 空想的な江戸時代をモチーフにした連作です。互いに多少関連を持った『大江戸Suite』のシリーズを軸に、現代的エロ漫画と時代劇要素をつなぎ合わせようとしています。何が良いかといえば濃厚なロリ要素。表面に出てくることはそれほど多くはありませんが、いたいけな娘さん(妹であることが多い)を何とかして、なんてパターンが多いのですな。そしてそれが「隠されて」いるその分、逆にヒリヒリするようなロリへの希求が感じられます。

VIDE 道満晴明 ヒット出版社 <漫画・単行本> 古書価500円

 不覚にも買い逃していた道満の単行本。面白いのはやはり日記漫画の『日なたの窓に憧れて』。すがわらの『おれさま』シリーズ(今月も載ってねえでやんの)、ヒコロウの『みんなはどう?』(これまた今月も載ってねえでやんの)と微妙にリンクしているのが微笑ましいです。

悪霊 高寺彰彦 白泉社 <漫画・単行本> 古書価100円

 1988年刊。「コミコミ」掲載。私はリアルタイムで読んでました。やはりこの迫力ある筆致には圧倒されます。大友克洋とも違った密度の濃さ、なのですね。100円なら買わねばなりますまいて。

アクアリウム 須藤真澄 新声社 <漫画・単行本> 古書価500円

 プレゼント用のストックとして。もう簡単には手に入りませんからね。

夜間閲覧室 長田ノオト 東京三世社 <漫画・単行本> 古書価400円

 長田ノオト先生のデビュー作などを集めた第一作品集。1988年刊。多くの作品は最近文庫になりましたが、やはり大きなサイズで読むと違います。丸尾末広と異なり、線が整理されておらず、情報量が多いところがこの人の面白いところだと思います。

青年14歳 山田靫 スコラ <漫画・単行本> 古書価350円

 互いに惹かれあっている男二人。だがどっちが女役になるかでずーっともめ続ける、という「青年シリーズ」が中心の本です。もうこれが面白いんですって。ヤルのヤラないのというやりとりが延々続くのですから。で、いざヤっちゃうと「ケツが痛え」ですから。ですが山田の良いところは単にギャグだけにはありません。惹かれあう−惹かれあってしまう二人の心が実に丁寧に描かれるのですね。現在ブレイク中と思いますが、さもありなんという感じです。

もうひとつの海 西炯子 小学館 <漫画・単行本> 古書価100円

 92年刊。長髪、眼鏡のキャラクタ、嶽野のシリーズが中心になってます。ですが注目すべきは嶽野が出てこない『Swimmer』。容姿端麗だが性格がちょっと暗い方に屈折している女の子が、水泳の補習を受けずに済ませるために男の子にコーチを頼む、というオハナシなのですが、この女の子が良いんですね。東城和美の漫画に出てくるような、そんな性格設定なのです。もう私ダメ、という感じですね。またこの作品では水が実に印象的に描かれています。この人の「水好き」はあちこちで感じられるところですが、この作品でもそれは遺憾なく発揮されています。いい短編集です。

アフター0 1〜3 岡崎二郎 小学館 <漫画・単行本> 古書価各100円

 SF/フャンタジイ的センス・オブ・ワンダーにあふれた短編作品集です。ショート・ショートの楽しみといえましょうか。私はずっと岡崎二郎をチェックしてなかったのですが(『国立博物館物語』なども)、しまった、という感じです。恥ずかしいですなあ。

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2000年3月4日(土)

コミックフラッパー4月号   メディアファクトリー <漫画・雑誌> 429円

 創刊5号は厚くなって登場。次第に編集方針も「漫画好き」向けへと焦点が移っていっているようで、以前感じたようなばらけた感じは少なくなっています。あとは和田慎二…いやいや。今回は漫画賞の受賞作『夜の羊と糸使い』が載っています。魔法使いといわれているばあちゃんの編んだセーター。それを狙う謎の「糸使い」。糸使いに襲撃され、ピンチに陥る主人公だが、そのときにセーターが不思議な力を発しはじめる…というものです。フャンタジックな要素に少年漫画的ゲヴァルトを接ぎ木したような感はありますが、ほっこりとした温かい線は非常に達者。次の作品に期待したい新人です。今回からWestRiverさんのご協力を得て、これもクロスレヴュを行います。乞うご期待。

まんがタイムナチュラル   芳文社 <漫画・雑誌> 362円

 普段は絶対買わないような雑誌ですが、今月は志村貴子と橋本ライカが載ってるじゃあありませんか。吃驚!特に志村はスンバラシイです。彼氏といえなくもない幼なじみの男と、教育実習先の中学生のあいだで揺れる女心。それが例の『敷居の住人』ペースで繰り広げられる。参った!という感じです。橋本ライカの作品もくだらないですがのびのびしていて良いです。この手の4コマ誌は見落とされやすいのですが、小田中さんからの情報で見逃さずに済みました。やっぱりWebの情報の有効性は高いです。

まぼろしの郊外 宮台真司 朝日新聞社(朝日文庫) <一般・文庫> 560円

 持っていなかったのですが、文庫化を機にゲット。当然持っておくべき本でしょう。

小艦艇入門 木俣滋郎 光人社(NF文庫) <一般・文庫> 781円

 日本海軍の小艦艇について述べた本です。機雷敷設館や砲艦、内火艇やタグボート。多くの戦記ものやムックなどでは語られることの少ない日陰者。それを一冊にまとめるという気概が良いじゃないですか。へえ。昔の南極観測船「宗谷」ってもとは海軍の輸送艦だったんだ!

C-HTML&HDMLハンドブック 山村・角田 日刊工業新聞社 <PC・解説書> 1000円

 携帯電話で見られるWebページの記述法などを書いた本です。携帯電話対応Ionisationを作ろうと思ってまして。乞うご期待!

ジョアン 声とギター ジョアン・ジルベルト マーキュリー・M.E. <CD> 2427円

 ボサ・ノヴァの創始者といわれる、ジョアン・ジルベルトの10年ぶりの新作です。余計な要素を徹底的に削ぎ取った、声とギターだけのアルバムです。たった30分しか収録されていないのですが、その時間はあたかも永遠であるかのようです。カエターノ・ヴェローゾは「これより凄いのは沈黙だけだ。だがジョアンは沈黙をも凌駕する」と述べていますが、まさに至言といえましょう。今月の「J」に、「最後の漫画」というネタが出てきましたが、このCDはまさに「最後の音楽」のひとつだといえましょう。ポップ音楽を好む人なら絶対に聴かぬとダメです。

陰陽師 ブライアン・イーノ&怜楽舎 ビクターエンターテイメント <CD> 3900円

 怜楽舎の雅楽&イーノのアンビエントの二枚組。ジャケは晴明のホログラフィ。4000円という値段の割には実にゴージャスな感じです。内容は、ちょっと雅楽の方に疑問ありという感じです。ピアノが入ったり、声楽が加わったりしているのですね。『陰陽師』という作品に立脚して考えれば、そうしたハイブリッド性は不自然ではないのですが、音楽そのものとして考えた場合ちょっと不自然&中途半端に感じられてしまうように思います。イーノのアンビエントはいつもの調子で良いです。

NakedSelf The The nothing <CD> 1680円

 随分久しぶりのマット・ジョンソン率いるザ・ザの新作です。同人誌を買ってくださった方にはもうお分かりだと思うのですが、ザ・ザには私かなり弱いのですね。一方でそのポリティカルな歌詞の内容に辟易しながらも、まっすぐに状況に相対しようとしているオッサンの姿に打たれる。すべてを足し算するとかなり好き、という訳なのです。今回は音楽の質としては『インフェクテッド』に近いものになってます。やっぱり、という感じでインターネットネタが出てくるのも興味深いところです。

two against nature Steely Dan GIANT <CD> 1680円

 AORなんて死んでも聴くもんか、と思ってた訳ですが、すっかり私もアダルトなものでして。完璧、と言っていいほど綿密に計算されたサウンドづくりには感服せざるを得ません。

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2000年3月2日(木)

快楽天 4月号   ワニマガジン社 <漫画・雑誌> 314円

 陽気婢2号連続掲載が注目されるところです。オハナシはふぬけきっていて評価が難しいところ。この難しさこそ陽気婢の徳目だと思うので、これはこれでいいのでしょう。あとは『スクール』が最終回を迎えています。ほらね!やっぱり『8 1/2』じゃん。終わり方は原作通り(?)ぶっ飛んでいて素晴らしいです。来月はTAGROが登場とのこと。今から楽しみです。詳しくはクロスレヴュを。

ホットミルク 4月号   コアマガジン <漫画・雑誌> 838円

 漫画の方では瓦敬助『菜々子さん的日常』が巻頭カラーです。直接的な男女の接触などひとつもないのに、妙にドキドキしてしまうのですね。学校という場が元々持っているエロスを上手く表現しているせいだと思います。いやあ面白い。連載一周年とのことですから早いところ単行本にして欲しいところです。他にはみかん®、鬼魔あづさなどが気になるところです。ちょーっと漫画の方のテンションは先月に比べると低いかな、とも思いますが。
 ジャンキーズの方は「ホットミルク15周年」が特集です。初代編集長斉藤O子と永山薫の対談がメインで、どのようにホットミルクが変遷してきたのかがよく分かるようになっています。りえちゃん14歳ってもう12年もキャリアがあるんですね!!考えてみると私が小さかった頃のホットミルクを初めて買ったときに、鮮烈に覚えているのが天竺浪人の掲載作でしたから…げ、私も10年買ってるじゃないですか。

カラフル萬福星 ビブロス <漫画・雑誌> 562円

 ちょっと購入が遅くなってしまいましたが。CG描きに役立つ情報が盛りだくさんなだけでなく、安森然、篠房六郎、けろりん、月野定規といった実力ある作家をそれとなく(?)集めているところが面白いです。とくに単行本発売が嬉しい安森の登場は好ましいところです。とあるマイナー誌に載ったCG作品から、この人をずっと追いかけてきたものですから。また、巻頭のあるまじろうも長尺で読ませてくれます。センスのある画面構成は今後のブレイクを予想させます。

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2000年3月1日(水)

Bstreet(ビィストリート) V.A. ソニー・マガジンズ <漫画・アンソロ> 950円

 「バーズ」連載陣によるアンソロジーで、テーマは探偵もの。執筆者は、山田章博(表紙のみ)、斉藤岬、冬目景、しまじ月室&Marr、亀井高秀、東城和美、雁須磨子となっています。どれも探偵もので、こうした形式のアンソロジーは珍しいのじゃないでしょうか。斉藤岬と冬目景の作品は続き物で、次回8月に出る2号に続くとのこと。こうした展開には意欲を感じます。ま、「ルチル」の方法論ではあるのですが。内容で光っているのが東城和美。この「なんじゃこりゃ!」的展開には目が回ります。ホントです。

ミード・ガンダム シド・ミード 講談社 <アニメ関係> 2800円!

 佳境に入っているヒゲですが、そのデザインがどのような過程を経て行われたかを示す資料集です。最初に見たときにはやはり私も吃驚したことですよ。ですがすっかり慣れた今となっては「こうでなきゃ」とさえ思うようになりました。内容としては、徹底的にインダストリアルデザインを志向するミードと、アニメ的な性格付けをデザインに反映させようという富野の丁々発止のやりとりが感じられて、非常に刺激的です(特にターンX)。ラフスケッチばっかりの本に見えますが、ミードがどのようにデザインしているか、という過程も感じられ、かなり丁寧に作られた印象を受けます。高い本ですが、ヒゲにピンと来た人なら買っても損はないと思います。

野いちご心中 タカハシマコ 芳文社 <漫画・単行本> 562円

 「ホットミルク」「ぷちみるく」などで凶悪に可愛いロリものをやっておられるタカハシマコ。私としたことが、マコ先生がボーイズラブものに描かれていることをチェックしていなかったのですな。ああ口惜しい。不在を取り戻すべく買ってみたのですが…これもまた可愛らしいこと!やっぱりこの人は幼い子どもの「可愛さのツボ」を押さえまくっているのですね。もう食べちゃいたいほど可愛いキャラクタにすっかり骨抜きですよ!!加えて、単にキャラが可愛いだけではなく、オハナシもしっかりしているところが興味深いところです。現代版『田辺のつる』とでもいうべき『さっちゃん』。心が感応しあう、とはどういうことかをかいま見せてくれる『ポケットビスケット』。ロリでもオハナシの鋭さは感心するところですが、こっちも変わりません。野火ノビタの『飛行少年ズ』などが好きな人には手放しでオススメします…って、タカハシマコと野火ノビタは緊密な盟友関係にあるのですが。

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Last-Update: Thursday, 13-Nov-2014 09:16:47 JST