◆ 1999年11月下旬 ◆

11/21〜30
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11/30(火)……ゴドーをカムナガラ

 12月の買物予定。米倉けんご「トラブルヴァイオレーションズ」、吉崎観音「ケロロ軍曹(1)」、岩原裕二「クーデルカ(1)」はすでに購入済み。いろいろとあるけれども、なんといっても一番楽しみなのは10日の再復刊ガロ。あと雑誌の増刊枠の奴。

タイトル作者出版社
嘆きの天使山田花子青林工藝舎
月的愛人(改訂版)丸尾末広青林堂
貧困魔境伝ヒヤパカ山野一青林堂
トリプルヴァイオレーションズ米倉けんごFOX出版
1ケロロ軍曹(1)吉崎観音角川書店
1クーデルカ(1)岩原裕二角川書店
2悟空道(10)山口貴由秋田書店
4K.A.A.R<春の巻>すえひろがりコアマガジン
4ザ・ワールド・イズ・マイン(9)新井英樹小学館
4球魂(6)岩田やすてる小学館
4トトの世界(1)さそうあきら双葉社
6イッパツ危機娘(5)原田重光講談社
6フローズン(2)山崎さやか講談社
6アゴなしゲンとオレ物語(3)平本アキラ講談社
6イケてる刑事(1)佐野タカシ少年画報社
7王道の狗(5)安彦良和講談社
7水の誘惑(3)氷室芹夏ワニマガジン社
7ゴローダイナマイ!かるま龍狼ワニマガジン社
10ガロ青林堂
10零式リイド社
10快楽天星組ワニマガジン
11オリジナル1月増刊号小学館
11なんのこれしき大江戸馬鹿艶劇EB110SSメディアックス
15SPEED KING(6)間部正志講談社
栞と紙魚子殺戮詩集(仮)諸星大二郎朝日ソノラマ
16おまかせ!ピース電器店(16)能田達規秋田書店
16蒼天航路(18)王欣太/李學仁講談社
16ヨリが跳ぶ(20)ヒラマツ・ミノル講談社
16犬神(8)外薗昌也講談社
16ディスコミュニケーション精霊編(1)植芝理一講談社
16新マグナム増刊講談社
16大漫王小学館
17セスナ片岡吉乃集英社
17羊のうた(4)冬目景ソニー・マガジンズ
17藍より青し(2)文月晃白泉社
18今日のだいちゃん(4)太陽星太郎小学館
18奈緒子(24)坂田信弘/中原裕小学館
18ダイヤモンド(7)青山広美小学館
20Manpuku!小学館
20OURs 2000少年画報社
25電波オデッセイ(4)永野のりこアスペクト
25百億萬円唐沢なをきアスペクト
25ドラネコシアター3rd Collection餅月あんこアスペクト
25須藤真澄画集(仮)須藤真澄アスペクト
アックス(12)青林工藝舎

【雑誌】ヤングキングアワーズ 1月号 少年画報社 B5中
 上記の通り、20日に増刊「OURs 2000」が発売予定。
 やまむらはじめの新連載「カムナガラ」がスタート。一見平凡だった高校2年男子が主人公。ある日突然、彼に野犬が襲いかかってくるが、実はそれは恐ろしいバケモノだった。追い詰められた主人公だが、彼の腕から生えてきた不思議な剣によりバケモノを撃退する。ちょいとオカルト風味のバトルアクションになるのかなーといった感じ。お話のパターンとしてはあんまり好みじゃないが、まあ判断するのはこれからの展開を読んでみてから。とりあえず単行本「未来のゆくえ」などとはだいぶ趣が違うことは確か。大石まさる「泥棒猫−泥棒猫マック−」。宮崎駿の犬シャーロック・ホームズ系な動物擬人化なキャラで展開されるショートストーリー。まあそれなりだが、楽しそうではある。小泉真理新連載スタート。タイトルは「ジンクホワイト」。美大志望で美術科のある学校に転校してきたが、普通科に編入されてしまった女の子が主人公。4コマ漫画式のコマ割りで進むストーリー漫画。宇河弘樹「山を魅る子」。3月号から新連載を始めるようだが、この続きになるのかな? キャラクターは連載モノ用っぽいが……。

【雑誌】漫画アクション 12/14 No.50 双葉社 B5中
 かいともあき「白い少年」絶好調。今回は巻頭カラー。そして、白い少年・玉男に恋するヘンな女の子も登場。この娘がまた、玉男に負けず劣らず強烈で、玉男にうっとりしては「悩殺された」とかいって気絶。すぐボロボロ泣くし、行動もやたら突っ走っている。やけに野獣な男子校生のギラギラした目つきも健在で、ものすごく展開が極端。さらに珍妙度がアップし、ますます面白くなってきた。今最も気になっている漫画の一つ。

【雑誌】ラッツ 1月号 司書房 B5中
 草津てるにょ「〜夢幻画境〜」。人妻調教モノ。まだ堕ちきってはいないけど、だいぶ肉欲が蕩け出してきているあたりのおいしい時期。続きモノなので、これからどういうふうに責めていくか楽しみ。きゃらめる堂「ドレスレス」も人妻系。学生時代、複数の男友達とずっと乱交しまくっていた琴絵。その後、彼らは離れ離れになるが、人妻になった今、また昔の仲間たちを集め学生時代の再現をしようとする。じっくりと腰を据えて濃厚なエロ描写をしていて頼もしい作品。

【雑誌】MEN'Sドルフィン VOL.05 司書房 B5中
 みずきひとし「スカートをはこう!」。線のタッチがセルアニメっぽく滑らかさで、ヌルい作風と相まって居心地がいい。ちょっと矢凪まさしを思い出した。東海道みっちい「DOKI DOKI 催・眠・術」は、他愛ないほのぼのしたお話。この人の描く女体は、肉付きがよくてプリプリしててゴージャスで好き。桂よしひろ「真夜中の遊戯」。子供のころ大好きだった少女型アンドロイドを、大人になって買い戻し、彼女に対する愛を再び思い出す男のお話。アニメの原画みたいな、単純だけれど迷いのない描線が気持ち良い。KASHIみちのく「盗聴バスターERO!」。相変わらず健康的で天然系の馬鹿っぽさが楽しい。デビューしたてのころみたいなムチャはなくなったけど。間垣亮太「Witch!3.14」。いやーこの人の描く乳は重たくて柔らかそうだ。こだわりを感じる乳。

【単行本】「クーデルカ」1巻 岩原裕二 角川書店 B6
 プレイステーションのゲームソフト「クーデルカ」(SNKより12月16日発売)の岩原裕二版コミック化。コミック版はゲームと多少話が違うらしい(詳しいことはよく知らない)。
 舞台は今から100年前、1899年のイギリス。怪しい病院から脱走した一人の女性。彼女の名はクーデルカ。人外のものを見たり、それらに影響を及ぼしたりする力を持っているらしい。迫り来る追手から逃げて追い詰められたところを、ヨシュアという少年に助けられる。そして、彼らの冒険の日々が始まる……といった感じの出だし。雰囲気としてはわりと重く、切羽詰まった感じ。岩原裕二はアフタヌーン四季賞出の作家だが、四季賞のころはアクションや絵はうまいけれども荒々しく画面もゴチャゴチャした感じだった。だが、この作品ではずいぶんと線が整理され、実にキャッチーな絵柄となっている。ダイナミックなポーズ、構図、のびやかでなめらかな艶のある描線と、実に気持ちいい。ゲームの漫画化というと、得てして安っぽくなってしまいがちだが、この作品では絵の効果もあって十分高級感がある。物語はまだ序の口なので、これからどのように展開していくか期待したい。それにしてもクーデルカは色っぽい。

【単行本】「Four Seasons」 あきふじさとし 蒼竜社 B6
 以下ホットミルクでのレビュー用。
 1996年10月に富士美出版から発行された単行本の復刻版。とある学園の4月から始まって3月で終わるまでの1年を描き、1話につきひと月、女の子も一人ずつ登場させてそれぞれのエピソードを描いていく。鬼畜系からラブコメまで、内容はバラエティに富んでいる。飛び抜けた出来の話はない代わりに大ハズシもない。手堅くまとまった本。

【単行本】「悪桜−アクル−」 画:北原亜希+作:Hi-Tech Exit ティーアイネット A5
 二人で宇宙海賊をやっている少年と少女。彼らの航海記。少女のほうは、少年の姉的に振る舞おうとして好きだという気持ちを伝えられず、宇宙を航海している間に拾った女性と少年が関係を持つのを見ては嫉妬に苦しむ。成年コミック指定のわりにはエロが少なく、どちらかというとストーリーで読ますタイプの作品。

【単行本】「お姉サマの言いつけ」 森林たまご 久保書店 A5
 ジャンキーズ(ホットミルク)は、どの単行本でも文字数が一緒なので、当然書きやすいものと書きにくいものがある。これは書きにくい部類。基本的には年上のお姉さんモノが多く、エロもそれなりにこなしてはいるが、目立った特徴があまりにない。ショタ系のほうでけっこう活躍していた人らしいので、少年がからんでくる話はそこそこ読める。といったあたりかな。

【単行本】「BERRY SWEET」 あさいいちこ ふゅーじょんぷろだくと A5
 これはまた違った意味で困った。基本的にアニメやゲームなどのエロパロなのだが、アニメもゲームもほとんどやらない俺は元ネタに通じていない。分かるのもあるのだが、全然見たりプレイしたりしたことのないものが元ネタな作品もあったりしてどうしたものやら。とりあえず全体的に女の子の体のラインが柔らかくて、かわいいのはマル。びっくりするほどのパロディというわけではないけど、ファンなら手堅く楽しめそう。

【単行本】「聖餐夜」 くまさん 桜桃書房 A5
 なんか突拍子もない展開が目立つ。男と密会していた修道尼が、同僚の修道院に折檻されるという表題作は、ラストでいきなり同僚たちがエヴァンゲリオンの映画版に出てきた白い奴みたいなのに変身して襲いかかってくるとか。だからといってそれが過剰な魅力に通じているかというとそうでもなく。

【単行本】「オラクルストーリーズ」 おかクジラん メディアックス A5
 パソコンパラダイス連載作品。ゲーム雑誌に掲載ということで、よくゲームに出てくるような「目が描かれていない」男キャラを主人公にしちゃっているのだが、これは慣れるまで時間がかかる。本来なら目があるべき部分が全部空白で、後書きの説明を読む前はなんかの間違いかと思ってしまった。お話自体は、この主人公が毎回現れるお姉さんたちとするものの、結果的には不幸なハメになるというドタバタコメディ。

【単行本】「贄と雌」 Maruto! ビブロス A5
 カラーページのCGはたいへんに綺麗なのだけど、漫画の出来は玉石混淆。全体的に最近の作品のほうがやはり出来が良い。作画はしっかりしているので、何かもう一つ武器をつけるとイケるのでは、ってところ。


11/29(月)……That'sヒトミコ

 女体盛りに合う食べ物について考えてみた。漫画などで見る女体盛りは通常、刺身もしくはフルーツが盛られていることが多いが、これらは体温でぬるくなると美味しくないのではなかろうか。股の部分に伊勢エビを乗っけるというのは華やかではあるが、器に傷が付く恐れがある。生クリームを塗ってデコレーションというのは悪くなさそうだが、これは最後まで綺麗に食べようとするとどうしても舌で直接すくいとる必要があるからマナー的に考えものであろう。というわけでいろいろ考えてみたのだが、「人肌温度である」という器の特性を生かしきる食べ物というのはなかなか難しい。と、そこでふと思いついた。チーズはどうだろうか、と。体温で適度に温めることによって、チーズならではの柔らかさを保持できそうだ。ワインと一緒にいただく場合、器の「しゃべることができる」という特性を利用してソムリエ的なことをさせるというのも一興であろう。女体盛りで勝負する料理漫画があるといいかもしれない。男体盛りについてはとりあえず考えないことにしたい。

【雑誌】激漫 Vol.23 ワニマガジン B5平
 たいへんイキが良く、面白い作品が多い。平とじになってからますます勢いを感じる。隔月なのが残念なくらいだが、隔月だからこそ保てる勢いというのもある。月刊にしてクオリティが落ちるくらいなら隔月のままでいいと思う。
 まず巻頭カラーは天竺浪人「クロス」。初っぱなから50ページと読みごたえ抜群。もともとストーリーも作画もうまい人だが、今回もまたうまくなっている印象。この話は、根っからセックスが好きだが、カラッとしていて屈託のない天真爛漫な女性が物語のヒロイン。勉強一筋で一徹な生活を送り続け、心が凍てついてしまった男が彼女と出会う。二人でいろいろなことを話すうちに、彼の心は安らぎ解放されていく。一人の女性を、扇情的に見せたり、快活に見せたり、恋する女に見せたり。エッセイ漫画によると、彼は今KY嬢というAV女優に入れ込んでいるそうだが、今回の作品のヒロインの描写は愛にあふれていて実にいい。ちなみにこのKY嬢って誰のことなのだろう。ぜひ出演作品を見てみたいので知っている方はぜひ情報を。
 やまのべきった「籠の鳥」。人の考えていることが映像として見えてしまう少女のお話。他人が自分に対して抱く淫らなイメージが、絶え間なく頭の中に流れ込んできてしまう彼女の精神は、しだいに崩壊していく。たいへんに可憐な絵なのだが、物語は救いがない。いいですな。三部敬「月満ちる処」。おそらく瓦敬助だが、こちらではホットミルクの「菜々子さん的な日常」と違ってちょっとシリアス路線。この人の、キャラの目がクリクリした絵柄はけっこう好き。桐生知彦「赤猪青春記」は巻中カラー。やたらイキのいい屈強な男・猪助が主人公で、それに新撰組やら坂本龍馬やらがからむ幕末モノ。馬場康士「LIZARD KING」。今回もエロなしで、プロレステイストのあふれる力づくな作風が楽しい。小林少年「DON'T CRY BABY」はモテモテ男とジミ女の心暖まる物語。ちょっといい話。この人はわりとどんな話を描かせてもうまく、器用な人だなあと思う。

【雑誌】快楽天 1月号 ワニマガジン B5中
 かるま龍狼「ブラッディサンタ」。サンタさんからプレゼントをもらった子供がサンタさんに問う。「サンタさんの服はどうして真っ赤なの?」。セリフのセンス、コミカルな描写など、かるま龍狼はやっぱりうまいなあと思った一本。エロもきちんと入れているし。朔ユキ蔵「愛してやる」。う〜ん、すごくいい。年下だが妙に大人っぽく、すべてを見透かすような目をした少女・陽子に「愛してやる」と囁かれた人妻の朋子。陽子の魅力に取りつかれた朋子は、始終彼女のことを想い続ける。それまでの夫との幸せな生活をも壊してしまうほどに。想いが弾けて身体が拡散していくような描写のダイナミックさ、言葉一つひとつのシャープさ加減など、圧巻のクオリティ。メジャーからの引き合いがいつ来てもおかしくないと思える出来ばえ。OKAMA「スクール」。ヤリチンの孝之くん、ついに破綻。さてどう取り繕うのだろうか。あと、今回はやけにCGっぽさが目立つ。伊藤真美「LUNA NUOVA」は巻中カラー。硬質でしっかりした線で達者な絵柄。背景がうまいのも良い。作:中野貴雄+画:加藤礼次朗「男根平次」は、吉原編が今回で終了。

【雑誌】ヤングマガジン 12/13 No.52 講談社 B5中
 南勝久「ナニワトモアレ」は、大阪系ヤンキーもの。登場人物たちの会話に、ボケとツッコミのリズムがあり、うだうだとタムロっているような雰囲気の漫画。すごい面白いってほどではないけど、そこはかとなくくすぐる読み口。望月峯太郎「ドラゴンヘッド」は次回で最終回。ここまでは面白かったので、あとはどう締めるのか。12月13日発売の2000年2号を待つ。日本橋ヨヲコ「極東学園天国」はとりあえず第一部終了で、第二部は2000年8号(1/24発売)からスタート予定。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 12/13 No.52 小学館 B5中
 吉野朔実「瞳子−アイドル−」。今回は本気でアイドルを目指していた、瞳子の姉のお話。身勝手な姉はいつも瞳子をいらだたせるが、あまりにもストレートに行動する彼女に瞳子はいつも適わない。シリーズ第3話めということで、だいぶこなれてきた印象。青山広美「ダイヤモンド」はクライマックス。影武者のからくりは崩壊するも、種田の放ったホームランは人々の心を揺り動かし、種田&童子二人の心は晴れやか。ということでもうすぐ最終回だと思うが、どのような決着がつくのか楽しみ。

【単行本】「愛人[AI-REN]」1巻 田中ユタカ 白泉社 B6
 オスマンに追加。


11/28(日)……MSM-03

 サッカー天皇杯、横浜FCが新潟大学に8-0で圧勝したようだ。2回戦はvs.立命館大学。3回戦まで行けるとヴェルディ川崎と当たる予定で、さすがにそこは勝てまい。それはそうと、天皇杯はアマチュア・プロ一緒くたにトーナメントをやる大会なわけだが、これってなかなか面白い方式だと思う。野球でもコレやるとけっこう面白いと思うのだけど。プロ12チームに社会人・大学・高校の代表チームを何チームかずつ加えてやれば、開幕前の腑抜けたドームトーナメントとか、真剣味のないオールスターなんかよりよっぽど面白いだろうし、プロ・アマ、それから違う世代の選手たちがそれぞれの実力を確認するための場として非常にいいと思うのだが。

【雑誌】コミックピンキィ 1月号 オークラ出版 B5中
 今号はいまいちパッとしない印象。北原武志「Please」は、いつものごとく健気な女の子がひどいイジメに遭うのだけど、やがてワルモノは懲らしめられて一件落着という展開。この人の場合、絵は別にうまくないしストーリーもほとんど決まっているので、イジメ部分がある程度のボリュームないともの足りない。その分、イジメ分が長いとかなりの臭気を発し強烈な作品になる。そんなわけでこの作品も短編なので、いまいちズガンとこない仕上がり。もりしげ「G・O・G」。考えてみるとこの人も基本的に幼女虐待系の似たようなパターンのお話が多い。そんなわけで途中のボリュームはあればあっただけ凶悪になる。この作品は、母親が入院中に父親に凌辱される女の子のお話。愛も夢も希望もない展開はとてもクールで容赦なく、かつまとまっているが、やっぱりもっと強烈な刺激が欲しいところ。

【単行本】「スカタン天国」4巻 北道正幸 講談社 B6
 これにて最終巻。考えてみれば、このシリーズも「スカタン野郎」「スカタン天国」合わせて計7巻。長いシリーズになったものだ。北道正幸は強烈に絵がうまい。高いデッサン力。適度な写実表現と漫画的表現の混合具合。ギャグもシャレてはいるし、けっこう手の込んだことをする。全体に面白げな雰囲気だ。でもよく考えてみると、そんなに笑えるわけではなく、くすぐられる程度のレベルである。テクニックの高い非常に愉快な作品であることは間違いない。でもギャグをやるなら、も少し笑いたい気もする。相当にうまい人であるのは確かなので、一度シリアスな短編も描いてみてくれるとうれしい。

【単行本】「黒のおねいさん」 さそうあきら 文藝春秋 A5
 短編集。地味ながら一編一編あざやかにまとまっていて非常にうまい。さそうあきら漫画の視点は、登場人物側にはないように思えるし、観客側にあるわけでもなさそうだ。どこか遠くから望遠鏡か何かで見た情景に、イメージを付け足しふくらませて、ストーリーにしてしまうような、微妙に引いた距離感がある。それを淡々と、まことしやかに語る。その語り口の抑えたトーンが心地よく、受け手は聞き終わった後ほうっとため息をついてしまう。
 この単行本には、1987年ヤングマガジン海賊版掲載「発熱」、1990年ヤングサンデー掲載「自転車の楽しみ」と、古めの作品が載っているのもうれしい。古めの作品は今のと比べると線がまろやかで、こちらはこちらでいい味わい。

【単行本】「ラブマシーン」 森高たかし 司書房 A5
 初単行本。司書房系の新人だけあって、わりと乳大きめ。コミカルなタッチで、エロシーンになだれこむくだりなどは、なかなかテンポが良く楽しい。キャラクターは全体に格闘ゲーム系。

【単行本】「午後のQueen」 華瑠羅翔 茜新社 B6
 1993年にフランス書院で上下巻で発売された単行本を1冊にまとめた復刻版。平凡な男子学生の政人を中心に、その姉、義母、彼女、彼女の姉がからんで多角関係を形成するドタバタHコメディ。次々と新しいキャラクターが出てきて、多角形の角の数が増していくというのはいかにも少女漫画的な展開。前からエロ漫画と少女漫画はけっこう共通する部分が多いと思っていたが、こういう作品を読むとその想いをさらに強くする。この作品自体は、今となっては、ってところはあるけれどまあボリュームもあるしラブコメ好きな人はそれなりに楽しめるのでは。

【単行本】「おぢさん誘惑講座」 中ノ尾恵 心交社 A5
 長いこと会ってなかった姪のコムスメが、進学のため街にやってきたのだが、引っ越しの最中に骨折していろいろと不便なので、おじさんの家に転がり込む。このコムスメが「風呂に入れないからカラダを拭いて」と甘えたり「親にバラす」と脅したりしながら、おじさんを籠絡していく。これがこの単行本のメインである「UNCLE ToM's CABIN.」のあらすじ。こういうストーリーだと出会いからやるところまで一話で片付けてしまいがちだが、全5話使って、焦らしながら丁寧にお話を進めていく手管が見事。さすがに15冊も単行本出しているだけのことはある。

【単行本】「罠」 谷内和生 桜桃書房 A5
 谷内和生としてはこれが最後の単行本。次からは「みなづきゆず」に改名するそうだ。谷内和生も、昔とはけっこう絵柄が変わっている。乳もデカめになっているし、なかなか華やかでかわいい。実用面もいい仕事している。谷内和生というと今では古株というイメージがありすぎるので、名前を変えて改めて……というのはけっこういい選択かもしれない。

【単行本】「いつでも快感」 山内繁利 双葉社 A5
 メジャーでも描いていたことのある人だけあって、作風は完成されている。きっちりサービスして話をまとめあげているが、いかにもお仕事〜って感じもする。男に都合のいい展開の多い、手っ取り早い一冊。

【単行本】「地獄調教 時の籠女III〜凜子〜」 SHIZUKA 松文館 A5
 全編、男が隣りの部屋に越してきた女性を拉致監禁、調教するというお話。ボリュームがあって密度も高い。ただ、「時の籠女III」となっていることからも分かるとおり、どうも続きモノだったようだ。ホットミルク(ジャンキーズ)でのレビュー用に読んだのだが、レビューするときはちゃんとI/IIも読まないとなあと思って現在手配中。

【単行本】「恋をしてみませんか?」 さくら・がい 富士美出版 A5
 細くて上品な線で、幸せなラブラブHを描く。田中ユタカ的テイスト(田中ユタカほどの押し出しの強さはないけれども)。「強姦は悪いことですからやめましょう」的な内容の「生贄」だけちょっと異色。たぶん何か許せないことでもあったのだろう。基本的には優しくてまっすぐな性格の持ち主といった感じ。どうでもいいことだけど、おともだちページの絵がかなりうまくない人が揃っているあたり和む。


11/27(土)……赤き菱のイレブン

 うーん、レッズですか。ジェフはけっこう好きなチームなんで残ってほしかったけど、レッズのいないJ1リーグはちょっと寂しくもあり。

 GAMSICのLZDさんの呼びかけで、CUSTOM4号の打ち合わせを兼ねた呑み in 池袋。参加された方が実はウチの職場のバイトくんと知り合いだったということが判明し、世界の狭さを知る。その後、サイトウマサトクさん邸にみんなで押しかけ雑魚寝。そんなわけで本日読めたのは1冊だけ。サイトウさんのところにあった漫画も何冊か読んだんだけど、感想書けるほどに内容は覚えておりませなんだ。サイトウ邸を朝9時ごろ出て帰宅する道すがら、28日から発売の年末ジャンボ宝くじを購入。もちろん連番のみ。

【雑誌】コーラス 1月号 集英社 B5平
 よしまさこ「うてなの結婚」。若いバイトくんの好き好き光線にちょっとクラリと来てしまっているうてなさんが可愛らしくていい。トキメキますな。くらもちふさこ「天然コケッコー」。今回はそよたちの通っていた学校の現在の生徒、小6のカツ代と小5の早知子の視点でお話が描かれる。この人は可愛くない子供を描かせてもうまい。そのだつくし「産直!ローカリアン」。毎度イキがよろしい。パワフルでサバサバしてて、気持ち良く読めるドタバタ農業系ラブコメなり。


11/26(金)……ぶっしん

 なんか物が欲しいなあ、とときどき思う。強烈に欲しい物はとくにないんだけど、漠然と物が欲しいという気持ち。物はいいね、物は。初めに物ありき。物は神なりき。次は何か四角い物でも買うとしよう。

【雑誌】プチフラワー 1月号 小学館 B5平
 今号もとても面白かった。充実した、しみじみといい雑誌。今号はとくに萩尾望都「残酷な神が支配する」(以下ZKS)。悪夢のように次々とお話が奔流となって押し寄せてくるこの密度。現実が夢想の領域を侵食し、夢想が現実を脅かす。ページ数も多くて読みごたえがあり、クラクラするような読後感、というより読中感。すごいエナジーを感じる。名香智子「縦横無尽の風」。少女たちが華やかでいい。ミカエルの赤面ぶりも微笑ましい。上品で浮き世離れしているあたりもナイス。奈知未佐子「風の紡ぎ家」。今回もたいへんにいいお話。心暖まるがベタでなく、きれいに感動させてくれる。いのまたゆう子「いつもおそばに」もいい。最初ヒヨコに宿っていた魂が、ニワトリの死と共に犬へと移り、飼い主であった女の子の成長をずっと見つめていく。その間、女の子はツライ想いもするのだが、この魂はいつも彼女と共にある。珍しいことをやっているわけではなく非常にオーソドックスなのだが、それできちんと読ませられるのは実力がある証拠。それから塩川桐子「残菊」。この人の登場は非常にうれしい。もろに浮世絵チックな絵柄なのに、それが実に漫画の形式にマッチしている。そしてきちんとドラマを描き出す腕前の巧妙さにうなる。単行本「ふしあな」(小学館・プチフラワーコミックス)もヴェリーオススメ。

【雑誌】少年エース 1月号 角川書店 B5平
 画:木崎ひろすけ+作:吉本昌弘「A・LI・CE」は11ページというたいへん半端なページ数での掲載。作者コメントに「綱渡り体験中!!しめきりの…………」とあり、なおかつ目次に載っていない、ひな。「桃ちゃん先生。」が掲載されている。連載2回めにしてこういうことになっている木崎ひろすけに不吉な予感がしつつも、ひな。の作品がけっこう面白かったので良しとする。どうしても幼稚園児にしか見えない、桃ちゃん先生に振り回される男子生徒のお話。ちまちまとした桃ちゃん先生がかわいいぞ。吉崎観音「ケロロ軍曹」は2本一挙掲載。少年少女がかわいくてタイヘンよろしい。ひな。のふわふわした絵柄と対照的に、こっちはカッチリとした丸っこさ。丸川トモヒロ「成恵の世界」は好評により再登場だそうで、今回2本立て。さらに次号から毎号掲載になるとのこと。作:押井守+画:藤原カムイ「犬狼伝説」は最終回。これは単行本かなんかでまとめ読みするが吉な物件と見る。

【雑誌】ヤングアニマル 12/10 No.23 白泉社 B5中
 作:あかほりさとる+画:板場広志「マウス」。なんかかわいげがあって、女教師にも女生徒にもモテモテな美術教師が実は怪盗マウスだった……というお話なのだが、手口の豪快さにまずビックリ。そしてラストのあまりの馬鹿馬鹿しさ。相当に魂が腐っており、なんかスゴイぞ。二宮ひかる「ハネムーンサラダ」。Hだ。今回はなんかいつもよりボインであるような。文月晃「藍より青し」。今回もまたベッタベタ。クリスマス前の二人。にーちゃんはヒロインの葵にかわいい洋服を買ってあげようとこっそりバイト。そのため疲れて家に帰ってくるので葵とはスレ違い。この恐ろしくステロタイプな展開を次回まで続けてしまうあたりもたまらない。山口よしのぶ「名物!たびてつ友の会」。今回はかなり馬鹿馬鹿しい。T・Kが何の略か判明するあたりが今回の目玉か。中田ゆみ「コムスメエブリディ」は、天然ボケ系だけど身体はむちむちなおねーちゃんが、ちょっとHな目にあうドタバタコメディ。プリプリしていて眼福。深みはないけれども、カラッと明るく楽しい。

【雑誌】エクストラビージャン 12/30 集英社 B5中
 平松伸二「どす恋ジゴロ」。今回の恋吹雪は8勝7敗。その原因は女人にあった……。いつもよりもだいぶ豪快な交わりっぷり。運を吸い取られて川に身投げする漫画家が「地獄に堕ちろ」とかいうあたりのヘナヘナぶりも味。こおろぎあぽじ「少年エスパーねじめ」は、小学生エスパーが主人公なのだが、彼や女の子のたて笛なめ大好き少年など、ちょっぴり壊れていて面白い。塩崎雄二「日刊タチバナ」最終回。この人の描く女の子はプリプリしてて好き。あと、渡辺電機「(株)」が1ページもの3本掲載。

【雑誌】ヤングジャンプ 12/9 No.52 集英社 B5中
 広末涼子だ。
 山口譲司「BOiNG」。今回はボイン女子プロレスラーのダイナマイト娘(キャット)をボインマスターが導くというお話なのだが、彼女のコスチュームが素晴らしい。身体にぴったりとした白い全身タイツ。股間のTの字がまた良い。「ニャアアア」と叫びながら相手に突っ込んでいき、たちまち返り討ちにあって失神させられるさまがファンには大ウケという設定である。見事なまでの馬鹿さ加減である。


11/25(木)……上がってエンボ!

 あと一ヶ月でクリスマス。靴下を4組ほど買う。これでサンタが来ても安心だ。サタンが来るのはちと困る。

【雑誌】アフタヌーン 1月号 講談社 B5平
 今月号はなんといっても、「拡散」の小田ひで次の新連載「クーの世界」が始まったのが一番うれしい。中学生になったばかりの麗寧(れねい)は最近ボーッとしがち。慕っていた兄が死亡して以来、どうも精神的にうまく行っていない。そんな彼女がある日、新しく入る中学校の制服を着たまま寝入ってしまったところ、夢の中で兄そっくりの成年・クーに出会う。そして同時に幼馴染みの亮太(少し頭が弱い)にそっくりな少年にも。それ以来、彼女は眠るたびに同じ夢の続きを見るようになる。そちらは中世イギリス風の景観で、巨大な精霊などが住む不思議な世界。夢の世界も現実の世界も、彼女には等しくリアリティをもって映る。そして二つの世界を行き来する彼女の生活が始まる……という出だし。「拡散」と同様、細部までびっちりと描き込まれた画面の質感は圧巻。絵柄の雰囲気的には、拡散の写実的なタッチとはちょっと変わって、人物の表情にさそうあきらの絵を思い起こさせるような丸みが少し見られるようになった。ためてためて長い物語を一気に送り出してくる迫力は相変わらずで、期待かなり大。アフタヌーンを読む楽しみが大幅にアップ。
 高橋ツトム「地雷震」は最終回。鋭利に重く、そして静かに締めくくり。ラストとしてはそれなりに納得。植芝理一「ディスコミュニケーション」。ロリ的煩悩が爆発するカットがいい。小学生の少女が、怪しい秘儀により自分と同じ形の泥人形を作成され、それに刺された針によって痛みを感じびくびくと悶えるあたりとか。あとベッドで横になるとことかも。まどろんだ表情がHくさく変態的。木村紺「神戸在住」。控えめな女の子の浴衣姿がかわいいのう。普通っぽいところが良い。ソソる。四季賞秋のコンテスト入選作、今井一志「哭くけもの」。母を亡くした子供が、母親の匂いを持つ巨大な生き物「ガーモー」と出会うが、ガーモーの巨大さに恐れをなした人々が彼らを引き離そうとする。絵柄はいかにも四季賞的にペンできっちり描き込まれておりなかなかうまい。お話的には、それなりに読めるがもう少し深み、もしくは爽快さが欲しいところ。うまいけれどもう一歩って感じ。

【雑誌】ヤングサンデー 12/9 No.52 小学館 B5中
「広末涼子物語」で有名な(?)堀口純男の新連載「僕の愛を君に」がスタート。元高校陸上界の星だった男が、結婚する予定の女性の家に挨拶に行ったところ、彼女の妹はなぜか彼に因縁があるようでことあるごとにからんでくる。とりあえず男が姉妹に振り回されそうな感じ。山本英夫「殺し屋イチ」。垣原が本領発揮。彼の強さ、凄さがあらわになる。恐ろしくてカッコイイ。これだけキャラクターの立った悪役は滅多にない。

【雑誌】スーパージャンプ 12/8 No.24 集英社 B5中
 犬塚康生「SWEET16」を読むために購入。お話は16歳なのにまだ生理がこないことをコンプレックスにしている少女が主人公。そんな彼女は、所属しているほとんどお遊び写真部の連中に呆れつつも一人にならないためになんとか調子を合わせていた。周りの連中に笑われることを気にして、コソコソ夜中に一人で写真を撮っていた彼女は、ある日不思議な少女と出会う。その後彼女は突然、机などの物質を通して相手の気持ちが読める能力に目覚めてしまうのだが……。何度も新人としてデビューしている犬塚康生だが、やはり今回も新人扱い。細くて整った描線と、ストーリーを構成する確かな力で、やっぱり気になる人だ。ただ、雑誌でコンスタントにやっていくには線が細いようにも思える(描線という意味だけでなく)。あとは、なにわ小吉「くぴっと一杯」がくぴっと面白かった。絵に書いた自分のオリジナルキャラクターを通わせる奇妙な学校のお話。すごいデブがスケッチブックにとても美人な娘を描き、それに対して違う奴がスケッチブックに描いたキャラクターが恋をしていたりするというシュールな世界。描き手はあくまで無表情で、スケッチブック内のキャラクターを怒らせたり笑わせたりすることによって感情表現するのみ。ひねくれた設定がなかなか面白い。

【雑誌】モーニング 12/9 No.52 講談社 B5中
 作:春場洲太夢+画:松本剛「シャドウ&ライト」は第2回め。キャスター・実咲の体当たりな取材を通して、ボクサー・戸口の本当の一面が見え始める。というわけで4話集中連載の2話めが終了。山下和美「天才柳沢教授の生活」。モンゴル編最終回。それぞれの経験を通じて、それぞれが大事なことを確信して生きていく姿は実にパリッとしていて清々しい。最近の山下和美は素晴らしい。かっこいい。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 12/9 No.53 秋田書店 B5平
 能田達規「おまかせ!ピース電器店」が連載150回記念で表紙&巻頭カラー。表紙の絵が明朗快活で楽しそうでいいなあ。本編もモモコが、ケンタローとアイちゃんに焼き餅を焼くお約束が微笑ましい。水島新司「ドカベンプロ野球編」。今回はドラフトなのだが、マリーンズがとある剛球投手を1位指名。あらまあ。ますます水島オールスター度が増す。

【単行本】「敷居の住人」3巻 志村貴子 アスペクト B6
 美少年・本田くんが送る多感な青春。いろいろと悩みつつも中学校を卒業し、恋もし失恋も経験。美少年ゆえ、というわけでもないが、いろいろな女の子たちと知り合いになるものの、本田くんは単純に幸せにならないなれない。ウダウダと下らないことに思い悩みつつ、大したことも起こらないで確実に時間だけが流れていく日常。実際、事件としてはまったく大したことは起きていない。両親が離婚してしばらく離れて暮らしていた父との再会などは、まあそれなりにドラマではあるんだけれども、とりたてて劇的な事態でもない。そう、彼らのやっていることは全然珍しくないのだ。でも面白い。こぎれいでオシャレな絵柄、それから間のとり方なんかがいい雰囲気を醸し出しているっていうのは確かにある。そして何より、彼らの生活を観察している時間はなんだか居心地がいい。キャラクターたちに共感できるってわけではないし、次の行動が楽しみってわけでもないんだけれども、ぼんやり眺めているだけで楽しい。

【単行本】「続・艶母」 みやびつづる 司書房 A5
 熟れた人妻がひんひんよがりまくる実用系な作品で定評のあるみやびつづる。この単行本は、前単行本「艶母」の続編。バツイチの男と再婚した熟れ熟れ人妻・美沙子さんが、息子となった和彦の計略にハマって肉体関係を持つようになり、彼の若くて強い肉体に溺れていく。この巻では、すでに美沙子さんは息子の虜。そこに美沙子の妹が出現し、息子と関係を持つようになる。嫉妬した美沙子さんは息子の気を惹こうと必死。このお話、人妻さんもたいへんにHでかつ息子の気を惹こうとする姿がなんだか可愛らしかったりするのが何より魅力なのだが、この息子のほうもいいかげん凄いセックスモンスターである。熟れた女二人を向こうに回して朝から晩までやりっぱなし。何発出しても萎えず発射後の回復もやたら早い。それに突きまくられる女二人もやたらタフ。激しすぎるくらいな肉欲の嵐。ってわけで、夜の即戦力をお求めな、コムスメよりも熟女好きなあなたに。


11/24(水)……森の男

 なんか最近、寝床に入る時間がどんどん遅くなっている。今月頭の繁忙期の習慣が直っていない感じ。

【雑誌】CUTiE comic 1月号 宝島社 B5平
 相変わらずレベルが高い中で、今回最も目を惹くのが、かわかみじゅんこ「Something like that」。学校では浮いていて、家庭は父母が不和。主人公の中3の少女は、そんな中で妻のいる男と不倫中。少女の意識のうえを、さまざまな事象は上滑りして通りすぎていくかのよう。不思議な色合いをした少女の瞳のように描写の透明度が高く、染み込んでくる物語。かわかみじゅんこは最近、持ち前の感性のキラメキに加え、描線の整理も進み技量がさらにアップしてきた。うーん、やるなあ。それから小池田マヤが読み切りで初登場。タイトルは「TONGUE&TONGUING」。扉絵はアメリカンポルノっぽい開けっぴろげな感じ(ちょっと下品気味)だが、中身はいつもの絵柄。それなりにHできれいにまとまっている。南Q太「ゆめのはなし」は、気怠い日常を描くエッセイ漫画。悪くはないけど、もっとガリガリに力の入った奴もそろそろ読みたいところ。魚喃キリコ「日曜日にカゼをひく」は今回最終話。これは全編まとめ読みしたほうが良さそうな。オーツカヒロキ「愛ラブSHOCK!!」は元気があって楽しいッス。

【雑誌】きみとぼく 1月号 ソニー・マガジンズ B5平
 ますますイキのいい雑誌になってきた。全体にクオリティが高くて瑞々しい感じ。ヴィジュアル系な感じも多少あるが許容範囲。
 巻頭カラーは藤枝とおる「レンアイアレルギー」。巻頭カラーの淡い色使いが美しい。一重がスランプから脱したと思ったら、今度はアイカが絶不調に。橋本とおる「女神」は読切。親が死に親戚にひきとられた少年が主人公。彼は内気な性格で、なかなか同年齢の親戚の女の子や学校にもなじめないでいた。そんなとき、ふとしたことから学校の人間と女神を呼ぶ儀式を行ったところ、空から自分の親戚の女の子と同じ容姿をした女神がボトリと落ちてきた……といった感じ。女神との触れ合いを通じて、彼はじょじょに閉ざしていた心を開いていく。全体に現実離れした、ふわふわと不思議な雰囲気が気になる作品。花樹いちや「Eve」では、身体液体化少女の大虹が健気で良い。架月弥「チョコの歌」は、圭都と忍の二人がすれ違い続けちょっと怪しい雰囲気に。お話がズルズルと流れていくのが気持ちよし。藤原薫「おまえが世界をこわしたいなら」は、ますます煮詰まった展開。緊迫感が増し、なんとも息苦しい。硬質で美しく、そして今にも崩壊するかのごとき危ういバランスの上に立つ世界。
 そのほかテクノサマタ「B級天国」は細い線で華麗な絵柄。藤田貴美「EXIT」が連載再開。植木家朗「西楼学院番長部」はドタバタ、松成久美子はちんまりと可愛らしい絵柄。あと、朔田浩美が「CQ」という悪霊祓い屋稼業のおねーさん系のお話で初登場。4月号から連載化するらしい。ってな具合で充実。

【雑誌】LaLa 1月号 白泉社 B5平
 森生まさみ「おまけの小林くん」は番外編で、いつものキャラクターを使って「ロミオとジュリエット」製作中のシェイクスピアとその恋人、それからその周辺を飛び回る天使と悪魔のお話に仕立て上げている。楽しそうでよろし。津田雅美「彼氏彼女の事情」。延々続いてきた学園祭編が終了したと思ったら、有馬と宮沢の間に暗雲が垂れ込める。劇に参加して勉強以外の方面で自分の世界を広げた宮沢に対し、有馬はあくまで自分のテリトリー内に彼女が留まり独占することを望む。自分の独占欲に気づいて悩む彼は袋小路へ。かなりハードな展開になってきた。次号あたりから一気に暗転しそう。と思ったら次号は巻頭カラーでスペシャル編が掲載され、本編は3月号に持ち越しとなる模様。

【雑誌】週刊少年マガジン 12/8 No.52 講談社 B5平
 寺沢大介「将太の寿司」。今度は500万円のお皿に巻き物を盛る勝負。将太と対等の条件で勝負するために、高級アサクサノリの養殖場にガソリンまいて火をつける者あり。寿司のためにそこまでせんでも……と思うが、よく考えてみると九州全県を使って8番勝負をする気の長さもかなりのものだ。赤松健「ラブひな」。あまりにも予想された展開に、そうこなくっちゃといった感じ。そして今回も入浴シーンあり。

【雑誌】週刊少年サンデー 12/8 No.52 小学館 B5平
 作:坂田信弘+画:万乗大智「DAN DOH!!」。弾道は、新しくゴルフ部に入った先輩のために、2位の副賞であるゴルフクラブセットを獲得するため地方のコンペに出場。だが、わざと2位を狙う、つまり1位を故意に取らないようにするというファッキンな行為に弾道は葛藤することに。なお、ゴルフクラブセットのメーカー名はモリマン。

【雑誌】MEN'Sドルフィン VOL.04 司書房 B5中
 ドルフィン本誌同様の実用重視な誌面。表紙からして巨乳絵師、間垣亮太だ。まずは、うさぎのたまご「お姉様がほ・し・い」。学校の後輩の少女の家に遊びに来た女の子。後輩に薬を盛られてメロメロに……。いたづらされそうになって途中で抜け出すが、一度火のついた身体はなかなか冷めやらず、町の真っただ中で自慰スタート。んでもって追いかけてきた後輩に首輪をされて引き回される……といったお話。この人の作風はかなり天然系。一見淡いタッチの可愛らしい絵柄なのに、やっていることはけっこうムチャ。しかも無邪気で楽しそう。そのアンバランスさ加減がキモであり魅力である。深田拓士「ヴォイスアクトレス」は、タイトルからも分かる通り女性声優調教モノ。相変わらずベッタベタ。単行本でも「ベタすぎて他人がやらないところをやる」と公言しているだけあって、ここまでステロタイプでストレートなエロをやる人は珍しい。ステロタイプであるがゆえに、エロとしては完成されていていやらしい。LAZY CLUB「あいるちゃんガンバル!」。アイドルが撮影会できわどいポーズをとっている内に身体がうずいてきて、ファンの男どもと乱交するという話。これまたエロとしては、たいへんに男の側に都合のいいリビドーむんむんな作品になっており、実用性は高い。乳はまんまるくてデカい。それから桂よしひろ「奥さん!あ・そ・ぼ」。これまたベタなタイトル。人妻が夫が酔いつぶれている隙に、その同僚の男3人に輪姦されるというお話。桂よしひろは絵がうまいし、キャラクターのポーズがダイナミックでよろしい。人妻オプションによるボーナスヨガリポインツ(to 俺)あり。

【単行本】「風から聞いた話」3巻 奈知未佐子 A5
 上品で優しく、コロコロとした可愛らしい絵柄でいつも変わらず心暖まるおとぎ話を描く。そのコンスタントさとクオリティの高さには毎回感心するばかり。犬や鳥などの動物たちや、かっぱなどのキャラクターも非常に愛らしい。自分に子供がいたら読んで聞かせてあげたい物語。絵本も出ているらしいけど買おうかなあ。奈知未佐子の既刊単行本についてはオスマンを参照のこと。


11/23(火)……いとしのブッチュー

 Jリーグ2ndステージ、清水エスパルスが優勝。めでたい。横浜フリューゲルス最後のゴールを決めた久保山が大活躍だったこともあって、なんだか素直にうれしい。アレックス、日本に帰化してくんないかなあ。あと、沢登って坂本龍一に似てませんか。

【雑誌】ザ・サイコ 白泉社 A5平
 A5平とじ厚手の別冊花とゆめスペシャル増刊。雑誌名からも分かるとおり、サイコホラー系の作品を集めた本。お目当ては池部ハナ子と犬上すくね。池部ハナ子「緊縛料理愛」は、ヒロインの美砂が最近知り合った友達の尚子のところで食事をするシーンから始まる。尚子は料理が上手なのだが、自分で料理するところや、冷蔵庫の中を見られるのを極端に嫌う。で、彼女は彼氏のところに遊びに行く美砂にいつもおみやげとしてミーとボール等をくれるのだが、実はそれは……といった感じのお話。ライトな絵柄のわりにやっていることはエグめ。サラッと読めるけれども。犬上すくね「橘くんオーバードライブ!」。橘くんは美少年なんだけど、好きな女の子ができるとその娘のパーソナルデータを完璧に調査し始め、その娘の家のゴミ袋をあさったりする「サイコ前夜野郎」だった。彼の幼馴染みである愛美は、その異常な追求癖を見かねていつも尻ぬぐいをしているのだが……。こちらは軽いノリのドタバタコメディ。けっこう少女少女してて微笑ましい。

【単行本】「ヨリが跳ぶ」19巻 ヒラマツ・ミノル 講談社 B6
 Vリーグに上がったオグリが快進撃。しかし、やはり国舞リップスそしてヒロコの壁は厚かった。だが食らいついていくことにより、ヨリたちは少しずつヒロコの領域に近づいていく。おそらく次の巻が最終巻になる「ヨリが跳ぶ」だが、女子バレー、男子バレーを通じて、これほどまでに力強くバレーボールを描ききった作品はほかにないのでは。ヨリの、ヒロコの、リカコの描き出すボールの軌跡の美しさ、荒々しさは単純にスカッとする。別に新しいことをやっているわけではないけれども、既存の漫画表現を突き詰めて突き抜けた作品という感あり。こういうのを読むと漫画読んでて良かったなあと思う。

【単行本】「諸怪志異(三) 鬼市」 諸星大二郎 双葉社 A5
 中国の宋の時代、道士の弟子である少年がさまざまな怪異に出会う物語。諸星大二郎らしく、薄暗くミステリアスな世界を、肩の力の抜けた筆致で描き出している。奇妙ではあっても落ち着いて腰を据えて読める、手に馴染む読み心地が気持ちいい。

【単行本】「親愛なるMへ」3巻 六田登 集英社 B6
 これにて完結。息子を殺人事件で失った男・小林。小林は後に犯罪を犯した少年の面倒を見る保護司となるのだが、彼の担当した少年・大東もまた人を殺した前科を持っていた。自分の息子を殺した相手ではないが、小林は大東に対して複雑な思いを抱えることになる。その後、小林の娘・章子が大東とつき合うようになり、二人は駆け落ちする。そして父は、娘は、少年は、それぞれのやりきれぬ想いを胸に迷い続ける。六田登は陰鬱な物語であるほどお話に深みが増して面白いが、この作品もなかなか。もっともっとキャラクターたちを激しく追い込んでもよかったような気はするものの、やりきれないお話をきちんと物語として昇華する腕前はさすが。

【単行本】「ブッチュくんオール百科」 天久聖一+タナカカツキ ソニー・マガジンズ A5
 すごい手の込んだジョークである。オバケのQ太郎的外観をしたキャラクター・ブッチュくんが主役の漫画「ブッチュくん」(もちろん架空)の大百科という位置づけの一冊。キャラクター紹介から始まり、ブッチュくんのひみつ、単行本各巻の内容紹介、アニメのプロット、グッズ紹介……と全編ブッチュくんの魅力を満載している。ページ数は実に270ページ。ブッチュくんは巨大な唇(オバQ型でそれよりも一回りデカい)を持ち、絶倫で助平な宇宙人。その周りには「ドラえもん」的なイジメられっ子、ヒロイン、イジメっ子、ズルイ奴などの役者が揃う。絵も例の藤子・F的タッチである。随所に「ブッチュくん」から何コマかが引用され、実際にその作品があったかのごとき様相。銀色に金文字の表紙や装丁も手がこんでいる。冗談はマジで、大げさにやればやるほど面白いものだが、その点この本は実に天晴れ。


11/22(月)……アーモンドでバタンキュー

 巴旦杏で今日破綻。

【雑誌】フラミンゴ 1月号 三和出版 A5平
 今号はなかなかいい出来だったと思う。海明寺裕、鋭利菊、蜈蚣Melibe、白井薫範といった連載陣が絶好調なのだ。まず海明寺裕「puppy Love」。K9の主人としての自覚に芽生えた少年が、自分の従姉弟、叔母「だった」者たちを躾けていく。それぞれの置かれた立場が入れ替わっていく瞬間を、実に巧みに描き出す。親戚から家畜への、そしてご主人様への変化。その差は微妙に見えて揺るがし難く厳然としている。境界線は、その世界の外から見ると微妙で危ういもののようだが、中から見るとほとんど絶対的でさえある。海明寺裕の筆は実に確信的で、描かれる世界の奥は深い。見事である。鋭利菊「メイド IN JAPAN」。世界的大富豪の邸宅で行われる、少女メイドの競り市。そこで高値をつける日本人メイド。毛党オヤジどもに奉仕する瞬間のメイドたちの姿は、間抜けているとともに神々しくもある。ラストのどうしようもない結論のへなへなぶりがまたいい味。蜈蚣Melibe「バージェスの乙女たち」。腕を切り落とされ、常軌を逸した巨大さに改造された胸乳を使って戦う「バストボクシング」の試合が今回のメイン。ユーモラスでもありグロテスクでもあるこんな競技を考えつく蜈蚣Melibeの発想力に圧倒される。白井薫範「私の罪はアナタノツミ」は最終回。最初っから飛ばしていた今回のシリーズだが、豚女の調教は回を増すごとにエスカレートし、ただでさえ突き抜けているのがめくるめく極北世界まで行き着いてしまっている。白井薫範先生はやっぱり凄玉だ。
 巻頭カラーの町野変丸「ゆみこと豆の木」。ネタをバラすと面白さが半減しそうなので詳しくは書かないが、最近の町野変丸作品の中でもかなりスケールがでっかくて良い出来。海野やよいは新連載「囚われ人」をスタート。鰤てり「好きな人」は、藤子・F・不二雄の未来から来た猫型ロボット漫画っぽいキャラクターたちを使った漫画。力自慢のイジメっ子やその横にいるずる賢い奴、クラスのアイドル的女の子らが、担任の女教師&眼鏡のイジメられっ子少年を凌辱するというお話。眼鏡のイジメられっ子の野田くんがナヨナヨしていて、ショタっちくてオトクな雰囲気。古賀燕「身体の記憶 心の傷」。暗い背景に浮き上がる女の子の白い身体。雰囲気はなかなか耽美的で良いのだが、ストーリーにはもう少し業の深さが欲しい。

【雑誌】コミックドルフィン 1月号 司書房 B5中
 今号も実用一直線な潔い誌面。巻頭カラーは天崎かんな「姉ちゃんより愛を込めて」。寂れた銭湯で、姉と弟、そして弟の彼女が入り乱れて激しくいたす。下唇のあたりがもったりしててちょっとクセのある絵柄だが、やってることはパワフルでいやらしい。それから最近の実用系注目株、北方国明「アレルギーの特効薬」。今回は第3話。基本的に、男の体臭で欲情してしまう女教師がその体質のせいで男どもによってたかって……というお話。今回は電車内で見ず知らずのサラリーマンのおっさんたちに囲まれて、まあいつものように。かなり都合のいい設定ではあるが、液体を飛び散らし、押し寄せる快楽に溺れていく女教師の姿はいやらしい。乳と尻を振り、四方八方から棒で突かれまくる。とにかく密度が濃く、やることもハード。リビドービシバシの肉弾系。ストレートな実用度では今号のイチ押し。第17回ドルフィン新人マンガ賞佳作の虎堀太「母性」は、近親相姦モノでのハードエロス。この雑誌は新人からして肉弾系だ。肉体の描き方が瑞々しくて熱っぽく、ドルフィンでは即戦力になりそう。
 火野聡太「メルヘンブルグのバカ奥様」は、奥様の熟れてこなれた身体のラインが柔らかくて魅力的。ペットショップで「バター犬ください」といってのける頭の軽さも良い。マーシーラビット「Wild West Walkure」は、先日復刊された「MERCY'S FILE」に収録された作品。「MERCY'S FILE」はもとは大洋図書から出ていた単行本で、大洋図書版に比べて司書房版が変わったのは「Wild West Walkure」が収録された点。これを雑誌で掲載してしまったので、大洋図書版を持っている人はドルフィン今月号を買いさえすれば司書房版を買う必要性はほぼなくなるわけだ。良心的というか商売下手というか。

【雑誌】漫画アクション 12/7 No.49 双葉社 B5中
 かいともあき「白い少年」。かなり好調な模様だ。次号では巻頭カラーになってしまうくらい。今回は白い少年が、無遅刻無欠席を守るためだけに、むちゃくちゃなアクションを連発する。ヤクザの痴話げんかの現場に乗り込んだり、そば屋の看板を踏み台にして自転車で民家の屋根越えをしたり。途中の馬鹿馬鹿しいまでに大げさで極端なアクション、そしてラストの下らないオチ。たいへんに面白い。しりあがり寿が読切で登場。タイトルは「泣き熊著作人」。大ヒットキャラクターもの商品化であくど行いをしようとする者どもを、キャラクターの著作権を一手に握る「著作人」が、遠山の金さんばりの裁きで懲らしめるという少し間抜けな味わいのお話。

【雑誌】ヤングチャンピオン 12/14 No.24 秋田書店 B5中
 巻頭カラーで石渡洋司「サバイバー」がスタート。スズメバチに巣を襲われてただ一匹残ったミツバチの物語。ではない。むろん。ストリートでガソリンかぶって、ライター二つから火花の出るもの出ないものを選択し、どちらかが焼け死ぬといったムチャな勝負をしたりする、命をむげに扱うジャンキーな若者たちの物語。なんだかむやみに大仰な展開で、これからに期待を持たせる。山本夜羽「マルクス・ガール」が最終回。革命は成し遂げられず、かといって挫折もしない。勝利も敗北もしないまま少年少女は生きていく。不完全燃焼な感じ。山本夜羽にしては乳がデカイというのが気になった一作。あ、それから主役格の少年もちんちんがデカかったようだ。

【雑誌】ヤングマガジン 12/6 No.51 講談社 B5中
 平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」がついに復活だ。とか思ったら番外編である、といってもそんなに番外っぽくはないが。巻頭カラー4ページでゲンさんに会えるというのは、なかなかにスパイシー。初掲載、藤枝岬「アーモンド」。ほのかにアーモンドの香を漂わせている恋しいあの娘。アーモンドに臭いの元は青酸カリ……ではないが、かなりイヤなモノであった。アッサリとしてちょいとぎこちなげな感じの絵がわりと気になる。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 12/6 No.51 小学館 B5中
 榎本ナリコ「センチメントの季節 2度目の秋の章」は今回で最終回。一話完結だとまとめようとするあまり不自然になってしまうときもままあった「センチメントの季節」だが、このシリーズは続き物だったので、一つ一つの要素を十分に煮詰めることができていたように思える。あと登場する女の子が、わりと普通っぽかった点も良かった。たっぷりと楽しんだ感あり。山本康人「僕」。ボクシングの試合に全神経を集中する「僕」と、その横で勘違いしてトキめいている女の子の対比が楽しい。女の子の「ちゃはー、」「照れるのダ!」という言葉遣いも、手塚治虫「三つ目がとおる」の和登サンみたいでソソる。っていうか和登サン、サイコー。作:雁屋哲+画:花咲アキラ「美味しんぼ」。山岡夫妻に双子が生まれて連載再開。命名でなんだか悩んでいるようだけど、上の子はウニ、下の子はカラスミとつけるといいと思う。なんとなく。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 12/6・13 No.52・53 集英社 B5平
 黄色バックにヒカルの顔のアップの表紙が目を惹く。そして巻頭カラーも、作:ほったゆみ+画:小畑健「ヒカルの碁」だ。2コマめに出てくる脇役の女の子(少年かもしれないけど)とモノクロ1ページめに出てくる眼鏡の地味そうな娘がちょっといい。かずはじめ「明稜帝悟桐勢十郎」は最終回。巻末に掲載で、なんだかひっそり。

【雑誌】ヤングキング 12/20 No.24 少年画報社 B5中
 佐野タカシの計算され尽した、そしてテンションの高いエロス! っていうかH! 「イケてる2人」は今日も絶好調。いいムードかと思いきや、しっかり焦らしてくれるあたりがわきまえているというか。九尾たかこが読切で登場。タイトルは「恋の名前」。おねーさんが年下のかわいい少年を逆ナン。お互いに恋人のフリをし合う間に情も沸いてこようというものだ、というお話。


11/21(日)……小説は述べる

 京極夏彦「百器徒然袋 雨」を読了。どたばたと楽しかった……というのはまあ置いといて。書店の棚に、京極夏彦作品の副読本的な「百鬼解読」(講談社ノベルズ)という本が並べて置かれていた。装丁は京極夏彦のシリーズと一緒で、その著者が多田克己だった。これを機会にDAPHNIA作品も馬鹿売れ?……なわけないか。

 以下、この前のコミティアで兄が購入した分の同人誌。< >内はサークル名。文中敬称略。

【同人誌】「武富健治選集」第一巻 <胡蝶社> 武富健治
 ビッグコミックオリジナル新人賞増刊号にまれに作品が載る武富健治の作品集。今どき珍しいほどに劇画調で陰鬱な雰囲気をたたえた絵を描く人だ。たいへんに理屈っぽく苦悩するその姿は、深い闇の中を手探りしているかのよう。技術的には文句なし。絵もうまい。ただ、大向こう受けするような作風ではまったくない。世界中の罪を一身に背負っているがごとき、キャラクターたちの暗い目つきは異様な迫力を持つ。この前の新人賞増刊号に掲載された「シャイ子と本の虫」なんかは他愛ないことをやっているのに、目つきのせいで無闇に邪悪な感じさえしたものだ。創作の姿勢は恐ろしいほどに真摯である。もう少し気楽にやってみてはとたしなめたくなるほどに。でも、そこから生み出されてくる作品がこの上もなく個性的であるし、そこに惹かれてやまない。だからこの人はこのままでいてほしいとも思ってしまう。
 この選集に収録されたのは、小学館ビッグコミック賞入選の「屋根の上の魔女」と、同人誌ぴろう掲載の「M」「J」。合計3作品。「屋根の上の魔女」は、とある小説家の学生時代の作品に沿う形で起こる殺人事件を描く。小説通りに殺人事件を起こすことによって、その小説家に「選ばれる」ことを求めた女の激しく悲しい物語だ。あまりにも過剰で、あまりにも激しく、あまりにも煮詰まった精神状態を感じさせる作風には圧倒されずにおれない。「M」は死に瀕した「飛び女」を救うべく奔走する男たちのお話。何人かの男たちで女を担ぎ上げ、裏山から放り投げる。この飛んだ距離を競う。そのスポーツともなんともいえないような競技のために使われる女が飛び女である。異様なまでに描写は真摯であるのに、飛び女という風習は最後まで得体が知れない。ものすごくシュールな作品だ。シュールという意味では「J」も同様。現在のサッカーがすたれ、手を使い格闘もありなハンドサッカーが主流な時代が舞台。今では数少なくなった「ハンドレス」サッカーのチームと、ハンドサッカーのチームの試合を描く。試合に賭ける選手たちの思惑は複雑。スポーツものであるにも関わらず、読後感は得も言われぬものがある。

【同人誌】「GEKI-MAN」No.0〜3 <日本漫画党>
 おぎのひとしと有賀忠が中心となって発行している本。表紙はコート紙が使用されており、製本も上等。印刷もきれいで、全体的に本の作りが本格的。おぎのひとしは別冊コロコロコミックスペシャルでも描いているプロ作家だけあって、きれいにまとまった作品を描く。とくにNo.3収録の「眠る少女」は、静けさと切なさが同居するなかなかいい作品。大正っぽい時代設定とお嬢さまが良い。それから有賀忠はもっと良い。淡々とした筆致で不思議な雰囲気のお話を描く。これまたNo.3収録の「変な日」は、突然学校にやってきた女の先生によって授業中に外に連れ出された少年が、マンホールに潜り、得体のしれない地下鉄に乗り、見たこともない地に連れていかれる。絵もうまいし、コマ割りも巧み。ぐるぐると読者をひきずり回し、眩暈を起こさせるような幻惑的なストーリー運びも秀逸。商業誌デビューしててもおかしくない実力はあると思うが、どうもまだらしい。

【同人誌】「Tableau3.5」 志賀彰
 学校という枠にとらわれないちょっと変わっているけど自由な雰囲気を持った少女と、無気力な同級生の少年が、町を歩く。その間に二人の距離は近づいていくが……といった感じで進む青春物語。志賀彰は画面の構図取りなど、かなりの実力の持ち主。引いたカット、寄ったカット、アオリなどをきちんと使いこなす。描線は端々でラフっぽく見えるが、それは十分味になっている。冬目景っぽいといわれてしまいがちな絵だけれども、フォロワーというだけではけして終わっていない。4巻にするにはページが足りないから3.5なのだそうだ。足りないページ数は50ページくらいとのことで、50ページ描き足されたときがどれくらいの出来になるかが非常に楽しみ。

【同人誌】「ウツマン」 YANMAR
 家を引っ越す前にふと思い出した少年のころの一風景を淡々とした筆致で描く。タッチは多少ラフだけれども、トーンを使わない絵柄は薄暗さと青臭さが同居していてなかなか惹かれるものあり。大きなストーリーはないけれども、なんだか印象に残る作品。

【同人誌】「秘密のひみつの階段」 <Sally Gardens> 紺野キタ
 偕成社のコミックFantasyで連載されていた「ひみつの階段」の設定、キャラクターを使って描かれた外伝的なお話。紺野キタの絵は実に端整だ。上品で清潔で文句なくきれい。日の当たる庭園で、ティーパーティを催してスコーンでもいただいていそうな英国趣味少女な雰囲気もある。高度に完成された少女的世界が美しく結晶していてなんとも憧れてしまうのだ。実際の女の子はこんなにキラキラしてないって分かっていたとしても。

【同人誌】「comic Drop」no.002〜003 <モースカドー>
 わりとスカした感じの本。装丁が美しい。no.003に、コミックビーム12月号から連載を始めた鈴木マサカズの作品が掲載。タイトルは「涙は悲しさだけでできてるんじゃない」。電車内で隣の女子高生がケモノのように泣き出し、その脇で作者が物思いに耽るという作品。4ページと短いが、下らなくて良い。

【同人誌】「みるく★きゃらめる」4号 <みるく★きゃらめる>
【同人誌】「高野文子『黄色い本』を読む」 吉本松明
【同人誌】「ぴあのno気持ち セカンド・セッション」 石川ひでゆき
 実は漫画評論の同人誌はおおむね好きでない。いまいち目的が分からないからだ。同人誌のようなごく少数の人しか見ないメディアで評論をやるメリットは、たぶんさほどない。実際に漫画評論の同人誌を見ても、やたらに高邁な理想を掲げつつせいぜい陰口や説教、自己満足程度に終わっているものがほとんどで、感心するようなものはごく少数だ(もちろんいいものもあるけれど)。そんな中で、吉本松明/石川ひでゆきのユニット「みるく★きゃらめる」は実にいい仕事をしている。同人誌で漫画評論をする場合、たぶん最も意義あるスタンスは「評論をする、本を作ることによる知的快楽の追求」だと思う。みるく★きゃらめるは、それを十分にわきまえているように思われる。目的もズバリ「ウケ狙い」だ。実になんとも潔い。愉快痛快である。
 さて「みるく★きゃらめる」4号の特集は「ショタ」。石川ひでゆきによる、少年二人が寄り添っているあざとい表紙がまず目を惹く。そして吉本松明先生による労作。ショタに関する研究。3号では「図がない」と不満を述べたが、今回は表もあってバッチリである。図があると書かれている内容はどうでもよくても、意味もなく「いかにも立派そう」に見える。しょーもないことを仰々しく検証し煎じ詰めていくことによって、全体で壮大なジョークになっている。石川ひでゆき「かいぞうにんげんのよる4」も狙いまくっていて素晴らしい。石川ひでゆきの漫画に関しては「ぴあのno気持ち セカンド・セッション」も同様。あざとい表紙、あざといサービスシーン、内容のくっだらなさ。いずれをとってもステキである。この漫画のラストのHなところで、わりと兆してしまったことを正直に告白しておこう。「高野文子『黄色い本』を読む」は、アフタヌーン1999年10月号に掲載された高野文子「黄色い本」を読むためのサブテキスト。セリフやオノマトペなどなど、細かい部分まで解説が加えられており、こちらは真面目に作られた地味だけど力の入った一冊。
 3冊ともスタンス的にビッとしてて実に素晴らしいですなあ!


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