2008年2月中旬


2/20(水)……暗がりで櫻狩り

OHP月極アンケート、2008年2月分「ひまつぶしに良い漫画」の締切が近づいてきました。ひまな方は投票、およびコメントをお寄せいただければと思います。もちろん忙しい方や、ひまというほどではないけど忙しいというほどでもない方も歓迎です。

【雑誌】凜花 No.3 小学館 B5平 [s-book.com]

 フラワーズの増刊。750ページもあって今号もぶ厚いです。小玉ユキや岩本ナオ、江平洋巳ら、フラワーズの新鋭組がけっこうなページ数を描いており、諏訪緑やさいとうちほ、田村由美、渡瀬悠宇などベテランメンツも充実していて、作家の層も厚い。ただそのわりには、案外書店で見かけないような気もするんですけどどんなもんですかね。その点はちともったいなく思えてしまう雑誌。

 小玉ユキ「種男」。一人暮らしで会社ではお局さん的扱い、生活に疲れていた妙齢のワーキングウーマンな人が、ある日ヘンな拾い物をする。それは見た目はとびきりの美青年なのだが、1日2回水を飲むだけであとはじっとしている、人間のような植物のような生き物。最初は戸惑う彼女だったが、しだいにそれが彼女の生活に潤いを与えていく。日常の中にとけこんだ不思議なファンジーといった感じの物語で、雰囲気はなかなか良い。作画的にもちょいと甘やかなところがあり、心地よく読める。

 岩本ナオ「雨無村役場産業課兼観光係」。Uターン就職した主人公・銀一郎と、その幼なじみであるメグミ、そして澄緒の青春物語。ここまでのお話では銀一郎→メグミ→澄緒と片想い中な構図が描かれてきたが、今回は澄緒の気持ちが明かされる。まあ扉ページでも書いてあるから書いちゃいますが、澄緒はすごくハンサムで村中の女子にモテモテな男なのだが、彼の好きな相手は実は銀一郎。ということで見事に三角関係が成立。作画やお話の進め方はのんびりしててほのぼのムードなんだけど、お話のほうはだいぶ動いてて面白くなってまいりました。雰囲気が心地よいのがいいですね。あとキャラとしてはメグミがけっこう好きです。太めでサバサバした性格の女の子キャラは見てて楽しい。

 渡瀬悠宇「櫻狩り」。タイトルは櫻だけど今回は菊狩りですなあ。というオヤジめいたことはおいといて、美青年であるご主人様・蒼磨の秘密を知ってしまった、書生の正崇は、蒼磨の背負う業に引きずり込まれていくことになる。まあ要するに手込めにされてしまうわけです。3話めにしてこれなので、今後はさらに濃いことになっていきそう。なかなかスリリングで面白いです。フラワーズではちょっとやりづらそうな、そのものズバリなボーイズラブも、増刊枠では遠慮なく展開している。てなわけでフラワーズ+αなモノを求める人にとってはよろしいのでは、と思います。

【雑誌】花とゆめ 3/5 No.6 白泉社 B5平

 鈴木ジュリエッタの新連載「神様はじめました」が開始。ろくでなしの父親が失踪し、住む家もなくさまよっていた女の子・奈々生。そんな彼女が町でバッタリ出会った犬嫌いの男を助け、彼はその御礼として奈々生に自分の元いた家を譲ると申し出る。で、その家に行ってみたところ、そこは古ぼけた神社だった。実はその男はその神社にまつられていた土地神で、奈々生は土地神として役割を受け継がなくてはならなくなったのだ……といったところからお話はスタート。なんだか「かみちゅ!」みたいな感じですな。ドタバタしたコメディテイストのお話で、まずは賑やかに始まった。面白くなるかどうかは今後の転がし方しだいってところでしょうか。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 3/5 No.5 小学館 B5中

 恒例の読切シリーズ「高橋留美子劇場」最新作が掲載。今回のタイトルは「しあわせリスト」。町内の幸せな家庭を標的にした連続放火事件の謎に、平凡な主婦の真由子さんが迫る。ご近所さんのどこにであるようなないようなドラマを、淡々と描いていてきっちり読ませる。派手さはないけどさすがにうまいし読ませる。高橋留美子についてはそろそろ青年誌のほうがいいんじゃないかという声もけっこう多そうだけど、まあ自分もそれは同意かなー。「犬夜叉」もお話を全然追っかけられてないし。

【雑誌】週刊少年サンデー 3/5 No.12 小学館 B5平

 畑健二郎「ハヤテのごとく!」。ハヤテのヒナギクのおデート編は、最初はどうなることかと思ったが、ハヤテの気配りもあって楽しい1日にまとまった。遊園地で楽しそうにしているヒナギクの様子が微笑ましい。あと1日の締めくくりはちょい甘めで、こちらも心トキめくものはある。

 読切、深城千唐「もののけ探偵事務所」。妖怪を見たりボコったりできる探偵さんが小さな女の子の依頼にこたえて、悪質な疫病神を退治。絵柄的には荒木飛呂彦をコミカルにしたような画風で、高橋秀武にもちょっと似た感じ。それでお話は軽いノリで展開しており、主人公の探偵のキャラも飄々としている。読みやすく楽しく作ってあって、完成度はけっこう高いと思う。

【雑誌】週刊少年マガジン 3/5 No.12 講談社 B5平

 はっとりみつる「ケンコー全裸系水泳部ウミショー」。ウミショー水泳部先輩3人衆の卒業式。この作品らしく、前向きで爽やかな卒業模様で良かったです。とくに今回は黄瀬先輩がイイとこ持っていった。まあここまでのお話では織塚・イカマサの二人のほうが目立ってたので、たまにはこういうのもよろしいですな。なお先輩3人衆は卒業したといっても、お話には今後もちょくちょくからんできそうな感じではある。

【単行本】「ラブハン」 マイノリティ コアマガジン A5 [Amzn]

 マイノリティの作風はやっぱ濃い。今回の単行本は作者いわく「萌え寝取られ」が共通テーマだそうで。寝取られをやりながらもラブラブだったりして後味が悪くないといった感じの路線を目指していたらしい。まあ後味が甘ったるくて楽しいという部分についてはしっかりクリアできてると思います。でも、作者自身も書いてるけどテイストとしては、寝取られってよりは寝取りですね。彼女が心変わりするっていう展開が毎度ありはするんだけど、基本的にはラブラブ。まあ要するに「障害(前の男)を乗り越えて結ばれた二人」のお話になってるので、そりゃもう甘ったるくもなろうというわけで。

 この人の絵柄は、パッと見でキレイとかいうタイプではない。すごくクセがある。ファッションも妙に装飾過多だったりするんだけど、そういうのがいちいち味になっているのが面白いところ。ヒロインさんはピチピチのボンデージ系の衣装を着ることが多いんだけど、絵のクドさもあって、それがけっこう自然になじんでいたりする。というか読んでいるうちに読者の頭が慣らされていくような感覚。

 お話のほうもラブラブでとても濃厚に甘ったるい。巻頭作の「ラブ♥ハンディホン」シリーズは、生徒会長と関係のある副生徒会長の先輩を、後輩男子が寝取っちゃうというお話。副生徒会長は寝取られた後は主人公にメロメロになって、時代劇調の格式ばった口調ながらお嫁さん願望を口にしたりと甘えまくり。クセの強いキャラだけに、それが折れたときのインパクトも強めに感じられるんですな。感じさせられて「くっ…不覚」とか口走ったりするしゃべり方とか、クドいデザインの制服などのファッションとか、かなり印象に残ります。

 モテる弟の彼女をモテない兄貴が寝取る「ピュア♥チェリー」シリーズもこれまた特徴的な作品。兄とラブラブになった彼女は、パッと見はすごく普通の女の子。でも、くっついた後でいったんすれ違い、その仲直りエッチでなぜかボンデージ系の衣装をつけてたりと、唐突に過剰なところを見せる点がたまらない。お話のほうも甘ったるいです。

 マイノリティの作品は、最近のエロ漫画の「ラブラブ度とエロエロ度が正比例する」という傾向がすごくよく現れていると思う。エロが濃い=愛情が高まっている証であるので、ちょいとやりすぎ感のあるエロシーンも甘ったるく読める良さがある。面白い作家さんだなあと思う。

【単行本】「思春期は発情期。」 甚六 コアマガジン A5 [Amzn]

 とてもボリューム感のあるエロをつるっと読ませる甚六のコアマガジン初単行本。絵柄がたいへん整っていて、素直にキュートな女の子を描く作家さん。お話的にはタイトルどおり、思春期少年少女のラブラブエッチが多い。殺伐としたところはなく、安心して読めるエロ漫画となっている。で、この人の一番の特徴は、たいへんお肉のボリューム感があることでしょう。乳も良いんだけど、なんといってもこの人の場合は尻ですね。丸々とした尻が、コマを覆いつくすロシーンは、とてもインパクトがある。その丸みと堂々とした重たげなフォルム、つるんとした質感はとても良いものがあります。

 とくに良いのが、巻頭に収録されている「放課後♥」。バレーボール部の女の子と、クラスメートの眼鏡少年のラブラブエッチ話なのだが、ブルマーがはちきれんばかりの尻の量感は素晴らしい。乳もすごくデカくていい形だけど、「これパースが微妙におかしいんじゃないの?」ってくらいに強調された尻のほうが強く印象に残ります。

 「in Season」もいいですね。夏休みを利用して少年少女が田舎でずっと寄り添ってやりまくるというお話だけど、説明やセリフを最小限に抑えており、この単行本の中ではちょっと異色な感じのする作品。伸びやかにエッチにふけっている様子がとても爽やか。水着の日焼け跡が目に眩しい。局部描写など、エロシーンの表現自体はけっこう描き込んでてエロっちいんですが、この人の作風はなんか爽やかさみたいなのが常にある。眺める快感のある作風だなあと思います。


2/19(火)……不可能な蚊

【雑誌】モーニング・ツー 4/1 No.08 講談社 B5中 [Amzn]

 小田扉「前夜祭」。朝毛第二中学の文化祭の伝統セレモニー、「泥祭り」を仕切る委員長「泥王」をめぐる物語。学校限定の得体の知れない行事をめぐって、人間模様がいろいろうごめいている様子が面白い。現実にありそうな行事ではあるけれど、実際にあると考えるとかなり間が抜けているという感覚がいいです。以前から、小田扉の作風は「ない風習を作る」という点で、吉田戦車と通じるものがあると思っていたけれども、これはその典型例的な作品。こういうのすごく好きなんですよね。

 笠辺哲「神々の遊戯 神の愛」。卒業式後に集まった大学の仲間同士の麻雀で賭けられたものは……。最初はくだけた調子の気楽なお話っぽく始めて、最後はきれいにヒネっている。オチのつけ方、ヒネリ方がうまいですねえ。ただ作品タイトルについてはこれでないほうが意外性は出たかもしれない。

 あと今号には、次号から始まるオノ・ナツメの新連載「COPPERS」のスタート直前特別企画が掲載されている。取材レポ的な1P漫画も掲載。連載始まる前からこんな企画が組まれるとは、出世しましたなあ。

【雑誌】ヤングチャンピオン烈 3/30 No.11 秋田書店 B5中 [Amzn]

 北河トウタが初登場。「ありさ」。彼女にフラれた後、メイド喫茶のメイドさんと仲良くなった主人公。そのメイドのありさが部屋にやってきて、主人公専用のメイドとなってくれるが……というところから始まる物語。「俺だけのメイドができてメロメロだよーん」という甘ったるいお話になるかと思ったら、お話はその後、意外な方向に展開。描いているのが北河トウタで、なおかつ萌え系の多いこの雑誌だっただけにより驚かされた。この人こういう作品も描くんだなあ。

 Cuvieの新連載「ナイトメア・メーカー」。寝ている間の夢を自由に操れる機械を開発した主人公だが、エロ夢を見ていたはずがなぜかことごとく悪夢になってしまう。原因がよく分からない主人公は、その機械を保健室の女先生に試してみるが……。一話完結っぽくもあるけど、タイトルからしてこの機械は今後も出てくるんでしょう。どんな感じで転がしていくんですかね。

 みた森たつや「僕と彼女のホント」は最終回。巨乳大好きで、二人の巨乳娘からモテモテになった主人公。しかしそこにはある秘密が隠されていた……。序盤から中盤のアツアツラブラブ、おっぱいバインバイン展開はなかなか楽しかったし、終盤のしょうもない展開にも笑わされた。なかなか楽しい作品だったと思います。

【雑誌】チャンピオンRED 4月号 秋田書店 B5平 [Amzn]

 作:元長柾木+画:大熊由護「ヤクザガール〜ブレイド仕掛けの花嫁〜」が連載開始。病床に伏した祖母に早く孫の顔を見せたいということで、嫁探しのために名門学園に入学した少年・遷宮史宏。そこで彼は運命の(と思しき)少女と出会うも、その学校は生徒同士がいくつかの派に分かれてガチで殺し合うものすごいところだったのでした……という出だし。派手な始まり方ではあるが、いちいち学校で殺し合ったりしてて大丈夫なもんでしょうか、と月並みながら思ったりはする。

 作:南條範夫+画:山口貴由「シグルイ」は新章開始。今度は藤木・伊良子の話を離れて、地べたをはらばう異形の剣士・屈木頑之介の物語を展開していく。「蝦蟇」を思わせる異様な容貌の持ち主だけに、凄い絵ヅラになりそう。えーと確かこれは平田弘史版でも取り上げられていたっけかな? 何はともあれ山口貴由がこのキャラをどう描いてくるか楽しみ。

 読切2本、速野悠二「バージンロープ」、二ノ瀬泰徳「まじょろっか」はどちらもけっこうエッチな作品。「バージンロープ」は少女たちから尻子玉を抜いて肉欲の虜にさせている河童少女を、巫女少女がやっつけようとするが、その結果エロいハメに陥る……という内容。身体を守るしめなわの縛りがエロっちかったり、尻子玉挿入シーンで少女が悶えたりとなかなか。「まじょろっか」のほうは相変わらず触手です。魔女の娘の股間に触手がうめこまれて、それがうにょうにょ蠢く。クラスメート女子全員の裸が描かれたり、なんともまあ破廉恥でございます。あとこの人の描く触手は妙に気持ち良さげなんですよね。そこがいい。

 あと次号から、中嶋ちずな「アリスの100°cc」連載開始ということで、その予告編も掲載。おもらしから女の子を守る陰尿師の話らしいです。

【雑誌】COMICリュウ 4月号 徳間書店 B5平 [Amzn][定期購読:7andyicon

 アサミ・マート「木造迷宮」。今回は女中のヤイさんに、町で出会った少年が一目惚れ。しかし彼はヤイさんの生活を見て、彼女がいかに今の仕事を気に入っているかに気づく。ヤイさんの美しさ、それから少年のほろ苦い恋模様がしみじみいい雰囲気で描かれてて良かったです。あともう一つ良かったのが少年の幼なじみであるらしき女の子だー。いかにもツンデレな幼なじみでベタな存在なんだけど、やっぱり心トキめくものがあります。なお単行本1巻が3月19日に発売されるとのこと。良かった良かった。

 読切、つばな「フカのおなか」。どんどんさびれていっている町に住んでいる少年少女のお話。ヒロインのトーコは、好きだった少年・森君が引っ越してしまうということで複雑な想いにとらわれてしまうが……。青臭く、かつ爽やかにお話を展開しててなかなか面白い。この作風であれば、作画面が伸びてくるとより良くなりそう。

 いけ「妖怪っぽい」。こちらは第2回龍神賞で銅龍賞を受賞した作品。現代に生きる妖怪たちの世界を、楽しくかわいく描いた作品。メインとなっているのはスク水姿で泳いだりしているねこみみ少女とか。キュートな絵柄でサービス精神もある。CGのジャギーが出すぎな感じに見えるのはわざとかな? ちょっと解像度粗めでザラザラした感じが、暖かな質感につながっている感じはする。

 黒釜ナオ「ドグルム」。機械人形の反乱によって追い詰められ、シェルターに避難した男女の物語。機械人形たちは人間とそっくりなので、パッと見では見分けがつかず、シェルター内の人々は疑心暗鬼でパニックになりそうになる。描線のしっかりした達者な絵柄できっちり作ってある。星野之宣とか、SF系の作家さんに近い作風で、完成度は高い。ただ現在のままだといまいち独自色がないので、今後はどれだけ自分の色を出していけるかってとこでしょうか。

【雑誌】ウルトラジャンプ 3月号 集英社 B5平 [Amzn]

 「皇国の守護者」の伊藤悠の読切、「新線西武軌道」が掲載。ULTRA JUMP MEGAMIX vol.2に前編が掲載されたままになっていた作品だが、今回は後編も合わせて75Pを収録。荒廃仕切って政府からも見捨てられたような土地を突っ走る、ただ1本の列車・西部線の乗組員たちの活躍を絵がっくアクション。キレの良い絵柄がカッコ良く、アクションあり、トキメキあり、人情ドラマありの物語を歯切れ良く展開している。キャラの表情も印象的だし、「皇国の守護者」以前と比べても、ずいぶん漫画うまくなってるなあということを実感させてくれる。新連載は現在準備中とのこと。早期の登場を期待。

 脚本:倉田英之+画:okama「CLOTH ROAD」。今回は元モデルのペルリヌさんのその後を描いた番外編。美人でカッコ良くてキップの良いペルリヌさんをイキイキ描いててなかなか楽しい。ニッコリ華やかに笑う、ペルリヌさんの表情が見てて気持ちいい。読切、落合さより「ぎんぎつね」。ウルトラジャンプ初登場。神社に住みついているキツネの神使・銀太郎と、彼を見ることができる神社の跡取り娘・まことの絆を描いた物語。フレッシュで快活な絵柄が好印象で、お話も暖かみがある。なかなか達者で安定感もありそう。

【雑誌】月刊サンデーGX 3月号 小学館 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 高橋慶太郎「ヨルムンガンド」。これまで元女優のおばさん武器商人に押されっぱなしだったココが鮮やかに逆襲。何をやってるんだかはよく分かんないけど、おいしいとこ根こそぎ持ってっちゃってる様子は見てて痛快。お話的にも楽しいが、ココのイキイキした楽しそうな表情も良いです。

 榎本ナリコ「世界征服」。2話めは、若返りを行う「アンチエイジング」の技術が一般化した世界での学園コメディ。見た目では相手の年齢が分からなくなり、年齢はおばあちゃんだけど顔や身体がロリロリだとか、そういう人たちが世の中にあふれかえる。発想はなかなかユニークで楽しい。まあちとガチャガチャしてるし狙いすぎかなーというところもなきにしもあらずですが。あと、どうでもいいけど柱のアオリ文句の「喜べ!今月は(見た目は)ロリだ!!」というのはちと野暮かなと思う。

【雑誌】月刊ヤングキング 4月号 少年画報社 B5中 [Amzn]

 きたがわ翔の読切「絆」が掲載。漫画家を目指しているがうだつの上がらないアシ暮らしの男と、漁師をやめて以来その日暮らしなダメ男である父親。そんな二人の切っても切れない絆を描いたハートフルストーリーといった感じの作品。いい加減でどうしようもない父親だけど嫌いになれない息子の気持ち、それからなんだかんだいって息子のことを思ってる父親の気持ちを描き出していて、きっちりまとまっている。まずまずの出来栄え。

 佐野タカシ「あげきす」。元気はあるけどモテない高校生男子・喜多智八と、フタリの少女が織り成すキスから始まるラブストーリーって感じでしょうか。まだどうなるかは分かんないけど、とりあえず賑やかでサービス精神は旺盛。いつもの佐野タカシラブコメといった感じで、安心して読める。

【雑誌】漫画アクション 3/4 No.5 双葉社 B5中

 森下裕美「ここだけのふたり!」が復活。現在はあのふたりの奥さんのほうが妊娠中で、だんなさんのほうがやたら浮かれているところ。今回の最大の見どころは、あのふたりのフルネームが判明したこと。そういえば知らなかった。それにしてもだんなさんを見ると、サッカー日本代表監督の岡田武史氏を思い出します。

 古泉智浩も新連載。「ワイルドナイツ」。結婚を約束していた女と趣味の相違によって別れたが、婚約不履行によって訴えられている冴えない男・国森が主人公。そんな彼が空手を習い、やがてヤンキー狩りをするようになるまでを描いた物語……って感じかな。古泉版「ホーリーランド」っていう感じか。いや、むしろやっていることのしょうもなさからいえば、福満しげゆき「生活」の「若者殴り魔」のほうが近いかなあ。

 上原求の読切「ヤキソバ・ブルース」。30も近くになってロックバンドで身を立てようとして芽が出ないでいる男・サトシの元に、高校時代の友達・コーイチが訪ねてきて、バンド体験をさせてくれといってくるが……。すでに引き返せない年齢で青臭く夢にすがる状況のやるせなさを描いた物語は、ユーモラスだけどけっこう切ない。若者からおっさんに差しかかっていく年頃の男たちならではの、なんともいえない気持ちがよく出ている。絵柄的には福本伸行をなんかこぎれいにした感じ。とくにコーイチは、「最強伝説黒沢」の黒沢さんを若くして、ちょっと頭良さげにしたような雰囲気。読ませるお話作りでなかなか。

【雑誌】コミックチャージ 3/4 No.5 角川書店 B5中

 藤沢とおるの新連載「あんハピっ!」が開始。警視庁に眠っていた難事件を次々と解決した天才的な頭脳を持つが、関わる人をみんな不幸にしてしまうので疫病神扱いされている女刑事・黒天あん子。そんな彼女が、何度も死にかけたけどそのたびに助かってきた悪運の持ち主である桜庭とコンビを組んで大活躍……という刑事モノ。最近はあんまりパッとしてない感のある藤沢とおるだけど、今回はどうですかのう。チャージは今、コレといった柱がない雑誌だが、ここに来てきたがわ翔「成りあがり」、そして藤沢とおると投入してきた。これがテコ入れになるかどうか。

【雑誌】漫画サンデー 3/4 No.9 実業之日本社 B5中

 内田春菊のコラボレーション漫画シリーズ第3弾「リカさんイン・ザ・ネーム・オブ・ドール」が開始。これまで教授とかカウンセラーとかとからんできたこの連載だけど、今回は相手が香山リカ。「異色のコラボ」とうたっているけど、今回はお互い仲が良さそうなんで、あんまり意外性はないかな。


2/18(月)……豆移動ライン

【雑誌】ヤングマガジン 3/3 No.12 講談社 B5中

 村田ひろゆき「好色哀歌元バレーボーイズ」。今回はサブタイトルが「あちこち不穏」だけど、確かに不穏。宮本とママが同棲しているのが小川さんにバレ、彼女がストーカー化しそうな気配。さらに谷口はバイト先で知り合った女の子といいムードになってきているが、彼女をつけ狙う男が出てきて……。谷口の体調は相変わらず不調だし、今後の雲行きも怪しい。いたるところで問題ばっかし。ホントどうなっちゃうんですかねえ。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 3/3 No.12 小学館 B5中

 短期集中連載、元町夏央「てんねんかじつ」は3話めでおしまい。熟年で再婚した親の連れ子同士で、お互いに惹かれ合う義姉弟の気持ちを情熱的に描いた作品。荒削りだが情熱的な作風で、なかなか面白かった。姉弟の許されぬ恋の模様は色気があったし、その結末はほろ苦いけど爽やかで青春物語として気持ち良い仕上がり。この熱はなるべく保ったまま伸びていってほしい。

 小田扉「団地ともお」。ともお母がパンチパーマになって無敵モードに。ミスでパーマをかけてしまった母だが、その違和感のなさが面白い。あと、せきやてつじ「バンビ〜ノ!」は、伴が、ニューヨークのイタリア料理人・コヨーテの作った肉料理を食うシーンが、たいへんうまそうで良かった。やっぱり肉って素晴らしい。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 3/3 No.12 集英社 B5平

 今号の表紙は許斐剛「テニスの王子様」が、アオリ文句として「リョーマ最終進化!!」と書いてある。本当にこれが最終なのか。一流にはその先があるような気がしてならない。河下水希「初恋限定。」はバレンタイン・デー話。ラブコメ作品だけあって、さすがにこのネタはすごく賑やかに展開している。いろんな恋模様が錯綜してて楽しいです。女の子ズは皆ちゃんとかわいいし。

【雑誌】少女天国 3月号 ヒット出版社 A5平 [Amzn]

 「少女天国」は3月18日発売の次号で最後という予告あり。といってもこの系列がなくなるってわけではなく、4月18日発売号から、誌名を変えて新装刊となるとのこと。で、その新雑誌の誌名については、読者から公募する模様。誌名が採用された人には、新雑誌を1年間無料送付。ネットでの応募方法は、「阿ウン」のホームページ(http://www.hitpub.com/aun/index.html)の「読者投稿受付」→「文章コーナー」を選び、コメント欄に「誌名募集係」と書いたうえで、誌名案と併せて送信。興味ある人は送ってみちゃいかがでしょうか。

 きりりん「私が…だったころ」。親元を離れ、兄妹としての関係を捨て、貧乏ながらも二人で暮らしていこうとしている二人の物語。作者後書きによると生活感を出そうとしたらしいですが、木造アパートの薄暗さの描写とかにもそれは出てるかな。寄り添うように暮らし愛情もあるけれど、やるせなさが入り混じる二人の関係が情感たっぷりに描かれていてなかなか。なおきりりん初単行本「いもーと*もーど」は4月22日発売決定のようです。よかよか。

 犬星「べーすぼーる♥らぶ」。テレビでの野球観戦にかこつけて、主人公の部屋をたびたび訪れるようになった先輩の妹・ちあき。野球好きなロリロリ妹さんが無邪気でかわいくてええ感じです。相変わらず丸っこくて可憐な絵柄で完成度が高い。

 ゴージャス宝田「ダウンワールド」。兄と友達連中が部屋で楽しげに会話してるのを見て、ついヤキモチ焼いちゃう妹さんのお話。地味なめがねっ娘ルックスなんだけど、意外とやることは大胆な妹がいじらしくていい感じ。なおゴージャス宝田の最新単行本「お兄ちゃんクチュクチュしすぎだよ♥」[Amzn]が3月13日発売予定。2005年8月の「おもらし姫」[Amzn]から2年以上単行本が出ないな〜と思ったら、2007年11月の「絶対絶命教室」[Amzn]、12月の「キャノン先生トバしすぎ」[Amzn]、そしてコレとなんか一気に来た。だいぶためこんでましたな。

【単行本】「マーメイドライン」 金田一蓮十郎 一迅社 A5 [bk1][Amzn]

 作者としては初めての百合モノの作品集だけど、これはよく出来てます。女の子(あるいはそれに類する者)同士の微妙な距離にある関係性を、暖かく、ときに楽しくときに切なく描いた恋物語を集めている。

 とくに良かったのが、髪の毛がふわふわでものすごくきれいだけどどこか人を寄せつけない神秘性のある少女・めぐみと、何故か彼女に気に入られた明朗快活な女子・あおいの関係を描いた「めぐみとあおい」編。きれいなめぐみ、かわいいあおい、対照的な二人が一緒にいる様子はいい絵って感じだし、友達になる→親しくなる→周囲のやっかみもあって一度離れる→再びくっつく……と、ドラマ性に富んでいるのも良い。惹かれ合う女の子同士の物語だが、ベタベタしすぎていないし、かといってクールすぎもしない。適度な暖かさがある点が心地よい。

 また性同一性障害の竜之介と、その彼女であるあゆみの物語も良い。竜之介は最初は男としてあゆみと付き合っていたが、性同一性障害であることをカミングアウト。しかし精神的レズビアンとして、またあゆみとの関係を続けていく。その告白に衝撃を受けつつも、竜之介は竜之介だから好きということで受け入れていく、あゆみのサバサバした振る舞いが気持ちいい。こちらはコメディとしてもなかなか楽しいエピソード。

 そのほかの短編もきれいにまとまっていて、どの作品も読んでいて楽しい。作画のほうも白っぽい上品な作画がストーリーとよくマッチしている。この人を百合モノで起用したってのは、なかなかの成功だと思います。

【単行本】「スロウ」 南Q太 祥伝社 A5 [bk1][Amzn]

 読切「妄想夫婦」と、「スロウ」全4話を収録。この中ではやはり「スロウ」が読みごたえがある。高校で後輩の女子・小春と付き合うようになった智明(ちあき)。クールで何者にも興味なさげに見える智明だが、小春に対してだけは執着を見せる。しかし小春は女の子同士の恋愛だけの人ではなく、男とも付き合う。そんな二人の関係を中心に描かれる青春ストーリー。

 智明と小春は、高校から3年付き合った以降はつかず離れず。どちらもその後、ほかの人と付き合ったりしながらも、未練は残しつつ過ごしているという感じ。その様子は、ときに甘く、ときに切なく、そして痛々しい。お話的には明確なクライマックスや終わり方とかがあるわけではなく、どこか曖昧な状態のまま進んでいく。絵には透明感があるが、お話のほうはぼんやりと霧がかかったような感じの息苦しさに包まれている。甘苦しく胸を締め付けられるような感覚が印象的。

【単行本】「スパイスビーム」 深谷陽 日本文芸社 A5 [bk1][Amzn]

 どうしたってカタギには見えない筋骨隆々なおっさんが店長、怪しい美人ウェイトレスらによって営業されてるけど、味のほうはバツグンなタイ料理店。主人公である気の弱そうな青年・コージは、ひょんなことからそこで働くことになり、その店で繰り広げられるちょっと不思議、ちょっと危険、そして面白い人間模様を目撃していくことになる。

 深谷陽といえば、アジアンコミックの名手として知られる作家さんだけれども、今回の作品の舞台は、日本の中の東南アジアンな料理店。現代日本の街角的風味と、タイ料理店のエスニックな雰囲気がいりまじった空気はなかなか居心地が良い。シャレているようでどこか下町感覚がある。

 キャラについては、ミステリアスな筋肉男である店長さんが面白い。人相は極悪で無愛想だけど根は悪い人ではなさげな店長と、気弱っぽいけど意外と頑丈っぽいコージの取り合わせがユーモラス。あと何より料理がうまそうだってのがいいですよ。作り方とかどんな素材使ってるんだかはよくわかんないんだけど、スパイシーで元気の出そうな食い物の数々には食欲がそそられる。また人間ドラマ、人情モノだったりコメディだったり、どのエピソードもきっちりまとまっている。スカッと読後感の気持ちいい良作。

【単行本】「喰いしん坊!」17巻 日本文芸社 B6 [bk1][Amzn]

 食いワングランプリの決勝戦も最終版。だいぶ情勢的に苦しくなってきた満太郎だが、武者修行していたころの苦境を思い出すことで、自分に喝を入れようとする。てなわけで回想シーン、大食い風林火山編が始まる。今回の相手は山本勘ノ介と名乗る大食いイベントプロデューサー。その卑怯な策の前に、満太郎はかつてない苦戦を強いられるが……といった展開。まあ決勝戦がここまで盛り上がって来たところで回想シーンっていうのは肩透かしな感じではあるけど、お話作り、食い物描写などはやっぱ達者。とりあえず楽しく、スムーズに読んでいけます。

【単行本】「BECK」32巻 ハロルド作石 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 アヴァロン・フェスもいよいよ大詰め。BECKの面々が、エディ・リーの遺した曲「DEVIL’S WAY」を演奏し始めると、聴衆たちは最初は静まり返り、やがて熱気の渦に包まれる。というわけでこの巻の前半は、鳥肌の立つ演奏シーンが繰り広げられて気持ち良かった。まあ「DEVIL’S WAY」のシーンが少し短かったかなって気はしないでもないけど。ここに至るまでけっこう長かったので、も少しじっくり見たかった気もする。まあそれはともかくアヴァロン・フェスでの成功を受け、いよいよBECKもメジャーになってきた。このままスターダムを駆け上がれるのか。今後の展開も楽しみ。


2/17(日)……きしょく正しく

【単行本】「奇食ハンター」1巻 山本マサユキ 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 山本マサユキが、日本全国のヘンな料理を食べて、その味をレポートするという突撃レポ漫画。チャレンジした料理は「ひつまぶし丼アイス」「天丼パフェ」「とんかつパフェ」「納豆コーヒーゼリーサンド」などなど。B級グルメものはよくあるけど、そちらは基本的に「チープだけどウマいもの」。こちらは単純に奇を衒った食品とか、コンセプト的にインパクトありすぎな料理ばっかなので、B級グルメとはまた違った「次はどんなんだろう」という楽しさがある。出てきた中で作者的に一番苦戦していたのが、名古屋の奇食喫茶店である「マウンテン」の甘い食い物たち。有名なんで意外性は薄いけども、その食べづらそうな様子はやっぱりすごそう。あと漫画としてまったりしてて、気楽に読めるのは良い感じです。

【単行本】「チノミ」2巻 吉永龍太 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻も迫力ある。週にいっぺん家族で血の使った料理を食べつつ、現代社会に溶け込んで生きている現代の吸血鬼「チノミ」たちの物語。それまではとくに問題なく、自分たちがチノミであることをとくに意識せずに過ごしてきた主人公・ユーイチたちだったが、女の血を抜いて殺す殺人者が現れたことをきっかけにその周囲が騒がしくなっていく。

 「現代の吸血鬼譚」とかいっちゃうと、なんか夜空にカッコイイにーちゃんとかが飛翔してるようなイメージがあるけど、この作品ではそういうのはいっさいなし。主人公のユーイチはTシャツ・スウェットといった服装で、いかにもそこらへんに転がってそうな、じゃがいものようなあんちゃんという感じ。そして絵柄的にもこれでもかってくらい泥臭い。ユーイチの先輩である矢島と殺人鬼男の対決は鬼気迫るものがあるし、血や汗、土、ほこりがべたついたいでたちは、小汚いといってもいいくらい。だけどそれが作品全体の異様な迫力にもつながっている。

 アクションは力強いし、キャラの表情はクドいし、ノリもアメコミ的テイストもある独特なもの。すごくクセが強い個性的な作風。怖いシーンの表現についても、ヒヤリとかゾクリとかするようなキレ味の鋭い怖さというよりは、なんか丸太でぶん殴るみたいな野太さ。かなり読者を選ぶ作風ではあるけれども、個人的にはかなり注目してます。

【単行本】「くじびきアンバランス」2巻 小梅けいと 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 完結。ドタバタと最後まで行きました。まあ生徒会のメンツの活躍を、華やかに楽しくやってて、コミカライズとしてはまずまずだったんじゃないでしょうか。アニメ版とかと比べて、格別面白いって感じではなかったけど、手堅くまとめてはあったと思う。あと要所要所のパンチラなどのシーンはむっちり感があったりして、それは眼福ではあったし。ちとごちゃごちゃしててお話が頭に入ってきにくかった点は難。

【単行本】「魔界戦記ディスガイア2」3巻 へかとん メディワークス B6 [bk1][Amzn]

 やっぱりへかとんの絵はかわいいなあ。魔王の娘・ロザリンドが、彼女を守ると宣言した人間・アデルをどんどん好きになってっちゃう様子が甘ったるくていい。ストーリーの本筋部分はもう一つ食指をそそられなかったりはするので、もっともっとラブコメ度が高まるといいなあとか思ったりします。まあ原作は全然知らないので、「お前はディスガイアのこと、なーんも分かってねえ」と思われるかもしれませんが……。どうもすみません。

【単行本】「年上ノ彼女」6巻 甘詰留太 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 発売が2007年10月ということで、ずいぶん読むのが遅れてしまいましたが、これが最終巻。全体で見ると最初のクライマックスが2巻くらいでまずあって、この6巻でもうひとヤマ。1〜2巻では悩めるアゲハさんを見事愛の力でゲットした努だったが、終盤は就職活動でこれまでの自分を否定され、迷い道にズッポりハマりこんでしまう。しかしそんな彼を救ったのは、やっぱりアゲハさんの愛だった……。

 というわけで途中はちょっとダレ気味で、終盤はストレスフルな展開もあったものの、ラストの締めについては清々しくて良かったと思う。努との生活の中で愛を得たアゲハさんは、最終的にはすごく強い女性に成長して頼もしかった。また努は最初のうちのイキの良さはどこへやら、だいぶヘタレてしまったけれども、これはこれで迷い道青春ストーリーとしては悪くなかったと思う。まあ2巻で終わっていたほうがスッキリはしたかとは思うけど、初のメジャー誌での長期連載をきれいにまとめ上げた点は評価したい。

【単行本】「二代目はこすぷれーやー」3巻 甘詰留太 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 まあまあといったところ。ヤクザの親分の娘でありながらズブのオタクでコスプレーヤーでもあるゆーしーと、彼女のお守り役の慎之介らが繰り広げる、ちょいとエッチなドタバタコメディ。甘詰留太作品にしてはノリがだいぶ軽め。まあこれは、あえて気軽に読めるようなノリで作ってるんでしょう。まあ華やかではあるしそこそこ楽しい。とはいえ、甘詰留太作品の場合は、もっとガツンと濃くて読みごたえのある奴のほうが好きではあります。

【単行本】「大奥」3巻 よしながふみ 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻もしっかり面白い。有功と女将軍・家光は愛し合うようになるが、二人の間には世継ぎが生まれず、それが幕府中枢および大奥に歪みを生じさせていく。春日局は家光と有功が同衾するのを禁じ、新たな男をあてがう。愛する女から遠ざけられた有功は、表面上は穏やかではあるが、腹に一物を抱えた感じに。また家光はよりしたたかに、将軍としての力量を示し始めていく。

 といった感じでいろいろな問題を内包しつつ、女将軍+大奥の体制が着々と固まっていく様子が描かれていて、たいへん読みごたえがある。とくにこの巻で印象に残ったのは、家光の将軍としての有能さ加減。男どもも及ばぬほどのドライで非情、かつ実効的な施策を考案していく様子は器の大きさを感じさせる。また緊張感のある人間関係の描写や、大奥にからんだ人々の数奇な運命も面白い。本作は相当長いお話になるそうだけど、これからどういうふうにお話を進めていくか、やはり楽しみです。

【単行本】「穴、文字、血液などが現れる漫画」 駕籠真太郎 久保書店 A5 [bk1][Amzn]

 なんだかいろいろお蔵出し的な作品集。福原愛や飯島愛など「愛」という名前の有名人たちが殺し合う「バトル・ロ愛ヤル」、ホリエモンが主役のギャグ「堀江くんとホリえもん」みたいに、実在の有名人をいっぱい出したわりと最近の作品もあれば、「駕籠真太郎古典」のようなかなり初期の作品っぽいものまで、ごった煮で詰め合わせてある。

 この中では個人的にはやっぱり「駅前」シリーズが好き。「駅前暗黒」はなんでもかんでも黒く塗りつぶす世界、「駅前半分」はいろんなものをどんどん半分に割っていく……といった具合に、一つのネタをどんどんこねくり回していく。そのひねりっぷりが奇想天外でとにかくスゴい。内臓露出、ウンコとかいったネタは今回は比較的少なめ。まあそれでも慣れてない人には十分気持ち悪く感じられるかもしれないが、この人の描くものはやはりとことんギャグなんだなと改めて思う。ブラックだったり奇抜だったりはするものの、ギャグをやろうとしている点については一貫して変わらない。

 ところでこの駅前シリーズの掲載誌は、エロ漫画雑誌のコットンコミックだったんだけど、コンビニ売りのエロ漫画誌にこんな奇矯な漫画が載ってたってのは、最近の状況を見ると隔世の感がある。コットンコミックの休刊は2004年6月だから、まだ5年も経ってないんですが。まああの当時も異端といえば異端な雑誌だったんですけどね。

【収録作品】「バトル・ロ愛ヤル」「堀江くんとホリえもん」「女子アナのあな」「白の情景」「満員電車」「清しこの夜」「駅前暗黒」「駅前半分」「駅前誤差」「駅前一字」「駕籠真太郎古典・DRAGON BUSTER」「駕籠真太郎古典・新日本昔話全集」「駕籠真太郎古典・GODZILLA v.s. GAIGAN」「駕籠真太郎古典・退魔戦記」
(写真漫画)「バトル・ロ愛ヤル」より、「満員電車」より、「清しこの夜」より、「駅前誤差」より


2/16(土)……勧誘費闇

【雑誌】ビッグコミック 3/17増刊号 B5中

 岡崎二郎「宇宙家族ノベヤマ」が2話一挙掲載。宇宙を通じて異文明同士が触れ合うことの意義を探っていくこのシリーズ。今回は、先進の文明を持つ宇宙人たちによって、ノベヤマたちよりもだいぶ前に宇宙に連れてこられた地球人たちのケースをモデルにしてお話を進めていく。スケールのデカいお話を、「家族」という単位を通して語ることで、親しみやすく描いており、毎回きっちり読ませてくる。派手さはないけど着実で、きっちりまとまった佳作。

【雑誌】コミックメガストア 4月号 コアマガジン B5平 [Amzn][定期購読:Fujisan

 今月号はラインナップ的にちと弱いか。作家層自体は相変わらず厚いし、新人登用も盛んなのだけど、今号は従来の看板作家のお休みが多い。ホットミルクができてから、そっちにかなり作家を持ってかれちゃってる感がある。ホットミルクはコンビニ売りで修正がキツいので、例えば如月群真みたいなモロで見せてなんぼみたいな人は、なるべくこっちでやってほしいなーとは思うんですが。

 美糸シド「お姉ちゃんのいうとおり」は初登場で巻頭カラー。最近の新人さんは最初から達者ですな。つるんとした感じの塗りとキャラ造形が気持ち良い。弟を女装させてエロいことをさせるお姉ちゃんのお話。お話のほうは全6P。次はもうちょっと長いのを読みたい。ReDrop「あと12センチっ!!」は、幼なじみ身長差ラブコメ。主人公男子と、幼なじみ娘はお互いに好き合ってはいるものの、女の子のほうが背が高いのが気になる男子のほうはなかなか告ることができないでいた……といった感じ。ういういしくて微笑ましいラブコメHとなっていてわりと楽しかった。なおこの人もコミックメガストア初登場の新人さん。

 冴草こはく「BS-I」。学校でお姉ちゃんが見知らぬ女子と楽しげにお話しているのを目撃し、尋常でなく嫉妬しまくるヤンデレ妹さんのお話。エロシーンはボリューム感があり、兄を好きすぎな妹さんの濃い愛情表現も見てて楽しい。みつや「Hな本屋さん」は、エロ漫画が充実した本屋の店員さんとのエッチ話。まあお話的にはちと都合が良すぎだけど、天然系でおっとりした店員女子がけっこうかわいいです。

 舞原マツゲ「体力>知力?」。体力・精力ともにすごい彼女が、試験前ということで彼氏にエッチをおあずけされて、悶々としまくるというお話。やりたくてやりたくて辛抱たまらんってな彼女の様子が見てて楽しい。舞原マツゲは、ピチピチとしたジューシィな絵柄でエロも濃いけど、明るめな絵柄でもあり汎用性はわりと高い。巨乳系もロリ系も描くし、最近精力的に仕事してるな〜と思います。

【雑誌】COMIC RIN 3月号 茜新社 B5平 [Amzn][定期購読:7andyicon

 相変わらずかわいい絵の人が多いです。巻田佳春、大孛輝*はな、無有利安、関谷あさみ、猫玄、綾乃れな、LEEなどなど……。けっこうどの作品もかわいくて、お話もまとまってて楽しめる。ただ、すごく実用的だったり、ストーリー的にヒキが強かったり、キャラが目立ってたり、笑えたりするといった、「かわいい」という以外の面で目立つ部分が、雑誌全体でもう一つないかなあって気はする。クオリティはきちんとしてて、殺伐とした部分もなく安心して読める良い雑誌だとは思うんですけどね。

 巻頭カラーは巻田佳春「Can you hear me?」。ちょっと勝手な感じのあんちゃんとエッチな関係にある娘さん・マナのお話。マナのお母さんは、娘と同い年くらいに見えちゃうロリ母なのだが、マナはお母さんに対して食指を伸ばそうとするおにいちゃんにプンスカ。そんなあどけなくて初々しいマナちゃんの様子がかわいい。お母さんは今回写真しか出なかったけど、そっちのほうもからんだお話は見たいところ。

 LEE「ケモ耳温泉へようこそ」。主人公がひなびた温泉につかりに来たところ、人間に化けたキツネ娘とタヌキ娘という先客がいて……というお話。キツネ娘を見て、ちょっと「狼と香辛料」のホロを思い出したりした。タヌキ娘のほうは顔はロリロリだけど、けっこうな巨乳さんです。

【単行本】「わたしたちの田村くん」3巻 作:竹宮ゆゆこ+画:倉藤倖 メディワークス B6 [bk1][Amzn]

 2巻までのお話で、すっかり相馬さんが田村に対してデレデレになって迎えた第3巻。このまま二人がくっつくかに思えたが、田村くんが中学生時代に好きだった松澤さんの影がちらついて、その関係がゆらぐ。田村くんは松澤さんに対する自分の気持ちを見つめ直し、相馬さんは田村くんの態度に心を痛める。

 といった感じで学園ラブストーリーとして、なかなか盛り上がって来ている。とくによろしいのが、デレと化した相馬さんがかわいいことでしょう。前の巻でも田村くんに対して積極的にアプローチしていたけど、この巻ではそれがさらに強まる。ここまで頼られ、好かれてしまったら、田村くんもその行為をむげにはしがたい。てなわけで、派手な外見のわりにすごく一途な相馬さんのいい娘さんぶりが際立った巻だった。田村くんはもう少ししゃんとするべきでありましょう。次巻が最終巻、ていうか2月27日発売の電撃コミックガオ!で最終回なんで、どう着地させるか楽しみにしてます。

【単行本】「大人になる呪文 新学期」4巻 パニックアタック ワニブックス B6 [bk1][Amzn]

 コミックガムで復活した「大人になる呪文」シリーズだが、「新学期」分は結局1巻分でおしまい。妹のことが好きすぎて毎日欲情したりいたずらしたりのロリコンお兄ちゃんと、兄のことが大好きな魔女っ子修行中の妹・未由の、陽気でしょうもない日々を描いた物語。

 エロ漫画誌からガムに移ったことでさすがにエロ描写のほうは控えめになったが、相変わらずお兄ちゃんの妹かわいがりは健在。妹の一挙手一投足に萌えまくり、他愛なかったり、ときどきヤバかったりするいたずらを繰り返す様子は馬鹿馬鹿しくて楽しい。未由もやはりちまちましててかわいい。個人的には無印「大人になる呪文」シリーズのころのほうが、絵がより丸っこくていいなあとは思うんですが、まあ「新学期」のほうも慣れてきたら悪くはなかったです。

 あと最終回の展開はなかなかタイヘンだった。「ロリロリ少女もいずれは成長してしまう」というのは、ロリ物ではあえて目をそらしたい宿命だけど、そこらへんを案外ちゃんと描いちゃってたのは新鮮。作品の根幹に関わる部分だけに思いきったなあと思う。まあロリ好きな人としては賛否両論分かれそうなラストだけど、自分としてはこれはこれで良かったんではないか、とは思います。

【単行本】「そらのカナタの!」2巻 小野敏洋 ジャイブ B6 [bk1][Amzn]

 異世界からやってきた侵略者によって、時を止められてしまった地球を守るため、その状態でも活動できる「受信者」と呼ばれる少年少女たちが戦うアクションもの。侵略者たちはたびたび現れて、地球の時を止める「刻触」という現象を引き起こし、地球人が動けない間に好き勝手しようとする。それを主人公の女の子・そらのをはじめとしたメンツが撃退していくという感じ。明朗快活な少年漫画アクションという感じでまあまあ楽しめるが、ちょっとゴチャゴチャした感じで個人的にはも少しピンと来ないかな。

【単行本】「わたしを有明へつれてって!」 上連雀三平 茜新社 A5 [Amzn]

 上連雀名義の最新単行本。おた☆スケのレビューで詳しく紹介したけれども、上連雀名義のエロ漫画ということで、いつものごとくおちんちんがにょきにょきした感じの作品集に仕上がっている。

 メインとなっているのは表題作「わたしを有明へつれてって!」全9話。尾道在住のニートでフタナリな同人作家・靖子と、彼女を売れっ子同人作家と勘違いした12歳少女・ひかりのまぐわいっぷりが描かれていく。靖子の部屋はもちろんのこと、主に尾道の町を舞台にして二人はのべつまくなしやりまくり。ひかりのレズダチ・朋子ちゃん、靖子の幼なじみ・聡美も一緒になって、おちんちんを使って楽しみまくる。

 上連雀三平といえば、いい形をしたおちんちんをこれでもかとばかりに堂々と楽しげに描きまくる作家さんだが、この作品でもそれは健在。まあストーリーを進めたり、尾道の風景を見せたりしてる分(これは「かみちゅ!」の影響らしい)、上連雀三平にしてはおちんちん成分は若干控えめかなと思ったりするところもあるけど、それはあくまで「上連雀三平にしては」であって、やはりおちんちんの登場頻度は並じゃない。デカデカとおちんちんを描くさいの、スコーンと突き抜けた照れのなさ、まっすぐさに「ほほう、これはいい肉棒ですな」と唸らされる。

 それからセリフもやはりいいです。コミケ会場で行列作りながらセックスしたりといった異様なことやってるのに、それを当たり前のごとくいけしゃあしゃあと語るセリフ。それからおちんちんがらみのワードをするっと自然に織り交ぜつつ、ラブコメ調のことをのたまうセリフ。恥じらいなさすぎで率直すぎるセリフの数々が、なんとも気持ち良いです。

 この人の作品は、絵柄、ちんこのフォルム、セリフのノリなどなど、すごくつるんとしてるとでもいいますか、触感が滑らかなんですよね。ぶっとんでいるけど、抵抗感なくやたらするする読めてしまう。あと「次はどんなおちんちんを、どんなセリフを見せてくれるんだろう」っていうワクワク感もある。特異な芸風だなあと思います。


2/15(金)……ブルーペン先生

【雑誌】ヤングガンガン 3/7 No.5 スクウェア・エニックス B5中

 小林立「咲−Saki−」。和が絶好調で、ネット上での麻雀人格のどっちモードに突入。そのさいに顔を赤らめ、息をハァハァさせたりといったあたりがいかにも小林立らしい表現。隙あらば読者サービスって感じのアグレッシブさが素晴らしい。あとのどっち天使コスチュームの胸の谷間割れっぷりはたいへんなものですな。いつ見ても凶悪な乳だ。

 読切、作:町田一八+画:ゴツボ☆マサル「バレンタインデス」。コンビニで店員やってるカッコイイお兄さんにバレンタインチョコを渡そうと思ってた女の子が、ヤクザがらみのトラブルに巻き込まれてタイヘンなことに……というコメディ。ドタバタ劇をスピーディかつ陽気に展開しており、他愛ない話ながらまずまず楽しめる。軽いノリで手堅くまとめた一作といったところ。

【雑誌】近代麻雀 3/15 竹書房 B5中

 天獅子悦也「むこうぶち」。今回は雪山登山の前に、山小屋で傀と麻雀を打ったばかりに、運を失ってしまった男のエピソード。この手の話を見るたびに、「傀は何しにそこ言ったんだろ?」と思ったりはしますが、まあ聞くだけ野暮ってもんですね。傀は麻雀の妖精みたいなもんだし。

 前田治郎「ナグモ」。幹部入りをめぐる麻雀対決が決着。今のお話については「猟奇殺人鬼か?」と思われていた男は、アクが強くていい感じでした。まあナグモについては、この手の生きるか死ぬかの麻雀漫画の主人公としては、だいぶヌルい性格だというのを改めて露呈してましたが……。こんな調子でこの先生き残っていけるんですかのう。

【雑誌】ビジネスジャンプ 3/1 No.6 集英社 B5中

 作:佐木飛朗斗+画:山田秋太郎のバンド漫画「爆麗音」。今回の演奏シーンは熱気があってなかなか良かった。音楽について細かいことはいわず、とにかく力づくというか、勢いで見せているのは良いと思う。山田秋太郎の瑞々しさのある絵柄も奏効。佐木飛朗斗の原作とはわりと相性いいかもしれない。

【雑誌】週刊漫画ゴラク 2/29 No.8 日本文芸社 B5中

 土山しげる「喰いしん坊!」は、食いワングランプリが判定の末、完全決着。まあ順当な結果でしょうな。まあこうなるのは予想はできたので、今後どうお話を進めていくかが気になるところ。満太郎をこれ以上成長させるってのはなかなか難しいと思うんだけど、どんなもんですかねえ。海外編っていう手もあるかな。

 村生ミオ「SとM」。こっちも決着してしまうんでしょうか? 沙耶がこのまま終わるとも思えないけれども。あと射精寸前で寸止めとなった戸田の下半身は、果たして収まりがつくのでありましょうか。

【雑誌】コミックバンチ 2/29 No.11 新潮社 B5中

 渡辺保裕「OUT PITCH」。いったん2軍に落とされた幸村だが、腐ることなく練習中。そんな中、口うるさいブルペンキャッチャー・野村と出会い、それが彼のステップアップのきっかけとなりそうな気配。このキャッチャーは実力はあるが、イップスで現役を諦めたクチ。幸村の成長と一緒に、野村の復活みたいなこともやるかもしれませんな。今のところチーム内の幸村以外のメンツが、全員がキャラ濃いわりにいまいち存在感なかったりもするので、野村あたりがもっと目立ってくると面白くなるんじゃないかと思います。1軍の外人キャッチャーも、あれはあれでいいんですが。あと今号で、作:秋元康+画:くじらいいく子「象の背中」が最終回となっている。


2/14(木)……篆刻への階段

【雑誌】モーニング 2/28 No.11 講談社 B5中

 脚本:リチャード・ウー+漫画:すぎむらしんいち「ディアスポリス −異邦警察−」。裏都知事の命を賭けた対決が決着したと思ったら、久保塚の仏心が裏目に……。このエピソードではアーさんが見苦しかったりカッコ良かったりいろいろな顔を見せたが、彼がこの後どうなるかはたいへん気になるところ。

【雑誌】ヤングサンデー 2/28 No.11 小学館 B5中

 河合克敏「とめはねっ!」。書道部が「書の甲子園」と呼ばれる高校書道展へと動き出す。そこで作品に署名するための印「落款」が必要という話になって、それを自分で彫る「篆刻」をやるぞーということに。これまでは字を筆で書く話だったけど、これは彫刻。手仕事感が強くてちょっと面白そうだなーと思った。あと影山先生の篆刻オタクっぷりがどんなもんなんだか楽しみ。

【雑誌】ヤングジャンプ 2/28 No.11 集英社 B5中

 読切で稲葉みのり「捜査員タナカ」が掲載。オフィス内でのセクハラの実態を暴くため、女装してOLになりすまして潜入調査をやってる匿名捜査員タナカの活躍を描くコメディ。エロコメとしてはまずまずまとまってはいるけど、萌え度がすごく強いってわけでもなく、エロ度もほどほどなので、インパクトはちと弱い。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 2/28 No.11 秋田書店 B5平

 作:青山広美+画:山根和俊「GAMBLE FISH」。ビリヤード編のときに出てきた五木島が再登場。使い捨てにするには印象深すぎるキャラだっただけに、再利用と相成った。今度は阿鼻谷が五木島を利用するらしいけど、どういうふうに使うんでしょうか。またプリティーなところを見せてくれればと思う。

 安部真弘「侵略!イカ娘」が巻中カラー。毎回コンスタントに楽しくやってて、雑誌の中で一定のポジションを獲得した感がある。登場人物をむやみに増やさず、ドタバタとキャラの魅力で読ませるってのは「無敵看板娘」あたりと同様。まあイカ娘のほうがマイルドではあるけど。で、単行本1巻は3月7日発売だそうです。

 前号に載ってた巨乳エロコメ、武狼ひろみ「派遣サディスティクス」の2話めが掲載。人材派遣会社に入った主人公は、今回バレーボール女子日本代表の合宿にメシ係として派遣されるのだが……。この手のいろんなところに行くエロコメの場合、ヒロインは毎回変わりそうなもんだが、この作品ではまたも前回の給食センターねえちゃん・美奈子を登場させてきた。そしてまったく脈絡なしに乳をばいんばいん。湯気程度で透けてしまう制服も健在。絵は最近のエロ系としてはきれいなほうではなく、どこか野暮ったい。で、エロの入れ方も無茶。なんとなくこれで興奮してしまうとちょっと悔しいという感じの作品。

【雑誌】快楽天BEAST 3月号 ワニマガジン B5中 [Amzn]

 むらろ「ほとづきの儀」が巻頭カラー。とある寒村で行われる成人の儀式。それは村中の男女皆によって犯されるというものだった。絵のほうは鳴子ハナハルを思わせる線・塗りでなかなか達者です。ただ最近の快楽天系はこういった絵の人が多いので、だいぶ見分けがつきにくくなってきた……。ワシも若くはないですけん、なかなか覚えきらんのです。

 さめだ小判「桃園学園男子寮にようこそっ!」。4話めだけど今号から連載としてスタートする模様。男子寮と女子寮が合併したことで、一つ屋根の下に男女が集うことになった学園寮。そこで繰り広げられるエッチ模様を描いたお話。主人公である男子学生のケンイチ君は、寮の管理人をやってるひなたさんと恋仲。そこに今回は、ケンイチのクラスメート女子・柊さんが押しかけてきて、ひなたさんがヤキモチという展開。カラーは4Pであとはモノクロが16P。カラーが目立つ人ではあるけれども、モノクロのほうも線がキレが良くて魅力的。ショート漫画だけじゃもったいないので、こうやって連載にしてくれるのはありがたい。お話としても新キャラ登場でラブコメ風味が増して楽しくなりそうだし。

 猫点心「特営! 〜SECRET BUSINESS〜」。デビュー作tごある。身体を使って色仕掛け営業をする特殊営業部に配属された新人男女。二人は幼なじみでその会社で偶然再会したのだった……というドタバタコメディ。まあこの人もいかにも快楽天風味というか、キレの良い絵柄で華があり、エロもきっちりやっててクオリティ的には問題なし。今後の活躍が期待されるところ。


2/13(水)……旅の恥はべびすて

【雑誌】週刊少年サンデー 2/27 No.11 小学館 B5平

 畑健二郎「ハヤテのごとく!」。ハヤテとヒナギクのおデート編。ハヤテは「自分がヒナギクに嫌われている」と思い込んでおり、ヒナギクもそれを意識して普段のように振る舞えず。てなわけでまだギクシャクした状態ではあるけれども、この続きで多少はラブくなるんですかね。甘ったるい奴を期待してますぜ。

【雑誌】週刊少年マガジン 2/27 No.11 講談社 B5平

 小林尽「スクールランブル」はヒキの強い展開が続いている。今回の最終ページの天満の無理して作った笑顔と涙はかなり痛々しい。彼女と烏丸はどんなことを話したのか。気になります。勝木光「ベイビーステップ」。特訓フェイズはわりとサクッと終わらした感じだが、主人公の栄一郎が着実にテニスの腕を上げている様子は、達成感があってなかなか楽しい。別段珍しいことはやってないけど、オーソドックスなテニス漫画としてまずまず読ませる。個人的には単行本買うってほどではないんだけど、雑誌で読む分には楽しいと思う。

【雑誌】スーパージャンプ 2/27 No.5 集英社 B5中

 作:愛英史+画:里見桂「ゼロ」が連載400回。それを記念して特別編で、ゼロの過去を探るエピソードが語られていく……という感じ。「ゴルゴ13」でもこの手のエピソードはあるけど、ゼロはわりとあっさり過去が明らかになっちゃいそうな気配。まあ明らかになったからってなんだって感じではありますが。

【雑誌】別冊マーガレット 3月号 集英社 B5平 [Amzn]

 中原アヤの新連載「ナナコロビン」が開始。政略結婚させられそうになっていた姉の恋人である金持ち坊ちゃんを、結婚式場から連れ出し、駆け落ちの手伝いをした主人公・菜子。しかしその政略結婚の失敗によって、金持ち坊ちゃんのおうちは没落。その責任をとって、金持ち坊ちゃんの弟である小夏を菜子の家で引き取って居候させることになったが……。といった調子で始まる、同じ屋根の下ドタバタラブコメといった感じの作品。ゆくゆくは菜子と小夏がくっつくというのが規定路線だと思われる。まあ中原アヤは漫画うまい人だし、この作品もきちんと盛り上げてくるんじゃないかと思います。滑り出しも賑やかでけっこう楽しかったし。

【雑誌】ネムキ 3月号 朝日新聞社 A5平 [Amzn]

 榎本ナリコ「時間の歩き方」が連載再開。扉を開けるとときどきタイムスリップしてしまう厄介な性質の持ち主である杉田果子と、未来から来た時間旅行者の井村遇太の二人が、タイムトラベルを繰り返していくという物語。ちょいと切なめな部分もあったりはするけど、基本的には明るめでけっこうドタバタテイスト。シリアスな展開にも持っていけそうな感じではあるけど、どんなふうにしますかね。まずは今後の展開に注目ということで。

 オガツカヅオ「イカしたマスターのいる店」。巨大なイカのようなマスターがいる喫茶店で繰り広げられる人間模様を描いたシリーズ。今回は8Pで、マジメでオタク系な主人公と、不良になってしまった友達とのちょっといい話を描く。小品だけれどきっちりまとまっててやっぱ気になる存在。

【雑誌】comic天魔 3月号 茜新社 B5平 [Amzn]

 けものの★「ぐる〜みんぐっ!!ふにゃぁん♥」。お兄ちゃん激LOVEな妹が、彼を誘惑しようと頑張る「ぐる〜みんぐっ!!」シリーズもこれで最終回。必死の努力が実って、兄からの告白を受けた妹さんのうれしがりようがかなり良かった。普段は快活で奔放な妹さんが、泣いちゃうほど喜ぶ様子はお話としてけっこうな盛り上がり。この人の特徴であるイキイキした表情もとても良かった。激甘でラブラブで遊び心もあって、良いシリーズだったと思います。きれいにまとまったところでそろそろ単行本も期待したいですな。

 大和川の読切「CYBER RABBIT」。ネットワークを通じて五感全てを仮想空間で実現できるようになった時代の恋人たちの物語。彼氏のほうはナマで彼女と触れ合いたいと思っていたが、彼女はネットを通じてしか彼に会おうとせず。そこで彼は行動を起こすのだが……。仮想空間を生かした触手プレイなど、変則的なプレイから始まるお話だが、ラストは爽やか。後味のいい青春ラブストーリーに仕上がってて良かったです。

 木静謙二「minority −マイノリティ−」。かつて凌辱モノのエロビデオに出ていた少女と、彼女を買った男の物語。年端はいかないけどおっぱいは大きな娘さんが、さんざ嬲られる様子はねっとりエロい。やはりこの人の描く女体はたいへん艶めかしいです。柚木’N「彼女のいる、景色」。クラスでは浮きがちだった、地味なめがね男子とめがね女子がくっつくというお話。なかなかええ感じでラブコメしている。あと男子のほうが、彼女のかわいさに気づく1ページぶちぬきのシーンなんかは印象的だった。


2/12(火)……バストラックアウト

【雑誌】コミックビーム 3月号 エンターブレイン B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 森薫「エマ 番外編」が最終回。というかこれは本編もひっくるめた物語の最終回といっても差し支えないでしょう。これまでさまざまなことがあったけれども、すべてを乗り越えたうえで、ついにウィリアムとエマが結婚式を挙げる。これまでの登場人物が勢揃いして思い思いの会話を繰り広げ、最後は晴れやかに賑やかに、ダンスで締めくくり。人がいっぱい出てきて、それぞれがイキイキ動き回るラストダンスはまさに入魂って感じで、絵も動きもゾクゾクするものがありました。やっぱりハッピー・エンドっていいですね。実に気持ちの良い終わり方だったと思います。

 巻頭カラーはタイム涼介「アベックパンチ」。恋に目覚めたヒラマサ、そしてその相手であるコルビーナを支えるイサキが非常にイイ男。粗野ではあるけどその分まっすぐ。たいへんにかっこよくてシビれます。どんどん面白くなってきた。安永知澄「ステップ・バイ・ステップ」はイマジネーションの発展のさせ方がユニークで感心。なんとも説明しづらいお話だが、不思議なイメージを驚きのある絵で見せられる表現力が素晴らしい。

 山川直人「コーヒーもう一杯」は、猫探しの名人として知られる探偵男の特殊能力を描いた物語。今回はけっこう動きのあるお話。しみじみした調子のお話も良いけれど、こういうのもまた楽し。しかもどんな話を描いても、山川直人という作者の顔がしっかり出ているので感心させられます。

 読切、カイトモアキ「不通の会話」。どうにもリアクションの読めない女子生徒に、交換日記を申し込まれた担任の女性教師の物語。小学生の素っ頓狂な日記と、彼女のとりとめもない反応に、どう話をつなげたものやら悩む先生だが……。最初は「ちょっとこわめの話かな?」と思ったが、最後まで読んでみるとけっこう良いお話としてまとまっていた。自分としてはカイトモアキはぶっとんだ作品のほうが好きではあるが、これはこれでまた別種の味はある。

 読切、クリストフ・クリタ「世界の果てを見た男」。冒険好きの少年が、行方不明になった名だたる冒険家であった父の姿を追い求めて、氷で閉ざされた極地へと向かう。そこで彼の見たものは……。洋モノカートゥーンといった感じ(というのは適当なイメージでいっているので注意。自分は洋モノ漫画には詳しくないので、「なんとなくああいうふう」という想像で語ってます)のカッチリした絵柄で、冒険心あふれる物語を描いており、完成度は高い。なかなかええお話だと思います。

 さらに読切、熊鹿るり「新井さんを見つめて」。ちょっとひねくれた少女が発見した、図書館のものすごく地味な司書さんの秘密。彼の秘密の本置き場には、町の人の人生を細かく記したノートが置いてあり……。ほのぼのした感じの絵柄で、ファンタジーテイストのお話を描いていてまずまず。しみじみした味わいがあって悪くないです。

【雑誌】漫画アクション 2/5 No.3 双葉社 B5中

 1月23日に発売してたのを見逃してて、セブンアンドワイでバックナンバーを購入した物件。

 武富健治「鈴木先生」は夏祭り編の後編。女の子たち、とくに中村さんを巡って思惑が渦巻き、それがトラブルに結びつく。そして鈴木先生のカノジョ・麻美さんと、小川さん・中村さんとの邂逅もあり。いやー、これは後を引きそうだわ。しかも事態は思わぬ方向に進展してるし。最終ページのあたりは、もうニヤニヤが止まらず。やっぱ面白い。なお「鈴木先生」はしばらく休載で、4/1号から再開予定。続きが待ち遠しいです。

 細井ちえの新連載「まんがヌッポン昔ばなし」は、タイトルどおり、昔ばなしを元ネタにしたギャグ漫画。個人的にはツボにハマるタイプのギャグじゃないけど、まあまあって感じですかねえ。

 読切、漫兆DX「絶対守護神ヨシオ」。日本代表GKの西川口ヨシオが、身体を張って日本を守る。リアルタッチの絵でふざけたことをやるというタイプのギャグ漫画で、漫★画太郎と長尾謙一郎をまぜたような感じの作風。一発ネタだが、ぶっ飛んでてパワーがある点はわりと良い。自分の笑いのツボからするとすごく笑えるってほどではないものの、勢いは買える。

 読切もう1本。つるんづマリー「バストラック」。ノリの良い長距離トラックの運転手さんと、バスで修学旅行中の小学生&先生が繰り広げるドタバタ劇。小学生相手に大ぼらを吹き、ついサービスしてしまうトラックの運ちゃんのキャラが楽しく描けており、感触としては悪くない。まあ今後描き慣れてくれば、といった感じでしょうか。

【雑誌】漫画アクション 2/19 No.4 双葉社 B5中

 こちらは2月5日発売号。郷田マモラ「サマヨイザクラ」が連載開始。来年から始まる「裁判員制度」を扱った物語。ネットカフェ難民をしていて、一度は強盗も考えた男が裁判員に選ばれ、司法の現場を目にしていくという物語。まだお話は始まったばかりでなんともいえないが、裁判員という制度を先取りしてお話を作っていくというのは着眼点としては面白いかもしれない。

 読切、第5回漫画アクション新人賞佳作受賞作品、伊図透「STEEL BLUE」。美大のグラフィックの卒業制作だというのに、なぜか鉄工にものすごく入れ込んでしまった女の子の姿を描いていく。鉄を加工することに魅せられ、一心不乱に鉄を叩き、溶接する彼女のストイックな姿はなぜか心を動かされるものがある。自分の興味のあることに対するまっすぐな情熱を、気持ち良く描いている。絵のほうも、商業的なこなれ方はしてないけど、確かな描線でなかなか達者。ちょっとカサハラテツローと思わせる。個人的にはけっこう好きな作風です。

【雑誌】イブニング 2/26 No.5 講談社 B5中

 青木幸子「ZOOKEEPER」。今回から老いたアフリカゾウと、ゾウが唯一心を許している嘱託の老飼育官・田中の物語。そのアフリカゾウの蹄を削る仕事は、すでに定年で一線を退いている田中しかできないのだが、田中にアクシデントがあり……という出だし。「動物園の動物が年をとったらどうなっちゃうのか?」というのは、一般の利用者は知ることのない問題であり、こうやって取り上げられると確かに興味深いものはある。このテーマでどういうお話を展開してくるのか楽しみ。

 寺沢大介「喰いタン」。バレンタインデーのチョコ話。白木さんというおばさんおやってるケーキ屋さんで修行中の、小生意気な女の子・可奈ちゃんがチョコレートを作るのだが……といった内容。こんなところでツンデレと出会うとはな。きくち正太「おちよさん」。土鍋の威力について語る。自分も土鍋炊飯はよくやるんで、とても気になるテーマ。でも相変わらず、この「粋でござい」って感じの語り口はしゃくにさわるぜー。

【雑誌】ヤングチャンピオン 2/26 No.5 秋田書店 B5中

 田口雅之「ブラック・ジョーク」(シナリオ:小池倫太郎)が連載開始。日本がアメリカ51番めの州となっている世界。東京全域で風俗営業が禁止される中、唯一の特殊産業開放地区とされた東京湾埋め立て地の人口島を舞台に物語は展開。その島で、かたや暴力、かたや頭のキレでブイブイいわすコンビ、吉良潔と小玉童示の活躍を描いていくバイオレンスアクションといった感じ。本筋がどういうふうになっていくかはまだ分からないけど、とりあえずB級アクション路線でガンガン行くのかな。それにしても田口雅之の絵はすごくCGバリバリになってますね。モノクロページだと、画面全体がグレーがかってて、ちょっとメリハリがなくなってる気もするんですが。こういったテイストの絵柄だと手描きゴリゴリのほうがいいんじゃないかなー。

【雑誌】漫画サンデー 2/26 No.8 実業之日本社 B5中

 作:倉科遼+画:みね武「艶恋師 放浪編」。徳島で出会った淫乱女を前にして、菊之介さんもタジタジ。どうしても肉欲を抑えきれない色情女の攻めで、菊様もノックアウト。相変わらずヤッた後の菊様のへろへろした様子はユーモラス。まさに「トホホ」という感じ。なんか最近、菊之介がかっこ悪いエピソードがやたら多いような気がする。


2/11(月)……ガッと勝負

【雑誌】赤マルジャンプ 2008WINTER 2/8 集英社 B5平

 けっこう前に買っていたんだけど今さら。実は週刊少年ジャンプと間違えて買いました。この号では、ジャンプ本誌では宙ぶらりん状態だった江尻立真「P2!」の最終回が掲載されている。ヒロムたちのその後が描かれて、それなりに楽しくはあるんだけど、お話の畳み方としてはかなりドタバタした感じになっちゃってて残念。行儀良すぎなきらいはあったけど、スジは良さげな作品だったんで、もう少しうまく着地させてあげたかったところ。

 田中靖規「ジャメヴ」。出会ったものの姿形をコピーして元の存在を殺してしまう宇宙生命体・ジャメヴが、人知れず地球に潜入。平凡な少年である岳が、同様にコピー能力を持つが、コピー元は殺さないハインの力を借りてジャメヴに立ち向かう。ジャメヴの弱点に関する設定がもう一つ得心がいかなったりはするものの、「コピー能力のある宇宙生命体」という設定自体は悪くないと思うし、お話としてもけっこうまとまっている。

 山本かずね「100ドルは安すぎる」は、マイナス100ドルというヘンな金額のかけられた賞金首の謎に、賞金稼ぎの女性と推理屋の少年が挑むという内容。こなれてはいないものの、暖かみのある画風はわりと良いし、理屈部分も分かりやすく描かれており、読んでて楽しめた。まずまず好感。

【雑誌】Beth vol.08 講談社 A5平

 購入が遅れてしまいましたが最終号。「女の子のための漫画×カルチャー誌」をうたって創刊された本誌だが、あえなく休刊。持ち運びもしやすそうなA5サイズにするとか工夫はしてたけど、書店で目立たなすぎだったように思います。てか置いてある書店も少なかったし……。内容もそれなりに楽しめる本ではあったんですが、まあ仕方ないかなーという気はする。

 この雑誌で最も楽しみにしていたのは、岩岡ヒサエの合唱部漫画「オトノハコ」。合唱部に入った女の子たちのお話をほのぼの展開してて、なかなか楽しい作品だった。この号ではまだお話は完結していないけど、3月発売予定の単行本に続きが収録される模様。まあとりあえず1冊にまとまってくれたのは良かった。

 谷川史子「東京マーブルチョコレート」後編。男×2、女×1でずっと仲良く暮らしていた3人組だが、お互いに恋愛を意識したときからすれ違うようになっていく。若者たちの甘くてほろ苦い恋愛模様をさわやかに描き出していて、雰囲気のとても良い作品だった。こちらは単行本[bk1][Amzn]が2月12日発売となっている。あと松田奈緒子「100年たったらみんな死ぬ」もまずまず楽しい作品だった。

【雑誌】COMIC XO 3月号 オークス A5平 [Amzn][定期購読:7andyicon

 キイタカシ「ガーリィガーリィガーリィ!」が連載開始。以前の日記でちょっと触れたけど、以前別冊ヤンマガで「犯罪交渉人峰岸英太郎」を描いていた記伊孝とたぶん同一人物。14歳ながらアキバのジュニアアイドルショップの店長を任されることになった少年・姫川裕二が、そこでジュニアアイドルをやってる小学校時代の幼なじみ・森野苺と再会。それがきっかけで、二人はエッチしてしまうが……といったお話。「峰岸英太郎」のときからやらかくてかわいい感じの絵柄を時折見せる作者だっが、こういった美少女絵も描く人だったんだなあと思った。絵柄的にはまだ不安定で、エロ漫画的にもこなれてないとは思います。ちんこ描写ももう一つエロくないし。とはいえ、けっこう注目していた作家さんではあったので、これからどうなるかは気になるところです。

 のぎまこと「あるこリズム」。パソコン娘のあるこが学校で体調不良に。それを直そうとしていた大村だけど、なんかエッチな展開に。そんな様子を見てやきもきしているお嬢様キャラの流能さんがラブコメ的に良いキャラ。この娘さんが出てきたときはやはり反応してしまう。

【単行本】「初恋限定。」1巻 河下水希 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 少年少女のトキメキたっぷり初恋模様を描いていく物語。主人公はとくに固定されておらず、同じ中学校および高校に属する男の子、女の子がかわるがわる出てきて、各自の恋愛を描いていくという形。河下水希といえば「いちご100%」でも知られるとおり、女の子絵が実にキュート。元気な美少女、妹キャラ、ちょっと大人びた女の子……などなど、どの娘さんも、見ててたいへんかわいい。すごくピチピチみずみずしくて、読んでいるだけで心が華やかになるし、恋愛感情もくすぐられる。

 「いちご100%」のときは、主人公・真中の優柔不断ぶりと、寸止めし続けるお話のおかげで、中盤以降のもたつきが気になったけど、この作品の場合は誰と誰がくっついてもオッケー状態でわりとサクサク読んでいけるのが良い点。ちょっと登場キャラが多いので、頭がこんがらがりそうになったりはしますが、まあ別に難しい話でもなし。気軽に読めて、女の子のかわいさも楽しめて良いです。

【単行本】「GIANT KILLING」4巻 作:綱本将也+画:ツジトモ 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 感想書くのがだいぶ遅れましたが(実は発売日くらいに読んではいたんですが)、この巻もたいへん面白かったです。いよいよ公式戦が始まったが、ETUは連敗続き。選手の一部、そしてファンはイライラを募らせるが、達海はその後の快進撃に向けた手ごたえをたしかに感じていた……。

 この巻はサッカーのプレー自体はさほど「痛快」とか「胸がすく」とかいった感じじゃないんだけど、それでもとても気持ち良く読める。「達海ETUがこれからどうなるのか」という期待感が常にあるし、漫画としてのテンポも良い。セリフのキレが良くてすごく小気味いいし、キャラにも味があるし、要所要所の見せ場できちんとメリハリを効かせている。よくできてんなーと思います。

【単行本】「ペンギン娘」3巻 高橋てつや 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 週刊少年チャンピオン連載分はこれで一段落。オタク娘の南極さくら、彼女がおっかけ回している喧嘩ムチャ強少女・択捉鯨を中心に、ドタバタしまくりな学園萌え萌え漫画を展開。最初のうちはすごく読みにくかった本作も、このあたりまで来るとそれなりにこなれてきており、キャッチーな絵柄と頭の軽い演出は健在で、そういうのが好きな人にとっては楽しみやすくなった。まあ「中身ない」とかいわれがちな作品だけど、それはそれでいいのではないかと思う。そういう作品が心地よく感じられるときだってあるし。で、現在本作は、チャンピオンREDに移籍し「ペンギン娘MAX」となっている。そっちのほうがエロ成分は盛り込みやすかろうし、この作品にとっては良かったのではないでしょうか。

【単行本】「GAMBLE FISH」4巻 作:青山広美+画:山根和俊 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 ビリヤード編が終了。五木島が最後までお役に立ち、鮮やかに勝負は決着。「タイマン張ったらメロメロ」の法則も健在。で、その次はvs.阿鼻谷ゼミのダイス勝負団体戦編がスタート。のっけから月夜野さんに災難が降りかかったり、いろいろと刺激が強い。のっけからインパクトの強い漫画だったので、どんな過剰な演出しちゃってもオッケー状態になっちゃってるってのはいいですな。

【単行本】「フルセット!」3巻 梅田阿比 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 男子バレーボール部が、部の存続をかけて試合で頑張る。会田にボールを集めて、入谷くんをはじめみんな必死になるが……といった展開。オーソドックスな努力・根性のバレーボール漫画だけど、キャラクターのかわいらしさもあってしっかり楽しめる。男の子連中は試合前はそのかわいさがかなりヤバげだったが、頑張っているうちに多少カッコよさも出てきたかな。応援の女子連中も、出番こそ少ないけど可憐でよろしい。

【単行本】「ヤンキー君とメガネちゃん」6巻 吉河美希 講談社 新書判 [bk1][Amzn]

 堅調。この巻は紋白高校の学園祭と、それを巡るトラブルなどが中心。最初のほうはイヤイヤって感じだった品川が、なんだかんだで学園祭に入れ込んでいっちゃってる様子とかが微笑ましい。あとこの巻には、品川、花の入学試験の模様を描いた番外編も収録。こちらはこちらで楽しい。全体に乱暴なシーンはありつつも、快活でほのぼのしてて後味が良いです。


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