つれづれなるマンガ感想文5月前半

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一気に下まで行きたい



【テレビ】・「ハロー! モーニング。」(2005、テレビ東京)
・「マスコミ非情派」 谷あくと、峰岸とおる(1978、コミック社)
・「東京スクランブル」 谷あく斗、司敬(1978、コミック社)
・「悩殺エージェンシー マスコミ戦士(ゲリラ)」 堂本龍策、緒方恭二(1979、日本文華社)
・「銀河聖戦士伝」(上)三種の神器編 深見東州、のなかみのる(1996、たちばな出版)
・「番長連合」(6)〜(9) 阿部秀司(2004〜2005、秋田書店)
・「迷宮魔術団」全4巻 巻来功士(2001〜2002、集英社)
・「50円の青春 アーバンキッズ麻雀派」 吉田幸彦、地匹かずや(1990、日本文芸社)
・「UFOの謎 完全解明」 林ひさお(1993、小学館)
・「ヘルシング」(3)〜(7) 平野耕太(2001〜2005、少年画報社)
【雑記】・ぶっとびマンガ・全選手入場のガイドライン
【テレビ】・「ハロー! モーニング。」(2005、テレビ東京)
・「エマ」(5) 森薫(2005、エンターブレイン)
・「刃(JIN)」 5/5増刊号 Vol.12(2005、小池書院)
・「超護流符伝 ハルカ」全1巻 石川賢(2005、学研)
・「ドールガン」(1) 出口竜正(2005、秋田書店)
・「食いしん坊!」(1) 土山しげる(2005、日本文芸社)
・「PLUTO(プルートウ)」(2) 手塚治虫、浦沢直樹(2005、小学館)
・「フェイスガード虜」(6)(完結) おおひなたごう(2005、秋田書店)
・「サラーキア」全1巻 永井豪(2002、講談社)
【雑誌】・「コミックバンチ」22+23号(2005、新潮社)
【テレビ】・「ハロー! モーニング。」(2005、テレビ東京)






【テレビ】・「ハロー! モーニング。」(2005、テレビ東京)

5月15日放送分。

公式ページ

ハロモニ。5周年SP。今回は前編かな。
「沖縄チーム」と「北海道チーム」に別れて、旅行を楽しむ。
沖縄チームが、石川梨華が案内役で、吉澤、高橋、紺野、小川、道重。
北海道チームが、辻、加護が案内役で、藤本、新垣、田中、亀井。
……で良かったよな?

さすがに毎週書いていると疲れてきたよ。私はロードをいつまで歌い続けなければならないのだろう(だれにも頼まれてない)。
まあでも、四期がいるとバラエティがシマるなー。もう辻、加護、石川がいるだけで面白いし、それを吉澤はニコニコして適当にツッコミを入れるだけで番組は成立する。
あと、あいかわらず高橋愛の太股は良かった。道重の太股も良かった。北海道チームは太股が見えないだけマイナス100万点だ。

子供の頃、親の目を盗んで見た11PMだったか「独占! 大人の時間」だったか、「太股」っていうヌード雑誌の撮影風景を放送してて、それに異常に興奮してから私は太股にこだわっています。
すいません、本当は別にそれほどでもないです。

まあ、ハロプロでいちばんの太股女王は後藤真希なんだけどね。次点はだれだろうな。飯田圭織かもしれないな。それか亀井か紺野。

沖縄・北海道両方とも、風が強いらしくみんな髪の毛がボサボサになってたのが何となく面白かった。

あと、新垣の乗った人力車を引っ張らされてる田中れいなが、よろよろしながら路上のボブ・サップのポスターを見て「あっ、ボブ・サップ!」って言ったのに笑ってしまった。

エリック亀造のまいどありぃ。今回の司会は、いい意味で弛緩しきった安倍さん。安倍さんすげえなあ。辻加護に「二人はケンカとかしないの? 足踏んだりとか?」ってカラッとすごい陰険トークを(笑)。

W(ダブルユー)の新曲。「ロボキッス」路線で、私の初見の印象はかなりいい。松浦亜弥が、パーッとした曲をあまり歌わなくなってしまって、すごい哀しいんでW(ダブルユー)にはもっと歌出して欲しいんだけどね。

……っつーか、他のアイドルがぜんぜんダメなんだもんな。っつーか、もう私の時代じゃないということだね。リバイバルすらもうないんだ。そんなことはわかっているさ……。またアイドル冬の時代だ。長い、たぶん終わらない冬の時代なんだ。

これから、男か女かわからない人種が増えると思うんで(飯田圭織が長い髪を切ったのはそのかすかなる前兆)、みんな昔の研ナオコでコーフンするように訓練した方がいいと思うよ。
宇宙人のグレイタイプは、進化した人類を表しているという説があるが、これからみんな研ナオコみたいになるんで、研ナオコはグレイみたいな感じだから、それはきっと当たっていると思うんだよ。

前回の放送

(05.0515)


・「マスコミ非情派」 谷あくと、峰岸とおる(1978、コミック社)

60年代後半から80年代半ば辺りまで、日本の男文化にはタレサンイズムとでも言うべきものがあった。
タレサン・皮ジャン・キツめのタバコ・バーボン・バイク・クルマ・拳銃・反体制・一匹狼・一攫千金。そんなものが取り巻く「主義」である。
これらのいくつかが揃っていれば、実際にタレサンをかけていなくても立派な「タレサニスト」なのだ。

70年代には当たり前のように存在していたタレサン文化であるが、段階的に「おいしい生活」だの「80年代的パロディ」だのによって武装解除され、解体されていった。
象徴的だったのはテレビ番組「たけしの元気が出るテレビ」において、一流のタレサン文化の体現者であった松方弘樹が「単に眉毛の長い笑い上戸のおじさん」に成り下がったことである。
さらにさかのぼるならば「ピンキーパンチ大逆転」で、松本伊代と柏原芳恵扮するスーパーヒロインのやられ役「ゾウアザラシ星人」として志賀勝が出演したとき、すでにタレサン文化の衰退は決定していたと言える。

マンガ界では一時期は決定的に劇画=タレサンイズムのことであった。現在でも時代の息吹は梶原一騎、小池一夫、雁屋哲といった現在でも活躍中、もしくは故人となっても再販が重ねられている劇画家の仕事によって見ることができるが、当然そこから漏れ落ちざるを得ない作品も存在する。
本作を読んで、そのことを再認識させられた。

本作は、歌謡界、映画界、テレビ界など広義の芸能界を舞台にしたオムニバス形式の劇画である。一貫した主人公はいないが、テレビプロデューサー・原田杏介のみが2回主役を張っている。
どれもが「薄汚い芸能界」でのし上がっていこうとする、もしくは自分の理想を貫徹させようとする男女の物語であり、非情な中にも人情があり、えげつなさの中にもポリシーがある。
第一話「燃えつきたスポットライト」では、ジャリタレショーに成り下がった歌番組を憂えるチリチリパーマにタレサンの原田杏介(たぶん原田芳雄からとった名前だと思う)が、巨大芸能プロ・ノベプロに対抗するため、本物の歌を歌える不良少女、通称「喧嘩(ゴロ)」マキを歌手として売り出そうとする。
冒頭から、拳銃以外のすべてのタレサンイズムが横溢した作品になっている。

他にも、腐りきった日本映画を蘇らせようと「本番アリ」を売り物に芸術的ポルノ映画をとろうとする監督と女優、老舗プロモーターに牙を向ける美人呼び屋、大手広告代理店と真っ向から勝負する気鋭CMディレクターなど、これでもかというタレサンイズムの具現の連続である。

また、80年代以降、絵柄的にはすっかり毒気を抜かれてしまった峰岸とおるの絵はまだ劇画として活き活きしており、原作の見せ場を大胆に大ゴマや見開きを使って見せる手法など、なかなかどうして埋もれさせるには惜しい作品群である。

……でも埋もれちゃうんだよなあ。
(05.0512)



・「東京スクランブル」 谷あく斗、司敬(1978、コミック社)

タレサンイズムが横溢する70年代劇画。

ディスクジョッキー・風見亜子がラジオで「スクランブル」という名の人物からジョン・レノンの「マザー」をリクエストされたとき、それは事件処理屋「トラブル・サーカス」出番のときだ。
謎の女・亜子、元F1レーサー・結城史郎、元航空自衛隊・神野猛の三人からなるトラブル・サーカスは、警察や大財閥からの依頼を受け、暴走族や暴力団、密輸団を相手に派手なアクションを展開する、一話完結もの。

表紙のタレサンの人物は、パッと見、男かと思ったが女リーダーの亜子だ。

登場人物紹介で「無頼ノ一」、「無頼ノ二」なんて出てくるところはもうたまらないですね。ホント、この頃って見事なまでに出てくるアイテムやファッション、プロットに至るまですべてがキマっていて、もう「型」として完成されている。これ以上のものはないだろうな、と思っていると、時代の変化とともにゆっくりと解体していくんだねこれが。

80年代のSF美少女マンガとかもそうだったけどね。ま、そんなもんさ。

1979〜80年にかけて松田優作のテレビシリーズ「探偵物語」が放映されているんだけど、制作者側にはすでに、松田優作的なダンディズムをコメディとして扱うという時代の流れを感じてたと思う。
ぜんぜん関係ないけど同時期にファーストガンダムが放映されてる。で、70年代を凝縮したような映画「太陽を盗んだ男」が同年公開で、コケたらしい。そのように、「70年代的な何か」はゆっくりと解体していった。

なお、たぶん「谷あくと」と「谷あく斗」は同一人物だろうと思う。
(05.0512)



・「悩殺エージェンシー マスコミ戦士(ゲリラ)」 堂本龍策、緒方恭二(1979、日本文華社)

タレサンイズム劇画。

大手広告代理店のはみ出し社員たちが、閑職に追いやられたことをいいことに自分の勤める会社が広告を手がける企業の、ライバル企業の宣伝を内職で行って鼻をあかすという一話完結もの。
タイトルには「悩殺」とあるが、エロネタはほとんどないです。

宣伝というより「スティング」みたいな詐欺まがいの仕掛けが痛快な作品。当時の時事ネタ(某結婚式場でコレラ騒ぎがあったり。懐かしい!)を取り入れてうまく膨らましてある。
70年代劇画にありがちな陰惨さは無く、むしろ小咄的にひっくり返る毎回のラストにユーモアがあり、濃ゆい緒方恭二の作画とあいまって実にイイ味を出している。
メンバーが昔の沢田研二風長髪、角刈り、パーマに髭、オタク風小太りメガネというふうにメンツをざっと見ただけでキャラの外観に懐かしさ爆発。尻切れトンボでもおかしくないが、きちんと最終回もある。
(05.0512)



・「銀河聖戦士伝」(上)三種の神器編 深見東州、のなかみのる(1996、たちばな出版)

修行を積んだ超能力者・タケルが人類救済のために妖魔と戦いながら三種の神器を集めるファンタジーもの。
でも、原作が深見東州だからなんか新宗教的なものが入ってるんだろうね。

作画はのなかみのるなんで、一定のアベレージはあるしクリーチャー造型も面白いんだけど、お話がハイハイハイハイ、という感じで一本調子なので盛り上がりには欠ける。
(05.0512)


・「番長連合」(6)〜(9) 阿部秀司(2004〜2005、秋田書店) [amazon]

週刊少年チャンピオン連載。全学会は千葉県最強の暴走族「上総連合」と対決、千葉を平定し、関東へ打って出る拠点として池袋をターゲットとして定めたところまで。

他の人はどう思うかわからんが、わたし的にはすごく面白い。とくに軍師・堂本が巡らせる戦略が、総番長・東(あずま)を敵のボスとタイマン張らせる、そのお膳立てのためだけというのが素晴らしい。実に「番長マンガ」のなんたるかをわかっていると思った。

上総連合ヘッドの因縁話は唐突に現れたが、その後キャラクターを掘り下げることで、それほどの違和感はなくなった。

5巻の感想

(05.0511)



・「迷宮魔術団」全4巻 巻来功士(2001〜2002、集英社) [amazon]

オースーパージャンプ増刊号連載。16世紀、長崎の使節団としてオランダに渡った武士・月見信継は、現地の女性と結婚し娘をもうけるが魔女狩りに巻き込まれ、検事長バリアーニに妻子を殺された。
悪魔は人間の運命を弄ぶために信継たちと契約を結びバンパイアに変え、同時に彼の宿敵であるバリアーニをも蘇らせる。以来400年間、信継たちはバリアーニを探して復讐を遂げるため、拷問ショー「迷宮魔術団」を開催しては腐った魂を悪魔に差し出しながら旅をすることになる。

要するに「迷宮魔術団」の開催が、訪れた人間が本当に悪の心を持っているのか、改心の余地があるのかを判断するという1話完結ものの基本プロットに、毎回復讐相手のバリアーニの影がちらつくという連続ものの面白さも加味した作品。
ものすごく簡単に言うと同じ作者の「メタルK」に近い。

が、まずネームが多く絵が見にくい。また、世相を取り入れたエピソードも毎回頷けるとはいいがたいものが多く、はっきり言って、微妙。

3巻まで読んで完結編はどうしようかとも思ったが、運良く(?)手に入ったので最後まで読んだ。
最後まで読んで「微妙」という感想は変わらないが、ラスト近くになって感動しそうになってしまった。

それは「ゴッドサイダー」でもそうだったのだが、あまりに軽々しい、安い「神」の扱い方にある。
巻来功士の描く「神」とは「悪魔」とか「魔王」と対照的な、対になる存在なので、彼の描く魔王と同じくらいに軽々しい。そうならざるを得ない。
この辺がおそらくキリスト教圏文化とは無縁の人間の強みというか恐いもの知らずというか……なのだが、「魔」を作品で扱うことが裏返しに「神」を考えることだと考えた場合、この作者の描く神は他の人のそれに比べて無邪気で、大胆で、強大だ。

「感動」とまでは行かないが、何かプリミティヴな力がある(この辺はもっと意図的に描けば、水木しげるの「コケカキィキィ」みたいになるのだろうな)。

まあ、決してむやみに持ち上げるつもりはないが、この無邪気さが、多くの妖怪・怪物もの(たとえば「神」の存在を当然のように希薄に描いている「ヘルシング」などと比べると)、独特の迫力を出していることは確かだろう。
逆に言えば、まともに考えたら出しっこないような「神」の出し方をしているということなんだけど。
(05.0511)



・「50円の青春 アーバンキッズ麻雀派」 吉田幸彦、地匹かずや(1990、日本文芸社) [amazon]

麻雀劇画。「1990年」という発行年月日が、本作の連載の時期に近いと前提とするなら、これほど時代の波をかぶった劇画もないだろう。

大学生・鳴海は、油井という友人に影響されてレート50円の「50円麻雀」にのめり込んでいる。レートの安さは、麻雀を賭事としてのみ見ない、本当に麻雀が好きな人と面白い麻雀が打ちたいため。また、自分が惰性で打つ麻雀をやらないためだ。

表紙絵からして、「トレンディー」とか「モラトリアム世代」とかをテーマにしたという、時代を感じざるを得ない作品。
第一話では、「傲慢」なプロの男を50円のレートで叩きつぶし、さらに自宅を探して押し掛け、麻雀勝負を挑みさらに完膚無きまでに叩きつぶす。
その後、油井は「いま世間はヘドが出るような下心ばかりだ」、「たとえば中学時代、初めて英語に接した感動を忘れ、やがて高校受験という下心に染まっていってしまった」、「俺たちがやってる50円の麻雀にはそんな下心はない」(大意)と言い、

「地上げ屋どもが何億って話をヘーキでする時代に50円でやってるんだ すごいじゃないか」とうそぶく。

まあ正直、第一話で引いたよ。
「カネがかかっている方が強い」という考えを覆したい気持ちはわからないではないが、ここには映画「ジョーズ」に見られる、「よそ者で未経験者の警官とサメオタクの学者が巨大鮫に勝つ」というような爽快感は微塵もない。自分自身がバブルに浮わっついてるクセに、それだけは認めたくないという甘ったれた根性があるだけだ。
ま、そういう時代だったと言えばそうなんだけど。

想像どおり、後の展開で油井は次々と内定をとっていく仲間を冷たい目で見ながら、「就職はしない」と言いきり雀荘に入り浸る。そんな油井を畏れと憧れの目で見る鳴海。
……まああきれてものも言えないけど、時代の気分だったんだから仕方がない。景気のいいときは、「自由に生きていく」という決意のほどもまた測りにくいからなあ。

最近多い、「カネさえあれば世の中勝ち(逆になければ負け)」と公言してはばからない劇画の、ちょうど真逆に針が振れた方向にこの作品が位置していると言える。まあ、バブルに浮かれないのも、不景気に落ち込まないのも、人間にとってはむずかしいということだろう。
(05.0511)



・「UFOの謎 完全解明」 林ひさお(1993、小学館) [amazon]

「ロズウェル事件」とか「第三の選択」といったUFO関連の事件をマンガ化したものだが、切り口が少々変わっている。
まず、口絵にUFOの写真。4枚も。しかし解説には「ニセ物の可能性が高い。」と書いてある。宇宙人の写真も。しかし解説には「これは模型」。
「第三の選択」をマンガ化。アレですね、「エリート集団を火星に移住させようとする計画」を描いたイギリスの特番。ウソだということがすでにわかってはいるが、もっともらしくマンガ化。でも解説には「フィクション」。
なら載せるなよ!! 要するにぜんぶインチキだってことだろ!!

しかし、疑似科学批判かというとそうではない。作者(マンガ家ではなくて「解説」の後藤一郎という人だと思うけど)の主張は、「エイリアンの正体は異次元からやってきた実体を持たない存在。実は肉体を持った存在の方がレベルは高いが、実体を持たない彼らは自分たちの世界へ引きずり込もうと、人間を『肉体を捨てよ』と誘惑する。UFOとかエイリアンとかは、すべてそのための陰謀」という、そのテの話に疎い人にとっては少々奇妙な理屈だ。

背景にはなんかの宗教とか神秘学的な思想があると思う。大元はヴラヴァツキーとかそういうのだと思うけど、それを独自解釈しただれかの受け売りという感じはする。 ネットで調べたが、よくわかりませんでした。「後藤一郎」の正体もはっきりしなかった。

物語の案内役の青年はニューヨーク勤務のエリートサラリーマン、その妻は元証券会社のOL、というトレンディドラマ風の設定がバブルを思い出させて泣かせる。
(05.0510)



・「ヘルシング」(3)〜(7) 平野耕太(2001〜2005、少年画報社) [amazon]

ヤングキングアワーズ連載。あらゆる異教徒・化け物からプロテスタントを守るために英国に存在する「王立国教騎士団(ヘルシング機関)」。その最強の切り札はヘルシング家が100年かけて作り上げた「バンパイア退治のバンパイア」アーカードだ。

謎の組織「ミレニアム」はナチの残党によって組織されているらしいが、これまた謎の男「少佐」によって牛耳られ、バンパイアの軍隊によってイギリスに総攻撃をしかけてくる。

何巻だか忘れたが、本作には「目的のためなら手段を選ばない」のではなく、「手段のためなら目的を選ばない」という言葉が出てくる。「少佐」の目的は「戦争のための戦争」。
つまり、目的のない手段だけの営み。

出てくる男たち・女たちは戦いそのものが手段であり、目的。だからそれ以外の野望を抱いているマクスウェルは、アンデルセンにこう批判される。

「俺たちはただの暴力装置のはずだ 俺はただの肉切り包丁だ 神に司えるただの力だ マクスウェル お前は神に司える事をやめた 神の力に司えている!! ええ? そうだろう? マクスウェル大司教様よ?」

こういう基本的に快楽主義的な姿勢は作者に一貫していると思う。このような「暴力」に対する考え方は、限りなく「ガクエン退屈男」や「バイオレンス・ジャック」に近い。暴力は本能で、それにはだれも逆らえない。戦う者も、守る者も。
「力」を「目的達成のため」のものとする、言ったら「安いマキャベリズム」みたいな思想がエンタテインメントでも蔓延している昨今、このスタンスは実に気持ちがいい。

一方で、まともな神経を持った人々を描くのも忘れていない。それが自らを「無能ではあるが卑怯ではない」と言ったペンウッド卿、吸血鬼に一矢報いてやろうとする傭兵・ベルナドット、アーカードによって吸血鬼となった婦人警官・セラスたちだろう。
いつも単行本の巻末に、冗談で毎回「仁義なき戦い」のことが書いてあるが、実はこういう「普通の人々」までしっかり描くやり方は深作欣二的と言うこともできる。それは、エンタテインメントのツボではないかと個人的に思っている。

1巻の感想

2巻の感想

(05.0510)



【雑記】・ぶっとびマンガ・全選手入場のガイドライン

こことかこことか見てると、ここに雑記を書くのも4カ月ぶりくらいですね。

ぶっとびマンガ・全選手入場のガイドライン
ネタ的には今さらだと思うが、思いつきで書いてみたよ。

全選手入場!!

関東地獄地震でも生きていた!! 映画「デビルマン」のダメージを乗り越え、人間凶器が甦った!!!
冷奴でガス!! 永井豪だァ――――!!!

ぶっとび劇画の方法論はすでに私が完成している!!
どす恋、どす恋、平松伸二だァ――――!!!

連載が始まり次第描きまくってやる!!
エンターテインメント代表、土山しげるだァッ!!!

「天然な感じ」なら私のキャリアがものを言う!!
SHOP自分の経営者、柳沢きみお!!!

真の劇画を知らしめたい!! 「スーパー巨人」原作、滝沢解だァ!!!

劇画界でも名は通っているが、「ぶっとび」基準なら全階級オレのものだ!!
「ちゆ」でもいじられた 峰岸とおるだ!!!

「犬がしゃべる不自然」対策は完璧だ!! 唯一無二の犬劇画家、高橋よしひろ!!!!

ムリヤリ設定のベスト・ディフェンスは私の中にある!!
牛丼の神様が来たッ ゆでたまご!!!

タイマンなら絶対に敗けん!!
暴走族のケンカ見せたる 特攻隊長 雄樹慶だ!!!

オッパイ(おっぱい)ならこいつが怖い!!
意外にストーリー・テラー、ながしま超助だ!!!

コロコロコミックから炎の虎が上陸だ!! 「3D甲子園プラコン大作」たかや健二!!!

ルールの無いマンガが描きたいからマンガ家になったのだ!!
執拗な描き込みを見せてやる!! ふくしま政美!!!

「満月の夜に寿司を握ったらすごい」とはよく描いたもの!!
職人の奥義が今 実戦でバクハツする!! たがわ靖之先生だ―――!!!

少年ジャンプ人気投票第一位こそが地上最強の代名詞だ!!
まさかこの男がきてくれるとはッッ 原哲夫!!!

闘いたいからここまできたッ キャリア一切不明!!!!
同人誌のピット(ケンカ)ファイター 木持アート出版だ!!!

オレはエロ最強ではない ぶっとびマンガで最強なのだ!!
御存知エロ劇画家 福原秀美!!!

ぶっとびの本場は今やボーイズラブにある!! オレを驚かせる奴はいないのか!!
「ちんつぶ」大和名瀬だ!!!

長ァァァァァいッ説明不要!!
「野望の王国」、雁屋哲だ!!!

エロマンガは実戦で使えてナンボのモン!!! 超実戦エロマンガ!!
SM畑から三条友美の登場だ!!!

ベルトはオレのもの 邪魔するやつは思いきり殴り思いきり蹴るだけ!!
……とか言うとシャレにならない 梶原一騎!!

自分を試しに参院選出馬を表明!!
「やぶれかぶれ」は本当にやぶれかぶれだった、本宮ひろ志!!!

嫌みな似顔絵に更なる磨きをかけ ”ゴーマニズム”小林よしのりが帰ってきたァ!!!

今の自分に死角はないッッ!! シュート・マンガ家石川賢!!!

劇画村塾四千年の技が今ベールを脱ぐ!! チャンピオンREDから 山口貴由だ!!!

ファンの前だろうと、オレはいつでも見開き宇宙を多用する!!
海賊帽子の松本零士 また「ヤマト」をひっさげて登場だ!!!

アフリカでの試合はどーしたッ アストロ球団 未だ健在ッ!!
読者を翻弄するのは思いのまま!! 遠崎史郎だ!!!

特に理由はないッ 人気作家が面白いのは当たりまえ!!
水木杏子にはないしょだ!!!
「僕のブラジャー・アイランド」のいがらしゆみこがきてくれた―――!!!

コロコロコミックで磨いた実戦ぶっとび!!
小学館のデンジャラス・ライオン のむら「とどろけ! 一番」しんぼだ!!!

「ぶっとび」だったらこの人を外せない!! 超A級学園マンガ家 伊藤「ぶかつどう」清順だ!!!

超一流ファミコンマンガ家の超一流のぶっとびだ!! 生で拝んでオドロキやがれッ
「トリビアの泉」でまさかのブレイク!! 安田「ファミコマンドー」達夫!!!

劇画の方法論はこの男が完成させた!!
タランティーノのネタの切り札!! 小池一夫だ!!!

イカす王者が帰ってきたッ
どこへ行っていたンだッ チャンピオンッッ
俺達は君を待っていたッッッ
すがや「ゲームセンターあらし」みつるの登場だ――――――――ッ

(05.0509)


【テレビ】・「ハロー! モーニング。」(2005、テレビ東京)

5月8日放送分。

公式ページ

石川梨華卒業SP
ものまね、コント、チャーミー石川。ニコニコ。そして涙。ハロモニ。は石川のキャラ開発において重要な位置を占めている。それを再認識。

実は、石川梨華卒業に関してそれほどの感慨はない。
辻加護の後ということもあるし、美勇伝に関してはまったく心配していないから。
石川には未来があるからね。それも、かなりイメージしやすいのだ。
ある意味、後藤真希よりもずっとイメージしやすい。
まあよくも悪くも、ということなんだけど。

思えば、石川は四期までの段階で、娘。中でルックス的にはもっともアイドルアイドルした存在であった。
吉澤のようにカッコいい系に行ける準備があるわけでもなく、辻加護のようなフリークス性もない。「かわいさ」という点でも、安倍なつみが80年代アイドル的たたずまいを持っているとするなら、それより前、70年代デビューの石川ひとみや倉田まり子を彷彿とさせる外見。浅田美代子や吹雪ジュンのように不安定な歌唱力。
もしも彼女が単体でデビューしていたら、ずっと最後まで「少しオドオドしたちょっとかわいい子」でしかなかったかもしれない。

それが90年代後半の「娘。」に加入したことによって、大きく変わった。「娘。」という枠組みは、「かわいいだけ」の石川梨華にそれ以上のものを要求した。そして、石川はそれによく答えた。

いちばんオーソドックスであることが、奇異に映るという逆説。他のメンバーが言う「キショい」とは石川梨華の70年代的(ブリッ子的)たたずまいのことであり、五期メン〜六期メン加入によってさらに強調された「萌え路線」を彼女たち自身が少しだけ、相対化する瞬間でもあった。

いいね。最高だ。

「チャーミー石川」は、中澤とのコンビで実は周到なキャスターコントの主役であった。今回、ピーマコ、おじゃマルシェ、高橋ラブリー、エリザベスキャメイと歴代キャスターが再集結したが、その原点はチャーミー石川で、チャーミー石川がいちばん劇的に、石川梨華の一生懸命さとイコールなのであった。
コントで、楽しくて、一生懸命で、かわいいという希有なキャラでした。

後出しジャンケン的な考え方ではあるが、しかしやはり考えてみると矢口と石川が同時期に「卒業」したのもまた、「矢口をして『同じにおいを感じる』と言わしめた石川」と「矢口」の対照的な身の振り方という気がする。
結果論ではあれ、だ。

矢口の言う「同じにおい」とは前に出ようとする精神であり、また自己のポテンシャル以上のものを出していこうとする宮下あきらイズム、しもさか保イズムである。
根性で城の石垣をも素手で崩そうという生きざまである。

海のものとも山のものともつかない頃の「娘。」に加入した矢口は当然のこと、石川もまた、オーソドックスであるがゆえに、娘。というグループ内では自分の持てる以上のものを出さなければならなかった。

誤解をおそれずに書くなら、矢口にとって「モーニング娘。」という立ち位置は芸能界に存在するために絶対必要で、それ以外のフィルターがちょっと考えられない。
逆に言えば、「娘。」としてのオリジネイターではある。
寂しすぎる身の振り方、という意見もあるけど、オリジネイターとして決して早い引き際でもなかったと思う。これも後から考えれば、の話だけどね。
石川は逆に、デビュー当時から素体みたいなものはできあがってた。つんく言うところのミラクル。でもそれだけじゃダメだった。つんく言うところのもうワンミラクルが必要で、それは石川自身が成し遂げた。今回の卒業には、そういう成長物語がある。

また変な「もしも」になるが、もしも石川が現在18歳くらいで、五期か六期に入っていたら、またまったく違った役割の割り振られ方をすることになっただろう。
紺野、亀井、道重を見ても明らかなように、もはや「萌え路線」、「アイドル路線」は娘。において異端でも何でもないからだ。
逆に、「かっこいい系」を目指せる田中の方が影が薄いくらいである。

そういう、「グループとの相対的な位置関係」において、石川梨華の果たした役割は非常に大きい。
上から見れば異端。下から見れば正統派という、結果的には橋渡し的な存在になったからだ。
今後は、歴代の卒業者にも言えることだが相対評価をされなくなったぶん、「芸能界全体」でどのようなポジションを築いていくかというのが課題になるのだろう。

他の部分の感想。
柴田あゆみが出ていたのが良かった。しかしあのふたつのお土産は、単体で見るとそうでもないがふたつ並べると「いやげもの」ですな。
石川の娘。としての最後のスタジオライブが「ピース」。片手でうさちゃんピースをしていた道重はすごい。
高橋愛は独自のポジションをますます固めてきてる。本当にこの人面白いな。

前回の放送

(05.0508)


・「エマ」(5) 森薫(2005、エンターブレイン) [amazon]

コミックビーム連載。家庭教師(ガヴァネス)をやっていた初老の女性、ケリー・ストウナーのもとでメイドをしており、その才を認められてかなりの教育を受けることを許されたエマは、上流階級のウィリアム・ジョーンズと恋におちる。
しかし、身分違いの恋にはさまざまな障壁がある。ストウナーの死とともにロンドンを離れたエマだったが、いくつかの偶然によってウィリアムと再会する……。

「実はメイド好きなんでしょ。へんたーい、へんたーい」と言われてきた不肖・私にとって、読むは易いが本作はレビューを書くのはなかなかの難物であった。
だから、1巻が出てから4年くらい経ってしまった。

5巻まで読んでみて、おそらくオーソドックスな「身分違いの恋」が一貫した話なのだろうな、とようやく見えてきた。
そこで、ある程度書くことができる。

本作が本当に「メイドマンガかどうか」は、議論の分かれるところだろう。19世紀ロンドンのさまざまなことをディティールまで描いているから、単に「19世紀ロンドンを舞台にした恋愛モノ」とくくっていいようにも思えるのだが、やはり「メイド」に関するディティールに並々ならぬものがあるのは読んでいて理解できる。

「メイドもの」としてカテゴライズしていいのは、「主従関係」にフェティッシュな、というかSM的ロマンチシズムを(どのような安いかたちであれ)入れている作品だと思うのだが、本作のエマとウィリアムの恋愛の場合、「主従関係」とはあまり関係がない(だいたい「エマ」ってヨソの家のメイドだしね)。

だが、まったくそういう要素がないかというと、これがまたそうでもないのだった。

この辺が、感想を書きあぐねていた理由である。

さらに、たとえば安易に「江戸時代に生まれ変わったら遊女になりたい」といったような、軽率な過去バンザイイズムが横溢しているかというと、現時点でそういうわけでもないのだ。
逆に、主従の「主」側のゴーマニズムがあるかというと、そういうわけでもない。
少なくとも、当時の身分社会に理想を求めているわけではないだろう。

そういう、アイテムのディティールにこだわって全体としての「時代」の評価を留保する、というのは変な比較かもしれないが男性の書くミリタリーものに近いかもしれない。戦場マンガは戦争の是非はあまり問わない(あるいは「戦争は非」は自明すぎて正面切って問われることはない、あるいは戦争に「非」をとなえても重火器にエロチシズムを感じるという、矛盾した存在となる)。

その辺の「微妙な感じ」に近いように思える。
5巻のあとがきでは作者は作風から「男性と間違えられる」とあるが、それは萌え要素とか何とかというよりも、世界観の細かい構築であったり、細部へのこだわりであったり、というところによるところが大きいだろう。

時代的なことを書けば、70年代の「ベルばら」のようにお姫様的贅沢と下克上待望論とにひきさかれているわけでもなく、かといって凡百のメイドマンガのように、「主」から見て無意識に、傲慢に使用人に従属を強いているわけでもない。

今さらだが、実に不思議な球を投げてくるマンガだと思う。
(05.0505)



・「刃(JIN)」 5/5増刊号 Vol.12(2005、小池書院)

小池一夫オンリーマガジン。
伊賀和洋の作画で「レイザー−剃刀−」が新連載第2回。
1886年アメリカを舞台に、十手を持った「傷(マーカス)」と呼ばれた謎の日本人と、黒人警察官・マグローが事件を解決するというような内容になるらしい。

出たッ! 「レイプした後に土下座」!! これが小池一夫だ……。
(05.0505)


・「超護流符伝 ハルカ」全1巻 石川賢(2005、学研) [amazon]

コミックビッグゴルフ連載。プロゴルファーとしての才能を持ちながら、ノミの心臓で今ひとつ成績を上げられない男・春野遥。彼は最先端技術(サイコ・ダイビング?)によって、心に巣くっている鬼・伐折羅を目覚めさせ、超人的なパワーを発揮できるようになる。

日本の影の首相・笹山恒平は、「日本各地にある守護神のいる門」を破壊し、日本を乗っ取ろうとしているマフィア「デストラップ」がゴルフ場を次々に乗っ取っていることを知る。「デストラップ」は、もののけが封印してある場所があるゴルフ場を買い取り、それらを破壊して日本を混乱させようとしていたのだ。
遥はデストラップとの、日本の存亡を賭けた「賭けゴルフ」にかり出される。

ハルカは、メカメカしいゴルフクラブで戦う科学者のゴルファー、サイボーグ・ゴルファー、催眠術を使う美人ゴルファー、悪魔に魂を打ったゴルファーなどと対戦していく。

実にぶっとんでていいんですが、「ハルカの体内にはなぜ伐折羅が宿っているのか?」などの根本的な疑問に答えないまま押し切った感じ。また、戦略や長期的展望が重要で地味にスコアを積み重ねていくゴルフという競技に、石川賢の勢いだけの力押し攻勢がやや攻めあぐねている印象はあった。
まあ、基本的に実に爽快な作品ではあります。
(05.0505)



・「ドールガン」(1) 出口竜正(2005、秋田書店) [amazon]

週刊少年チャンピオン連載。ちょっとダメっぽい男の子・茜純太は、羽月ひかるのことが好き。二人は同じ日、同じ病院で生まれたのだ。
ひかると親密になりたいのになれない純太。ある日、国際的美少女アイドルユニット・アンドールの来日が決定。しかし、彼女たちは実は伝説の大泥棒・ドールガンの娘たちだった。ドールガンはすでに死んでいるが、彼の残した莫大な遺産は今もどこかに眠っている。アンドールはその相続予定人。日本にとどまるという彼女たちの周囲には、事件が起こりそう。
一方、純太は、催眠術師でもあるドールガンの霊が憑依し、鏡を通して出現するドールガンの力によって、突出した戦闘能力を発揮することができるようになった。

ドールガン、アンドール、そしてひかるたちの因縁に巻き込まれながらも成長していく純太を描く。

「意味なくかわいい女の子たちに常に囲まれて生きる」、「根拠薄弱な理由で成長していく少年」など、出口竜正節が溢れている作品ではあるが、いかんせん導入部が読みにくかった。
作者自身もそれを察してか、あとがきマンガで初期設定の説明の仕切り直しをしている。どうしちゃったんだろう。そういうところでスキルが劣っている人とも思えないんだけど。
(05.0505)



・「食いしん坊!」(1) 土山しげる(2005、日本文芸社) [amazon]

週刊漫画ゴラク連載。グルメなサラリーマン・大原満太郎は、定食屋のカツ丼大食い競争で惜敗するも、プロフードファイター・ハンター錠二にその才能を見いだされる。
そして、じょじょにフードファイターとしての道を歩んでいく満太郎なのであった。

カツ丼、肉まんなどの大食い、早食いのコツなどが書いてある。青年誌掲載作品だから「ぜったいにまねしないでください」などと言う必要もない。面白いです。
正直、同じ作者の「食キング」とか、それほどすごい好きなわけじゃないんだけど、本作は好き。本当に作者の職人技が光る。これぞエンターテインメント。
(05.0505)



・「PLUTO(プルートウ)」(2) 手塚治虫、浦沢直樹(2005、小学館) [amazon]

ビッグコミックオリジナル連載。鉄腕アトム「地上最大のロボット」のリメイク。次々とロボットが破壊される事件を、刑事ゲジヒトが追う。アトムやお茶の水博士も登場。

ま、1巻の感想ではごちゃごちゃ書きましたが、あらためて1巻から読み直してみると、「アトム的ロボット観」をわりと忠実に現代に置き換えているのかなと。
逆に言うと、今、「人間のように心を持つロボット」を描くということになると「ロボットは人間と同じように心を持つことができるのか?」という問いにまともに向き合わなければいけなくなると思うんですが、そういうことはとくに考えてないですよね。むしろ、ゲジヒトもアトムも「『ロボット』という属性を持った人間」みたいな感じで、それは手塚マンガでもそうだったと思うし。
っつーか、日本人にそもそも人間VSロボットっていう対立が命題になっていないとも言えるし。この辺、作者はどう考えてるのかもう少し意識的に追いかけてみたいです。

アトムの描き方が絶妙で、ああ、こういうふうに描くのか、と思いましたね。お茶の水博士もそう。冗談でもパロディでもなくこういうのが描けるのは、まあ浦沢直樹の資質でしょうねぇ。
それだけに、ウランはなんかあんまりかわいくないと思った……。

1巻の感想

(05.0503)



・「フェイスガード虜」(6)(完結) おおひなたごう(2005、秋田書店)  [amazon]

週刊少年チャンピオン連載。ギャグマンガ。
この巻ではほとんどが「スーパーヒーローマン」になった虜のエピソードなんだけど、正直ちょっと長いかなあ……最終回近くもかなりテキトーに感じた。何か「やりすぎ感」が漂う。
連載第一回目から、全体通してはすごい面白いんですけど。

5巻の感想

(05.0503)



・「サラーキア」全1巻 永井豪(2002、講談社) [amazon]

別冊ヤングマガジン連載。地球温暖化によって北極と南極の氷は全て溶け、地上の大半は水没。人間は肉体は改造しないで海底都市で暮らしている人類と、魚類の遺伝子を入れて生体改造され、巨大化した水棲人類に分かれてしまった。
もはや人間の心を失った水棲人類は、人間を食料として襲うようになる。コックピットの大きさから小柄な少年兵しか乗れない大型潜行艇・サラーキアに乗り込む少年少女・潮とマリンの、水棲人間との戦いを描く。

コミックバンチで始まった「新バイオレンスジャック」のキャラクターが本作のだと知って、積ん読になっているのを読む。

たぶん、コレを読んで大半の人は「面白くない」という結論を出すとは思うんだけど、設定は新味を出そうとしているし、考えられているとは思うんだよ。
どうせ戦闘になったら、「ワーッ攻撃だーっ」、「こっちも攻撃だーっ」みたいなのの繰り返しになるのは、豪ちゃんは全盛期からそうだったし。

で、ロボットものということに関して言うと(「サラーキア」とは大型潜行艇というよりは人魚型の巨大ロボット)、永井豪をフォローするなら時代の方が変わった。これはもう仕方がない。
「マジンガーZ」がテレビ放映された1972年から74年、テレビの「宇宙戦艦ヤマト」が74年、映画の「宇宙戦艦ヤマト」が77年。「ガンダム」が79年から80年代で、その歴史と平行して「スーパーロボットアニメ」の系譜があって、スーパーロボットとリアルロボットが混沌としていた時期には永井豪的設定も生き続けていたんだけど。もはやスーパーロボットも段階的に減ってきて、ノスタルジーとかパロディとしてでしかとらえられない時期に来てしまったんじゃないかと思うから。

もともとの永井豪の資質自体がSF的設定を文系っぽく丸めることで、そういうのは80年代まではSFとしては当たり前だったけど、さすがにちょっと現代では通用しなくなってきてる。さらに「マジンガー」とか「ゲッター」とかいったある程度読者が了解しているものではなく、新作としてロボットものというと、かえってうまい具合に世間的なものを取り入れてきた永井豪的な手法がジャマになるというか……どうせやるなら「ゲッター線」くらいむちゃくちゃな設定じゃないと、かえって読者が乗りにくくなっている。

あと、絵柄的なことだと近年、メインに近いキャラクターを描いているアシスタントの人が、あまりに永井豪とかけ離れた絵柄をしているのでそれに違和感がある人もいるかも。
(05.0502)



【雑誌】・「コミックバンチ」22+23号(2005、新潮社)

永井豪「新バイオレンスジャック」が始まったので購入。しかし、よく見ると「総ページ97P!!」って書いてあるから短期集中連載か。

21世紀に「関東地獄地震」が起きたことになっていて、ゴラク版で完結したシリーズとは別扱いのようだ。
出てくる少年少女は「サラーキア」という作品のキャラクター。

みんな忘れてると思うが(私も忘れてた)、この「ジャック」以前の最新のジャックは「別冊ヤングジャンプ」第14弾 週刊ヤングジャンプ2001年12月10日号増刊(2001、集英社)に掲載された「バイオレンスジャック 戦国魔人伝」で、こちらも確か本編とは直接関係ない話だった。

第1回は様子見といった感じか。まあ、ジャックの場合、私としては最後にジャックが大暴れすればとりあえず満足するんだけど。

他の連載作品は、どれもこれもあまりにおっさんくさいので辟易した。おっさんの私がおっさんくさいと言うんだから相当なもんだ。たとえるならバブル時代を忘れられないイケイケのおっさんの説教を聞かされているような印象の作品が多い。
あとこれは個人的なシュミの問題だが、政治&軍事シミュレーションものが昔っからあまり好きではない。なんか、……どうでもいい。
(05.0502)


【テレビ】・「ハロー! モーニング。」(2005、テレビ東京)

5月1日放送分。

公式ページ

モーニング娘。七期決定SP
「七期? 興味ねぇ〜」という感じで、さらにハロモニ。を録画した状態で昼過ぎにネットにつないだら一瞬でネタバレを食らうことになりまして、ますます見る気がなくなったんだけど「今日観なかったらずっと観ねェな」と思い、録画を観ました。

結果。予想を裏切り面白かった。
合宿とか楽しみにしてた人もいるんだろうけど、私自身はああいうしのぎあいみたいのがイヤでモーニング娘。を四期メン加入まで見ていなかったという特殊ファンですので、合宿は飛ばしてくれちゃってけっこうなのです。

合格した子(いちおう、ネタバレにならないように名前は伏せますが)の家につんくが押しかける、というサプライズ企画。
小西貴雄とともに歌のレッスン。小西貴雄、すげーケンカ強そうだった。わかんないけど。

後はまあつんくは見ていてやっぱり面白いね。石野卓球が毛嫌いする理由がよくわかる(いや、別にそういうところ見て嫌ってたわけじゃないだろうけど)。
候補の子の自宅に東京ばなな(たぶん)を持って上がり込んで、その子の歌声を畳にあぐらかいて聞き入ってる姿とか、面白すぎるもんなあ。しかも、背後におみやげに持ってきた東京ばななが映り込んでるの、あれはぜったいディレクターの計算でしょ?

年寄りの私としては、候補の子のご両親のまじめな感じとか、通ってる中学校の生徒たちの木訥な感じとか、合格を聞いたときのリアクションとかね、そういうのが良かったね。
うかった子は意志が強そうで、簡単に大舞台に慣れちゃいそうな気がする。
そういう意味では即戦力になるのではないかと。

しかし歌はあんまりうまくない。メインのヴォーカルはやっぱり高橋&藤本のまま続行なのか。

前回の放送

(05.0501)

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