2006年1月上旬


1/10(火)……サイカチに近いさ

▼未読物
【単行本】「フットブルース」1巻 能田達規 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「舞-乙HiME」1〜2巻 佐藤健悦(シナリオ:樋口達人+吉野弘幸) 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn:1巻/2巻
【単行本】「喰いしん坊!」5巻 土山しげる 日本文芸社 B6 [bk1][Amzn]

【雑誌】イブニング 1/24 No.3 講談社 B5中

 新連載、内田早紀「PARTY」が開始。原作は阿部秀司。この人は週刊連載をこなしつつ、ときどき原作もやってて、なんだか師匠のコージィ城倉に近い感じになってきた。漫画の内容は、貧乏少女が突然大金持ちに……というドタバタストーリー。世界でも十指に入る富豪一族の乗る豪華客船が大爆発。それまでまったく身寄りがなくて貧乏暮らしだった少女が、正当な遺産相続人であるとかいわれて大パニックという内容。作画はちょっと葉月京っぽいかわいらしい絵柄だが、強引にあれよあれよと話を運んでいくノリはやはり阿部秀司。けっこう楽しくなるかも。

 佐藤マコト「サトラレ」。非常に残酷な妄想癖の持ち主で性格が悪く、自らの記憶までも操る術を身につけた天才サトラレをめぐるエピソード。サトラレvs.サトラレの頭脳戦が描かれていくことになる模様。今回はけっこうスペクタクルでうまくやるとかなり興味深い話になりそうな感じ。九後G9「艶香に酔えど散りぬるを」。遊郭で人に裸を見せることなく舞を舞う一人の女の物語。カラーページが艶やかで、繊細な画風も美しく色気のある作品。一見青年誌っぽくないけど、モーニング系列は女性誌系の作品も柔軟に取り入れてきた実績があるし、違和感はとくになし。

【雑誌】ヤングチャンピオン 1/24 No.3 秋田書店 B5中

 葉月京「恋愛ジャンキー」。姿子に惚れてしまったダンディー男は、引っ張った割りには意外とあっさり身を引いたなーという感じ。まあ女にガツガツするタイプのキャラじゃないんで、当然な感じではあるけど。そろそろひと思いにゴールインまで持ってってほしいところではありますが。

【雑誌】ビッグコミック 1/25 No.2 小学館 B5中

 くさか里樹「ファイブ」(作:平山譲)が連載開始。朝日新聞でも記事になっていた実録モノのバスケ漫画。廃部となった実業団チームからリストラされた選手たちを厚め、日本一まで登り詰めたアイシン精機バスケ部を描いていくという内容。なかなかアツいドラマが展開されそうで面白げ。なお現在バスケリーグは、JBLとbjリーグに分裂しててけっこう大変らしいけど、この作品はJBL側の話。

 柴門ふみ「小早川伸木の恋」。ここまでさんざん粘着してきた妙子さんの変わり身の早さに感動。あっという間にスタンスを変えたと思ったら、もはや伸木は眼中にナッシングという感じ。そして次号は最終回。やっぱこの作品の主役は妙子さんだったなあ。あと業田良家「男の操」もそろそろクライマックスっぽい。一條裕子「スワンパン」はひっそり始まりひっそり最終回を迎えた。最後までマイペースな作品でした。そういえばこれまだ単行本になってないけどちゃんと出るのかな?

【雑誌】漫画サンデー 1/24 No.3 実業之日本社 B5中

 新連載、作:倉科遼+画:河承男「デスティニィ」。タイトルからしてなんか大仰だが、お話のほうもやたらドラマチック。必然か偶然か、同じ日の同じ時間にこの世に生をうけた大金持ちの令嬢と、そのお抱え運転手の息子。二人の激動の愛を描いていくという本格純愛ストーリー。なんかライバルとして大金持ちのお坊ちゃんも出てくるんだけど、こちらも二人とまったく同じ日に生まれていたという因縁つき。いきなりこれでもかと濃い目の純愛ストーリーをぶちかましている。このままずんずんエスカレートしていけば、けっこう面白くなるかも。

 作:倉科遼+画:みね武「艶恋師」。今回も最初から独特のセンスが炸裂。キャバクラのシーンから始まるのだが、女の子にからんでいるオヤジたちが「さっさとやらせろ」「Eカップのオッパイは美味しい〜っ!!」とかいってて、ホステスさんも「あたしのマ♥くさくないよお〜ッ」とか。オヤジセンス炸裂のセリフの数々に酔いしれた。あと今回は、真珠ちんこなヤクザの美人局と勝負するっぽいです。

【雑誌】近代麻雀オリジナル 2月号 竹書房 B5中

 くじらいいく子の新連載「雀荘風まかせ 愛じゃん」、作:田辺崇+画:久保司「雀遊記コタロー!」、3号集中の作:末田雄一郎+画:柳葉あきら「祭鉄火!」、谷口亜夢の4コマ「まあじゃんかぞく」が始まってたりと、今号もわりと流動的な誌面。一方、押川雲太朗「アッパ〜カット!!」は最終回。全体にいまいち面白くないが、現在は試行錯誤状態といったところか。近代麻雀系はもうすぐゴールド後継のギャンブルCOMも出るし、しばらくはゴチャゴチャした状態が続くかも。

【雑誌】ヤングコミック 2月号 少年画報社 B5中

 ここのところ新連載、読切構成をかけてきている。今号は新連載でRAYMON、読切でムサシマル、堀博昭、りゅうとひさし、きお誠児、鋼鉄が登場。次号でも麻生我等が新連載、さくら恵理、草野紅壱、えむあ、大見武士、恩田チロの5人が登場予定。THE SEIJIの前後編企画もあるらしい。表紙でも「シールどめコミック誌最安値」をうたうなど、なんか力入れてきてるのかなーという感じ。

 で、新連載RAYMON「ゲームしようよ」は、ゲーム会社を舞台にしたエッチ漫画。ツヤツヤした絵柄を駆使してお気楽なノリの作品を描いている。華のある絵柄だし誌面の中でも目立つ。りゅうとひさし「ランチタイムボーイブルース」は、移動パン屋の見習い青年と、そこにいつもパンを買いに来ているOL風の女性とのラブストーリー。目の描き方に独特の雰囲気がある絵柄で、爽やかに青春ものを展開している。

 ムサシマル「珈琲狂時代」は、いつも主人公の家に珈琲を飲みに来る先輩OLさんと後輩男子のお話。ムサリマルの作画は相変わらずキレが良くて達者。イタズラっぽい先輩OLさんの表情も魅力的できれいにまとまっている。佐野タカシ「恋する花々」は今回で最終回。佐野タカシにしては出来はもう一つ物足らなかったかなーという印象。

【雑誌】メガプラス Vol.28 コアマガジン B5平

 ゆきやなぎ「ふたり」お話のほうは、親友同士だった少女二人の片方・由香に男ができ、セックスしまくりである状況をもう片方のつぐみが目撃。その彼氏がヒドい男だと知ったつぐみだが、由香への想いと対抗心がごちゃまぜになった状態で、由香と同じ体験をしようとする。体つきがむっちりしててエロオーラを常に色濃く発散。毎度のことながらしっかりエロいです。あと今回は女の子の友情がらみでホロ苦さもあり。

【単行本】「サイカチ 真夏の昆虫格闘記」1巻 作:藤見泰隆+画:カミムラ晋作 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 なんだか気になるムシバトル漫画。主人公の小学生・真夏が、やたらと虫に詳しい女子高生・稲穂の指導を受けつつ、相棒のヒラタクワガタを操って昆虫相撲を戦っていくという作品。まずは本題である昆虫相撲のほうだが、これはけっこう熱血で面白い。指揮棒(マイ・パン)で音を発して昆虫に指示を出し、戦術を駆使して勝利を狙う姿はけっこう燃えるものがある。虫についての知識もつく。

 で、もう一つの魅力が意外と萌え漫画であるということ。本編ではガチンコでムシバトルをやっているときでも、扉絵は意味もなく稲穂ねーちゃんや、真夏の幼なじみであるあさがおの水着姿だったり。そもそも単行本の表紙からして主人公じゃなくて稲穂のほうだ。そしてあさがおのパンチラシーン(しまぱん)も要所要所で差し挟む。虫だけじゃいかんんと思ってやってるサービスなのかもしれないが、扉絵とかの力の入り具合を見てると、たぶん女の子描きたくてやってるんだろうなあと思う。まあそんなとこも含めて、なんか好きな作品です。


1/9(月)……ねだりマイコン

▼今日もアニメ新番組チェック2本。

 「練馬大根ブラザーズ」。事前に情報を見た感じでは、キャラクター造形とかはけっこう好みだけど、ミュージカル仕立てってのはハズすとサムくなりそうな気も……とか思っていたんだけど、意外と大丈夫だった。まあサムくなりそうな要素は残しているものの、とにかくなんでもいいから歌って踊ってギャグにするというノリの良さは個人的にはけっこう面白いと思う。まあ人によって好き嫌いが激しく分かれそうな気もする。とりあえずどんどんぶっとんだ方向にエスカレートしていくことを期待。あと、練馬大根ブラザーズのリーダーであるあんちゃんに声を当ててるのは松崎しげる。松崎しげるが声優というと、「スター・ウォーズ」のTV初放映時の吹き替えを思い出すけど、こういう即興的な歌芸はうまい人だし、手堅くこなしているな〜と思った。歌の部分も松崎しげるがだいぶ引っ張ってると思う。

 「LEMON ANGEL PROJECT」は美少女アイドルもの。女の子絵は華やかできれいめなんだけど、うーん、主役の娘さんの声が下手。キャラのルックスと比べてかなり低めな声で、読み方も棒読みでハリがない。だらだらしたしゃべり方には好感が持てず。声を当ててるのは「しほの涼」って人らしいんだけど、本職はグラビアアイドルなのかな? 絵は嫌いじゃないけど全体にイロモノチックで作りが安い印象なので第1話でザク切り。

【雑誌】FEEL YOUNG 祥伝社 2月号 B5平 [定期購読:7andyicon

 有間しのぶ「モンキー・パトロール」が最終回。ラストは意外とあっさりしてたが、サバサバした締めくくり方はこの作品らしいともいえる。まあ正直結婚式のシーンも見たかったところだけど、4月号から外伝が始まるらしいんで、そっちで描かれることもあるかもしれませんな。宇仁田ゆみ「うさぎドロップ」。男手一つで、実の娘でない小さな女の子を育てる主人公の苦労と楽しさが丁寧に描写されててなかなか面白い。6歳児といえば感覚的には異生物みたいなもんだろうけど、彼女だけでなく主人公も一緒に暮らすことでじょじょに変わっていっている様子が興味深い。南Q太「スクナヒコナ」。紺ちゃんが妊娠して多少幸せムードなのかと思ったら、また不幸オーラがじんわりと漂って来ていて不穏な気配。

【雑誌】MUJIN 2月号 ティーアイネット B5平 [定期購読:7andyicon

 不破悟「Do your best!?」。高校3年生男子がとにかく彼女が欲しいということで、同日に女教師と後輩女子に告白するという作戦を敢行。どっちか当たればラッキーと思ってたら、二人ともオッケーされちゃって、彼はそのまま二股を続けていくことに……ってな展開。年上のお姉さんものと年下ツンデレ系のラブコメ二毛作状態で楽しかった。絵のほうもけっこうかわいいし。どちらかというと意外と嫉妬深い女教師さんのほうがいいな。矢神春六「プレゼント」。普段はキビしいけど、家に帰るとむしろ甘えん坊の可愛い恋人……という女教師さん話。こちらもラブラブでなかなか。

 あと印象的だったのが、小峯つばさ「ワンズ・ウィル」。美人な少女が事故で廃人状態になってしまった兄に肉体奉仕しているという、ちょいとヤバげなネタに挑戦。最終的には純愛モノに仕立てているけど、扱いづらいテーマに挑んだ途中の描写はけっこうチャレンジャーだなと思った。まあフラミンゴRとかに載ってるような諸作品に比べればヌルめではあるんだけど。ちょっとクセのある絵柄でストレートな実用系というタイプの人でもないので、この手の変化球なネタにどんどんチャレンジしていくというのはいいかもしれない。

【単行本】「でろでろ」6巻 押切蓮介 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 相変わらずまったりしてていいです。妖怪タコ殴り少年・耳雄と、その妹の留渦、そして妙に愛敬のある飼い犬サイトーさんらと、お化けたちとの生活を楽しく展開。今回も留渦はやっぱりかわいいなあ。とくに耳雄たちが親と離れて暮らし始めたころを描いた過去エピソードの回が、なんかしみじみしたものがあって良かった。サイトーさんの小犬時代も見られたし。耳雄の同級生少女・相原さんも、ちょっとしか出てこないけどなかなか。あとおまけ漫画がフツーのこと描いているのに、妙におどろおどろしいタッチになってるのも毎度面白い。

【単行本】「デビルエクスタシー」2巻 押見修造 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 人間の男の精を吸いつくそうとする巨乳サキュバスたちと、それから逃れて貧乳サキュバス少女との恋を貫かんとする主人公によるエロチックパニックストーリー。前作の「アバンギャルド夢子」(感想はオス単2003年11月)がユニークな作品だったので期待しているのだけど、この作品については今のところもう一つピンと来てない。もう少しぶっ飛んだものが欲しいかな、といったところ。

【単行本】「ポルタス」 阿部潤 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 ホラーものだが、けっこうよくできてると思う。「ポルタス」という古いゲームをプレイした人々が、次々とそこに込められた呪いの世界に取り込まれていく。そのゲームはかつて天才と呼ばれた作者によって作られたものだが、彼の軽率な行動によりそのソフトは、とある村で起きた惨劇にまつわる怨念がこもってしまっていたという設定。阿部潤といえば「the山田家」の印象が個人的にはいまだに強いけれども、そのころと比べて絵柄はずいぶんシリアスでシャープなものとなっており、怪奇描写にもゾクッとくるものがある。登場人物たちの、恐怖、呪い、憎しみなどによって歪められた表情にも迫力あり。自分はホラー方面はうといんでよくわかんないけど、なかなか刺激的な作品に仕上がっていると思う。


1/7(土)1/8(日)……宅地借る老爺

▼7日はおうちで新年会をやってました。一晩中飲んで食って喋って、オモシロ映像も見まくってたいへん楽しうございました。そんなわけで2日分まとめての更新なんですが、大して漫画は読んでません。その代わりアニメ新番組チェックは5本ほど。

 まずは「陰からマモル!」。普段はヘタレな眼鏡くんだけど、実は忍者な少年が、彼の一族が400年の昔から代々仕えてきた一族の末裔である幼なじみ女子を、こっそりお守りしていくというお話。といっても堅苦しい感じではなく、主人公のマモルとお姫様である天然娘なゆうなを中心としたドタバタラブコメって感じ。この手の作品としてはまあまあの出来か。ラブコメ度が高まってくると楽しくなるかな。

 「タクティカルロア」。美少女わんさかの海戦アクション。おふろシーンとかもあってサービスは盛りだくさん。初回は序盤はとても賑やかなドタバタ展開、後半は海戦シーンが始まってそこそこシリアス。まあ悪くない感じ。戦闘シーンも意外と楽しめるかも。

 「落語天女おゆい」。落語芸術協会が協力、桂歌若が原作、声優として桂歌丸師匠も出演、なおかつ美少女アクションという、企画の微妙さ加減では今季屈指な作品。落語家に憧れる少女とそのお友達の美少女連中が江戸時代にタイムスリップして、言霊とかを武器に悪と戦うって感じらしい。賑々しくやってて案外悪くないような……という気もしたが、どうにも先が読みにくい。

 「Fate/stay night」は今季の目玉的作品なのかな? 第1話の展開はかなりゆっくりめで、登場人物紹介に終始した感が。主人公のあんちゃんは正義漢が強くて魔法能力はあるものの魔法使いとしての才能には欠ける、その周囲には美少女さんがいろいろいる、ということは分かった。逆にいうとそのくらいしか分からない第1話だった。作画はけっこう良さげ。

 「よみがえる空 −RESCUE WINGS」。航空自衛隊の航空救難団に配属されたヘリコプターのパイロットの青年を主人公とした青春ストーリー。最近のアニメにしては珍しく地味めな題材だが、意外としっかりした作り。実際の救難業務について描かれるのはこれからだが、作画は上々だし、日常のディティールもしっかり描いている。硬派でガチなテーマと、生真面目で遊びのなさそうなストーリーが、深夜アニメでどれだけ受け入れられるかが課題か。

 この5本だと、どれを切ってどれを残すか難しいところだなあ。とりあえず「RESCUE WINGS」「Fate/stay night」はしばらく見ると思う。そのほかの3本はそのときの気分しだいって感じかなー。なんとなく全部見ちゃいそうな気もするけど、ある程度は切っていかないと手が回らなくなっちゃうし……。

▼未読物
【雑誌】FEEL YOUNG 祥伝社 2月号 B5平 [定期購読:7andyicon
【雑誌】MUJIN 2月号 ティーアイネット B5平 [定期購読:7andyicon
【単行本】「でろでろ」6巻 押切蓮介 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「デビルエクスタシー」2巻 押見修造 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ポルタス」 阿部潤 小学館 B6 [bk1][Amzn]

【雑誌】ヤングキング 2/6 No.3 少年画報社 B5中

 塩野干支郎次の連載「BROCKEN BLOOD」が掲載。錬金術によって生み出された人工魔女の血族である美少年が、女装させられて女子校に入れられ、あまつさえ魔法少女として活躍させられてしまうというドタバタコメディ。かなり萌え要素を豊富に盛り込んで折り、絵もキレ味が良くて華やか。女装少年モノ好きな方にも喜ばれそうな一作。森見明日「ラブぽっ!」は2回め。後輩男子に片想いする美術部先輩女子の気持ちが空回り。パンチラとかはふんだんに、ドタバタとラブコメやってて楽しい。この先輩女子に巻き込まれる、女友達の知音ちゃんもけっこうかわいい。

【雑誌】ヤングマガジン 1/23 No.6 講談社 B5中

 村田ひろゆき「工業哀歌バレーボーイズ」が最終回。最後までさほど特別なことをやるでなしに、うだうだし続けていたのはこの漫画らしい。虎子のエピソードには決着つけないままなのかなあ。まあ何はともあれ、進歩はないけどなんとなく読んでしまう、載ってると安心するタイプの作品だったので、いざ終わるとなるとちょっとさみしい。ただなんか要望が多ければまたやるかもみたいな含みは持たせてたりするから、そのうち復活もあるかも……。

 宮下英樹「センゴク」。ついに武田信玄が登場。かなりゴッツく手強そうな男として描かれていて、これからの内容に期待が持てそう。安達哲「バカ姉弟」はなんだか急展開を見せた今回。バカ姉弟が今後どうなるのか、大いに気になるところでございます。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 1/28+30 No.6+7 集英社 B5平

 作:稲垣理一郎+画:村田雄介「アイシールド21」が巻頭で、全ページカラー。全国大会の抽選会という動き自体は少ない話ではあるけれど。内水融の読みっきり「FOREST」は、剣士によって村から駆逐された盗賊の親分が、森の外れに住む少女によって助けられ、彼女と一緒に暮らし始める。彼女との穏やかな暮らしは親分の心をじょじょに柔らかくしていくが、村の人々は盗賊、そして元奴隷の身分だった少女を許さず……という感じで展開。絵がきれいで、お話のほうも心暖まる展開で途中まで行って、最後は晴れやかに〆。完成度が高く、きれいにまとまった作品だと思う。


1/6(金)……insaneな温泉を飲泉

▼いちおう前もって告知。7日(土)は所用のため、7日分と8日分の日記はまとめて、9日になってから更新する予定です。まあ最近は珍しいことじゃないので、わざわざお知らせするほどのことでもないかもしらんですが。

【雑誌】ヤングアニマル増刊 嵐 2/1 No.2 白泉社 B5中

 甘詰留太「年上ノ彼女」は2本立て。1本めは、男子組と女子組に分かれてそれぞれ飲み会してH話に突入……という内容。努とアゲハは一緒にいないにも関わらず、それぞれ同じようなノロケ話をかましてたいへんアツアツ。両方の側から同じ事象に対するそれぞれのスタンスを語ることで、よりラブラブ度を高める構成がうまい。将来の話も見据えたちょっとしんみりした話もあって、締めるべきところは締めてるのも良い。あと努=巨根説のくだりも楽しい。2本めは、努に片想いしていた巨乳娘・森野さんの話。こちらはカラッと明るくギャグテイスト。それにしてもちんこと巨乳はギャグとの親和性が高いなあと改めて思った。

 板場広志の読切「コンセントぱにっく!」が掲載。機械マニアな男子を恋い慕う幼なじみ女子が交通事故に遭い、肉体改造されてコンセントで充電しないと生きてけない体になっちゃいました、というドタバタラブコメ。絵が派手で、登場人物がスコーンと頭軽め。板場広志作品は、陽性で内にこもらないところが好き。まつもと剛志「まじかるストロベリィ」は、さえちゃんメインな話。そういえば名字は「太刀花」だったなあ、とかいうのはどうでもいいとして、さえちゃんのうさみみパジャマ姿がかわいくて良かった。いつもながらほのぼのかわいくまとめてて抜かりなく楽しいです。

 杉山新之佑「地獄から来た委員長」は、気弱な男子教師と、鬼のような凄みのある委員長が繰り広げるドタバタギャグ。絵は線がシャープでキレが良く、けっこううまい。ラブコメ風味も漂わせてまあまあ楽しい。難をいうとすれば、画面や話運びがちとゴチャゴチャした感じがする点か。この手の女の子キャラ重視なギャグの場合、もう少し大ざっぱな画面構成で、あざといくらいに女の子を強く押し出しちゃってもいいかと思う。

【雑誌】ヤングガンガン 1/20 No.2 スクウェア・エニックス B5中

 大高忍「すもももももも 〜地上最強のヨメ〜」。シリアスな展開がずっと続いているけど、そんな中でサクッと下らないギャグを差し挟んで来て笑える回だった。あと恋愛方面も若干の進歩し、ヨメとムコの距離が接近しつつあるのも良いのではないかと。作:水穂しゅうし+画:坂本あきら「TOKYOグラディエイター」は短期集中の新連載。スラム化した近未来の東京で、その土地の支配権を賭けて「グラディエイター」と呼ばれる喧嘩野郎たちがバトルを繰り広げる、なんでもあり系な格闘モノ。良くあるタイプの設定だし、まあまあってところかなー。

【雑誌】コミックバンチ 1/20 No.6 新潮社 B5中

 作:剣名舞+画:浅田有皆の新連載「M.C.LOW」がスタート。元ヤンキーでチャラチャラした身なりだが、実は凄腕の弁護士である主人公が、法の力でさまざまな事件に立ち向かっていくという内容。弁護士漫画にしてはわりと派手でハッタリは利かせている。原作次第だけど、わりと手堅そう。吉原基貴「Foot!!」は3回めでおしまい。崖っぷちJリーガーの再起物語を面白く描いてくれそうだったので楽しみにしてたんだけど。最終ページには『「Foot!!」の再開にご期待ください!!』とあるけど、うーん、どうなんだろ。バンチだけに再開があるかどうかは疑問。

【雑誌】コミックPOT 2月号 メディアックス B5中

 今号は雑誌全体で温泉特集。ぶるマほげろー「凌辱学園〜部活調教恥獄責め〜」(原作:凌辱堂)がとても下らなくて良い。学校で受けてきた訓練の成果を見せろといわれた女生徒3人が、おしりにラッパを差して「ブレーメン音楽隊」とかいって尻ラッパを吹こうとしたり、学園の校庭に湧いてきた温泉でサカってみたり、アホウな展開の連続。かわいい絵柄なのに、ここまでぽわぽわ頭の軽い内容でずっと来ており、たいへんに愉快。そのぶっ飛びぶりは、タイトルの淫猥っぽさとは対照的でさえある。

 そのほかでは山咲梅太郎「恵まれちゃったら困るかも」あたりがいいかな。家庭教師の先生とその教え子の幼女が、温泉でエッチしちゃうという内容。いかにも無邪気な女の子さんがかわいく、呑気なノリも楽しい。EB110SS「今日は露天日」も安定感あり。この人は色の黒いor浅黒い女の子をけっこう描きますな。こちらは健康的かつイタズラっぽい表情が良かった。


1/5(木)……ゴラク天女

▼アニメ新番組チェック。「マジカノ」。自分の住んでる地域だと、「ローゼンメイデントロイメント」「舞-乙HiME」と重なる時間帯なので普段はチェックできないけど、今週はロートロがお休みだったので見てみた。初回はまあまあ面白かった。美少女たちがドタバタしまくる様子がけっこう楽しかったし、キャラの表情や頭身がコロコロ変わるのも賑やか。それとちびキャラがピコピコ踊ってるエンディングもわりと好きな感じ。次回以降は余裕があればリアルタイム視聴でチェックするかもしれないけど(ロートロ、舞乙は録画してるので)、木曜深夜はアニメラッシュの日なので追いつかないかな。「ローゼンメイデントロイメント」の後の「REC」「びんちょうタン」の出来しだいでは、復活視聴もあるかも。

【雑誌】コミックフラッパー 2月号 メディアファクトリー B5平 [定期購読:7andyicon/Fujisan

 もうすぐアニメ版が放映開始の、作:阿智太郎+画:まだらさい「陰からマモル!」。ほのぼのとラブコメやっててけっこう楽しい。まだらさいの絵もかわいくていい。竹本泉「さくらの境」は相変わらずの調子。ふたちゃんがますますでれでれして、公私とも怠け者になってしまった……というだけで1本。ゆるゆるなマイペースぶりがいかにも竹本泉らしい。楽しいからいいんだけど。岡本一広「トランスルーセント 彼女は半透明」はいつもながら清々しい。白山さんが演劇でちょっと悩むというエピソード。演目である「星の王子様」のあのセリフが、彼女の境遇にマッチしてて、ちょっとベタではあるけど良かった。

 新居さとし「うみんちゅ」。平凡な主人公のおうちに、彼に一目惚れしたというコウモリダコの女の子が押しかけてくる……というヘンな漫画。コウモリダコとはいえいちおうかわいい人間の女の子型をしているけど、元の性質もそのまんま装備。もしかしてこれシリーズ化するのかな。扉ページには「突然始まった新企画!!」とか書いてあるけど……。谷澤史紀は久々に読切で登場。「6つのひとみ」というタイトルで、心優しき女の子と、彼女が廃屋で見つけた野良犬親子の心暖まるエピソード。爽やかなお話に仕上がっててほのぼの。絵も心なしかきれいになってきているような。

【雑誌】週刊漫画ゴラク 1/13+20 No.2 日本文芸社 B5中

 今年から読むようにしようかと思いまして。とかいいつつこの号はたしか昨年末発売号。週刊漫画誌は買い始めると、年50冊くらい読む量が増えるのでうかつに手を出しにくいところもあるんだけど、オヤジ雑誌は楽に読めるのが多いんでまあ大丈夫だろうと判断。ゴラクを読み出すと、週刊漫画誌で読んでないのは、あとは週刊漫画TIMESだけになるのかな?

 で、中身のほう。えーとさすがに連載モノのほうはこれまでの経緯が分かってない作品が多いのだけど、そこはオヤジ雑誌のいいところ。どこから読み始めてもなんとなく分かる。そして分からなくてもあんまり困らない。土山しげる「喰いしん坊!」については1月10日に5巻が出るので、そこで1〜5巻まとめ読み予定。そのほか、天王寺大「ミナミの帝王」、高橋よしひろ「銀牙伝説WEED」、村生ミオ「SとM」、立原あゆみ「弱虫」などなど、「ああ、いつもと変わらねえ!安心できる!!」というメンツが揃っており、たいへん親しみやすかった。オヤジ雑誌は人にやさしい。まあ本格的に内容理解して感想書けるようになるには、何号かかかると思うので、その間はゆるゆるとやっていきます。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 1/19 No.6 秋田書店 B5平

 松山せいじの集中連載「ゾクセイ」がスタート。色んな女の子の、普段は見られないちょっとカワイイところを描いていくってな内容のオムニバス形式なお話である模様。8ページと短いけど、そんな中でも無駄にエロい描写を入れて、甘酸っぱい中にも煩悩たっぷりな内容。もう少し長めでくどいくらいなほうが、松山せいじっぽいような気はしますが。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 1/20 No.2 小学館 B5中

 深見琳子「沈夫人の料理人」は最終回。いちおう第一部完ということになってるけど、できれば第二部もやってほしいところ。水島新司「あぶさん」。自主トレであぶさんと清原が山奥の温泉宿へ。清原入団と引退を、リアルタイムで1本の漫画内で描けちゃいそうだってのは改めて凄い話だなあ。

【雑誌】花とゆめ 1/20 No.3 白泉社 B5平

 「となりのメガネ君。」のふじもとゆうきの読切「コンビニ天使」が掲載。人間界におっこちちゃって、誰かの願い事を自力で(天使の力を使わずに)叶えるまで天国に戻っちゃダメといわれた天使が、コンビニ店員をやりつつ、とある少女の願いを叶えようと奮闘するというお話。優しい雰囲気、きれいな絵柄は良好。ただお話としてはちょっと出来すぎな感もあるかな。

【雑誌】漫画アクション 1/17 No.2 双葉社 B5中

 国友やすゆき「新・幸せの時間」。素晴らしいですね。主人公・良介の妻の妹・小夜が留学先に戻ることになり、良介と小夜は名残を惜しんで家の近くの物陰でアオカン。その途中に妻がそこを通りかかって、彼らがそこにいるとも知らず、以前夫婦でやったアオカンを懐かしんだりするというさすがの展開。本当にしょうもなさ抜群。湯浅ヒトシ「耳かきお蝶」はお正月エピソード。お蝶さん、それから弟子のおつるちゃんの振袖姿がかわいくて良いです。こうの史代「さんさん録」。おじいさんとなんか色っぽいイオリさんのエピソード。こうの史代ならではのきれいなぶち抜きカットが、下らないオチに使われてるのは妙に楽しい光景。

【雑誌】桃姫 2月号 富士美出版 B5平

 初登場、あまぎみちひと「受験とコタツと妹と」。なんかタイトルそのまんま。コタツで受験勉強中の兄に、妹がイタズラしてそのままエッチに突入という内容。イタズラ娘だけど兄にぞっこんな妹ちゃんがけっこうかわいい。妹が「私を…兄くんのボテバラ妻に」とかいってるのはなんでしょう、最近の娘さんはそんな言葉を使うんでしょうか。島本晴海。「苺☆TIMES」。今回はソープ・ストロベリーの店長である梓さんが、久々にお店に出るというお話。前作「ちゅ〜ぺっと」に比べるとだいぶノリが軽くて気楽に読めるけど、この人の場合はもう少しヒキの強い作品のほうが面白いかも。


1/4(水)……沈没盆地

▼3が日が過ぎ、今年も漫画雑誌が出始めました。毎年初売りになると年が明けたなーと思いますが、同時に「そろそろ仕事か……」とか思ってげんなりしたりもします。

▼冬アニメ新番組チェック1発め。「鍵姫物語 永久アリス輪舞曲」。うわー、これは初っぱなからすごいの来たな……。「終わらないアリスの物語」とかいうものを完成させるべく、特殊能力を持つ娘たちが「メルヴェイユスペース」という異次元空間内でバトルしちゃうんだにゃーというお話。アリス能力者は基本的に女の子、主人公の有人だけは普通の人なのになぜかそこに入ることが可能という設定。やけに薄いパステルカラー調の塗り、ぎくしゃくした動き、女の子ばっか世界、パンチラや喘ぎ声などのお色気サービスなどなど、これでもかとばかりに安手のオタアニメらしさが詰まってて、感動しちゃいました☆ お兄ちゃん好き好きな主人公妹のアホ髪型、妹ちゃんラブラブなその親友の百合娘など、美少女キャラたちの設定も、見事なまでにいかにも感バリバリ。スタッフを見てみたら、監督は「魔法先生ネギま!」の最初のほうをやってた宮崎なぎさだったので大納得。なんかもうある意味完璧でしょう。まあ見続けてたらヘンな意味での面白さは出てくるかもしれないけど、ヘンな意味での面白さしか出てこなさそうな気もする。爽やかに即切り決定です。

【雑誌】ヤングマガジン 1/13+16 No.4+5 講談社 B5中

 年が明けたとかいいつつ、これは旧年発売分。なんかすごくうっかりしてて危うく買いそびれるところだった。この号では古谷実の新作読切「このままでいいのかな?」が掲載されている。アフロヘアーの見るからに怪しいおっさんが主人公の日常ギャグ風味な作品。しかし、主人公のおっさんの生活には、コンビニで万引きしたり、河原に落ちてたエロDVDに期待するくらいしか楽しみがない。頭が良く不器用そうで、経済力もない。万引き等ちっちゃな悪事も働くので、当然人望もなし。子供にも馬鹿にされる滑稽な社会ののけものという感じ。一見ギャグっぽいけど、読んだ後にもの悲しさの残る作品だった。

 あとこの号のもう一つのトピックとしては、村田ひろゆき「工業哀歌バレーボーイズ」が最終回直前であることが挙げられる。18年も続いた看板連載がついに終わりを迎えるかと思うと、なかなか感慨深いものはあります。18年つったら、連載開始時に生まれた子供が高校を卒業するだけの年月ですからねえ。それと同時にバレーボーイズも卒業と。なんか区切りはいいな。

【雑誌】週刊少年サンデー 1/21+25 No.5+6 小学館 B5平

 西森博之「道士郎でござる」が最終回。ここではあんまり触れることはなかったけど、手堅く楽しくやっててよく出来た作品だったと思う。最後のほうも軽くギャグを入れてきれいに締めくくってたといえるんじゃないでしょうか。畑健二郎「ハヤテのごとく!」は執事クエストがいちおうクライマックス……といっていいのかな。このシスターの人も今後レギュラーとして定着したりはするんですかね。使い捨てるのももったいなさげなキャラという気はしますが。めがねっ娘だし。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 1/20+23 No.5+6 小学館 B5中

 一色登希彦が、小松左京「日本沈没」を漫画化。今号から連載開始。一色登希彦の漫画力の強さは「ダービージョッキー」「モーティヴ」でも実証済みだが、この作品もまず最初っからビシバシハッタリを効かせてて良い滑り出し。深海潜水艇のパイロットをやっている主人公・小野寺が呑んでいた、居酒屋ビルの床が突如として陥没していく様子を、緊張感たっぷりに描き出している。初回で気になったのは、この人の作品としてはモブシーンが多めで、それと主要人物たちとのタッチの違いが多少あるかなといったことくらい。力のある原作と力のある漫画家の組み合わせということで、新年早々期待は大。早く続きが読みたいが、新年最初の号からの連載だと次の号の発売まで1週空いちゃうのでちともどかしい。

【雑誌】ヤングサンデー 1/26+29 No.6+7 小学館 B5中

 原秀則の新連載「ほしのふるまち」がスタート。超進学校で落第した少年が、それを恥と感じる父母によって、遠い親戚の住む田舎へ転校させられる。鬱々とした気分だった少年だが、そこで隣に住む少女と出会い、目の前がパーッと開いたかのような気持ちを味わう。といった感じの第1話。大ざっぱにいうと、この二人を中心とした青臭い青春ラブストーリーって感じになるのかな。仕事人・原秀則だけに、ここはまず問題なくきっちりとまとめ上げてくることでしょうな。「小田原ドラゴンくえすと!」では、小田原ドラゴン御一行がドクター中松のもとへ女にモテるための発明を取材に行くという内容。中松さんはどんな時でもあの調子でキャラが立ってるなあ。なんか羨ましい。

【雑誌】ヤングジャンプ 1/29 No.6+7 集英社 B5中

 読切、高田桂「ウマゼン!!」。かつてはマラソンの快速ランナーだったがその後グレて不良となっていた少年が、同級生の説得によって再び高校駅伝に出場するという青春ストーリー。絵柄的には紅林直に近いかな。後味爽やかに手堅くまとまってると思う。読んだ人にインパクトを残すには、もう一歩突き抜けたものが欲しくはあるけれども。


1/3(火)……急須警部

▼本日も同人誌読み。これで昨年11月のコミティアで購入した本はほぼ読了。評論本についてはまだ読んでないですが、こちらは文字モノで時間がかかるのでそのうちちゃんと読みます。

2005年11月6日コミティア購入本感想
【同人誌】「スーパーレディレナちゃん 第2部」 木持隆司 <木持アート出版>
【同人誌】「行き止まり」 アニュウリズム <シカクイハコ>
【同人誌】「遠い過去」 アニュウリズム <シカクイハコ>
【同人誌】「人虎伝」 東夷あま <スタッフWHY>
【同人誌】「兜率天の婚礼」 東夷あま <スタッフWHY>
【同人誌】「取水塔・8」 粟岳高弘 <あわたけ>
【同人誌】「空中線」 粟岳高弘 <あわたけ>
【同人誌】「醜い王と道化の旅」 村山慶 <Night-Marchen>
【同人誌】「骨の夢」 村山慶 <Night-Marchen>
【同人誌】「職人芸・ライヴバージョン」 文山未絵 <中年女と玉虫爆弾>
【同人誌】「SHORT HOPE LIGHTS」No.007 <ぴこぴこ。>
【同人誌】「君みたいにかわいい男の子。」 鳩屋モリ子 <ソラリス>
【同人誌】「注文の多いセーラー服」 <逆ギレ刑事+空事象>
【同人誌】「てのひら」 よしづきくみち
【同人誌】「着道楽すたいるノート」 おざわゆき
【同人誌】「LOOP THE LOOP」vol.1 上倉旧 <ロボ音>

▼お正月期間は、とくに外出もせずおうちマシンの組み直しとかをしてました。今自室には4台デスクトップがあり、それぞれメインマシン、録画&エンコマシン×2、動画をテレビに出力するためのマシンという風に使っているんだけど、今回の主な課題は動画出力用マシンの組み替え。以下は興味がない人には何いってんだか分からない話だと思うので、適当に飛ばしちゃってください。

 このマシンについては、2004年12月27日日記で組み上げたときの話を書き、2005年2月3日日記で組み替え(ケース交換)について触れた。まあ要するにmicroATXマザーが使えるキューブ型ケースであるAntec AriaにSocket478マザーをぶち込み、カノープスVideoGate1000で、DivXやMPEG-2などのPC内にある動画をTVに出力するために使っていた。しかしどうも最近このマシンの動作が不安定になっていた。なんだかMPEG-2再生がカタカタすることが多かったので、CPUをPetnium4 1.6AGHz→2.2GHzに変えたところ、冷却がしにくいキューブケースということもあり熱暴走がしばしば起きるようになっていた。

 CPU冷却のため、CPUクーラーを強化したいところではあったのだが、Antec AriaはmicroATXマザーのCPUソケットの直上に、電源ユニットが張り出すような構造になっているのであまり丈の高いクーラーは使えない。こちらのページの下のほうに写真があるが、取り付けられるCPUクーラーはだいたい高さ60mmのものが限度。つまり小型のクーラーしか使えず、冷却には限度がある。丈が低いクーラーも探せばあるにはあるが、この手のクーラーはヒートシンクが小さい分、ファンの回転数が高めなものを使っているのでけっこううるさい。また、これまではSocket478マザーを使っていたが、Socket478には今後のアップグレードパスがない。LGA775などに乗り換えたら、CPUクーラーはもっと大型になってしまう。

 まあどっちにしろ、通常のデスクトップ用CPUだとCPUクーラーの高さの問題は常につきまとってくることになりそうなんで、ここはもう省電力タイプのCPUを導入するしかないでしょ、俺の部屋電気使いすぎだし、とか思って前から興味があったPentium Mに乗り換えることにした。CPUはPentium Mとしてはまあまあお手頃感のあるPentium M 750(1.86GHz)[ツクモ]iconで、マザーはAOpenのi855GMEm-LFS(533)[ツクモ]iconを選択。本当はIntel 915GMマザーのほうが将来的には良いんだけど、こちらはビデオカードがPCI Express x16になってしまう。VideoGate1000はオンボードグラフィックとは相性が悪く、外部ビデオが必須。今まではAGPカードを使っていたが、これを買い換えるのもうっとうしいちうわけで、Intel 855GMeマザーにした。いちおうチップセットの対応FSBクロックは一緒だし。

 で、組んでみたわけだが、とりあえず問題なく動いているみたい。CPUクーラーはマザー付属のものを使っているが、これは高さが30mmくらいで今までのと比べてずいぶん余裕がある。動作音も十分静かでその点についてはとりあえず満足した。消費電力も当然低いので、長期的に見ると電気代の面でも差が出てくるはず。年始のアニメまとめ見で激しく使ってみたが、熱暴走はさすがに起きず、だいぶ安定している。ただ高ビットレートのMPEG-2ファイルで再生がカクカクする問題は直らず。これはいろいろ試してみたところ、常用している再生ソフトVgExplorerでのみ起きる問題のようで、そのほかの再生ソフトを使えばとくに問題ないことが判明。

 まあそんなわけでパフォーマンス的にはさほど変わってないんだけど、最近パソコンで録画した動画は常時このマシンを使ってTVに出力して見ているので、動作が安定してくれただけでも十分ありがたい。こうなってくると部屋中の全マシンを省電力化したくなってきちゃうけど、これについては今年後半投入予定のConroe待ちかなー(Conroeはインテルが開発している、Pentium Mベースのデスクトップ用省電力型デュアルコアCPUの開発コードネーム。→PC Watch)。そのころにはWindows Vistaも出てくるだろうし。


1/2(月)……蟷螂を取ろうとして徒労

▼今日はようやく昨年の11月コミティアで買った同人誌に手をつけはじめる。これでだいたい半分くらいかな。同人感想はいつもどおり別ファイルにまとめときます。商業単行本は1冊だけ。

2005年11月6日コミティア購入本感想
【同人誌】「蟷螂戦記」1〜2 佐藤直大 <エレキ天国>
【同人誌】「メガネ虫の本」 <信吉茶屋>
【同人誌】「ゆけ!うおまんろぼ」 ひるだうおまん <とらうまひつじ>
【同人誌】「SAMBOMANGA」 青木俊直
【同人誌】「万里くんのあぶない日常」 渋蔵(比古地朔弥) <ぐんたまカンパニー>
【同人誌】「軟体生物のおしごと」 安達ミチオ
【同人誌】「ふしぎふしぎ」3 山崎浩 <山崎浩プロジェクト>
【同人誌】「GARAVASSH AR」 呉屋真+草壁ひろあき <スーパーライト>
【同人誌】「meR」30 <meR>
【同人誌】「影男4コマダメ劇場3」 あびゅうきょ
【同人誌】「基本四コマ集」 <つゆくさ>
【同人誌】「五百円(2)」 <つゆくさ>
【同人誌】「なぎさ」 <こんちきどう>
【同人誌】「LiFE」 ニシムラカズコ
【同人誌】「声の温度」6 おざわゆき
【同人誌】「幻想蹴国誌 5.アルニーナ、激しく叫ぶ。」 新谷明弘
【同人誌】「クッポと地底のつぼみ」 おがわさとし <おがわさとし雑貨店>
【同人誌】「クッポと蜘蛛男爵」 おがわさとし <おがわさとし雑貨店>
【同人誌】「夜のもひとつ向こうに 菅原克己の風景」 内田かずひろ/保光敏将/山川直人
【同人誌】「縁側のでゅらはん」 ろくろーぶな
【同人誌】「ちえこのかばん」 ろくろーぶな
【同人誌】「印度で乱数特別編」 駕籠真太郎

▼2006年冬アニメの視聴予定をピックアップ。いちおう新規作品は以下のものをチェック予定。ここから削っていって15〜20本程度にしていくつもり。4月の総入れ替えを控えたシーズンだけあって、ホームページとかで情報を見た感じでは、全体に小粒っぽい印象。浦沢義雄がシリーズ構成を担当する「練馬大根ブラザーズ」は期待したいところだけど、ミュージカル仕立てらしいので当たり外れが大きそう。それから今季の本命は、やっぱ「Fate/stay night」なのかな? ゲームはやったことないけどとりあえず期待。「サムライチャンプルー」のマングローブが手がける「エルゴプラクシー」は映像面ではかっこ良さげだが、かっこつけすぎに注意といった感じですかねー。

月-------------------------------------------
0109 月25:30 「練馬大根ブラザーズ」 TV東京
0109 月26:15 「LEMON ANGEL PROJECT」 TVK
水-------------------------------------------
0111 水25:30 「かしまし 〜ガール・ミーツ・ガール〜」 TV東京
0104 水26:45 「鍵姫物語 永久アリス輪舞曲」 TVK
木-------------------------------------------
0112 木24:00 「半分の月がのぼる空」 WOWOW
0202 木25:55 「REC」 TBS
0202 木25:55 「びんちょうタン」 TBS
土-------------------------------------------
0225 土19:00 「エルゴプラクシー」 WOWOW
0107 土25:00 「タクティカルロア」 TVK
0107 土25:30 「落語天女おゆい」 TVK
0107 土26:50 「陰からマモル!」 TV東京
日-------------------------------------------
0108 日25:30 「Fate/stay night」 TVK
0108 日25:30 「よみがえる空 −RESCUE WINGS」 TV東京

▼あと2005年秋分の作品の暫定評価。点数は6.0標準のサッカー誌方式。継続組では「蟲師」のクオリティが素晴らしく高い。自然、そして蟲が起こす不思議の描写がとても美しく、その映像の完成度に驚かされることが多かった。「ノエイン」も絵作りがユニーク。とくに第12話「タタカイ」は、ちょっと見ただけで気合いの入りようが分かるすごい出来。戦闘シーンはラフスケッチのような描線などを駆使してビュンビュン動き回り、通常シーンでも人物の瞳がベタ塗りじゃなくて斜線が入ってたり、いつもと違った淡い色使い、極端なアップなどを駆使した印象的な構図取りなど見るべき点が多かった。またストーリー面でもSFチックなお話を興味深く見せている。

 「舞-乙HiME」はなかなかの健闘。前作はキャラクターが強い作品なわりに、それをバッサバッサ理不尽に切り捨てていって不興を買った面もあったが、「舞-乙HiME」はここまで、女学園を舞台に女の子友情ストーリーを楽しく展開できている。前作との共通キャラもうまく脇に配している。「SoltyRei」はまったり感がものすごい。主役のロイおじさんが、凄腕のエージェントっぽいわりに始まってからまったく役に立ってないないのにも笑ってしまう。GONZO作品は良くも悪くも味があるなあ。

 「ふたご姫」は手堅いけど、ちょっとダレ気味。世界をあまりにもファンタジーっぽく作りすぎてしまったため、前向きでポジティブな話以外やりにくくなってしまっている。しっとりとした話ができないので長丁場になるとお話が単調になっているのが難。「ローゼンメイデントロイメント」は期待していたのでちょっとがっかりな出来。作画が前シーズンよりかなり落ちているし、ストーリーも練り込みがいまいち。前シーズンの好評を受けて、急遽制作することになっちゃったのかなあ。準備不足な感が否めず。

 「エウレカセブン」は、ここにきて「ナディアをやりたかったのかな?」という感じ。ホランドが決戦を前にしてメンバーに「ついてきたいやつだけついてこい」的なことをいうシーンは、ノーチラス号が宇宙に行く前のシーンを思い起こさせるものがあったし、副長の女性が髪を切ってつるつるの衣装で再登場、艦長の子供を……ってのはエレクトラさんパターン。主人公がメカ好きでヒロインをとにかく守ろうとする、そして主人公とヒロインが異種族であるっていうのも類似点。まあこれまでもエヴァやガンダムに似たシーンはいろいろあったのでなんともいえないけど。「ムシキング」はためちゃってるので評価保留。この正月でまとめて見るつもりだけど、全部見れるかなあ……。

継続-----------------------------------------
7.5 「蟲師[Amzn]
7.0 「ノエイン もうひとりの君へ[Amzn]
7.0 「舞-乙HiME[Amzn]
6.0 「BLEACH[Amzn]
6.0 「灼眼のシャナ[Amzn]
6.0 「SoltyRei[Amzn]
6.0 「ふしぎ星の☆ふたご姫[Amzn]
5.5 「交響詩篇エウレカセブン[Amzn]
5.5 「ローゼンメイデン トロイメント[Amzn]
5.5 「Canvas2〜虹色のスケッチ〜[Amzn]
保留 「甲虫王者ムシキング 森の民の伝説[Amzn]
完結-----------------------------------------
6.5 「はっぴぃセブン 〜ざ・テレビまんが〜[Amzn]
6.5 「ラムネ[Amzn]
6.0 「ガン×ソード[Amzn]
5.5 「ARIA The ANIMATION[Amzn]

【単行本】「Landreaall」7巻 おがきちか 一迅社 B6 [bk1][Amzn]

 DXとイオンの兄妹が王都にあるアカデミーに入学。それからしばらく経って二人は学校になじんできたが、友人の不用意な一言がきっかけとなって、DXを窮地に陥れる事件が起きる……といった感じ。いろいろピンチはあるけれど、どこかゆったりした雰囲気のあるファンタジー世界ものを堅調に展開。まあちょっと人間関係がゴチャゴチャしてきてて、お話自体は分かりにくくなってきつつあるんだけど、アカデミー内でのおともだち関係の描写は賑やかで楽しい。


1/1(日)……球根道士

▼あけましておめでとうございます。といっても新年に入ってから12月の日記を何度か更新してるので、なんだか白々しいですが。2005年の漫画を振り返ったりするのはまた後日。

▼まず1月の単行本購入予定。データはbk1まんが王倶楽部の新刊予定を参考に作成。リンク先はAmazonのワード検索。リンク先URLはスクリプトによる自動生成なので、まだAmazonのデータベースに登録されておらず、該当物件が表示されないリンクもありますのでご了承ください。

▼2006年1月単行本購入予定
1/5 「働け!メモリちゃん」1巻 若狭たけし 集英社
1/5 「ポルタス」 阿部潤 小学館
1/6 「デビルエクスタシー」2巻 押切蓮介 講談社
1/10 「サイカチ」1巻 作:藤見泰隆+画:カミムラ晋作 秋田書店
1/10 「フットブルース」1巻 能田達規 秋田書店
1/10 「喰いしん坊!」5巻 土山しげる 日本文芸社
1/12 「おとなり」 かるま龍狼 ワニマガジン社
1/13 「酒ラボ」 宇仁田ゆみ 講談社
1/13 「夏のゆらめき」 くどうひさし 司書房
1/14 「死神と僕」 乙 メディアックス
1/中 「子供の遊び」 西岡兄妹 青林工藝舎
1/中 「うすバカ風俗伝」 東陽片岡 青林工藝舎
1/16 「長い長いさんぽ」 須藤真澄 エンターブレイン
1/17 「BECK」25巻 ハロルド作石 講談社
1/17 「ケンコー全裸系水泳部 ウミショー」1巻 はっとりみつる 講談社
1/19 「眠れる惑星」1巻 陽気婢 小学館
1/19 「CLOTH ROAD」3巻 作:倉田英之+画:OKAMA 集英社
1/20 「恋愛ジャンキー」18巻 葉月京 秋田書店
1/20 「怪力の母」2巻 平田弘史 リイド社
1/23 「もっけ」5巻 熊倉隆敏 講談社
1/23 「しおんの王」3巻 作:かとりまさる+画:安藤慈朗 講談社
1/23 「怪物王女」1巻 光永康則 講談社
1/23 「ぼくと未来屋の夏」1巻 作:はやみねかおる+画:武本糸会 講談社
1/23 「蒼天航路」35巻 王欣太 講談社
1/25 「あまえないでよっ!!」5巻 作:ボヘミアンK+画:宗我部としのり ワニブックス
1/26 「低俗霊DAYDREAM」8巻 作:奥瀬サキ+画:目黒三吉 角川書店
1/27 「かみちゅ!」1巻 作:ベサメムーチョ+画:鳴子ハナハル メディアワークス
1/27 「それでも町は廻っている」1巻 石黒正数 少年画報社
1/27 「レモネードBOOKS」1巻 山名沢湖 竹書房
1/27 「ゆびさきミルクティー」6巻 宮野ともちか 白泉社
1/27 「惑星のさみだれ」1巻 水上悟志 少年画報社
1/28 「ヨキ、コト、キク。」1巻 コゲどんぼ ジャイブ
1/28 「村上もとか叙情傑作選 SNOW」 村上もとか 実業之日本社
1/30 「庭先案内」1巻 須藤真澄 エンターブレイン
1/30 「御緩漫玉日記」2巻 桜玉吉 エンターブレイン
1/30 「猟奇刑事マルサイ」 大越孝太郎 コアマガジン
1/30 「フライングガール」1巻 笠辺哲 小学館
1/30 「ハピネス」 古屋兎丸 小学館
1/30 「カムイ伝全集第一部」9〜10巻 白土三平 小学館
1/30 「CAGE」2巻 すえひろがり コアマガジン
1/30 「ポコといっしょ」 D.P フランス書院

【単行本】「アンダーカレント」 豊田徹也 講談社 A5 [bk1][Amzn]

 発売は2005年11月だったのだが、うかつにも新刊時に見逃していて、しまったーとか思って慌てて購入した。本作の掲載誌はアフタヌーン。町の小さな銭湯を経営していた家から、ある日突然夫が蒸発。妻のかなえはしばらく放心状態だったが、銭湯組合から紹介された臨時手伝いの男性・堀の力も借りて営業を再開。いちおう平穏に生活を続けていたが、夫がなぜ失踪したかは、彼女の心の中でしこりとして残り続け……という具合にお話は展開。

 基本的には、どこにでもありそうな日常なのだが、平穏なようでいて陰をはらんだ描写が新鮮。大事だと思っていたものが突如失なわれてしまった欠落感や、当たり前と思っていた日常や会話の不確かさ、「一人の人間をほんとうに理解すること」の難しさを、しっかりと描き出している。作画は淡々とした風味だが、スッキリとした絵柄は完成度が高い。その作画の透明性、濁りのなさが、人間というものの「分からなさ」をより明確に浮き彫りにしていると思う。

 かなえと夫、そして堀はそれぞれの想いを抱えて、結局最後まで完全に分かり合えはしなかったわけではない思う。しかしそれを呑み込んだうえで、いくらか心を通じ合わせ、新たな出発をしていく様子は清々しくもある。派手な誇張やアクションなどはないけれど、心に訴えかけてくるもののある作品だった。あと、一つ注文するとすれば、人物の描写と比べると背景描写は定規そのままな線が目立ちちょっと物足らない部分がある。こちらも人物描写に似つかわしい独自の味が出てくるとより良くなるのでは。

【単行本】「ASTRAL PROJECT 月の光」1〜2巻 作:marginal+画:竹谷州史 エンターブレイン B6 [bk1:1巻/2巻][Amzn:1巻/2巻

 原作者のmarginalは狩撫麻礼の別名義。コミックビーム内ではさほど目立つポジションの作品ではないと思うけど、改めてまとめて読んでみると怪しいムード満点で面白かった。自殺した姉の遺品であるCDを聞くことで幽体離脱が可能になってしまった青年が、同じように幽体離脱ができる存在たちに出会い、霊体世界の神秘を垣間見ていくという内容。一歩一歩新たなステージへと登っていく物語も緊張感にあふれてて、引き込まれるものがある。登場人物たちも内に狂気を抱えているような表情をしたキャラばかりで、とてもミステリアス。

 竹谷州史は「PLANET 7」のころは元気の良さが印象に残るコミカルな絵柄だったけど、現在の絵柄はそのころとは大違い。暗いトーンのシリアスな絵柄は、不穏な気配を漂わせると同時に、ゾクリとするような艶と色気があってカッコイイ。2巻までの段階では非常に雰囲気たっぷりに、ガッシリお話を展開していると思う。ここから果たしてどのような世界を見せてくれるのか。非常に個性的な原作者、作画者の組み合わせなので、ここからのジャンプアップにさらに期待。

【単行本】「晴れゆく空」 谷口ジロー 集英社 A5 [bk1][Amzn]

 連載終了が2004年11月で単行本化にけっこう時間がかかったなという印象。過労死寸前というところまで疲れ果てていた40代のサラリーマン・久保田和広が、交通事故により死亡。しかし久保田の魂は、その事故に巻き込まれて奇跡的に一命を取り止めた17歳の高校生・小野寺卓也の体に宿る。そして卓也の体を借りた久保田は、卓也が完全に意識を取り戻し、自分が完全に消えてしまうまでのわずかな時間を使って、残された家族に自らの想いを伝えようとする。

 上記のようなストーリーのヒューマン・ドラマだが、谷口ジローの実直で緻密な描写力が冴え、しっかり読める作品に仕上がっている。ヤングジャンプ掲載作品としては地味めで、雑誌掲載時はピンとこない部分もあったのだが、まとめて読んでみるととても清々しい後味を残してくれる良い作品だった。平凡な男の家族を想う気持ちがしっかり現れていたし、それまでハンパなことをしていた卓也少年が、不思議な出来事を機に成長していく様子もしみじみとしたものがあった。改めてまとめ読みできて良かった。

【単行本】「異色列伝 無名の人々」 平田弘史 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]

【単行本】「弓道士魂」 平田弘史 マガジンファイブ A5 [bk1][Amzn]

 振り返ってみると、2005年は平田弘史の単行本が大量に出た1年だった。自分が買ったものを列挙するだけでも「平田弘史のお父さん物語」「人斬り」「黒田三十六計(5)」「それがし乞食にあらず」「駿河城御前試合(上)(下)」「叛逆の家紋」「烈願記」「御用金」、そしてこの「異色列伝」「弓道士魂」と実に11冊。さらに「怪力の母」の1巻も出たから、まさに月刊平田弘史状態。しかも平田弘史単行本は単価が高いのが多いので、ファンの人はけっこうな出費となった1年だったと思う。

 まあそれはともかく単行本の感想。「異色列伝」は、歴史的には有名ではないけれども立派な活躍をした人物たちを取り上げる伝記物語。川での漁業権をめぐって争う二つの村を仲裁すべく自分の首を斬り落として和睦の証とした村上織部道慶、主君の癇症を治すべくその妙薬といわれる人肉を自分のもも肉を切り取って与えた菅沼主水らの物語を描いている。現代人から見ると激しすぎる人たちが揃っているが、あの迫力のある平田タッチで堂々と物語が展開されるので、「世の中にはいろいろスゴい人がいたもんだなあ」と納得してしまう。あとイラスト入りの自作解説ページも、なんだか味があっていい。

 「弓道士魂」は、江戸時代に各藩が威信をかけて競い合った弓比べに命を賭けた侍たちの生き様を描いた物語。この弓比べは、京都三十三間堂にある120メートルほどある廊下の、端から端まで矢を射通す「通し矢」というもの。廊下にも屋根にも矢を当てることなく、向こう側まで射るには超人的な力量が必要だが、通し矢ではそれを1日に何本行えるかを競い合う。最初のころは1日50本程度がせいぜいだったが、物語終盤ではそれが1日8000本超までエスカレート。不眠不休で正確な射を行うため、侍たちは血ヘドを吐くような鍛錬を行い、それを奨励する藩内でもさまざまな悲劇が生まれる。その鍛錬の様子や、食事や休息も最小限にして行われる競技の模様はまさに壮絶。ページ数も400以上ある続き物なんで、かなり読みごたえがあった。満腹。

【単行本】「人情幕ノ内」1巻 昌原光一 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 こちらも時代モノだが、基本的には人情噺。江戸の下町を舞台に、庶民たちのささやかなドラマが繰り広げられる。昌原光一はかつてヤングジャンプ青年漫画大賞でグランプリを取った作家。これが初単行本だが非常にうまい。脂の抜けた絵柄で、人情のありがたみというものを感じさせるお話を丁寧に構築している。なんだかもう何十年も描いてきた人であるかのようなこなれた作風で、たいへん完成度は高い。ただ出始めのころはもう少し混沌とした感じの作品を描いてた印象があるんで、洗練されすぎちゃったかな〜という気はしないでもない。


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