2006年3月上旬


3/10(金)……腕の文

▼本当は11日(土)深夜、というか12日(日)の早朝放映分だけど、更新遅れでさっき見ちゃったので書きます。アニメ「蟲師[Amzn]第20話。地上波での放映はこれで最終回。これまでも何度か触れてきたが、最後まで素晴らしい出来だった。第20話「筆の海」は、筆で描かれた文字列がにょるにょると動き出してくるあたりの映像は出色の出来。また切なさと暖かさが共存するストーリーも良かった。

 シリーズ全般を通じてみても、一貫してクオリティは高かった。漆原友紀による漫画原作も秀逸だけれど、アニメ版も負けず劣らず。エピソードによっては、むしろアニメのほうが良いと思えるシーンもしばしば。原作の内容をしっかり踏まえたうえで、それをさらに美しく磨き上げた映像、雰囲気作りには感心させられた。個人的なお気に入りは、第1話「緑の座」、第7話「雨がくる虹がたつ」、第12話「眇の魚」、「第20話「筆の海」あたり。いずれも、蟲とそれが起こす怪異を動かして見せたことで、原作よりもさらにイメージが豊かになったエピソード。色彩については、とくに「雨がくる虹がたつ」の虹のシーンが美しかった。最初は「アニメにするにはちょっと地味じゃないか?」とも思ったけど、それはまったくの杞憂。「現実ではあり得ないものを動かす」というアニメならではの醍醐味を堪能できた。いい作品でした。

 なお21話以降は、5月14日からBSフジにて放映予定とのこと。幸いウチはCATVでBSフジは入るんで、当然チェックする予定。まあDVDも予約はしてあるんだけど。

【雑誌】ヤングアニマル 3/24 No.6 白泉社 B5中

 柴田ヨクサル「エアマスター」が最終回。長らく続いた連載だったけど、最後は爽やかに〆。ちょっと長くしすぎた感がなきにしもあらずだけど、ハッタリの効いたアクションや、濃いキャラ、濃いセリフは読んでて面白かった。おつかれさまでした。若杉公徳「デトロイト・メタル・シティ」。今回はDMCの面々が、殴り込んできた女パンクバンド・金玉ガールズと対決。といってもまあクラウザーさんに、このようなメス犬どもがかなうはずもないのだが。公然猥褻カットの使い方もさすがクラウザーさんだ。それにしてもDMCの観客はいつもノリが素晴らしいね。「七転び八レイプ」とか。

 作:雑破業+画:竹内桜「ちょこッとSister」。少しずつはるま&管理人さんの距離が近づいてるけど、両方とも初々しくてすごく微笑ましい。ええですのう。克・亜樹「ふたりエッチ」。真が優良さんのGスポット探しに挑戦〜というお話。なんかもう平和で馬鹿馬鹿しくて、すごいなーと思う。あと宮野ともちか「ゆびさきミルクティー」はなんだか新しいナオンちゃんが出て参りました。池田君はこの期におよんでなおふらつこうというのか。さすが大物は違う。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 3/24 No.7 小学館 B5中

 なぜか最近スペリオールが「北斗の拳」に力を入れている。なんか権利関係でいろいろあるんでしょうな。まあそれはともかく、「北斗の拳」が映画化ということでそれに合わせた新連載「慈母の星 北斗の拳 ユリア外伝」がスタート。作画担当は笠井晶水。ユリアをクローズアップしたお話となっているけど、繊細な絵柄は従来の「北斗の拳」像とは違ったものがある。ユリアがメインということで、多少柔らかめな絵というのもありかなあ。正直なところ違和感はあるけれども。

【雑誌】ビッグコミック 3/25 No.6 小学館 B5中

 一條裕子が新連載を開始。「貂の家」。かつて人間と暮らしていたことのある貂が一戸建て住宅を構え、家族とともに人間的な文化生活を送ろうとするというお話。なんだか勘違い気味な貂を通じて、人間社会の矛盾を抉り出す風刺的な漫画……といえなくもないんだけど、まあそんな重苦しいノリではないです。実生活では役に立ちそうもないことをつらつらと考えてる感じで、一條裕子らしい飄々と軽やかな作品になっている。目立たないながらもヒネリの効いた、味のある作品になっていきそう。業田良家「男の操」は最近けっこうドラマチック。お話が進むにつれ、「男の操」がいい曲に思えてきた。万田さんに幸あれかし。

【雑誌】週刊漫画ゴラク 3/24 No.11 日本文芸社 B5中

 高橋よしひろ「銀牙伝説WEED」。ウィードとその彼女のメス犬・小雪がやけにラブコメしてて、ちょっと笑ってしまった。なんかすごいイチャつきっぷりだ。拙者もウィードと一緒に萌えーっ!! ラズウェル細木「酒のほそ道」。魚の昆布締めが、簡単かつおいしそうで良かった。自分でもやってみようと思えるのがいいですな。

【雑誌】コミックバンチ 3/24 No.15 新潮社 B5中

 こっちでも当然のことながら「北斗の拳」がらみの企画が。「天の覇王 北斗の拳・ラオウ外伝」が連載開始。原案は武論尊・原哲夫で、作画は長田悠幸。ラオウの若いころを描いていくという内容なんだけど、うーん、これは作画がいまいち合ってない……。ラオウに重みがあんまり感じられないし、町のチンピラたちも邪悪さが足りない気がする。まあ今後の展開にもよるけど、とりあえず第一印象としては、もっとゴツい絵のほうが良かったなあという感じ。

【雑誌】メガプラス Vol.30 コアマガジン B5平

 PONPON「−ヒトリジメ−」はエッチなことを仕掛けてくる家庭教師のあんちゃんが好きな少女が、彼を誘惑して独り占めにしようとする……というお話。あどけない顔つきながら、男を誘う彼女の様子が印象的。絵柄のほうもスッキリした感じで、そのギャップがかえって淫らさを強調してると思う。狩野蒼穹「はじめての避妊具」は、双子の少年少女がコンドームをゲットして、初Hしちゃうというお話。くりくりした目つきのキャラがかわいくていいですのう。線に柔らかみがあるし、お話のほうもユーモアがあっていいです。尾崎未来「The Great Escape」は7話め。おっぱいが大きくてやたら感じやすい尻軽娘のあいちゃんが、いろんな人たちとエッチしちゃうというお話。あいちゃんはかなり頭が軽いけど、エロシーンはけっこう実用的。乳首の責め方がしつこくて、いかにも気持ち良さそうにしてるのが良いと思います。

【雑誌】ヤングコミック 4月号 少年画報社 B5中

 ジェームスほたての新連載「サニーサイドアップ」が開始。なんか今回は料理+エッチのドタバタ劇になるみたい。どうなるんだかよく分からんけど、とりあえずいつものごとくサービスはたっぷりで、明るくむちむち。雑誌を華やかにしてくれていいんじゃないでしょうか。ポン貴花田「天使のマシュマロ」は、ヒロインさんがアイドル水泳大会で水に濡れると溶ける水着を着させられてしまうという話。この手の「紙でできた水着」系のネタ(今回のは素材は紙じゃないっぽいけど)は、定番ネタで馬鹿馬鹿しいけどなんとなく好き。ヌレスケが好きというのももちろんあります。

 中田ゆみ「下町マドンナ食堂」。ラブコメ度が高まってて微笑ましい。おかみさんがだんだんよろめいて、ヤキモチまで焼いちゃってる様子がかわいい。あとムサシマル「ショートトリップ」は相変わらずのキレの良い絵柄が美しい。睦月のぞみはヤングコミック初登場。この人の絵柄もスッキリとコジャレててわりと良い感じかと思います。


3/9(木)……密度萌え

▼以前にも書いた掲示板スパムの件ですが、いい加減ウザいので今度は掲示板改造支援サイトを参考にCGIをいじって、対策をちと強化しました。今回の変更点は、「2バイト文字(要するに全角文字)を含まない書き込み禁止」「httpという文字列を10個以上含む書き込み禁止」の二つ。スパム書き込みの99%以上は外国の業者の宣伝URL連投なので、この効果は絶大。最近の海外スパム業者はとくに容赦がなくなってきてて、5分にいっぺんくらい自動巡回してきてはぼこぼこ宣伝書き込みしていくのでホントに困ってたんだけど、これでスパムのほとんどは弾けるようになりました。わーい。日本の業者は1日1回回ってくるくらいで、あんまり連投はしてこないんでそんなに気にはならんです。最近の日本語スパムは、文面もけっこう工夫されてきてるんでちょっと面白かったりもするし。なお掲示板におけるNGワードの設定は多少キツめにしてありますんで、もし通常の書き込みなのに引っ掛かっちゃった場合は申し訳ありません。指定してる単語は、宣伝URLに含まれるものが主なので、通常の書き込みなら引っ掛かることはまずないと思いますが……。

【雑誌】モーニング 3/23 No.15 講談社 B5中

 塀内夏子「イカロスの山」。今回は平岡が、若きザイル・パートナー、吉崎達也の死までの様子をその母親に語るというエピソード。最期のあたりで、平岡と吉崎が抱き合ってるシーンとか、実にヤオイチック。山岳モノではあるんだけど、人間関係の部分でやたらウェットに攻めてきててなんか凄い。

【雑誌】ヤングサンデー 3/23 No.15 小学館 B5中

 伊藤潤二がヤングサンデー初登場。「舐め女」という読切を執筆。夜な夜な町に現れ、毒を持つ舌で舐めた相手を死に至らしめる怪奇・舐め女のお話。口裂け女チックで、不気味ではあるけどユーモラスでもある。舌をにょいーんと垂らした舐め女さんがグロテスクかつファンキーで良いです。小田原ドラゴン「小田原ドラグンくえすと!」。今回はいつもの御一行が秋葉原のメイド喫茶を回って、メイドたちのバレンタインチョコをゲットして回るというお話。ドラゴン先生が意外と妹カフェを楽しんでいらっしゃる様子が微笑まして良かった。山田玲司「絶望に効く薬」。今回はハイパー・メディア・クリエイターの肩書きでおなじみ、高城剛を取材。この人はまだ元気でやってるんだなあとかしみじみ。フランキー・オンラインとかいろいろありましたなあ。

【雑誌】ヤングジャンプ 3/23 No.15 集英社 B5中

 作:会津泰成+画:高野洋「城島健司物語」が、2号連続で掲載。4号連続ベースボール特集の第1弾とのこと。青年誌の中でも、ヤンジャンはわりとよく野球特集をやるほうですな。海野そら太「女子アナ魂」は巻中カラー。ド根性で女子アナ成り上がり物語をやってて、けっこう手堅く面白い。ハツラツとした元気の良い作風に好感が持てます。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 3/23 No.15 秋田書店 B5平

 「子供学級」の桜井のりおが新連載「みつどもえ」を開始。今回も小学校が舞台で、新米の先生が小学校6年生のクラスを受け持つことになるが、そのクラスには問題児の三つ子姉妹が……ってな感じで始まるドタバタギャグ。「子供学級」よりも美少女キャラが多くて賑やかだけど、トーンの使用が増えたのか、画面は若干見づらくなったかも? まあこの人のアクロバチックな作風は好きなんで、期待してます。新連載もう一つ。梅田阿比「人形師いろは」。とある美少女によって作られる人間そっくりな美しい人形と、それを手に入れた人々の愛憎劇を描いていくというお話。そこで繰り広げられる人間ドラマは、ちょっと残酷で皮肉。ミステリアスかつちょっと官能的な味付けもあって、安定感はありそう。能田達規「フットブルース」は最終回。「ORANGE」に続くサッカーものだったが、これはいまいち弾けきらなかったかなという印象。

【単行本】「喰いしん坊!」6巻 土山しげる 日本文芸社 B6 [bk1][Amzn]

 真剣大食い勝負漫画第6巻。この巻は満太郎vs.鳥飼のカレーうどん対決の後、満太郎が大食いを志す坊さんと出会うあたりまで。坊さんの話のほうはまださわり程度で、この巻のメインはやっぱり鳥飼との勝負。まあ基本的に両方とも食いっぷりは正統派なので、この巻は凄みは少し低めか。ただ鳥飼が切羽詰まって邪道食いに堕ちるあたりの展開はドラマチックで良かった。それにしてもこいつら全員、激しく大人げないなあ。そこがいいんだけど。

【単行本】「無敵看板娘」16巻 佐渡川準 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 連載のほうはこの前いったん仕切り直しで、タイトル変えて再開となったけど、単行本のほうは次でファーストシリーズ最終巻かな。この巻もドタバタギャグを激しく展開しててしっかり面白い。各登場人物の行動はすごく極端だけど、基本的にカラッと明るくて、みんな気のいいヤツらなのが気持ちいい。勢いと安定感を両立できてるのがいいですねえ。毎度感心。新シリーズのタイトルは「無敵看板娘N(ナパーム)」になるっぽいですな。


3/8(水)……防塵用の用心棒

【雑誌】マンガ・エロティクスF VOL.38 太田出版 A5平 [bk1][Amzn]

 今回も志村貴子「青い花」がいいっすねえ。男装している杉本先輩もいいけど、彼女がふと見せてしまった弱い面に、思わず萌えてしまってるふみちゃんがこれまた。甘くって切なくって胸がキュンキュン。緩急の付け方が絶妙で、いつもその呼吸にやられてしまう。オノ・ナツメ「リストランテ・パラディーゾ」は全6話で最終回。老眼鏡おじさん萌えをストレートに出しつつ、小粋なラブストーリーとして美しく締めくくった。オシャレで萌えゴコロもある、いい作品でした。単行本は5月中旬発売予定。描き下ろし短編も収録される予定とのこと。まとめ読みするのが楽しみだ〜。このほか、古屋兎丸「ライチ光クラブ」と桂明日香「そこはぼくらの問題ですから」はそれぞれ次号で最終回とのこと。

【雑誌】週刊少年サンデー 3/22 No.14 小学館 B5平

 万乗大智の新連載「武心」は、身体の弱い少年が父親に鍛えられて柔道を頑張っていくという少年柔道漫画。まずは熱血で滑り出しは悪くないけど、主人公がいきなり事故に遭ってる……。さすがに死ぬことはないと思うけど、主人公やそれに近しい人を死なせてお話を盛り上げるってのはサンデー漫画の常套手段なので、ちょっと不安になった。さすがにそのパターンは食傷気味なので、違うパターンだと良いのですが。

【雑誌】週刊少年マガジン 3/22 No.14 講談社 B5平

 氏家卜全「女子大生家庭教師 濱中アイ」。ミサキ&マサヒコの幼なじみカッポーが、ラブコメってて微笑ましかった。初々しくてほのぼのしますな。亜桜まる「090〜えこといっしょ〜」もいい感じでラブコメ中。生徒会長さんがついにヒロシに告白しちゃうかな……といった感じだけれど。やはりこの娘さんがいつもかわいらしくていいです。朝基まさし「IWGP 電子の星」は、石田衣良の小説を漫画化。全8回の短期集中連載。主人公の少年が、池袋ウエストゲートパーク(IWGP。池袋西口公園)でぶいぶいいわせているカリスマ的あんちゃんの力を借りて、池袋で失踪した友人の足取りを追うって感じの話。

【雑誌】スーパージャンプ 3/22 No.7 集英社 B5中

 大河原遁「王様の仕立て屋」。天才仕立て屋少女のラウラとかが賑やかに動き回っており、ドタバタ感があって楽しい展開。うんちくはもちろんあるけど、適度に力が抜けてて親しみやすい内容になってるのが良いです。作:愛英史+画:里見桂「ゼロ」。今回はマフィアの抗争に巻き込まれたゼロが、目つきを喰らって一時的に視力を失ってしまうという話だけど、目が治って復活したゼロがカッと目を開けるラストシーンで笑ってしまった。そんな目一杯見開かなくてもいいのに。カッコつけてるようでいて、かえってお話の余韻をぶちこわしにしているような感じがしちゃうあたりが味です。

カッ!

【雑誌】別冊漫画ゴラク 4/12 No.538 日本文芸社 B5中

 作:倉科遼+画:内山まもるの新連載「銭夜叉」が、かなりベタベタな感じで良かった。主人公の大町桜子は、東北の田舎町の老舗温泉旅館の跡取り娘。しかし地元の政治家&新興ホテルの企みによって、旅館は廃業を余儀なくされ、そのどん底からのし上がることを目指して桜子は吉原ソープ街に身を投じることを決意する……ってな出だし。愛と復讐の物語らしいけど、出発点がソープであるところがいかにも倉科遼作品。ガッツンガッツンやってってほしいですね。

【雑誌】近代麻雀オリジナル 4月号 竹書房 B5中

 富田亜紀良の読切「雀荘用心棒」が掲載。外見は怖いけど、実はけっこうマジメで麻雀も強いバイトくん候補が、雀荘を救っちゃうというお話。まあすごく面白いというほどではないけど、きっちりまとまってる。あと読切では岡田ユキオ「禁断のまりちゃん」も掲載。こちらは会社では美人受付嬢で通ってるけど、プライベートでは極度の麻雀好きで、ごくせんの人みたいな格好をして麻雀にのめり込んでいる女性が主人公。富田亜紀良と岡田ユキオは近代麻雀オリジナル初登場。両方とも近代麻雀系ではときどき見かけてたので、初だったというのはちょっと意外。

【雑誌】FEEL YOUNG 4月号 祥伝社 B5平 [定期購読:7andyicon/Fujisan

 IKARINGの新連載「新婚はん」がスタート。昔は男をとっかえひっかえ遊びまくってた主人公が、女性経験の少ない男と結婚し、理想の妻になるべくわたわたするというドタバタギャグ漫画。「しまいもん」と比べるとノリはまだまだな感じだけど、前作の「OL三國志」がコケちゃった感があるので、ここでイッパツ盛り上げていってほしい。南Q太「スクナヒコナ」。それぞれのキャラがだいぶ落ち着くところに落ち着いてきたかなーという感じだったんだけど、今回のラストでは紺ちゃんの連れ合い、富尾くんがたいへんなことに。なんかもういろいろありますなあ。いろいろあるといえば、小池田マヤ「CGH!」も相変わらずどんどん急展開。マキオ社長と黒須に関する新事実が明らかになるたびに、ヒロインのヒナはびっくりしまくり。最近の展開はゴージャス感たっぷりだし、これからもいろいろ起こりそうで楽しみ。


3/7(火)……王サーガの海は

【雑誌】漫画アクション 3/21 No.6 双葉社 B5中

 作:かわさき健+画:鎌田洋次「私のみんなの甲子園」が連載開始。野球の名門校から田舎の学校に転校してきた少年、それから野球に情熱を燃やす元野球部マネージャーの女性らを中心に展開される高校野球漫画って感じでしょうか。まだあんまり面白いって感じではないが手堅そう。国友やすゆき「新・幸せの時間」。ついに各人に家庭崩壊の音が聞こえてきたようで。すごいベタベタな展開で最高。前作に続き、また住宅が物理的に崩壊するんじゃないかと期待でパッツンパッツンです。

 湯浅ヒトシ「耳かきお蝶」は毎度コンスタントに面白い。お蝶さんの女心、しんなりとした容姿がええ感じ。人情の機微もしっかり描けてると思います。こうの史代「さんさん録」。うーん、仙川さんが色っぽいですのう。おとうさんも何気にいい男だし。両方とも若くはないけれど年の差はあり。この二人の触れ合いは、見ててトキめきます。

【雑誌】漫画サンデー 3/21 No.11 実業之日本社 B5中

 新田たつお「静かなるドン」。闇金の元締めやってる経済ヤクザの親分の名前が「暴利元成」だというのがちょっといいなと思った。ベタなネタだけど。作:倉科遼+画:みね武「艶恋師」。今回のお相手はフィギュアスケーターですか。しかももろに浅田真央がモデルの天才少女。流行を敏感、ってほどにではないけど取り入れてますね。あと菊之介が着流し姿でスケートしている姿がユーモラスでグッド。作:倉科遼+画:和気一作「女優」は次号で最終回とのこと。

【雑誌】MUJIN 4月号 ティーアイネット B5平 [定期購読:7andyicon

 養酒オヘペ「ホンキ?エンギ?」が巻頭カラー。隣家から窓づたいにやってくる幼なじみ女子が、「Hしてくれない彼氏の代わりに」といってエッチなことを仕掛けてくるけど、実はそれは演技で、本当は幼なじみ男子のことが……ってな内容。ゴチャゴチャした画面作りだけど、エロシーンはがっつり濃い目。また、ツンデレな甘ったるさは出ててラブコメとしても微笑ましく読めた。ZUKI樹「ママと私の好きな人(後編)」。ちっちゃいころからずっと好きだった自転車屋のおにいさんが、実は母親の愛人だったと知った少女は落胆するが……。仕事をする男の油まみれの手が好きというヒロインの趣味がなかなか面白いし、作画もキレがあって、好感の持てる作品だった。

【単行本】「太臓もて王サーガ」2巻 大亜門 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 ジャンプ漫画(とくに荒木飛呂彦)やその他の漫画およびアニメなどのネタをいっぱいパロディしつつ、馬鹿馬鹿しいギャグを展開。ちょっとネタが詰まりすぎてるんで読むのに時間はかかるけど、ひねり方は気が利いてるし、この巻も楽しく読めた。まあパロディネタに頼らない、この人独自のギャグみたいなのもやってほしいところではありますが、そういうタイプではないのかもしれない。

【単行本】「スティール・ボール・ラン」7巻 荒木飛呂彦 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 こっちは本家荒木。「スティール・ボール・ラン」のレースはますます過熱。「遺体」とやらをめぐって、スタンドバトルが激しく繰り広げられている状態。お話全体としては、ジャイロ・ツェペリがいいですな。最初はジョニィ・ジョースターを導く役かなと思っていたけど、ジャイロにはジャイロなりの葛藤があり、成長すべき余地も残している。最近ではむしろジャイロのほうが主人公っぽい。

【単行本】「ももいろさんご」9巻 花見沢Q太郎 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 主人公の三悟がどんどん無軌道になってるのが面白いです。最初のころは魚好きの学究肌で、片想い相手の百合子さんもいた三悟だけど、百合子さんが留学でいなくなってからはすっかり淫獣化。湊を始めとした姉妹に誘惑されたらほいほいやっちゃうし、異国のお姫様にも手をつけちゃうしで、基本は受け身ながらもやりたい放題。その場の雰囲気に流されまくりな適当さ加減、ユルユルぶりが楽しい。あと全編2色カラーなんだけど、2色のほんのり赤い色付けはやっぱいいなあ。4色よりもむしろ好きなくらい。


3/6(月)……鼓笛中鬼神

【雑誌】ヤングマガジン 3/20 No.14 講談社 B5中

 押切蓮助介「でろでろ」。いつも受難している女の子・相原さんが出てくるたびにかわいいなあと思う。妹ちゃんの留禍のほうはいうに及ばないですが。作:イ・ヒョンソク+画:イ・ユジョンの韓国軍隊漫画「軍バリ!」は第一部完。やっぱ日本ではウケなかったか……とも思ったが、第二部も準備中ではあるらしい。ヒロインであるっぽい女子はわりとかわいいかも、と今回の最終ページのカットを見て思った。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 3/20 No.14 小学館 B5中

 作:小松左京+画:一色登希彦「日本沈没」は、大災害前の束の間の休息という感じ。一見のんびりしているようで、じりじり不安が蓄積されていく演出がうまい。あとビル沈没のときに小野寺と知り合った玲子ちゃんは、気立てが良くてけっこういい美人さんだと思う。小田扉「団地ともお」。団地を舞台に繰り広げられる謎の競技、団地ワールドカップがなんかむやみにスペクタクルで面白そう。この手の「ルールの判然としないオリジナルスポーツ」的なものはすごく好きです。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 3/20 No.14 集英社 B5平

 蔵人健吾「受験番長クソ列伝」は、中学校出たら就職とかいっていた昭和大好きなバンカラ番長が、仲間たちと進学して一緒に過ごすため、受験勉強を頑張りまくるというギャグ漫画。読者を笑わせようとする力みがいくぶん感じられなくもないけれど、全体的にはけっこう楽しめた。基本的に誰かを貶めたりいじくったりするでなく、ドタバタ展開で見せようとしている点は好感が持てるし、ベースにあるものが友情だというのも憎めない。坂本裕次郎「タカヤ」は、前回突然異世界ファンタジーバトルが始まっちゃってビビったが、今回はサブタイトルまで変わっちゃってる。「閃武学園激闘伝」だったのが「夜明けの炎刃王」に。このくらい迷走してるとかえって気持ちいいかも……。

【雑誌】コミックPOT 4月号 メディアックス B5中

 作:凌辱堂+画:ぶるマほげろー「凌辱学園〜部活調教恥獄責め〜」が最終回。女の子たちはかわいいのに、すごく頭軽くてぶっ飛んだ漫画になってて、けっこう楽しかった。オチもむちゃくちゃしょーもないし。これは単行本になるんですかね?

【雑誌】ペンギンクラブ 4月号 辰巳出版 B5中

 森田なゆた「知的好奇心」。最近ペンギンクラブで描いてるんだなあ。森高たかし名義のときよりも、だいぶ絵柄がアッサリかわいい感じになってる感じ。飛龍乱「MAMAMA」は6話め。奥様が息子さんにヒイヒイよがらされまくっている状態。エッチの最中に夫と電話するという、人妻モノの定番パターンもやっている。いつもながらのむっちり感でしっかりエロい。

【単行本】「乙女ウイルス」1巻 鈴菌カリオ 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 IKKIで連載している若手作家。作風的にはジョージ朝倉チックで、メリハリのハッキリした作画と、ちょっと強引に笑いなりトキメキなりに読者を引っ張り込んで来る作風が持ち味。この作品では、オムニバス形式でちょっと変った感じの女の子や男の子の話を展開。片想いが次々と連鎖しててて、最後に輪を描く第1話「輪になってくるくる回ったら宙に浮いてUFO」とか、勢いがあって、コミカルながらも恋愛風味が濃厚でなかなか面白い。あんまりちっちゃくまとめたりせず、奔放に才能を伸ばしていってほしいなあと思います。

【単行本】「神戸在住」8巻 木村紺 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 連載のほうがアフタヌーンの次の号で最終回。この巻でも女子大生・辰木桂さんの生活をたいへん丁寧に描写。日常の風景をこまやかな感性でとらえた作風がたいへん好ましい。何気ない日常の中から感情の起伏をすくいとってくるお話は、暖かく優しく、ときに切なく心に響いてきて、読んでてしみじみするものがある。それにしても辰木さんはいつ見てもかわいい女子ですなあ。ちんまりした文系女子っていう雰囲気を全身から発散してて、かいぐりかいぐりしたくなるものが。


3/5(日)……春物を殲滅よ

▼未読物
【単行本】「太臓もて王サーガ」2巻 大亜門 集英社 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「スティール・ボール・ラン」7巻 荒木飛呂彦 集英社 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「アゴなしゲンとオレ物語」21巻 平本アキラ 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「お兄ちゃんと一緒」5巻 時計野はり 白泉社 新書判 [bk1][Amzn]

【単行本】「蟲師」7巻 漆原友紀 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 堅調。蟲たちの巻き起こす不思議を、抑えめなトーンで一つ一つ丁寧に描き上げていくお話は、時に悲しく美しい。自然を全面肯定するでもなく、それと対抗するのでもなく、蟲たちは自然現象として淡々と描き、それと関わった人間たちのドラマを記していくお話作りは安定感抜群。コンスタントに面白い。現在放映中のアニメ版[Amzn]もすごくいい。原作のイメージを大事にしつつ、さまざまな現象を美しい動きと色で映像化してて、お話の魅力をよりいっそう引き出している感さえある。原作を読んでいる人もぜひ一度見てみてほしい。

【単行本】「神社のススメ」3巻 田中ユキ 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 晴れて両想いになった神主の里見と、巫女の真鍋さんだけど、いざつき合い始めてみるとなかなか思ったようには行かずスレ違いも。里見に長らく片想いしていた巫女の了子ちゃんが、あんまりふさぎ込まずに済んで安心した。あと新入り巫女さんのさおりちゃんも、けっこう元気良さげな娘さんで気になるところ。あんまり巫女萌え〜って感じのする漫画ではないんだけど、神社ライフを楽しげに描きつつ、ラブコメのほうもしっかり進行してて手堅く楽しめる。

【単行本】「夜は千の眼を持つ」 上野顕太郎 エンターブレイン B6変型 [bk1][Amzn]

 コツコツ続いてきたこだわり派ギャグ漫画連載。単行本になって良かった。毎度のことながら、あふれ出てくる下らない発想の数々、そして思いついたら労苦とコストパフォーマンスを厭わずやっちゃうギャグ漫画家根性に感心させられる。さすがに「5万人」ほどのインパクトのあるネタはないものの、常にいろいろギャグにこだわり続けていく姿勢はさすが。爆笑というよりは、ニヤニヤさせられるタイプの作品。

【単行本】「ケロロ軍曹」12巻 吉崎観音 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 いつもながら抜かりなくうまい。まあ最初のころよりお話が淡白になってて爆発力は落ちてきてるとは思うんだけど、基本的に「ドラえもん」型の作品なので、まったり高値安定で続けていけば良いのでしょう。

【単行本】「最強伝説黒沢」8巻 福本伸行 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 いやー黒沢さんは面白いなあ。町中で襲撃してくる若者に対して、さまざまな防御策を講じ、変装までしちゃったりするあたりはかなり笑える。あとモテなさの権化みたいな振る舞いもたいへんにグレート。だぶだぶのお腹が涙を誘う。しかし腹をくくったときの黒沢さんは凄い。頭の中で段取りを作り、さまざまな仕掛けを用意して戦いに挑む。その芸の細かさ、策士ぶりに唸るやら笑っちゃうやら。これはカリスマだ。そう思う反面、この人についていったらヤベエよなあ……とも感じさせずにはおかない、見事なまでの男っぷりに感動。

【単行本】「アニメがお仕事!」4巻 石田敦子 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 しっかり面白い。ニ太がアニメの現場に復帰してようやく再び走り出すも、イチ乃の所属するめもちプロは経営危機に陥る。これまで周囲の流れに乗っていればなんとかなったイチ乃のアニメーター人生に、また一つの転機が訪れる。絵を描くこと、生活すること、そしてアニメーターとしての身の振り方などなど、さまざまなことに悩みつつ生きていくイチ乃たちの姿をしっかり描写。アニメの具体的なテクニック、ディティールとかはさほど描かれないが、若きアニメーターの青春ストーリーとして、読みごたえのある作品になっていると思う。ドキッとするような見せ場シーンもけっこうあるし、とてもいい具合に来ていると思う。

【単行本】「モモ色クリニック」3巻 ジェームスほたて 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 最終巻。性に関するお悩みを解決するクリニックで展開される、エッチありドタバタあり恋愛ありのほのぼのコメディ。ジェームスほたての作画は、パァッと明るいけど、汁気・ボリューム感もたっぷりあってちゃんとエッチ。飛び抜けたところのある作品ってわけではないけど、気楽に読めるし、目に楽しい作品ではあります。ラストも暖かく締めくくってくれて読後感は爽やか。

【単行本】「虹色探偵 小春チェンジ」 北河トウタ 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 北河トウタの品が良くてキュートだけど、甘くてエッチさも十分ある作風はこの単行本でも健在。表題作全4話は、ドジなめがねっ娘・小春が1億円の借金のカタに、変人な探偵さんによってコスプレ探偵をやらされちゃう……というドタバタHコメディ。小春ちゃんが初々しくてかわいいし、エッチになるとけっこうノリノリになっちゃう様子も良い。あとそのほか「リモ魂」「グリーンカーテン」「私小説」の読切3本も収録。「リモ魂」では北河トウタにしては珍しくツンデレ娘さんを描いており、これがまたツインテールで吊り目とまあベタではあるけど、きちんと萌えるツンデレさんに描けてて良かった。あと「グリーンカーテン」は、保健室のカーテン越しのエッチというアイデアがなかなかエロチック。「私小説」は図書室でのめがねっ娘エッチ。北河トウタはめがねっ娘を描くことがけっこう多いけど、どの娘さんもいい感じだなあ。


3/4(土)……かったりぃべ

【雑誌】コミックフラッパー 4月号 メディアファクトリー B5平 [定期購読:7andyicon/Fujisan

 竹本泉「さくらの境」。なんかもう、ささちゃんふたちゃんカップルのいちゃいちゃぶりがどんどん進行中。家だとのべつまくなしちゅーしまくってるし。周囲的にも完全に公認になっちゃってる様子が楽しい。作:阿智太郎+画:まだらさい「陰からマモル!」。お気楽にドタバタしてて、絵もかわいくてけっこう面白い。アニメ版のほうも平和で楽しい。なお漫画版は、コミックフラッパーでの連載は今回でおしまい。続きは「メディアファクトリーより今年新創刊のコミック誌で連載再開予定」とのこと。新雑誌の詳細は出てないけど、メディアミックス系のことでもやるんですかね。

 柳沼行「ふたつのスピカ」。アスミの子供のころのともだち、かさねちゃん再登場のエピソードの続き。アスミの優しい気持ちがジンと来る泣かせるお話。いい娘さんだなあ。あと泣かせるといえば、岡本一広「トランスルーセント 彼女は半透明」も。完全に透明になってしまった白山さんの元を、唯見くんが訪れる。彼の不器用だけれども心のこもった振る舞いに心打たれる。なんて気持ちのいい連中じゃろう。いやホントに。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 3/20 No.6 小学館 B5中

 増刊での連載の石塚真一「岳」がまたも登場。今回は山で息子を失った有名小説家のおじいさんが、町、そして山で三歩と出会うというエピソード。山の厳しさと、人間の想いの深さをしっかり描いてて、今回も面白かった。

【雑誌】花とゆめ 3/20 No.7 白泉社 B5平

 松月滉「幸福喫茶3丁目」。今回も潤が元気でかわいくていいです。まあメイン読者層的萌えポインツは、イケメンの進藤が顔を赤らめたり笑ったりするところなのかもしれませんが。あと山田南平「夢の中の紅茶王子」は「紅茶王子」のアナザーストーリー的な読切。主人公はルフナという紅茶王子と、そのパートナーである女の子だけど、ちゃんとアッサムとかも出てまいります。まあむしろ彼らが幸せなのを確認してほのぼのするのがメインなお話といってもいいかも。

 読切、細川佳代「タイヤキな恋」。花とゆめは初登場だが、絵柄はけっこうかわいらしくてまとまった出来。まだ恋をしたことがない女の子が、ふとしたきっかけで幼なじみ男子によってその感情を初めて意識させられる……という内容。ちんまりした恋心が、トキメキたっぷりに描かれててなかなかフレッシュな読後感。もう一つ読切、本田ほのみ「スパイスハニー」も甘ったるくてわりと楽しい。家事をきちんとこなし、そのしっかり者ぶりから学校でも「ママ」と呼ばれてる女の子と、その幼なじみのかわいい少年の恋愛話。花とゆめ掲載作にしてはお目目ぱっちりキラキラ度が高くて、誌面の中でも目立っていたと思う。

【雑誌】桃姫 4月号 富士美出版 B5平

 上乃龍也が桃姫初登場。「初デート×映画館」。主人公が、なんだか授業中にやけに色っぽい表情をしている女子に惹かれて告ってみたところ、彼女との初デートで思いもよらぬエッチなことを仕掛けられてしまう……ってなお話。この人のつやつやした質感の汁っけの多い絵柄はエロっちくて実用度が高いし、桃姫の誌面にも合ってると思う。定着してくれるといいな。天誅丸「団地妻 美晴(後編)」は、美人奥さまが義父に迫られてついふらふらと……という内容。ベタなネタだが巨乳も人妻も好きなので個人的にはわりと良かった。

 田中エキス「裕兄ちゃんのおなにぃ」は完全にショタだなあ。小学生かな、三兄弟の一番上が弟に手コキをねだり、そこから3人でのしごきっこが始まる……という内容。少年3人はそれぞれかわいいし、エロシーンもねちっこくていやらしい。男同士ではあるけど、今号ではこれが一番エロかったかも。あと景えんじ「コイビト未満」は先月号の続き。悪友だった男女が一線を越えてコイビト同士になり、それを宣言した後での初エッチ。この人のサバサバしているけど独特の甘味のある絵柄はけっこう好き。何より表情が豊かでかわいらしいのに惹かれる。恥じらって目線を泳がせてるところとかがいいのです。

【単行本】「カタリベ」 石川雅之 リイド社 B6 [bk1][Amzn]

 ついに単行本化。現在は「もやしもん」が好評の石川雅之だが、この作品はヤンマガ赤/青BUTAで1998〜1999年あたりに連載された作品。明王朝に滅ぼされた豪族の末裔である御曹司の少年が、その残党の村が倭寇に襲われ、一族が惨殺されたのをきっかけに数奇な旅をしていくことになる……という海洋冒険活劇。このころから石川雅之の作風は完成されていて、細部まできっちり描き込まれた作画は達者。またハードでシビアな物語もずっしりした読みごたえがある。密度の濃い作品なので、B6の判型だとごちゃっと詰まった感もあっていくぶん読みにくく感じられる部分もあるけれども、作者の力の入れようは存分に伝わってくる作品。この1冊でいちおう一区切りついてはいるけれども、残念ながら御曹司の少年の運命を最後まで語りきることは出来なかった。そこは惜しい。

【単行本】「オレンジでりばりぃ」4巻 作:ボヘミアンK+画:宗我部としのり ジャイブ B6 [bk1][Amzn]

 笑いありお色気ありのドタバタ高校カーリング漫画。これが最終巻。「あまえないでよっ!!」の宗我部としのりの描くヒロインはピチピチしてて、パンチラシーンもふんだん。賑やかな部活模様は見てて楽しかった。ただしカーリング自体の描写は、もう一つ分かりにくかったか。とくに最終巻に入ってからは展開が急ぎ気味になったこともあり、今氷上で何が行われているのか、一つ一つのプレーがどういう意味を持っているのか、主人公たちのやってることのどこがどうスゴイのかといったことがいまいち伝わりにくかった。ちょうどトリノオリンピックで女子カーリングが盛り上がったか、連載はその前に終了。うまいこと時期をつかめば化けていたかもしれない。こうして終盤のほうが詰まっちゃったのを見ると、前半の展開がゆっくりすぎたのもちともったいなく感じる。

【単行本】「グリムのような物語 トゥルーデおばさん」 諸星大二郎 朝日ソノラマ A5 [bk1][Amzn]

 タイトルどおりグリムを元ネタにしつつ、諸星大二郎ならではのアレンジをきかせた物語を展開。この中では「トゥルーデおばさん」が個人的には好き。変わった人であるという評判のトゥルーデおばさんの家に行った少女が、そこで全身が青・黒・赤の色をした3人の男たちに出会い、彼らに止められたり、行く手をじゃまされたりしながらもトゥルーデおばさんの元を目指していくという話。この男たちの存在の不可解さ、お話全体を覆う薄気味悪さが秀逸。また「Gの日記」もこれまた不条理な展開。元ネタはなんだろう……と思ったが、あのお話をこういうふうに料理するとは。そのほかの作品も元ネタのひねり方が独特で面白く読める。一風変わってるけどそれを飄々とやってるところがカッコイイです。

【収録作品】「Gの日記」「トゥルーデおばさん」「夏の庭と冬の庭」「赤ずきん」「鉄のハインリヒ または蛙の王様」「いばら姫」「ブレーメンの楽隊」「ラプンツェル」

【単行本】「ちょこッとSister」5巻 作:雑破業+画:竹内桜 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 かわいくていいなあ。なんかお話としては川越はるま、ちょこの二人を中心としてほのぼのした日常が展開されていくだけではあるんだけど、作画がきれいで画面が気持ち良い。大ゴマをスパーンと使って印象的なカットを何個も作ってるのがいい。この巻の目玉は、ちょこがお気に入りの子供番組に出てくる「ねこにゃんダンス」をみんなで踊るシーン。傍目に見るとなんかすごく他愛もないのだけど、ちょこの子供っぽさや、彼女につき合ってあげる周囲の人たちの優しさとかがいい具合に出てて、たいへん微笑ましい気分になれる。あと華山田ゆりか嬢、管理人さんの二大片想い女子も良い。この二人には頑張っていただきたいものです。


3/3(金)……アイス遺族間

▼遅くなりましたがようやく3月の単行本購入予定を作成。データはbk1まんが王倶楽部の新刊予定を参考に作成。リンク先はAmazonのワード検索。リンク先URLはスクリプトによる自動生成なので、まだAmazonのデータベースに登録されておらず、該当物件が表示されないリンクもありますのでご了承ください。

▼2006年3月単行本購入予定
3/上 「ボンデージフェアリーズ 残忍姉妹」 昆童虫 久保書店
3/1 「カタリベ」 石川雅之 リイド社
3/3 「太臓もて王サーガ」2巻 大亜門 集英社
3/3 「チョコレート」 しおやてるこ 芳文社
3/3 「仮想体温を抱きしめて」 星逢ひろ モエールパブリシング
3/3 「スティール・ボール・ラン」7巻 荒木飛呂彦 集英社
3/4 「お兄ちゃんと一緒」5巻 時計野はり 白泉社
3/6 「RIN」1巻 新井英樹 講談社
3/6 「オレンジでりばりぃ」4巻 宗我部としのり ジャイブ
3/8 「無敵看板娘」16巻 佐渡川準 秋田書店
3/9 「黒田三十六計」6巻 平田弘史 リイド社
3/9 「喰いしん坊!」6巻 土山しげる 日本文芸社
3/10 「竜屠玩偶」2巻 吉川博尉 マッグガーデン
3/10 「パノラマアワー 〜吉川博尉短編集〜」 吉川博尉 マッグガーデン
3/11 「セクハラマン」2巻 ながしま超助 双葉社
3/11 「さんさん録」1巻 こうの史代 双葉社
3/14 「坩堝」 高岡基文 ヒット出版社
3/15 「ふぇっちっしゅ(><)」 岸里さとし 茜新社
3/17 「ファッションリーダー今井正太郎」1巻 西山佑太 講談社
3/17 「おれはキャプテン」10巻 コージィ城倉 講談社
3/17 「落語天女おゆい」1巻 いけだたかし 小学館
3/17 「あいこら」3巻 井上和郎 小学館
3/17 「幸福喫茶3丁目」3巻 松月滉 白泉社
3/17 「淫乱性双生児」 山本よし文 エンジェル出版
3/20 「ロダン」1巻 佐藤マコト 秋田書店
3/20 「おねえちゃんといっしょ」 池上竜矢 コアマガジン
3/23 「陰からマモル!」1巻 作:阿智太郎+画:まだらさい メディアファクトリー
3/23 「ふたつのスピカ」10巻 柳沼行 メディアファクトリー
3/23 「ガガガガ」2巻 山下ゆたか 講談社
3/23 「ラブやん」6巻 田丸浩史 講談社
3/23 「EDEN」14巻 遠藤浩輝 講談社
3/23 「おおきく振りかぶって」6巻 ひぐちアサ 講談社
3/23 「喰いタン」5巻 寺沢大介 講談社
3/23 「ロボとうさ吉」2巻 加藤和恵 講談社
3/23 「乱飛乱外」1巻 田中ほさな 講談社
3/23 「イカロスの山」1巻 塀内夏子 講談社
3/23 「東京トイボックス」1巻 うめ 講談社
3/23 「アガペ 犯罪交渉人 一乗はるか」4巻 作:鹿島潤+画:石黒正数 メディアファクトリー
3/24 「特務咆哮艦ユミハリ」2巻 富沢ひとし 幻冬舎コミックス
3/24 「向こう町ガール八景」 衿沢世衣子 青林工藝舎
3/25 「うれっこどうぶつ(仮)」 濱元隆輔 エンターブレイン
3/25 「探偵儀式」3巻 作:清涼院流水+原案・脚本:大塚英志+画:箸井地図 角川書店
3/25 「新世紀エヴァンゲリオン」10巻 貞本義行 角川書店
3/25 「新世紀エヴァンゲリオン 碇シンジ育成計画」1巻 高橋脩 角川書店
3/25 「カミヤドリ」5巻 三部けい 角川書店
3/25 「みるく・ぱい」 BENNY’S 司書房
3/25 「ちぇりー・ぱい」 井ノ本リカ子 司書房
3/27 「恋する花々」2巻 佐野タカシ 少年画報社
3/27 「ブロッケンブラッド」 塩野干支郎次 少年画報社
3/28 「おとなチャレンジ」2巻 米餅昭彦 双葉社
3/28 「初少女DX」 おがわ甘藍 松文館
3/29 「艶恋師」2巻 作:倉科遼+画:みね武 実業之日本社
3/29 「ベルセルク」30巻 三浦健太郎 白泉社
3/29 「ホーリーランド」12巻 森恒ニ 白泉社
3/30 「鉄子の旅」5巻 菊池直恵 小学館
3/30 「ボーイズ・オン・ザ・ラン」2巻 花沢健吾 小学館
3/30 「医龍」11巻 乃木坂太郎 小学館
3/30 「黄金のラフ 草太のスタンス」17巻 なかいま強 小学館
3/30 「PLUTO」3巻 浦沢直樹 小学館
3/30 「カムイ伝全集 第一部」13〜14巻 白土三平 小学館
3/30 「殴るぞ!」9巻 吉田戦車 小学館
3/30 「戦車映画」 吉田戦車 小学館
3/31 「ダンドリくんブラック」 泉昌之 ぶんか社
3/31 「天竺浪人作品集(仮)」 天竺浪人 三和出版

【雑誌】ヤングアニマル増刊 嵐 4/1 No.4 白泉社 B5中

 TAGRO新連載「ひまわり伝っ!」がスタート。4月からテレビアニメが放映予定の「ひまわりっ!」の漫画版。キャラ原案はokamaが担当。で、お話のほうは赴任先が忍者養成学校だとは知らずに就任してしまった先生が、忍者少女のひまわりになつかれて追っかけ回されるというお話。ひまわりは天真爛漫で元気が良く、先生も一般人のわりには意外とスペックが高い。賑やかなドタバタコメディになりそうで、アニメ・漫画ともに期待。甘詰留太「年上ノ彼女」。写真モデルをやることになったアゲハは、努が見に来なかったのがちょっと不満。カメラマンのおっさんにフラッと来るかなという感じだったけど、まあ心配はなさそうで。やっぱりラブラブで良いです。

【雑誌】ヤングガンガン 3/17 No.6 スクウェア・エニックス B5中

 小林立の女子高生麻雀漫画「咲−SAKI−」は集中連載全3回が終了。スッキリとしたかわいい絵柄でわりと好感の持てる作品だった。3回だとキャラ設定を消化しきれないかなという気がしていたのだが、ちょっと間を置いてから本格連載に昇格することが決定した模様。作:原田宗典+画:井田ヒロト「戦線スパイクヒルズ」は、ノムラノブオがチサトばあさんの指導でスリ修行をすることに。やってること自体は犯罪だけど、熱血してきてて面白い。

【雑誌】週刊漫画ゴラク 3/17 No.10 日本文芸社 B5中

 玄太郎「男!日本海 〜謎街道をゆく〜」がヘンなテンションでちょっとクラッと来た。スケベ3人組がエッチありのメイドカフェに行くという話なのだが、出てくるのが「なぞなぞ美人」を自称するモエリンという女の子。彼女を目にした瞬間、3人組が「萌えるずら〜♥」「拙者もモエリンと一緒に萌えーーっ!!」とか叫んでいるシーンなど、得も言われぬ生暖かさがたまりません。モエリンのセリフ回しは小倉優子調で「モエリンも萌えちゃうヌレリンコ」「ヌレヌレヤリーンコ!」など、かなりぶっ飛んでいる。次々と繰り出される間違った萌えの数々に、拙者も大興奮でござったよ。

萌えーーーっ!

【雑誌】コミックバンチ 3/17 No.14 新潮社 B5中

 春日光広「サムライ刑事」は相変わらずのノリ。このヌルいラブコメ風味&ちょっとしたエッチっぽさで見せるノリは、単行本買ったりするほどではないけどきらいじゃない。そういえばこの作品っていつの間にかもう145回もやってるのか……。

【雑誌】ピザッツ 3/15 No.6 双葉社 B5中

 梅本ケンヂ「ひとみのカルテ」が巻頭カラー。この人の絵は今風って感じでは全然ないけど、妙にエロっちいところがあるなあ。ヒロインの女の子がいやよいやよもって具合で激しく感じちゃう様子がなかなか。

【雑誌】メンズヤング 4月号 双葉社 B5中

 法田恵の新連載「いつでもどこでも歩いてく」がスタート。「イナカナかれっじ」に続く大学モノだが、今回もまた主人公は辺鄙なところに行くことになりそう。ひょんなことから知り合った美人のお姉さんにほだされて、大学の中でも離れた場所にあるキャンパスに通うことになってしまった主人公。相変わらず法田恵作品のキャラは性に対してたいへんオープン。なし崩し的にエッチしちゃうノリのゆるさがなんだか心地いい。ぷにぷにしたキャラの造形も好きだし。かるま龍狼「御試食つまみング」。メンズヤングは初登場らしい。ちょっと意外。お話のほうは八百屋の店頭で、奥さまが八百屋さんの新鮮な肉野菜を御試食しちゃうというお話。4Pカラーで短いけど、開けっぴろげでくだらないノリは好き。相変わらずエロもギャグもうまい。

【雑誌】ビタマン 4月号 竹書房 B5中

 ぐれいす「さおだけ屋はなぜ…?」。なんかもうタイトルだけで内容が分かってしまうような作品。竿だけ屋さんが繁昌している秘密を探るという10ページショートギャグ。本当に下らないけどこういうネタは好きだなあ。

【単行本】「チョコレート」 しおやてるこ 竹書房 A5 [bk1][Amzn]

 まんがタイムきららで「Pocket」(→レビュー@にゅーあきば)を描いていたしおやてるこの最新作。「Pocket」は小学男女の日常や恋愛模様をほのぼのかわいらしく描いた作品だったが、「チョコレート」で描かれるのは田舎の村の中学生。主人公であるユキヒロが通う中学校の4人しか生徒がいないクラスに、ある日東京からカワイイ転校生がやってきて、ユキヒロはドッキドキ、といった感じ。こちらも登場キャラの行動が初々しくて、心がほこほこ暖まる作風。恋愛方面についてはちゃんと描かれているものの、あまりベタベタすることなくほんのり甘いといった感じ。その品の良さと暖かい描写が好ましいです。それにしても「Pocket」の2巻出してくれないかなあ……。

【単行本】「QUOJUZ」1巻 柏木ハルコ 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 イケメンな主人公ミキオが、金銭的な都合もあって長く離れていた父の家に居候することになったが、そこにいたのは男運のない腹違いの実姉3人組。東京で彼女を作って青春を謳歌したいという気持ちとは裏腹に、姉たちのお色気アタック、それからバイト先で親しくなってカノジョとなった千葉さんと姉たちの間で争いが置き、ミキオは振り回されるばかり……といったドタバタコメディ。柏木ハルコは前作の「鬼虫」がかなりハードでガチンコな作品だったが、今回は笑いありお色気ありの、かなり軽いノリで攻めて来ている。まあ元々こういう性欲ムラムラ状態にある男女をネタにしたお話はうまい人なんで、この作品も気軽に楽しく読める。姉やその他の人々の行動がしょうもなくて笑えるし、カラッとしたノリでいいんじゃないでしょうか。

【単行本】「愛・水族館−柏木ハルコ作品集」 柏木ハルコ 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 柏木ハルコもう1冊。こちらはあちこちで描いた短編を集めた単行本。収録作品は「教師失格」「エンドレス山田」「すずめ」「梅沢かりん(32)の場合」「海女唄」「ふたりは空気の底に」「ぷにぷに」「小悪魔ボーイ」「ロケット・フラワー」。

 こちらもドタバタコメディ系の作品が多いが、個人的には「エンドレス山田」が好き。とにかく感じやすい身体を持つ不倫相手のおっさんに、ぞっこん惚れ込んじゃっている女性の話。おっさんは顔は三枚目でけしてかっこよくないんだけど、感じやすい彼をいじりまくって興奮する主人公の様子が面白い。あと「ぷにぷに」も柏木ハルコらしい作品。クラスでは人気No.1なかわいい女の子が、幼なじみの女友達のぷにぷにした身体を触りたいという欲求を抑えきれずに悶々とするというお話。どの作品も、欲情の汗がむんむん来るけど、けしていやらしくなりすぎない感覚が柏木ハルコらしくてユニーク。


3/2(木)……オッズの魔法使い

▼そういえば2月27日の日記のヤングキングの項で、琴義弓介の新連載について触れるのを忘れてたので追加しときました。

▼アニメ新番組「しにがみのバラッド。」感想。印象自体は悪くないが、ちょっと惜しい感じのする第1話だった。良かった点は丁寧な作画と演出。監督は、最近では「絶対少年[Amzn]を手がけた望月智充。「絶対少年」に近い、ちょっとくすんだ色使いの画面は品が良く、風景の描写もなかなか美しかった。演出も細やかさが感じられる。物足りなく感じたのはストーリー面。基本的には心やさしい泣き虫の死神少女のモモが、人間の死、そして生を見つめていくというもの。初回はまず、身体の弱い少女と、彼女のことを大事に思って何くれとなく守ろうとしている幼なじみ少年のエピソード。二人は仔猫を拾って一緒に育て始めるが、その後の二人を待っていたのは突然のお別れだった……。少女、そして仔猫を通じて、「死」というものを少年に突きつけるストーリーはなかなかセンチメンタル。

 というわけで全体の印象は良いのだが、これをいっちゃうと身もふたもないんだけど、今回のお話では「モモが出てこなかったほうがいい話になったんじゃ……」と思えてしまった。少女の死が突然すぎて現実感が希薄に感じられるのはその突然さが無常感を誘うポイントであるから良いとして、モモという超現実な存在が少年の前に姿を現わしたことで、少女の死がさらに軽く感じられるようになってしまった感がある。むしろモモを介在させず、少年が自力、あるいは友達などの支えにより再び前を向くとかのほうが、お話としては感動的だったんじゃないだろうか。あと少女の死後、少年は一つの選択をするのだけど、これについても選択後にモモがどうしたかより、少年がどうなったかを描いたほうがもっと手ごたえのあるエピソードになったと思う。せっかくやさしい死神少女というキャラを作っているのだから、「主人公がいないほうが良かった」と思えてしまうようではマズい。彼女がいることでよりお話が面白くなったと思わせるだけの仕掛けがもう一つ欲しかった。

 と、いろいろ書いてしまったけど一話完結タイプのお話なので、エピソードの作り込みによってはモモの存在がもっと生きてくるだろうし、作画などの丁寧な作り自体は悪くない印象。当たりエピソードを何個作れるかが勝負か。とりあえず視聴は継続します。

【雑誌】モーニング 3/16 No.14 講談社 B5中

 塀内夏子「イカロスの山」。三上の妻・靖子がヤバい。平岡に対してグラグラしっぱなしで、不倫関係になってもおかしくない。平岡にはその気はなさけだけど……。うーん、山岳漫画でありながら本当にメロドラマしてるなあ。10週連続掲載の小山宙哉「ハルジャンプ」はひとまず最終回。スキーのジャンプ競技を扱った青春ストーリー。まだアラはあるけど、お話を作ろうとする意欲は買える。もっと作画面で、画面の外に向かって爆発するような迫力が出てくると良さそう。

 うめ「東京トイボックス」。この人は「ちゃぶだいケンタ」のときもそうだったけど、連載中に絵がうまくなるなあ。大須賀たかお「野宿キング」は、「バガボンド」休載の代原。週末はキャンプに出かけ、一人でいることの贅沢さを満喫するサラリーマンのお話。安手の材料でうまいもん作っておいしくいただいている様子が楽しげ。

【雑誌】ヤングサンデー 3/16 No.14 小学館 B5中

 石渡治の新連載「Odds −オッズ−」は競輪漫画。かつてはツール・ド・フランスを目指していたが、家族の事故死、そして生活のために競輪選手になった男が主人公。石渡治は自転車好きだそうで、競輪シーンはなかなか気合いが入っててアツい。前作の「白兵武者」が微妙な作品だったんで、今回はしっかり盛り上げてほしい。西森博之「事務員A子」はゲスト読切。万引き少年と同僚のやり取りにイラついてブチ切れてしまう事務員のおねえさんの話。本来は連載向きの話のようではあるけど、今回は本編が6Pと短いのでちと食い足りないか。「おしゃれ手帖」の長尾謙一郎による読切「ご存じ!森の石松」は、最初は森の石松がちゃんと登場するけど実は……ってな20ページ。下らないけどキャラは相変わらずヘンでやっぱ味がある。

【雑誌】ヤングジャンプ 3/16 No.14 集英社 B5中

 「ちさ×ポン」の中野純子の読切「通りの角を曲がるまで」が掲載。つき合ってから1年、関係にも慣れてちょっと倦怠感が漂いつつあるかな、という大学生カップルのお話。どうもおざなりな彼氏に対して不満な彼女だが、ちょっとしたことで彼の愛情を確認して幸せ気分になる……というお話。彼女の気持ちがかわいらしく描けてて、きっちりまとまった楽しい作品。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 3/16 No.14 秋田書店 B5平

 マツリセイシロウの姉萌え漫画「あねこみみ」が再登場。ねこみみが生えてくる病気になってしまった姉と、その弟の生活を描いた8Pショートギャグ。ちょっとした衝突はあるものの、実はお互いシスコン、ブラコンっぽいところがあって、仲良しさん。他愛なくほのぼのしてて悪くない。作:カミムラ晋作+画:藤見泰高「真夏の昆虫格闘記 サイカチ」は、真夏と甲虫女王・アマミが再戦。なかなか盛り上がっている。アマミはツンデレ族な匂いがぷんぷんしてるので、ここで真夏が勝って、その後優しいとこでも見せちゃったりしたらもう、ってな予感。存在感のあるキャラだし蟲使いでもあるので、今後もお話にはからんできそう。読切の梅田阿比「幽刻幻談」は、現世に未練を残したまま死んだ中学生たちが一つのクラスに集まり、そこでドラマが展開される。絵がちょっとごちゃごちゃしてたりまだ至らない部分はいくつかあるものの、柔らかい絵柄は好ましく、結末も暖かくきれいにまとめている。

【雑誌】コミックメガストアH 4月号 コアマガジン B5平 [定期購読:7andyicon/Fujisan

 まずは巻頭カラーの石恵「お風呂でいろいろ」。兄妹エッチ漫画だが、塗りが美しく、むちむち感たっぷりでしっかりエッチ。肉付きの良いぷにぷにした体つきの娘さんが好きという人にはかなり良い感じだと思う。フクダーダ「あおいクロッキー」は、ちょっと垢抜けない感じの絵柄に味があっていい。お話のほうは美術部員の少年少女が、放課後の部室でエッチ……という内容。きわどいポーズで男子を誘惑する女の子がエッチでかわいい。

 如月群真「リハビリ病棟24時」はナースもの。ほかの患者さんにエッチしているところを見られて恥ずかしがりつつも、おしゃぶりを続行してしまうナースさんがエッチ。みつやはメガストアH初登場。「クレーマーお姉さん」。ピザ屋のあんちゃんと、常連のお姉さんのエッチ漫画。つるつるした感じの肌の描き方に惹かれるものが。高津「1、2……の後で命令を」は、催眠術にかかってしまい、意識とは反して身体が弟のいいなり状態になってしまったお姉ちゃんの話。普段はツンツンしたお姉さんが、心ならずもやられちゃって感じまくってしまう様子が楽しい。絵柄のほうもかわいげがあっていいです。


3/1(水)……ムーン大奥

【雑誌】週刊少年サンデー 3/15 No.13 小学館 B5平

 新連載、田村光久「妖逆門(ばけぎゃもん)」は冒険家の父を持ち、自身も冒険に憧れてやまない少年が、妖怪っぽい男フエに導かれて別の日本に行き、そこで妖怪たちの繰り広げるゲームに参加することになる。藤田和日郎が原案協力しており、作風にもその影響がちらほら。カードゲームっぽい設定は個人的にはさほど好きではないものの、描写がけっこうダイナミックで、絵も適度にシンプルで見やすい。なおこの作品は4月3日からアニメ版も放映予定。サンデーでこういう同時進行的なメディアミックス作品はちょっと珍しいかも。

【雑誌】週刊少年マガジン 3/15 No.13 講談社 B5平

 赤松健「魔法先生ネギま!」。ネギ先生が好きということがほのかにバレて、うろたえまくるゆえのお話。ドタバタ展開は甘ずっぱくてよろしいけど、ちょっとゆえの行動がエキセントリックすぎる気も。いくらパニック状態とはいえそりゃ思いきりすぎでしょう。亜桜まる「090〜えこといっしょ〜」。温泉卓球勝負に負けたら好きな人が誰かいわなきゃいけなくなっちゃって、会長さんが必死で頑張る。なぜ彼女がヒロシを好きになったかというエピソードが語られ、心がほこほこあったまった。会長さんに幸あれかし。小林尽「スクールランブル」は、なぜか今ごろバレンタインデーネタをやってますなあ。あと魚住青時「ぼくらの戦国白球伝」は、今回もお市がかわいい。頭はあんまり良くないけど。黒タイツが狙った感じでござる。

【雑誌】近代麻雀 4/1 竹書房 B5中

 カサハラテツローが読切で登場。相変わらず近代麻雀系雑誌の読み切りは意外な作家さんが出てくるなあ。タイトルは「デリポン!まおちゃん」で、デリヘルと勘違いしてバイトを始めた女の子が、ヤクザのところに行って麻雀することになるも、その天然なノリとバカヅキでなんだか勝ちまくっちゃうというドタバタコメディ。まおちゃんは勘違いして自分で脱衣して終始下着姿。頭は悪そうだけど健康的でかわいくて楽しく読めた。あと巻頭の4コマでは「でろでろ」の押切蓮介も登場している。青山広美「東風のカバ」は次号で最終回ということでガンガン盛り上げてて面白い。ネット麻雀で実際にここまでドラマチックな展開があるとは思わないけど、ネット麻雀ならではの奇跡というウソに、それなりのリアリティを持たせている演出力はさすが。

【雑誌】ビジネスジャンプ 3/15 No.7 集英社 B5中

 本宮ひろ志の新連載「昼まで寝太郎」が開始。普段はグウタラだけど剣の達人で頭も切れる、実はとある大名の双子の兄弟でもある浪人者の寝太郎が、バッサバッサと事件を解決していく痛快娯楽活劇といった感じ。いかにも本宮ひろ志って感じだけど、この手慣れた呼吸が時代劇には合ってて、けっこういいかもと思った。山花典之「オレンジ屋根の小さな家」。仕切り直し後はわりと好調かな。正太郎とナッチが周りのお膳立てもあってチューもしちゃって大接近といった感じ。甘くてラブラブでいいんじゃないでしょうか。

【雑誌】フラワーズ 4月号 小学館 B5平

 さいとうちほ「ブロンズの天使」が巻頭カラー。今回も面白かった。駆け落ちしたプーシキン夫人・ナターリアとフランス貴族のダンテスだが、その夜、いざベッドに入る段になってナターリアが葛藤。そしてダンテスも彼女の言葉にショックを受ける。このあたりの展開はなんだかもうエロチックで、グッときました。その後の展開もこれまたドラマチック。作風に艶があるし絶好調ですな。

 岩本ナオは新連載「Yesterday, Yes a day」を開始。東京から久しぶりに実家に戻ってきた地元の学校に通うことになった少年・多喜ニと、その幼なじみの少女・小麦の青春ストーリー。小麦は母親が病気、父も夜勤で家を空けることが多く、頼れる人が身近にいない状態。そこに多喜ニが戻ってきて、状況がどう動くのか……といったことを描いて区。岩本ナオのちょっと固めな線によるスッキリした画風は相変わらず魅力的だし、恋愛的なトキメキもありそうかな。最近のフラワーズの新鋭ではかなり楽しみにしている人なので、いいお話に仕上げていってほしい。

 江平洋巳「天の鳥 花の夢」もなかなか。鳥の神であるシンの持つ、人に長寿を与える花を身体に宿してしまった少女・まゆ子。しかしその影響で、初潮も迎えることなく汚れを知らないままの身体でいたまゆ子は、他人に心を許すことができず、取り分け性的なことに拒否反応を示して思い悩む。江平洋巳のふわりとした絵柄は上品で達者。また柔らかいだけでなく、そこにビターな要素も盛り込んでお話を美しく作って来ているあたりも好感が持てる。この人もなかなかいい感じで来てると思う。

【雑誌】コーラス 4月号 集英社 B5平

 佐野未央子「君のいない楽園」はこのところ急展開中。十萌が受験に集中している中、一椰が雪山で遭難。これは良い方向、悪い方向、どちらに振ってもお話としては面白くなりそう。ここまでじっくり十萌の子供時代から描かれてきた作品だけに、先の展開は気になるところ。羽海野チカ「ハチミツとクローバー」。こっちも急展開が続いてて、はぐちゃんが痛ましい。ちょっとこの展開は急すぎるかなという気もするけど、物語的なフックは強くて引き込まれる。森田がこの事態にどう対処するのかが一番気になるところ。

【雑誌】メロディ 4月号 白泉社 B5平

 よしながふみ「大奥」。今回は男女逆転大奥がどのようにできたか、その成り立ちにさらに深く突っ込んでいく内容。お話としてはセリフで進行するところが多いけど、権力を維持するための策謀渦巻く物語は読ませる。こうやってみると大奥ってのは、なかなかに面白い装置なんだなと思う。佐原ミズ「ナナイロセカイ」は毎回面白い。透明感のある作画とストーリー作りで、コンスタントにクオリティが高い。あと魔夜峰央「パタリロ源氏物語!」もさすが。光源氏をめぐる陰謀に、阿倍仲麻呂とかが絡んで来て、謎が深まっていく様子はミステリアスで面白かった。

【雑誌】ポプリクラブ 4月号 晋遊舎 B5中

 あかざわRED「きゅーけつさぶじぇくと」は3話め。かわいいキャラでドタバタ劇を展開してて面白い。かわいい少年・衛をめぐって、吸血鬼少女や妹、巫女キャラらがすったもんだ。絵柄がかわいいし、明るいお話も見てて楽しい。ライバルであるはずの女の子たちが、ドツキ合いつつ案外仲良さげだったりするのもいい雰囲気。

 天櫻みとの「さいごで、さいしょ」。部活のマネージャーをやってた先輩女子と、後輩男子のラブラブエッチ模様。ぷにぷに豊満な身体の描き方が魅力的で、お話もラブラブ。甘ったるくて良かった。魚肉ん「ティーチャーWITHIN!」も甘いお話。主人公の男子学生と、親友の姉である女教師がとあるきっかけで結ばれるという内容。教師ながら実は主人公にベタボレだったお姉さんがかわいい。

 BENNY'S「ママ♥レモン」は、人型ドール作りの天才である少年科学者と、彼の作ったママ型ドールさんのエッチを描いた作品。少年はむしろロリキャラなドールを作らされることが多いんだけど、どっちかっていうと大人の女性のほうが好み。ってなわけでいつもの年上のおねーさんとの激甘エッチが展開。これはこれで魅力的だけど、1ページめで出てきたロリロリなツインテールのほうが見たかったという人も多いかも。井ノ本リカ子「わからないけど」は、幼なじみの少年少女が、お互いに男の子女の子について分からないことを質問市合っている間にエッチな雰囲気に、ってな話。いつもながら柔らかそうで見てて気持ちがいい。エッチのときのふやけた表情がまた良し、です。


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