2006年5月5日コミティア購入物件


2006年8月20日読了分

【同人誌】「スーパーレディレナちゃん 第3部予告編」 木持隆司 <木持アート出版>

 木持アート出版は相変わらずすごい……。読んでいると頭がクラクラする。第3部の予告編となっているけど、これが本編にどうつながっていくのかまったく分からない。60ページ近く予告編をやっているというのに、これはまったくどうしたものか。

 内容のほうは、いつもながらの稚拙ながらも独特の情熱を持って描き込まれた絵で、なんともいいようがないお話を展開。スーパーレディといいながら、レナちゃんは普通に日常生活を送っているだけだし、事件なんぞは何にも起きはしない。というかそこに重点があるとは思えない。そもそも冒頭からして物語の舞台である香奈玉市の自然などを、NHKかなんかの環境番組調に語っていくという感じで、それを8ページもやってる。ページが進んでいっても、お話の展開には脈絡がまったくないまま。登場人物が唐突に「赤とんぼ」「もみじ」といった唱歌を歌い始め、1ページずつ使ってその歌詞の紹介と解説を始めるあたりとかはあ然とさせられる。作者がその歌を好きだってことはよく分かるのだが、どう考えても(あるのかどうかよく分からない)本筋的に重要とは思えない。思うにこの人は、なんか「いいこと」が頭に思い浮かんじゃうと、それを描いていかずにはいられないんでしょう。そもそもレナちゃんらのボインボインなトランジスタグラマ体型も、作品の舞台となる町に「ヨーロッパ村」ができたというのをやたらしつこく描いていたりするのも、きっとそれらが好きでたまらないんだろうなあと思う。

【同人誌】「SLOW COMIC2 木村ひかげ短編集」 木村ひかげ <usagi*studio>

 木村ひかげがエース系の雑誌で描いた短編を集めた本。優しくかわいらしい絵柄が非常に好感度が高くて、楽しみにしていたシリーズだった。ときにドタバタコメディをやったかと思えば、ときにリリカルに振ったり、ファンタジー風味にしてみたり、ラブコメやったり。そのいずれもが暖かみのあるお話となっていて読んでてホッと一息つける。今回の本には「ミックスドロップス」「トゥインクルテレパシー」「読書同盟」「夜の遊園地」「言の葉」の5本を収録。本当は商業単行本化してほしかったところだけど……。

【同人誌】「鱗の家」 果竜 <竜の子太郎>

 人魚モノの短編2本「鱗の家」「ナンプラー」を収録。どちらもきらびやかな絵柄で、女の子二人の友情物語をやっている。「鱗の家」は美しく、「ナンプラー」のほうはほのぼのと、2本で違った味わいが楽しめる。

【同人誌】「幻想蹴国誌抄 前」 新谷明弘

 サッカーみたいなモノで覇権を争う戦いをしている国々の歴史を描いていくシリーズ。今回は各年の出来事をイラストで見せるみたいな感じの構成となっていて、まさに歴史の記録といった感じの趣。巻を重ねるごとにだんだん積み重なってきて、不思議な世界観に厚みが増してきた。やっぱりこの人の描く漫画は独特のモノがあって面白いです。

【同人誌】「あかるい農村」 比古地朔弥 <ぐんたまカンパニー>

 アワーズライトに掲載されたショートコメディを収録。農村で暮らす平凡な若夫婦の夫のほうが、普段は昼行灯ってな感じにしているけど、実は農村の暮らしを陰から守る忍者をやっていたのでした……というお話。忍者といっても別に敵と戦うわけではなくて、熊や猿を撃退する程度で、お話はのんびりした雰囲気。いかにも田舎のイモねえちゃんといった風情の奥さんが見てて楽しい。比古地朔弥としてはかなりほのぼの路線な一作。

【同人誌】「僕らはたぶんに恋しあう」 ハセガワケイコ <ハライソ>

 オリジナルボーイズラブ系の本。主人公男子と、転校してしばらく経ってから戻ってきた幼なじみ男子によるラブコメ。幼なじみ男子のほうは、転校前に主人公にキスしたことがあるのだが、主人公はそれがずっと気になっていたのだが……ってな感じでお話は展開。スッキリした絵柄でお話のほうもラブコメとしてきっちりまとまっていて、手堅く読める作品。

【同人誌】「掃除当番」 武富健治 <胡蝶社>

 以前購入した「武富健治選集 第二巻」よりの抜粋本。掃除当番を普通にやろうとしているだけなのに、サボったりする身勝手な人たちによって貧乏くじを引かされてしまう真面目な女子の悩みを描いた作品。事件としては非常に小さなレベルであるけれども、周囲の行動、それから教師の言動などのちょっとしたことでささくれだってしまう主人公女子の心持ち、そしてそんなことをすごく気にしてしまう自分へのわだかまりを、実に鮮やかにすくい上げて描き出している。このノリは、現在武富健治がアクション誌で描いている「鈴木先生」と非常に近しいものがあり、今読んでみても新鮮。やはりこの人はタダモノではないなと思わせるものがある。

【同人誌】「GWにおっぱいすいたい♥」 あびゅうきょ <あびゅうきょ工房>

 街でみかけるちょっときわどいファッションの女子に対する妄想を描き連ねた本。6ページだけのコピー誌ながら、欲望をストレートかつねっちょりと歌い上げていて、むんむんとした情念を感じる。またその中にしっかりジョークを利かせているので、軽い気持ちで読むことも可能。

【同人誌】「よいのくち」「美少女妖怪ハンター美香ちゃん」「食クィ〜ン」 Matsuzaki

 「よいのくち」はサイコメトラー少女、「美少女妖怪ハンター美香ちゃん」は妖怪ハンターで、どちらも刀を持った女の子を主人公にしたコメディもの。また「食クィ〜ン」は女の子二人が食べ物についてとりとめもないことを語るというお話。3作ともカラッと明るくて読みやすい内容。この人は絵がなかなか達者でよろしいです。カラー絵が美しいし、少女たちのスラリとした造形もたいへんキュート。けっこううまい人だけど、ホームページ見る限りでは、商業誌ではやってないのかな。

【同人誌】「ちんちくりんウルフ」 志賀彰 <憂貧局>

 学校ではぼんやりとした女の子だけど、将棋を指してるときはすっごくカッコイイ。そんな彼女と、その世話を焼く女の子のお話。10ページと短いコピー誌だけど、百合っぽさも出てるし読んでて楽しい。

【同人誌】「あしたのタネ」「はじめての帰り道」 しょうじひでまさ <appleorchard>

 暖かみのある素直な絵柄がなかなか気持ちいい。「あしたのタネ」は少女たちがスイカを食べつつ戯れるというお話、「はじめての帰り道」は学校の帰宅途中で起きたちょっとした出来事を機に、転校生少女とクラスメートの快活な女の子が仲良くなるというお話。どちらもなんてことのない一風景を描いたものだけど、優しい絵柄とほのぼのしたお話作りがよくマッチしていてまとまりの良い作品となっている。

【同人誌】「クッポ・シリーズ4 水の国のクッポ・空の国のクッポ」 おがわさとし <おがわさとし雑貨店>

 小人というか妖精というかって感じのクッポくんの日常を描いたファンタジー。かわいらしいキャラ作りと丁寧な筆致で、絵本のような良心的な作風。描線は何気なく引かれているような感じだけど趣があります。

【同人誌】「Love&Peace」「キャロットちゃんとカボットくん」 大江戸小町 <雑景横丁>

 柔らかくてやさしい、なかなか達者な絵を描く人ですね。絵本とか童話チックな絵柄でなかなかに美しい。人物の表情がいかにも人が良さそうに描けているのと、風景がシンプルな描線ながら雰囲気があるのが良い。2冊のうち、「Love&Peace」はやんちゃな少年が浮かない顔をしている仲良しの女の子を励まそうと頑張るというもの。「キャロットちゃんとカボットくん」は、本の間から出てきた妖怪カボットくんとキャロットちゃんが友達になるという優しいファンタジー。絵とストーリーの噛み合わせが良くて完成度が高いです。

【同人誌】「暮れる街」 片栗 <クルのトーチカ>

 品の良い絵柄でとある街で暮らす3人の物語をそれぞれ丁寧に描いていく連作ストーリー。お話はちょっと切なくほろ苦い味付けだが、最後は柔らかい感じでまとめている。まずまず。

【同人誌】「五百円」「五百円3」 三島芳治 <つゆくさ>

 2は買いそびれちゃったんだっけか。いつもながらのぽつねんとした雰囲気の独特な作風が心地よい三島芳治の作品集。2コマ程度でセリフも短い漫画とかで、認識を揺らがせるような不思議な感触のお話を見せてくるところは相変わらず面白い。

【同人誌】「DOLPHIN NINE FIRST AGITATOR」 おざわゆき <おざわ渡辺>

 今回は珍しくちょっとSFっぽいファンタジー譚に挑戦ということで、作者自身もけっこう悩んだ本だった模様。「過去の記憶を喰う魔」を探していた女性冒険者が、冒険の末にその魔物に出会い、過去の辛い記憶を喰ってもらおうとするが……といった感じの第1章。途中の説明部分はちょっとごちゃごちゃしている感じもあるが、次の巻にうまくつなげていけそうな出だしではある。おざわゆきとしては珍しいタイプの作品だけに、どのように推移していくのか気になるところ。

【同人誌】「散介」 上原 <ち>

 相変わらず自由奔放。コマとか割らずに脳内イメージをだらだら垂れ流して描きつけていく。いい加減っぽいのに、読んでいると妙に気持ちいいのは絵心がちゃんと備わってるのと、空間の使い方がうまいからでしょうなあ。空白部分とへろりとした絵、それから文字のバランスが妙に心地いいです。

【同人誌】「ゾンビママ」 小田扉 <みりめとる>

 発行は2004年11月なんだけどそのときに買い逃してた本。ゾンビのお母さんと一緒に暮らす女の子のお話。お母さんは身体が腐ってあっちこっちに汁とか垂らしまくりだけど、日常は普通に進行。ゾンビのおじさんが、ゾンビであるがゆえに仕事にありつけないなどの事情とか語られたり、ちょいと切ない感じの要素も。すごく飄々としてて楽しいけど、その中にそういった切なさとかもさりげなく織り込んで来る。でも全体が重くなることはない。いろんな要素を小田扉的風味でくるみ、うまいこと調和させて1本の作品として完成させてくるところはやっぱ素晴らしい。あとコピー誌のときの、小田扉の力の抜けた絵は、線に凄く味があって好きだなあ。

【同人誌】「花盗人」 東夷あま <スタッフWHY>

 十三参りに出かけた少女と、「花盗人」と呼ばれる春の大風にまつわる物語。大きな事件ではないけれど少し不思議でミステリアス。この人の描く怪談チックな物語は、しみじみとした雰囲気があってなかなか良いです。作画のほうもラフではあるけれど艶がある。

【同人誌】「キナコvs悪」 アニュウリズム <シカクイハコ>

 飄々としたショートギャグ作品を収録。いつもながらのもこもこした面白い絵柄で飄々とお話を展開。ギャグのほうもけっこう下らなくて面白かった。なんか平和だし、太めの丸っこいキャラも愛敬があって見てて面白い。

【同人誌】「鉢カヅキ姫」 大野ツトム <トラウマヒツジ>

 大野ツトムの絵は相変わらず達者だけど、この本は作者自身もあとがきで書いてるとおり、「勢いだけ」かつ「時間切れ」とのことなんで、お話のほうはなんだかよく分からん状態。まあそのうち時間のあるときにでも完成形で読ませてほしい。

【同人誌】「坂本ドリル」 森砂季 <トラウマヒツジ>

 左手がドリルになってしまった坂本さんの生活を淡々と描いたギャグ。ドリルの使い方がすごく地味でしょうもないのが見てて楽しい。たいへんテキトーっぽくてユルいところがいいです。気楽に読める。

【同人誌】「幼蟲〜醜怪刀之ニ〜」 村山慶 <Night-Marchen>

 メンソレちゃん的衣装をつけた看護婦姿の女の子が、愛する博士のために大立ち回り。だいぶキャラが派手に動いてるし、ヒロインの娘さんもけっこうカワイイ。アクションシーンもこなれてきて分かりやすくなってると思う。

【同人誌】「UNDEAD」 <アサミ・マート>

 2002年に浅見淳名義でコミックフラッパーに掲載された「銀翼の幻」「黒の追撃」の2作を収録。作画的にはこのころからうまくて、黒と白のコントラストの効いた画面作り、しっかりとした描線など、パッと目を引くものはある。その反面、お話作りはどちらももう一つ弱くあまり引き込まれなかった。

【同人誌】「死神Death」「死神Death ii」 やぎさわ景一 <Y.H.G!>

 週刊少年チャンピオンで「ロボこみ」をやってたやぎさわ景一の個人誌。主人公の元にドジな死神少女が転がり込んできて……というところから始まるドタバタギャグ。というと主人公は男のように思えるかもしれないが、主人公のほうも女で、まあ二人がドタバタやりつつもそれなりに仲良く暮らす。発表時期的には「ロボこみ」よりも前で、2冊とも2003年の発行。このころから絵自体はすでに「ロボこみ」のころ同様で、ドタバタ満載のお話作りも基本的なテイストは変わらず。陽気で勢い良くやっててまずまず楽しい。

【同人誌】「Y.H.G!Riders」 <Y.H.G!>

 こちらはやぎさわ景一に加えて、巨乳系エロ漫画家である天誅丸も執筆。内容のほうはどちらもバイクネタ。やぎさわ景一の「Heart Stroke」は、クラスメート男子に近づこうとしてバイクに乗り始めたが、いつの間にかそいつをそっちのけでバイクにハマっちゃった女の子の話。ラブコメをやりつつもうっかりさんな女の子の様子を面白おかしく描いている。オチもしょうもなくて楽しい作品。天誅丸「とりとめのない日常」はバイク好きの兄と、お兄ちゃん大好きな妹の話。エロなしのコメディなのに、胸の描き方とか表情とかにそこはかとなくエロっぽさがにじみ出ますなあ。そこをウリにして一般漫画を描いてみるのも手かも。

【同人誌】「ふゆのおわり」 ろくろーぶな

 優しい絵柄でファンタジーテイストなお話を描く。イメージをそのまま絵にしたという感じで、ストーリー面ではとりとめないものの、自然物や細かなアイテムを丁寧に描き込んだ作風はほのぼの暖か。なかなかいい雰囲気を作れてると思います。


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