2002年4月上旬


4/10(水)……平凡な王子なりー

▼未読物
【単行本】「バサラ 〜破天の男〜」3巻 作:さいふうめい+画:ミナミ新平 講談社 B6 [bk1]
【単行本】「貧民の食卓」2巻 おおつぼマキ 新潮社 B6 [bk1]
【単行本】「DOLL」5巻 三原ミツカズ 祥伝社 A5 [bk1]

【単行本】「シュガー」1〜2巻 新井英樹 講談社 B6 [bk1]

 面白い! 一見へらへらしてていい加減極まりなく見える少年・リン16歳が、板前修行をするといって単身北海道から東京へ飛び出していこうとする。しかし、餓鬼のころからの親分格である愛すべき乱暴者「火の玉欣二」と再会したリンは、彼の家で一緒に暮らしているニューハーフのレイラによりボクシングの才能を見出され、そこからボクサーへの道を目指す方向へ急遽転換する……といった序盤のストーリーを同時発売の1〜2巻で一気に読ます。

 このお話ではとにかくリンの動きが素晴らしい。流れるような足使い。相手のパンチをかいくぐって攻撃し瞬時に離脱するさいのスピード感。リンは恐ろしいほどに動き回る。その動きの激しいこと滑らかなこと。もちろん漫画だから1コマ1コマは止まってるんだけど、これだけ「動いている」ことの快感を味わわせてくれる表現ってのもそうはない。とにかく見てて気持ちがいい。あと各登場人物もすごく魅力的。アクが強いけれども、その分インパクトは強烈。「こういうキャラはこういう風に動き、こういう風にしゃべるのだ」ということがなんかものすごく納得できる。やっぱり新井英樹の漫画は激しくてカッコイイです。

【雑誌】エースネクスト 5月号 角川書店 B5平

エースネクスト最終号  うーん、終わってしまいましたな。というわけで休刊号。岩原裕二「地球美紗樹」など、見るべき作品はそこそこあったものの、雑誌全体としてはいまいち決め手に欠けるものがあったので仕方ないかなあという気がする。もしかして強烈なインパクトを誇った前号の表紙がとどめを刺してしまったとか? 今号にもアレのピンナップも付いているので、お好きな方はぜひどうぞ。で、今後は今秋のリニューアルを目指して準備中とのことだけど、この手のマニア誌の場合、なんかよっぽどのウリがないとキツいかなーという気はする。

 で、最終号はなんと特別読切が9本。これ別の雑誌だよ……。読切の中では、竹浪秀行「まゆみみえちゃいます」が、描線が滑らかで女の子がぷりぷりしててけっこう良かった。かわいいです。岩原裕二「地球美紗樹」は最終回まで行ったけど、ドタバタと急いで収めちゃった感じはあり。石田敦子「魔女レーナ マジョりーな」も、2巻を出すには中途半端な話数で終わっちゃったけどこれはどうするのかな。出さないのはたいへんもったいないと思うんだけど。

▼執筆陣と今後の予定
(移動)介錯「鋼鉄天使くるみ」→少年エース本誌、近藤るるる「黒蘭」→コミックドラゴン、巣田祐里子「魔境学園風雲記ハーフ&ハーフ」、田丸浩史「最近のヒロシ。」→出張版で復活/掲載誌不明、後藤圭二「ゲートキーバーズ」→移籍先不明
(リニューアル後復活予定)作:大塚英志+画:森美夏「木島日記」、作:石ノ森章太郎+画:MEIMU「キカイダー02」、高屋良樹「強殖装甲ガイバー」
(最終回)岩原裕二「地球美紗樹」、石田敦子「魔女レーナ マジョりーな」、小本田絵舞「あしはまファミリー計画」
(読切)いのうえ空「デリでり」、竹浪秀行「まゆみ みえちゃいます」、ハジメゼロイチ「モンスター・ジャムα」、岡野史佳「さくらびより」、RYU-TMR「匿名伝説」、藤島じゅん「おだいじに」、本多アリア「POPディガー」、高橋脩「mindpass」、矢崎航「雨のち、ときどき狐☆」

【雑誌】アフタヌーンシーズン増刊 No.11 <春爛漫号> 講談社 B5中

 武富健治の読切「まんぼう」は、同級生が友達につけた無神経なあだ名にいらだちを覚えている少女が主人公。この人独特の、陰のある絵柄と特異なストーリー回しはやっぱり好きだ。今回のもわりと他愛ない事件なのに、ものすごく深刻なことに見えちゃうあたり、すごくこの人らしい。後半は意外な展開を見せ、ちょっとびっくりさせられた。柏原麻実「Remain」。好きだった先輩と後味の悪い別れ方をした後、その先輩が列車事故で死亡。モヤモヤとしたものを抱え続けたまま暮らしていた少女が、その気持ちに自分なりの答えを見出すまでの物語。スッキリとした上品な絵柄と丁寧に作られたという感じのするセンチメンタルで爽やかなお話が印象的。フクヤジョウジ「めもり星人」は久しぶりの掲載。なんかすごく落ち着いた感じだな〜。

 巻頭カラーで高橋慶太郎「ORDINARY+−」が新連載。殺し屋の少女同士が学校を舞台に対決するというハードなアクションがまずは展開。シャープな描線がカッコ良く、とくにカラーページの色使いはシャレている。アクションシーンの描写でまだヌルめなところはあるし、顔の正面に比べて横顔はあんまりうまくないかなーと感じるところはあるものの、基本はシッカリしている感じ。絵の印象が作品の評価に直結してきそうなタイプなので、たくさん描いて絵がうまくなればなるほど良くなってくるんじゃないかと思う。神原則夫「神原則夫の人生劇場」。相変わらずオヤジの哀愁がにじみ出まくり。しかも飄々としている。それにしても神原則夫的オヤジにマッチョな肉体……。異様だ。それなのにラストシーンではなんかわけも分からずジーンときちゃうし。本当につかみどころのない人だ。

【雑誌】スーパージャンプ 4/24 No.9 集英社 B5中

 宮下あきら「暁!!男塾」。W男杯における巨大麻雀牌を使った試合「戦蛮雀(トウバンジャン)」編は日本モンゴルの一騎討ちに。アリアリ、というかアリアリアリアリアリアリ……という感じ。なんかもう麻雀である必要が全然ないな。

【雑誌】ビッグコミック 4/25 No.8 小学館 B5中

 なかいま強「黄金のラフ」。コンスタントに面白い〜。読みやすいし盛り上げるときは盛り上げるし、笑わせるときは笑わせるし。バランスの取り方がとてもうまい。作:鍋島雅治+画:はしもとみつお「築地魚河岸三代目」。今回は入れておくと魚がうまくなる「いけす」のお話の後編。この漫画は読むたびに魚食いたい欲が刺激されていかんです。

【雑誌】週刊少年サンデー 4/24 No.19 小学館 B5平

 サンデー超増刊で「キャットルーキー」を描いている丹羽啓介の読切「しっぽの怪」が掲載。「キャットルーキー」の四方の学生時代の話で、なぜだか内容は妖怪退治モノ。なんか意表を衝かれた。久米田康治の青春の思い出「育ってダーリン」が大人の事情により復活。「かってに改蔵」をお休みして、今号と次号で前後編が掲載。いちおう以前やってたバージョンの紹介とかもあるので、絵の変わりっぷりなんかも見て取ることができる。なお新装版A巻が4月18日、B巻が6月18日に発売出るとのこと。どうせ急ぐもんでもないんだから同時発売にしちゃえばいいのに。

【雑誌】週刊少年マガジン 4/24 No.19 講談社 B5平

 所十三による実録サッカー選手漫画「高原直泰物語」が掲載。まとまってはいるんだけど、なんかいまいち盛り上がりには欠けているような。まあW杯前に完全燃焼っぽい話を描いちゃうわけにもいかんか。作:七三太朗+画:川三番地「Dreams」。ツッコミどころ多し。アナウンサーさんのすさまじい早口ぶりとか。ついツッコミたくなってしまうのは、リアルさがとても中途半端だからだと思う。

【雑誌】メガキューブ Volume14 コアマガジン B5平

 今号もマウスパッド付き(画:芦俊)で880円。掲載作品がもう少しパワフルならばこの値段でもいいんだが、竹下堅次朗は載ってないし菜々子さんは終わっちゃったし……。そろそろなんかテコ入れが欲しいところではある。とりあえず次号予告に名前がある田沼雄一郎あたりに期待か。

 先月号で連載終了した瓦敬助「菜々子さん的な日常」だけど、「Scene.23.5」という位置づけで巻頭カラー4ページ掲載。改めて菜々子さんかわいいなあ。ほがらかでのびのびと健康的で、ホントいい娘さんだー。みこくのほまれ「まりあの夢に向かって第1歩 迷宮教室」は、柔らかくて瑞々しい絵柄が印象的。一見マイルドなことやってきそうな絵柄ではあるけど、内容はかなりハードコア。実用性も高いです。森永みるく「電波ブギ2」は相変わらずカワイイ作画なり。


4/9(火)……真っ赤なのび太

▼遅ればせながら映画「ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間」を観てきました。いやー、こりゃよく出来てる。原作のほうは学生時代の座右の書だったので、かなりハードに読み込んだ(たぶん100回以上は読んでる)けれどもこれなら満足できる。端折るべきところは大胆に端折りながら、ゴージャスにお話を展開してくれてる。この手のファンタジーを映像化したときにありがちな安っぽさが微塵も見られないのは素晴らしい。「二つの塔」にも期待大。たぶん原作まったく読んでない人には何が何やらというところも多いとは思うのだけど、まあオタク的には基本なんで、そこはそれ、読んでから行きましょうということで。原作のハードリーダーにとっては、戸田奈津子の訳が引っかかるところではあるけど、まああんまり細かいこといってもしゃーないし。瀬田貞二の訳の雅やかさのほうがむしろ特殊だったということなのだと思う。ただやっぱり「ゴラム」じゃなくて「ゴクリ」にしてほしかったよね、いとしいしと。

▼bk1からCOMIC CUE Vol.200出荷のおしらせメールが到着。よーやっと出るんですな。

【雑誌】ヤングチャンピオン 4/23 No.9 秋田書店 B5中

 作:高見広春+画:田口雅之「バトル・ロワイアル」。桐山の魔王っぷりまたも炸裂。かーっちょいい。ほかの生徒たちより一枚も二枚も役者が上といった感じ。

【雑誌】漫画アクション 4/23 No.17 双葉社 B5中

 柳沢きみお「翔んだカップル21」が妙にほのぼの。うーん、なんかけっこう楽しいよ。山崎さやか「東京家族」。コンスタントに面白い。でもお父さんがちょっとええ男すぎるような。

【雑誌】コミックバンチ 4/23 No.19 新潮社 B5中

 今号には世界漫画愛読者大賞の総合人気投票はがきが付いている。まあこういうイベントには乗っちゃったほうが楽しかろうと思うので、いちおう出してみようかな。切手代いらないし。坂本タクマ「屈辱er大河原上」。大河原上の意外とシャイな面に萌え。雨谷ウィック「大怪獣の下で」。アメリカンな挿絵的な作画が特徴的なギャグ漫画。きれいにまとまってるけど、逆にそこがちょっともの足りない感じもするかなー。

【雑誌】漫画サンデー 4/23 No.16 実業之日本社 B5中

 ジョージ秋山「生きなさいキキ」は毎度すごい。たぶん絵はコピーの切り貼りが多いんだろうけど、それも突き詰めちゃうとこんなにインパクトある画面になるのかと思う。というかこの作品の場合、扉もそんな感じで作ってること多いし、コピペ芸はかなりすごいことになってる。小田扉「マル被警察24時」。今回はタクシーの運転手さんとムボーくんのエピソード。味があるなあ。


4/8(月)……モメるとメモとるメル友求める

【雑誌】ヤングマガジン 4/22 No.19 講談社 B5中

 山本マサユキ「チャンネル31」は、確か何かの同人誌に掲載された作品だったはず。ただ、現物がないんで本のタイトルとか異同とかが確認できない〜。ちなみに物語としてはホストコンピュータと接続されて特別な看護体制下に置かれている双子の少女と、彼女の担当医である葉山とのつながりを描き、そこから大きくお話を展開させていくSFストーリー。双子の少女の可愛らしさ、担当医へ寄せる好意の切なさ、そしてやりきれないような、それでいて暖かな読後感を残すラストなど、見どころが多く読みごたえのある物語に仕上がっている。普段の「ガタピシ車でいこう!!」のほのぼの路線とは打って変わって、大きく物語を展開させる実力も見せてくれた。こういう作品もまたときどき描いていってほしい。

 天野明「モンキービジネス」は着実に盛り上がってきている。主人公・カンタは才能の片鱗を見せつつあるし、面白くなってきた。蓮古田二郎「しあわせ団地」は今回もいいなあ。夫婦ともども、まったく進歩しそうにないところが見てて安心する。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 4/22 No.19 小学館 B5中

 伊藤潤二「ギョ」は相変わらずすごい展開だと思っていたら次回で最終回とのこと。意外と短くまとめてきた。作:雁屋哲+画:花咲アキラ「美味しんぼ」。山岡、喫煙家に対してブチ切れ。でも筍食わせてもらったらすぐ態度豹変。いつものことではあるがなんだか釈然としない。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 4/22 No.19 集英社 B5平

 ボクは女の子と直接話すのが苦手な男のコ。だけどメールさえ使えれば、好きなあの娘ともお話できるかもしれない……。そんな願いをかなえてくれる 未来からやってきた小人型のケータイM707E-之介が、心と心をめちゃめちゃリンク!して恋を取り持つ模様を描いた作品が作:真倉翔+画:加藤春日の「メルとも!E〜之介」だ。わりと元気の良い、かつまとまった絵柄で読みやすい作品に仕上がっていて完成度は高い。郷田こうや「ボウギャクビジン」は、一見すごく美しいけれど、心はかなりドス黒い美人さんを見つめる少年の物語。太めのクッキリした線で悪びれることなくギャグをやっているところはなかなか買える。巻末ではクボヒデキ「しゅるるるシュールマン」が再登場。強引にギャグをやりつつも、妙なまったり感があるのはなかなか。というわけで今号は新顔が健闘していてけっこううれしかった。

 そして表紙がすごいなー。やっぱり河下水希「いちご100%」だと雰囲気がいつもと全然違う。本編のほうもこれ以上ないってくらい学園ラブコメしてるし、女の子も十二分にカワイイし。なんか毎週良いものを拝ませていただいてます。眼福眼福。尾玉なみえ「少年エスパーねじめ」。ヘンな奴らに囲まれているうちに、るきじの人格も順調に壊れつつある模様。

【雑誌】ヤングキング 5/6 No.9 少年画報社 B5中

 中西やすひろ「愛DON’T恋」。主人公・守もダメな奴だが、その恋人・えりかもかなりダメな人だった! というわけでいちおう守&えりか&ストーカー男編は決着かな。かなりバッドエンディングなシナリオではあるけれど。で、次号から最終章。これまでずっと好き放題やってきたお話にどうケリをつけるのか、ちょっと楽しみ。あと長田裕幸の読切「聖リボルバー学園」も掲載。弟の作った改造ガンをモデルガンと間違えて、学校に乗り込んじゃったバンド少女が巻き起こすドタバタコメディ。きれいにソツなくまとまっている。でもなんかもう一つものたりない感じはする。この人の作品に共通していえることだけど、元気がいいように見える作風だし技術的にも達者なんだけど、どうもいまいち突き抜けきらない。作品のベクトルとしては案外内向きなのかもな、と思う。花見沢Q太郎「ももいろさんご」は、前回から登場した三悟に惚れてる後輩さんがカワイイ。でも湊。Hだしかわいいし、もう手がつけられませんな。

【雑誌】近代麻雀オリジナル 5月号 竹書房 B5中

 甘かった……。今号の近代麻雀オリジナルで中村毅士による田代まさし麻雀漫画「がんばれMARSY」が掲載されると知ったとき、「絶対いつか近代麻雀グループのどこかでムネヲ漫画をやってくるに違いない」と予想していたのだが、まさか同じ号で投入してくるとは。猿山長七郎「ムネオでポン!」っていうのがソレなんだけど。いやーなんかもうその根性の下世話さ加減には参っちゃうね。とくに「がんばれMARSY」は、オチが腰砕けな感じで脱力感バリバリ。

【雑誌】YOUNG YOU 5月号 集英社 B5平

 羽海野チカ「ハチミツとクローバー」は今回も良い。愛敬があってなおかつ美しい絵で、クスッと笑っちゃうようなドタバタコメディの楽しさも、恋愛の切なさもともに描き出している。今回の山田小学4年生パンチラはいうに及ばず、あっちゃこっちゃすごくいい。だからもうね、別冊ヤングユーとかでちまちま総集編やったりしてないで、さっさと単行本出し直ししやがれ、いや、してくださいと思うわけだ。もしかしてまだ宝島社のほうの在庫が残ってて集英社版を出せないとかなのかな。岩館真理子「アマリリス」。今回が12話め。読めば読むほど、岩館真理子の天然っぷりにほとほと感心してしまう。なんという足どりの軽さ。極上に美しい絵とふわふわしたお話のミックスはかなり強力。榛野なな恵「パンテオン」。ものすごく美人だけど兄の遼一を偏愛している妹さん、彰子のことが詳しく描かれるようになってきて、どんどん面白くなってる。けっこうハードなお話になりそうでもある。

【雑誌】FEEL YOUNG 5月号 祥伝社 B5平

 青木光恵「スウィート♥デリシャス」。切れたかに思えたプレイボーイ・大原さんの逆襲でコトエリさんたじたじ。三角関係の様相が一気に混沌としてきた。なんだかんだけっこう面白い。有間しのぶ「モンキー・パトロール」も、香の状況に変化が。こちらも一波乱ありそう。でも全体的には読み口がすごくサバサバしてて素直に楽しい。

【雑誌】コミックオルカ 5月号 司書房 A5中

 うーん、いまいち面白くないなー。執筆陣の中では森高たかし「WOLFSBANE」はけっこう好きなのだけど、巻末4ページだけでなくてもう少しボリュームが欲しかったところ。


4/7(日)……まだら水仙

プルモナのFlashゲームがなかなか可愛く、かつ面白いです。あと参考までにFlashをローカルに保存するのに便利なツール「FLASH MANIA」。

【単行本】「魔女レーナ マジョりーな」1巻 石田敦子 角川書店 A5 [bk1]

 中学2年生の男の子・時計坂空太は、ずっと前に見た夢の中に出てきた女の子にそっくりな同級生・二ツ木魔子のことが気になって仕方がない。ところが彼はある日知ってしまう。魔子が本当は魔女だということを……。魔子の中には幸福な結末を志向する白魔女と、その反対である黒魔女が共存しているのだが、あえて黒のほうを選ぼうとする魔子のことを空太は心配し続ける。

 最初は普通に魔女っ子もののラブコメディになるのかと思ったがやはり石田敦子らしく、白と黒の間で揺れる少女の心と、彼女に白のほうを選んでほしいと思う反面「彼女のすべてを見ないで都合のいいところばかり見ようとしている」と指摘されて悩む空太の姿をしっかり描き出している。魔女の力で問題解決〜みたいな単純なパターンの繰り返しに終わらず、自分探しの道程を掘り下げていく作風はとても真摯。甘い絵柄とは対照的に読み心地はハード。今後のさらなる掘り下げにも期待してます。

【単行本】「どんまい!」1巻 作:矢島正雄+画:若狭たけし 集英社 B6 [bk1]

 新米ホームヘルパーの里見優が、いろいろと失敗しつつも、持ち前の明るさ、一生懸命さでもって自分なりの介護の道を見つけていくという物語。人の生き様がストレートに出る分野だけに、その物語は読みごたえがある。時にホロッと泣かされるようないいお話もあり、なかなかの出来。若狭たけしの作画もいい。本格派のドラマに耐え得るだけの芯の強さを持っていて、正統派の魅力を感じさせてくれる。原作者、作画者ともにいい仕事してるな〜と思える作品。

【単行本】「地上最強の男 平松伸二短編集1970-2000」 平松伸二 ソフトマジック B6 [bk1]

 これまで単行本未収録だった「ハランの時代」「地上最強の男」「勝負」「走れ!D51」「ゴリくん」「おれのマリちゃん」「さよなら初恋さん」「マーダーライセンス牙(単行本に収録されなかった一本)」を収録。

 まずなんといっても衝撃的なのが、デビュー作「勝負」の未掲載オリジナル版。高校野球の地区予選決勝、大詰めの場面で主人公が代打に出てきて宿命のライバルと対決……という一勝負に絞ったお話なのだが、まずいきなり主人公が片腕。しかもその片腕になった理由が、ライバルの「魔の豪速球」を打ったとき折れたバットが腕に刺さったためというドラマチックさ。しかもこの「魔の豪速球」のメカニズムもすごい「ふつうの球よりはるかに平ったく」なるのでバットが折れるんだそうな。で、そこからの復活はもう特訓の嵐。結局勝負は主人公の勝利に終わり、宿命のライバルは打球が当たって目のあたりがぐしゃぐしゃに。そこまではまだいいんだけど、最後の4ページで示される結末でまた驚かされた。ここはネタバレになっちゃうんで書かないけどたいへんにダーク。投手も打者も恐ろしくフォームが珍妙だし、絵が川崎のぼる調だったりと、いろいろ見どころが多い。うーん、15歳でこんなん描いてたのか、恐るべし。

 あと1997年の作品である「ハランの時代」も、改めて読み返してみて呆気にとられる作品。天衣無縫な女子高生がタイムスリップして、武蔵の代わりに小次郎と戦うというお話。女子高生はルーズソックスだし、たまごっちとかやってるし、ハランが強いことの説明とか未来への影響とかはほっぽらかしだし。でも読ませる力はすごい強力。徹頭徹尾エンターテインメント。改めてスゲエ男だと思います。

【単行本】「バトル・ロワイアル」6巻 作:高見広春+画:田口雅之 秋田書店 B6 [bk1]

 しっかりエンターテインメント。小説や映画のほうはすっかり話題にのぼらなくなってしまったけれども、漫画のほうは堅調に連載を続けている。殺し合いの中でも友情は美しく描き、かつアクションシーンはカッコ良く。今回はとくに驚異的な能力の持ち主である桐山の襲来に心踊る。「シャアが来る」という感じ。通常の生徒の3倍くらいの性能はあるよね、桐山は。

【単行本】「なんてっ探偵アイドル」8巻 北崎拓 小学館 B6 [bk1]

 怪盗リストが活躍するけどそんなことはどうでもいいのだ。今回は梨奈ネェと刑事さん、それから学園編でのアキラと清春くんのラブコメチックなエピソードでパッと心が和む。あーあと、この巻は人が死なないのもいいな。

【単行本】「PEACH!」5巻 遊人 小学館 B6 [bk1]

 この巻の最大の見どころは、主人公・法師の生徒である奥名西香(おきな・すいか)が登場して「オッパイ大きすぎてごめんなさ〜い」ということだ。まさにぷるるん。そしてゼミナール。まあお話はいつもどおり馬鹿馬鹿しくてそこが魅力。ちょっと笑ったのがおまけ企画で「PEACH!出場キャラオーディション」というページ。そこで「PEACH!」に出てくる本編に出場できなかったキャラを紹介してたりするんだけど、応募総数が25784名とか書いてある。こんな奴らが2万5000人以上いたらと考えると、なんかもうおめでたすぎるよな〜。

【単行本】「こくう物語」 鈴木翁二 青林工藝舎 A5 [Amzn]

 なかなかなんとも魅力を表現しにくい。田舎のさびれた宿屋に住む異母姉弟と、その宿を訪れた客を中心に、日常をしんしんと描いていくという感じなのだが、お話に分かりやすいダイナミックな動きがあるわけではない。スミベタとカケアミを用いて描かれた水墨画みたいな風景にしんみりした味わいはあるけれど、これもパッと見て分かりやすいたぐいのものではない。うーん、なんかうまく書けないや。和風でしんなりとした情緒のある、ちょいと不思議な感触の作品。

【単行本】「魔界のプリンセス プリティー美沙」2巻 もっちー ワニマガジン B6 [bk1:1巻/2巻

 主婦になってもキワい格好で魔女ッ子業を続けているプリティー美沙、それからその同類さんたちの物語。熟れた女に恥ずかしいコスプレのミスマッチがおかしく、それでありながらあくまで平和なホームコメディであったりするところが魅力。出てくる人たちが基本的にみんないい人っぽく、ケバケバしいのに読後感はほのぼのしているところが楽しい。

【単行本】「ブッ契りラヴァーズ」 かかし朝浩 ワニマガジン B6 [bk1]

 面白いなあ。それまでやりまくりだったカップルが、父と母の再婚によって思いもよらず家族になってしまい、なかなかSEXできなくて悶々とする……というところから始まるドタバタラブコメディ。カップル二人ともやりたい盛りでたまりまくり。それがハジけたときの勢いはなんかスカッとするほど。ハプニング続出なストーリーはすごくテンポがいいし、カラッと明るくて読みやすい。結局のところラブラブなお話なので甘味も十分あり、かつ後味は爽やか。なんかもう素直に楽しめる良作。


4/6(土)……カーナビノ國

▼おかしをたべ、ビールをのみながら更新作業中。おかしはおいしいな〜。ビールもうまいな〜。

▼またしても大量に雑誌のキリヌキ処理。ここしばらく頻繁にやっているせいか、最近はだいぶ手つきがこなれてきた感じがするのだが、分厚い平とじ雑誌からのキリヌキはいまだにけっこう手こずる。中とじ雑誌の場合は、ホッチキスの針を2箇所ぷちんぷちんとハズせば当該ページを引っこ抜けるので、ペンチ一つでページを損傷することなく解体できるが平とじの場合は難しい。ドライヤーとか使ってノリをとかして……みたいな方法もあるにはあるけれども、処理する本が100冊単位になるとそんな悠長ことはやっていられない。

 結局のところはカッターで切り離しているのだが、ページ数の多い雑誌はそれを支えるため強力な接着剤を使っているので、前のページと後ろのページがぴっちりくっついちゃってることが多く、慎重にやらないとゾリッと斜めに削ぎ落としちゃう。困る。中とじは中とじで、ペンチで解体すると当該ページの対向ページも一緒に引っこ抜くことになるので、量的に2倍となりかさばってしまうのが困りもの。いちいち切り離してとじるのが面倒くさいのでそのまま保存しているのだが、そろそろ裁断機を使って整理していかなければならないころかもしれない。

▼未読物
【単行本】「魔女レーナ マジョりーな」1巻 石田敦子 角川書店 A5 [bk1]
【単行本】「魔界のプリンセス プリティー美沙」2巻 もっちー ワニマガジン B6 [bk1:1巻/2巻
【単行本】「ブッ契りラヴァーズ」 かかし朝浩 ワニマガジン B6 [bk1]

【単行本】「學ビノ國」1巻 秋重学 小学館 B6 [bk1]

 かつて天才的バスケットボール選手だったが、ケガをしたことで目標を失い、ぶらぶらと過ごしていた主人公・水樹が一念発起、トレーナーの資格を得るべく大検に挑む……という青春物語。秋重学らしく、非常に青臭くかつ爽やかなお話。秋重学は、長編の場合は原作付きのほうがいい仕事をするタイプの人だと思うが、果たして今回はどうなるか。まあ原作なしでも見せ場のカットとかには目覚ましいものがあるし、面白く読めはするんだけれども。何はともあれ単行本が出てくれて安心した。「ニナライカ」がなかなか単行本化されなかったこともあり、小学館で秋重学の場合はいちおう用心してキリヌキ保存するようにしていたので。

【単行本】「アゴなしゲンとオレ物語」9巻 平本アキラ 講談社 B6 [bk1]

 今回はアゴなし運送に新入社員が登場。女!メガネ!そして巨乳!!でも萌えでは全然ないところがこの漫画らしい。ゲンさんとケンヂの屑人間ぶりは相変わらずだし、コンスタントにサイテーであります。素晴らしい。

【単行本】「すべてに射矢ガール」4巻 ロクニシコージ 講談社 B6 [bk1]

 だんだん成長しているあすみちゃんを見ながら、自分自身は何も成長していないように思えて仕方ない山田が悩む。頭に矢が差さっている女の子という設定は奇矯ではあるし、ノリも何か独特だけど、実はけっこう青春してたりしていろいろ面白い。もちろんコメディとしても楽しいし。この巻には1995年にちばてつや賞優秀新人賞の「IT'S YOUR BIG DAY」も収録。このころの絵はけしてうまくはないけれども、作画、話運びとも個性的。このころから独自の得もいわれぬパワーの持ち主だったのだなあ。

【単行本】「恋愛ジャンキー」7巻 葉月京 秋田書店 B6 [bk1]

 ついにエイタローと絵夢ちゃんが初H。で、アツアツ度進行中〜という巻。毎度華やかにHなシーンてんこ盛りで華やか。とはいえ、あんまりベタベタしすぎることなく常にカラッと明るいのでストレスなく読める。グッジョブ。

【単行本】「シスターズブラザーズプラス」 矢凪まさし 大都社 B6 [bk1]

 矢凪まさしの初連載作品が復刻。以前の富士美出版版の感想は2001年2月25日の日記参照)。独特のヌルさと平和なラブコメ風味は今読んでも変わらず心地いいな、と思う。今回の単行本には「坂田先生の教育的指導」も併録。

【雑誌】コミック大我 5月号 桜桃書房 B5平

 最終号。なので執筆陣メモ。前身の夢雅でB5平とじハードコア無修正路線という流れを作りつつも、MUJINとの分裂騒ぎなど、有為転変あった雑誌だが、大我へのリニューアル後、5号めにしてあえなく。後継誌が用意されないらしいのは正直残念。

 なんといってももったいないのが、今回2回めで、これからすごく面白くなりそうだったたちばなとしひろ「恋はフリ♥フラ」。幼なじみのストレートロングなめがねっ娘さんがすごくかわいくてええ感じであるだけに惜しい。この人の、とくに最近の作品の濃厚なラブコメ風味は非常に良いと思うのでどこかの雑誌で連載続けてくれないもんかなあと思う。百済内創「Quo Vadis」も2回めということでこれまたもったいない。やまのべきったのハードな調教ストーリー「媚虐の音色」は、なんとか完結したけれども、これは単行本になるんかな? 熟れた妙齢の女性がエロ責めされまくってて実用性はかなり高い作品なのだけど。あと実のところ、一番気がかりなのが柿ノ本歌麿の行き先だ。1年間7万人ファックなど、恐ろしくムチャ&テンションの高い作品で俺内に伝説を作ってくれた作家なのだが、それだけにアクは強いしどこででも描けるってタイプの人ではないと思う。ちゃんと生き残ってくれるといいのだけど……。

(執筆陣)南野琴、百済内創、たちばなとしひろ、氏賀涌太、龍牙翔、THE SEIJI、あうら聖児、たいらはじめ、浅草寺きのと、きらら萌、高苗京鈴、水島空彦、河原崎はるろー、銀仮面、フジヤマタカシ、山岡鋼鉄郎、やまのべきった、柿ノ本歌麿、いわまよしき、MAC-V、九巴昭彦、常葉ヨウコ、かねことしあき

【雑誌】ヤングヒップ 5月号 ワニマガジン B5中

 表紙にも「巨乳強化キャンペーン中!!」とうたっているとおり、河本ひろしやら草津てるにょやらが前のほうに来てて巨乳度は高まっている。まず巻頭のポン貴花田「スウィートオフィス」からして大きめだ。ポン貴花田は一見ソフトな感じもする絵柄なのだけど、ちゃんとエロも充実しててけっこう好き。近里みちる「リサイクルガール」はすっきりと明快な絵柄がわりと好み。かかし朝浩「ナチュラル(凡)キラーズ」。キレ味のいい読切。隣に住んでいる自称暗殺者の女と、彼女とつるんでる男のお話。報酬でドンペリ(だけ)を意味なくドカ買いしてみたり、フツーの金遣いができないアンバランスな彼女の精神性を、男はじっと見守る。ぐだぐだした生活がひとときの癒しとなっていて、何かとてもいいです。上連雀三平「飲尿女神」は単行本1巻が近日発売決定とのことで、その近日が具体的にいつなのかが気になってくるところ。そして単行本に託す願いは一つ。「消すな!」

【雑誌】マンガBOOP 5月号 平和出版 B5中

 今号で一番いいなと思ったのはホリユウスケの読切「プラス」。なんだかこれ、すごくいいです。なぜかがらんとした町のバス亭でふと出会い、恋に落ちた二人の少年少女のお話を描いている。絵は垢抜けないところがあるんだけど、見せ方がすごく印象的。青春のきらめきがきれいに映し出せている。バストアップだけでなく、しっかり引いた視点から空や背景なども描き込んでくる画面作りはなかなかのもの。見開きもしっかり使えているし。再登場にも期待したいところ。

 松本耳子が巻頭で登場。読切「an happy birthday」。女の子の表情が陽気でサバけてて見てて楽しい。加賀美ふみを「LOT」はちょっと倦怠期気味の夫婦のお話なんだけど、そういう日常の中にドキドキを作り出す工夫を初々しく描いていていい感じ。ほのぼのトキメキ。駕籠真太郎「赤い旗の星のもとに」。なんか最近駕籠真太郎はロシア、というよりもソ連に凝ってますな。コットンコミックでも「駅前共産」なんて作品を描いてたし。

【雑誌】MUJIN 5月号 ティーアイネット B5平

 甘詰留太「奥さまはパーティー♥」。一連の少女奥さまシリーズの最新作なのだが、今回もすごくいいなあ。アツアツで楽しげではあるし、少女たちがちんちんをねぶり回すシーンも克明でばっちりエロい。ラストの奥さまの表情とかも幸せそうですごくいいな。単行本は6月7日発売。買い。堀川悟郎「私立聖皇曼女学院」。なんか気合い入った女生徒凌辱ぶり。なんといっても「コーマン女学院」ですから。今回は恥辱運動会という道具立てで、見物客の中には「NGO」と書いたセンスを持ち証人喚問をブッチして駆けつけた「鈴木議員」まで。オヤジどものニタニタ目つきのステロタイプさ加減が、かえっていい味になっている。それにしてもネタがベタだ。玉ころがしでタマを吸って、玉入れでディープスロート、棒倒しで発射。素晴らしい。二人三脚は、三脚というよりもむしろ手押し車に近い。


4/5(金)……東京ダンディー譚

▼散髪。今回は秋葉原の中央通り沿いにある床屋さんを利用。カットのみだと1100円。どうせスポーツ刈りとしかいわないのでこのくらいがちょうどいい。それにしても髪切るたびに白髪が増えたなーと思う。ウチは母方が白髪の家系なので、たぶん40歳くらいになったら相当白くなっていることだろう。ホワイトヘアー、略してホワヘアー。

▼未読物
【単行本】「バトル・ロワイアル」6巻 作:高見広春+画:田口雅之 秋田書店 B6 [bk1]
【単行本】「恋愛ジャンキー」7巻 葉月京 秋田書店 B6 [bk1]
【単行本】「どんまい!」1巻 作:矢島正雄+画:若狭たけし 集英社 B6 [bk1]
【単行本】「アゴなしゲンとオレ物語」9巻 平本アキラ 講談社 B6 [bk1]
【単行本】「すべてに射矢ガール」4巻 ロクニシコージ 講談社 B6 [bk1]
【単行本】「なんてっ探偵アイドル」8巻 北崎拓 小学館 B6 [bk1]
【単行本】「PEACH!」5巻 遊人 小学館 B6 [bk1]
【単行本】「學ビノ國」1巻 秋重学 小学館 B6 [bk1]
【単行本】「シスターズブラザーズプラス」 矢凪まさし 大都社 B6 [bk1]
▼早売り
【雑誌】YOUNG YOU 5月号 集英社 B5平
【雑誌】FEEL YOUNG 5月号 祥伝社 B5平
【雑誌】コミックオルカ 5月号 司書房 A5中

【雑誌】コミックフラッパー 5月号 メディアファクトリー B5平

 うわ、びっくりした。細野不二彦「東京探偵団」の特別編がなぜか掲載されている。そういえばメディアファクトリーから文庫が出てるのか、コレ(→bk1)。ええと要するに日本最大の財閥が設立した少年少女3人による探偵グループ「東京探偵団」の活躍を描く少年探偵団モノ(少女もいるけどね)。男爵(バロン)も出てくるしナツカシー。ずいぶん久しぶりの登場だけど、それでも昔のノリを再現できちゃうところはさすが。安彦良和「韃靼タイフーン」は最終回。なんだかかなりとっちらかった話だったように思うけれども、これはやはり単行本読みでしょう。

 新居さとし「女神の鉄槌」。いやー、本当に物語を進めようという意志がまったく感じられないのが素晴らしい。野放しで描いてるよなー。楽しくていいけど。読切の油布明子あらためゆうの亜樹子「幻惑サイクリング」は12月号に掲載された「高屋と坂本とステキな妖精」の続編的なお話。男二人と妖精が、霊にとりつかれた自転車を巡ってドタバタ。スピード感があってごちゃごちゃした面白さ。ただ、アクションシーンはもう少し画面が整理されたほうが分かりやすいと思う。

【雑誌】花とゆめ 4/20 No.9 白泉社 B5平

 樋口橘「MとNの肖像」。No.11から始まるシリーズが最終章になるそうだが、それにしてもここのところの急展開ぶりには驚かされた。わたわたバタバタ、非常にハイテンポでぐだぐだなコメディだっただけに、この展開はにつかわしいといえないこともないんだけれども。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 4/20 No.8 小学館 B5中

 作:矢島正雄+画:中山昌亮「PS羅生門」が読みごたえあって面白かった。今回は知り合いの巡査がシャブ中の男にわけも分からないまま刺されて殉職したことを契機に、ヒロインの紅谷留美が自らが警察官を志した理由を見つめ直すといったストーリー。重い出来事を、一話でうまいことまとめ上げている。キリッとした絵も相変わらずカッコイイ。西岸良平「三丁目の夕日」。今回は料理のうまい女の子のお話だけど、ラストの「あんとまあこんな展開ってアンビリーバブル!!」というセリフが、まさに今回のお話を要約しているなあという感じ。西岸作品はやっぱり味があって素晴らしい。深巳琳子「沈夫人の料理人」。コンスタントに面白い。沈夫人は、富豪の奥様ながらなんだか茶目っ気があっていいなと思う。とくに今号の最終コマなんかとてもいい。

【雑誌】ヤングアニマル増刊 嵐 5/19 Vol.7 白泉社 B5中

 エロ含有率がマジで高いな。本誌が若干大人しくなってきている分をこっちで発散しているかのよう。私屋カヲル「さくら咲いちゃえ♥」は、さくら先生のノーブラ乳首浮きが色っぽい。おっぱいは素晴らしい。西川秀明「職業殺し屋」。なんかエロを描いていると水を得た魚のよう。ジュブジュブと汁気の多いエロシーンを描いてて、電車の中で読みにくいこと甚だしい(読んだけどね)。もう一方のニシカワ、西川魯介「野蛮の園」もエッチいなあ。めがねっ娘な女の先輩があられもない姿をさらけ出してくれたゾ! あと今号では本誌で読切「小春日記」を描いていた梅丸茶が「秘密♥な夫婦」を執筆。素直に愛くるしい絵柄で好感度高し。奥さんが実は双子で結婚前から実はときどき入れ替わっていたんだけど、こうなったら二人とも面倒みちゃえーという感じのラブラブで甘いお話も気持ちが良い。

【雑誌】A-GEKI Vol.3 晋遊舎 B5平

 早くも休刊号。けっこう見どころはあったんだけど、やっぱりB5平とじのエロ漫画雑誌の場合、価格が高い分、それ相応のパフォーマンスが要求されちゃうだけに生き残りは厳しかったかも。690円という価格設定も高めだったし、何より発行間隔が隔月だったのは辛かったように思う。そういえば同じく今月発売号で休刊のコミック大我って、たしかA-GEKIと同日創刊だったんじゃなかったっけか。

 で、高雄右京「スーパーミサイルス(仮)」も最後まで(仮)のままだった。今号の最終コマに「このサービスカットでつづく!のだ」というセリフがあったり、欄外が「TO BE CONTINUED」になってたことを考えると、休刊の決定はけっこう急だったっぽい。どざむら「MARKING ALGOLAGRIA」も物語が盛り上がってきつつあっただけに残念。読切作品では、へかとん「Happy Week」がかわいくていいな。好きな人のことを思うとHな気分が止まらなくなっちゃう女の子のお話で、軽めなタッチが楽しげ。あとはやっぱりパニックアタック「見せてよ!お兄ちゃん」。同人作家志望の女の子が、資料収集のためお兄ちゃんにちんちん見せてとねだる兄妹モノ。今回は巨乳なのだが、この人は巨乳でも貧乳でも作風変わらんな。

(執筆陣)昇龍亭円楽、清水清、へかとん、桜井りょう、黒河あつき、吉良広義、十羽織ましゅまろ、どざむら、BLUE BLOOD、高雄右京、宮崎摩耶、桜井レゴ、パニックアタック、らっこ、狂一郎、巴天舞、華麗王女、春輝、源斗、カナタ

【雑誌】桃姫 5月号 富士美出版 B5平

 充実してます。何より色んな種類のエロが共存してるのがいい。ベタな肉弾系のエロではnecoJETや美女木ジャンクションが、線の美しいハイクオリティ路線ではひぢりれいや木静謙二、SM方面でしろみかずひさ、ちょっと変わった質感のNEO’GENTLE、サブカルっぽいアダルトな画風のSENGOKU=KUN、ロリ方面ではあ〜る・こが、たまちゆき、ほのぼの路線のモリスなんかもいたりして、これ1冊でかなりお腹いっぱい。それぞれ内容も良いしヌキ目的ではかなり推せる雑誌。

 で、まずはひぢりれい「BK」中編。今回は超デカチンめがね君に、女教師さんもメロメロになってます。いやあ本当にデカい。でも作画はすごく美しくて細かくて文句なくエロい。GRIFON「制服Virgin」は、なんか肉感たっぷりでむっちりとしており、汁気もたっぷり。しろみかずひさ「なぶりっこ」はいよいよクライマックス。すでに主導権は調教されているはずだった麻理果に移っている。男の情欲を呑み込む魔性の女という感じ。しろみかずひさはこの主題の作品はこれまでも何度か描いてきたが、処々の事情でなかなか最後まで描ききれたことがなかったので、今回きちんとつけてくれるであろう結末がすごく楽しみだ。

 ひねもすのたり「恥辱の目々連」。ちょいとあさりよしとお的なタッチの暖かみのある画風が目を惹く。内容は日々Hな妄想を高まらせていた女の子が、ストーカー男のおかげで人前で痴態を晒す快感に目覚めてしまうというもの。たまちゆき「さくらの節約強化月間」は、ロリロリな女の子とのラブラブ話。たまちゆきの描く女の子は、なんか妙に男を誘うような、甘えたような感じの目つきがとても良い。木静謙二「ろりまま」は、なんか知らんけどやけにお話が大きくなっちゃってるなあ。この人は、お話をまとめるという点に関してはやはりイマイチという気がする。

【単行本】「Moo.念平絶対作品集 あっかんべー太」 Moo.念平 英知出版 B6 [bk1][Amzn]

 収録作品は「あっかんべー太」「太陽犬ゼロ」「空飛ぶU子先生」「天下!いっぽん」「おてんば転校生」「カンバックじいちゃん」。短めな作品が多いせいか、「あまいぞ!男吾」に比べるとインパクトは弱い気はする。「あっかんべー太」のヒロインの有葉ちゃんはかわいいけど。全体を通じて感じるのは、Moo.念平はロマンチストだなということ。昔自分が読んで、見て面白かった者を、今の子供にも……という想いが強く感じられる。はっちゃけているようではあっても懐古的で、ある意味内向きなファンタジーではある。たぶんここで描かれる世界は、連載当時のメイン読者層にとってはあんまりリアリティはなかっただろうとも思う。でも、あえてそういうことをやってる人が一人くらいはいたっていいし、なんとなく頼もしい。コミック伝説マガジンあたりがこういう人をスカウトしてくればいいのに。


4/4(木)……慈愛暗闘

▼早売り
【雑誌】コミックフラッパー 5月号 メディアファクトリー B5平
【雑誌】花とゆめ 4/20 No.9 白泉社 B5平
【雑誌】マンガBOOP 5月号 平和出版 B5中
【雑誌】MUJIN 5月号 ティーアイネット B5平
【雑誌】A-GEKI Vol.3 晋遊舎 B5平

 A-GEKIはこれが最終号だそうな。最近マジでエロ漫画雑誌の入れ替わりが激しいな。先月は絶空やComic Siteが消えたし、今月は大我が休刊、カラフルBeeも最終号になる(その後、コミックカラフルピュアガールへとリニューアルするらしいけど)。とくにB5平とじ雑誌は勝ち組と負け組がハッキリした感じがする。その分、A5中とじ雑誌が増えてて、姫盗人の成功後、ラッツ、オルカ、真激、コミック艶、曼天など、いつの間にやらけっこうな数になってる。今月27日には東京三世社もミニモンという雑誌を創刊するらしいし。最近動きが激しかった少女漫画同様、ここに来て再編の動きが強まっている感じ。小さいパイを多数の雑誌で取り合っているジャンルだけに、生存競争は厳しそう。この流れはまだまだ続きそうな気がするなー。

【雑誌】モーニング 4/18 No.18 講談社 B5中

 山田芳裕の新連載「ジャイアント」がスタート! 日本プロ野球のドラフトに漏れて、内定していた会社の野球部が廃部。行き場を失った主人公・巨峰貢が渡米。荷物をとられてパニック状態になるも、現地で知り合ったおっさんのつてでマイナーリーグの試合に出場することに……というお話。この主人公、日本人ながらも身長2メートル超え。スケールがデカい。初っぱなから迫力ありまくりな見開きもぶちかましてくれたし豪快極まりない。やっぱりこの人の爆発力はすごいわ〜。面白くなりそうなんで、当然期待大。作:末田雄一郎+画:高橋のぼる「絶叫教師エディー」が最終回。案外正統派の熱血教師漫画だった。連載中はそんなに触れてなかったけど、けっこう好きではありました。

【雑誌】ヤングサンデー 4/18 No.18 小学館 B5中

 遊人「PEACH!」。久しぶりにすごいと思った。校長とレースクイーン奥名西香(おきな・すいか)ちゃんの乳ボクシングの豪快さに呆然とする。なんか悪夢のような乳だな、これは。

【雑誌】ヤングジャンプ 4/18 No.18 集英社 B5中

 清野とおる「青春ヒヒヒ」。最初のコマから珍子と花子がレズっていたりするのに、それが物語に、というか次のコマにさえ影響を及ぼさない。細かい部分で意味もなくギャグを仕込んでいるところが好きだ。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 4/18 No.19 秋田書店 B5平

 八神健「ななか6/17」。17歳ななかの策略で、人格統合への道(?)は急進展。なかなかキツい展開になってきている。次の展開が気になる。伯林「しゅーまっは」。今回は藤宮さんにメイド服。おいしいな。そういえばこの作品、萌え系ではあるものの巨乳がいないな、とかふと思った。松山せいじ「エイケン」。春とくればプール。えっ? いやあもうとにかく水着でHなシーンを描きたかったから描いたという男らしさがたまらない。なんかパイだのズリだのいうておるしのう。あ、そういえば高橋陽一「ハングリーハート」も載っている。今回はわりとまとも。

【雑誌】キングダム 5月号 少年画報社 B5中

 今回は「キリン」スペシャル。とう感じで巻頭カラーで新作41ページと再録59ページの100ページが掲載。法田恵「こんすとらくたーず」は、梶と麻衣が仕事で温泉旅館に。湯あたりした麻衣の様子が色っぽい。そろそろ雪溶けが近いかな、と思ったらまた一波乱ありそうな展開。

【単行本】「龍」30巻 村上もとか 小学館 B6 [bk1]

 ついに30巻。これだけ長く続いているお話ながら、コンスタントな面白さをキープしているのはさすがの地力という感じ。これだけの大我ドラマとなると、過去に登場した人物たちが久しぶりに復活してきたりとか、長い作品でないと味わえない面白みが出てきてまたおいしい。

【単行本】「軍鶏」15巻 作:橋本以蔵+画:たなか亜希夫 双葉社 B6 [bk1]

 この作品もずいぶん長くなった。今回は中国に渡ったリョウが、謎の老師の導きで拳法修行に励む。この手の特訓シーンってわりと好き。きちんと描くとその後のアクションシーンの説得力が増すし。


4/3(水)……焼きたてがやってきた

▼太田出版のF&EROTICS掲示板によると、華倫変「カリクラ」と町田ひらく「町田ホテル」が4月16日発売予定とのこと。んでもって「カリクラ」には講談社版では未収録だった作品が収録されるとか。購入確定。

▼早売り
【雑誌】キングダム 5月号 少年画報社 B5中
【雑誌】ヤングアニマル増刊 嵐 5/19 Vol.7 白泉社 B5中
【雑誌】桃姫 5月号 富士美出版 B5平
【雑誌】コミック大我 5月号 桜桃書房 B5平

 コミック大我(6日発売)は休刊号。

【雑誌】オールマン 4/17 No.8 集英社 B5中

 里見満「Rainbow Life」(本宮ひろ志プロデュース)。ゲイライフを生っぽく、かつ男らしく描いている作品でけっこう気に入っているのだが、掲載順は順調に後ろのほうにいっている。単行本出てくれるといいんだけど。

【雑誌】週刊少年サンデー 4/17 No.18 小学館 B5平

 田中モトユキ「リベロ革命!!」が最終回。わりとアッサリ。確かに藤原学園を超える敵はなかなか出しにくいし、あんまり引っ張ってもしょうがないとは思うのだけど、女コーチによる特訓編とかがけっこうボリュームあっただけに、その成果はも少し発揮しても良かったかも。あと要がリベロに完全転向してからの話はもっと突き詰めて欲しかったかな。ともあれここまでの連載はアツかったし、正統派スポーツ漫画としてコンスタントに楽しめた。なお、次回作はNo.23から野球漫画の新連載を始めるとのこと。あと、今号は読者ページが赤青インクの2色刷りで8ページもある。なんか無駄に力が入っている感じが趣深い。

【雑誌】週刊少年マガジン 4/17 No.18 講談社 B5平

 久保ミツロウ「3.3.7ビョーシ!!」が巻頭カラー。いやー、この人は女の子描くのうまいね。単行本は買おうかな、と思いつつまだ買ってない。週刊連載だと気を抜いてるとすぐ10巻超えちゃうので、最近はわりと慎重になってたりする。連載完結時に一気買いというのでもいいかな。西山優里子「DRAGON VOICE」は相変わらずすごい。ライブ会場に高校球児が登場するくだりなんぞは呆気にとられてしまう。読んでいるとたいへんに気恥ずかしいが、そこを乗り越えるとマゾヒスティックな快感が。

【単行本】「焼きたて!!ジャぱん」1巻 橋口たかし 小学館 新書判 [bk1]

 たいへん少年漫画らしい勢いに満ちたパン漫画。日本人にとってのごはんをしのぐような、国名が冠されるようなパンを作りたいと志す少年が、自らの考案した「ジャぱん」によって有名なパン屋さんでメキメキと力を発揮していくみたいな感じのお話。どの回も演出が過剰なくらいで突っ走ってるのが魅力。馬にパンを食わせたら「馬味ー(ウマー)」といなないてみたり。ただし、バカなことやっても橋口たかしの絵柄がスタイリッシュなもんだから、単なるバカ漫画にならずエンターテインメントの枠内にちゃんと収まってる。素直に楽しい漫画です。それにしてもパンとはなあ。グルメ漫画の中では意外と珍しいジャンルかも。

【単行本】「花園メリーゴーランド」3巻 柏木ハルコ 小学館 B6 [bk1]

 現代日本の都市部の常識と、旧来の風習が今なお息づく寒村の常識の狭間で、平凡な一少年・相浦くんの心は千々に乱れ続ける。西欧的な価値観では測れない土着の風習と、現代的な恋愛をミックスして描いた物語は非常に興味深いものに仕上がってるし面白い。まだまだいろんなことが描かれていきそう。少年が現代都市部で身につけた、当たり前と思っていた価値観が、けしてすべての場所で通用するわけではないということに気づいていく様子とか、すごくうまく描けているなあと思う。

【単行本】「藍より青し」8巻 文月晃 白泉社 B6 [bk1]

 ハーレム状態ますます進行。今回はやけに葵が薫に甘えていて、もう激甘。この作品ならではのこっぱずかしい恋愛模様が強力に前面に出ている巻だと思う。こういう「今どきこんなことを……」的なことを天然でやってるっぽいところが良い。ただ主人公の薫くんはですな、子供のころにしか会っておらず成長した自分を見ないで妄想を膨らませていた葵ちゃんよりも、これまでの自分を見続けて正当に評価し惚れてくれているティナとかのほうをむしろケアするべきなのではないかと思わないでもない。あとメイド服着ている巨乳めがねっ娘もどうにかしたほうがいい。

【単行本】「ヨコハマ買い出し紀行」9巻 芦奈野ひとし 講談社 B6 [bk1]

 いつも変わらずゆったりマイペース。風景は美しく、人(というかロボット)の振る舞いは小気味よい。線の滑らかさ、身構えない自然体なスタンス。のんびりとして居心地の良い黄昏をきれいに映し出している。うまいですなあ。

【単行本】「警視総監アサミ」6巻 作:近藤雅之+画:有賀照人 集英社 B6 [bk1]

 読むとたいへん虚無的になれる作品。なんというか、ここには何もない。意味のない捜査活動、意味のないドラマ、そして意味のないエロス。デスエロ〜ス。刑事ドラマとしての歯ごたえのなさは筆舌に尽しがたいし、たぶんこの作品の主題であろうエロシーンでさえ不思議な違和感を漂わせている。いつも「なんだろう、この漫画は?」と思わせてくれるワンダーゾーン。ヘンな意味で刺激的です。


4/2(火)……シープ怒濤

▼新宿トーアで映画版「羊のうた」(原作:冬目景)を観てきた。で、感想なんだけど、うーん、正直言っていまいち。1時間50分は長く感じた。そもそも原作からしてストーリー展開の面でのダイナミズムはあんまりないんで、基本的に雰囲気作りが勝負になってくる作品だと思う。その点、原作に忠実に作ろうとしている様子は伺えたのだけど、実写だとなんか生っぽすぎてキツい。血の描写とか、頑張っているなとは思ったものの、それでも美しさよりも怖さが先に立っちゃう感じ。原作のほうは冬目景の絵というすごく美しい武器があるんだが、映画のほうにも何かそういう映像的に高級感を出せる仕掛けが欲しかった。たぶん予算もそんなないだろうから難しいとは思うけど、それならそれでいっそまったくの新解釈を施しちゃうくらいでもよかったんじゃないかな。原作はまったく考慮せず、独立した一本の作品と見ても少々退屈。

 ただ、女の子はけっこう良くて、とくに八重樫さん(美波)はなかなかかわいかった。まあ映画での描かれ方だとなんでそんなに彼女が一砂に惚れるんだかよく分からんけれども。高城一砂(小栗旬)は悪くないんだけど、なんか背筋のラインとかがダルそうでシャンとしてない感じが気になった。もう少し硬質であってほしかったところ。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 4/16 No.8 講談社 B5中

 ほぐしやしょーがほぐしやしょー。新井英樹「SUGAR」。今回はボクシングシーンはなく、リンと千代が再び会うというエピソードなのだけど、動きのない回も面白い。千代がずっとツレない態度をしているかと思いきや、最後の3ページで強力な一言。セリフといいタイミングといいその後の表情といい、かーっ、うまいねえ。新人の橋本エイジ「ヒットマンブルース」は、矢印マークの使い方とか線の感じとか、松本大洋の影響を感じさせる作風。線の感じはまとまっててわりと好き。堂高しげる「全日本妹選手権!!」。なんか一挙に新入部員が3人も。なんでもいいから増やしとけっという勢いがよろしいと思います。単純に賑やかで楽しいし。

【雑誌】漫画アクション 4/16 No.16 双葉社 B5中

 うーんあんまり面白くなし。「軍鶏」がなかなか復活しないし。そんな中、格闘アクションとして作:かわさき健+画:宮田淳一「颶風」はコンスタントに面白いと思う。骨太で読みごたえがある。でも今回のサブタイトル「オーリーを探せ!!」はちょっと笑った。

【雑誌】コミックバンチ 4/16 No.18 新潮社 B5中

 作:上野二郎+画:小野洋一郎「報復のムフロン」が巻頭カラー。しっかりお話が盛り上がってて面白い。絵柄的にもクドすぎないし、なかなか良い調子。渡辺保裕「ワイルドリーガー」は、40回以上かかってようやくシーズンが開幕しそう。いや〜ここまで長かった。こせきこうじ「株式会社大山田出版仮編集部員 山下たろ〜くん」。なんで草野球の試合に、雑誌の売れ行きがかかってこなきゃならんのか、という感じではある。というか素直に野球漫画にしちゃってたほうが良かったかも。あと、世界漫画愛読者大賞エントリー作品は、今号で第10弾、南寛樹「熱血!!男盛り」が掲載されてすべて出揃ったことになる。まあ大賞が出るかどうかはともかくとして、個人的にはけっこう面白く読めた作品が多かったので、これからも賞のほうは続けていってほしいなと思った。

【雑誌】漫画サンデー 4/16 No.15 実業之日本社 B5中

 小田扉「マル被警察24時」は今号も味があって面白い。今回は始末書がたまってしばらく現場を離れることになった赤山が、着ぐるみを着せられ警察の正義をアピールするアトラクションショーに出演させられるというお話。ムボー君、なんか体当たりなキャラでいいね。顔も。

【単行本】「MOONLIGHT MILE」3巻 太田垣康男 小学館 B6 [bk1]

 好調に面白さを持続している感じ。宇宙飛行士やその周囲の人たちの生き様がこの作品のメインだけれども、それぞれが汗をかいてじたばたしているところに人間くささを強く感じる。壮大な宇宙のロマンよりも、卑近な人間ドラマに焦点を当てている。このあたりは、もう一方の宇宙モノ「プラネテス」とはまた違った味わいだが、どちらもしっかり読みごたえのある作品となっていて面白い。

【単行本】「瀕死のエッセイスト」 しりあがり寿 ソフトマジック B6 [bk1]

【単行本】「弥次喜多 in DEEP」7巻 しりあがり寿 エンターブレイン A5 [bk1]

【単行本】「景気ばくはつ。」 しりあがり寿 エンターブレイン A5 [Amzn]

 しりあがり寿3連発。

 まず「瀕死のエッセイスト」は、今にも死にそうな男が、死とは何かということを見つめ続けるという物語。薄暗い雰囲気をたたえたまま進む物語は、静かなだけにひしひしと迫ってくるものがある。ここで描かれる死は絶望ではあるんだけど、絶望もそれが常にあるものならそんなに悪いもんでもないなと思えてくる。「弥次喜多 in DEEP」は、お伊勢さん詣でを果たした弥次喜多と最後まで道中を共にした鳥男が、弥次喜多不在をいいことに人々を扇動し、「リアル」の旗の下、狂信状態へと導いていくというのがこの巻のあらすじ。リアルを求めるあまりに崩壊していく社会、人々の熱狂が怖い。お話はまだまだ続くけれども、これからの展開がやはり楽しみだ。「景気ばくはつ。」はサラリーマン系のナンセンスギャグ。爆発的に面白いってほどではないけれども、気負わず脱力したままさらさら読んでいける作品。


4/1(月)……雷神銀箔と

【雑誌】近代麻雀 5/1 vol.411 竹書房 B5中

 新連載、画:旭凜太郎+作:花村奇跡「騙し屋」は、マジシャンが主役の麻雀漫画。というと、最近読んだばっかりなんで青山広美「バード〜砂漠の勝負師〜」を思い出してしまった。片山まさゆき「牌賊!オカルティ」はオカルトどうのこうのいっているけど、牌の動きがストイックに描かれてる感じで、麻雀は最近全然やっていない身ながらも読みごたえあるな、と感じた。

【雑誌】ビジネスジャンプ 4/15 No.9 集英社 B5中

 甲斐谷忍「ONE OUTS」。今回のスパイ行為のトリックは、たぶんそうじゃないかなーと思っていた通りだった。むしろその破り方のほうが面白そうだ。作:夢枕獏+画:谷口ジロー「神々の山嶺」は、いよいよ羽生によるアタックが開始される。やっぱりこの漫画は山に登ってこそ。これからの展開はますます楽しみ。

【雑誌】ヤングマガジン 4/15 No.18 講談社 B5中

 蓮古田二郎「しあわせ団地」。やけに肥えてしまったはじめが、金持ちの家の巨大犬と徳次郎を交換してきてしまう。夫婦揃って相変わらずしょーもない。なんかすごく平和だ。桜場コハル「今日の5の2」が掲載。なんだかヒマそうな女の子二人が、独身男の家に勝手に押しかけてごはんを作ってあげるも、彼女に誤解されちゃってあらたいへんというお話。今回は恋愛風味がなかった分、も少しドタバタは欲しかったかなという印象。でも居心地の良い雰囲気作りはやはりけっこうなもの。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 4/15 No.18 小学館 B5中

 現代洋子「おごってジャンケン隊」最終回のお相手はちばてつや。場所が「BARレモンハート」でご主人が古屋三敏、さらに「山口六平太」の高井研一郎まで乱入してくるあたりはなんだかジーンと来てしまった。見ル野栄司「パンタロン」は新連載。何か妙にアナクロでアツい男が学園にやってきた!というところから始まる学園ギャグってところかな。この人のワイルドなノリはけっこう好きなんで期待。のりつけ雅春「高校アフロ田中」。いやー頭悪くていいね。高校生男子らしいムンムンくるものを強く感じさせる。単行本1巻もちゃんと4月26日に発売になるし。掲載順で「高校アフロ田中」の次が朔ユキ蔵「つゆダク」なのは狙ってのことかな。主人公のバカっぽさではこちらも田中に負けず。青山広美「格闘太陽伝ガチ」。ハルク・ホーガン的おっさんがカッコよくパワフル。読ませますなあ。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 4/15 No.18 集英社 B5平

 河下水希「いちご100%」。順調にラブコメしまくり。ウハウハ&生殺し状態。いろいろやっているのにも関わらず、パンチラが実は1回しかないのは意外な点。感覚的にはもっとパンチラがあったかのような読後感なのに。あと、5月8日発売の赤マルジャンプに鈴木央「ライジングインパクト」の続編が掲載されるそうな。巻末カラーで53ページとのこと。

【単行本】「DEAD SPACE」1巻 SUEZEN 幻冬舎コミックス B6 [bk1]

 なまめかしくてよろしいです。大学の医学部に納められた死体標本の女郎の生涯を巡る物語、それからヒロイン格である紅絹(もみ)の田舎でのエピソードが、交互に展開されるという感じ。エロチック、というか官能的なことを描いているけれども、あくまで和風情緒なきめ細かさを感じさせてくれるのが良いところ。それにしてもこの人の絵は特徴あって面白いね。見るたびに思う。

【単行本】「テスタロト」3巻 三部敬 角川書店 A5 [bk1]

 カッコイイです。教皇派と王室派が宗教対立している真っただ中で繰り広げられるアクション。宗教の暗黒面的なことを描いているだけに、三部敬の黒々としたスミベタの利いたタッチが引き立ってる。天心爛漫な新キャラ、ルチッチも登場して、物語は好調に展開中。モンスターとかでなしにあくまで人間同士が戦ってる分、西欧中世的なファンタジーであっても安くなってない感じ。

【単行本】「ORANGE」2巻 能田達規 秋田書店 新書判 [bk1]

 2部リーグからの昇格を目指して、弱小地方サッカークラブの奮闘は続く。きっちりとしてて面白い。もう少し荒々しさガ欲しい気もする。あと練習シーンももっとあったほうが説得力は増すかなーといったところ。


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