2002年6月下旬


6/30(日)……ゾイドひどいぞ

▼↓の部分書きかけのままアップしちゃったのでちと修正。

▼OHP月極アンケート新テーマ、7月は「ロボットもの」ということで。サイボーグ、アンドロイド等々、いろいろOKです。「セクシーボイスアンドロボ」は……違うような気がする(←とか書いたのにさっそく入ってる)。6月の「格闘・拳闘・ケンカ漫画」は終了です。テーマ決めたときから「バキ」がぶっちぎりかなーと思ってたけど、「エアマスター」と同数で1位に。やっぱり「バキが1位ってのはベタすぎる」という意識が投票するときに働いたのではないかと。

▼所用により外出をしていたため、サッカーW杯の決勝戦は観ることができず。でもまあどうせDVDとか出るだろうしまあいいかー。帰りはけっこう遅い時間になってしまったんだけど、W杯のおかげで横浜線が特別運行になっていて、夜の1時30分になっていたにもかかわらず電車があって非常にラッキー。それにしてもW杯もついに終わっちゃったんだなー。なんだかんだいって面白かったし、次の大会もすごく楽しみ。それよりも3年後のW杯予選のほうが楽しみだけど。今回のW杯は予選がなかったから正直もの足りないところはあったんだけど、3年後にはあのビリビリしびれる日々がまたやってくる。待ち遠しい。あと次の日本代表監督の候補として、スポーツ新聞ではエメ・ジャケの名前が取り沙汰されてるけど、個人的にはいまいちかなーと思う。フランスW杯のときは優勝したけど、結局のところあのときのフランスは決勝トーナメントでFWが1点も挙げられなかったチームだし、日本にジダンはいないのだ。もう少し攻めの形を作れる監督さんがいいです。

【単行本】「アグネス仮面」2巻 ヒラマツ・ミノル 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 べらぼうに面白いと思う。ブラボー。ヒラマツ・ミノルという作家の持つ、力強さ、アクションの激しさ、描写の確かさ、ギャグテイストなどといった特性のすべてが、プロレスというものと非常によくマッチしている。今回の単行本では猪木的人物であるところのマーベラス虎嶋が抜群にいい味を発揮しているし、アグネス仮面の相棒となったマチルダ仮面のキャラクターも面白い。ギャグのシーンでは思わず声を挙げて笑ってしまうくらいユーモラスであり、アクションシーンは息を飲むような迫力がある。正直いって早く続きが読みたくてたまらない。

【単行本】「花園メリーゴーランド」4巻 柏木ハルコ 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 こちらも充実している。柤ヶ沢という外部から閉ざされた村の因習の中で、何も知らない普通の少年である相浦くんの心は千々に乱れ続ける。一見のどかなように見える村のあちこちにある暗がりが、だんだん恐ろしく思えてくる。別段ホラーとかやってるわけではないのだけど、その村が持つ独自性、因習、歴史などのもろもろがからみつきのしかかってくるようで緊迫感がすごくあり、かなりハラハラさせられる。そろそろクライマックスが近そう。

【単行本】「ざこ検マルチョウ」5巻 高田靖彦 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 手堅く面白い。検事というと非常に冷徹なイメージがあるけれど、この作品内で描かれる人物たちは皆、それぞれに人間味があるし生な部分を感じさせる。なんでもかんでもうまく立ち回れるわけでなく、後にしこりを残しながらも生きて行くという感覚が、キャラクターを安易に取り扱ってないなという気がしていい。

【単行本】「ZOID惑星Zi」1巻 塩崎雄二 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

 機械生物ゾイドたちが住む惑星に墜落してきた少年が、最初は自分を襲ってきたけれど後に心を通じ合わせるに至ったゾイドのケーニッヒを操り冒険するという活劇。正直、塩崎雄二の名前買いだが、この人の漫画でこんなに女の子のパンツも胸も尻も出てこない作品を読んだのは初めてだ。健全な冒険活劇という感じでよく出来ているけれども、そのあたりこれまでの作品を読んできた身には少々もの足りない。やはり塩崎雄二の作風にはお色気が欠かせないな、と思った。まあコロコロコミックらしいのでそれはないものねだりなんだけど。

【単行本】「ベルセルク」23巻 三浦健太郎 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 超安定株。隙なく面白い。今回は待ってましたのあの人の鮮やかな復活劇もあり、今後がすごく楽しみになってきた。ガッツについてはますます情勢としては厳しくなっていきそうだけど、旅の仲間も増えて賑やかになってきて、これはこれで楽しい。

【単行本】「泥棒猫」2巻 大石まさる 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 ねずみ忍者活劇「くの一はおデコ出せっ!」がこの巻で完結し、久しぶりに泥棒猫マックのシリーズが復活。この人は根っから動物擬人化キャラが飛んだり跳ねたりするアニメ「名探偵ホームズ」的世界が好きなんだろうなあと思った。ときどきこの人はいったい何をやろうとしているのかと思うこともあるのだけれども、すごく楽しそうに描いているな〜というのも同時に伝わってくる。きっとこの人はかわいいもの好きなのだろう。こういうと疑われるかもしれないけれど、実は俺もかわいいもの好きなんです……。


6/29(土)……指令所の諸事例

【雑誌】ヤングキングアワーズ 8月号 少年画報社 B5中

 二宮ひかるの新連載「ベイビーリーフ」は、14歳の女の子が歳下の男の子のおうちにお呼ばれして、そのままいいムードになっちゃって……というお話。ちょっとキミたち早すぎです。知識も追いついておりません。でもドキドキです。トキメキます。ナポレオン率いるフランス軍のロシア戦役大敗走を描く長谷川哲也「1812 −崩壊−」は今回後編が掲載。アワーズらしくない男臭く濃いい絵柄で、お話も力が入っている。この作品はけっこう好き。歴史モノの漫画はけっこうあるけど、男性向け雑誌ではナポレオンを扱った作品って、とくに最近ではあんまり見たことなかったんで新鮮だった。考えてみるとこのほかにも意外と歴史ものっておいしいネタっていっぱいありそうな気がするなー。アレキサンダー大王とか。アワーズ系の新鋭では最近注目の水上悟志が読切「除霊師」で登場。傷を負った殺し屋がアパートの空室に逃げ込んで生死の境をさまよっているところに、除霊師を名乗る女性が現れその部屋にとりついていた子供の霊を除こうとする。すっきりした絵柄といやみのない話作りに好感が持てる。けど、あんまりお話の必然性はちと薄いような。

 脚本:田畑由秋+画:余湖裕輝「コミックマスターJ」。ここのところ表現の規制問題を扱っていて気になっていたんだけど……、うーん、なんじゃそりゃ、という感じ。「突破口はいくらでもある」というのは間違っちゃいないし、漫画の質を上げろというのも分からんでもないけど、だからといって「質でもって規制をねじ伏せろ」みたいな意見には納得しがたい。なんぼなんでも的外れだと思う。意外な意見を呈示すれば事足れりってもんでもなかろうに。「コミックマスターJ」についてはこういう底の浅さが随所に見られるのはいただけない。これがスポーツ新聞とか、別メディアで展開される論ならともかく、漫画マニア向けな雑誌において漫画について漫画で語るんだから、そういうターゲット読者層が納得できるような説得力のある意見が欲しい。

【雑誌】快楽天 8月号 ワニマガジン B5中

 かるま龍狼「人妻姫」はいよいよクライマックスが近いかな? ギャグが基本だけどエロもちゃんと見映えがするしいい仕事してますな。陽気婢「内向エロス」。この年上の女性の流し目はソソるなあ。こんなふうに見られたらそりゃひとたまりもありませんや。月野定規「おませなプティ♥アンジュ」は次回で最終回とのこと。最近とみに摩耶ちゃんが可愛くなっていたのだけれども、そこに彼女の婚約者を名乗る魔族が現れピンチに。その中で下される摩耶の決断とは……というのが今回のお話。もうすっかり彼女が主役な感あり。

 そろそろ単行本が発売されるはずの上連雀三平「飲尿女神」だが、今回は万引き防止のために飲尿女神たちが尿を飲みつつ大活躍。ああ、でもやっぱり上連雀三平はおちんちんを消されてるとなあ。いつかおちんちんありの完全版が読める世の中が来てくれることを切に願うものであります。朔ユキ蔵「少女、ギターを弾く」は久々の掲載。少女のギター、そして行動はさらに衝動的に。そしてその引力に引っ張られていく女の子が一人。なんかこう爆発力があって、読んでるとスカッとするのがいい。

【雑誌】ラッツ 8月号 司書房 A5中

 同社のオルカに続いてこちらも隔月に。両方ともA5中とじの隔月誌で、大して雑誌の性格も変わらないんだから二つまとめて月刊誌にしちゃえばいいじゃんと思ったりするのだが、まあそうもできない理由も何かしらあるんでしょうな。KASHIみちのく「没収人」は、大きくて派手に揺れるおっぱいが相変わらず派手。精液の噴きっぷりとかも楽しげでおめでたい。こういう明るい漫画は好きだー。火野聡司「愛の嵐!!」。かつての幼なじみだけど、今は片やコギャル、片やガリ勉風のメガネ君な二人が久々に仲直り&やっちゃうというお話。ギャルギャルしい女の子だけれども、ナイーブな面もあってけっこう可愛い。

【雑誌】エンジェル倶楽部 8月号 エンジェル出版 B5平

 ミルフィーユ「のどかさんに会いたい」。公園の散歩中だった小説家の女性のどかさんが、しげみに迷い込んだらそこでオナニーしている歳下の男の子に遭遇。思わず母性本能がくすぐられちゃったのどかさんは、その男の子といい仲になっていくというお話。いつもながらにこの人の描く女性はたいへんに豊満。男の子のほうも1日10回オナニーという元気の良さ。この人はわりと1日に何発でもできる系のキャラを出すことが多いように思うのだが、なかなかうらやましいものです。部屋は臭くなりそうだけど。奴隷ジャッキー「巴」。いよいよ柔道娘、大イタズラ大会が佳境へ。それにしても「ブピッ娘。」(プピプピひりだす穴で感じちゃう女の子の総称)という単語は初耳だー。奴隷ジャッキーのヘンな言語センスにはいつもしびれる。

【単行本】「魔法少女猫たると」2巻 介錯 集英社 A5 [bk1][Amzn]

 介錯先生は本当にすごいな。なんというかものすごく思いっ切りがいい。猫たちを全員猫耳少女として描くというのもそうだし、ただただ甘えまくる振る舞いとかファッションとかもそう。ときどきたるとたちにとってちょっぴりつらめなことも描くけれど、基本はあくまでも脳天気。この巻はとくに、たるとがまたたびをなめちゃって頭ぐるぐるになるとか、もちが喉に引っかかって酸欠→幻覚を見るとかの、脳内麻薬ハジケ系なシーンの描写がすごい。絵がかわいいだけに、よりぶっ飛んだ感じを受ける。介錯先生の脳内ファンタジーは止まるところをしらない。素晴らしい。

【単行本】「ミルク中毒」 友永楓人 一水社 A5 [Amzn]

 友永和から友永楓人にペンネームを変えて初の単行本。内容は、人気女子アナウンサーが、巨乳で乳首たちまくり母乳出まくりでやられまくる連載「SUZUKA」が中心。最近はこのような乳首がにゅーっと伸び、精液母乳愛液など、体液どぱどぱなハードエロスというのは珍しくなくなったけど、昔っからおなじみだしその描写は相変わらずエロい。エロ以外の何かがあるかといわれるとあんまりないタイプなのだが、個人的には自分の巨乳好きを強く意識させてくれ、学生だったころかなりお世話になった記念すべき作家であるし思い入れは深い。

【単行本】「LOVE BITES」 天竺浪人 三和出版 A5 [Amzn]

 これはすごく面白かった。ひとことでいえば、愛と肉欲のアンバランスが生み出した、いびつに歪んだ家族のドラマということになる。若くて美人の母・美咲は、双子の息子の片方キヨシは普通の恵まれた少年として育て、もう一人であるツヨシを小学生ながら自分のアナルを掘らせるための肉人形として仕込み、彼は自分のアナルから生まれてきた息子として貶めながら育てている。自分をメスブタと罵らせスパンキングをさせ、それが満足にできないようなら容赦なく殴る蹴るといった虐待を加える。彼女をそのような行いに走らせたのは、学生時代に同級生から肉便所として扱われていた経験と、勃起不全の夫の存在だった。

 過去の記憶を嫌悪しつつも、熟れた身体はその刺激が忘れられない。しかもそうやって虐待されていた環境に救いの手を差し伸べてくれた夫への愛は存在し、欲情との間で板挟みとなった彼女は、自分の想念の中で「自分を思うさま蹂躙するもう一人の夫」を作り上げてしまう。そして夫のほうも妻の肉体を満足させられないことで、自分を苛み続けている。そんな状態で虐待されている息子・ツヨシは肉棒で母の尻を征服することを共用され、父母は愛し合いながらも狂気の度合いを強めていく。むしろかやの外に置かれているのは、健全に育てられているはずのキヨシともいえる。

 まずはツヨシとキヨシという双子の少年が恐ろしく対照的に扱われる序盤のインパクトは強烈だし、美咲のエキセントリックな行いを見せつけたうえで、その奥に潜むものを徐々に解き明かしていく展開は読む者を物語にぐいぐい引き込んでいく。最初は影が薄いかなーと思われていた夫の存在もだんだん重要性が増していき、愛と狂気が重なって悲劇的で刺激的な物語を構成している。関わった者たちを暗闇の中に引きずり込むかのような満たされない虚無って感じの雰囲気作りは見事だし、全10話の各話にそれぞれインパクトがあって読みごたえバッチリ。重さ、暗さ、妖しさを湛えた天竺浪人らしい一作。

【単行本】「琴線」 斉藤佳素理 ジェーシー出版 A5 [Amzn]

 蜈蚣Melibe=斉藤佳素理が、フラミンゴ亡き後、MUJINに舞台を移して描いてきた短編エロ作品をまとめた作品集。「バージェスの乙女たち」みたいな人体改造とかのグロめなネタはなく、エロのトーンは明るいというか無邪気というか。ノリが過剰なところはあるけれども、この人なりにすごく楽しんで描いている感じがする。そして情熱的な作風はやっぱり変わってなくって、とくにフェラチオシーンはテンションが高い。あと描写が全体にすごくねっとりとしてて濃いのは相変わらず。読んでて楽しかったのは、富豪になった人が貧民になった人にHなイタズラをしかけることができる大貧民ゲームをやっているクラブのお話「貧民同好会」、それから保険の男先生と彼をとりまく3人の女達との激しいエロシーンを描いた「保険医フルサワ」あたり。それからクラスの性欲処理係とされているイジメられっ娘の悲惨な生活を描く「オメガの日」は切ない幕切れが印象に残る。


6/28(金)……劣位と美

▼OHP月極アンケート6月分「格闘・拳闘・ケンカ漫画」 、もうすぐ締切ですんで投票お済みでない方はお早めにどうぞ〜。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 7/12 No.14 小学館 B5中

 星里もちる「本気のしるし」。最近は浮世さんが人の気持ちの分かる人間になっていてショックだ。それから辻の零落っぷりもなかなかすごいものがある。だいぶお話がまとまるところにまとまっていきそうな雰囲気になってきた。

【雑誌】コミックバンチ 7/12 No.30 新潮社 B5中

 原哲夫「公権力横領捜査官 中坊林太郎」は再録分のストックが今回のでおしまいみたいだけど、次からはどうするのかな。「熱血江湖」復活……はないだろうな。坂本タクマ「屈辱er大河原上」。意外と今までのお話で使ったネタがそれ以降も生きているのが面白い。扉ページの「そろそろ単行本化か!?」の文字が激しく気になる。

【雑誌】ヤングアニマル 7/12 No.13 白泉社 B5中

 竹下堅次朗「Bless You!」。今回は女学校内喫茶店に毎年やってくる、口うるさい伝説的常連客のお話。なんか絶妙にしょーもないなー。緊張すると胸が震えるというのはもちろんのこと、とにかく竹下堅次朗がやりたいことをやっているという感じがいい。そういえば竹下堅次朗といえば発売日未定になっちゃったままの「よいこの唄」の単行本はどうなるんだろう。単行本出るって聞いたからメガキューブ何冊か処分しちゃってて、半分くらいしか切り抜きできてないんだけど……。みずしな孝之「戦え!アナウンサー」。ほう、急展開、でもないけど大きな展開ですな。作:あかほりさとる+画:板場広志「マウス」。マウスはソレを我慢できないというかすごいヤリっぷり。マウスって今までずっと受け身タイプなのかなーと思っていたけど別にそうでもなかったのね。

【雑誌】フラワーズ 8月号 小学館 B5平

 西炯子の新連載「STAY」がスタート。第一話めは、複数の学校から女の子たちが集まり、名門の女子短期大学の寮生活を体験するというサマースクーリングに参加した玉井由美さんが主人公。彼女は女性としては非常に背が高く、美青年と見間違うようなキリリとした容姿をしているが、実はけっこうな乙女心も秘めている。でも同じく体験入学に来た周囲の女の子たちは、彼女を男装の麗人のごとく扱うので、玉井さんは居心地の悪さを感じる。そんな中で短いながらも友人と出会い、素敵な体験を持って帰るという物語。完成度の高い美しい絵柄と、決めるときはきっちり決めるキレのいいストーリーで、面白く読めた。次回は玉井さんの友人がメインのお話になるとのことなので、オムニバス形式でいろんな少女の物語を描いていくって感じかな。吉野朔実「記憶の技法」は、主人公・華蓮が親にナイショで修学旅行をサボり、自分の旧籍がある福岡へ、出生の秘密を確かめる旅に出る。少しずつ秘密に近づいていく、ミステリアスな展開は興味をそそられる。

【雑誌】コーラス 8月号 集英社 B5平

 別冊マーガレットで連載されていたきら「まっすぐにいこう。」がこちらで連載再開。掲載誌は変わったけど、今のところとくに雰囲気は変わらず。ペットものの作品は少女誌よりも成人女性向けのほうがよりウケが良さそうな気はするので、掲載誌変更は正解かも。松田奈緒子「レタスバーガープリーズ.OK,OK!」。今回は小説家である綾が敬愛する、老女性作家とのエピソード。この老女性作家の姿が、シャンとしててカッコよく、好もしく描けている。「書くことは鬼の仕事」という言葉には思わずドキーンとする。

【雑誌】メロディ 8月号 白泉社 B5平

 勝田文「あのこにもらった音楽」。元天才ピアニストと、彼に嫁いできて実家の旅館を手伝っている若奥さん梅子の日常。絵柄もお話も軽やかでリズミカルで雰囲気良好。毎度面白い。

【雑誌】阿ウン 8月号 ヒット出版社 B5平

 師走の翁「シャイニング娘。」シリーズ最終回、「LOVE BRIDGE」は58ページの大ボリュームで掲載。娘。たち、そしてファンを巻き込んだ肉欲の宴は最後へと向かって突っ走る。そしてその後は意外な結末に。でも面白かった。怒濤のエロシーンは十分実用に堪えるし、締めくくりもきれいで前向きで、正直けっこう感動した。娘。のメンバーそれぞれも可愛かったし最後まで大充実。いい作品だったー。単行本は8月8日に上巻が発売されるとアナウンスされている。上巻出てすぐ読むか、それとも下巻出てからまとめて読むか、ちょっと迷っちゃうな。

 すっかりエロ方面に定着した感のある幸田朋弘はついに巻頭カラーに。「とりぷるさんしゃいん」。とある漫研の打ち上げ合宿で、部員の男と彼に恋する後輩の女の子、それから先輩の女の子の3人がからんでH……というお話。後輩ちゃんは可愛げがあっていいし、なんか楽しげに描いてるなーという感じ。牧部かたる「ドクターチェック」。美人女医が往診先の爺さん3人に、媚薬を盛られ催淫ローションを塗られて散々にHなことをされまくるというお話。媚薬系のお話はツボなのでけっこうグッと来た。やっぱり女性があられもなくよがりまくり、それがたとえご都合主義であれその乱れっぷりに理由があるってのはいいですわ。

 4色カラー4ページ、あきやまさんしろ「第七感★」。この人はなかなか量感のあるいい乳を描きますな。草野紅壱「MONTAGE」中編。親同士の再婚によって姉弟になった二人の禁じられた愛を描く。この人の作品は、けっこう上品っぽい絵柄なんだけど、Hな気分になったときの女の子の、熱に浮かされたような表情に色気があって好き。けっこうHのほうもボルテージが高い。

【単行本】「ササメケ」1巻 ゴツボ×リュウジ 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 待望の初単行本。イタリアに留学していた元天才サッカー少年の楽市(16歳)が、昔住んでいた日本の地元に3年ぶりに戻ってきて、そこの高校に編入。サッカーは捨てたといってぷらぷらしていた彼だが、なんだか周囲の後押しもあって結局サッカー部に入ることに。そこには変わり者だが部類のテクニシャンである先輩とかいたりして、元天才である彼からしてもなかなか侮りがたいところであった……というのが大ざっぱなあらすじ。それまで学園系の、絵柄はかっこいいけどヘンな味のあるギャグをやっていたゴツボ×リュウジだけに、馬鹿サッカー漫画にでもなるのかと思いきや、意外にもまっとうに面白いサッカー漫画となっている。キレのいい描線が光るシャレた作画は「熱血」という感じではないけれども、一味違ったスポーツ漫画という風味が出ていてなかなかイケる。学園漫画としても一癖二癖ありそうなキャラが多くて面白く読める。果たしてこのままオーソドックスなサッカー漫画として盛り上がっていくのかどうかはよく分からないけれども、今後さらに面白くなっていきそうな気配はぷんぷんしているのでこれからも要注目。

【単行本】「れ・り・び」2巻 ともち 幻冬舎コミックス B6 [bk1][Amzn]

 完結巻。祖母が亡くなる前に嫁さんの顔を一目見せたい武骨なサラリーマン青井秀哉は、ちょうど今まで想い続けていた男が母親の再婚相手となってしまい家を出たがっていた女子高生・鈴木空と、一年間だけの偽装結婚をする。そういったわけで二人の仮面夫婦生活がスタートするが、一緒に暮らすうちにだんだん二人の距離は本当に近づいていく……というお話。一つ屋根の下なんだけど一定のラインは守り続ける生活が、甘いトキメキをもって描かれていて面白かった。なんというかともちの絵柄は、肉付きがよくて健康的で、すごく人が良さそう。ラブコメを描くうえでこれは非常に大きな武器であり、ともちはそれをしっかり生かしきっている。いいねえ。


6/27(木)……棒・椅子・タイル

▼未読物
【単行本】「泥棒猫」2巻 大石まさる 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「魔法少女猫たると」2巻 介錯 集英社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「琴線」 斉藤佳素理 ジェーシー出版 A5 [Amzn]
▼早売り
【雑誌】阿ウン 8月号 ヒット出版社 B5平
【雑誌】快楽天 8月号 ワニマガジン B5中
【雑誌】ラッツ 8月号 司書房 A5中
【単行本】「ミルク中毒」 友永楓人 一水社 A5 [Amzn]
【単行本】「LOVE BITES」 天竺浪人 三和出版 A5 [Amzn]

 阿ウンの師走の翁「シャイニング娘。」シリーズ最終回。最後は58ページあって内容も大充実。最後までエロくて可愛くて、なおかついいお話で面白かった〜。詳しくは明日書きます。友永楓人は、友永和から改名後初の単行本。

【雑誌】モーニング 7/11 No.30 講談社 B5中

 菅原雅雪「暁星記」は非常にシリアスな展開。正直ここまでハードなことになっていくとは思っていなかった。今後のヒルコの道はどんどん厳しいものになっていくことだろう。先が気になる。

【雑誌】ヤングサンデー 7/11 No.30 小学館 B5中

 原秀則「レガッタ」はだんだん白熱してきた。レガッタを漕いでいるシーンはなかなかカッコイイ。恋愛方面はちょっと引きずりそうな感じだけど。かわぐちかいじ「バッテリー」。優勝の行方を決める直接対決最終戦。主人公・海部は30勝0敗、防御率0.00という化物的存在なのだが、そういう常識から外れた人間を描いているにも関わらず、ちゃんとお話を盛り上げてくるあたりはさすがという感じがする。

【雑誌】ヤングジャンプ 7/11 No.30 集英社 B5中

 高橋ツトムの新連載「ブルー・ヘヴン」がスタート。船内にカジノを有する超豪華客船が、難破している船から一人の男を救助するも、その船の中には殺人が行われたという思しき痕跡が……というところから始まる。今はまだ静だが、これから激動の展開が繰り広げられていきそう。まずはハッタリのきいた出だしで期待を持たせてくれる。高橋陽一「キャプテン翼 ROAD TO 2002」。現実のW杯が終わりに近づいていることもあって、なんとなくもう「ROAD TO 2002」という言葉のインパクトが薄れつつあるような……。まあそれはそれとして、今回はいつもながらの人名シリーズで「元ローマ監督カルロッペ氏」がツボ。最初っから翼を出しとけばマークが分散しただろうから、リバウールも怪我しなかっただろうに。ファンサール監督の失策といえよう。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 7/11 No.31 秋田書店 B5

 7月3日にデビューする4人組女の子アイドル「BOYSTYLE」の巻頭特集で、イラストを水野純子が描いている。水野純子が描くとやっぱり水野純子キャラだなあ。でその特集の後、巻頭漫画で瀬口たかひろの新連載「恋愛出世絵巻 えん×むす」がスタート。学校ではパシリにされてる情けない少年・蟻川義介のクラスに転校してきたすごくかわいいメイド服姿の女の子・ソーニャ。彼女はなぜかしらんが義介をご主人様として仕えるべくやってきたのだったーというわけで、そこから義介の生活も劇的に変わっていく……というお話。まだどういうふうに転ぶかよく分からないけど、今回はH系というよりはドタバタラブコメ色が強そう。小沢としお「フジケン」は最終回。サバサバして後味の良いきれいな締めくくり。馬場民雄「虹色ラーメン」。あらー、なんかもう伏線がバレバレのような……。

【雑誌】恋愛天国 VOL.4 竹書房 A5平

 次号から月刊化。やっぱり勢いあるのかな。 まあそれはともかくとして中身。池部ハナ子「トモダチのミチ」は、この本にしては珍しくあんまりHシーンがない。でもヒロインが、親友の彼氏であり昔なじみの友達でもある男と浮気してしまいだんだんその間の関係が怪しい雲行きになっていく……という状況はけっこう読ませる。今回で3回めだがだいぶ盛り上がってきた。東雲水生「無敵のダーリン!」。瑞々しい絵柄で読みやすい。この雑誌の中では一番男の子向けな絵柄かも。あと笹鳥小町「星のまにまに」も繊細で上品なペンタッチが好みで注目。

【雑誌】コミックミニモン 8月号 東京三世社 A5中

 ロリ系専門誌2号め。まずお楽しみはほしのふうた。「ミルキィツインズ2」。フタナリの双子姉妹が、学校のプールの時間にHな気分になっちゃって、体育用具質で絡み合うというお話。無邪気な表情、振る舞いがいつもながらにとてもいい。なんかもうほしのふうたについては、絵柄とあの明るいノリだけですでに降参という感じ。たまちゆき「愛のカタチ」は、妹はお兄ちゃんを恋い慕っているけれども向こうはその身体を利用しているだけで、友達の前でオナニーショーをさせたり投稿写真雑誌にそのエロ写真を投稿して賞金を稼いだりと、まあヒドい仕打ちなお話。この人の描く少女は顔を赤らめてドギマギしている風情が良いです。

【単行本】「幽玄漫玉日記」6巻 桜玉吉 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

 これにて完結。最終回は個人的にかなりキた。桜玉吉の日常を淡々と描いていくというのはこれまでと変わらないのだが、笑いと寂寥感と普通な感じがまぜこぜになってどーんと迫ってくる。とくに桜玉吉の父の姉で、もう半分ボケてしまって童女のように邪気のない精神状態になっているおばあちゃんのエピソードは胸に響く。この巻で描かれているお話は、なんかもうすごく生だ。絶望とかいうほどドラマチックじゃないし、鬱ではあろうけれども別に同情を求めるとかでもない。しかもちゃんと漫画として読者を引き込むだけの面白さを維持しつつ、あくまで恬淡と綴りつづける。

 この作品の中で描かれている重要なモノの一つとして「老い」というものがあると思うんだけど、それについて露悪的にならずクールすぎもせず、悟りきるでもなしに、それを「ああ、こんなものだなあ」となんとはなしに受け入れている。哀愁という言葉は近いような気がするけど、いささかオーバーすぎるか。漠然とした不安という感じかなあ。なんだかとても泣けた。作家日常モノでこれほどダウナーな姿を、いやったらしくなく親しみやすく描いた作品というのもまれじゃなかろうか。傑作だったと思う。何はともあれお疲れさまでした。

【単行本】「ピュアガール」 おがわ甘藍 松文館 A5 [Amzn]

 「best of Kanran Ogawa」と銘打たれた短編集で、全10本のうち6本が再録。というわけで4本は初収録なので、やはりファンとしては押さえなければならんでしょう。内容的には全編少女ロリエロス。首筋が細くて男の手にかかっては容易に手折られてしまいそうないたいけな少女が、快感に溺れていくというお話が基調。「いたいけな」とか「初」とか「ピュア」だとか、そういう言葉でついつい飾ってしまうけれども、実際おがわ甘藍の描く少女はとても可憐だ。それはもう古風なほどに。そういう現在にはいなさげな少女たちだからこそ、このエロスはファンタジーとして成立している。自分の指を甘く噛みながら快感に悶えるところとか、Hの内容はそれなりにハードなんだけど、あくまで仕草が乙女チックなのが最近のエロ漫画の中では珍しい。顔やしなやかな身体つきももちろんいいんだけど、手の表情でモノを語らせる呼吸がいい。それに反して男のほうは存在感が薄いというかボヤけていて、ただ単に「少女を穢す何か」」としてしか存在していない。まるで影のような存在で、その分女の子の華が際立っている。

「初少女」[Amzn]からの再録:「いけない子」「天の羽衣」「ジュリアは部屋で」
「いけない少女」[Amzn]からの再録:「スノウホワイト」「おとめの栄光」「「花芽摘き」
初収録:「魔叢」「蛍蔓」「観用蘭」「破瓜」


6/26(水)……私鉄交点

▼サッカーW杯は、ブラジル×トルコ戦でブラジルが勝利。負けたけどトルコはスピードもテクニックもあるいいチームだった。ベスト4まで来たのも頷ける内容。そして決勝はドイツ×ブラジルに。ついに世界最高のファンタジスタとリアリストがぶつかるのかーということで、途中まではゴタゴタあった大会だけど、最後は歴史的な組み合わせになってくれた。なんだかこのW杯は、ブラジルとドイツの初対決を決勝で実現するための大会だったような気さえしてしまう。ブラジルが勝ったほうがサッカーとしては面白いと思うけど、今回はむしろドイツのほうを応援。あと次回大会は面白いんじゃないかな。ブラジル、ドイツは決勝進出によりサッカー大国としての誇りをだいぶ取り戻したし、プライドをズタズタにされたほかの大国、アルゼンチン、イタリア、スペイン、ポルトガル、フランス、オランダといったあたりはいずれも名誉挽回を期してシャカリキになってくるだろうし。

▼この前の土日が休めなかったので、本日はお休みにする。そういえばその前の土日も働いて月曜日を休みにしていたような気がする。んでもってガーッと寝る。メシと本屋とサッカーW杯のTV観戦以外の時間はほとんど寝てた。おかげでだいぶスッキリ。でも今度の土日も仕事が入っちゃいそう。ブラジル×ドイツ戦はリアルタイムでは観られない可能性高し。まあ仕方ないか。

【単行本】「ラブレター」 アルコ 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 待ってました! 「スターレスブルー」[bk1][Amzn]に続く、アルコ2冊目の作品集。自分の少女漫画歴は非常に浅くて、まだ読み始めてから3年くらいしか経ってないのでこんなこというのもなんなんだけど、その乏しい読書経験の中で最もインパクトを受けた少女漫画の読切が、この単行本の表題作である「ラブレター」だった。

 「ラブレター」のストーリーは少女漫画としては実にありふれている。でもその表現が素晴らしい。学校の先輩に憧れラブレターを書いてはみたものの、思いきって渡すことができない。なんとか話のできる間柄にはなっても肝腎なことには触れられない。そんな少女の気持ちを描いていく。序盤はコミカルにお話は進み、後半に行くに従って恋という衝動を映し出す描写がどんどん透明感を増し純度が高まっていく。とくにラスト5ページの素晴らしさには鳥肌が立つ。それからこの作品は言葉がいい。「走る姿が」「とてもきれいだと思いました」という冒頭の言葉から始まり、主人公の少女視点からの、つたないけれど想いがいっぱいにこもったセリフの数々は、濾過され凝縮された純度の高い片想いのトキメキ、切なさに満ちあふれている。ほかの4作「ハローグッバイハロー」「みずいろ」「BACK MY HEART」「フォーゲットミーノット」もそれぞれいい作品なんだけど、やっぱりここは「ラブレター」。強くオススメします。

【雑誌】少年エース 8月号 角川書店 B5平

 祭丘ヒデユキ「強襲揚陸学園」は最終話。といっても2回めじゃん! しかもいきなりというか今さらというか恐怖の大王ネタで、それがサイボーグ女子高生とさいたま市を舞台に戦う。コレ以上ネタバレしてもしょうがないんだけど、さすが祭丘ヒデユキ。むやみやたらとパワフルでめちゃくちゃなギャグの連続。戦ってるていうかレイプしてるみたいですよ。くだらない。そして面白い。来月には単行本「コングラッチュレイプ」(晋遊舎)も出るらしい。すごく楽しみ。それから今号から、エースNEXT休刊に伴い、介錯「鋼鉄天使くるみ」がこっちへ移籍。もちろん介錯先生だけにやることが変わるわけがない。すごい!と思う。

 吉崎観音「ケロロ軍曹」。今回はどうもスクール水着が描きたかったらしい。いいよいいよ〜。吉崎観音の描く女の子は健康的でいい。ゴツボ×リュウジ「ササメケ」。面白いなあ。サッカー漫画としてちゃんとしてきている。とかく閉塞的になりがちなマニアックな月刊誌だけに、いつ読んでも入っていきやすいスポーツ漫画があるってのは雑誌的にもいいと思う。竹内元紀「Dr.リアンが診てあげる」。ノリノリでテンポがいいから思わず笑ってしまう。何やってもいけしゃあしゃあとしているところがいい。

【雑誌】ヤングゴラク 7/31 No.2 日本文芸社 B5中

 なんか克・亜樹画のマウスパッドが付いているんだけど、えーとコレもしかして優良さんですか……? 松本耳子の読切「おっぱい」は、彼氏が巨乳好きなのに自分のおっぱいが小さいのを気にしている女の子が、通販で巨乳薬を服用。本当に尋常じゃなくおっぱいが大きくなっちゃってびっくり……というHコメディ。軽いノリで楽しく読める。女の子がキャピキャピしている(←というのは死語なんでしょうか)のに意外と初々しかったりするところがいい味。こしばしげる「オタッキー伝説」は、コスプレするとそのキャラに成りきって激強になる主人公が、ヤンキーものの主人公に変身して大暴れというお話。最近オタクを主人公とした作品が増えているけど、その中にあってこの作品は自虐っぽいところが全然ないのがいいなと思った。

【雑誌】スーパージャンプ 集英社 B5中

 徳弘正也「狂四郎2030」。コンスタントに面白い。真面目な話をしている中に下ネタギャグを織り込んでも、それが物語全体のシリアスさを全然損なわないだけでなく、ちゃんとギャグとしても機能している。ここらへんの呼吸はお見事。作:浅田次郎+画:幸野武至「天切り松闇がたり」。今宵、天切り松が語るのは松の盃親である目細の安吉、そしてさらにその盃親である仕立屋銀次とのつながりについての物語。親分子分の仁義が、熱くカッコよく描かれている。男気にあふれていて読みごたえあり。

【雑誌】週刊少年サンデー 7/10 No.30 小学館 B5平

 橋口たかし「焼きたて!!ジャぱん」。なんかすごいな……。なんかスッカリ色モノに徹しているところが潔くていいと思う。ゆうきまさみ「KUNIE」と石川優吾「どりる」は揃って最終回。菊田洋之「HORIZON」も最終回が近そうな雰囲気。そろそろ誌面の改革を考えているのかも。「KUNIE」は最近ちゃんと追っかけてなかったのだが、「どりる」は実はわりと好きだった。お色気サービスも目立つ作品ではあったけど、学校モノ、教育モノとしてもけっこういい作品だったと思う。

【雑誌】週刊少年マガジン 7/10 No.30 講談社 B5平

 森川ジョージ「はじめの一歩」。板垣vs.牧野戦決着。きっちりと勝負にケリをつけてて見ていて気持ちがいい。一歩近辺の人間ではわりと脇キャラ感の強い板垣だけど、こういうキャラも大事にして描写を疎かにしないあたりいいですな。あと牧野も完全に脇なんだけど、それでも人間ドラマはしっかり描いてるし。

【雑誌】コミックテンチュウ vol.10 ホーム社 B5平

 ならやたかし「帰ってきたケンペーくん」が最終回。これ目当てで買っていた雑誌なので、今後はしばらく様子見。そういえば前号からちばあきお「プレイボール」の再録が始まっているのだけど、読み返してみてもなんだかんだけっこう面白い。家には単行本もあるというのに。やっている野球自体は素朴でプレイのレベルは高くないと思うんだけど、スポーツ漫画として重要な何かをちゃんと持っているので今見ても楽しめる。その何かってのが何なのだかつい考えてしまう。

【雑誌】LaLa 8月号 白泉社 B5平

 津田雅美「彼氏彼女の事情」では、有馬幼少時のキツいエピソードが語られる。最近の展開は非常に緊迫感があって良い。まあ気楽にワーワーいって騒いでいる話も好きなんだけど。


6/25(火)……イス取り人

▼サッカーW杯のドイツ×韓国戦は、前半は仕事をやりつつときどきちらちらと。後半は仕事が片づいたのでのんびり観戦。いつも通りのサッカーを忠実に実行するドイツの揺るぎなさはさすがだなと感心。しかもドイツにしてはサッカー自体も面白かった。韓国はなんだか電池切れって感じか。いろんな意味で主役になった韓国だが問題はこれから。今後、親善試合とかやってぽろぽろ負けられたりしたら、今回のW杯の意義が改めて問われることになる。キバっておくんなまし。

▼「いつかちゃんと読まなきゃなー」という長年の宿題であった「ゲド戦記」(アーシュラ・K・ル=グウィン)全4冊、「影との戦い」「こわれた腕環」「さいはての島へ」「帰還」[bk1][Amzn]を読了。これまで「影との戦い」しか読んでなくてそれも数年前のことでありお話はけっこう忘れちゃっていたので、この機会に最初っから読み直し。今さらながら、なるほど、こういうお話だったのか〜と思った。非常にストイックで哲学的で深く、子供のころに読んでもきっと怖いお話だなくらいにしか思わなかったに違いない。今だって十分に咀嚼できてるかよく分からないけれども。とくに4冊めの「帰還」は、それまで英雄だったハイタカが力を失い老いていく姿が切々と描写されていて衝撃的だった。ヒロイックファンタジーではなかなか「事を成し遂げた英雄の老境」なんてものは描かれないものだが、それをここまで冷徹に描ききっちゃうとは。第三部までの冒険についても十分に息苦しく(とくに第二部のラストなんか割り切れないものが残るし)、ル=グウィンの登場人物に対する厳格な態度が際立っている。←ネタバレになってたんで、ちょい隠します。

【雑誌】アフタヌーン 8月号 講談社 B5平

 うーん、今月はなんかイマイチ。雑誌としてのダイナミズムを感じない。単行本でまとめ読みしたら面白いであろう作品はいっぱいあるんだけど、雑誌の状態で毎回読者を物語に引き込むといったタイプの作品が少ないように思う。これは別にアフタヌーンに限ったことじゃないのだが、やっぱり第一発表媒体が雑誌でありそこに掲載されている作品を楽しみに買う読者がいる以上、雑誌はまず雑誌で読む人を楽しませるように作っていってほしい。確かに「単行本でまとめ読み推奨」という漫画もいくつかはありだと思う。でもそればっかりじゃいけない。アフタヌーンなんかはとくに、単行本読み系の作品が増えちゃうとページ数が多いだけに読むのがつらくなってしまう。

 とかいいつつも、やっぱり注目作品もある。今回は読切、大庭賢哉「リーザの左手」が掲載されているのがうれしい。この人は同人誌即売会では「ペンキヤ」というサークルでkrbk名義で本を出してる人で、「リーザの左手」はそのうちの「ペンキヤ」という本に掲載されていたお話と同様のモノ。同人誌そのままかどうかはちょっと現物が手許にないので今すぐには確認できない。お話は他人の心が読める旅芸人の少年が、友達のいない少女といっとき心を通わせあうというお話。スタジオジブリアニメを思い起こさせるような作画は、非常に雰囲気があって実にうまい。線に品がある。お話のほうも、登場人物の細かな心の動きを丁寧に描き出してて好感度が高い。ぜひちょくちょく描いてってほしいもの。実力は十分なものがあるし、まずはシーズン増刊のほうでもOKなんで。なんだったらカラー4P程度でも、この人の場合は持ち味発揮できるんじゃないかな。ヒロモト森一「STONe」は最終回。わりと短く終わっちゃったな。スケールが壮大でハッタリも利いててけっこう好きだったのだが。

【雑誌】Bstreet Vol.9 幻冬舎コミックス A5平

 次号から隔月刊化。とりあえず知りたいのは発売日が何日になるのかなんだけどまだ告知はされてない模様。雨宮知子「虹の彼方に」はこれで最終回かな? アメリカの男女刑事を中心に、気の利いたドラマをしっかり作っていた。今回の締めくくり方もハッピーで後味は良好。

【雑誌】ヤングチャンピオン 7/9 No.14 秋田書店 B5中

 おっ。石川聖が久々に登場。消しゴムかければ消えちゃいそうな淡い線で、なかなかユニークな作品を描く作家さん。これまでの掲載作品もハズレはなかったし、楽しみにしている。今回は勉強や体育では一番になれないだろうから、勝手にオセロ部を作っちゃおうという女の子とその友達、それからライバルな娘のお話。これまでの作品は、ふわふわした不思議なストーリーが多かったけど、今回は単純に明るいテンポのいいギャグテイストのお話になっている。女の子たちもけっこうかわいかったりするし。個性的な作品を描く面白い人なんで、あとはもう少し頻繁に登場してくれるといいんだけど。岡田和人「教科書にないッ!」は綾たちの卒業前夜。いよいよ終わっていくという感じで泣かせる展開。大楽先生はいい先生だし、生徒たちも楽しい奴らが揃っているし、素直にいいお話だなと思う。

【雑誌】ビッグコミック 7/10 No.13 小学館 B5中

 作:矢島正雄+画:引野真二「ビッグウイング」。今回は立ち飲み酒屋に集う人々を暖かく描いたエピソードで、なかなかジンとくるものがあった。何気に矢島正雄原作の漫画は、派手じゃないけどけっこう読めるものが多いと思う。国友やすゆき版プロジェクトX「男たちの独立物語 明日を信じて」。最終ページの柱を見て思わず吹き出してしまった。「次回、驚きと感動の最終回!!」。会社が倒産して路頭に迷った主人公が居酒屋を開業したってところで、共同経営者であるかつての部下は金を持ち逃げし、また戻ってきたと思ったらもう一度逃げる。店の立地は一見良好だが、通行人の流れ的に人の目につきにくく、客が入らなくてさあ大変。店の目玉にしようと思った地酒も、蔵元に門前払いされる。というわけで問題山積みなんですけど……。これを全部次回で解決したとしたら、それはそれで驚きだ。というか作品のコンセプトといいタイトルといいストーリー展開といい、この安っぽさはすごいとしかいいようがない。 さすが国友先生。

【雑誌】漫画アクション 7/9 No.28 双葉社 B5中

 山上正月「ルパン三世」(原作・監修:モンキー・パンチ)。ルパンのもとに、彼の子だと名乗る女の子一人男の子二人が押しかけてくる。なんか山崎さやか「東京家族」みたいだな……とか思った。それはともかく押しかけてきた御あの子は、おでこが広くて目がくりくりしててなかなかかわいい。

【雑誌】漫画サンデー 7/9 No.27 実業之日本社 B5中

 ジョージ秋山「生きなさいキキ」。すごいコピペだ……。今回は内閣官房長官が車を運転しながら携帯で延々話すシーンがあるんだけど、まったく同じ構図のコマが3個あったのち、4回で顔へのフォーカスが若干引き気味になると同時にいきなり携帯電話の形状が明らかに変化! これはきっと分業で違うアシスタントさんが担当したんだろうなあ。そしてその電話相手の杉浦は、口を閉じた微妙な表情のまま「えーっキキ」と驚愕の声をあげる。その後、キキの帰宅シーン。「あっあなた お帰りなさい」とキキを出迎える幼な妻・町子。顔が胴体よりデカくて怖い。と思ったらその2コマ後で「あれっ町子は?」と怪訝な顔をするキキ。あの怖いプロポーションの幼な妻はもしかして幻? 誰かの脳内風景? シュールすぎる。小田扉「マル被警察24時」は、マカナイの遺志を継いだ過原と赤山たちとの対決を前に束の間の休日。黒川と病弱な女性との窓越しの筆談交際ってまだ続いてたのね。そして過原はやけにカッコイイ。

【単行本】「アナル・ジャスティス 肉棒射精編」 上連雀三平 A5 [Amzn]

 やったー。ついに最後まで読める。うれしい〜。というわけで5年ぶりに2巻めが出た。念のためにストーリーを説明しておくと、フタナリの女の子たちで構成される「女の子のための勃起倶楽部」に憧れていた女装男子の七緒くんが、特別に勃起倶楽部への入部を許され愛とおちんちんと精液にまみれた学園生活を送るという物語である。とかいうと濃くて鬼畜なハードコアエロスを想像するかもしれないが、そんなことは全然ない。お話はラブコメチックなノリで、かつ「あたしもね……七緒さんの柔らかそうなお口にあたしのおちんちんをネジこんでみたいなって思ってたの」とか、素敵かつイカれたセリフ満載で楽しく展開する。

 そしてヴィジュアル的にはとにかくおちんちん。もう何本も何本も、あっちからこっちからにょきにょきと林立してぴゅうぴゅう射精しまくり。それを上連雀三平は実に楽しそうに描く。おちんちんという神々しいフォルムを持った物体への愛を、精神的にも表現的にもまったく隠すことなく開けっぴろげに描ききった本作は、おちんちんを愛する人間を強く魅了してやまない。この洒落っ気、愛敬は本当すげーなーって思う。セリフのセンスもいちいちグッドでスカッと笑わせてくれる。「男の子ばかりの女子校を作るのが先生の夢なの」「どーしたんだろなんか最近あたし変だ 気がつくとタマのことばかり考えてる タマがしゃぶりたい」「肛門の前にはすべてのおちんちんは平等である」……。ああ、先生、美しすぎます。

 上連雀三平といえばポケモンの漫画を描いていたことでも知られているが、前にも書いたことあると思うけど、ピカチュウのフォルムっておちんちんによく似ていると思う。あの頭なんか絶対亀頭だし、首のところのくびれもやばい。口についても、なんだか尿道を思わせるものがある。それを考えると、上連雀三平を登用したのもうなずける。なんにせよ何回読んでも上連雀三平は天才だなと思う。こんな輝いてる漫画はほかにないよ。

【単行本】「秘密のカンヅメ」 春籠漸 ヒット出版社 A5 [Amzn]

 お話の面では歯ごたえのない作品が多かったりするんだけど、春籠漸の描くエロシーンはいい。いやらしい。オーソドックスなアニメ絵系の絵柄のセル画的な表面のなめらかさ、ジューシィさがエロによくマッチしている。あとこの人は乱交ものを好んで描くのも、その手のエロが好きな人間にとってはたまらない。わりと女の子は都合良く感じまくり派手に喘ぐのだが、個人的にも痛々しいレイプものとかよりも女の子もしっかり悦楽に溺れてくれる作品のほうが好みなんで、そこらへんは実用面では非常に手っ取り早い。物語的な深みはないし、メジャー誌とかに行くようなタイプの人ではないしヌキ以外の面での面白みとかはないんだけれども、美少女漫画の王道的な実用エロスをちゃんと描き続けている作家として評価している。


6/24(月)……チーズ電器

▼ここ数日、またKlezによるウイルスメールが頻繁に届いている。今日はついに自分のメールアドレスのが届いてちょっと笑ってしまった(もちろんウチのマシンが感染してるわけじゃなくて、メールアドレスが偽装されてるもの)。でもさすがにいちいち消すのも面倒なくらいになってきたので、何度か書いたけど、まだウイルス対策を施してない人はタダで使えるアンチウイルスソフトなんてものも世の中にはありますんで一つ試してみちゃってください。

▼そんなことをいってたら、というわけでは全然ないんだけど、書きかけの原稿ファイルを間違って削除してしまいパニック。ファイル復活ツールとかも試したが時すでに遅し。大した文量じゃなかったししょうがないから書き直そうとするも全然気分が乗らない。参った。で、それがきっかけとなって虚無モードに突入。実は今仕事場に泊まり込み中なのだが、やめときゃいいのに自分の行く末とかについて考え始めたりとかしてしまってイヤーな気持ちになる。しょうがないので近くの酒を売ってるコンビニに行ってビールを買ってきて、コレを書きながら飲んでいる。そんなことをしている場合でないことは先刻承知だが、今は飲まずにはいられない。寂しくてたまらないからだ。

【雑誌】ヤングキング 7/15 No.14 少年画報社 B5中

 小野寺浩二「それいけ!!ぼくらの団長ちゃん」は、要するに「クララが勃った!」という感じの、友情と男汁の物語。吉野ケイイチ「CHICKEN DAYS」は、今号からの月イチ連載。クラスの隣の席に座ってる、天然系の転校生・小松タネ子に惚れてしまった主人公が、彼女のボケまくりな行動をハラハラと見つめるドタバタラブコメ。明るくてのどかでこういうお話はけっこう好き。

【雑誌】ヤングマガジン 7/8 No.30 講談社 B5中

 江川達也が永井豪「けっこう仮面」のリメイク版を描いている。永井豪の絵だから顔だけ隠してあとは素っ裸という女ヒーローというのもなんとなく自然なものとして受け入れていたけど、江川達也の絵で見ると改めてけっこう仮面って不条理な存在だなーと思う。エロチックうんぬんを軽々と超越しちゃってる感じがする。やっぱり永井豪先生は偉大だ。山本マサユキ「ガタピシ車でいこう!!」。む、胸チラ! 眼福眼福。この人の描く女性は本当にいいな。福本伸行「賭博破戒録カイジ」。今回はカイジと遠藤と坂崎のおっちゃんでコントやってるのかと思ってしまった。なんか人を殺しかねないくらいの額の金の話をしてるのに妙にユーモラス。がんばれ三バカトリオ。ところで「三バカトリオ」って言葉って、「三」と「トリオ」で3の意がカブってることが前から気になっているんだけどどうでもいいっすね。蓮古田二郎「しあわせ団地」。今回は妻が映画を見に行くのに無理やりついていってハタ迷惑な客っぷりをいかんなく発揮するはじめのお話。この手の映画館の迷惑な客を描いた話では、山上たつひこの「ええじゃない課」の「E.T」の話が、今でも忘れ難く脳裏に刻みつけられている。というか単行本が本棚にあるんだけど。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 7/8 No.30 小学館 B5中

 今号のスピリッツは2冊買い必至! なぜかというと俺が間違ってダブり買いしちゃって悔しいから、ほかの人にも同じ気持ちを分けてあげたいから〜。いや、それはまあ別として今号はかなり面白いんじゃないかと思う。

 で、いきなり巻頭カラー、曽田正人「昴」が非常にテンション高い。「ボレロ」を踊り観客をZONEに引きずり込む昴のパフォーマンスに圧倒される。先出しである昴がこうなんだから、後出しになるプリシラ・ロバーツなんて一体どうなっちゃうんだろう。非常に楽しみ。柏木ハルコ「花園メリーゴーランド」は、いよいよ村の禁忌の姿が明らかになってきそうで緊迫感のある展開。暗がりで蠢く村人たちの姿が怪しく、得体のしれない何かが真綿で首を締めるように相浦くんにのしかかってくる。これは素直に怖い。村上かつら「サユリ1号」。こっちも怖い展開。大橋ユキさんは嫌な女だけど、いざ彼女がピンチに陥ると、それはそれで背筋に冷たいものが走る。まさか最悪の事態にはならないだろうけど、村上かつらという人は甘ったるくないからなあ。分からん。

 青山広美「格闘太陽伝ガチ」。今回の展開はかなり予想外だった。限界ギリギリの格闘シーンの迫力は素晴らしいし、読んでて素直に燃える。 朔ユキ蔵「つゆダク」。とりあえずスーパーアイドル藤沢涼子編はいったんおしまいか。ここのところ主人公の相手をする女性タレント側に、キャラの立った人が出てきてて面白くなってる。吉田戦車「殴るぞ」はパンダの話がヒット。のりつけ雅春「高校アフロ田中」は、回を重ねるごとにこなれてきてノリが良くなっているようだ。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 7/8 No.30 集英社 B5平

 作:ほったゆみ+画:小畑健「ヒカルの碁」。今回は悪役である御器曽が、ヒカルに容赦なくとっちめられるのだが、個人的にはヒカルよりもむしろ御器曽に感情移入してしまった。若くて才能のある新鋭に踏みつけにされ、その屈辱を甘んじて受けざるを得ないベテラン。きっと彼も昔はそんなネジ曲がった人間ではなかったのだろう。だが、いくら頑張っても名人などという領域は想像すらできない自分の限界に気づきはしたものの、そこそこに勝てるという現状が彼に踏ん切ることを思いとどまらせ、年月はゆるやかな絶望をもって彼を蝕んでいく。あと10年、いや5年早くヒカルや塔矢アキラと出会っていたら、もしかしたら彼も碁の道をキッパリと諦め、実家の酒屋を継いでさほど裕福ではないながらも幸せな家庭を築いていたかもしれない。しかし彼らの訪れは遅すぎた。遅すぎたのだ……。などという想像が、次から次へと湧き出てきて、なんだか身につまされて困った。叶恭弘「プリティフェイス」。今回は主人公ちゃん巨乳になる編。巨乳ザグレート。俺もあと10年早くリアル巨乳に出会っていれば……。

【雑誌】近代麻雀ゴールド 8月号 竹書房 B5中

 せきやてつじ「玄海麻雀太陽傳 おうどうもん」がスタート。あら、また九州か。近代麻雀オリジナルでやってる嶺岸信明「鉄砲」は八幡だし、この前はヤクザモノで中山昌亮「九州のライオン」という作品も掲載されてたし。今近代麻雀的には九州ブーム? ええとまあそれはともかくとしてせきやてつじは、モーニングで「ジャンゴ!」を描いていた人。北九州市小倉に住む、かつてのすご腕雀士の息子が主人公。第一話はけっこうハッタリが利いた出だし。力強い作品を描ける人なので、今後の展開に期待。山口譲司「あら慰安♥ナイト」。タイトルを見て思わず脱力するが、作品としては麻雀+エロできっちりまとまってて手堅い。どこへいってもちゃんと持ち味出すし、ちゃんと自分のモノを持った人だなあと思う。佐藤秀峰「示談交渉人M」は最終回。いきなりヤクザとの命を賭けた麻雀勝負というテンションの高い場面から始まり、そのまま熱さを失わず突っ走った。これ単行本になるのかなあ。「ブラックジャックによろしく」が売れている勢いを駆って、出せるうちに出しちゃってくれるとうれしいんだけど。タイミング的に「ブラックジャックによろしく」3巻が出るときに一緒に出して、並べて平積みってのがおいしいかもー。


6/23(日)……喪服前進

▼太田出版のF&EROTICS掲示板によると、「大葬儀」発売記念の駕籠真太郎サイン会があるらしい。チラシはこちら(PDF形式/AcrobatReaderが必要)。日程は7月6日(土)の15:00〜16:00で場所は中野ブロードウェイのタコシェ。当日喪服で来た人には香典返しが進呈されるとか。7月だから暑そうだけど、行く人はぜひ喪服を着ていくべきだと思う。きっと主催者側や駕籠真太郎本人にも喜ばれると思うし。

【雑誌】アックス Vol.27 青林工藝舎 A5平 [bk1][Amzn]

 中野シズカ「香雨小僧」。この人の作画はちょっと気になる。主線がなく、スクリーントーンをベタペタ貼っつけて切り絵みたいに画面を構成していくタッチはなかなか新鮮。こういうのってCGだとわりと簡単にできるのかな?すごくポップな感じなんだけど、描かれているのは和風建築の家でうんうんいっている物書きのあんちゃんだったりするところもいい雰囲気。東陽片岡「放置にんげんのひとり言」。いつものとおりの東陽片岡。これだけどこに行っても変わらない漫画を描く人も珍しい。花輪和一ですら小学館系では若干あちらに合わせてる感じがするのに、東陽片岡についてはアックスで描いてもビッグコミック系で描いてもなんら変わらないし、なぜかどっちの誌面にもしっくり合っている。

【単行本】「大葬儀」 駕籠真太郎 太田出版 A5 [bk1][Amzn]

 マンガ・エロティクスとエロティクスFに掲載された短編を収録した作品集。大きく分けて前半が「大葬儀」から始まる「大××」シリーズ全5話で、後半が「六識転想アタラクシア」に出てきた紺野さんや遠目塚先生を主役にしたフェティッシュな読切となっている。どちらかといえば後半のほうが、刺激が強くて個人的には面白く感じた。「紺野しぐれの幸福なる日々」はイジメられっ娘だった紺野さんに彼氏ができたと思ったらそやつが好きな人に自分の身体の一部を食わせようとする変態だったり、「遠目塚先生の優雅な楽しみ」の遠目塚先生は自分の身体を蚊に食わせたり毛じらみをたからせたりしてその痒みを楽しむという奇矯な趣味を持っていたり。どちらも身体感覚にダイレクトに訴えかけてくる。最近の駕籠真太郎はわりとライトな感覚で読める作品が増えてきてる印象があるんだけど、個人的にはこういう肉体的なネタのほうがより味付けが濃くて好みだ。

 「大××」シリーズはクールな作品群。一話一ネタという感じでテーマを絞り、そこからお話を転がしていくというパターン。その中では「大酔狂」がいい。地上何百階もある団地で、すべての部屋の旦那さんが間違えて1階下の部屋に帰ってきちゃって自分の部屋とまったく同じように行動しちゃってトラブルを起こすという展開。延々と同じパターンを繰り返しつつ、少しずつズレ方を大きくしていってとんでもない事態にしていくという構成が面白い。表題作の「大葬儀」は、葬儀を巡って死体マニアと死体マニアマニアと未亡人マニアと未亡人マニアマニアがどんどん増殖していくというお話。マス目のごとく区切られた画一的な町並み、それからページ6分割ベースの画一的なコマ割りなんかも、どんどんコピーが増えていく……というイメージに繋がってて効果的。「大××」シリーズは全体的に、ネタを料理し盛りつける腕前に作者の頭の良さを感じさせる。

 単行本全体を通してみると、駕籠真太郎はやっぱりギャグの人だなあと思う。グロだったりブラックだったりするけど、基本は旺盛な遊び心に支えられている。「こういうネタを使ってこういうふうに遊んじゃうんだ、すげーなー」という感じでいつも読んでいる。

【単行本】「不思議な少年」2巻 山下和美 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 面白い。美しいしキレがあるし包容力もある。いろいろな時代を行き来し、人間たちを試し観察する「不思議な少年」の見たさまざまな人間模様を描いていくシリーズ。今回は4話が収録されているけれど、なかでもソクラテス編は素晴らしい出来。奸計による死刑を甘んじて受け入れようとするソクラテスと、彼に永遠の生を呈示する不思議な少年。このお話では不思議な少年の意図を超え、自分のスタンスを崩さないソクラテスの振る舞いが非常に鮮やか。また誰からも忘れられた森の中で、二人っきりで灯台守りをしながら生きた夫婦の物語も静かな感動を呼ぶ作品。気品のある絵柄といい、ググッと読者を引き込むストーリーといい、さすが山下和美、素晴らしく完成度が高い。

【単行本】「蒼天航路」25巻 王欣太 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻は曹操陣営の武将、軍師たちのお話が中心。程イクや夏候淵、夏候惇といったメジャーどころから、劉馥、蒋済など吉川英治三国志などではなじみのない面々にまで話が及んでおり、それぞれの突き抜けたカッコ良さを描いている。展開としては地味だけど普通の三国志ではあんまり描かれないあたりでもあり興味深い。

【単行本】「バガボンド」14巻 井上雄彦 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻から物語は武蔵を離れ、小次郎のほうへとシフト。老いて力をなくした元剣豪・鐘巻自斎がかつての弟子から子供を託される。剣の道から離れ目的をなくした男が、後の剣豪を育てていく様子を描いていく。といっても別に鐘巻自斎は小次郎に剣を教え込むとかではなく、乏しい生活力を振り絞ってなんとかかんとか食わせていくだけなのだが、それでも小次郎はしだいに剣というモノに惹かれていく。この巻の時点では小次郎はまだまだ子供。今後の展開において、又八と出会った「小次郎」との関係も明らかになっていくものと思われる。派手ではないが着実に物語は進んでいる。


6/22(土)……定期と意地

6月17日の日記で書いた東芝版iPodこと、5GBのPCカードHDDが使えるデジタルオーディオプレイヤー「GIGABEAT」を、なんか発売日即ゲットという自分的にはたいへん珍しいことをしてしまった。でもまだ使ってないので使用感はよく分からない。とりあえず曲数が非常に多く記録できるだけに、ヘッドホンのリモコンに液晶が付いててほしかったところ。

▼サッカーW杯のベスト4、残り二つは韓国とトルコに。国内でやるときの韓国は本当にスゴい。なんかあの大地には、対戦チームの精気を吸い取り自国民の勇気を100倍させる祖霊でもいるのかもしれない。この流れを止められるのは揺るぎのないゲルマンサッカーだけかもしれない。それにしても現代のW杯の場合、タレントの数よりも直前のコンディション作り&モチベーション向上のほうがはるかに重要なのかもしれないな、と今回のW杯を見ていて思った。

▼未読物
【単行本】「大葬儀」 駕籠真太郎 太田出版 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「バガボンド」14巻 井上雄彦 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「不思議な少年」2巻 山下和美 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「蒼天航路」25巻 王欣太 講談社 B6 [bk1][Amzn]
▼早売り
【単行本】「アナル・ジャスティス 肉棒射精編」 上連雀三平 A5 [Amzn]
【単行本】「秘密のカンヅメ」 春籠漸 ヒット出版社 A5 [Amzn]

 早売り物件はともに25日発売分。ついに「アナル・ジャスティス」の2冊めが出たぜ! いえーい。

【単行本】「ブラックジャックによろしく」1〜2巻 佐藤秀峰 講談社 B6 [bk1][Amzn:1巻/2巻

 超一流の大学病院の研修医・斉藤英二郎の目を通して、現代の医療の現場におけるさまざまな歪みを見つめ、それに対して行動を起こす彼の姿を描いていく。佐藤秀峰といえばヤングサンデーで連載された「海猿」においても激情あふれるアツいドラマを展開していたが、こちらもまた医療という人間の生死を預かる最前線の戦場というべき場を舞台としており、情熱的な作画、作劇が生きて非常にドラマチックな作品となっている。とくにとある心臓病患者をめぐり、大学病院内で絶対的な権力を持つ医局に対して、斉藤が刃向かっていくエピソードはボルテージが高くてものすごく読みごたえがある。このエピソードが語られるのが1巻の終わりのほうから2巻にかけて。というわけなので2巻同時発売はちょうど区切り良くまとめて読めるのでありがたかった。それにしても佐藤秀峰の作品を読むと、正攻法でドラマを語っていくことの強さを改めて感じさせてくれる。命とは、医者のできることは、患者との関わり、医療制度の抱える問題点……といった大きな命題に対して真っ向からぶつかって、安易にいいお話とかに仕立てちゃわないところが素晴らしい。

【単行本】「もっけ」1巻 熊倉隆敏 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 田舎の町に暮らす、霊感の優れた体質である姉妹、それからそのおじいちゃんの物語。小学生である妹の瑞生はすぐ妖怪に憑かれてしまいがちで、女子高生の姉・静流はそれらのものが常人よりもはるかに見えてしまう。おじいちゃんはそれらのものと長く接しおり、霊的なものとのつき合い方をわきまえている。そんな中で霊的なものと関わりながらの日常を、ゆったりと描いた佳作。霊的なものを扱ってはいるけれども、別に手から怪光線を出したり戦ったりするでなく、日常の中に普通にあるものとして折り合いをつけながらうまくやっていくさまを穏やかに描くアプローチは、派手ではないけれどもしみじみとした読み心地。絵も非常に好感度が高くて、人物についてはなめらかで親しみやすいタッチ、それから自然の描写のほうは細かく美しく。タッチが違うのでキャラクターの存在はしっかり浮かび上がるけれども、違和感とかは全然なくしっくりなじんでいる。いい作品です。

【単行本】「ラブやん」1巻 田丸浩史 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 なんの因果かオタクでロリで無職なダメ男・カズフサを担当することになってしまったキューピッドのラブやんが、ダメ男のぺースに巻き込まれてどんどんダメになっていくというお話ですよー。そのダメっぷりとやってることのレベルの低さが非常におかしい。とくに怪しいレストラン「本場アメリカン」編なんて爆笑モノだったのだが、そうかー、人気なかったのかー。部屋の押入れに住みついたラブやんに対し、カズフサが「ドラブやーん」と泣きついてくるシーンとか妙にツボ。「ドラブやん」という言葉が耳について離れない。困ったものだ。

【単行本】「竹易てあし漫画全集 おひっこし」 沙村広明 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 「無限の住人」の沙村広明による現代モノ。表題作「おひっこし」全5話と、「少女漫画家無宿 涙のランチョン日記」と「みどろが池に修羅を見た」を収録。「おひっこし」は大学生たちによる青春恋愛モノ。赤木さんというちょっと大人びた雰囲気のカッコイイ女性に憧れ、彼女に不器用な告白をぶつ青年・遠野が主人公。そこに遠野の幼なじみであり彼にずっと片想いしていた小春川さん、それから小春川さんのとりあえずの彼氏らがからんで、青春模様がごじゃごじゃと展開していく。大学生らしい馬鹿っぽさ、勢いのある立ち居振る舞いは、見ていて単純に楽しそうだし作品としても面白い。「無限の住人」が時代モノなんで、現代モノも描いてほしいなーと思っていただけにそこらへんはうれしい作品だった。

 「少女漫画家無宿 涙のランチョン日記」はちょっと合わなかった。少女漫画家の激動の人生をハイテンポで描くというギャグものなんだけど、なんか「ここで笑え」サインが見えすぎちゃってる感じがする。たぶん導入部分でスムースにノッていければ最後まで怒濤の勢いで楽しんでいけるだろうし、そこで失敗するとあとはずっと上滑りしているような印象になっちゃうタイプの作品だと思う。あともしかしたら絵がうますぎるというのもあるかも。整っているだけに、どうも安心して読んじゃう。ギャグの場合、やっぱり不安感とか意外性とか落差とかそういうものが重要だと思うんだけど、絵がうまくて整ってるからなんか安心して読めちゃう。

【単行本】「空室あります」2巻 やまあき道屯 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 なんだか懐かしくて暖かい雰囲気に満ちたアパート「ぽんわか荘」と、大家さんである珠子さん、そしてそこで暮らす人々の姿を描いた人情系の作品。個人的な感触としては微妙。よくまとまってはいるんだけど、まとまりすぎちゃっているというか、なんか押しが弱い。暖かみを感じる絵柄ではあるが、もったりした印象も受けるので、ここにもう少しキレが出てくると印象はけっこう変わってくるような気がする。

【雑誌】ドルフィン 8月号 司書房 B5中

 2色カラーのBENNY’S「なな子のお仕事」は、看護婦さんが入院患者である芸能人のジュニアに薬を使われて、Hな気分になったところをよってたかってやられちゃうというお話。柔らかい絵柄で描かれた巨乳は実にふくよかで、Hの内容も激しく実用性十分。媚薬、巨乳、多人数姦と好きなネタが揃っている。しかもこの人の場合、ハードファックになっても明るさとかきれいさを失わないところがいい。そこらへんは女性作家らしい華やかさが効を奏している。くどうひさしはすっかり司書房系で定着したのかな。今回も読切「ステキな片想い」が掲載。同性なのに親友であるえりかちゃんに片想いしている女の子あいこちゃんが、デートをするといって出かけていったえりかちゃんを付け回し、その道中で妄想を爆発させて悶々とするというエロコメディ。相変わらず伸びやかで好感度の高い絵柄。お話のほうも明るくて楽しい。


6/21(金)……メール返答装置

▼サッカーW杯。ブラジルとドイツがベスト4に進出。面白みのない結果だけどまあよかった。さすがに準決勝に残るのがイングランド、アメリカ、トルコ、韓国とかだったらしょっぱすぎるなと思っていたので。韓国には面白いから残ってほしいような気もするけど、さすがにそれはインチキくさいので残り二つはセネガル、スペインでお願いしたい。それはともかくドイツのサッカーはやっぱり面白くないなー。このまま絶望的なサッカーで勝ち進んで優勝しちゃっていただきたい。今回は優勝と予想していたアルゼンチンが負けた時点でゲルマン様に鞍替えしたので。そして最後はSGGKカアン様が「ドイツのォォォォォ! サッカァはァァァァァ!!」と叫ぶところを見たい。

【雑誌】OURs LITE 8月号 少年画報社 B5平

 既報の通り最終号。若手作家を積極的に登用した印象的な雑誌だった。花の命は短かかったけれども、咲いた花たちは確かに美しかったし記憶には残る。最近ではけっこうマイナーな作品でもなんらかの形で単行本になる機会は増えてきているけれども、どうしてもそこから漏れてしまう作品はあるわけで、やっぱり基本は一期一会。貴重な良作との出会いは大事にしなきゃいけないなと改めて思う。いやまあつまり、いずれ単行本化されるだろうなどと油断してないで、自分の好みの作品が載っている雑誌は、なくなる前からちゃんと買っておこうってことなんだけど。とはいえわりと早いうちに休刊が知らされていたせいか、この雑誌についてはきちんと落ち着き先が決まってる作品も多いみたい。このあたりは不幸中の幸いというべきか。そこらへんの動向は、最後通牒の6/21の項で詳しくまとめられているのでそちらを参照のこと。

 で、最終号の巻頭カラーは山名沢湖「メルヘン逃走」。なんだかふわふわと先のこと考えていない3人の女生徒たちと、彼女たちの進路指導をしたりしつつ副業で隠れて絵本作家をやっている先生のお話。「何かにならない状態」を続けようとする女生徒たち、兼業という宙ぶらりんな「何かになりきれていない状態」に悩む先生。そのコントラストが、メルヘンチックなお話の中でも目を惹く。なんか30歳になろうというのにふらふらしている自分の状況とかも鑑みてグッときてしまった。ただふわふわしているだけではない。犬上すくね「恋愛ディストーション」。最後はまほ先生の実家と、彼女の秘めた想いのエピソードが語られセンチメンタルにお話が進み、前向きに締めくくり。一見甘い恋愛話っぽく見えていながらも、恋愛の中でのさまざまな局面も描いていて、非常に面白く読める作品だった。石田敦子「純粋!デート倶楽部」。今回は玉青にスポットライトを当てたお話。美人でサバけているようでいても、なかなかうまく言い出せないデリケートな部分もあって。乙女心は難しい。

 逆柱いみり「カッパマンション」。相変わらずすごく落ち着いていてかつヘンな世界を描いている。逆柱いみりについては、まんが王倶楽部の新刊予定表によれば来月の22日に河出書房新社から「ネコカッパ」という単行本が出るようなんだけど、この作品は収録されるのかなあ。気になる。小野寺浩二「妄想戦士ヤマモト」はめがねっ娘ネタで締めくくり。男らしい。

【雑誌】コミックバンチ 7/5 No.29 新潮社 B5中

 第1回世界漫画愛読者大賞でグランプリを受賞した木ノ花さくや「エンカウンター −遭遇−」が本格連載化。オカルト+超能力+科学的裏づけっぽいものという感じで、主人公たち3人組が活躍する作品。週刊雑誌の看板作品というほどのぶっとさは感じないけれども、手堅く読める作品になっていきそうではある。

【雑誌】ファンタジーライズ 8月号 メディアックス B5中

 表紙にはEB110SSの名前があるけど載ってない〜。今号の水無月十三作画の表紙もかなり精液とおぼしきものがぶっかかりまくりでレジで出すのが恥ずかしい絵柄。ぶっかけといえば、今日本屋で見かけたぽいんとたかし「精液日記」の表紙はなかなかすごいと思った。パッと見た瞬間は何の絵柄か分からなかったくらい。

 で、今号はまず堀川悟郎が初登場。「天にまします」は、シスターが悪漢たちによって散々に輪姦されるというお話。オーソドックスなエロスの強さを感じさせる。正攻法だけどエロい。週刊少年チャンピオンでの「スクライド」の連載が終わった戸田泰成=鳥莉蒸師は久々の登場。「お菓子の家の守り」。こっちはこっちで楽しんで描いている感じ。木静謙二「かてきょ」は、教え子が自分のことを思ってオナニーしている現場に出くわしてしまった家庭教師の女先生が、純な少年のおちんちんを可愛がってあげるというお話。先生のほうも実は経験なくてウブなんだけど、だんだんノリノリに。今回は手&おくち&パイズリだけで終わり、最終ページに「次回はちゃんと絡む」との作者による断り書きあり。木静謙二のおくちシーンはたいへんにエロいし、個人的にも挿入シーンよりこっちのほうが好きなんで、別に延々このままでもいいんだけど……。それにしてもこの雑誌も消しが少ないな。申し訳程度に太さ1mm程度の白線入れてあるだけだ。なんかアリバイ作りのためにとりあえず線入れてみましたって感じ。

【単行本】「しゅーまっは」5巻 伯林 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 この作品ってもう始まってから2年になるのかー。一時期、週刊少年チャンピオンで萌え系連載が百花繚乱だった中で、コレとでじこと「エイケン」はしっかり残ってる。それだけのことはちゃんとあって確実に面白い。しゅーまっはが出現→彩パニック→ドタバタやってるうちになんとなく解決という基本的なパターン自体は毎回変わらないけれども、いつも楽しいのでこのままでずっと続けてちゃっていいんじゃないかと思う。ちょっぴり(じゃないか)のグロさは西瓜にかける塩みたいな感じで作用している。明るく楽しく可愛くて気軽に読める。よろしいですな。

【単行本】「からくりサーカス」23巻 藤田和日郎 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

 死んだと思われていた才賀正二がぼろぼろの状態ながらも復活し、勝が実は死んだ父親の貞義の人格が刷り込まれた存在であると決め付け、彼を抹殺せんと配下の者を繰り出してくる。そして捕らえられた勝は、「生命の水」を飲まされ、才賀正二の記憶を遡る……という新展開。貞義に関する秘密についても当然注目だけど、正二の若い頃、そしてアンジェリーナとの出会いのエピソードなど、いろいろ物語の根幹に関わる重要なファクターが続出して面白い。すでに相当長いお話になっているけれども、大きく何幕かに区切ってお話を集中的に進めていくという感じなのでダレることもなく快調に飛ばしている。

【単行本】「青春ヒヒヒ」下巻 清野とおる 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 ヤングジャンプで連載された奇矯な学園ギャグ漫画。読切「夢で逢えたら」「星に願いを」「鳥になりたい」を併録。やたらとアクの強い絵柄とクレイジーで意味不明なギャグの数々は、ヘンな漫画好きにはたまらない。「青春ヒヒヒ」本編の、なんだか主人公および読者を置いてけぼりにしていくような終わり方も趣深い。なんか登場人物の表情が揃いも揃ってイヤな具合にひねこびてて邪悪なのがいい。この人はあんまり作画はうまくならないで、この味を保持していってほしい。

【単行本】「BOX」2巻 六田登 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 泥臭くあがき続けるボクシング漫画。主人公・一途のライバル的存在で、同じようにみなしご育ちで狂的な暴力性の持ち主である堂本が登場して一気に盛り上がってきた。一途もこれまで隠してきた必殺のパンチを見せるし。ぶん殴る爽快感というよりは、からみついてくる生の重みを振り切らんとしてもがくようにパンチを繰り出す姿が印象的。


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