2002年8月上旬


8/10(土)……THE END 歯痛

【単行本】「ラブ装填☆電動ファイター」 西川魯介 ワニマガジン B6 [bk1][Amzn]

 「ラブ装填」と書いて「ラブコメ」と読む。電動式の模型を使ってモデラーたちが闘う、いってみれば「プラレス三四郎」みたいなモノをネタにした漫画。とはいってもそれよりも重要なくらいの要素として、ショタおよびめがねっ娘のHシーンがあるわけだが。主人公格である非常に元気で可愛い少年・準、それから最強のモデル・駆逐姫ダーシェンカの使い手でめがねっ娘でいつも準とHなことをしまくっている柚乃の二人を中心として、準に惚れちゃったボーイッシュな女の子・真琴ちゃんらが織り成す恋愛模様を描いていく。モデルファイトというオタクなエッセンスと、かわいい少年が身悶えるのが見どころの案外エロいHシーンなどなど、非常に楽しい。なんといっても真琴ちゃんの切ない恋模様が可愛らしゅうて。ラブコメとしてよくできてるのが何よりよろしいかと。

【雑誌】アフタヌーンシーズン増刊 初秋号 Vol.13 講談社 B5中

 四季賞春のコンテスト準入選・マナベウミ「ねおてにーたいぷ」が掲載。男アイドルグループに憧れる小学生女子二人の、夢と現実を描いたエピソード。何より非常に整った完成度の高い幻想的な作画が素晴らしい。キラキラと光が透けるようで、審査員のうえやまとちが「原画が見てみたい!」といったのも頷ける出来。アフタヌーン2002年7月号に掲載されたことのある上田宏則「Kiss girl」は今号と次号で2号連続登場。キスをすることで人々の心を癒すクリニックの物語。そこの女主人であるピーチさんが呼び起こしてくれる、素敵な時間、素敵な記憶の物語。ちと固さのある独特なタッチの絵だけど、シンプルながら妙に色っぽいし雰囲気はかなり良好。今後もどんどん描いてってほしい。

 神原則夫「神原則夫の人生劇場」。会社の同僚の娘が6歳のときにした「結婚の約束」を14年間信じ続けてしまった、痛い中年会社員のお話。彼女に好かれようと日焼けサロンに通い会話術を学び、さらに痛い存在になってしまった男の姿は、ピュアすぎて哀れでもある。今回はギャグテイストで仕上げているけれども、彼の心情をよく考えちゃうとかなりこたえる。すっとぼけているようで深い。そのほか今号の連載陣では、漆原友紀「蟲師」、熊倉隆敏「もっけ」、田丸浩「ラブやん」あたりが安定して面白く読めた。

【雑誌】ビッグコミック 8/25 No.16 小学館 B5中

 かわぐちかいじの新連載「太陽の黙示録」は、京浜大地震で首都圏崩壊、さらに富士山爆発で日本の機能麻痺というところから始まる。ちょっと「ドラゴンヘッド」を想起させるものの、現在のところ主役格は政治家・柳家の一族となっている。まあこれだけの大がかりな状況を作ってしまえば、かわぐちかいじだけにいくらでもドラマの転がしようはありそう。山本おさむ「聖」は最終回。今回は残された村山の父母、そして師匠であった森信雄が村山のことを振り返る。最後まで山本おさむの筆は強力で、泣かせる作品だった。

【雑誌】YOUNG YOU 9月号 集英社 B5平

 羽海野チカ「ハチミツとクローバー」。山田の気持ちが切ないねえ。途中まではぐにお子様浴衣しか似合わない……というドタバタコメディ的なことをさんざんやって笑わせつつ、最後は切なく締めくくるあたり構成もうまい。切ないといえば榛野なな恵「パンテオン」で、兄に恋する彰子ちゃんの想いもこれまた。なんとか兄への想いを逸らそうと同級生の男につき合ってみたりもするけれど果たせず。岩館真理子「アマリリス」。こっちは切なくもなんともない。なんで桃田さんは赤井くんの女関係をすべて把握してるんだろう。しかも「赤井メモ」と書かれた手帖まで。とてもヒロインのやることとは思えない。天然ストーカー?

【雑誌】FEEL YOUNG 9月号 祥伝社 B5平

 三原ミツカズ「死化粧師」。だんだん良くなってきている。死体処理を行う主人公のキャラが見えてきたのと、彼が扱う死人たちと残された者たちのドラマをしっかり描いていて隙なく完成されている。やっぱりうまい人だなと思う。海埜ゆうこ「ハムスター」(原作:山本文緒「みんないってしまう」角川文庫)。妹が愛想をつかして出ていった家庭の、ズボラだけど自由に生きている姉の視点で描かれる日常。外から見てるとだらしないようだけど、他人を許せる懐の深さや発想の自由さはサバサバしてて気持ちいい。宇仁田ゆみ「アニマニ」。登校拒否になって引きこもっている中三女子が、友達のこと、彼氏のことを考える。この人はすっかりFEEL YOUNGに定着したなあと思う。コンスタントに面白い作品描いているし。南Q太「こどものあそび」。やっぱりこの人はうまいなー。今回は背の高い主人公の女の子が、同じ学校の自分より背が高くカッコイイ女友達の家に転がり込む……というところから始まる青春模様。なんというかいかにも若い。でも素敵。

【雑誌】comic天魔 9月号 茜新社 B5平

 今回もうるし原智志先生による表紙はオパーイ丸出し。初登場のまぐろ帝國「ブリーダー」は、さまざまな召使にかしづかれながら飼育されている女王様の日々を描いていく話。一見異様な状況だけど、ラストでなるほどそういうことかと思わされるお話。あずまゆき「Petit Friend」は、5年生の少女が仲のいいおにーちゃんとスクール水着でH。ラブラブしてて微笑ましい。神楽雄隆丸「もっとお姉さんと一緒」は人妻好きの私としてはなかなか良かった。隣の人妻さんとねんごろになってしまった男のお話。こういう人妻は世の中にけっこういるかもしれないのに、自分には一人も回ってこないこの理不尽な世を嘆く。ゆきやなぎ「煩悩生徒会」。好きな人が別にいる主人公に恋し続けている優等生的なめがねっ娘の梅原さんの様子が、いじらしくて健気で良いものだった。

【雑誌】コミックオルカ 9月号 司書房 A5中

 やっぱりBENNY’Sはいいな。今回の「ももいろ♥しすたー」は、兄貴を実験台にしてフェラチオの練習をする、ちょっと頭がぽわぽわした妹の話。可愛らしいし胸もやたらデカいし、柔らかい絵柄がソソる。女の子の表情とかもなかなかよい。火野聡司「天王寺ブルセラ夏物語」。ブルセラ取引のネット掲示板で知り合ったコギャルとおにーさんのH話。なかなかいい表情したかわいいコギャルを描いている。相手が高3ということで、時節柄ギリギリラインですか。


8/9(金)……札の貼り方

▼仕事して打ち合わせしてその後ちょっとだけ飲み。疲れていたので帰宅してからすぐ寝てしまう。本当はやらなきゃならない仕事があったのだが……。ヤバいぜ。

【単行本】「裸のふたり」 カイトモアキ 河出書房新社 A5 [bk1][Amzn]

 素晴らしい! この単行本が出るのをずっとずっと待ってたんだよお〜。この物語は、女教師・景子と彼女を好いてしまった男子生徒・倉井の波瀾万丈のラブストーリーである……などと書いたけど、こんなんじゃこの物語の持つ桁外れの熱量は一つも伝わらないと思う。

 まずいきなり出だしからして凄いのだ。ある朝、景子が登校すると運動場を掘り返して描かれた巨大な「景子」の文字が。愕然とする景子に対し、倉井が話しかける。「僕がやったんですよ」と。彼は夜中に学校に侵入し、グラウンドを素手で掘り返してその巨大文字を描いたのだ。手の皮はべろべろにむけてその下の筋肉さえも露出。涙を流す目つきのテンパりぶりは尋常でない。告白シーンでは自ら顔にペンを突き立てしまいには女教師の顔に嘔吐さえする。彼は色白で一見気の弱そうな普通の少年だが、先天的に自分の感情を抑えることができない体質で、激情に駆られると豹変する。目を血走らせ身体中の血管をビキビキに浮き立たせ、血を吹き出しながら絶叫し怪力を発揮する。そしてその自分の体質を持て余し、抑えつけようと苦悩している。

 強烈な好意を向けられた景子も、その想いに耐えきれず錯乱していく。男も女もどちらも不器用で真面目なのだが、それだけに怖い。ドス黒く得体の知れないパワーがこもった作画も強烈。これほどに狂おしく激しい愛の物語は滅多にない。帯には「新時代のアダムとイヴ!」と書いてあるけれども、むしろ旧時代、いやこの想念のぶつかり合いには原始人もかくやと思わせるパワーがある。まさに愛の塊。生ヌルさなどどこにもない。ハッキリいってこの作品を「気持ち悪い」と受け止める人もいると思う。劇薬だ。それだけにもの凄く刺激的で効果は強烈。シビれた。やっぱり個人的には萌えよりもこっちだ。単行本を出してくれた河出書房新社に感謝。そのうち「白い少年」の単行本未収録分も出してください。あとツギノツギオ「サルハンター」もお願いします。

【雑誌】マンガ・エロティクス 2002年夏号 太田出版 B5平 [bk1][Amzn]

 エロティクスFではなくてエロティクスのほう。今号はかなりいい出来。まずは巻頭で加藤伸吉が初登場。タイトルは「スキ姫」。疫病により男がいなくなったオニの一族の姫が人間から相手を選ぼうとするも果たせず。そこに流れてきた、遠く離れた同族の唯一の生き残りである男のオニ。一族はこの出会いを喜ぶが、姫と男の間には皮肉な結末が待っていた……というお話。キレイにまとまっているけど、加藤伸吉の場合はもう少し爆発力は欲しいかな。華倫変「とかく現世はくだらなすぎる」。面白い。SEX教団と呼ばれているカルトな新興宗教に入信していたことがバレた元クラスのアイドルの「委員長」が地元に帰り、浅薄な考えしか持たない人々に辟易するというお話。彼女の率直な物言いは、価値観は一般と違っているかもしれないけれど理性的でもあり、ズバッズバッと凡庸な人々を切り捨てる様子は痛快にさえ映る。なんだかすごく美しいと感じた。

 中村明日美子「ヒメコちゃん」。高校を卒業して10年ぶりに地元に集まったかつての同級生たち。その中の一人が、性転換手術を受け今では「ヒメコちゃん」と名乗る女の子となっていた。中村明日美子のエロティクス系作品としては珍しく現代日本を舞台とした作品で、絵柄もちとアッサリめにしているが、こういうお話もなかなかいい。楽しく読めるしヒメコちゃんもキレイ。田村マリオ「かってにしやがれ」は、16歳にして出張ホストをやっている少年を、その担任でカタブツと思われていた女教師が買う。普段は仏頂面な彼女だが、実はけっこうウブな面も抱えてて……という感じ。普段の教師姿と恥ずかしがる少女みたいな姿のギャップがいい。

 町田ひらく「空飛ぶ円盤に恋人と乗ったよ」はいつもながらに皮肉な味付けの利いた作品で高品位。砂「ヒッチファッカー涼子」は、ヒッチハイクでさまざまな車、男を乗り継ぎ続ける女性・涼子の旅の道中を描いていくお話。ピチピチのタンクトップとホットパンツというエロい格好をした女が車を止めようとしている、つまり男の気を惹こうとしているキャッチーな構図から始まって、最後は男女のセックスと恋愛感情の機微を描く「なるほど」と思わせるラストで〆。分かりやすいし完成度の高い作品。藤田直哉「ドキドキ」。この人の作品はけっこう好きだな。少年時代に自分をM調教した家庭教師の女性と、長じてから再会し、復讐への期待に胸を躍らせる男。この人の描く女性は地味で普通っぽいけどそこがいい。駕籠真太郎「大聖夜」。クリスマスだけでなく年がら年中活動を始めたサンタにより、突如襲い来る大量のプレゼントの恐怖を描いたギャグ漫画。この手のネタはさすがに手慣れたもので安定感あり。

(執筆陣)古屋兎丸(ピンナップ)、加藤伸吉、中村明日美子、塔山森、田村マリオ、とがしやすたか、やまだないと、華倫変、石井隆、町田ひらく、良骨工房、駕籠真太郎、砂、藤田直哉、天道なお、ひさうちみちお

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 8/23 No.17 小学館 B5中

 小山ゆう「あずみ」。今回の剣劇シーンはスピード感があって見応えあり。あずみの剣技の見事さが光る。星里もちる「本気のしるし」。浮世さんがずいぶんマトモになったようだけど、今回の扉のアオリ文句「見つけたからには、…………逃がしません。」はやはり怖すぎる。作:鍋田吉郎+画:一色登希彦「会社を変えた男たち」。今回は清涼飲料水業界で「FIRE」「生茶」「聞茶」と次々ヒットを飛ばしたキリンビバレッジの佐藤章という人の話の前編。こういう「プロジェクトX」系の作品はいかにも安いのが多いけれども、スペリオールのはわりと面白めな作品が多いように思う。カルロス・ゴーンの話とか。一色登希彦の熱血少年漫画的な作品づくりも奏効。そういえばこの「FIRE」のときの販促活動は、携帯と連動したキャンペーンの先駆けとしてけっこう有名なものだと聞いたことがある(参考リンク:TTNet マーケティングトピックス)。後編ではそこらへんの話も語られるのかな。

【雑誌】コミックバンチ 8/23+30 No.36+37 新潮社 B5中

 日高建男「満腹ボクサー徳川」。世界漫画愛読者大賞を経て新連載に。元ウェルター級の天才ボクサーが、ヘヴィ級転向を決意。食って食ってウエイトを増やしつつ、最強を目指すという物語。ボクシングものといえば減量というイメージが強いが、増量という方向を目指すというコンセプトはなかなか面白い。作画等、漫画的な技術もシッカリしていてけっこう面白くなりそう。坂本タクマ「屈辱er大河原上」。連載50買い突破記念で今回はカラー。なるほど、カラーであることを生かした話だ。

【雑誌】ヤングアニマル 8/23 No.16 白泉社 B5中

 関崎俊三「ああ探偵事務所」。自分はのぞきにつきまとわれていると思い込んでいる女性が今回の依頼者。ちょっと考えることはヘンだけれども、無防備な感じで妙に色っぽい。竹下堅次朗「Bless You!」。なんて煩悩に忠実なんだ……。今回はスクール水着がすごく描きたかったらしい。頭もフットワークも軽い。重いのは乳だけだ。高橋雄一郎「teach!」は今号で最終回。


8/8(木)……下限差異だ

【雑誌】モーニング 8/22+29 No.36+37 講談社 B5中

 作:西村ミツル+画:かわすみひろし「大使閣下の料理人」は、ようやくしおらしくなった女料理人・宋女史がいい。キリッとしてるところもいいけど泣き顔もまた。目尻のボクロ等、艶のある美人さんだ。でも今後の登場はないかな。ちともったいない。佐藤秀峰「ブラックジャックによろしく」は新章スタート。大学病院内で孤立した英二郎は、早産や未熟児の世話をする第三外科に飛ばされる。生まれて間もない命という、非常にデリケートな分野だけにまた熱いドラマが繰り広げられそう。菅原雅雪「暁星記」は第二部「奈落」が最終回。第二部はさまざまな事件が起こり、ドスンと読みごたえのあるお話が続いてすごく面白かった。第三部「地獄」の開始がいつごろになるかは書かれていなかったけど、再開の日を楽しみに待つ。

【雑誌】ヤングサンデー 8/22+29 No.36+37 小学館 B5中

 いわしげ孝「新・花マル伝」。木元vs.花マルの対決がヒートアップ。ダイナミックなアクション、目まぐるしい形勢逆転など、アツく展開してて面白い。本多健志「Stop!ナデシコさん」は今回で最終回。トボけた感じがほのかに楽しくなんとなく読んでしまう作品だった。

【雑誌】ヤングジャンプ 8/29 No.36+37 集英社 B5中

 山花典之「妹 あかね」。なぜ女教師……。というわけで今回はあかねが女教師コスプレをして、工場の皆さんに算数を教えるという話。そういえば以前は看護婦とかもやったし、けっこういろいろコスプレしてますな。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 8/22+29 No.37+38 秋田書店 B5平

 能田達規「ORANGE」。現実離れなプレーはしないけれども、いい具合に熱血な展開をしていて面白い。ムサシvs.シュミットの対決は、今回の試合の結果を踏まえたうえでの再戦が面白そう。松山せいじ「エイケン」。もしかして最近展開に悩んでるのかもなあ。今回出てきた新キャラは、ちと存在意義が薄いかも。

【雑誌】近代麻雀オリジナル 9月号 竹書房 B5中

 本そういち「麻雀無限会社39」(闘牌原作:安藤満)。ここのところの展開は、麻雀大会担当の高井の出番。賭けマージャン編と大会編が交互し、それぞれに違う戦略を見ることができるという構成はメリハリが利いててけっこう面白く読める。いててけっこう面白く読める。 上野顕太郎は三号連続登場の最後。「魔法麻雀」。中世イギリスを舞台にしたイッパツネタ。なんか最近の上野顕太郎はヒマではないらしい。


8/7(水)……Why 父様

▼「世紀末リーダー伝たけし!」の島袋光年が児童買春・ポルノ処罰法違反の疑いで逮捕(リンク先:夕刊フジの記事)。うーん、なんといったらいいものやら。この手の事件はまあ法律がある以上もちろん犯罪なのだが、それに対する社会的制裁が果たして適正レベルなのだろうかと考えると、正直いってよく分からなくなってくる。厳しく罰していくべきであろうという気もするし、現在みたいな報道のされ方だと失うもんがデカすぎるような気もする。16歳といえば結婚できる年齢でもあるわけだし。同じ立場、つまり出会い系サイトで若いねーちゃんとお知り合いになってヤレる状況に自分が立ったとしたら、そりゃやっちゃうだろうしなあとも思うし。それにしてもこれが島袋光年でなくて成田アキラだったらきっとおいしいネタになっちゃうんだろうな、と思った。日頃の行いは重要ですな。

▼早売り
【雑誌】comic天魔 9月号 茜新社 B5平
【雑誌】メガキューブ Volume18 コアマガジン B5平
【単行本】「シャイニング娘。」1.First Shining 師走の翁 ヒット出版社 A5 [Amzn]

 早速買ってきました「シャイニング娘。」。TINAMIXの記事や日記で何度も取り上げてきた、国民的アイドルグループがHなことをされまくる激動の10日間を描いた物語。総集編も含めて読み返し率の高かった作品なので、単行本については完結巻の2巻が出てからまとめ読みしようかと。

【雑誌】週刊少年サンデー 8/21+28 No.36+37 小学館 B5平

 作:武論尊+画:あだち充の読切「白い夏」が掲載。かつてともに甲子園を目指した3人の男たちが大人になって織り成す苦い人間ドラマ。こういう作品を読むにつけ、あだち充はそろそろ青年誌をメインフィールドにしたほうがいいんじゃないかなと思う。藤田和日郎「からくりサーカス」。今回はフランシーヌが生まれたばかりの赤子、エレオノールを守って逃走。フランシーヌの心が赤子によって癒されていく今回のラストシーンはかなり感動的。それにしてもフランシーヌがこういう風であったとは、全然予想していなかった。物語はだいぶラストに近づいて来ているようだけれども、今後どのような形になっていくのかますます楽しみ。

【雑誌】週刊少年マガジン 8/21+28 No.36+37 講談社 B5平

 玉越博幸「ガチャガチャ」がスタート。幼なじみの女の子が多重人格であることが判明し、主人公コウヘイのドキドキしっぱなしの日々が始まる……という感じのちょいHもありなラブコメ路線。「BOYS BE…」のころより、絵がいくぶんスッキリしたような。

【雑誌】MUJIN 9月号 ティーアイネット B5平

 板場広し「朝の通勤快速で…」。痴漢されることに目覚めてしまった女の子のお話。だんだんエスカレートしていく様子がなかなかエロチック。甘詰留太「キミの名を呼べば」前編。学校に配給されている性欲処理用の肉奴隷が主人公の初恋の人で……というところから始まる物語。状況的には異様なんだけど、最終コマの肉奴隷の女の子が見せた初々しい表情は、その状況を束の間忘れさせてくれる。後編も楽しみ。初登場で「完璧な彼女に足りない物」って作品を描いている犬山猛士って、司書房系で描いている森高たかしかな? だとすればまた別名義作家が増えたことになるけど……。

【単行本】「カラコカコ〜ン」1巻 こうのこうじ 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 いかにもヤンマガらしい、暑苦しい絵柄の新鋭の初単行本。それまでどんな仕事をやっても続いたことがなくフラフラしていた男が、ボウリング場の店員となって賭けボウリングをしている奴らと出会い、ボウリングの持つ魅力に目覚め自身も賭けに参加させられるようになっていく……というお話。熱血といえば熱血なんだけど、しょせん地方の一ボウリング場が舞台ということもあってどこかのんびりウダウダやっているように映る。ここらへんもヤンマガ風味。暑苦しいパワーを持った描き手は好きなので、今後大きくハジけてくれることに期待したい。

【単行本】「エリートヤンキー三郎」11巻 阿部秀司 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻のメインとなるのは、かつて警察に所属していたころは二郎流星会の宿敵だったが現在は旅館の従業員として第二の人生を歩んでいる鬼の川上が、旅行にやってきた三郎軍団相手にブチ切れる話と、留年した三郎たちの担任となった新任教師のエピソード。さすがに11巻までくると状況はすっかり安定。平和だなあ。

【単行本】「おしゃれ手帖」4巻 長尾謙一郎 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 ヘタウマ系の香りを今に伝える作品。ときに下品にときにシュールにときにスペクタクルに。何が起きても学園の生徒たちが案外へっちゃらなのが素敵。めちゃくちゃやってるけど安定。

【単行本】「Dr.モローのリッチな生活」しょにょに Dr.モロー FOX出版/文苑堂 A5 [bk1]

 今日は安定しまくった作品が多いな。コミケカタログ等でおなじみDr.モローの生活をつづったいつものヤツ。この巻には1994〜1996年分を収録。なんだかDr.モローが資金的な余裕なんか全然ないにも関わらず仕事場兼住居を新築することになって、どんどん貧乏になっていく様子を面白おかしく描いていくあたりがメイン。


8/6(火)……労働武闘ラッシュ

▼最近ウチのケーブルTVインターネット接続がよく切れる。暑いからかなー♥

【単行本】「ガタピシ車でいこう!!」2巻 山本マサユキ 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 2巻めになってますます良い。車ネタはいっぱい出てくるものの、あんまり難しい話はしないので知識がない人間でも親しみやすい。女の子登場頻度が高くなって華もあるし。何よりマニア道に足を突っ込んだ難儀な人々の、一歩間違えたらシャレにならないけど(実際本人的にはシャレになっていないのだろうが)ハタから見るとカラッと楽しい笑い話になっているのがいい。思い入れやウンチクを押しつけるでなし、かっこつけるでなし。肩肘張らずに気楽に読めるように作ってあるのが素晴らしい。

 あとこの巻には読切「Jeepに願いを」と単行本用描き下ろしで「香奈ちゃんとFIAT500」も併録。「Jeepに願いを」はジープにハマって家族をほっぽって山奥でジープ仙人として暮らしているおっさんと、彼の下を訪れた劇団員男女のお話で、家族モノをやりつつもしょうもないマニアの生態も描かれてて人情と笑いがきちんと共存した作品。「香奈ちゃんとFIAT500」は、FIAT500にハマっている男二人をからませた、町の中華料理屋の看板娘の香奈ちゃんの恋物語。こちらは香奈ちゃんがキュートで可愛く、楽しいラブコメになっている。どの作品もエンターテインメントしてて素直に面白い。

【単行本】「Load of Trash」 A-10 ビブロス A5 [Amzn]

 カラフル萬福星に連載された作品。龍もいる中世ファンタジー世界を舞台に、小国の王子と彼につき従う愉快なパーティの道中を描くというお話。前半は孤児を性奴隷として売りさばいている修道院との対決といったシリアスな展開もあるけれども、後半は非常にお気楽。この作品の特徴はなんといってもすんごいうまい絵。カラフル萬福星はCG系のうまい描き手が揃っていた雑誌だったけれども、この人はその中でも作画的には最上の部類に属する一人。お話的には楽しいんだけどまとまってはいないかなというところはあるものの、表面の質感の美しい作画はやはり一見の価値あり。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 8/20 No.16 講談社 B5中

 単行本1、2巻が8月9日に同時発売ということで、今号はすぎむらしんいち「クローン5」が巻頭カラー。そろそろ5人めのクローンを巡るエピソードになっていきそう。もう20話めまで来たけど、一向に先が見えないあたりは実にすぎむらしんいちらしい。新井英樹「シュガー」。面白い。リンのボクシングシーンはスピード感にあふれていて胸がすく。痛快。倉上淳士の新連載「特撮天使」は、低視聴率な特撮番組がテコ入れのためにヒロインを含むアイドル予備軍で美少女戦隊を構成して、なんとかかんとか視聴率アップに奮闘するというお話。美少女いっぱいで賑やかなお話になりそう。小林賢太郎「鼻兎」。今回は伝言ゲームでお話を1本。誰かが誰かにお話を伝えていくうちに、情報が変質していくさまが面白い。エントロピーの増大〜。センスいいなあ。連載2回目のモーグル漫画、玉置一平「BAKCFLIP!」もけっこう面白い。主人公の馬鹿さ、パワフルさがよく出ている。このほかにもはっとりみつる「おとぎのまちのれな」、村枝賢一「RED」、一色まこと「ピアノの森」と、連載陣が安定しているしUppersは雑誌としていい感じで来てるなと思う。読んでて疲れないしボリューム感も十分あるし。

 あ、あと榎本俊二「映画でにぎりっ屁!」、黒田硫黄「映画に毛が三本」(今号は「映画でにぎりっ屁!」が掲載)もともに面白い。今回もすごいつまらなさすぎる作品をつまらなさすぎるといっているのに、彼らの語り口で紹介されるとつい見たくなってしまう。こういうレビューは見習いたい。

【雑誌】漫画アクション 8/20+27 No.34+35 双葉社 B5中

 作:工藤かずや+画:廿里祥一郎の新連載「摩天楼」がスタート。真昼の渋谷で美しい女子高生が自爆テロを起こした事件を、かつて米軍特殊部隊にいたことのある男が探る。国際的な陰謀のからんだハードアクションといったところ。柳沢きみお「翔んだカップル21」が、いい具合にラブコメ風味を強めていて面白い。杉村娘の真由子のヤキモチやきっぷりがけっこういい。

【雑誌】漫画サンデー 8/20+27 No.33 実業之日本社 B5中

 ありゃ、小田扉「マル被警察24時」が淡々と最終回。最近の盛り上がりは最終回を控えてのことだったのかー。連載はちょうど50回。単行本になってくれるといいなあ。それにしても小田扉は、作者のWebを見ると最近すごく仕事してるなあと思う。「X+」と「COCO」掲載作品については押さえてないや。画:幸野武史+作:矢島正雄の新連載「下町の太陽」がスタート。下町の小さな病院に派遣された新米研修医を主人公とした医者モノ。末期ガンの患者を涙を流して看取ったというだけでこの研修医を指名する患者が殺到という第一話の〆はなんか釈然としないものがあるけれども、幸野武史、矢島正雄とも実績のある描き手だけに手堅い作品となりそう。それにしても最近は、佐藤秀峰「ブラックジャックによろしく」のヒットなど医者モノが流行しているっぽいですな。

 あと漫画サンデーは今号で創刊43周年。その記念企画として作:北芝健+画:渡辺みちお「まるごし刑事リターンズ」が読切で掲載。

【雑誌】ヤングヒップ 9月号 ワニマガジン B5中

 笑った。やっぱりMARO先生は素晴らしい。ついに例の生まれついての悪党の痛快なりゆき物語「ABILITY」が最終回。扉ページのアオリ文句からして「人類洗脳! 米国消滅! 絶頂点へ達した聖斗の狂気に強姦王・竜司 最後のしごきが炸裂する──!!!」と来る。兄弟喧嘩で米国消滅させる巳月の血。恐るべし。ちなみに「強姦王」には「ファッキング」というルビが付いている。ラストシーンファックもダジャレで〆るあたり、さすが巳月竜司。草津てるにょ「海月の骨」は、海で知り合った人妻と主人公の男がねんごろになるお話。やはりこの人の描く人妻は熟れ熟れでいいですな。扉ページの「夏です! 水着です!! 海です!! 人妻です!!!」というアオリもなかなか。

【雑誌】まんがSHOW GAKKOエクストラ 9月号 B5平

 駕籠真太郎が描いていたので購入。わりと再録が多い雑誌らしいけど、SHOW GAKKOは購読してなかったのでいちおう全作品初見、だと思う(記憶が定かでないので、本当に初見なのか自信はないけど)。で、お目当ての駕籠真太郎「緊張の夏、ソ連の夏」はタイトルどおりBOOPでさかんにやってたロシアもの。書記長が緊張を愛する愛人のため、どんどん冷戦を進行させて緊張を高めまくったおかげで、ストレスによる脱毛や胃に穴をあけるのがブームとなったロシアを描いていく。なんとなくこのシリーズを読んでいると、ロシアだけにテトリスを思い出す。最初はゆっくりとパーツが積み上がっていき、どんどんそのスピードが速まっていってわやくちゃな状況になっていく感じが似ている。……こじつけっぽいかな。まあこじつけだからしょうがないけど。加賀美ふみを「だいすき その3.5」。おなじみ田舎の健全な男女の恋愛模様。二人とも純朴すぎるくらい純朴で、水着姿で向かい合っただけで顔を赤らめ合っている様子とかすごく微笑ましい。エロシーンなくてもいいくらいだなあ。


8/5(月)……かさぶたが被さった

▼未読物
【単行本】「エリートヤンキー三郎」11巻 阿部秀司 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ガタピシ車でいこう!!」2巻 山本マサユキ 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「カラコカコ〜ン」1巻 こうのこうじ 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「おしゃれ手帖」4巻 長尾謙一郎 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「Load of Trash」 A-10 ビブロス A5 [Amzn]

【雑誌】コミックフラッパー 9月号 メディアファクトリー B5平

 「ほしのこえ」新海誠と「ふたつのスピカ」柳沼行の対談が掲載。そして「ふたつのスピカ」は巻頭カラー。「ふたつのスピカ」はちょっと展開が遅めかな〜という気もするけど、アスミ周辺のキャラを丁寧に描いていくというのは今後、物語の厚みを増していくには良いかも。なんか圭ちゃんが貧乏くじ引きそうな予感。新居さとし「女神の鉄槌」。サブタイトルが「おしまい」だったので一瞬最終回かと思ったけどそうじゃなくて安心。今回は珍しく怪獣っぽい話も出ているけど、結局はいつもどおり防衛もなんもしないまま。浴衣姿で好き勝手やってます。作:為我井徹+画:金坂公江「クダ師」は、人間の心に巣くう魔物を使って戦う「クダ師」と呼ばれる人々に出会い、自らの能力を覚醒させた少年の物語でいきなり100ページ掲載。これだけやるならいっそのことそのまま連載にしちゃえばいいのに……とは思った。わりとスッキリした絵でまとまっていることだし。読切えはもう一本、高山裕樹「悪魔が来たりて種を蒔く」も掲載されている。こちらは芥川龍之介「煙草と悪魔」を漫画化した作品。

【雑誌】コミック.H VOL.8 ロッキンオン 変型判

 原作をよしもとよしともが提供した衿沢世衣子「ファミリー・アフェア」が面白かった。父親がリストラ、母は浮気、長女は年上の男とのSEXに溺れ、長男は引きこもり、次女はわりと普通……という具合のよくありそうな家庭におけるそれぞれの構成員の事情と家族というユニットのたどる道を描いていくというお話。淡々とお話が進んでいくリズムはなかなか気持ちがいいし、父親や次女がマナーの悪い若者やイジメっ子たちにブチ切れるシーンは爽快感がある。家族は崩壊していっているけど、その様子を泥臭くもなくお涙頂戴でもなく、かといってクールすぎもしない普通の視線でとらえていってて肩が凝らずに読めるし、最後のしめやかな終わり方もきれい。

 それからマサキノリゴ「かさぶた」。この人の出目金みたいというか、丸っこいキャラの造形は独特の可愛らしさがあってけっこう好き。お話も良かった。受験を前にした女子中学生が、その親友と家庭の事情で離れたのを契機として、それまで自分が意識していなかった周りの人たちの想いに気づいていくというお話。前向きだし愛敬もあるし、いいんじゃないでしょうか。この人はこの雑誌の中ではかなり安定して読ませてくれる。瀬緒「皺寄せしあわせ」。前半と後半のつながりが唐突な気もするけれども、上品なペンタッチの作画はけっこう気になる。

(執筆陣)ばばかよ+原平マキオ、よしもとよしとも+衿沢世衣子、天久聖一+和田ラヂヲ、松尾スズキ+河井克夫、100%ORANGE、トモキアライ、関根美有、マサキノリゴ、tsukao、滝沢麻耶、マツヤマアキオ、GEN、瀬緒、青木京太郎
(インタビュー)内田春菊、ハロルド作石

【雑誌】キングダム 9月号 少年画報社 B5中

 よこやまじんの新連載「グングニル」がスタート。新宿を根城に、街の清掃やチンピラを懲らしめるなどの正義的行為を行っている少年グループの物語。濃いめでゴスな感じの絵柄が特徴。読切でちょっと気になっていた人ではあるが、連載となるとどんな感じかな。佐野タカシ「イケてる刑事」。眼帯の下に隠された消えないインクによる落書きを消すために、蓮と近藤がそのインクを発明した女性の元へと向かう。とかまあいいつつも、なんだかんだでHなサービスを連発して最後にビッグマグナムがドカーンという展開はいつもどおり。それにしても近藤はモテモテだなあ。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 8/20 No.16 小学館 B5中

 深巳琳子「沈夫人の料理人」。今回は沈夫人の大叔母様のかんざしと腕輪を巡って、李三が海老を使った料理勝負をさせられることに。今回はあんまり李三が奥様に振り回されていなくていつもと違った感じ。しかもこの作品には珍しく続き物となっている。とりあえず先が気になる。水島新司「あぶさん」。そういえばボンっていい歳した子供がいるんだなあ。考えてみればサチ子とかも実はけっこうな歳になっているわけか。

【雑誌】ヤングマガジン 8/19+26 No.36+37 講談社 B5中

 山本マサユキ「ガタピシ車でいこう!!」。なんだか今回は例の二人がモデルの撮影に同行。車というよりも完全に女の子話。それにしても山本マサユキの描く女の子はかわいくていいなあ。そんなに描き込んでいる風ではないんだけど、ナチュラルに良い感じ。福本伸行「賭博破戒録カイジ」。今回は不法侵入に失敗したカイジに制裁が。激しく痛そうだー。ここのところ坂崎のおっさんとの掛け合いとか妙にのんびりしてたので、もう少し厳しくなくいくかと思ってた。ちょっと意外。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 8/19+26 No.36+37 小学館 B5中

 村上かつら「サユリ1号」。大橋さんの不在が不安を煽りまくり。良くも悪くも存在感は強烈だった。最終ページのあたりとか、なんかすごく不吉な感じでドキドキする。ああ、怖い話だ。吉田戦車「殴るぞ!」。あ、懐かしい少年が。昔の友達に会ったような気分でちょっとうれしい。作:雁屋哲+画:花咲アキラ「美味しんぼ」。今回は出世のため断酒宣言をした富井さんのために、みんなで酒に合わない肴の話をするという、「東西新聞社ってどうしてこんなにヒマなんだよ」と文句の一つも垂れたくなる回。オチは途中で読めたけど、それにしても富井さんってよくクビにならないよな。というか副部長になれただけでもラッキーなような。

 あとスピリッツでは、8月12日に「漫戦スピリッツ」という新増刊が出るらしい。新人作家競作増刊になるようで、新僧の後継誌ってことでいいのかな? でも予告ページに掲載されている表紙に「スッパニタータ」のツギノツギオの名前がないのが気になる。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 8/19 No.36 集英社 B5平

 河下水希「いちご100%」。なんだか最近さつきと一緒なことが多い真中くんに、東城さんはムクレ気味というか。ああ、青春ですなあ。ラブコメラブコメしてていい。

【雑誌】花とゆめ 8/20 No.17 白泉社 B5平

 最近の花とゆめでは桜井雪「ショート寸前!」が好き。絵が好きというのと、ヒロインさつきとそのボーイフレンド(というのがいいでしょう。まだ恋人ではないので)千堂の関係が、サバサバした恋愛直前という関係を保っているのがラブコメっぽくていいなあと。個人的にラブコメは「心地よい男女の関係性・距離感を保つこと」、ラブストーリーは「男女の関係性を動かすこと」にそれぞれ主眼があると思ってて、この作品なんかは関係性の維持でもって読ませているあたり非常にラブコメだ。いい加減くっつけよと思わないでもないけど。

【雑誌】桃姫 9月号 富士美出版 B5平

 山本貴嗣が登場。タイトルは「首輪物語(LORD OF THE COLLARS」。宮廷を追い出された魔法使いが、女を支配する首輪を王女様にハメていいように嬲ろうとするが……というお話。続き物。THE SEIJI「洗車いたしますぅ」は、きわどい水着を着て洗車をするというバイトを始めた女の子が、因縁をつけてきたお客さんによってずっちょんずっちょんヤラれてしまうというお話。別に陰惨な感じじゃなくて明るいムード。THE SEIJIの描く女の子は、ついつい流されちゃうお人好しさ加減がなんだか和む。しろみかずひさ「ヤドリギ」。今回の麻理果は現代のOL風。わりと未来っぽい設定のお話が最近多かっただけにちょっと新鮮。そういえば「なぶりっこ」は、単行本が11月下旬に2冊同時発売となるらしい。めでたい。そういえばアダルトな雰囲気のある鉛筆っぽいタッチの達者な作画が気になっていた戦国くんも、9月10日に初単行本「BRANDED」が発売されるそうだ。


8/4(日)……雷さんだー

▼テレビ神奈川でプロ野球、横浜中日戦を見てたら雷で横浜スタジアムが停電して試合が中断。テレビのほうも30秒くらい画面が真っ暗になり、解説とアナウンサーの声だけ聞こえるという状態になっててけっこう面白かった。あと今年のベイスターズは成績は最悪だし故障者もぼこぼこ出てるけど、その分、普通のシーズンでは出てこなかったであろう若手選手がいっぱい出場機会を得ていて、個人的にはけっこう楽しいシーズンとなっている。

【雑誌】コミックメガストアH Vol.2 コアマガジン B5平

 月野定規の巻頭16ページフルカラーコミック「淋しいマーメイド」は、普段は生徒たちから鬼と恐れられている女教師が、放課後は彼女の教え子にいいように調教されその肉棒の虜となっている様子を描く作品。女教師の快楽にトロけた表情がいやらしい。この人はすっかりハードエロの描き手になったなあ。りゅうとひさし「さすらいメイド オレンヂさんがゆく!」は、主人に捨てられたメイドロボが新しいご主人様に拾われるも、実は彼女がものすごいセックス性能の持ち主で……というエロコメディ。目の描き方とか表情とかに特徴がある達者な絵柄が面白い。人参・参「MOON WALK Reverse」。妖精みたいなちっちゃな羽の生えた女の子を拾った主人公が、彼女にHないたずらをしまくる。人参・参の絵柄は暖かみがあってかわいくてけっこう好き。

【単行本】「アフター0」1〜2巻 岡崎二郎 小学館 B6 [bk1][Amzn:1巻/2巻

 祝発売。長らく絶版になっていた岡崎二郎の傑作SFショートショート、「アフター0」が完璧版として復活。今回は旧版には未収録だった短編も収録されるなど内容は充実。全8巻にて刊行予定らしい。科学や化学その他もろもろのうんちくをエッセンスとして活用し、ときには人情モノのドラマ、ときにはミステリ、ときには冒険モノと、いろいろな味付けをして読者の前に気の利いた作品として呈示してくる手際は今読んでも実に鮮やか。旧版を買い逃していた人も持っている人も、この機会にぜひどうぞ。できればこの勢いで「トワイライト・ミュージアム」とかも復刻してくれないかなあ。初収録作品等、詳しいデータは「アフター0」ページを参照のこと。

【単行本】「オッス!トン子ちゃん」 タナカカツキ アジール・デザイン B6

 太ってはいるけどどこかキュート、岡本太郎に憧れ、「〜ダス」という語尾のしゃべり方と繊細な乙女心の持ち主、トン子ちゃんの生活を描く。この作品の来歴自体はよく知らなかったのだが、兄・本田健のページを見ると音楽専門のCSチャンネル、スペースシャワーTVのCMとかに登場していたらしい。で、これを実際にまとめて読んだところ、これがなかなか面白かった。ベタな古典少女漫画ラブコメチックな恋模様、カッコイイ喫茶店のマスターへの憧れといったモノと、岡本太郎のアートに対して抱く得体の知れぬ根源的な情熱などなどのミスマッチを、飄々と描いていくいけしゃあしゃあとした作風がなかなか快感。素直に楽しめた。限定3000部のボックスらしいけどまだ買えるんだろうか。いちおう入手先であるカエルカフェにリンク。

【単行本】「月の男」 コジマケン 新風舎 A5 [Amzn]

 ああ、なんか古き良き創作同人っぽいなと思って初出を見たら実際古かったし、同人誌での発表作品が多かった。短編集だが、作品の発表時期は1981〜1991年といったところ。森博嗣の解説によれば「当時の漫画同人グループ・ドガから派生した同人出版ジェットプロポスト」が発行していた「JP MANIA」などで活躍していた人のようだ。細く均一な洗練された線で、不思議なファンタジーっぽいお話を描いている。収録作品の中では、浪漫を求めて旅に出た青年が不思議な町を通り抜けたりしつつ、砂漠でエイハブ船長が山手線に復讐を果たそうとするさまを目撃する「鉄の白鯨」あたりが気に入った。わけのわからないことや行動しかしない登場人物たちの住む世界で、次がどうなるか予想できないような旅を続けていくというお話はなんか妙にのんびりムード。今読んですごく面白いかというとさすがに古いとは思うんだけど、「何か新しいもの、珍しいもの」を描こうとして試行錯誤や実験を繰り返していた当時の創作同人っぽい雰囲気は感じられて、けっこう心地よくはある。今だとこういう作品は、アフタヌーン四季賞の佳作とかでときどきありそうだなあ、とか思った。

【単行本】「バラ色ギャング」 とま 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]

 こちらも古めの作品集で発表時期は1982〜1993年。掲載誌はガロ。「BEAVIS&BUTTHEAD」とか、ああいうアメリカンな感じのコミカルな絵柄で、ぐるぐる回る覚めない明るい悪夢みたいな世界を描いている。物語を追うにつれてわけの分からない方向につれていかれちゃうような感覚のある、完成された作風。

【単行本】「モーレツ変身!!エピルちゃん」 山咲トオル ソフトマジック A5 [bk1][Amzn]

 うーん、微妙。不慮の事故で死亡したけど化学者である母親によって、200種類の生物の細胞をまぜこぜにした培養液にひたされ落雷のショックで蘇った少女エピルちゃん。彼女はその培養液のせいで200種類の動物に、体の部分だけが変身できるという化物のような女の子になってしまう、というところから始まるギャグ漫画。絵柄的にもギャグの傾向的にも楳図かずお「まことちゃん」風。というわけでホラー調の絵+下品ギャグという展開はパワーはあるんだけど、なんとなく心に響いてこず爆笑にはつながらなかった。なんかモーレツなものを狙いすぎてるっぽいところが鼻についちゃっているのかもしれない。


8/3(土)……全開はいかんぜ

▼久しぶりにたまった雑誌をちょっと整理。けっこう面倒くさい作業なのだが、ふと思いつき扇風機もエアコンもかけずに作業。案の定汗がだらだらと出る。おかげで作業が終了した後の風呂が気持ち良く、ビールがうまかった。面倒な作業をするさいのモチベーションを上げるためには、その後にお楽しみイベントを設定しておくことが重要であることを改めて確認。

▼ジャスティのUSB2.0内蔵ハブ「UHB-042I」を導入。USB2.0の内蔵ハブとしてはこれまで、玄人志向の「USB2.0+1394HUB」を試したことがあったのだが、俺環境ではUSB2.0として認識してくれず非常に悔しい思いをしていたので、今回はその雪辱を期したチャレンジだった。で、結果としてはうまくいった。ジャスティのハブにはUSBの動作モードを示すLEDがついていてこのLEDでは「USB1.1で動作」を示していたのだが、どうもこのLEDの表示は実際の動作モードと一致しないことがあるようで、PC Watchの記事でも同じ現象が起きている。実際にUSB2.0スキャナをつないでみたところそのスキャンユーティリティでUSB2.0で動作していることを確認できた。USB2.0がらみではこれまで何度か苦労してきたので、珍しくスムースに行ってくれてうれしかった。

【単行本】「少年エスパーねじめ」1巻 尾玉なみえ 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 はた迷惑な超能力の持ち主である白エスパーねじめが、気の弱そうな少年るきじの家に住みついてさまざまなトラブルを巻き起こすというギャグ漫画。ねじめが戦う相手は自動販売機から押してもいないおしるこが出るような混沌として世界を望む黒エスパーとか。別に戦わなくてもいいような気もするし、そのおかげでるきじは迷惑かけられっぱなしなのだが、はたから見てるとその様子が楽しくて仕方がない。るきじの頭に縦笛が生えたり、ヘンなロボットのお腹の引き出しに収納されてボロボロになったり。とかいう事象だけ説明しても、この作品の面白さはたぶん伝わらない。尾玉なみえのクセのある絵、セリフ回し、リズム感あってこそのギャグという気がするから。すごく妙でほのぼのとしているようでもあるヘンな漫画。オススメ。あとおまけページの自虐ネタなども気が利いてていい。「純情パイン」の読切バージョンが収録されているのもうれしい限りだ。

【単行本】「いちご100%」1巻 河下水希 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 ある日少年は、いちごパンツの美少女に一目惚れした……というところから、地味だけど眼鏡を外すとむちゃくちゃ美人でなおかつ主人公のことを好いている東城綾さん、それから快活で奔放な美少女で主人公が勘違いして告ってしまった西野つかささん。二人の女の子に挟まれて主人公の真中くんがドキドキしまくる学園ラブコメ。というと普通のラブコメでしかないだろうし、実際普通のラブコメでもあるわけだが、この作品は非常にいい。何より女の子が二人とも可愛いし華がある。今どきこんなラブコメでしかないラブコメなんて珍しいし、胸がキューンとなる甘ったるさも格別。パンチラとかも重要だが、それよりも読者をぐにゃぐにゃにするラブコメ空間の濃密さがいい。なんといっても東城さんがいいコすぎてなあ……。もうたまらんです。

【単行本】「どんまい!」2巻 作:矢島正雄+画:若狭たけし 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 いい話やー。すごくよく出来ていると思う。新米ホームヘルパーの女性・里見優が、老人介護の仕事の中でさまざまな人間模様を見つめていくという話。人情モノの泣かせ系のお話だが、これがけっこう気持ち良く泣かせてくれる。とくに今回は年老いた元女教師のおばあさんと、彼女の元生徒たちのエピソードがとても暖かで良かった。矢島正雄原作作品は地味ながらもしっかりとした人間ドラマになってる作品が多いし、若狭たけしのまっすぐで気持ちのいい作画もいい味になっている。

【単行本】「ふわふわカタログ」 石田敦子 少年画報社 B5 [bk1][Amzn]

 ホビージャパンにて1回につき見開き2ページという形式で連載された作品。ファンタジーっぽい街でハーブ屋をしながら暮らしているアニメ好きの女の子・ココアを主人公に、彼女の熱中していることや恋などについて描いていくお話。最初は2ページというページの少なさもあって画面がゴチャゴチャしてるな〜という印象があった。とくに手書き文字によるセリフなんかがそうで、ファンタジーっぽい世界のわりに丸くかわいい文字でなく、わりと不揃いなボールペン習字的な字だったこともあって、よりガチャついて見えた。でもそれは読み込んでいくうちにあんまり気にならなくなったし、ココアみたいないかにも真面目で一生懸命生きている女の子っぽい字だなと思えるようになった。ストーリーについては、好きな人との趣味の相違などに傷つきながら、ココアが一歩一歩成長していくポジティブな物語になっていて面白かった。ココアも可憐な文系乙女という風情のいい娘さん。好感が持てた。

【単行本】「おさんぽ大王」6巻 須藤真澄 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

 いつもながらにいろいろな場所(でもさほど遠出はしない)をぶらぶらと。今回のお話の中では歌声喫茶の話が良かった。最近ウチの実家では父親が男性合唱のサークルに入ってしまい、のべつまくなし歌いまくっているのだが、こういう場所に行かせるのもいいかなとか思った。

【単行本】「サイボーグサラリーマン メカ★アフロくん」 花くまゆうさく マガジンハウス A5 [bk1][Amzn]

 サブタイトルに「ほのぼのオフィスマンガ」とあるが、たしかにほのぼのしている。サイボーグサラリーマンのメカ★アフロくんが職場で活躍するという話で、毎回課長が死んだりするが、それでもなんか空気がまったり。すごく面白いというほどではないけれど。

【単行本】「エロ研 完全版」 かかし朝浩 シュベール出版 B6 [bk1][Amzn]

 そうかー。コレってもう5年も前の作品になるんだ。本編の「エロ研」は、元伝説のAV女優だった女教師が、スケベ野郎が集まった「エロ研究会」の顧問となって日々エロエロな行為を繰り広げるという学園漫画。といっても爆裂やりまくりというよりかは、なんだか非常に楽しげなスクールライフって感じの作品になってて読後感は爽やか。女教師の根元先生やその妹のはまりちゃんら、キャラも明るく愛敬があるし。同時収録のセックス格闘モノである「餓狼伝」「腹上のメリークリスマス」も含めて、サバけた作風で楽しく読める。抜くよりも読んで楽しむほうが主眼な感じの作品集。

【単行本】「愛しのジュリエット」 小菅勇太郎 シュベール出版 A5 [bk1][Amzn]

 訪問先の孤児院で一目惚れし合ってしまった、スターのウィルとジュリアという少女が、一緒にお芝居に出演することになったことを通じてくっついていくという「愛しのジュリエット」を中心とした単行本。「愛しのジュリエット」は孤児院が実は少女売春組織みたいなことをしてたりとか、なんか肉体を使ってのし上がろうとする女性レポーターとかが出てくるけど、いまいち設定は消化されきってないかなという印象。可憐な絵柄はなかなか良いんだけど。

【単行本】「全開少女キャスティ」 NEO’GENTLE 富士美出版 A5 [Amzn]

 うーむ、ヘンな作品だー。正義の味方、全開少女キャスティが悪の組織の改造人間をこらしめるために、張り型みたいな武器を使ってやりまくるというもの。登場人物は少なめで、キャスティとメインやられキャラの猫耳少女プッシーニャ、それからキャスティの対抗として出てくるわりと強そうな腕4本の女怪人ブラックリトリス、それから最後のほうでプッシーニャを助ける少女・聖理のみ。異世界っぽい舞台で彼女たちがくんずほぐれつ。作者は「シュールなエロ・ギャグマンガ」路線を狙ったみたいなことを描いているけれども、なるほど、これハナからギャグでやってたんだなあと合点がいった。この人の本は、やたら肉体が艶めかしくてぷにぷにしてそうな実写のフィギュア写真もお楽しみの一つだが、漫画のほうのキャラもすごく胸の弾力とかありそうに描けている。独特の不思議な作風の持ち主で気になる。お話としては、今のままだとまだ普通に読めてしまいもするのでもっとムチャなことやってもいいような気はする。


8/2(金)……敵地常識

▼人にマシンを1台組んであげることになってアキバでドライブ類を調達していたところ、CD-R/RW+DVD-ROMのコンボドライブがずいぶん安くなってて驚いた。LG電子のCD-R12倍/CD-RW8倍/DVD8倍のドライブが、DVD再生ソフトとCD-Rライティングソフト付きで8970円とかで出てて、とくに必要でもないのに自分用にも1個買っちゃおうかなとか思ってしまったくらい。そろそろ書き換え型DVDドライブが欲しいところでもあるんだけど、こっちはドライブもメディアもまだ値段的にこなれてきてないから、も少し待つことにしたい。しばらくはUSB2.0のHDDケースでも使って、IDE HDDにデータためこんでいくほうが賢明なような気はするし。今HDDは80GBで1万円切ってたりするわけだから。

【単行本】「大人になる呪文」1巻 パニックアタック FOX出版/文苑堂 B6 [bk1]

 待ってましたー! コミックヒメクリで連載中の萌え萌え☆ぼんばぁ〜「大人になる呪文」がついに単行本化。このお話は、ロリロリな妹が大好きで大好きでたまらないお兄ちゃんが、これまたお兄ちゃんが大好きで大好きでたまらなくってお兄ちゃんのお嫁さんになるために早く大人になろうと魔女っ娘の修行をしている妹・未由たんを、可愛がり甘やかしHないたずらをし戯れるという作品だ。もう最初ッから最後まで、徹頭徹尾それしかやっていない作品だといってもよく、何かの間違いではないかと思うほどに妹萌え純度が高すぎる。そして兄萌えの純度もこれまた高いのだ。

 パニックアタックは、この作品において未由たんという妹が繰り出す、さまざまな可愛らしさを描きつけることに全精力を注いでいる。別に可愛いファッションや猫耳やら、そんなパーツが可愛いだけじゃない。例えば呪文を唱えようとしてお兄ちゃんの前でくるくる回転→勢い余って机の角に手をぶつけて手をふうふうする。例えばストローをT字型につなげて息を吹いて窓のさんのホコリを吹き飛ばすみたいなどうでもいい豆知識を、いかにも誇らしげにお兄ちゃんに披露する。両手で口のはしを引っ張って「い〜っだ」といってスネる。その仕草がとにかく無邪気すぎて無防備すぎて、造形+アクションの可愛さはもう∞。思わず頭をなでたりお小遣いあげたくなっちゃったりする。

 この気持ちはたぶん恋だけでなく、小動物を溺愛する気持ちに近いものが加わっているのかもしれない。実際この作品でも、未由たんが呪文を間違って唱えて10cmくらいのちっちゃさになっちゃって、それをいとおしむという回がある。胸のポケットに入れて持ち歩き、ときどき取り出して見つめてはニヤニヤしたいという願望の具現化だ。そういう感情に基づいた作品であるがゆえに、個人的にはエロはまったくなしでもいいとさえ思う。まあ実際、回を重ねるにつれHな描写は減って来ているような気もする。とにかく未由たんを日がな一日観察して、頭をなでなでして、一緒におゆうぎでもやれればそれでいい。それほどにピュアな溺愛感情を沸き立たせてくれる。こういう作品を読んでいると、たとえ児ポ法とかが施行されても僕らはやっていけるかもしれないとか思う。服を脱がさくても、Hをしなくてもやっていけるじゃないかと思う。イエーイ。

【単行本】「高校アフロ田中」2巻 のりつけ雅春 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 馬鹿な高校男子たちのウダウダした日常を描き続けるという作品。わりとヤンマガっぽい作風だがスピリッツでの連載。地味っぽいかなと最初は思われたが、回を重ねるにつれ面白くなっている。この男たちは、主人公の田中を含めて意外と個々の印象は薄いような気もするんだが、集団としてずっと頭の悪い行動を取り続けていてしかも無害で、観察してて楽しい。あといちいちビルから落っこちてくるメチャ強キャラ・加藤さんは出てくるたびに笑える。

【単行本】「サユリ1号」2巻 村上かつら 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 この巻もたいへんにキッツい。普通の男女関係において、恋愛や友好などの状態を成立させるために用いられる妥協やごまかし、自己弁護などを美人の大橋サンがちくちくとつつき続ける。誰しもが自分でもやっていそうなことだけに身にしみることしみること。軽いけどお人好しでいい人そうにも思える主人公・直哉、その幼なじみで好感度高そうな女の子のちこちゃん、どちらもまったく甘やかすことがない。こんなに素っ気ないというか寄る辺ないスタンスもちょっと珍しい。村上かつらのパサパサとした水っ気のない作画も、それを増幅している。チビシー。でもその緊張感がどうにもたまらない。

【単行本】「キーチ!!」2巻 新井英樹 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 1巻ではキーチの暴れん坊ぶりが主に描かれてきたが、2巻では環境がガラリと激変。キーチに突如訪れた不幸。そして深い悲しみ。さすがのキーチも大きく感情を揺さぶられ、ショックを受けたままどこへともなく歩き出す。正直、お話が今後どういうふうに展開していくかは全然見えてないし、キーチも得体が知れないままではあるのだが、何かまたアッと人を驚かすことをやってくれそうな気配もあり。

【単行本】「黄金のラフ」7巻 なかいま強 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 手堅く面白いな〜。なかいま強の描く漫画は、どれも画面が整理されてるしテンポもいいしで圧倒的に読みやすいのがいい。適度なユーモア、適度なアクション、そして安定感。いい仕事してます。

【雑誌】ヤングアニマル増刊 嵐 9/15 Vol.9 白泉社 B5中

 今回はまたエロか萌えかというたいへんに分かりやすい誌面。梅丸茶「ヒモと犬」。3人の女の元を渡り歩くヒモ男が町で「捨て犬」を名乗る少女を拾ってくるも、全然しつけがなってなくて苦労するというお話。女の子も可愛くほのぼの。なかなか安定感ありますな。私屋カヲル「さくら咲いちゃえ」。今回はさくら先生の意外に純な一面が見えたのが新鮮。原案:むぎむぎ団+画:中島零「ナースウィッチ小麦ちゃん マジカルて」はOVAの漫画化らしい。元の作品をほとんど知らないのでよう分からんけどいちおう掲載情報だけ。あと西川魯介「野蛮の園」は、今回海に行く話だけど、渚でもやっぱりめがね。さすがに9月6日にロフトプラスワンで開催されるトークイベント「メガネッ娘居酒屋『委員長』」にも出演するめがねっ娘の偉い人だけのことはある。

【雑誌】コミックバンチ 8/16 No.35 新潮社 B5中

 深谷陽「スパイシー・カフェガール」が警視阿。とあるタイ料理レストランでバイトを始めた青年と、そこに勤める韓国人ウェイトレスの触れ合いを描いた作品。日本が舞台でもエスニックな風味を醸し出すあたりはさすが深谷陽。お話としてもきれいにまとまっててうまい。作:江戸川啓視+画:クォン・カヤ「プルンギル −青の道−」。おそらくチョイキャラであろうと思われる猟奇犯罪者まで、なんだかやけにキャラが濃い。ハッタリ利いててけっこう面白く来ていると思う。あと、次号からは日高建男「満腹ボクサー徳川」が連載化。個人的には世界漫画愛読者大賞のノミネート作の中では、これと長谷川哲也のが連載で読みたいかな〜と思っていた作品だったのでわりと楽しみ。なんだかんだいって読みやすくて雑誌としてこなれてきてるなと思う。

【アンソロジー】「知的色情」 ゼロの者ほか 光彩書房 A5 [bk1][Amzn]

 「激しくて変」「暗黒抒情」の後継誌として登場。今回の誌面は、ほりほねさいぞう、町田ひらく、早見純、ゼロの者ら実績のある人で前半を固め、後半で藤黄広誠、牧田在生らの若手のクセのあるメンツを積極的に登用。安定どころを押さえつつしっかり冒険もしているあたり、なかなか面白い。全体的には非常に変態的な作品が多く、読み口はかなり濃厚。やっぱ変態ってすごいな、と思う。

 まず巻頭カラーはほりほねさいぞう「おんなのこくらぶ」。おとこのこだけで女の子の姿になってHなことをしまくるパーティみたいなものを描いている。とかいうと普通のボーイズラブっぽいが、頭よりデカい胸をつけたコやらちんちんが大量についているコも出てきて刺激的な内容。でもお話としてはちょっと仕掛けが分かりづらくはある。町田ひらく「国立人喰い動物園」は、いつもながらに可憐な少女たちがかわいそうな苦めのお話。登場人物たちの突きっぱなしぶりが非常にクール。早見純は、漫画だけでなく「ビバ!東京砂漠!」と題されたコラムが得もいわれぬ味。「朱印船」だの「「三万戸」だの、いやらしいことを連想する言葉に対する想いを縷々と書き綴っている。まるで性に目覚め始めたばかりの中学生みたいなことに並々ならぬ情熱を傾ける稚気に感嘆。ゼロの者「少し異常」はこの人のお得意の液体モノだが、今回は汗でなく精液。すごい勢いでベトベトしてそうで刺激がキッツい。むわっと来そう。後半のほうでは、西牧徹や華麗王女の作画の濃さが迫力あり。とくに華麗王女の描く人物は揃いも揃って顔が怖すぎ。牧田在生「彼岸底彼岸天井」は、父親に男扱いされつつも性的虐待も同時に受けながら育ってきた少女の話で、救いのない哀しい物語。不幸でセンチメンタル。

(執筆陣)ほりほねさいぞう、町田ひらく、早見純、ゼロの者、沙村広明(イラスト)、西牧徹、太田和三、町野変丸、藤黄広誠、牧田在生、華麗王女、白石明日香


8/1(木)……バーステイパーティ

▼なんか未読単行本がたまってきちゃったな。週末ちょっと頑張って読もう。いい加減、5月コミティアの同人誌も読み終えちゃわないといけないし。気がつけば次のコミティア(9月1日開催)まであと1か月になっちゃったし。

▼未読物
【単行本】「高校アフロ田中」2巻 のりつけ雅春 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「サユリ1号」2巻 村上かつら 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「キーチ!!」2巻 新井英樹 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「黄金のラフ」7巻 なかいま強 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「アフター0」1〜2巻 岡崎二郎 小学館 B6 [bk1][Amzn:1巻/2巻
【単行本】「Flowers 新装版」1巻 奥瀬サキ 幻冬舎コミックス A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「バラ色ギャング」 とま 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「エロ研 完全版」 かかし朝浩 シュベール出版 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「愛しのジュリエット」 小菅勇太郎 シュベール出版 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「全開少女キャスティ」 NEO’GENTLE 富士美出版 A5 [Amzn]
【アンソロジー】「知的色情」 光彩書房 A5 [bk1][Amzn]

【雑誌】ミステリーボニータ 8月号 秋田書店 B5平

 「ミステリー」といっても推理モノ系の雑誌ではなく、どっちかというと「ミステリアス」のほう。お目当ては小田ひで次「モヤイ伝説」。積極的な彼女とはっきりしない彼氏が、渋谷のモヤイ像の前で過ごした1日を描いた穏やかで微笑ましい作品。彼女さんがなんかけっこう愛敬があって可愛い。このほか、タイム涼介「おねがい♥こっくりどん」や大熊ジン「マジカルチロル」と、他誌で注目していた人がちょこちょこ登場していて意外と穴場的な雑誌。

【雑誌】近代麻雀 9/1 vol.419 竹書房 B5中

 尾上龍太郎の読切「東の一局星」が掲載。テレビもない貧乏な家庭に生まれ、動いているモー娘。も見たことがないような麻雀少年の物語。まあ要するに「巨人の星」パロディみたいなナンセンスな作品。尾上龍太郎はクセのある作品を描くことが多い人なんでけっこう好きだが、今回の作品もマイペースで下らない。

【雑誌】ビジネスジャンプ 8/15 No.17 集英社 B5中

 作:夢枕獏+画:谷口ジロー「神々の山嶺」。面白い。今回は深町がエヴェレストで極限状態に陥る。彼の意識朦朧とした状態と羽生の毅然とした様子が、常人とそうでない者の違いをありありと浮き上がらせる。深町はより常人サイドに近いキャラだけに、エヴェレストという山の一瞬たりとも気の抜けない厳しさがリアルに伝わってくる。作:近藤雅之+画:有賀照人「警視総監アサミ」。今回はなぜかアサミたちがカラス駆除に乗り出す。何やってんだか。しかもとりあえず脱がしてるし。本当に警視総監にする気あるのかー(別にどうでもいいけど)。あと作:周良貨+画:能田茂「監査役 野崎修平」が、先日休刊したオールマンから移籍新連載。

【雑誌】モーニング 8/15 No.35 講談社 B5中

 おっ、「カタリベ」の石川雅之だ。第39回ちばてつや賞一般部門入選作「バス停」にてモーニング初登場。とあるバス停でたまたま出会った、危篤の祖母に会うために帰ってきた男と、これから別れ話をしにいく女性のお話。バス停での会話を軸にしてそれぞれの人生模様を描いていくという構成で、さりげなく人と人との縁を感じさせる読後感のいい爽やかな物語となっている。この秋からモーニングで集中連載も開始するらしい。なかなかの語り手なので期待したい。ついでに「カタリベ」と「コームインV」の単行本化を……とか思うけど、まあそこまではさすがに難しいでしょうな。菅原雅雪「暁星記」は次号で第II部最終回。現在の物語進展具合からいうと当然第III部もあるのだろう。ここまでスケールの大きい物語作り、ハードな展開と非常に面白かったので、ぜひしっかりと作り上げていってもらいたい。でも間は空きすぎないでくれるとありがたい。

【雑誌】ヤングサンデー 8/15 No.35 小学館 B5中

 石川優吾「格闘美神ウーロン」は、別冊ヤンサンでやってた女子高生格闘モノの作品が移ってきたってことかな。石川優吾作品は一見軽そうで、意外と読めちゃうからけっこう好きではある。守村大のボクシング漫画「パラダイス」は順調に面白くなっていると思う。拳闘シーンもスピーディで迫力あるし。さすがにここらへんは手堅い。

【雑誌】ヤングジャンプ 8/15 No.35 集英社 B5中

 高橋ツトム「ブルー・ヘブン」。豪華客船に拾われた鬼子・盛龍の真の姿が少しずつ明らかにされていく。まだ目立った行動は起こしていないけれど、不穏な空気の濃度が少しずつ増して来ている。次の一手をどのように繰り出してくるのか気になるところ。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 8/15 No.36 秋田書店 B5平

 ガーン。コゲどんぼ「でじこのチャンピオンカップ」が今回で最終回。けっこう楽しく読んでいたんだけどなあ。でもまあ単行本化はされるらしいのでちょっとだけ安心した。作:森高夕次+画:松島幸太朗「ショー★バン」。なんとショーバン君、まったく自分が悪いと思ってなかったのか。大物だ……。水島新司「ドカベンプロ野球編」は、本編と高校時代に一度だけ実現していた不知火と土門の投げ合いを描いた番外編が掲載。

【雑誌】ポプリクラブ 9月号 晋遊舎 B5中

 祭丘ヒデユキ「レ神」が掲載。タイトルから分かるとおり、単行本「コングラッチュレイプ」発売記念で「レ研」シリーズの読切。今回はまたしてもレイプ研究会の略称が変わってるし。相変わらず勢いがあって下らなくていい。さすがに単行本「レ研」に掲載された作品ほどにムチャクチャなことはやってないけど、アレはまあ普通編集部サイドがブレーキかけるだろうし。パニックアタック「今日はブルブルする日」。ちっちゃな女の子と家庭教師をやってる従兄のおにいちゃんがHなお勉強をする話。この人の描く少女は無邪気そうな素振りが可愛いな〜。でも衝撃度ではやはり「大人になる呪文」のほうがかなり上。「大人になる呪文」[bk1]の単行本は、まだ家に到着してないんで読めてないけど、届き次第、あまり冷静じゃない感想でも書こうと思います。おかのはじめ「満員電車で×××」は、可愛い少年が女性専用車両に間違って乗ってしまい、お姉さん方に囲まれてHないたずらをされまくるというお話。なめらかな描線が美しくて、むんむん色っぽい。

 次号は星逢ひろ、吉良広義、へかとんと、またしてもけっこう好みな執筆陣になりそう。


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