2002年5月下旬


5/31(金)……O・ヘンロー短編集

▼5月が終わったということでOHP月極アンケートのテーマ入れ替え。5月の「音楽漫画」についてはだいたい納得の行く結果。こうやって挙げてみるとけっこうたくさんあるもんですな。

 6月は「格闘・拳闘・ケンカ漫画」に。実はこのテーマはいつかやろうと思いつつもためらっていたテーマで、それはなぜかといえばカテゴライズがけっこう難しいから。つまりタイトルのつけ方が難しい。「格闘漫画」というと格闘技というイメージが強いので、ストリートファイトモノが入るかどうかちょっと微妙になっちゃうし(そんなわけでタイトルに「ケンカ」と入れたんだけど)。あとスポーツ漫画との境界線も問題で、とくに柔道の取り扱いは難しい。さらに武器を使う漫画。刃のついた武器が出てくると俄然格闘っぽくなってくる。でも刃が付いてても暗器くらいはアリっぽいし、武器でも三節棍とかトンファーとかはいいような気もする反面、「んじゃ竹刀、つまり剣道はどうなのよ」というとそれはなんかかなり違うような気がする。いちおう「己の肉体を駆使して闘う」とか注意書きはつけたけど、銃撃戦だって別に肉体を駆使してないわけじゃないし。このあたりは厳密な線引きは難しいので、格闘を基本としてそれに類する漫画ということで、各自判断して入れていっていただければと思います。 

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ増刊 IKKI 7/1 No.10 小学館 B5平

 作:渡辺浩弐+画:加倉井ミサイル+キャラクター設定:岡崎武士「アトランシティー」が本編開始。未来都市でアイドルをやっている人見舞のコンサート中に惨劇発生。あちらこちらで爆発が起こり、人の命も失われていく……という感じの出だし。第一話の段階では話は見えていないが、加倉井ミサイルのシャープな作画のカッコよさは印象に残る。それから多田由美の「Lucky Charms&Apple Jack」も美しく連載スタート。一コマ一コマ、作画がいちいち気が利いてて良い雰囲気。

 初登場、いましろたかし「おへんろさん」。おへんろさんとして放浪の旅をしているおっさんのお話。肩の力が抜けてて、実に飄々としている。しかもなんだかすごい深いような気もする。気のせいかもしれないけど。で、7月末日には小学館から、「ハーツ&マインズ」と「ザ☆ライトスタッフ」をまとめた単行本、「初期のいましろたかし」が出るそうだ。これは今まで入手難だったこともあり嬉しいしらせだ。

 松本次郎「フリージア」はずっとミステリアスにストーリーが展開中。ますます謎が深まっていく感じで面白い。単行本でまとめ読みするとさらにグッと来そう。黒田硫黄「セクシーボイスアンドロボ」はこのところなんだかハードボイルドだ。憂いに沈むニコもまた良し。今回も画面にいろいろ動きがあってかっこいいなあ。まったくもって変幻自在。素晴らしい。菊池直恵「鉄子の旅」。今回は廃線になる木島線を見に、菊池直恵がまたもや引きずり回される。鉄な人たちの業の深さには毎度圧倒されるものがある。数あるオタクジャンルの中でも強力さでいったらかなり上位ランクじゃなかろうか。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 6/14 No.12 小学館 B5中

 土田世紀の読切「HOT MOON」が掲載。片や田舎でギョーザ屋になった男、片や都会に出てITバブルに踊った男。対照的なかつての親友のその後の人生を描いていくというお話。手堅くまとまっているけど、土田世紀にはもっとハジけた作品を描いてほしいって気はする。東陽片岡「お三十路の町」。かつてズベ公だった女の半生を、例によってグチ聞き屋のおっさんが聞く。なんか悲喜こもごもって感じではあるんだけど、東陽片岡が描くと「まあ別にいいかー」という気持ちになれる。個人的にはすごく癒される。東陽片岡の作品を読むと、なぜだか明日を活きる希望が湧いてくる。

【雑誌】コミックバンチ 6/14 No.26 新潮社 B5中

 新連載、松家幸治「ガキんちょ強」は、第一回世界漫画愛読者大賞で準グランプリを受賞した作品。うーん、あんまりこういうこといいたくはないんだけど、正直なところ候補10作品の中では個人的には最も「これが賞獲ったらいやだなあ」と思う作品だった。作品としての完成度は高いと思う。作画もこなれてるし、貧しい環境で妹を守るために奮闘する兄を主人公とした人情モノというストーリーも悪くない。でもねえ、せっかく賞金5000万円とかいう今までにないことをやった前代未聞の賞だったわけだから、ノスタルジー、子供モノ、人情モノという、おなじみではあるけれども新鮮味の全然ない、古風でさえある作風の作品が受賞するのはちょっとなあと思っていたのだった。しかもこれ一話完結でもOKそうな話だし。別にこの作品が悪いというわけではないんでこういう書き方は非常に心苦しいんだけれども、せっかくの試みなんだからもっと畳みきれないくらいの大風呂敷を広げるような作品が読みたかった。

【雑誌】ヒメクリ 7月号 FOX出版 B5中

 読者コーナーであの三峯徹さんも応援しておられるとおり、パニックアタック「大人になる呪文」がたいへんよろしい。今回のお話は、前回魔法で小さくなってしまった妹さんとダメなおにいちゃんがたわむれるというお話。妹さんの行動が無邪気でかわいすぎる。大人をダメにする呪文。なお「大人になる呪文」が夏に単行本化されることが決定したとか。やったー。それから毎度のことながら、小林王桂もいい。「The Day/Father die」。父親に虐待されている男子と、彼の幼なじみでいつも一緒にいてくれた女の子の物語。胴体のほっそらした女の子好きな人にはたまらんタイプ。淡くスッキリした線が非常によろしい。

【単行本】「ナンバーファイブ」2巻 松本大洋 小学館 B5 [bk1][Amzn]

 元ナンバーファイブであるところのユーリに対する虹組による追跡は続くが、依然として彼をとらえることあたわず。この巻ではナンバーシックス(岩)が非常にシブくてかっこいい。かつてナンバーワン(王)であった自信と誇りがにじみ出ている。最初は若干とっつきづらいかな〜というところがあったのだが、物語、そして各キャラクターになじんでくるにつれだいぶ面白く読めるようになってきた。物語も盛り上がってきてるしこれからも引き続き楽しみ。

【単行本】「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」1巻 安彦良和 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 そんなわけで安彦御大によるガンダムが単行本化。カバー見返し部分にある「『ガンダム』というのは、こういう物語です。想いだしながら、かみしめながら、描いています。」という作者コメントに思わず感動。ファンにとっては「ガンダム」はすでに一つの歴史であり、シャアやアムロ、ブライト、ギレンといった登場人物は、歴史上の人物、すなわち英雄であるわけだが、彼らがアニメで観た生のまんま、いやそれ以上に洗練された形で息づいているさまを見るとやはり感慨無量。昔、彼らの活躍に一喜一憂したのはけして若さゆえのあやまちではなかった。やっぱり面白い。また漫画ということで、週刊放送のアニメでは時間がなくて描けなかったディティールに関しても、気合い入れて描いているなあということが伝わってくる。このまま安彦良和ならではのパーフェクトガンダムの姿を堪能させていただきたいと思います(もちろん「プラモ狂四郎」のアレではなく)。

【単行本】「Dr.リアンが診てあげる」1巻 竹内元紀 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 下ネタ耐性はわりと高いほうではないかと思う俺ではありますが、この作品にはいい具合に笑わせていただいた。内容は平凡な男子学生・直人と、彼のガールフレンド岡崎さんが登校中に、ヘンテコな生き物を頭から生やした自称女医リアンが落っこちてきて、直人周辺にいついちゃうというところから始まる。あとはダラダラと日常が展開していくんだけど、その日常は下ネタの嵐。簡単にくくっちゃえば萌え系な絵柄であるにも関わらず、エロネタのオンパレードで、それを繰り出すテンポが非常にいい。思わぬところから鼠蹊部を刺激されるような感じで思わず声が出てしまう。でも露出はするわりに、不思議と下品な感じにならないのはその軽やかさゆえ。回数が多いだけに一つ一つの下ネタのウエートが軽くなっているのが良いのかもしれない。あと岡崎さんを始め、女の子が適度にカワイイのもよろしいんでないかと思う。

【単行本】「ケロロ軍曹」5巻 吉崎観音 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 今回もまったくもって隙なく面白い。明るいお話、キュートなキャラクター、適度なサービスカット、ときどきツボにハマるギャグ、ちょっとしたオタクネタ……と、実に気が利いている。しかも平和なホームドラマとして読んだりもできるし。うまいなあ。ところで最近、だんだん西澤桃香さんの影が薄くなっているような気がしないでも。タママが単独でも基地に入り浸っちゃってるからなあ。

【単行本】「地球美紗樹」3巻 岩原裕二 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 エースネクストの休刊とともに、この作品もこれにて最終巻。キスによって人間の姿に変身する首長竜ニオと、彼がなぜかなついている女の子美紗樹。この二人を中心とした冒険譚といった感じ。さすがに最後はドタバタと詰め込んでしまった感じはあるが、岩原裕二の滑らかで華やか、かつダイナミックさもある絵柄はとても達者で見てて気持ちがいいし、お話のほうもミステリアスな中にもほっと心が和むような描写とかいろいろあって楽しめる作品だった。もう少し大規模なお話になるかと思ったが、結局はニオの住む湖周辺だけで終始しちゃったけど、これはやっぱりページ的に足りなかったからかな。まあ何はともあれ次回作が待ち遠しい。「クーデルカ」がメディアミックス、「地球美紗樹」が多少不本意っぽい終了と、これまでは岩原裕二オリジナルなものを十分には発揮できなかったところがあったので、次こそは思う存分、筆を振るえるような作品になってほしいもの。


5/30(木)……邪神の池

▼遅ればせながら、アキバのとらのあな1号店で「ほしのこえ」のDVDをゲット。ついでに「ハリー・ポッター 賢者の石」も購入。そのうち時間があるときにでも観ます。

▼「身長153センチ未満娘ONLY」をうたったマンガ&小説雑誌「ドレグラ」Vol.1(英知出版)を購入。基本的には小説が中心で、コマを切ってある漫画は短いのが3本だけ。正直なところ小説で「153センチ未満」と書かれても、その小ささがいまいち伝わりにくいような気はするのだが、まあそんなことよりお目当ては漫画の中の1本、まだ子「ぬぞみちゃん嬉々一発!」。実はまだほかのところは読んでいない。で、まだ子は最近零式とかでもちょくちょく描いている人で、絵柄がかわいくてけっこう気になっている。んでもって今回の作品の内容は、「チョー人気のアイドルグループのメンバー」で、同じメンバーの「あい」ちゃんと一般的に見分けがつきにくいといわれる「ぬぞみ」ちゃんが主人公のお話。まあぶっちゃけてしまえば、「娘。」「ミニモニ。」「ののたん」モノである。このメンバーたちは一生懸命頑張るとHなごほうびがもらえるという設定になっており、ときどきぬぞみちゃんはあいちゃんのふりをして、ごほうびを横取りしているのでした〜というストーリー。まだ子の柔らかくて茶目っ気のある画風がたいへん良く、ぬぞみちゃん、あいちゃんともにたいへんかわいく描けていると思う。それにしてもコレ、次号に続いてしまうのか。これだけを目当てに980円の雑誌を買い続けるというのはちともったいないな……。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 7月号 少年画報社 B5中

 長谷川哲也「1812−崩壊−」前編がいい。ナポレオンの無謀なロシア遠征で、ロシアの老獪な戦術を前に部下が次々と倒れていくことに憤る伍長、そしてナポレオンの「番犬」と呼ばれるエジプト人ルスタム・レザの姿を描いていくという歴史ロマン。非常に濃くて力強い作画、骨太なストーリーともに読みごたえ十分。後編も期待できそう。脚本:田畑由秋+画:余湖裕輝「コミックマスターJ」。今回はメディア規制法案がネタなんだけど、う〜ん、なんか描き方が表層的で扇情的すぎるような気がするなあ。

【雑誌】モーニング 6/13 No.26 講談社 B5中

 幸村誠「プラネテス」が久々に掲載。今回は気になる女性キャラ、タナベの来歴を描いていくというお話。今回はSF的な展開はないけれども、タナベというキャラに厚みを持たせたのが今後の展開において効を奏してくるんではないかと思う。次の掲載は7月11日発売の32号。

【雑誌】ヤングサンデー 6/13 No.26 小学館 B5中

 守村大の新連載「パラダイス」がスタート。かつてボクシングファンの心を揺るがす名勝負を繰り広げたボクサーの一人息子ガクトがボクシングと出会い、その才能を目覚めさせていくというお話になりそう。熱のこもった作品を描ける作家さんなのでけっこう楽しみ。作:七月鏡一+画:藤原芳秀「闇のイージス」。押しかけ同人ってホント怖いですな。「病名のつかない人がいちばん怖い」という言葉を思い起こさせる。

【雑誌】ヤングジャンプ 6/13 No.26 集英社 B5中

 みやすのんき先生も妹か……。というわけで「東京ナンパすとりーと」に、主人公中目黒の妹が登場。石垣健治「セイガク王」は番長が主人公な学園ギャグ。バンカラな暑苦しい絵柄がわりといい味。あと、竹田エリの新連載「SMH−始末書の星−」がスタート。新人刑事が主人公の4コマギャグ漫画。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 6/13 No.27 秋田書店 B5平

 今号は巻頭から能田達規「ORANGE」、高橋陽一「ハングリーハート」とサッカー攻め。それにしても「ハングリーハート」がアニメ化とはなあ(9月11日よりANIMAX、10月からはフジテレビでも放映予定)。ちなみに次回の掲載は8月29日発売号。W杯で日本が好成績を収めてサッカー熱が盛り上がってるといいですな。作:ピエール瀧+画:漫$画太郎「樹海少年ZOO1」。すごい。またしてもまったく前回と関係ない展開に突入してしまったし、今回1話まるまる使って何もお話が進んでない。個々のシーンの表現もそうだけど、作品の構成全体もこのうえなく豪快。

【雑誌】エンジェル倶楽部 7月号 エンジェル出版 B5平

 中華なると「その後の桃色ピンク〜女長官精液奴隷〜」。戦隊モノのピンクが悪の魔王に拉致されてて性の奴隷にされてて、今度は基地の女長官もそこに引きずり込んでしまうというモノ。フェラチオシーンの連発が個人的なツボにハマった。大人の女って感じの熟れた色気もいい具合。柔道少女をみんなで辱めよう連載、奴隷ジャッキー「巴」。サブタイトルが「〜憧れ故、豊満故 揉まれまくりし雌の物語〜」となっているのがふるっている。次回は巴ちゃんと多人数の男たちの、大規模な乱取りが行われる模様。

【単行本】「ピルグリム・イェーガー」1巻 作:沖方丁+画:伊藤真美 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 時は魔女狩りも盛んな1521年、場所はイタリア、ナポリの街。この街に腰を落ち着け、夜を騒がす霊的なモノを鎮める芸を売り物にして暮らす二人の女性、軽業師のアデールと占師のカリーンを中心に物語は展開。腐敗したキリスト教世界とそれに敵対する者ども、魔女やそれを討たんとする者たちをからめたちょいとオカルティックな雰囲気もあるアクションもの。要するに退魔モノの一種といえる。このジャンルは下手に描くと安っぽくなりがちだけど、伊藤真美の凜とした美麗な絵柄は十分高級感があるし、ストーリー展開もいい意味でもったいぶっててカッコイイ。1巻の段階ではまだ物語展開が遅いわりにごちゃごちゃと詰め込んだ感じもあって、いまいちお話が頭にスラスラと入ってきにくいところはあるのだが、ここらへんはこれからの展開でより動きが激しくなってくることに期待したい。

【単行本】「妄想戦士ヤマモト」2巻 小野寺浩二 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻も、ダメな男たちが己のオタク道を邁進。眼鏡に萌え、学級委員に萌え、巫女に萌え、ブルマに萌える。そして哀しき雄叫びを挙げる。まあいってみれば本当に度し難い人たちなんだけど、でも他人事じゃないんだっ! そういう人たちをジメジメした感じではなく、非常に男らしく力勝負でギャグにできちゃってるところはすげーなあと思う。こういうダメなことをやってるのに読後感は妙に爽やか。飲み物に例えるならドクターペッパーとかオロナミンCって感じか。

【単行本】「生きなさいキキ」2巻 ジョージ秋山 実業之日本社 A5 [bk1][Amzn]

 この作品の持つ負のオーラには、読むたびに圧倒されてしまう。豚小屋で親の愛を知らずに育った少年という設定やその後のストーリー展開もおどろおどろしいんだけど、それ以上にインパクトがあるのが、手抜きと紙一重のコピペやら時折見せるキャラのものすごい造形、大胆すぎるコマ割などの表現。なぜかいつもパンツを履いていない母親のムンムンとした肉体、フェラチオシーンのヤバい目つき、女側の顔がまったく描かれないまま見開き18コマで展開される異様なセックスシーンなどなどの、一発KO級のパンチの連続に頭がクラクラしてくる。あらゆる意味でこれだけ業の深い作品を描ける漫画家は、ジョージ先生くらいのものだなあと感服せざるを得ない。


5/29(水)……女王奉仕

コミック・ファン(雑草社)が、本日発売の第16号をもって休刊。漫画情報誌として、内容的に健闘していた本だっただけに残念。編集長コメントによれば「ひとつのテーマを追いかけるには、この形式では身動きが取りづらいから」ということで雑誌としての活動は休止。まあ要するにマンパワー不足が主たる要因ということなんでしょう。秋くらいにムックか書籍で何か出すとのことだが、でもちょくちょく書かせていただいていたし、一読者としては望んでも得られないようないろいろな機会を与えてくれた雑誌だったので、なくなっちゃうのはやっぱり寂しい。

▼OHP月極アンケート5月「音楽漫画」はもうすぐ締切なので、投票お済みでない方はお早めにどうぞ。

【雑誌】週刊少年サンデー 6/12 No.26 小学館 B5平

 草場道輝「ファンタジスタ」は新章イタリア編突入。日本を離れたてっぺいがいきなり表情に精悍さを加えて男らしくなっててびっくり。より高いレベルでしのぎを削るということで面白くなりそう。松江名俊「史上最強の弟子ケンイチ」における美羽の身体の線が出まくりなぴっちんぱっちんの体操服っぷり、作:坂田信弘+画:万乗大智「DANDOH!!Xi」におけるラミア姉の胸ぼいんシーンは、サービスというものの重要性を共に感じさせてくれる良いものだった。

【雑誌】週刊少年マガジン 6/12 No.26 講談社 B5平

 大島司「小野伸二物語」は、さすがに現役でサッカー漫画を描いている人だけに、この手の実録モノの中ではけっこう面白かった。プレーのシーンにキレがあるし。ここに来て小野伸二の虫垂炎が発覚してしまったのはちと皮肉な感じではあるけれども、本大会にはなんとか間に合わせてほしいもの。まあ今の日本代表のMF陣から考えると小野一人抜けても穴は埋められなくはなさそうではあるけれども、やはりいるといないとでは大違いだし。西山優里子「DRAGON VOICE」。スゲー、こんなにこっぱずかしい甲子園の入場行進シーンを見たのは初めてだ!

【雑誌】快楽天 7月号 ワニマガジン B5中

 陽気婢「内向エロス」は、犬の散歩中に出会った年上の女性に、少年が惹かれていくというお話で今回はその第1話め。Hシーンはほぼないけれども、年上の女性に憧れる少年という陽気婢お得意のモチーフだけあってさすがにうまい。三浦靖冬「極東ニ夜ガ降ル」。こちらも続き物で今回が前編。学校を出て故郷の島に戻ってきた男が久しぶりに再会した幼なじみの女の子。しかし彼女は元の彼女ならず。今は亡くなってしまった母の再婚相手であった学校の校長と、肉体関係を結んでいたという衝撃的な事実を知る。今回は比較的エロも激しくやっているけれども、美しく切なく、もの哀しいムードは全編に漂っている。後編での締めくくりにも期待。初登場、すどおかおる「ミニカノ」は、自分の成人女性とは思えないちっちゃさを気にして全然手を出してこない彼氏に焦れた女の子が、彼氏をラブホテルに引っ張り込む。ロリロリで童顔、健気な振る舞いを見せる彼女の姿がいじらしく可愛らしい。

【雑誌】ラッツ 7月号 司書房 A5中

 あわじひめじ「百鬼夜行芸能譚」。ええと要するに人気抜群のアイドル歌手が芸能界の勢力争いに巻き込まれて輪姦されるというお話なのだが、トップアイドルの名前が海月亜依。これルビは「みづきあい」だけど、たぶん「くらげあい」という読み仮名を意識してるんだろうなあ。で、海月亜依が所属しているのが「永田大黒率いるフロムBレーベル」。彼女を陥れようとしているのが「業界最大手会社バブリングの肉棒欲雄」と、「サンシャインのはらてつお」。んでもって海月亜依には職業AV監督の父親がいて……と。まあいろいろモデルがあるんだろうなあということが容易に伺い知れるアイドルエロ漫画となっております。

【単行本】「東京家族」1巻 山崎さやか 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 売れっ子小説家・原田壮に、ある日突然12人の妹が……ではなく6人の子供ができる。といってもいちおう血のつながりはあって(怪しいのもいるけど)、それぞれ原田がかつてつき合っていた女性が、彼との間にできた子供だと主張し、彼に押しつけていった子供たちである。6人は年齢もバラバラで、大学受験を控えた息子もいれば、小学生もいるといった具合。そんなこんなでいきなりお父さんになってしまった原田、それから子供たちのドタバタした日常を描いていくホームドラマ。

 これまで女性を主体にした物語が多かった山崎さやかだが、今回の主役はお父さん。どんなものになるかなと思っていたがこれがなかなか面白い。いろいろ事件はありつつも原田はいいお父さんぶりを発揮しているし、日常は賑やかで楽しそうでもある。最近では家庭における父親不在がいわれているけれども、そういう世の中だけに「頼れるいいお父さん」がいるという状況は非常に好ましく映る。まあお父さんが小説家だからいつも家にいるとか、金銭的に裕福だとか、ルックスもかっこいいだとか、ちょっと条件的に揃いすぎてるところはあるけれどもお話として面白く仕上がっているのでそこはまあオッケー。そういう条件が整ってないとそんなにモテないだろうからそんなあちこちで子供を作ることもできなかろうし、また元恋人たちも子供を押しつけてはいかないだろうし。

【単行本】「エイケン」5巻 松山せいじ 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 登場当初はあれほど違和感のあったものが、最近ではけっこう普通に受け取れるようになってきたのが不思議。とくに雑誌連載のほうは「エッチで勢いのあるラブコメ」という感じが増してきている。人間って慣れるものだなあ。

【単行本】「神戸在住」4巻 木村紺 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 桂たん萌え〜。というほどでもないけど、慎ましやかな素振りは好ましい。ゆったりとした調子で身の周りのことを描きつつ、ふとその日常の中からふとした拍子に浮かび上がる切ないことや楽しいことを拾い上げていくきめ細やかさに感心させられる。あくまで平凡で控えめな女子大生の、背伸びをしない視点であるところがいい。寂しい雰囲気も暖かい雰囲気も、ともに醸し出せる絵柄にはしみじみとした味があって、威力を発揮しているな、と思う。

【単行本】「ぽちょむきん」4巻 北道正幸 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 そこかしこでギャグをやりつつも、「正義のために用意された悪の哀しさ」的テーマを語っていく。この作品においてはギャグとシリアスはだいたいちょうどいいくらいの状態で来ていると思う。北道正幸ギャグはテクニカルではあるけれども爆笑するっていうタイプではないので、スパイス程度の使い方に止めておいたほうが味は出ると思う。ただ、ときどき何かかましたいという欲求が先走ちゃっうのか、第28話「小松崎茂氏追悼」の回みたいに、仕掛けとしては楽しいけれど一話まるまるやると思ったほど面白くはないみたいな回もある。もう少し主題を推進させることに注力してっちゃったほうがいいんではないかという気はする。


5/28(火)……初体験発見隊

【雑誌】ヤングチャンピオン 6/11 No.12 秋田書店 B5中

 なるほど、これがバキによるエロスか……。というわけで今号から、今や秋田書店系の覇王という風格さえ漂わせている板垣恵介「バキ」の、バキ初体験編が4週連続で掲載。キスをしたら電気が迸るわ、服を踊り脱ぎするわ、さすがに描写がいちいち強力きわまりない。なんかコレ、そのまま格闘ゲームかなんかにできそうだ……。葉月京「恋愛ジャンキー」。絵夢の前に同級生の求愛者登場。絵夢とこっちをくっつけて、エイタローをあの巨乳めがねっ娘の地井さんとくっつけるという構図もパッと頭に浮かぶが果たして。

【雑誌】漫画アクション 6/11 No.27 双葉社 B5中

 作:橋本以蔵+画:たなか亜希夫「シャモ」がようやく再開。今度は天才的ダンサーである高原東馬、通称「トーマ」という新キャラが登場。とりあえず物語再開時点では、リョウが中国に渡る7年前ということになっている。ダンサーということでリョウのいる世界とはだいぶ畑違いだが、彼がどのような形でリョウとからんでくるのか、まずは注目。

【雑誌】漫画サンデー 6/11 No.23 実業之日本社 B5中

 小田扉「マル被警察24時」。マカナイがやけにハードボイルドでかっこいい。あと警察犬ホルモンが出てくると一気に和む。

【雑誌】コミックテンチュウ Vol.9 ホーム社 B5平

 前号までの「銀牙」に続いて、今度の再録シリーズはちばあきお「プレイボール」が213ページ。まあこれまでは巻頭だった再録部分が巻末に移った分、多少オリジナル色が出てきた印象はあるけれども、迷走しているという感が拭えない誌面ではある。ならやたかし「帰ってきたケンペーくん」が次号で最終回らしいので、その次からは様子見モードに突入する予定。それにしてもならやたかし先生、45歳にして年間射精回数315回というのはご立派。あと今号では内山亜紀「陰陽師バトルロワイヤル」が掲載。陰陽師二人が町中で、ひとがた美少女を使ってバトルするという内容。今となってはさすがに新しくはないけど、内山亜紀の描く美少女はやっぱり可愛いな。

【雑誌】フラワーズ 7月号 小学館 B5平

 今号はオリジナルスクリーンセーバー&壁紙入りのCD-ROMがおまけとしてついている。まさか元プチフラワーにデジタル系の物品が付属することになろうとは……という感じでちょっと意外だった。あとポストカードにもなるイラスト集も付属。

 今号ではまず吉野朔実「記憶の技法」が2回めで引き続き面白い。平凡な女の子が修学旅行のさいのパスポート取得時に戸籍抄本を見たことから自分が養子であったことを知り、自分の出生の秘密を探っていくというお話。少しずつ真実へと近づいていこうとするステップの積み重ねは読みごたえがある。「記憶の技法」というタイトルも、何か仕掛けがありそうな雰囲気を漂わせていていい雰囲気。渡辺多恵子「風光る」。なんだかほのぼの楽しい。前号から別コミからの移籍組を加えてリニューアルしたが、ベテラン勢が多いだけあって早くも違和感なく誌面に溶け込んでいる感じがする。読切「りんごチョコレート」の眞部ルミは、プチフラワー1999年9月号で短編が2本掲載されたことがある人で、端々まで丁寧に描き込まれたメルヘンチックな画風が特徴的。Googleで検索したら谷山浩子の著作「ひとりでお帰り」(集英社コバルト文庫)の挿絵をやってたこともあるらしい。

【雑誌】コーラス 7月号 集英社 B5平

 聖千秋の新連載「VIP&Celeb」がスタート。道端でとある私立校の男子に一目惚れ。彼を追っかけてその学校に入学した主人公の梨沙だが、想い人の男子は学園内の特権階級的イケメングループ「WOOZY」の一人に数えられており、彼らと話ができるのはこちらも美人だけしか入れない女の子グループ「アルテミス」だけだった……というわけで、梨沙のアルテミス入りを目指す奮闘が始まるといった感じのお話。なんだかいきなりぶっとんだ設定だが、学園ラブコメとしてはこのくらいやっちゃってもOKでしょう。なんだか楽しげ。初登場・柏屋コッコ「霧の日常」は、女流漫画家の霧センセーとその彼氏、アシスタント3人娘によるドタバタギャグといった感じのお話。今回は3本立てだけど、霧センセーの女を捨ててそーで捨ててない(彼氏もいる)キャラはけっこう面白いので、このまま連載にしちゃってもいいかもとか思った。

 あと次号から別マでやってた、きら「まっすぐにいこう。」がコーラスに移ってくるんだそうな。最終回を迎えた後も、番外編とか息長く続いているなーと思っていたけれども、まだまだ続くわけですな。

【雑誌】メロディ 7月号 白泉社 B5平

 メロディ初登場、よしながふみの読切「愛すべき娘たち」。マイペースな母親が突然自分よりも若い男と再婚してしまい、振り回されっぱなしなまま30代になってしまった娘の物語。ホームコメディ的にお話を進めつつ、最後はしっとりとした母と娘のドラマにまとめあげており、しみじみとした読後感のある佳作。とくに最後のページの親子の姿は印象的。

【雑誌】阿ウン 7月号 ヒット出版社 B5平

 師走の翁の「シャイニング娘。」シリーズはいよいよ次号で最終回。今回の「Party Time5」は、ラス前ということで矢内編をじっくりたっぷり。ここまでどのメンバーもしっかり可愛かったしエロも充実してたなあ。あとは締めくくりの怒濤の展開に期待。魔訶不思議「Post Dog」。キャラクターはたいへん可愛いながら、何気に獣姦しまくり〜。最近の摩訶不思議はかなりキレてて、エロ度も上がっててとてもいいと思う。草野紅壱「MONTAGE」は、射精しそうで射精させない焦らしっぷりがH。内容は同じ学校に通う姉弟のHモノ。続きもあるようなのでそちらも楽しみ。あと非エロのますだ直紀「LADYリンクス」は毎度ほのぼの。今回は特撮の撮影現場編。悪役のおっちゃんがいいキャラ。


5/27(月)……進め!インフレ暴動

▼二日酔いだったがメシを食ったらあっさり治った。そういえば二日酔いにはしじみが効くらしいので、朝帰りの途中でコンビニ寄ったときにしじみの味噌汁を買っておけばよかったと「しじみちゃんファイト一発」を読みながら思った。

【雑誌】ヤングキング 6/17 No.12 少年画報社 B5中

 花見沢Q太郎「ももいろさんご」。なんか2色カラー化してから、ここぞとばかりに赤い色ネタを使ってるなあ。今回も赤絵の具ぶちまけまくり。もしかして彩色担当のアシスタントさんに仕事を振るためなのかしらん、とこの前出た単行本3巻のカバー裏漫画を見て思った。

【雑誌】ヤングマガジン 6/10 No.26 講談社 B5中

 ロクニシコージ「すべてに射矢ガール」。もうすぐ終わりっぽい。ないとさびしい作品ではあるけれども、そろそろ一区切りつけるのは悪くないかな。願わくばあすみちゃんにとって良いラストであってほしい。こうのこうじ「カラコカコ〜ン!」は本誌での集中連載はとりあえず最終回。そして単行本が今夏発売決定とのこと。やったー。もみのき「明るいAFTER」。誰からも相手にされなさそうなダサい男たち二人が、合コンを前に服選びに燃えるというお話。洗練されていない線はいかにもヤンマガ〜といった感じのテイスト。こういうゴチャゴチャした感じの作風はけっこう好きだし気になるところ。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 6/10 No.26 小学館 B5中

 ロドリゲス井之介「GOGO!生活非安全課」が新連載。要するに刑事ドラマ的な刑事像に憧れる二人の生活安全課員が主人公のドタバタギャグといったところ。張り込みとかしたがるが、担当分野は要するに風俗の取締とかそういうあたり。カッコつかない男たちを脂っこく、かつ軽妙に描く持ち味はやはり健在。曽田正人「昴」。プリシラ・ロバーツのほうの「ボレロ」もスタート。ここのところの展開は非常にアツくて面白い。早く先が読みたい。村上かつら「サユリ1号」。大橋さんの攻撃は今回も強力。弄ばれてますなあ。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 6/10 No.26 集英社 B5平

 作:ほったゆみ+画:小畑健「ヒカルの碁」はいよいよ本編が再開。ヒカルは着実に実力をつけてるし、塔矢とのライバル関係も揺るぎないものとなっているし、やっぱりとても面白い。このままだと佐為は出てくる余地がなさそうな気もするけどどうなるんだろう。ともあれこれからの展開も楽しみ。

【単行本】「韃靼タイフーン」4巻 安彦良和 メディアファクトリー B6 [bk1][Amzn]

 これにて最終巻。この巻は超兵器「タイフーン」を巡り、卓馬やデコちゃんらが世界を股にかけて奮闘する。主人公は卓馬よりもむしろめがねっ娘のデコちゃんのほうという感じかな。基本的にはシリアスなお話ではあるんだけど、少年漫画ということを意識してかけっこうドタバタしたコメディっぽさもあって、ちょっと不思議な読後感を残す作品だった。あ、そういえば今読み終わった4巻を本棚にしまいに行って気づいたのだが3巻買い忘れてた……。ガ━━(゚Д゚;)━━ン!

【単行本】「犬神」13巻 外薗昌也 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 物語は終局へ向かってひた走る。すべての陰謀が明らかになり、史樹、23も最終決戦に挑むことになる。そしていよいよ次の巻で完結。ここまで風呂敷を多いに広げつつ、着実に展開してきた物語がどのような結末を迎えるのか、とても楽しみ。

【単行本】「オススメボーイフレンド」 いくえみ綾 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 「オススメボーイフレンド」「頼ちゃんは叶わぬ恋をしている」と、描き下ろしのペット漫画ショートを収録。どれもしっかり面白い! とくに「オススメボーイフレンド」がいいなあ。女子高生のラブストーリーという、少女漫画のこれ以上ないってくらいの王道路線を行きながら、凡百の作家とは一線を画するキレ味を見せる。懐に余裕を持って描いている感じで、力の抜き入れのタイミングが絶妙。それに非常にスルスルと読み進めていける、抜群の読みやすさもさすが。

【単行本】「しじみちゃんファイト一発」 片岡吉乃 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 この人はこれまでセンチメンタルな作品、ドタバタギャグテイストな作品、両方描いてきたけど、今回の「しじみちゃんファイト一発」は、その両面がちょうどいい具合にミックスされたお話。ボーイッシュどころじゃなくチャキチャキでガサツな女の子しじみちゃんが、ある日、男子にモテようと一念発起するもその道はなかなか険しくて……といった感じ。やることなすことうまくいかずに結局元に戻っちゃうけど、やたら元気できっぷのいいしじみちゃんの様子は見てて楽しいし、その中にヲトメゴコロというヤツもほのかに感じさせる。作画面でもストーリー面でも完成度高くまとまった一冊。


5/26(日)……ワープロとフランス

▼新宿ロフトプラスワンのイベント「もっと!ヌケるマンガがみたい!!」に行ってきました、というか出演してきました。イベントは午後7時からの開演で、自分の出番はゲスト作家のトップバッターZERRY藤尾さんのおまけ。まあアガったことはアガったんだけど、酒の力もあり思ったよりはアガらずに済んだしいちおう仕込んできたネタについても語ることができた。来てくださった方々どうもありがとうございました。あんまり面白くなかったかもしれませんがその点はご容赦を。

 でも衆目の一致するとおり、今夜のメインは生ける伝説にしてスーパーカリスマ読者の三峯徹さん。別にネタなんか仕込まなくても、これまでの投稿人生における経験談を普通に語るだけで場内は爆笑の渦。あれはちょっとかなわないなあ。誠実そうな人柄がにじみ出たすごいステージだった。イベント終了後も、来場していた漫画家さんが三峯さんのサインをもらっていたりと、珍しい光景もいろいろ見られた。いろいろな意味で面白かったー。

 イベント後は知り合いの方たちと朝まで飲み。そんなわけで二日酔いでヘロヘロになっており、さすがに漫画も読めなかったしWebの更新もできなかったのでありました。


5/25(土)……隙がある気がする

▼PCの電源をつけたまま昼寝したら汗だらだら。またしてもビールがうまい季節がやってきたー。というわけでビールをよりうまくするために、雑誌の整理作業および運搬作業などの労働もちょっとやっておく。そろそろエロ漫画雑誌のキリヌキ作業にも取りかからないとなあ。

【雑誌】アフタヌーン 7月号 講談社 B5平

 上田宏則「Kiss girl」は、キスをすることで人々の心を癒すクリニックの物語。なんだか非常に気持ち良さそうで、ほわーっとした読後感をもたらしてくれる。絵はまだちと固さがあるけれども、雰囲気作りはなかなかに達者で惹きつけられるものは確かにある。この人はけっこういいんじゃないかな。話の面で見るべきものがあるし、絵はこれからどんどん描いていけば腕はすぐ上がっていきそうだし。夏目わらび「レストラン鬼燈館」は、いなくなってしまった薄幸な友人を探すために、主人公の曳子がお客の願いをなんでもかなえるというレストランの下働きに入る……というところから始まるお話。スミベタメインの陰のあるタッチが美しく、なかなか耽美的ないい雰囲気。ただ、短編のわりにメインの登場人物が6人+1と多めなので煩雑な感じもある。もう少し絞ったほうが、ストーリーがよりダイレクトに伝わってきて良かったかも。

 岡崎二郎「緑の黙示録」の3話めが掲載。木々と心を通わす能力を持つ少女が主人公の読切シリーズ。今回は木々の出すフィトンチッドなどの揮発性有機物質が物語のカギとなっている。ただ「緑はいい」だけでは終わらさず、知識を生かして物語を作り、しっかりまとめあげる腕前はさすが。よくできてる。植芝理一「夢使い」の新シリーズは、石とガラクタで作られた不思議な、ちょっと哀しい雰囲気もある少女を巡る物語。今回は今までと違い、褐色の肌で攻めてきた。全裸もあり。あと高田雄三の新連載「幻蔵人形鬼話」がスタート。

【雑誌】少年エース 7月号 角川書店 B5平

 吉崎観音「ケロロ軍曹」が表紙&巻頭カラーで手堅く面白い。華もあるしギャグも気が利いてて隙がない。大岩ケンヂ「RATS!」は、一人暮らしのヨシのもとに、祖母の親戚の孫・ナズナが転がり込んでくるというところから始まる読切短編。気持ち良い絵と開放感のあるお話作りはなかなか爽やかで目を惹く。とはいえ、ナズナが持っていたビー玉というアイテムが重要なモノであるということに対する理由づけが甘いので、二人の間のドラマも必然性が弱く感じられてしまう。もう一つ決め手となるものがほしいところではある。竹内元紀「Dr.リアンが診てあげる」は相変わらず下ネタの連発だけど、テンポが良くて笑わされてしまう。畳みかけてくる呼吸が絶妙。ひな。「ちま×2ぱぺっと」。未来の嫁もプリティドールもどちらもかわいい。すっかりダメ漫画の名手となってきているような。西川魯介「なつめヴルダラーク!」。お色気シーンが適量よりちょっと多めなラインをずっと守っているところがいい。ちょっと多めだけど多すぎない。扇情的だっ。

【雑誌】ガンダムエース 7月号 No.005 角川書店 B5平

 今号から独立創刊(これまではニュータイプドットコム増刊扱いだった)。で、安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」がガルマ編に突入。今回はガルマとアムロの坊やぶりが目につく回。クオリティは高値安定。さすが面白いです。徳光康之「GMの男」は、全MSの中でジムを最も愛する男の熱き血潮の物語。いいよね、ジム。大西ジム。まあそれはそうと、やっぱり全体を通じて安彦ガンダム以外の作品が弱い。今回は北爪ガンダムがお休みというのもあるけれども。今度、安彦ガンダムの単行本の1巻が出るが、それに伴って「安彦ガンダムだけなら単行本で追っかければいーや」って読者も出てきてしまう可能性がある。やはり脇の増強はどうしても必要ではなかろうか。ガンプラ漫画は一個あってもいいと思う。

【雑誌】ビッグコミック 6/10 No.11 小学館 B5中

 森秀樹「天駆」がクライマックスで次号最終回。この作品については、地味ながらしっかりしたドラマを構築してたんで、もう少し長くしちゃっても良かったような気はする。単行本は全4巻ってところか。

【雑誌】ヤングジャンプ 7/1 日本勝ち増刊 集英社 B5中

 タイトルどおりなサッカー・ワールド杯系の増刊。基本的には代表選手の実録もの中心。名波、森島、中田浩二、アレックス、森岡、チェ・ヨンスとやっているけれども、名波落選はやはりイタい。で、巻頭は高橋陽一の「キャプテン翼 ROAD TO 2002」。またしてもインチキ選手名シリーズが爆笑。とくに「ライカールドルフ」。高橋陽一先生のインチキ選手名シリーズは、工夫はないけどいちおうちょっとだけ変えてあって、その変え方が妙なところがツボにハマる。

【雑誌】コミックピンキィ 7月号 オークラ出版 B5中

 南勝海「夏やすみ」。まだ子供な、田舎の兄妹の夏の日。爽やかな絵柄でちょいと切なくなかなかいい塩梅。やまのべきった「パラダイスマジック」は、遊園地に遊びに来た女の子が、メルヘンな着ぐるみを着た男たちにいいように弄ばれるというお話。この人は絵柄は見た目上品なんだけど、かなりねちっこいエロを描くので好み。ちんこにねっとりからみつく舌と唇の描き方にソソられる。舞登志郎「俺は男だ!!」。非常にカワイくてみんなから大事にされている少年が、ある日オナニーを知ってしまう。汚れることを覚えていく純情少年の物語……という感じの新連載。これはこれで面白いのだが、「メジャーデビューへの道」はいったいどうなってしまうんだろう。

【単行本】「LAZREZ」3巻 作:TKD+画:竹谷州史 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

 これにて最終巻。いやはや面白かった! 正直なところ音楽がらみの知識は全然ないし、そういう語彙にも親しんでないから会話の端々の面白みとかを十分にキャッチしきれてないのではないかと思うけれども、迫力ある画面から、音楽のもたらす快感を十分、かどうかはよく分からないけれども、感じさせてくれた。腹の下のあたりからズンズン響いてくるような、土性骨の据わった力強さがあった。終盤の盛り上がりについては官能的でさえある。「LAZREZ」のスペル間違えの件も、なんかいかにもありそうな気の利いたエピソードに見えてしまう。物語的にまとまりを欠く部分はあったかもしれないが、それを補って余りあるだけの快楽を与えてくれる作品だった。

【単行本】「スカートさん」2巻 吉田戦車 幻冬舎コミックス A5 [bk1][Amzn]

 この巻でおしまい。1巻はソニー・マガジンズが発行していたが、バーズの移籍に伴いこの巻は幻冬舎コミックスから。この作品は4コマで、飄々といろいろ描いている。この巻の注目は吉田戦車のオフィシャルなのだろうか、「ヨシダマーク」がわりと注目。くにゃくにゃしてて曖昧な表情を浮かべた姿は、いかにもヨシダという感じがする。それにしてもこの作品の最後がみっちゃんのママの絶望で終わるとはなあ。


5/24(金)……蒼き狼と白きカジメ

無線LANのできる牛タン屋! す、スバラシー。今度行こう。職場から歩いて5分くらいのとこだから無線LANができてもあんまり意味がないような気もするけど、でも牛タンは好きだから別にいいや。今度なんかの飲み会のときにでも使おう。

【雑誌】ヤングアニマル 6/14 No.11 白泉社 B5中

 今号の目玉は平田裕香かなあ。ばい〜ん。で、新連載、竹下堅次朗「Bless You!」。これはすごい! なんといっても舞台は創立80年超のミッション系の女子校。バイトは一切禁止されているが、唯一学校の喫茶部が経営する喫茶店「リトル・エンジェル」でのみ働くことを許可されている! ウエイトレスというかメイドというかな女の子たちが主人公。頭がトロくて巨乳で童顔めがねな脇役、さらに緊張しすぎると胸が震える体質の主人公。初っぱなからもう頭がどうにかなっちゃいそうな設定だ! 「藍より青し」「ふたりエッチ」とのコンボは死を意味する。さすが竹下堅次朗。森恒二「ホーリーランド」。ユウがテンパっててハードな展開。緊迫感がにわかに急上昇していて面白い。

【雑誌】コミックバンチ 6/7 No.25 新潮社 B5中

 作:城山三郎+画:ながいのりあき「男たちの好日」青年編が完結。まあ最終回と見ていいんじゃなかろうか。その後の牧玲睦は数々の事業を成功させ、若手実業家に多大なる影響を与える。そして現在はスポーツ用品メーカーとして知られるこの会社の社名が玲睦にちなんだものであることはあまりにも有名。作:江戸川啓視+画:クォン・カヤによる新連載「プルンギル−青の道−」は、韓国「OOP'S」編集部とバンチ編集部による共同制作。日韓の刑事が、両国にまたがる猟奇的な連続殺人事件を追跡するといった感じのストーリー。ドラマも作画も骨太で、まず初回はなかなか力の入る展開。日本側の刑事のキャラがクドくてけっこう気に入った。

【雑誌】LaLa 7月号 白泉社 B5平

 筑波さくらの読切「バースデイ・プレゼント」が掲載。とある女の子が誕生日に、道端に倒れていた男を拾う。男は霊能力の持ち主で、その異能ゆえに孤独だったのだが、なんだか不思議にゆったりした雰囲気の持ち主であるこの女の子によって癒される……といった感じのお話。まとまっているけれども、一話で終わりだとちともの足りないかな。この設定だと何話かかけてやったほうが面白そう。なかじ有紀「ビーナスは片想い」。紗菜が魚住家お宅訪問。結局のところラブラブで微笑ましいことこの上なし。

【単行本】「茄子」2巻 黒田硫黄 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 なんというかもうたまりませんな。茄子という題材を物語に折り込みながら、ときに時代劇をやったり、現代風なラブコメ的な男女の物語をやったり、おなじみ茄子を作ってるオヤジのお話に行ったり、黒田硫黄の筆は自由自在。しかも何やってるってわけでなくても面白い。一つ一つの描写がなんとも粋だ。例えば女の子が自転車に乗っている、ただそれだけでなんとなく趣深い風景に見えてしまう見せてしまう。やっぱりこの人は構図取りが抜群にうまい。「とにかく読め」という書き方はたいへんに乱暴で好きではないが、黒田硫黄作品についてはやっぱり文字でいくら説明しても伝わらないと思う。やっぱ読むしかない。

【単行本】「北極警備隊」 三宅乱丈 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 「ぶっせん」の三宅乱丈の最新単行本。戦争に行くのがイヤで逃亡した兵士がたどり着いた北極の地。そこで彼はしろくまさんたちを惨殺したりしている北極警備隊の面々に拾われ、そのペースに巻き込まれていく。別に北極警備っつってもなんかたいそうなことをするわけではないけど、その生活はなんかよう分からない馬鹿っぽさがあって、見てて素直に楽しい。1冊で完結するし、気楽に読める小粋な作品。

【単行本】「EDEN」7巻 遠藤浩輝 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 改めてまとめて読むと、非常に手応えがあって面白い。エリヤ少年は自分と向かい合い着実に成長しているし、登場人物間のドラマもしっかりしている。そういえばこの作品の一番ぶっとい目的ってなんだっけとかだんだんよく分からなくなってきてるような気もするけど、大河なドラマになってきてるからまあそこは仕方ないとこですな。何はともあれこの先の展開も楽しみ。

【単行本】「濃爆おたく先生」2巻 徳光康之 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 どうしたらジオンは連邦に勝てるのだろうか。そんな究極の命題に対し、妄想のみを武器に挑み続ける一人の男、暴尾亜空の生き様を描いた物語がこれにて完結。『妄想は「現実離陸」だ。逃避ではない』『うつつをぬかしてこそ豊かな人生』などなど、名ゼリフの数々を生み出した男らしい漫画。やはり男には浪漫がなければいけやせん。やっていることはたいへんに下らないけれども、無益であるからこそ人の心を打つ。そんなわけで笑いっぱなしで読ませていただきました。漫画としてもよくできてると思うなあ。「オタクっていうのはこういうダメな生き物なのだ」ということを、そうでない人に対しても納得させ、有無をいわせない説得力を持っている。内輪受けだけのギャグには終わってないように思えるところが素晴らしい。もうそろそろ発売になる安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」1巻とガンダムエース 7月号と併せてジオンに浸れ!

【単行本】「七人のナナ」2巻 作:今川泰宏+画:国広あづさ 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 受験がどうだこうだというのはこの巻はわりとどうでもいい。パンチラも重要であることは確かだが、それだけじゃない。何より女の子たちが楽しそうに飛んだり跳ねたりしてるさまを見るのが楽しい。読んでるとたいへん平和な気持ちになる。絵柄も和むなあ。適度に丸顔で健康的なのがたいへんよろしいと思う。


5/23(木)……ほう、大きい

5月19日の日記に書いたとおり、ビデオカード2枚体制によりマシン内の熱問題が深刻化していたため、ケースを交換する。といっても新たに買ったわけではなく、仕事場で余ってたフルタワーケースをもらってきてそれに中身を移し替えたのだが。今度のケースは背面の、ちょうど拡張カード類の真上に当たる部分に排気ファンがあるし、そのほかの放熱対策もわりとしっかりしているのでだいぶ良くなるはず。実際何時間か駆動してみたが、ちゃんとビデオカードは触れる程度の温度をキープしていた。前のケースだと触れないくらい熱くなってたので効果はいちおうあったと思われる。

 ただし回っているファンが多いということはそれだけ騒音も増えるってことで、多少うるさくなったような気はする。ただでさえビデオカードのチップファンが二つ回ってるわけだし。さらにケース内の熱はどこに排気されるかっていうと、そりゃもう部屋の中しかないわけで、ただでさえPCつけると上昇する室温が、さらに上がったような気がしないでもない。まだ5月だというのに半袖でも困らないくらい暑い。こりゃもう夏になったら全裸しかないね!

【雑誌】近代麻雀ゴールド 7月号 竹書房 B5中

 ヤクザ漫画シリーズはまだまだ続く。中山昌亮「九州のライオン」(原案:溝下秀男+脚本協力:本堂淳一郎)が掲載。麻雀漫画としては別にどうでもいいが、親分衆の生き様を描いた作品としてはけっこう面白く読めた。今回は太州会初代会長の太田州春のお話で、豪快で愛敬のあるキャラが迫力満点。カサギヒロシ「あげマン鳳凰記」は最終回。単行本にはならなそうな気がする……。

【雑誌】モーニング 6/6 No.25 講談社 B5中

 井上雄彦「バガボンド」が隔週連載に。もうコンスタントに載っかってくれるんならなんでもいーです。佐藤秀峰「ブラックジャックによろしく」は相変わらずアツい。今回は北島三郎みたいな顔の医師の昔のエピソードが描かれる。男と男の意地がブツかり合うドラマというのは見ていて気持ちがいい。

【雑誌】ヤングサンデー 6/6 No.25 小学館 B5中

 北崎拓「なんてっ探偵アイドル」。今回出てきたアイドルの飛田直美は加護+辻? それにしてもウナギネタで来るとはなあ。平松真「最強野球部リベンジャーズ」は今号で最終回。

【雑誌】ヤングジャンプ 6/6 No.25 集英社 B5中

 こっちでも井上雄彦。「リアル」の第11話が掲載。車椅子バスケでいよいよ新たなスタートを切った戸川。読んでてググッと力が入る。面白いなあ。あとは掲載ぺースがもう少し縮まってくれればいいんだけど、でもまあこちらもきちんと続いてくれさえすればそれでオッケー。クオリティについては疑うべくもないし。たなかかなこ「女水滸伝 〜がんばれ晁蓋〜」は、梁山泊を復活させようとする少年・晁蓋と、梁山泊の英傑の血をひく3人の美女によるアクション漫画。色気もあるしアクションも派手でなかなか。ところで晁蓋って、そもそも梁山泊の英傑の中にもいる名前だけど、そこから名付けられた名前という設定なのかな? 托塔天王で梁山泊の主でもあったはずだが、まあ百八星に入ってないからいいか。

 高橋幸二っていつの間に高橋幸慈になったんだっけ、新連載「ゴルドオ」がスタート。たぶんヤクザの若頭がゴルファーになるという作品じゃないかと思う。高橋陽一「キャプテン翼 ROAD TO 2002」。翼はきっと次号でオーバーヘッドをやると思う。そういえば5月24日に「キャプテン翼 日本勝ち増刊」というのが発売になるそうだが、「名波浩物語」が掲載されてしまうのは正直イタタタというところではある。山花典之「妹 あかね*」。今回はローションプレイですか! もっとやってほしかった〜。ローション好き好き。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 6/6 No.26 秋田書店 B5平

 作:今川泰宏+画:国広あづさ「七人のナナ」は最終回。いいお話だったと思う。最初はドタバタとコメディの連続で、最後のほうは女の子の友情物語として、気持ち良く読める作品に仕上がった。なじんでみるとナナたちそれぞれがいい味出してたし。アニメのほうは見てなかったけど、少なくとも漫画のほうは十分楽しませていただきました。国広あづさの次回作にも期待したい。作:森高夕次+画:松島幸太朗「ショー☆バン」。ショーバンのお山の大将っぷりがたまらない。このキャラがここまでまったく悪びれることなく自分勝手な主張を繰り返すキャラになるとは、連載始まった当初は思ってもいなかった。

 そして次号ではいよいよ高橋陽一先生の「ハングリー・ハート」がっ! なんか次号予告には「超重大発表」とかあるけれどもはたして。

【単行本】「カリクラ」下巻 華倫変 太田出版 A5 [bk1][Amzn]

 太田出版からの復刻版の下巻。復刻版では「フルカワとウサギ」が初収録された。で、また読み返してみたがやっぱり面白い。華倫変のアヤしいけれどもなぜか妙にサバサバとした読後感を残してくれる作風は、読んでて不思議な気持ち良さがある。この世で居心地悪そうにしている人たちの、諦めつつも生きてくしかない生と、その中にある「花」みたいなものやら「どうでもいいもの」やらをすごく趣深く描写してると思う。

 とくに江戸の商人だかなんだかが開拓している作業現場の町のはずれで、大きな桶の中で春をひさいでいる遊女の姿を描いた「桶の女」は再読してみてもじーんとくる作品。破戒僧に性病をうつされ、一人死を迎えていく中で、桶の天井に張った花を見ながら何もかも許すような気持ちになっていく姿は切なく哀しく暖かい。あと個人的には、気弱な教師に対し、イカれた男が拳法のススメを一方的に説く「大林寺先生」なんかも好き。男はかなりヤバいが、全体としてはなんだかどうにも平和な感じがする飄々とした描き方がいい。まあ何はともあれ、これだけの変則派な作家さんも珍しいので、今まで読んだことのなかった人も復刊を機にチャレンジしていただきたいものだ、とオモッタ。

【単行本】「ぎょ!っとパラダイス」全2巻 ひな。 ラポート B6 [Amzn:1巻/2巻

 実をいうと、Amazonでほかの本を買うときに合計金額が送料無料になる1500円に達していなかったので、「そういえば持ってなかったよな」とか思って今さらながら購入したのだった。それにしてもこの本、初版が1997年の6月と9月なんだけど、2002年の今注文しても初版のままだった。ラポートってわりとこういう本がよくあるような気がするけど、在庫の物持ちがいいのか、それとも増刷しても表示しないだけなのか、どっちかなんでしょうなあ。

 それはまあともかくとして、内容のほうは、大好きなご主人様と暮らしているうちに好意が高じて人間の姿になっちゃった金魚の日々を描くというもの。基本的にはご主人様・航基との微笑ましい二人暮らし(後に同じく人間の姿になった猫の球乃も加わり三人暮らしとなる)が描かれていく。可愛らしい絵と、それに似つかわしい可愛いお話。ほのぼのとして気持ちよく楽しめる。それにしてもひな。って鼻血が好きなのだなあ。


5/22(水)……黒蕎麦

▼わりと忙しく働いていたが、今日で一段落。こういう忙しい時期は、職場に風呂と炊飯器があって良かったなあとつくづく思う。そういえば最近外食することが減ったなあ。飲みに行くのを除くと2週間に1回か2回くらいしかしてないような。

【単行本】「虫けら様」 秋山亜由子 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]

 これはいいなあ。実に素晴らしい。基本的には短編集なのだけど、そのほとんどで虫たちをメインで扱っている。というと虫がうじゃうじゃーとかいうグロいものを想像する人もいそうだが、この本にはそういうグロさは全然ない。例えば「瓢箪虫」は、瓢箪のつるについた小さな実のような殻が弾けて出てきた虫が大瓢箪の中に住みつき、その中を部屋のように改装して暮らし始めたのを法師が発見。観察するという物語。この虫が小さいながら、法師にどんぐりの器をくれたり、法師が書いてくれたちっちゃな絵や書を瓢箪の部屋に飾るなどやることが非常に愛らしい。このほかの作品でも虫はいっぱい出てくるけど、いずれも愛敬がある。そういった虫たちを描く秋山亜由子の視点は、小さな者たちを慈しみしげしげと見つめる優しさに満ちている。絵も細かい線を重ねていい具合に和風情緒な味わいが出てるし、しみじみと面白かった。これは第一級のファンタジーだと思う。虫愛づる姫君やファーブルさんはもちろん、そうでない人にもオススメしたい良い本だ。

【単行本】「焼きたて!!ジャぱん」2巻 橋口たかし 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

 パンを食って馬が「馬味ー!!!(ウマー)」といなないたり、仮面の貴公子がパン勝負の会場に出現したりと、少年漫画らしい過剰な演出の数々が楽しい。あとおまけ漫画しかりシャワーシーンしかり、女の子描写もいい具合なサービスとなっている。今回出てきた炊飯ジャーパンは、自分でもちょっと作ってみたくなった。モチモチとした食感というのがおいしそう。作り方も適当で良さげなところがまたいい。どうでもいいことだが「馬味ー!!!」って、フリガナついてないとなんかいまいちウマくなさそうな字面だよなー。

【単行本】「ニコニコ日記」3巻 小沢真理 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 ニコとケイちゃんの心暖まる触れ合いを描きつつも、ときどき二人の間に試練が訪れて緊張感もキープ。個人的には幸せ一辺倒でもいいような気はしないでもないのだが、まあ小さな女の子をそんなに甘やかしまくるのも良くないやね。それにしても今回のケイちゃんはちとかわいそうだ。

【雑誌】スーパージャンプ 6/12 No.12 集英社 B5中

 そういえば作:愛英史+画:里見桂「ゼロ」って、振り返ってみると単行本が40冊も出てるんですな。第1巻の発売は1991年9月。実はもう10年以上もやってるのね。今回はジョルジョーネ「テンペスタ」という名画をめぐるエピソードなのだが、冒頭に出てくるヴェネツィアの警察署長と市長と美術館の館長はなんで仮装しているんだろう。密会してるのをバレないようにしているのかなとも思ったが、その直後にマスクを外してビール飲んだりしてるし。

【雑誌】週刊少年サンデー 6/25 No.25 小学館 B5平

 雷句誠「金色のガッシュ!!」。なんかまたしてもクセがありまくりなルックスをした敵が出てきたなあ。今回のエピソードはギャグ編なのだろうか。ギャグありシリアスありで毎度飽きない。草葉道輝「ファンタジスタ」。てっぺいを海外に行かせまいとする琴音ねーちゃんの健気なそぶりがいい。あと、物語的にいえばここで外に行くってのは非常にいいことだと思う。学校スポーツの中でやってると、これ以上強い相手を出すのが不自然になっちゃってバランスが崩れてしまう可能性が高いので。藤崎聖人「ガクの詩」後編。MCバトル漫画。音楽漫画で歌詞を書くのはやはりこっぱずかしいことであると再確認するも、それだけに勢いはある。もっとうまくやれば、ひょっとしたらこれから新たにもっとスゴい作品も生まれ得る可能性もあるかも。「TO-Y」以降、音楽漫画の主流は歌詞や音符を書かない方向にいっているが、ここであえて書くというのにチャレンジしてみるとのも一興。そういえば土田世紀の「俺節」なんかはあの歌詞があったればこその物語という気もするし。

【雑誌】週刊少年マガジン 6/5 No.25 講談社 B5平

 バスケものの新連載、瀬尾公治「CROSS OVER」がスタート。とりあえず可愛い女の子もいるしまとまった印象。もう一つ突き抜けるモノがないような気はするが、そこらへんは今後の展開しだい。とにかく面白くなってくれれば読者としては無条件でお得なので、遠慮なくバンバン面白くしていっていただきたい。

【雑誌】ドルフィン 7月号 司書房 B5中

 くどうひさし「おとなり」が爽やかなラブストーリーに仕上がってて良い。大学に進学するとともに引越していったお隣の幼なじみの男の部屋をヒロインの女の子が訪れ、お互いの想いを確認するというお話。のびやかでスマートな絵が相変わらず好感度高い。みやびつづる「肉嫁」第7話。得意の熟女モノでずっといくのかと思いきや、ここにきて妹も導入。しかもこれまでは男装して弟のふりをしていたという設定。それにしても最近は、デカチン息子さんの顔の美化が進んでいるような。


5/21(火)……大ミシン

マンガ・エロティクス&Fの掲示板で、比古地朔弥=渋蔵の同人誌作品「けだもののように」の単行本化情報が。7月15日に書店搬入の予定だとか。とても面白い作品なので「まひるの海」「神様ゆるして」で惚れたって人はぜひ買うべき。

【雑誌】OURs LITE 7月号 少年画報社 B5平

 ラス前。終わってしまうのは非常に惜しい雑誌だけど、ちゃんと2カ月前から休刊が作家陣に知らされたというのは不幸中の幸いだったんじゃないだろうか。2回分あれば連載もなんとか畳めるし。単行本にまとまらない作品もあるだろうけれども、とりあえず雑誌連載分だけでもきちんと締めくくってくれれば。

 逆柱いみりを久々に見たなーと思ったら、これが初登場だったのね。「カッパマンション」。のたーっとした空気、味のある絵、飄々とした話運びなど、いつ見ても快感。この人の作品から感ずる気持ち良さってのはなんなんだろうなあ。なかなか言葉にしにくい。山名沢湖「右足左足」。ちょっとした日常的アイテムをうまいこと調理して、ラブストーリーを軽やかに演出するあたりうまい。中前英彦「けむりのかたち」。ふわふわとした読後感が独特な作品。一つところに留まることなく、ふんわりとしてつかみどころのない作風が相変わらず印象的。この人も、この人でしか描けないというモノを確かに持っている。OURs LITEはそういう作家さんが多かっただけに、改めて惜しいな。

 小野寺浩二「妄想戦士ヤマモト」。いやあ男らしい。生身より人形という信念を貫くその心意気が素晴らしい。男たるものかくありたい、とはさすがに思わないが。嶺本八美「ちょんまげ学園−女子高等部−」。バストアップだけのページを除いては、ほとんど全ページで意味もなくパンチラがあるのが素晴らしい。パンチラは意味がなければないほどシュールで趣深いものとなる。

【雑誌】Zipper comic 6+7月号 祥伝社 B5平

 これにて最終号。んでもって7月に安野モヨコ「バッファロー5人娘」の総集編が出て、さらに8月には新雑誌「FEEL Salada」が立ち上がるとのこと。予告されている執筆陣は、桜沢エリカ、安野モヨコ、藤田貴美、羽央、ジョージ朝倉、魚喃キリコ、三原ミツカズ、藤原薫、近藤悦子、藤末さくら、朝倉世界一、いわみえいこ、やまだないと、かわかみじゅんこ。いつものシュークリーム系メンツが勢揃いという感じなので、基本的には今までと変わらなさそう。朔田浩美が描くかどうかは気になるところだけど。

 今年はジョージの年ということで、ジョージ朝倉「ハートを打ちのめせ!」がやっぱり面白い。今回は自分の理想の恋人を心のうちに抱えて、一人のときはその彼氏との恋愛を夢想して楽しんでいた女の子と、隣の席の気になる男子のエピソード。ウソとホントをうまく使い分けつつ、恋心を浮き彫りにしていく手際は鮮やか。この人はマジメなのもバカなのもうまい。なんつっても分かりやすくお話を見せられるのが強い。藤原薫「楽園」、かわかみじゅんこ「クラブハリケーン」の2作は揃って最終回。2カ月置きで読んでたので、お話的にちょっと忘れちゃってるところもあるので、ここらへんは単行本にまとまってくれるといいなあ。たぶんなるとは思うけど。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 6/4 No.11 講談社 B5中

 柳沢きみお「THE 大市民」が始まったのはかなりびっくり。いつものとおり、山形センセイがビール呑んでメシ食って「美味し!!」と叫んでいる。これが困ったことに面白い。ビールが美味そうであるうえに、食っているモノ「白菜ナベ」がまたたまらん感じ。あー腹減ってきちゃったよ。ところで冒頭の部分の欄外に、「このマンガを知らない人へ」という一文があるんだけど、これがまたあらすじも何も説明してないのが笑った。「毎日TVとか見てると思いますよねぇ。なんで俺はイチローじゃねーんだ?西武グループの御曹司じゃねーんだ?」うんぬん。いやー、素晴らしい。なんか最近、じゃないな、ずーっとだけど柳沢先生の作風のこなれっぷり、ごく自然なオヤジっぷりにはほとほと感心する。ショボくれた人生とか描いても、けしてショボくれた読後感にはならないもんなー。

 新井英樹「シュガー」。したっけおもしれー。リンの底知れぬ天才性は、現役プロボクサーさえ絶望させる。この動きのやかましさ、忙しさったらない。いやーかっこいい。小田原ドラゴン「コギャル寿司」。黒沢がついに最後のコギャル試験に臨む。黒沢はコギャルになれるのか?どうでもいいけど相変わらずすごい世界だ。そろそろ最終回も近いかな。

【雑誌】漫画アクション 6/4 No.23 双葉社 B5中

 ロドリゲス井之介「リーマン戦記 独身3」。いつものモテない男3人がねるとんパーティへ出陣。しかしそのパーティはハナっから男11、女9と2人余る計算。んで3人が3人とも「9着狙い」に燃えるというのが面白い。貪欲であるわりに妙なところで現実的なところに親近感。艶々「鷹月助教授の淫靡な日々」は今回で最終回。まあなんというかいつもの通り、鷹月先生は鮫島くんの手の内……というところで幕切れ。この雑誌もいよいよエロがほぼ消えたなー。

【雑誌】漫画サンデー 6/4 No.22 実業之日本社 B5中

 小田扉「マル被警察24時」。なんだかここのところやけにシリアス。マカナイ登場で一挙に緊迫。それにしてもムボーくんのショーは、いったい警察の何をアピールしようとしているのやら。

【雑誌】ファンタジーライズ 7月号 メディアックス B5中

 今月号の表紙は、もしかして絶空亡き後の「レジに持っていくのが恥ずかしい雑誌No.1」の座を狙っているのでは……と思わせる図案。でもやはりパッと目を射るという点において、うるし原先生のおっぴろげぶりには及ばないか。そういえばRaTeの「P総研」シリーズがこっちに移ってきたみたいだけど(「P0」という作品が掲載)、共通して描いている作家も多いし編集部的につながりがあるんでしょうな。誌面の雰囲気も似てるし。

 で、今号の巻頭カラーは、単行本「カムカム雲雀荘」が出たばかりのEB110SS「となりの真由ちゃん」。幼女とのセックスありまくりなラブコメ。この人はやはりカラーよりモノクロのほうがいいと思う。それにしても毎回かわいいねえ。それから最近充実してるな〜という感じのするジェームスほたて「ピローガール」は、なぜか家に送られてきた枕が女の子型をしている……というお話で「ちょびっツ」っぽい雰囲気。このところ持ち味の華やかな雰囲気に加え、エロシーンもかなり気合い入ってる感じ。ところでこの雑誌、軟派なイメージもあるわりに局部消しがかなり少ないですな。


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