2002年8月中旬


8/20(火)……ハミ乳と苦労話

▼早売りのドルフィンをぱらぱらとめくっていたらDr.モローデザインのクレジットカードなどというものが出たとのこと。ちょっと欲しいような……。

▼このHCTLってツールはけっこう面白そうだなあ。「Flash MXを使って動きのあるデジタルコミックを簡単に作るツール」とのこと。これとFlash MXの無料体験版を使えばなんかいろいろ作れそう。ていうかFlash(とPDF)についてはちょっと勉強してみたいところではあるんだけど……。

▼未読物
【単行本】「警視総監アサミ」7巻 作:近藤雅之+画:有賀照人 集英社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「破壊魔定光」6巻 中平正彦 集英社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「パンテオン」1巻 榛野なな恵 集英社 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「FADE OUT」1巻 いけだたかし 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「MとNの肖像」6巻 樋口橘 白泉社 新書判 [bk1][Amzn]

▼9月購入予定(リンク先はbk1の予約コーナー
9/2 CRAFT Vol.14  大洋図書
9/3 「シャイニング娘。」2 師走の翁 ヒット出版社
9/5 「外道校長藤堂源三郎DC」 小野寺浩二 大都社
9/5 「まりあの夢に向かって第1歩」 みこくのほまれ コアマガジン
9/6 「アゴなしゲンとオレ物語」10巻 平本アキラ 講談社
9/6 「ABILITY」4巻 MARO ワニマガジン
9/7 「夢の温度〜あき」 南Q太 祥伝社
9/7 「夢の温度〜冬」 南Q太 祥伝社
9/9 「シュガー」3巻 新井英樹 講談社
9/9 「それゆけ!ぼくらの団長ちゃん」2巻 小野寺浩二 少年画報社
9/9 「ワイルドリーガー」5巻 渡辺保裕 新潮社
9/9 「屈辱er大河原上」1巻 坂本タクマ 新潮社
9/10 「アルビレオ観測所からの観察 −アルコールラムプの銀河鉄道 編纂集−」 しろみかずひさ 司書房
9/13 「ほおずり」 ほしのふうた 茜新社
9/中 「ねむる部屋」 華倫変 太田出版
9/中 「社会不適合者の穴」2巻 田村マリオ 太田出版
9/中 「キャットライフ」 猫井ミィ 二見書房
9/中 「ムーちゃんが来たよ」 草津てるにょ ワニマガジン
9/19 「REAL」2巻 井上雄彦 集英社
9/19 「BWH」3巻 花見沢Q太郎 集英社
9/19 「てるてる×少年」3巻 高尾滋 白泉社
9/20 「空室あります」3巻 やまあき道屯 講談社
9/20 「ジャイアント」1巻 山田芳裕 講談社
9/20 「クロ號」4巻 杉作 講談社
9/20 「Rainbow Life」1巻 里見満 集英社
9/20 「Rainbow Life」2巻 里見満 集英社
9/20 「遠藤浩輝短編集」2巻 遠藤浩輝 講談社
9/25 「快速! FREE Note BOOK!!」 すがわらくにゆき ワニブックス
9/25 「銀河ガールパンダボーイ」 かわかみじゅんこ 祥伝社
9/26 「ななか6/17」8巻 八神健 秋田書店
9/26 「でじこのチャンピオンカップ劇場」 コゲどんぼ 秋田書店
9/27 「ちょびっツ」7巻 CLAMP 講談社
9/27 「マウス」8巻 作:あかほりさとる+画:板場広志 白泉社
9/27 「ホーリーランド」4巻 森恒ニ 白泉社
9/27 「蛮勇引力」3巻 山口貴由 白泉社
9/27 「エビアンワンダー」1巻 おがきちか 少年画報社
9/27 「りんりんD・I・Y」1巻 大石まさる 少年画報社
9/27 「生きなさいキキ」3巻 ジョージ秋山 実業之日本社
9/27 「完全版 野望の王国」1巻 作:雁屋哲+画:由起賢二 日本文芸社
9/27 「完全版 野望の王国」2巻 作:雁屋哲+画:由起賢二 日本文芸社
9/28 「ドラマチックな春」 ポン貴花田 双葉社
9/28 「天の鷹」 谷口ジロー 双葉社
9/28 「弥次喜多 in DEEP」8巻 しりあがり寿 エンターブレイン
9/28 「よみきりもの」3巻 竹本泉 エンターブレイン
9/28 「BAMBi 0 alternative」 カネコアツシ エンタブレイン
9/28 「振袖いちま」3巻 須藤真澄 エンターブレイン
9/30 「アフター0」5巻 岡崎二郎 小学館
9/30 「アフター0」6巻 岡崎二郎 小学館
9/30 「警視正大門寺さくら子」3巻 作:大西祥平+画:高橋のぼる 小学館
9/30 「聖」9巻 山本おさむ 小学館
9/30 「てんねん」 まだ子 シュベール出版
9/下 「人間以上(リターン・フェスティバル)」 駕籠真太郎 久保書店
9/下 「順風」 三本美治 青林工藝舎
9/下 「純の魂」 早見純 青林工藝舎

【単行本】「ハチミツとクローバー」1〜2巻 羽海野チカ 集英社 新書判 [bk1:1巻/2巻][Amzn:1巻/2巻

 現代日本の漫画市場における需要と供給のアンバランスを示す一例!……というほど大げさなもんでもないかもしれないが、どうやらけっこう刷り部数が少なかったらしく、とくに第1巻は入手できなかったという人がちらほらと。bk1でも1巻はお取り寄せになっており、Amazonは現在注文ができない状態。まあそのうち増刷されると思うのでとりあえず注文だけしといて気長に待つのが吉と見た。

 という前置きはさておき、CUTiE comicなき後YOUNG YOUに移籍し、なかなか単行本が出てくれずやきもきさせられた「ハチミツとクローバー」がついに登場。待っておりました。今さらながらに陳腐な言葉にて説明すると、この作品は美大に通う学生たちと彼らの恋愛を中心とした青春ストーリーということになる。主な登場人物を適当に挙げると以下のとおり。

森田(♂):畸人かつ天才。どうでもいいことと金儲けに才能を注ぎ込みまったく他人のいうことを聞かない男。はぐのことをたいへん気に入っている。
花本はぐ(♀):背はむちゃくちゃ小さいけれども天才。森田いわく「コロボックル」。
竹本(♂):忠犬気質の真面目な青年。森田の後輩。はぐちゃん大好き。純真。
真山(♂):マイペースだけど寂しがり屋。年上の未亡人に報われない恋心を抱く。
山田(♀):強力な蹴りと美乳・美脚の持ち主。真山に恋しているがその想い届かず。

 この5人と周囲の人を交えた楽しく、そして切ない人間関係が描かれていくわけだがこれが実に素晴らしい。学生ならではの馬鹿話で楽しく笑わせてくれたと思ったら、非常に切ない恋愛模様を描いて胸を締め付ける。そのバランスが絶妙。作画も非常に美しい。美麗なタッチ、ギャグタッチを器用に使い分け、きれいでもありかわいくもあり。ギャグもセンチメンタルなラブストーリーもともにうまい。1〜2巻を通しで読むと最初のほうはわりとギャグっぽい展開が多いんだけど、回が進むにつれて心にしみるような切ないお話が増えてくる。とくに「鉄人」と呼ばれる山田さんの乙女心の切なさときたらもうたまらない。でもセンチメンタル一辺倒にならず、一話一話、それこそ笑いあり涙ありできちんとまとめてくる腕前は本当に大したもの。非常に高いレベルで完成された、足りないものを見つけるのがちょっと難しいような作品。それだけにできればもう少しデカい判型で出してほしかった……。

【雑誌】ウルトラジャンプ 9月号 集英社 B5平

 ライバルの多い激戦区雑誌ということもあってか勢いを感じる。サンデーGXも最近良くなってきているし、やっぱり競争があるというのは重要なことだと思う。

 巻頭カラーでヒロモト森一の新連載「HELLS ANGELS」がスタート。なんだか元気のいいコギャルのりんねの登校シーンからお話が始まったと思ったら、彼女がいきなり事故に巻き込まれる。死んでしまった彼女が地獄で繰り広げる冒険を描いていくというお話になりそう。相変わらずヒロモト森一の作画は独特の荒々しさがあってハッタリが利いている。あとこの人の描く女の子ってけっこうかわいいと思う。介錯「魔法少女猫たると」。……今回なんかオチがブラックなんですけど。意外と侮れない。たぶんるりるりと同一人物ではないかと思われる豊増大介の読切「時の天使と約束の夜」は、未来からやってきた天使型のロボットが、なかなかお互いの気持ちを言い出せなかった少年少女を結びつけるきっかけを作るというお話。この人の絵って、SFブーム、美少女ブームのころを思い起こさせるようなちょっと古目な絵柄なんだけど、お話的にもそういった風味を残している。こういう優しくてヌルめなノリというのは今となってはけっこう貴重だし、心地よくもある。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 9/3 No.17 講談社 B5中

 咲香里「春よ、来い」。最近タカシに猛烈なアタックを仕掛けている女子高生ちゃんは、この作品では珍しくフツーに恋愛しててけっこう良くなってきた。タカシは相変わらずテキトーな感じだけど。はっとりみつる「おとぎのまちのれな」。「巨乳お見舞い申し上げます」という扉ページのアオリ文句がいいなあ。いつもながらにハイスピードでドタバタしててよく分からないが面白い。すぎむらしんいち「クローン5」。今回もまた事態は思わぬ方向へとごろんごろん転がっていく。何を起こるか全然予想がつかないし、展開がスピーディだから考える隙も与えない。すごく楽しい。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 9/5 No.17 小学館 B5中

 深巳琳子「沈夫人の料理人」。コンスタントに面白い。沈夫人の大叔母を納得させる蝦料理を競う勝負で、李三がいつもながらに困らされる。沈夫人の上品な奥様然とした内面での子供っぽさ、それに振り回される李三の慌てようが滑稽でとてもいい。あと今号では「釣りバカ日誌」アニメ化の報が掲載。10月19日から、テレビ朝日系列で毎週土曜日に放映予定だそうな。

【雑誌】漫画アクション 9/3 No.36 双葉社 B5中

 木村直巳「てんじんさん」が新連載で巻頭カラー。文明開化直後の明治時代を舞台に、ドイツ留学経験もある鍼灸師、通称「てんじん先生」が人々の病を治していくというお話。骨太で落ち着いたタッチでしっかり人情モノのドラマを構築。手堅く読める作品になりそう。榎本ナリコ「力の在り処」はやっと再開。現代日本で居場所がない引きこもりとかの少年たちが集まることによって特殊な能力を発揮するという超能力モノ。これについては今のところ、面白くなるのかどうか、先がちと読みにくい。沖田龍児「極道パパ」は最終回。

 桑澤篤夫の読切「役満しばり」は、いかにもこの人らしい麻雀漫画。倒産寸前の会社のサラリーマンが、一億円争奪の麻雀トーナメントに参加。で、いきなり決勝戦の大詰めだけ描くという作品。苦戦してるようで最後にとくに根拠もなく玄人たちを相手に回して役満上がって「やったァーーっ社長1億円もって帰ります!!」「麻雀はオレにとってのキャッシュディスペンサーなんだ!」でおしまい。これを「ビジネスマン麻雀道」とか書いちゃう適当さ加減がたまらない。麻雀好きな人には怒られそうな作品だけど、なんだか憎めない。それが桑澤節。

【雑誌】漫画サンデー 9/3 No.34 実業之日本社 B5中

 作:勘崎順次+画:倉科遼「銀座女帝伝説順子」。順子の夫・浩治が死去。ドラマチックだなあ。実録ならではの重みを感じる展開。

【雑誌】花とゆめ 9/5 No.18 白泉社 B5平

 羅川真里茂「しゃにむにGO」。うん、面白い。エリートだけど脆い滝田の内面などなど、単純に努力・根性・勝利だけでなく、テニスプレーヤーの内面もしっかり描いており、爽やかな成長物語となっている。イチハ「女子妄想症候群」。まだ絵は整ってないけど、爆発力があってけっこう面白い。背がちっちゃくて美少年と、デカいけど純情な女の子のラブコメ。美少年のほうは彼女の前では猫をかぶってるけど実は激強だったり、自分の美少年ぶり&フェロモンを最大限に利用するあたりはかなりしたたか。やたら登場人物たちが鼻血を噴くのが楽しい。


8/19(月)……赤チャンとぼく

▼チャンピオンREDの創刊で、また19日発売雑誌が増えた。19日はウルトラジャンプ、サンデーGX、イブニング、Vanilla、アイラDELUXE、まんがくらぶオリジナルと買う雑誌が多いうえ、重量級が揃っているから困る……。あと19日発売雑誌は、小学館、講談社、集英社の大手は月号表記が次月で、それ以外の出版社は次々月となっているのでなんか面倒くさいよー。

【雑誌】チャンピオンRED 10月号 秋田書店 B5平

 なんか微妙な雑誌だなあ。もりしげを前面に押し立てているところを見ると、いちおう萌え系とかオタク系とかを狙った雑誌と考えていいんだろうか。それにしては手塚治虫「ブラックジャック」の単行本未収録分が袋とじ小冊子で付いていたりするのがいまいち解せないところではあるのだが。正直いって現在のところ、いまいち方向性が分かりにくいし太い柱となれそうな作品が見当たらないのはツラいところ。とくに同日発売で似たような装丁のウルトラジャンプ、サンデーGXの作家陣がかなり豪華なだけに、比べられちゃうと厳しいかなーという気はする。でもこの厳しいご時世にあえて創刊した雑誌だけに、やっぱり応援していきたいところではある。うまい具合にポジションを見出して定着してくれるといいんだけど。

 巻頭カラーのもりしげ「こいこい7」は、弱っちい感じの眼鏡くんな男子が入学した学校は、彼以外は全員女生徒で、さらに入った学生寮も女の子だらけ。強いのから不思議ちゃんまでいろいろなタイプが揃っててハーレム状態なドタバタ女難コメディという感じ。富沢さとし「エイリアン9エミュレイターズ」は、タイトルどおり「エイリアン9」の続編。例の3人が中学生になって、エイリアンを巡る新たな局面に巻き込まれていくといったところ。そのほかで期待したい作品といえば、「アイアンメイド・アリス」の強引なノリのギャグがちょっと気になっていた松本英の「ラブ ラビイズ」、本誌で「しゅーまっは」を連載している伯林の「最強委員長」、ハードなアクション漫画となっていきそうな石渡洋司「フロンティア」あたり。柴田芳樹がわりと無害っぽいペットもののショートなのが個人的にはちと残念。この人には「ジャイアンツ」「れっどまん」みたいな、もっとイッちゃった作品を期待したいところなんだけど。あと秋田書店系の若手作家としては、石川聖あたりが登場してくれるとうれしい。

【執筆陣】手塚治虫(袋とじ小冊子)、もりしげ、吉富昭仁、しまだわかば、石川賢とダイナミックプロ、岡田和人、富沢ひとし、伯林、哲弘、東雲水生(原作:伊藤郁子+佐藤順一)、島崎カヲル、柴田芳樹、あべとおる、石渡洋司、がぁさん、作:永井豪+画:夏元雅人

【雑誌】イブニング 9月号 講談社 B5中

 寺沢大介「喰いタン」は今回も馬鹿馬鹿しくていいなー。食欲魔人な探偵の屈託ない言動が面白すぎる。木葉功一「クリオの男」。矢堂和彦の過去に迫るシリーズの2話め。想像をはるかに越えた怨念にまみれた拳銃の中の世界にダイブした矢堂一彦がピンチを迎える。そして次号で最終回。吉田基已「恋風」。いつもながらに困った妹だ……。お兄ちゃんの妹萌えが若干落ち着いたと思ったら、妹の兄萌えに火がついてしまい。お兄ちゃんもたいへんだー。

 あと今号には、かわぐちかいじ、小林まこと、弘兼憲史、青木雄二の初期作品が収録された別冊付録が付いている。小林まこと、青木雄二はわりと今のまんまだが、かわぐちかいじ、弘兼憲史はけっこう今と違うんだなーと思った。化ける人は化けるもんだ。

【雑誌】月刊サンデーGX 9月号 小学館 B5平

 小野敏洋「ネコの王」は本当にスゴイと思った。今回は表紙からしてロリ少女水着×2。しかもきっちりタテスジ強調。煩悩の嵐。「マジカル肉球コメディ」というアオリも素晴らしい。内容もこれまた裸エプロンありーの、メイド服ありーの、全裸お風呂シーンありーの。さすが小野敏洋。爽やかにクレイジー。こいずみまり「LET IT BE!!」。すごくいい。最近どんどん桜小路さんが色っぽさを増しているけれども、あとちょっとというところで常に寸止め。焦らされる感じがたまらなーい。後藤羽矢子「ふぁみレス」は新連載。巨乳だけど男ギライなめがねっ娘女教師が主役。なんかその女教師さんが大家のおばさんのはからいで、16歳の少年を里子にとることになってドタバタな生活が始まる……といったところ。可愛い絵柄でちょっぴりHなこともあるかな……?といった感じの4コマ漫画。

 最近GXでは注目の若手、浅野いにお「素晴らしい世界」。「2nd program」と書いてあるってことは読切シリーズになるのかな。今回は、クラスでイジメられており不吉なカラスにつきまとわれ、自殺へと誘惑されている女の子が主人公。ストレスをググッとためておいてから一気に解放する感じが気持ちいい。いけだたかし「FADE OUT」は単行本第1巻発売記念で前後編で掲載。今回は前編。シイネ先生と彼女のおっかけの吸血鬼が登場、幽霊族のこかげの彼氏でありながら普通の人間でしかないトシアキ君は自分の無力さにイライラする……という展開。

【雑誌】ヤングマガジン 9/2 No.38 講談社 B5中

 名峰礼司「星のかけら」。最近挙動のおかしい教師のことを「宇宙人」とかいっていたら、国連のUFO対策委員会を名乗るヘンなおっさんたちに目をつけられてしまった女子高生を主人公とするドタバタコメディ。劇画調の濃い絵柄だが、やってる内容はけっこう馬鹿っぽい。わりと楽しめた。高田裕三「3×3EYES」は、ついに次回で最終回らしい。次号はちゃんと読もう。それから次号では望月峯太郎の新連載「万祝−フナコの海−」がスタート。いやー、長いお休みでしたな。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 9/2 No.38 小学館 B5中

 新連載、稲光伸二による麻雀漫画「ナイトクレイバー竜一」がスタート。家ではスーパーハカー、外では対人恐怖症の万引き少年であった竜一少年が、その長く柔らかい指を生かした万引き術を見込まれて麻雀の世界へと導かれるという感じの作品っぽい。シャープでハッタリの利いた絵柄はカッコイイが、麻雀漫画として成功できるかどうかはよく分からず。でも実力のある人なのでまずは期待。三宅乱丈「ペット」。緊迫した展開が続いててなかなか面白い。記憶を操作する能力の持ち主たちが暗躍するという状況なので、いろいろ好き勝手やれそうだけど、その能力の限界についての説明などにも説得力がある。ハードな読みごたえがあって先が気になる。村上かつら「サユリ1号」。大橋さんの状態が激しく気になる。毎度のことながらキッツい作品だなあ。全然癒しがないのがスリリングで良い。

【雑誌】増刊ヤングジャンプ 漫革 9/25 VOLUME-29 集英社 B5中

 山花典之「妹 あかね」の番外編が掲載。1860年アメリカ西部が舞台で、あかねが強盗をやってるおたずねものであるという設定。でももちろん兄スキー状態は変わらず。お色気シーンもいうまでもなし。清野とおる「鬱休み」。相変わらず邪悪な絵をしているなあ。なんか意味なく濃い。

 HiROTO「たとえばもみじ」はちょっと気になる絵柄。一目ぼれした女の子がバイトしている店の正面にある服屋に見習いとして入店、彼女に気に入られようと必死で頑張る青年のお話。絵柄的にはまだ荒削りだけれども独特の暑苦しい手触りがある。あんまり洗練されないほうが面白いタイプという感じもする。海野そら太「ここで逢いましょう」。援交中の女子高生と、ヤバい仕事を請け負ってそわそわしているおっさんが公園でバッタリ出会ったが、実はそのおっさんは10年前に別れた女子高生の父親であり彼はそのことに気づかないままであった……というところから始まるお話。シャープな絵柄はなかなか達者。パッと目を惹く作品である。

【雑誌】Vanilla 9月号 講談社 B5平

 気になったのは読切、天堂きりん「あのネコの声」。一緒の職場でなんとなく恋人っぽい関係になった男が会社を辞めることになって、自分たちの今後について悩むみたいな感じのラブストーリー。目の描き方がきれいでけっこう印象に残った。誰かの絵を思い起こさせるんだけど、名前が出てこない。秋重学でもなし池部ハナ子でもなし……。うー、なんかムズムズする。マサキノリゴ「阿佐ヶ谷ロンド」。すっかり定着してきたようで今号には2話掲載。今までの登場人物も出てくるけど、1話ごとにメインとなるキャラは入れ替わっていっている。それぞれの恋模様を軽やかに見せてくれてけっこう楽しい。

【雑誌】まんがくらぶオリジナル 10月号 竹書房 B5中

 ちょっと連載入れ替えてきてる模様。まずは小坂俊史「ハルコビヨリ」が連載開始。「ハルコビヨリ」は、彼氏と同棲中のちょっとズボラな感じの女の子・ハルコさん24歳の生活を描いていくという感じのゆったり4コマ。なお昨月で完結した「月刊フリップ編集日誌」は、分量的に足りるかな〜という声もあったみたいだけどちゃんと2巻も9月17日に出る模様。また今号ではさんりようこ「猫の手貸します」と吉田美紀子「あいあいハウス」が最終回。さんりようこはさっそく次号から新連載開始とのこと。中島沙帆子「電脳やおい少女」は今月も2色。人気あるみだいで何より。


8/18(日)……なまこ、皿に落ちれば

▼「ロード・オブ・ザ・リング」の公式サイトに「二つの塔」の予告編ムービーが上がってたので観てみる。相変わらず日本語のアオリ文句は大仰すぎるような気はするけど、ゴクリがちゃんと指輪のことを「いとしいしと」といっていたのでちょっと安心。あ、そういえば「二つの塔」ってオルサンクとバラド=ドゥアだったのか。一つがオルサンクであるのは確定として、「二つの塔」にはバラド=ドゥアは登場しないので(ついでにいえばミナス=ティリスもこの段階では登場していない)、もう一つはキリス=ウンゴルのほうを指してるのかと思ってた。ていうかバラド=ドゥアそのものは、「指輪物語」全編を通じてほとんど出てこないんだけど。まあなんにせよ早く観たい。2003年春か〜。

▼ようやく5月コミティア分の同人誌をほぼ読み終わる。今回はスタートダッシュは良かったんだけど……。

5/5コミティア購入同人誌
【同人誌】「ひとりものがたり」 三五千波 <つくりもの>
【同人誌】「菊男ちゃんのキロメンタル通り」 鵜匠カシヲ <赤色オレンヂ>
【同人誌】「菊男ちゃんの肉屋の福袋」 鵜匠カシヲ <赤色オレンヂ>
【同人誌】「かおりちゃんの蛸壺でオールナイトロング」 鵜匠カシヲ <赤色オレンヂ>

【単行本】「さらば俺に血まなこ」 おおひなたごう イースト・プレス A5 [Amzn]

 TV Bros.で連載されていた「俺に血まなこ」シリーズの完結編。内容自体は1ページごとに時事ネタだのなんだのいろいろなネタを詰め込むって形式で、しかもギャグなもんだからネタバレをするわけにもいかず、説明しにくいんだけど面白い。一つのネタを、例えば語感の相似とかを軸にしてまったく違う視点から見ていろいろいじり倒しているわけだけど、そのセンスの良さに脱帽する。よくこんなにひねったネタががぽんぽん出てくるもんだよな〜。いい意味で子供っぽい自由さが光ってる。

【同人誌】「ふらふらふらり」第一部/第二部 藤本和也 <餅屋ブック>

 この本はコミティアではなく餅屋ブックのWebから通販で購入したのでこちらに。通販だけでなく、タコシェなどの一部書店でも委託販売されているようです。

 で、この作品だがすごく良かった。平凡な、地方の大学に通う若者たちの青春物語。何もやる気がせずだらだらと女の子と同棲する若者、小説家を目指し投稿作を執筆する若者、ガキんちょのように「ひみつそしき」的なものを組織し他愛のないことを繰り返す若者……といった人々がそれぞれに触れ合いながら過ごす日々を描いている。いつまでも続くかのような無為な日々、終わってしまうと無性に懐かしい日々。枠線以外は定規を使わずにフリーハンドで描かれた作画は、暖かさと懐かしさに満ちている。けして新しいタイプの絵じゃないと思うけれども心にしみる。第一部の巻末で元ジンタの竹内圭が「此処には泣かさんとする話なぞ一つも無いが、泣けない話も一つも無い」と表しているけれども確かにそう。第二部のラストでは彼らの「いつもの暮らし」のおしまいを告げるかのような不吉な出来事が描かれる。これはたぶん続きがあるんだろうけど先がすごく気になる。

 あと初回100部のみに付属するミニマンガ「美しひしらべ」もなかなか面白い作品だった。工場から出荷されていくCDプレーヤーを、卒業を迎える女学生に擬したエピソード。ギャグっぽいけどちょっと切なくもあり。

【同人誌】「藤本和也作品集」 藤本和也 <餅屋ブック>

 こちらはさまざまな短編を集めた作品集。藤本和也の絵は線の一本一本にオリジナリティがある。だから見ているだけでも楽しいんだけど、漫画としてもいい。キャラクターも、とくに女子が案外可愛らしくて魅力的だし。ちょっと不思議なファンタジー、ありふれた日常モノ、ドタバタなギャグ、いずれも味がある。現在の商業誌とそぐう作風ではないかもしれないけれど、自分だけの世界を持っている人だし実力は大したもの。もっと読みたいなあ。


8/17(土)……髑髏スロー

▼本日でホームページを開設してから丸5年が経過。5年も経つとずいぶん考え方も変わるもので、昔書いていたようなことも今見ると「それは違うよなー」とか「青いなー」とか思ったりする。とくに最近変わったことといえば、以前は「いい文章、面白い文章を書きたい」だの「Webで文章を書くからには誰かの役に立つものであるべき」みたいな気負いが多かれ少なかれあったんだけど、昨年の終わりくらいからそこらへんだいぶ気楽にやれるようになってきた。

 それというのも、毎日文章を書くにつけ、つくづく自分は面白い文章は書けないなーというのが身に染みて分かってきた。これは別に謙遜でも卑下でもなんでもなくて、まあさすがに30歳にもなれば自分の身の程も知れてこようというもんで。やっぱねー、Webは広いし世の中には面白い文章を書く人は山のようにいます。新田五郎さんとか見てると本当にそう思う。一時期はそんな人たちのサイトを見て自分の才能のなさを振り返り絶望したりしたものだけど、いつだったかは覚えてないけどあるときを境に「面白い文章を書くのはほかの人に任せちゃえばいいんだ!」となんか自然に思えるようになった。面白い文章を書く人が世の中にたくさんいるように、つまらない文章を書く人だって数え切れないくらいいる。で、その文章に価値がないかっていうと別にそんなことはないわけで、「別につまらないことを書いてもいいんだ」と考えたら肩の力が抜けた。最近では最後通牒みたいないいサイトもいろいろ出てきてるから、情報的なことについてもほかの人におまかせしちゃえばいいし。

 まあ実際「面白いコトを書けるようになりたい」という気持ち自体はまだあるんだけど、それは小手先の技でなんとかするんではなくて、もっと腰を据えていろんなモノに触れて実力を培っていくべきもんだと思う。とくに面白い文章でもないのに、ヘンに言葉尻とか文字装飾とかをいじってみたり、ネタを強引にひねり出すみたいなのはやっぱどっかで無理が出るし、無理に出してきたネタで下手を打って他人を傷つけちゃったりしたらそれこそ申し訳ない。実際、そういう不自然なことやってると長く続けられないと思う。ネットでこうやって漫画のこととか好き勝手話すというのはあんまり多趣味でない自分としては非常に大事な趣味なんで、OHPについてはこれからも盆栽をコチコチいじるような感覚で末長く日々粛々と続けていければいいなとか思っております。

5/5コミティア購入同人誌
【同人誌】「大きなカーブどこまでも」 YanaYang <青ラヂヲ>
【同人誌】「素直」 サムラケンジ+飯島俊哉 <AC>
【同人誌】「たいようがきこえる」 作:いとうれいこ+画:きのあずさ <ショミンの家>

【雑誌】オースーパージャンプ 9月号 集英社 B5中

 週刊少年ジャンプで「元気やでっ」などを描いていた山本純二の読切「Crossroad 〜約束の木の丘で〜」が掲載。獣医志望だった女性が、実験のために動物たちを傷つけなければならないことに嫌気がさし絶望していたところ、とある老犬とその飼い主に出会ったことで自分の目指すべき道を再確認するというお話。マイルドでクセのない絵柄とハートフルなストーリーは好感が持てる。目次ページの作者コメントによると2年ぶりの新作だそうな。

【雑誌】コミックメガストア 10月号 コアマガジン B5平

 来鈍の新連載「御家庭の快楽」は、軍人夫妻の兄妹がHをしまくるという近親相姦モノ。来鈍のたいへんにぷりんぷりんした女体の描き方が相変わらずたいへんにH。乱満「秘密の基地で×××」。第4話だが、始まってからずっと一直線に子供が女教師をエロ責め中。さらに新しい獲物もゲットしそうな感じでますます激しくなりそうだ。なめぞう「夢想+1」も兄妹モノ。妹の写真を部屋中にべたべた貼りまくっている変態兄は、いかにもなめぞうキャラらしく濃いめ。新単行本が11月中旬に発売予定という朗報も。

 みた森たつや「THEメイド’s アフター」。足より太いくらいの超巨根の持ち主を生涯のご主人と定めたNo.1メイドのヨーグルト。だが彼女の引退を惜しむ人々により、ご主人様は刺客に追われることに。ご主人様とヨーグルトのラブラブぶりは、みた森たつやらしく非常にアツアツで見ていてすごく気持ちが良い。常識外れな巨根を駆使したSEXシーンもスパイスとしてよく利いている。THE SEIJI「愛。」。自分部屋の下着が入った引き出しから精液発見。でも御家庭の男は父しかおらず……というところから始まるお話だけど、娘さんも十分すけべえなお方で家族仲良くセックス三昧という感じにもつれこむお話。やっぱりこの人の描く女の子は、基本的に人が良く性格的に隙がありすぎでハードなHをしているけれどもなんだか和む。泉ゆうじろ〜「World Wide Love!」。どこがワールドワイドなのかはいまだによく分からないけどまあそれはいいや。萌え系の絵柄+びきびき血管浮きまくりのちんちんの乱舞がエロい作品。はちきれそうでえらく気持ち良さそう。若いっていいなあ。羨ましい。

 EB110SS「碧様が一番」。借金のカタに売春島で下働きをさせられていた男がついに脱出を決意。それにしても碧ちゃんはかわいいなあ。お話としても切ない感じになってきつつある。次回、主人公は幼女をどうするのか。國津武士「Empress!!」。前回までの女帝ちゃんとはまた違った女帝ちゃんが登場し、主人公はセックスマシーンとして奉仕させられることに。ロリロリで激しめなH。無口だけどHな女帝ちゃんがいい感じ。

【雑誌】ばんがいち 10月号 コアマガジン B5中

 田沼雄一郎が描いていたので購入。読切「渋猫」。世渡りが下手で講師に企画をパクられてクサっていたゲーム専門学校の学生が、ホームレスと思しき不思議な少女に慰められる……というお話。「少女エゴエゴ魔法屋稼業」から、凌辱シーンをとったような感じかな。そろそろあっちのほうも本格的に連載していってほしいもんだけど。

【雑誌】コットンコミック 10月号 東京三世社 B5中

 いつもながらにまったり落ち着く誌面。でも今回は渡辺ヒデユキ「SASEMAN」シリーズが8ページしか載ってなくて残念。すけきよ「かむふらーじゅ」。この人の描くいかにも純真そうな女の子はけっこう好きなのだが、最近目の描き方をキラキラさせてから雰囲気がちと変わったような気もする。


8/16(金)……千と望郷の潜望鏡

▼ちょっと時間があったので、買ったままだった「千と千尋の神隠し」のDVDを観る。話題になったとおり映像は赤いっちゃ赤いけど、わりとそういうことには鈍感なほうなのであんまり気にはならなかった。まあ2台テレビ並べて白いのと比べながら観たら気になるんだろうけど。内容のほうについては、やっぱり動きの楽しさとテンポの良さで見せる前半はとくに面白い。後半のほうはちと急いでしまったのか、よくわからん部分が増えてきていまいち釈然としないんだけど演出力に押しきられちゃう感じ。極力説明的なセリフを排して動きで納得させようとしてるんだなあってのはよく分かるけれども、もう少し説明があってもいいよなーとは思う。

5/5コミティア購入同人誌
【同人誌】「Prisoner」 森砂季+大野ツトム <トラウマヒツジ>
【同人誌】「automatic」 森砂季 <トラウマヒツジ>
【同人誌】「地上50センチメートル」 原田それから <プルシャン・プー>
【同人誌】「ヒルネル」 原田それから <プルシャン・プー>
【同人誌】「カリスト」 衣羅ハルキ <HEE-HAW>
【同人誌】「not choose by(改訂版)」 風祭彰一 <リンカイハクブツカン>
【同人誌】「paperfiction」 風祭彰一 <リンカイハクブツカン>
【同人誌】「2002年武富健治Q資料」 武富健治 <胡蝶社>
【同人誌】「空庭画帖」 水上左人/みずたなしこ <Cight>
【同人誌】「アサー・ハッラーと信者の意地」 <大宗教学刊行委員会2001/埼京震学舎>

【雑誌】別冊ヤングサンデー 9/16 No.16 小学館 B5中

 久々にまなべゆうを見たような。読切「今江くんのプレゼント」。隣の家の何かと世話をしてくれる女子・石井さんに、好きな娘に何をあげたらいいかと相談する主人公男子・今江。今江は石井さんを友達として見ていたけど、憧れていた女の子と口をきけるようになってだんだんと自分の本当の気持ちに気づいていくというお話。この人、昔はもっと線が柔らかかったような気がするけどけっこう変わったなあ。なんかヤンサンっぽい絵柄になってる。いわや晃「カナエ」。先生とかには睨まれつつも、学校生活をおもしろおかしく生きている先輩と、彼に憧れている女の子の話。線がシャープで作画はしっかり。爽やかな青春ストーリーとなっていて、わりと好感は持てた。

【雑誌】近代麻雀 9/15 vol.420 竹書房 B5中

 5/15号に掲載されて、そのあまりのヘンさ加減で度肝を抜いた「ジャンロック」が復活(第1話の感想は4月15日の日記参照)。今回は「望郷編」。最強の雀士を育成するための地獄の機関「龍(ドラ)の穴」を抜けた男・雀平が、初恋の女を助けるため龍の穴へ乗り込むが……というお話なんだけど、いやまあなんというかむちゃくちゃだ。バター犬だの馬だの褌ロッケンロールだの異常に脂っこい。まったく高橋のぼるという人は何を考えてるんだか。これでも前回に比べればだいぶ大人しいような気さえしてしまうところもすごい。そしてさそうあきら「麻雀伝道師 立花」もすごかった。扉ページには「ハートフルストーリー」とか書いてあるけど、シュールすぎるよ……。娯楽のまったくない村にやってきたさすらいの雀士が村人に麻雀を教えるも、彼らは麻雀をすることには興味を持たず、盲牌をマスターするなど牌そのものにしか興味を持たない。牌をなでたら成績が上がっただのフライパンの焦げつきをこそげ落としただの、使い途もそんなもの。これはたぶんnギャグだよなあ。橋本俊二「剣師 −刃上の渡世人−」。本当の三色ってそういうものなのかー。インチキくせー。


8/15(木)……サイコロ大好き

▼最近ウチのCATVインターネットがよく切れるので、ADSLも試してみるべえと思ってYahoo!BB 12Mを申し込み、本日BBモデムが到着。いちおう接続してみたがつながらない。というのもまだNTTがADSLの電話局内工事を行っていないから。開通は20日の予定。あえてYahoo!BBにしたのは、ホットスポットサービスのBBモバイルを利用してみたいという気持ちもあったので。何かと話題の多いYBBだけど、BBモバイルは比較的評判がいいみたいなんでけっこう期待。問題は常時携帯するような端末を現在持っていないことと自分がたいへん出不精なのであんまり外でネット使わないんじゃ……ということなのだが。

▼お盆前に買った本はだいたい消化できたので、ようやく5月コミティアの同人誌も読みにかかる。感想は別ファイルに。

5/5コミティア購入同人誌
【同人誌】「スペースサッカー物語」 新谷明弘
【同人誌】「つゆくさ6」 <つゆくさ>
【同人誌】「p.p.m.2」 ピコピコリョウ <pico pico>
【同人誌】「p.p.m.3」 ピコピコリョウ <pico pico>
【同人誌】「ホモヨロン2」 アニュウリズム/加瀬世市/まきお <テレピン>
【同人誌】「おはよう少年」 加瀬世市 <テレピン>
【同人誌】「H・T」 加瀬世市 <テレピン>
【同人誌】「ROUGH DEVICE」 <TEN-PEST>
【同人誌】「JackPot! 2002年春号」 <TEN-PEST>
【同人誌】「PLANET SOLARIS」 <TEN-PEST>
【同人誌】「MERCURIUS」 <TEN-PEST>

【単行本】「おんなのこ」 加賀美ふみを 平和出版 A5 [Amzn]

【単行本】「かわいいね」 加賀美ふみを 平和出版 A5 [Amzn]

【単行本】「だいすき」 加賀美ふみを 平和出版 A5 [Amzn]

 「だいすき」が発売されたので、ついでに既刊の単行本をざざーっと購入。毒気のないたいへんにかわいらしい絵柄で、ほのぼのとしたラブラブH系の作品を描く日と。最初のころから絵はかわいかったんだけど、回数を重ねるにつれてそれがさらに愛くるしくなってきて臨界点を超えたので、そろそろ手を出そうと思ったしだい。

 この人の作品は最初に述べたように非常にほのぼのとしている。そんでもって微笑ましい。ショートカットでちんまりした女の子さんたちが思わず頭をなでなでして慈しみたくなるくらいいかにもかわいらしいというのはもちろんなんだけど、この人の作品の場合、恋人たちが男女セットでなんとも微笑ましい構図を作っている。3冊全部に登場する「Song」シリーズのケンちゃんとユカのカップル、それから「だいすき」に登場する地方の学校の幼なじみカップルまあちゃんとかよちゃんあたりはとくにいい。今どきこんな純なカップルがおるんかーと思うほどに純で、片方が自分を好いてる様子を見てもう片方が顔を赤らめ、その様子を見てもう片方も頬を染め、嬉しい気持ちと嬉しい気持ちが共鳴しあってほのぼのアツアツな空間を作り出していく様子がたまらない。Hのほうもやることはやってるんだけど、本当に「愛のあるH」となってて甘〜い。いつまでも初恋。いい。羨ましい。


8/14(水)……真左の日だまり

▼以前日記で欲しいと書いたメルコのUSB直結型無線LANアダプタ「WLI-USB-KS11G」を購入。家でメインノートとして使っているFMV-BIBLO LOOX TはPCカードスロットが一つなので、PCカードによるLANと記憶デバイスの併用が今までやりにくかったのだがこれでその問題は解消。USBの無線LANアダプタも持ってはいたけど膝に置いて使うときとかはちとケーブルがうっとうしくてあまり使ってなかったのだ。WLI-USB-KS11Gはその点、ケーブルレスなのでコンパクトに収まるのがいい。ただ思ったよりもデカいのと、けっこう出っ張るので使っているうちに何かの拍子にポキッと折っちゃいそうに思えるのが気がかりではある。

▼そういえば書き忘れてたけどコミックバーズの年間定期購読サービスが始まっている(→幻冬舎コミックス NewTopics)。ちと割高なのだがいちおう申し込んでおこうかな。最近ウチの近所の書店で取り扱いがなくなっちゃって入手しにくくなってたことだし。ただお金の払い込みが郵便振替だけなのがちと不満。幻冬舎は自前でオンラインブックショップを持ってるんだから、そこから申し込めるようにしといてくれればいいのに。それにしても定期購読者にはもれなくバーズ特製Quoカードがプレゼントとあるんだけど、その図柄ってもしかしてコレ? この意味不明なキャラはいったい何なんだろう……。

【雑誌】まんがタイムきらら(まんがタイムオリジナル9月号増刊) 芳文社 B5中

 萌え系作家を集めた4コマ誌として話題を集めた(のだかどうだかはよく知らない)まんがタイムきららの2号め。執筆陣は以下に示すとおり、美少女系などいろんなところから、カワイイ女の子キャラをコミカルに描ける人をわさわさ集めてきたという感じ。不思議なものでこういう本のほうが、ヤングアニマルとかのエロ系が多い一般青年誌よりも、電車内で読んでて照れくさい感じがした。これは周囲の人に「スケベ」と思われるよりも「オタク」と思われるほうがより恥ずかしいという意識があるのかもしれない。まあどっちも事実だからどうでもいいんだけどねー。

 掲載作品ではまず原田たけひと「202号室」。日射しが強く冷房もきかない暑い部屋にいる女の子が主役で、1ページめの日の光にじりじり灼かれているあたりの絵がけっこういいなと思った。それから「とらのあなの美虎ちゃん」でおなじみ、むっく「眼鏡のお年頃」はタイトルどおりめがねっ娘のお話。ちょいと百合っぽい要素が入っているのがいい味付けに。しおやてるこ「Pocket」は、学習漫画雑誌にでも載ってそうなほのぼのした作画が良い作品。これは非4コマ。4コマ雑誌内の非4コマ作品は目立つせいかわりと気になることが多いような気がする。

(執筆陣)門井亜矢、佐々木亮、おおた綾乃、ふじもとせい、師走冬子、百やしきれい、原田たけひと、むっく、後野まつり、海藍、湯川かおる、しおやてるこ、ちんじゃおろおす、藤本朱音、小田すま、太田虎一郎、刻田門大、ナフタレン水嶋、笹野ちはる、上原甲斐、ナントカ、結原りん、久保甚平、新条るる、関根亮子

【雑誌】別冊マーガレット 9月号 集英社 B5平

 今月号では河原和音の60P読切「愛のために」がなかなかいいと思った。友達のために合コンのセッティングとかをするのが超得意で、みんなからは「紹介の女王」と呼ばれている女の子が、何か彼女をからかう風でもある男子と知り合いだんだん彼のことが気になってくる。それまで周りの人を幸せにすることばっかり考えていた女の子が、初めて出会った自分自身の恋といった物語。まあ合コンばかりしていたりする状況自体は今風すぎてなんだが、「いい人がちゃんと報われる」というのはやっぱりいい話の重要な基本形であると思う。中原アヤ「ラブ★コン」。大谷君のことが隙だとハッキリ意識してしまった小泉さんは、みんなで海に行ってもなんだか意識しちゃってギクシャク。微笑ましいですなー。恋って素晴らしいね☆ いや本当に。

【雑誌】ネムキ 9月号 朝日ソノラマ A5平

 かまたきみこ「深海蒐集人」。自分を助けてくれたダイバー・シバが恋しているらしい主人公のミミに嫉妬するお嬢さんのエピソード。お嬢さんの頑なな心がほぐされていく様子が見どころ。ミミが海に潜る姿が気持ち良さそうなのもいい。TONO「チキタ★GUGU」。名君といわれる老皇帝と、クリップ&オルグを巡る謎が深まる。安定して面白く先が楽しみ。

【単行本】「BECK」12巻 ハロルド作石 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻では竜介を欠くBECK(モンゴリアン・チョップ・スクアッド)が全米ツアーに出発するも、英語は話せない、アメリカの空気に呑まれるでなかなか持ち味を発揮できず苦戦する。わりと辛抱の巻という感じだが、そんな中、学校を辞めてバンドに専念することにしたコユキがどんどん大人っぽくなってきているのが注目。成長したコユキおよびBECKの面々が、竜介と再会したときにどんな演奏をしでかしてくれるのか楽しみ。なんというかそういうカタルシスバリバリのライブシーンへの飢餓感がかき立てられる巻。

【単行本】「バトル・ロワイアル」7巻 作:高見広春+画:田口雅之 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 「第三の男」三村編がメイン。一見完璧っぽかった三村の計画が、少しずつ狂っていく様子は見ていてハラハラさせられる。すでに小説版で知っている物語なのに、それでも面白く読めちゃう。小説版を読んでいる人も面白がらせる、何か新たに付け加えるという意味では、田口雅之の過剰な味付けというのはかなりいいアプローチなんではないかと思う。まあ多少表現にグロいところがあるので好き嫌いは出ようかと思うけれども。

【単行本】「焼きたて!!ジャぱん」3巻 橋口たかし 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

 単純に面白い。悪ノリやちょっとHっぽい描写なども、ちゃんと確信的にやってるんだなーというのがよく分かる。いかにも主人公らしい和馬、一緒に働くライバルとして好感度の高い河内、それから見目麗しい月乃、アフロな松代……とキャラがそれぞれ確立できてるのもグッド。

【単行本】「Hidamari」 かにかに 久保書店 B5 [bk1][Amzn]

 アンソロジー「貧乳」シリーズで表紙とかを描いているかにかにのイラスト集+漫画といった趣の単行本。つるつるぺたぺたした柔らかい体つき、愛くるしい表情の女の子たちがかわいい。この人の持ち味はやっぱりカラー。滑らかな塗りがきれいで全体にミルキーな感触。ただモノクロはカラーに比べると見劣りがする。最近こういう「カラーはいいけどモノクロだとイマイチ」という人が、わりと増えてきたような気がする。CG塗りの普及の影響かもしれないけれども(かにかにがCGでやってるかどうかは別として)。


8/13(火)……憎めシビル

▼仕事のち焼肉。焼肉を食うときに迷うのが、ビールを呑むか、そして米の飯を食すかということ。どちらも摂取するとお腹がいっぱいになるので、その分肉は食えなくなる。米とビールは合わないと個人的には思う、というか米の飯に合う酒ってあんまりないような気がするので二者択一だ。今日は飲みが主眼だったためビールを呑んだので、飯は注文しなかった。しかしなんとなく米飯欲が身体の中にくすぶっているような気はしないでもない。

▼で、その帰りがけ、自販機で買ったジュースをとろうと屈んだら胸ポケットからGIGABEATがスルリと落下。ハデな音がしたのでイヤな予感がしたのだが、案の定、すべての操作を受け付けなくなっていた。ガ━━(゚Д゚;)━━ン!とショックを受けたが酔っ払っていたのでさほど気にせずそのまま帰宅したところ、そのころにはなぜか復活して操作できるようになっていて一安心。でもGIGABEATって使っててちと怖い。表面がツルツルしている上に重いから、何かの拍子にスルッと落としちゃうことがよくある。買ってから1か月半くらい経つけどこの短い間ですでに3回くらい落とした。それで壊れてないのだからけっこう頑丈なのかもしれないが専用のケースとか出してほしいところではある。そういった面も含めて、悪い製品じゃないんだけど全体的に細部の詰めが甘いような気はする。

【雑誌】ヤングチャンピオン 8/27 No.17 秋田書店 B5中

 なぜか古泉智浩の連載が始まっているのでビックリした。しかも野球漫画っぽいので二度びっくり。タイトルは「路地裏のバッター」。路地裏で素振りしていた高校生がある日、アル中のおっさんに極上のスイングを伝授されてからそのスイングを追い求めるようになる。でも実際のところ、彼はその後、別にプロ野球選手になるでもなく27歳にして気の利かないコンビニの店員をしている程度の男になっていた……というところからお話が展開していくらしい。短期集中全5回とのこと。

【雑誌】ビジネスジャンプ 9/1 No.18 集英社 B5中

 作:近藤雅之+画:有賀照人「警視総監アサミ」。この前はカラス退治してたかと思ったら今度は大蛇か……。そして萬田警部補のとってつけた登場シーンに絶句。いつもながらヘンな作品だ。作:夢枕獏+画:谷口ジロー「神々の山嶺」。エベレストの前に深町の意識が朦朧としていく。いかに厳しい環境であるかが伝わってきて説得力抜群。さすが面白い。

【雑誌】スーパージャンプ 8/28 No.17 集英社 B5中

 村上もとか「JIN−仁−」が再開。幕末期にタイムスリップした医師・南方が、今度は難病中の難病、梅毒に挑むことになる。設備的にどうしても限られてしまう状況で薬の生成は可能なのか。骨太なドラマはやはり読みごたえがある。作:愛英史+画:里見桂「ゼロ」。電波だ……。今回はアブラハム・リンカーンの演説の中で唯一内容が記録されていない「幻の演説」を、ゼロが一言一句違わず再現するという内容。こんなんで「これが正しい」と胸を張るほうも張るほうだが、納得するほうも納得するほうだ。という具合にいつもツッコミどころ満載で、なんだかんだ毎回楽しんじゃっているような。

【雑誌】メガキューブ Volume18 コアマガジン B5平

 ほしのふうた「おにいちゃんごっこ」。ぐは、かわいい。この人の描くロリっ娘はやっぱりすごくいいわー。今回のお話は、お泊まりに来ていた妹の友達がお兄ちゃんに甘えてきてHなこともしちゃうというもの。無防備&無邪気な姿といい、甘えた後頬を赤らめる仕草といい、これはかなりクラッとくる。可愛い娘を甘やかす精神的な愉悦を十二分に感じさせてくれる。同種の魅力を持った描き手であるパニックアタックはエロなしのほうがむしろいいかと思うのだけど、ほしのふうたはエロもいい。もちろんエロがなくても良かったりするんだけど。実は子供はあまり得意でないしロリ属性はさほど強くないほうだと思うのだけど、ほしのふうた、EB110SS、パニックアタックらの最近元気がいいロリ系作家勢の作品には毎度やられてしまう。湊谷俊作「牝慰奴・淫」後編。「牝慰奴(めいど)」の資格を得るため、胸やアソコが丸見えの衣装を着けて町に出て、あらゆる快楽と羞恥に耐える修行に挑む女の子の物語。キラキラした目の描き方が印象に残る作画が魅力的な注目株。

【雑誌】カラフルコミックピュアガール 9月号 ビブロス B5平

 まず巻頭で中田ゆみが初登場。「混線弁天寮!!」。盗撮事件を経て、何かと喧嘩ばかりしていた女子寮と男子寮の寮長が仲良くなるというお話。この人らしい瑞々しくアツアツな雰囲気が楽しめる作品。井ノ本リカ子「WHITE TRUE LIE」。周囲から遮断された地下室の中で、誕生日として送られて来た言葉も通じない少女と一緒に暮らす少年の物語。うーん、やっぱりこの人の絵はきれいだ。柔らかくて色の白さが際立って。カラーページの淡くほのかな色使いも素晴らしい。上品なんだけどけっこうHでもあるというなかなか得難い作風。オオシマヒロユキ+猪原大介「unlock」は最終回。アワーズライトの休刊に伴い最終回だけカラフルコミックピュアガールに掲載という形になったので、追えていない読者もけっこう多いと思われるだけに単行本にまとまってくれるといいんだけど。なお次号はもう一つアワーズライトからの移動組である石田敦子「純粋!デート倶楽部」と、零式からの移動組、結城心一「ももえサイズ」が掲載されるとのこと。

【雑誌】キカスマ vol.7 松文館 B5平

 今号からちゆ12歳が読者コーナー「ちゆのキカスマカップ」を担当。そんでもって月刊化。掲載作品ではA・浪漫・我慢「くわがた」がやはり目を惹く。満子ちゃんの家庭環境が今回明らかになり、なぜ彼女が奔放な性行為を繰り返すようになったのかが見えてきた。満子、純、トモ、少年少女たちの割り切れない想いが切なく描かれていていい。これはいずれ単行本になったときにまとめてガーッと読み返したいな。あんみつ草「彼女が着替えた時」。ショートカットの女の子が彼氏から服をプレゼントされてすごく喜ぶもそれは実はメイド服で……というお話。女の子の初々しい反応が愛らしくていいな。


8/12(月)……不器用な武侠

▼お盆前とかゴールデンウィーク前は、増刊だなんだとやたらいっぱい雑誌が出るので読むのも書くのもタイヘン。でも増刊が多いと、いつもは見られないような作家さんの作品がいっぱい見られるのでワクワクするなー。

▼未読物
【雑誌】ヤングチャンピオン 8/27 No.17 秋田書店 B5中
【雑誌】ビジネスジャンプ 9/1 No.18 集英社 B5中
【雑誌】スーパージャンプ 8/28 No.17 集英社 B5中
【雑誌】別冊マーガレット 9月号 集英社 B5平
【雑誌】まんがタイムきらら(まんがタイムオリジナル9月号増刊) 芳文社 B5中
【雑誌】カラフルコミックピュアガール 9月号 ビブロス B5平
【雑誌】キカスマ vol.7 松文館 B5平
【単行本】「焼きたて!!ジャぱん」3巻 橋口たかし 小学館 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「バトル・ロワイアル」7巻 作:高見広春+画:田口雅之 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「Hidamari」 かにかに B5 [bk1][Amzn]
【単行本】「おんなのこ」 加賀美ふみを 平和出版 A5 [Amzn]
【単行本】「かわいいね」 加賀美ふみを 平和出版 A5 [Amzn]
【単行本】「だいすき」 加賀美ふみを 平和出版 A5 [Amzn]
▼早売り
【雑誌】コミックメガストア 10月号 コアマガジン B5平

【雑誌】ヤングマガジンGT5 8/27 講談社 B5中

 最近の山本マサユキはすごい勢いで仕事をしているなと思う。本誌と別冊とGTにすべて描いているのはこの人だけだ。しかも今回は女の子系でサービスシーンもしっかりある「香奈ちゃんとFIAT500」と、ダイナミックに車で人命救助を行う「ウニモグ救急隊」の2本立て。テイストの違う作品をどっちも面白く仕上げているのは大したもの。「ぶかつどう」の伊藤清順「フルスロットル魂 カゼキョー」は、走り屋のカゼキョーがモノスゴイ改造車を駆って婦警とともに犯罪者を追跡する。「モノスゴイ」と書いたが、なんだかロケットみたいなエンジンがついてるし横から巨大な刃が出てるし、実際外見からして一目でモノスゴイのだ。そして最後のオチも豪快極まりない。下らなくてパワフルで面白い。

【雑誌】漫戦スピリッツ 9/12 小学館 B5中

 新人競作部分は新僧譲り、吉田戦車「山田シリーズ」や榎本ナリコ「歌集」は山田x号譲りと、スピリッツの増刊二つが合併したという感じの新増刊。さすがに実績のある吉田戦車、榎本ナリコ、山口かつみといったところは安定した作品を描いている。「山田シリーズ」は山田の絶妙な話術とバイトくんの逆襲が見どころ。

 新人競作で登場したのは、赤峰亮介、爆裂Q中村好夫・松田望、山田未来、白発中也、加藤蟹郎、服部元信、まっきゅん、信濃川日出夫雄、石川貴子、小野理恵、内田健敬。この手の新人については、正直まだ洗練されてないし商業誌的に力量は不足してる人は多かったりするんだけど、それだけにその中からキラッと光る人を見つけたときの喜びは大きい。今回その喜びを最も味わわせてくれたのは信濃川日出雄「Good-Bye Sweet Memories」だ。サバけた性格で人気者な女教師あや先生と、ちょいと知恵が足りないっぽくてイジメられがちな受け持ちの男子生徒・中嶋の、ちょっと変わった触れ合いを描いた作品。まだ荒削りながらも作画には人を惹きつける魅力があるし、ドタバタしたアクションの後のガバッと爽快な見開きも印象的。中嶋が音楽を聞いてトリップしている不気味なシーンに1ページまるまる使っちゃったりとか、妙なツッパしり方も好み。なんだか開放感のある読んでて非常に気持ちいい作品だった。信濃川日出雄、覚えておこう。

 それから小野理恵「仮定教師」もなかなか。引きこもりな少年を大学に入れるべく、500万円でもって雇われた家庭教師が、乱暴だけど体当たりな方法で彼を導いていく。松本剛を思わせる絵柄は青春模様を描くのによくマッチしている。山田未来「世紀末マリア」は整った絵柄で、女児が非常に生まれにくくなった未来世界でのラブストーリーを心地よく描いている。

【雑誌】コミックビーム 9月号 エンターブレイン B5平

 表紙にデカデカとうたわれているように、吉田戦車と唐沢なをきが新連載を開始。まず吉田戦車「武侠さるかに合戦」はさるかに合戦をモチーフとして、イヤな顔イヤな性格のサルとかに娘らが怨念をぶつけ合ったりする模様。「象の怒り」に続いて、なんだかまた妙な味わいのある長編となりそう。唐沢なをき「さちことねこさま」は、頭の上に守り神のねこさまをぷわぷわ浮かばせためがねっ娘女子高生・薄氷さちこさんが主役のドタバタコメディという感じ。とりあえず今のところどんな風に展開していくのかは分からないけど、さちこさんはすごくかわいいなと思った。いい女子だ。吉田戦車、唐沢なをきともに、全盛時ほどの勢いはなくなってきて作風がずいぶん落ち着いてきちゃっている感があるけれども、それだけに懐の深いギャグを見せてくれるといいなと思う。

 一昨日シーズン増刊で読んだばかりだというのに、こんな短いスパンでまたお目にかかれるとは思っていなかった、マナベウミ「ファンタジー・ファン」。点描、カケアミを駆使したファンタジー心あふれる絵柄は尋常でなく美しい。この人は画面のクオリティだけでも相当なもんだし、描きさえすれば載っける雑誌はいっぱいありそうなんでガシガシ作品を発表していってもらいたい。とはいえ定着できるかといえばまた別問題で、どの雑誌がこの人の作風にベストマッチかなーと考えると案外難しいような気もする。福島聡「少年少女」。学校の部活では無視されていてある日問題を起こしてしまった少年が、単身自転車に乗って放浪の旅に出る。自分の実力のできることできないことを確認した彼の旅の結末は、ちょっぴり前向きな想いで締めくくられる。大きな事件は起こらないけれどもいいお話だ。

 森薫「エマ」。イギリスの階級社会の壁は厳しく。エマのような娘さんを不幸にするとはまったくファッキンだ。作:TKD+画:竹谷州史「皆殺しのマリア」。気ままな天才に魅了され巻き込まれていく平凡な人間の憂鬱。マリアははた迷惑で危険ではあろうけれども、それだけに人を惹きつけるものがあるなあ。カッコイイ。柳澤一明「真・女神転生カーン」は最終回。金平守人「カネヒラデスカ?」は、毎回いろいろ仕掛けてきて楽しいけれども、逆に「金平守人だけにどうせ何かやるんだろう」と思われちゃってるのもツラいような気はする。一度何も仕掛けない作品をやるというのも、かえって意表を衝かれていいかもしれない。

 なお、次号からは岩原裕二の新連載「いばらの王」が始まるのだが、定期購読のおまけとしてその設定資料が一部公開されている。という具合に素敵なオプションもあるので、みんなビームを定期購読しよう。

【雑誌】コミックバーズ 9月号 幻冬舎コミックス B5平

 たいへん繊細で可愛らしい絵を描くPEACH-PITが新連載。「ローゼンメイデン」。通販で怪しいモノばっかり買っているヒキコモーリの少年のもとに、インチキくさいグッズの効力でゼンマイで動く美少女の人形が送られてくる……というところからお話はスタート。なぜかその美少女人形は主人公に「下僕になれ」とかいうし、主人公のお姉さんが天然系のボケた人だったり、なんかわりとヘンなお話になりそう。達者な絵も含めて注目か。むらかわみちお「虚数霊」。シリーズ読切スタート。いろいろな想いのつまった骨董品を扱う店を経営するおねえちゃんのもとに、「自分の過去」を探しているという少年がやってくる。彼は罹災孤児で親の顔も自分の名字も知らないが、その手がかりを求めておねえちゃんが探索に乗り出すというお話。ちょっと後半の部分がバタバタしちゃってるかなという印象はあるけど、「虚数」という面白げな設定を生かしつつ作られた柔らかい雰囲気は魅力的。次回は2003年1月号に掲載予定。

 冬目景「羊のうた」は「次回クライマックス」とのことだが、この「クライマックス」という言葉が少女漫画用語と同じものであるならば「最終回」なんだけど果たして。ちなみに次回は1号おいて11月号に掲載。奥瀬サキ「Flowers」は久々の掲載。高品位な作画は相変わらず。今回は前後編のエピソードなのだが、前編だけじゃちと分かりにくいかな。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 9月増刊号 9/12 小学館 B5中

 テリー山本「田宮が来る」が最終回。なかなか面白い野球漫画だったと思う。ベテランストッパーの生き様と、彼の相棒であった若手捕手の成長物語を同時に描いた作品でけっこう読みごたえがあった。たくまる圭「オレ流忍犬タテガミ」も最終回。このページ数じゃ単行本化はちと厳しそう。本誌掲載の「未来少年ビン坊」と合わせても無理っぽいか。花輪和一「刑務所の中」。刑務所話と銃磨き話の昔話がまったく境目なく交互する構成が毎度すさまじい。きっと連載最後までいっても、なんでこういう構成になってるのかは分からないんじゃないかなあ。

【雑誌】ヤングキング 9/2 No.17 少年画報社 B5中

 やったー、中西やすひろ「愛DON’T恋」が再開!……なんて喜んでる人間は相当少ないだろうなという気がする。すっかりジゴロ化した守。なんか「ボクはだれとも恋はしない」とかいって黄昏れてます。相変わらず全然先が読めないジェットコースター的な漫画だ。花見沢Q太郎「ももいろさんご」。今日は湊が風邪ひいて三悟が看病。Hなだけでなくほのぼのとしたいいお話。小池田マヤ「聖★高校生」。いろいろあった神保と泉地だけど、結局ちゃんと友達になれたようで良かった良かった。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 8/26+9/2 No.37+38 集英社 B5平

 作:ほったゆみ+画:小畑健「ヒカルの碁」。全編カラーで23ページ。毎週高いクオリティを維持し続けてるうえに、こういう手間のかかることもちゃんとこなすあたり大したもんだなーと思う。で、今回は進藤、塔矢の両新鋭が、叩き上げの旧勢力に苦戦するというお話。ガンダムでいえばランバ・ラルvs.アムロといったところか。かずはじめ「司鬼道士 千堂寺八紘」が読切で掲載。負の感情に呑み込まれて死なない身体になってしまった「仙鬼」を鎮めることを生業としている青年を主人公とした、妖怪退治系な作品。これはやっぱり連載を睨んでるのだろうか。とりあえず読切についてはきっちり完成されてて面白く読めたけど。河下水希「いちご100%」。最近さつきちゃん株が急上昇中。普通に恋愛してるっぽくて、こちらもなかなか良い娘さんだ。まあ作品内での重みとしては東城さん>西野さん>さつきちゃんなんだろうけど。


8/11(日)……神罰高校野球選手権

▼そろそろお盆ウィークだけど、今年はまとまった夏休みをとるのは難しいかも。ヒマなときに適当に休みをとってくしかないかな。あとこの時期はよく聞かれるけど、ここ何年かコミケは行ってません。9月1日のコミティアにはたぶん。その前に仕事終わらせないといかんけど……。

【単行本】「クローン5」1〜2巻 すぎむらしんいち(相談:いとうせいこう) 講談社 B6 [bk1][Amzn:1巻/2巻

 アッパーズで連載中のすぎむらしんいち最新作。さすが。面白い。一つの受精卵を四つに分けて生まれた4人の子供たち。彼らは20歳になると死ぬようにプログラムされていたが、余命あと半年というところになって新たな人間として生まれ変わるべく一つところに集められる。そのうちの一人が主人公・忠次。それから元アイドルのアキ。引きこもりのデブオタ・たけしともう一人。集められる過程で妨害が入ったり、さまざまなトラブル続出であれよあれよと事態はごろごろ転げ回る。単行本でまとめて読むとその効き目は倍増。息もつかせぬエンターテインメントの連続といった感じで大変に面白い。とくにデブオタたけしが絡んできてから本当にいい。暴君として振る舞うたけしと、彼に使役される母親の姿は、やることが極端で笑える。この人はオタクを描かせると本当にうまいなあと思う。「スタア學園」の仲本も最高だったし。まだまだいっぱい波瀾がありそうで、今後もすごく楽しみ。

【単行本】「からくりサーカス」24巻 藤田和日郎 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

 才賀家、アンジェリーヌ、フランシーヌ、ギイとこれまであまり語られてこなかった人々の過去に迫っていく。とくにこの巻では、アンジェリーヌが人間らしいところをどんどん見せてきていて、存在感をググッと増した。しっかり最後まで見据えてお話を進めてるって感じで面白い。個人的には、全体の作りとして「うしおととら」よりも「からくりサーカス」のほうがよく出来てるなと思う。「うしおととら」は、妖怪退治モノということで登場する妖怪数を増やしていけばいくらでも長くできちゃうというところがあった。その点で少し中盤で飽きてくるというところがなくもなかったのだが、「からくりサーカス」は一貫して物語を進めるために一つひとつエピソードを積み上げていってるという手応えがある。

【単行本】「神罰」 田中圭一 イースト・プレス A5 [bk1][Amzn]

 「神罰」の神は「漫画の神様」の神。手塚治虫や本宮ひろ志といった大御所漫画家のタッチを真似て、下品なギャグをやりまくった作品集。とくに手塚タッチの習得ぶりはお見事。個人的に一番ヒットしたのはカバー裏漫画。和登さんを攻略するギャルゲー。うおー、それはちょっとやりたすぎる。それにしてもこういうのを見るにつけ、手塚治虫のペンタッチの色っぽさを痛感する。いつか全集揃えなきゃ……。

【単行本】「恋愛ジャンキー」8巻 葉月京 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 毎度華やかでいいですなあ。可愛い女の子がわんさか出てくるし、体のラインの描き方とかもすごくきれい。この巻ではエイタローってそんなに巨根だったのか……といったエピソードが印象的。あと絵夢ちゃんを巡る恋のライバルも出現。地井さんはいまいち報われない。

【単行本】「ベルパニック」 かるま龍狼 ワニマガジン A5 [bk1][Amzn]

 ヤングヒップの巻末2色4P漫画として5年以上にもわたって連載されていた作品。ベル博士という美人マッドサイエンティストに弟子入りした助手のヒカルくんが、彼女の発明品によってひどい目やHな目にあったりするドタバタギャグ漫画。ショタありロリあり巨乳あり無機物あり。カラッと明るくちょっとHで楽しい作品。やっぱりこの人はすごく器用にいろんなものを可愛くしかもHに描ける人だなあと思う。昔っから完成された絵柄だと思っていたけれど、こうして5年間の変遷を見ているとけっこう変化してるんだなあということが分かってちょっと面白かった。

【単行本】「DOLL」6巻 三原ミツカズ 祥伝社 A5 [bk1][Amzn]

 これにて最終巻。とても面白かった。人間そっくりに作られたロボット「DOLL」たちと、彼らに関わる生身の人間たちのドラマ。とくに主役格であったDOLLの違法改造業者である男と、彼が一緒に暮らしていたDOLLの物語の結末は感動的だった。人間模様としては皮肉ではあるけれども、しかし人間だって捨てたもんじゃない。残された人々やDOLLたちの幸せを願いたくなるようなきれいな締めくくり。完成度の高いいい作品でした。

【単行本】「コギャル寿司」3巻 小田原ドラゴン 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 こちらも最終巻。最後の文春漫画賞受賞作品。この巻はコギャル寿司から離れ、黒沢年子の旅が続く。ラストは意外と寂しげ。本物のコギャルとはかけ離れた不思議ワールドを展開し続けた作品で、シュールでさえあった。味わい深い作品だった。

【単行本】「TO-mA」4巻 桑原真也 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 そしてこれも最終巻。わりと本格的な超能力バトルものだったのだが、残念ながら未完。終盤のほうとか、最初は主人公のトーマと敵対していたロキュータスが彼に惹かれるようになり可愛くなってくるなど登場人物たちの存在感が増し、だんだん面白くなってただけに惜しい。


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