2003年2月中旬


2/20(木)……昼飯が占める比

▼3月の購入予定。リンク先はいつものごとくbk1の予約ページ。3月は年度末ってこともあり買うものがむちゃくちゃ多い……。とくに3月18日移行のラッシュはすさまじい。中でも毎年恒例、エンターブレインの単行本ラッシュが物凄い。福島聡×2、小池桂一×2、犬上すくね、深谷陽などなど鼻血出そうなラインナップ。でも作ってるほうは、スケジュールきつくて鼻血が出そうに違いない。何冊かは3月中には出ないと見た。あとこのほかにも、武富智×2、堀骨砕三×2、加藤伸吉、SABE、尾上龍太郎……と個人的注目株もわんさか。忙しい月になりそうだ。

3/上 知的色情 Vol.3  光彩書房
3/1 CRAFT Vol.16  大洋図書
3/4 「アイシールド21」2巻 作:稲垣理一郎+画:村田雄介 集英社
3/5 「おしゃれ手帖」5巻 長尾謙一郎 小学館
3/5 「目隠しの国」7巻 筑波さくら 白泉社
3/5 「ANNA FRIENDS」 町田ひらく コアマガジン
3/6 「樹海少年ZOO1」7巻 作:ピエール瀧+画:漫$画太郎 秋田書店
3/6 「エリートヤンキー三郎」14巻 阿部秀司 講談社
3/6 「カラコカコ〜ン」2巻 こうのこうじ 講談社
3/6 「ユキポンのお仕事」6巻 東和広 講談社
3/7 「おとぎのまちのれな」2巻 はっとりみつる 講談社
3/7 「魔女レーナマジョりーな完全版」 石田敦子 大都社
3/7 「モッちゃん 直立不動編」 尾上龍太郎 白夜書房
3/7 「イエローハーツ」2巻 米倉けんご ワニマガジン
3/7 「クローン5」3巻 すぎむらしんいち(相談:いとうせいこう) 講談社
3/7 「クローン5」4巻 すぎむらしんいち(相談:いとうせいこう) 講談社
3/8 「貧民の食卓」5巻 おおつぼマキ 新潮社
3/8 「閉暗所同好会」 堀骨砕三 三和出版
3/8 「眠狂四郎」7巻 柳川喜弘 新潮社
3/中 「OBRIGADO」 加藤伸吉 太田出版
3/中 「阿佐ヶ谷腐れ酢学園」 SABE ワニマガジン
3/10 「ARIA」2巻 天野こずえ マッグガーデン
3/13 「ななか6/17」10巻 八神健 秋田書店
3/13 「ななか6/17+ 〜八神健傑作集」 八神健 秋田書店
3/18 「金色のガッシュ!!」9巻 雷句誠 小学館
3/18 「からくりサーカス」27巻 藤田和日郎 小学館
3/18 「史上最強の弟子ケンイチ」4巻 松江名俊 小学館
3/18 「焼きたて!!ジャぱん」6巻 橋口たかし 小学館
3/19 「それでいい。」1巻 佐藤久文 集英社
3/19 「α アルファ」上巻 くらもちふさこ 集英社
3/19 「α アルファ」下巻 くらもちふさこ 集英社
3/19 「ネコの王」4巻 小野敏洋 小学館
3/19 「軍鶏」18巻 作:橋本以蔵+画:たなか亜希夫 双葉社
3/19 「西安作品集(仮)」 西安 コアマガジン
3/下 「チキタ★GUGU」4巻 TONO 朝日ソノラマ
3/下 「Penguin in B」 森山塔 フランス書院
3/下 「ワイルド7愛蔵版」7巻 望月三起也 実業之日本社
3/下 「魔法の日記」 勝川克志 ふゅーじょんぷろだくと
3/20 「ジャイアント」3巻 山田芳裕 講談社
3/20 「Big Hearts」1巻 林明輝 講談社
3/20 「Big Hearts」2巻 林明輝 講談社
3/20 「蒼天航路」27巻 王欣太 講談社
3/20 「クロ號」5巻 杉作 講談社
3/20 「サトラレ」4巻 佐藤マコト 講談社
3/20 「もっけ」2巻 熊倉隆敏 講談社
3/20 「武富智短編集 A SCENE」 武富智 集英社
3/20 「武富智短編集 B SCENE」 武富智 集英社
3/20 「キス」 橋本ライカ 河出書房新社
3/20 「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」4巻 安彦良和 角川書店
3/20 「緑の黙示録」 岡崎二郎 講談社
3/22 「家族の禁断肖像」 海明寺裕 桜桃書房
3/22 「あたしたちのこと」 ほりほねさいぞう 東京三世社
3/24 「福島聡短編集(仮)」 福島聡 エンターブレイン
3/24 「ヘブンズドア」 小池桂一 エンターブレイン
3/24 「G」 小池桂一 エンターブレイン
3/24 「空飛ぶアオイ」 福島聡 エンターブレイン
3/25 「煩悩クラス」 片岡吉乃 集英社
3/26 「耳スタジオ」 松本耳子 少年画報社
3/26 「それいけ!!ぼくらの団長ちゃん」3巻 小野寺浩二 少年画報社
3/26 「Landreaall」1巻 おがきちか スタジオDNA
3/27 「無敵看板娘」3巻 佐渡川凖 秋田書店
3/27 「バトル・ロワイアル」9巻 作:高見広春+画:田口雅之 秋田書店
3/27 「完全版野望の王国」8巻 作:雁屋哲+画:由起賢ニ 日本文芸社
3/28 「東京家族」4巻 山崎さやか 双葉社
3/28 「ホーリーランド」5巻 森恒ニ 白泉社
3/28 「野蛮の園」 西川魯介 白泉社
3/28 「星の降る音」 星逢ひろ 松文館
3/28 「健康の設計」 駕籠真太郎 東京三世社
3/29 「アフター0」10巻 岡崎二郎 小学館
3/29 「つゆダク」3巻 朔ユキ蔵 小学館
3/29 「ナンバーファイブ」3巻 松本大洋 小学館
3/29 「安住の地」2巻 山本直樹 小学館
3/29 「命+紅」 ヒロモト森一 小学館
3/31 「武侠さるかに合戦」天の巻 吉田戦車 エンターブレイン
3/31 「踊る島の昼と夜」 深谷陽 エンターブレイン
3/31 「いばらの王」1巻 岩原裕二 エンターブレイン
3/31 「想うということ」 犬上すくね エンターブレイン
3/31 「鮮紅街」 中島あつき エンターブレイン
3/31 「よみきりもの」4巻 竹本泉 エンターブレイン
3/31 「林光默作品集(仮)」 林光默 エンターブレイン

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 3/5 No.5 小学館 B5中

 福本伸行「最強伝説黒沢」。今回のサブタイトルは「昼めし」。素晴らしい! そして扉のアオリ文句の「地の底から湧き起こるような大反響!!」ってのにも笑った。内容のほうは黒沢が必死で思い付いた名案、超いじましい人気取り作戦が発動。黒沢が妄想に酔うあたりの表情なんかもう最高。笑える。でも泣ける。恐るべきレベルで間抜けかつ暗黒。

 ところで本日発売の雑誌では、水島新司が「あぶさん」と「ドカベンプロ野球編」で共に横浜ベイスターズを取り上げており、古木克明を期待の選手として扱っている。古木といえば横浜ファンが今年最も活躍を楽しみにしている期待の星。それだけに、水島先生にあまり取り上げていただくと縁起が悪……いや畏れ多いのでほどほどにしておいていただけるとありがたく。あ、あと今号には全国牛乳普及協会の牛乳PR漫画が掲載されている。以前さいとう・たかを「ゴルゴ13」でやったときは爆笑したが(そのときの感想は2001年12月10日の日記のビッグコミックの項を参照のこと)、今回は西岸良平が漫画を描いている。西岸良平らしいお話になっててこれはこれで味がある。

【雑誌】モーニング 3/6 No.12 講談社 B5中

 作:西村ミツル+画:かわすみひろし「大使閣下の料理人」。今回は公と二人っきりでホテルに泊まることになった愛がやけに色っぽい。普段の元気一杯な姿とは対照的な女っぽい表情に思わずソソられてしまう。やはりかわすみひろしの描く女性はとても魅力的だ。林明輝「Big Hearts」。今回はわりと興奮する展開。ここまでためにためてきたものを一気に爆発させる。いつもは抑えめな淡々とした絵柄だけど、今回は画面に迫力があって力感たっぷり。3月20日に1・2巻同時発売だそうだけど買っちゃおうかな。

【雑誌】ヤングサンデー 3/6 No.12 小学館 B5中

 今号は石川優吾「格闘美神 武龍」が良かった。格闘イベントにプロレス代表として出場したが、見かけだけの美人格闘家に負けなくてはならないという団体の事情を抱え、耐え忍んで来ためぐみが反撃に転じる。プロレスラーとしての意地を爆発させて、その技を観衆の前に見せつけていくシーンはカタルシスがあってけっこう感動した。石川優吾の漫画家としての技量の確かさを改めて感じた。

【雑誌】ヤングジャンプ 3/6 No.12 集英社 B5中

 一色登希彦によるバイクを題材にした読切シリーズ連載「モーティブ −原動機−」の3話めが掲載。今回はドゥカティをこよなく愛するサラリーマンと、その恋人のお話。このサラリーマンの、背広来たままドゥカティにまたがって箱根での朝練に行っちゃうような姿は楽しそうだけど、彼女のほうはそんな彼氏の趣味が理解できないのを寂しく感じていた。読後感爽やかないいお話。この人も漫画うまいなあと思う。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 3/6 No.12 秋田書店 B5平

 浜岡賢次「元祖!浦安鉄筋家族」が連載10周年突破記念としてグッズプレゼントとキャラクター人気投票付きで巻頭カラー。作品の中身のほうもけっこう特別なことをやっておりますぜ。八神健「ななか6/17」。妹・五月の気持ちに気づいてしまった嵐山が、稔ニに対して本気の勝負を挑む。そんな中、雨宮さんのセリフが切なすぎて死にそう。馬場民雄「虹色ラーメン」。かつてない強敵、ラーメンガー(適当)登場。料理漫画でこういうネタが出てくると、「お前のラーメンには人間らしい心がないんだ! ビシィィィッ!!」とかいって終わりがちだが、そういうのにはイマイチ納得がいかない。確かにこういった相手は、主人公クラスの天才的なモノを持った職人を相手にした場合は負けるかもしれない。とはいえ、凡百の職人と比べれば明らかに高品質なものを、コンスタントにお客に提供できる。それを真心だなんだで解決されてしまっても困る。どうせ作れるスープの量は限られてるからそんな大量生産する必要はないし、蒸気で錆びるからコスト的に合いまへん、とかいう結論のほうが個人的には受け入れやすい。そこらへん、どのような解を出してくるのか、ちょっと期待したい。

【雑誌】花とゆめ 3/5 No.6 白泉社 B5平

 羅川真里茂「しゃにむにGO」。伊出がテニス雑誌で紹介され、一気に知名度アップ。急速な彼の台頭を目にして、滝田、佐世古といったこれまで超然としていた感のあったキャラたちが感情をあらわにしていっている様子が面白い。整っているけど熱血でもある。樋口橘「学園アリス」。ようやく学園での学習。蜜柑は「特別能力系」というクラスで、初等部&中等部合同授業を受けることに。なんかまたいろいろ面白げなキャラクターが登場してきそう。ただ連載8回めのわりにキャラを増やしすぎかなーという印象もある。賑やかなのはいいんだけど。

【単行本】「プチクリ」 ジェームスほたて 蒼竜社 B6 [Amzn]

 最近、自分内での評価が高まってきているジェームスほたての最新刊。以前は「健康的で華やかな絵柄で、まとまりのいいごくスタンダードなエロ漫画を描く人」というイメージがあった。その持ち味自体は現在もさほど変わってなくって、ロリをやるとか鬼畜をやるとかではなく、恋愛をベースに置いて美少女がHをするという内容がメイン。そんなわけでむちゃくちゃ凄い特徴とかアクの強さがあるわけではなく、本当にフツー。それがこのところ、どんどん絵がうまくなってきた。汁ッ気が増して見るたびにエロくなってきているような気がする。何か新しいギミックを導入するとかではなく、着々と技量を伸ばし、順当に正常進化で伸びてきた人という感じがして好感を持っている。

 この単行本の作者あとがきには「いろいろな事情で単行本に入らなかった原稿」をまとめたモノであるということが書かれており、掲載時期はわりとバラバラ。古いのから新しいのまで入っている。まあそんなわけでまだあんまりエロくなってない時期のもけっこう含まれてはいるんだけど、その分、ジェームスほたてがどんなふうに進歩してきたかというのが分かる1冊になっている。近作でまとめた単行本もそのうち出してほしいところ。


2/19(水)……青幇爺

▼アイラDELUXE Vol.8が本屋さんになかったので三和出版のサイトを見てみたところ、発売は2月28日になった模様。先月も28日に延期されてたから、進行スケジュール的に通常通りの19日はつらいかなと思っていたのでまあ予想通りといえば予想通り。でもここらへんで、多少は戻しておかないと次の号もつらくなってしまうのでは。こういう発売日が不安定な状況だと探すのが面倒になるので、3月発売号のVol.9についてはAmazon.co.jpで予約しておくことにした。Vol.8は在庫切れになってて注文できず。

【雑誌】ウルトラジャンプ 3月号 集英社 B5平

 以前オールマンでやっていた、作:荒木飛呂彦+画:鬼窪浩久の「変人偏屈列伝」の最新作が掲載。70年代に一世を風靡した天才チンパンジー「オリバー君」現象を仕掛けた男、康芳夫の実録ストーリー。今回もこれまた強烈。とくにオリバーくんが人間であることを証明するため、人間の女とセックスさせようとするあたりのエピソードは、彼だけでなく相手に名乗り出た女性ともどもかなりイカれててテンションが高い。オリバー君現象は1976年らしいので、1972年生まれの自分には確たる記憶はないんだけど、これ読んでなんか興味が湧いてきてしまった。ちなみにオリバーさんは2003年現在もご存命だそうです。

 あとこのほか、今月号には桂遊生丸「Stray Sheep」、山田秋太郎「ヘキサゴン」が読切掲載。ロリロリな女の子が活躍するあさきやかい「Lilitちゃん」は扉のところに「メロリラ☆シリーズに次ぐ新シリーズ!?」と書いてあるところを見ると、続きもあったりするんだろうか。

【雑誌】月刊サンデーGX 3月号 小学館 B5平

 「机上の九龍」の青木朋の読切「墨戯仙人旅草紙」が掲載。とある田舎の町で行われた故宮博物館の宝物の展覧会場に飾られていた掛け軸の絵の部分だけが消えるという怪事件が起き、その謎に長調の孫娘と、彼女の家である老舗旅館に勤める笠という謎が多そうな下足番が迫る。上品なタッチで宝物に秘められたミステリーを丁寧に描写していく作風は好感度が高い。でもなんだかこの人の作品って、「机上の九龍」のときも思ったけどいまいち読みにくいというかお話がすんなり頭に入ってきにくいような。場面転換が頻繁で、そのつなぎがいまいちうまく行ってないような気がした。あと主人公が明確でない、物語を引っ張っていく語り手的なキャラクターが弱いといったところもあるかも。

 イダタツヒコ「美女で野獣」はアメリカンなチアガールたちとのキャットファイト後編。なんかもうハチャメチャで好き勝手やってる。明るく楽しく賑やかで面白い面白い。島本和彦「吼えろペン」では、前回に引き続き富士鷹ジュビロ先生と炎尾燃先生が子供のような意地の張り合いを繰り広げる。もしかしてこのまま定着するのか……。ところで「吼えろペン」の次のページ「ジェネックスラウンジ」というコーナーに掲載されている梁慶一の写真がかなり強烈にギラギラしたオタクルックスをしていてキッツいなと思った。

 それと今号には、こいずみまりの単行本宣伝漫画「LET IT BE!!/EXTRA VERSION」が掲載されている。そういえば今さらながらに気づいたんだけどこの作品の読み仮名って「れっついっつびー」でいいんすね。昨年5月19日に書いた2巻の感想のところで思いっ切り勘違いをブチかましていた。とても恥ずかしい。今さらながらお詫びして訂正いたします。

【雑誌】チャンピオンRED 3月号 秋田書店 B5平

 「プラレス三四郎」復活!! というわけで作:牛次郎+画:神矢みのるのコンビそのままに、新世紀のプラレス漫画「プラレスラーVAN」がスタート。正直なところを申し上げると、この連載が始まると知ったときは「どうなるんかなあ」と不安混じりだったんだけど、読んでみたらこれが面白かった。今回の主人公はお寺の住職の息子である伴雄二少年。プラレスのイベントの解説を懐かしい成田くんがやってたりして、以前のときよりもちゃんと時間は経過している。雄二の操るプラレスラーは柔王丸と似たようなタイプ。今回出てきた敵はメモリを50GB搭載、コントローラはPS oneに液晶とキーボードが付いたみたいな丸っこい奴。さすがにここらへんは以前とは比べ物にならない装備に進化している。でも重要なことはそういう細かなスペックとかではなく、プラレスラーが躍動してワクワクするようなファイトを展開してくれるということ。ちゃんと前作のスピリットは残っているし、何より絵が本当に変わってない。かなり楽しみになってきた。

 渡辺航「制服ぬいだら♪」。いつもながらにパンツを出したり着替えたり。「らびゅうう〜」とかいう独特な言葉遣いにも慣れてきた。主人公のみのりちゃんの、頭ゆるゆるな天然ぶりが見ていてとても楽しい。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 4月増刊号 少年画報社 B5中

 平野耕太「ヘルシング」外伝、ヤング・ウォルター君物語が巻頭。カッコイイ、んだけど、さすがに4か月にいっぺんくらいしか出ない増刊で16ページしかお話が進まないのは辛すぎる。小野寺浩二「妄想戦士ヤマモト」。今回のサブタイトルは「めがねっ娘教団に春が来たの巻」である。このタイトルを見た瞬間、多くの人が「こんな難儀な奴らに本当の春なんて来るわけないよな……」と思うに違いない。でもまあいちおうちょっとだけ来ます、春。そして彼らはそのちょっとの春を妄想の中で増幅する能力に秀でている。だから平気です。大石まさる「泥棒猫」。今回はマックと、彼が南の島で出会った謎の美人との短い恋の物語。この人はやっぱり女の子の裸を描くのはかなり好きなんだと思う。

 水上悟志「High Jump Rabbit」は、なんか浮かない気分で過ごしていたサラリーマンの青年が、酔っ払って帰宅する途中で道に迷ってた爺さんを助けたところ、彼から兎の顔のついた棒を脳天に授けられる。そのヘンテコなものの与えてくれた力のおかげでいろんなことがあって、青年はちょっと明日への活力を得るというお話。スッキリとした絵柄と後味の良いストーリーで読後感は爽やか。まあアイテムがちょっと唐突で説明不足なので、少し消化不良な感じはするけれども。こういう不思議系のアイテムを使うんなら、いっそ竹本泉的にもっとヘンテコリンな話にしちゃうとか、もう一工夫あったほうがいいような気はした。

 清水栄一+下口智裕の読切「凶剣」は、凄い剣の使い手で「凶剣」と呼ばれ恐れられている男が、彼に無邪気に近づいてきた姉弟たちの情にほだされ、彼らのために剣術大会に出るというストーリー。シャープでキレのいい作画と、まとまりのいい作風が印象に残る。三浦健児「魔法少女!」は、もしかして昨年の11月のコミティアで買った「しお・こしょうコミックス」というサークルの本と同じ内容かな。ちょっと現物が手許にないので細かな異同は確認してないけど、ストーリー的には同様だったと思う。そのときの感想は11月17日コミティア購入物件のページのほうを参照のこと。

【雑誌】イブニング 3月号 講談社 B5中

 第1回小林まこと大賞を受賞した、カワラニサイ「Yellow chicken live.」が掲載。これは新しく創立された賞の初回にふさわしい、なかなかの力作だった。幼いころに親と別れ祖父母によって育てられて来た大和が、一度も会ったことがなかった父親の後妻の雛子に呼び出される。父親が死んだので火葬場に同行させられることになったのだ。火葬が済んだ後、29歳という年齢のわりには子供っぽく大きな声でよく喋る雛子と会話していく中で、二人は今の自分の気持ちをハッキリと自覚していく。絵柄的にはまだ固いところはあるものの、描線は骨太でしっかりしている。人やモノをきちんと描こうとする真摯な姿勢が伝わってくる。人の感情の動きを映し出す情熱的な作風は、個人的にはかなり好ましく感じた。こういう小細工に頼らず直球勝負で行ける人は、きっかけがあればグングン伸びるんじゃないかと思う。佐藤秀峰みたいに、とは行かないかもしれないけれども期待したくなる新鋭ではある。

 佐藤マコト「サトラレ」。今回はかなりシリアスなエピソード。ロケット開発に携わっているサトラレの星野課長が、実験中の事故で意識不明の重体に。星野課長といってもピンとこないかもしれないが、しっかり者の奥さんがいて、毎年彼女の調子っぱずれなプレゼントを贈るエピソードが紹介されたあのサトラレだ。……と紹介できるのはここまでか。サトラレというものの本質に迫るエピソードではあるだけに、これ以上ネタをバラすわけにも行かない。寺沢大介「喰いタン」。相変わらず高野の食いっぷりは素晴らしい。読んでたら、無性になんか暴飲暴食したくなってきた。困る。安野モヨコ「さくらん」。華があっていいですなあ。きよ葉がまた一つ、花魁としての艶を増し、色っぽくなってきている。まさに傾城という感じ。吉田基已「恋風」。19回お見合いしたけど内気で相手をなかなか見つけられない若苗さんを、ちゃんとフォローしてあげるお兄ちゃんがなかなかいい人だなあと思った。

【雑誌】まんがくらぶオリジナル 4月号 竹書房 B5中

 小坂俊史「ハルコビヨリ」がいいですな。4コマ漫画にはうといほうだけど、この人が人気があるってのは納得できる。前作「月刊フリップ編集日誌」については、自分が以前パソコン雑誌の編集関係の仕事をやっていたので「こんな描かれ方されたらたまらん」という思いが頭をかすめて、「そういう読み方しちゃいかんな」と自省はしつつも楽しみきれないところがあった。だけど、今回は同棲しているカップルの日常コメディという普遍的な題材なので素直に楽しんで読んでいけてる。

【雑誌】週刊少年サンデー 3/5 No.12 小学館 B5平

 作:坂田信弘+画:万乗大智「DAN DOH!! Xi」。なんだ、ダンドーって気づいてて今までさんざんあんなことやってたのか……。何気にヒドい奴だな。あと子供のくせにスゲエ女殺しっぷりだ。この前、上半身裸になってたのもきっとわざとに違いない。井上和郎「美鳥の日々」。今回はセイジのところに来る前の美鳥の様子がちょっと語られる。奇抜な設定や着替えシーンに目が行きがちではあるが、恋愛モノとしての本筋もしっかり作られているのが好ましい。

【雑誌】週刊少年マガジン 3/5 No.12 講談社 B5平

 作:安童夕馬+画:朝基まさよし「クニミツの政」。学校編おしまい。主人公のクニミツが臨時で先生になってからのエピソードは、ちょっとうまく行き過ぎな感はあるものの、むしろ本題の政治編より面白かったかも。


2/18(火)……嘘無添加

評論社会長:竹下みなさん、道路横断中にはねられ死亡 東京(毎日新聞)
 「指輪物語」日本語版の版元と知られる評論社の会長・竹下みなさんが交通事故で死去されたとのこと。お名前は初めて聞く方で「指輪物語」に直接関わりがあるかどうかも存じ上げないのですが、非常に大きなものをもらった、大恩ある出版社の会長さんということで衝撃を受けました。ご冥福をお祈りします。

▼Amazon.co.jpから来たメールを見たら、「新世紀エヴァンゲリオン」DVD新版(6月25日発売予定)の予約[Amzn]が始まったとのこと。旧バージョンは持ってなかったことだし、安かったら買おうかなあと思っていたのだが、定価3万9800円の15%引きで3万3830円。うーん微妙かな。とりあえずちょっと検討してみます。なんだかAmazonでは3月6日までの期間、500タイトルを最大20%オフにするアニメフェアってのをアニメストアでやってるらしいんだが、もしかしてエヴァが15%引きになってるのもそのキャンペーンのおかげなのかな。それだと3月6日までに予約せにゃならんけど……。

【単行本】「BECK」14巻 ハロルド作石 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 えらく面白い。この巻ではアメリカツアーに出て苦戦を続けてきたBECK(モンゴリアン・チョップ・スクワッド)に竜介が戻ってきて、背水の陣的な状況の中でのアツいライブの模様から始まる。やはりメンバー全員がそろったときの彼らの爆発力は素晴らしく、米国の聴衆たちの心を一気に奪う。彼らがノッているときの演奏シーンにはゾクゾクするような高揚感があってシビれる。コユキも成長してどんどんカッコよくなってきている。それにしてもなんで、彼らがスターダムにのし上がっていく姿を見ていると、こんなに我がことのようにうれしくなってくるのだろう。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 3/4 No.5 講談社 B5中

 神崎将臣の新連載「ブルーバッグ」が開始。飛行機事故からただ一人生き残った少年、大場大。彼はその後祖父母に引き取られすくすくと成長し、現在は大学生となっている。その彼がかつての自分を思わせる追い詰められたような目つきをした同級生と出会ったことから、大きな事件に巻き込まれていく。神崎将臣らしいスペクタクルなアクションものといった感じ。小林賢太郎「鼻兎」。今回は鼻兎の新たな一面、というか特殊能力というかなんというかなものが披露される。なんかすごい兎だなあ。慌てず騒がずって感じの描き方に味がある。

 あ、あと黒田硫黄「映画に毛が3本!」が今春単行本にまとまるとのこと。わーい。

【雑誌】漫画アクション 3/4 No.9 双葉社 B5中

 滝沢聖峰の新太平洋戦記シリーズ「隼」が掲載。昭和19年北部ビルマを部隊に、陸軍航空隊の隼に登場した軍人たちのドラマを描く。兵士や戦闘機などの真に迫った描写はまさに職人芸という趣。兵器等軍事関連のことは知識がないので本当にリアルなのかは分からないんだけど、「リアルなんであろうなあ」ということは伝わってくる。あと人心の機微の描写も味わいがある。柳沢きみお「翔んだカップル21」。コンスタントに面白い。今回は真由子と実の父の触れ合いをじっくりと描写。なんだかどんどん真由子がいい娘さんぶりを発揮している。結局のところ、親の世代のほうは杉村さんとくっつくことになったわけだが、子供の世代もそっちのほうがいいんじゃないかと思えてきた。まあ親が結婚して兄妹になっちゃったのでそうもいかないけれども。押川雲太朗「ああ、猛虎軍」ではタイガースの4番といえばこの人って感じのタレントが二人登場。うねりまくり。それにしても「うねり打法」ってフレーズはイジりやすくていいよね。

【雑誌】漫画サンデー 3/4 No.8 実業之日本社 B5中

 作:ひじかた憂峰+画:松森正「湯けむりスナイパー」。今回もまたトモヨさんと君枝ちゃんがメインのお話。トモヨさんのしっかり者ぶりが今回は際立つ。落ち着いた大人の女って感じでシブい。

【雑誌】オースーパージャンプ 3月号 集英社 B5中

 本誌スーパージャンプの1/8 No.2に読切シリーズとして掲載された、宮下あきら「天下無双 〜江田島平八伝〜」が連載に昇格。もちろんあの男塾塾長・江田島平八の、若いころの姿を描いた青春物語である。目次の作者コメントを見ると「少年・江田島のキャラクターがどんどん動いていく。人物も時代設定も、とにかく楽しい作品だ。自戒も気合い入れて描くから期待してくれ!」とある。作者自身もノッている模様。というわけで今後の展開がけっこう楽しみ。

【雑誌】COMICマナ VOL.04 三和出版 B5平

 最近けっこう気に入っている。普通のH漫画をフォローするCOMICマナが出てきたおかげで、三和出版のエロ漫画雑誌は変態・SM・ハードコア路線のアイラDELUXEといい具合に住み分けができるようにった。号数を重ねるごとにCOMICマナはいい具合にメンツが増強されていていい感じになってきていると思う。そんな中で目立つのが、井ノ本リカ子、Benny’S、桂よしひろといった、以前は司書房系の雑誌をメインフィールドにしていた人たち。司書房系はこのところ、ラッツやオルカが相次いで休刊しエロ漫画系が弱まってきているので、そこらへんの作家さんがどんどん他誌に流出してきている。来月はコミックメガストアでみやびつづるが描いたりするみたいだし、ここらへんの作家さんの動向はしばらく注目といったところだろう。

 で、今号はまず井ノ本リカ子「御主人さまと私」。婚約者がすでにいる領主の一人娘に横恋慕している地主の息子さんを、身体を使って懸命にお慰めするメイド娘。健気な姿を見せつけていてちょっと切ない思慕の物語なのかなあと思っていたら。相変わらずの柔らかい絵柄にしっかり仕事のしてあるHシーン。ええ感じです。BENNY’S「ミルク♥タイム」は、夫が単身赴任中の奥さんと宅配便屋のにーちゃんのH。うひょひょ、好きな題材だ。

 ムサシマル「メイドde特殊作戦」は、北の某国から日本のサブカルチャーに詳しい若者を拉致せんと、女性工作員が送り込まれる。そしてメイドコスプレカフェで作戦開始〜。キリリとした表情、軍人調の口調のメイドさんが姿がなかなかグッド。この人はいい絵してますな。あんみつ草「うまうま2」。あっさりとした絵柄のわりに意外とエグめの内容もやってくるあんみつ草。今回はお得意の触手生物モノ。相手はガリ勉優等生なめがね娘。こんなカタブツそうな女の子も堕としてしまう触手。1本欲しい。Hなこと以外にも何かと便利そうだし(寝たまま蛍光灯のヒモを引っ張るとか)。


2/17(月)……緻密な波止場

【雑誌】ビッグコミック 3月増刊号 3/17 小学館 B5中

 オガツカヅオ「いついたるねん」。霊感体質の主婦・明日香と、彼女にとりついた少女の霊・ノエの物語もラストエピソード。生きること、死ぬことを静かに見つめ丁寧に作られた物語は味わい深く、地味な作品ながら最後までしみじみ良かった。絵的にはパッと目を引くような派手さとかはないけど、場面転換や構図取りなど、漫画的な技量もかなり高かったように思う。この作品は絶対単行本化してほしい。そして今よりももっと多くの人に、ぜひ読んでもらいたい。

 岡崎二郎の傑作SFショートショート「アフター0」が、「アフター0 Neo」として復活。今回はアームストロング船長の月着陸と、彼よりもずっと前に宇宙旅行を目指して夢やぶれたオランダ人将校の人生の記録を、鮮やかに一つの物語の中に織り込んでロマンのあるお話に仕立て上げている。相変わらずこの人のショートはいい。そしてビッグコミック本誌のNo.10(5月10日発売号)からは、「アフター0 Neo」が隔号連載になるとのこと。これはうれしい。

 森秀樹の読切「戦国の少女」は、戦乱の世で零落しながらも誇り高く生きた、とある武将の子供たちの物語。森秀樹らしく絵、ストーリーともにガッシリ骨太。しっかり面白い。で、最終ページの柱のところに「森秀樹氏の次回作は夢の大プロジェクト!!詳しくは3月10日発売のビッグコミックにて発表!!」とある。その時期で大プロジェクトってことはひょっとして「鉄腕アトム」がらみかな?

【雑誌】ヤングマガジン 3/3 No.12 講談社 B5中

 安野モヨコ「花とみつばち」。彼女ができたらできたでまたしても悩みまくりな小松。なんだかんだでしっかり読ます。安定して面白い。作:チャーリー☆正+画:木山道明「おっぱいジョッキー」。今回のミキが全裸で馬にまたがっている図柄の扉ページを見たら、性的興奮とはたぶん違う、デスエロスでもなさそうな、なんとも形容しがたい気持ちに包まれた。安居酒屋の唐揚げを噛み締めて油がじょわじょわーっと染み出してきたときのような得もいわれぬ感触。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 3/3 No.12 小学館 B5中

 木葉功一の新連載「マリオガン」がスタート。明るくて人が良くて誰からも好かれる美少年マリオ。しかし彼は気づき始めていた。自分の中に、何か得体の知れない凶暴なもう一人の自分が眠っていることに……。作品世界は、アメリカが核兵器によって壊滅し、世界秩序はぐっちゃぐちゃの混沌状態になってきている。そんな中、日本の子供たちも中学校入学とともに自分の将来のコースを選択しなければならず、個々人の強さが求められるようになっている。そんな中で、マリオはどのように生きていくのか……といった具合。最初のシーンから何か機械と人間が渾然一体となった超人類的なモノが登場しているし、かなりデッカい話になりそう。次の展開にも期待。

 で、この「マリオガン」もそうだけど、最近のスピリッツは作品の物語性を強める方向で来ているように見受けられる。三宅乱丈「ペット」、浦沢直樹「20世紀少年」、玉井雪雄「オメガトライブ」と、かなりスケールのデカい作品が揃ってきた。このほかにも古屋兎丸「π」、コージィ城倉「ティーンズブルース」、山本康人「正義の味方モンキーズ」など、アクの強い作品も多い。そのおかげで読みごたえがものすごくある。正直週刊誌としてはちょっと読みごたえありすぎなくらいだと思う。まあこういうギッチギチな作りというのは嫌いじゃないので別に構わないのだけど、一般受けを考えるとサラッと読めるスポーツモノとかの割合をもう少し増やしてもいいんじゃないかなあという気もする。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 3/3 No.12 集英社 B5平

 作:稲垣理一郎+画:村田雄介「アイシールド21」。今回はキャッチングの才能が見込まれて野球部から転入してきたモン太の見せ場。スピード感も力感も十分でカッコイイ。描写にキレがあるので痛快爽快。パスが風邪を切り裂いて飛んで行くシーン、相手が思いっ切り腕を伸ばしてそれをインターセプトしに行くシーンなど、見せ方もダイナミック。いいねえ。好調。作:ほったゆみ+画:小畑健「ヒカルの碁」。進藤のギリギリでの粘り。先週に引き続き、前半はスピード感のあるシーンが展開されていて胸踊る。あと倉田が韓国戦に向けて決定した戦略はいいと思った。3対3の団体戦なんだからそうするのが賢い判断でしょう。

【雑誌】キカスマ Vol.13 松文館 B5平

 昨年4月発売号のVol.5で銃漫と合併してリニューアルしたこの雑誌だが、また次号でリニューアルがかかるらしい。いちおう作家陣はこれまでと同様だが、誌名が「キカスマDX」になり発売日も月末に移行。リニューアル第1号の発売日は3月28日。「アンソロジータイプのコミックスに!」ってことは、A5判の単行本サイズになるのかな? それだとアイラ→アイラDELUXEと同じルートということになるけど。個人的にはA5判の単行本形状だと、現在のB5平とじよりもさらに切り抜きがしにくくなるからあんまりうれしくないなあ……。

 さて今号。巻頭カラーはLINDA「真実 ホントノトコロ」。お見合いで今の旦那さんと結婚した若奥様が、その後も昔の男につきまとわれ、結婚前のころにしていたようなハードな乱交を再び強要される。そんでもってそのシーンをビデオに撮られ、夫にも見られて、自分の淫乱な性癖を露呈することになる……というお話。あらすじからも分かるとおり、若い人妻をさんざっぱら犯し抜く展開で、LINDAらしい熟した女体描写などたいへん濃いエロエロな世界を見せつけている。ただもう少しストーリー的なふくらみはあってほしいところではある。そりゃまあステロタイプなシチュエーションだから、コアな部分だけ抜いてきても分かることは分かる。だけど、やっぱりもう少し人妻を堕とすまでの過程が昔の男との再会あたりから段階を踏んで描かれたほうが精神的にエロいと思うんす。LINDAの絵はたしかにエロシーンだけでも十分勝負できるレベルにはあるが、それをさらに生かす工夫があるとより効果を発揮するのではなかろうかと。TYPE.90「ああ、七瀬さま」。生徒会長の女の子が部の存続をかけて柔道部OBとセックス勝負するというお話。野球のボールを何個もつっこまれてお腹の形状がボコボコになっちゃうシーンが強烈に刺激的。

【雑誌】コミックメガストア 4月号 コアマガジン B5平

 月野定規「妄想ダイアリーEX 〜はじめてのおるすばん〜」後編。いやーいいねえ。お兄ちゃんとHするという妄想を日記につけつづけていた妹がそれを発見されてしまい、さんざん妄想していたことが現実のものに。というわけでやりまくり兄妹カップルのおはなしシリーズ。今回はタイトルどおり、親が外出し兄妹二人っきりのおるすばん編の後編。そりゃあもうやりまくりなわけですが、これがいい。二人とも馬鹿っぽいけどアッツアツ。月野定規の描くキャラは感情がしっかり顔に出るのがいい。はにかんで顔を赤らめてるところとか、エロいことしてるときの頭ぶっとんで脳味噌トロけてるところとか。こういうキャラクターたちは見ててやっぱり楽しい。

 来鈍「御家庭の快楽」。この人の絵は女体が非常にもちもちした質感を持ってるのがいいと思う。スタイリッシュな萌え絵だけど、女体はしっとりひたひたと吸いついてくるように描けていていやらしい。國津武士「Empress!!」。今回も微笑ましく楽しいなあ。ロリロリな女帝ちゃん二人に見初められてしまった主人公。今回は彼女たちに挟まれていいようにもみくちゃにされております。わりとガッツンガッツンなハードコアな作品が多い本誌の中で、こういうぷにぷに可愛い作品はアクセントとしてもいい感じで機能しているように思う。

【雑誌】コットンコミック 4月号 東京三世社 B5中

 おお、渡辺ヒデユキ「SASEMAN」の未単行本化シリーズが電子書店パピレスDMMでダウンロード販売されているらしい。……でも60〜80ページ程度のPDFファイルで1000円かー。それはちょっと手が出しづらい。とはいえ今さら10年以上にもわたる未収録分が単行本化される望みはないし。うーむ。

 すけきよ「眠れない夜」。最近のコットンコミックはエロ抑えめな作品が増えて来つつあるような感じではあるんだけど、この作品もそう。一人暮らしの男子の部屋に、終電を逃した以前のバイト先の先輩である女性が泊めてといってやってくるというお話。もう「やっちゃえ〜」というシチュエーションなのにやらない。でも脱ぐ。人が良さそうな顔つきの先輩がなかなか可愛くて、直接的なシーンがなくてもこれはこれでいいなと思った。


2/16(日)……末子緩む

▼Amazon.co.jpで予約しておいた「オーバーマン キングゲイナー」のDVD、Volume.1/Volume.2が到着。なんかDVD2枚にしちゃやけに梱包がデカいなと思ったら、初回特典分だったようで全巻収納ボックスとかが付属していた。Volume.1が1〜2話、Volume.2からは3〜5話が収録で、それぞれ5000円と6000円。ということは全26話が9巻で4万5000円になるわけか。やっぱアニメのDVDってたっかいよなー。

 なお、TV放送のほうは21話「オーバーマンの闇」まで観た。お話はだいぶクライマックスに近づいてきてて内容的には面白かったが、作画とか動きの面では今回もいまいちだったかな。まあ17〜18話あたりよりは崩れは少ないのだけど。まあなんにせよ残りはあと5話。ここからはラストスパートで、ギッチギチに気合い入ったものを見せてもらいたい。

▼ずっと懸案だったエロ漫画書庫をちょっと整理。これまでは部屋に備え付けてある押入れ的なクローゼットの中に、150cm×60cmの本棚と90cm×60cmのカラーボックスを入れてそこにエロ漫画単行本をまとめていたのだが、その程度では本が収まり切るわけもなく、あふれた本がなんだかたいへんな状態になっていたのだった。そこで今回はここにキャスター付きのワイヤーシェルフを持ち込んで増強。まだ完全に整理が付いたわけではないけど、ワイヤーシェルフを動かせばスライド書棚みたいな感じで奥のほうの棚にもアクセスできる状態にはなった。まあそれもどのくらいもつかは分からないんだけど。で、ついでに雑誌のほうも少しキリヌキ作業。なんか最近のエロ漫画雑誌は平とじのものが多いので手間がかかる……。

【単行本】「MUSHROOM」 森山塔 フランス書院 B6 [bk1][Amzn]

 旧作の再録単行本。えーとここらへんの作品が収録された単行本って持ってたっけかなあ……。森山塔の単行本はいろんなバージョンが出てるので、記憶があやふやになっている。で、いちおう調べてみたところ、どうも「ラフ&レディ」「キはキノコのキ」に収録されていた作品で構成されている模様。

 で、この本で一番の注目はやっぱり「大密林のおかず」「デマコーヴァ」かなと思う。アマゾンに修学旅行に行った学校の生徒や先生たちが、土人に惨殺されたりアマゾンの未知の生き物にとりつかれたり、といったお話。土人が女子高生を喰らうシーンで、目玉をスマートボール、アバラ骨をコルセット、皮膚をランプシェードといった具合の人食い人種ならではの人体活用法を紹介しつつ「女の子ってすてる所がないんだね」と一言。その後も女子高生が奇怪な植物の種子を植え付けられたりと過激な描写が続く。でも森山塔のスタンスは至ってクール。これはカッコイイ。

 今となっては駕籠真太郎や氏賀Y太みたいな悪趣味な作品はいろいろ見られるようになったけど、これが描かれたのって1980年代前半だったっけか、正確な年数は知らないけどそのあたり。美少女のHで抜こうとしてこの作品を読んだ当時の青少年には、トラウマになったであろうことは想像に難くない。また美少女H漫画がちゃんと立ち上がっていなかった(んだと思う。リアルタイムでエロ雑誌とか見てたわけでないのでよく知らない)ころにこういう作品をモノにしてというのはやはり天才の技であろうなと思う。実際に伝説的なものとして時折タイトルは聞く作品なんで、美少女漫画の歴史を押さえておきたいという人は読んでおくとよろしいかと。……という意味合いもあるので、初出データは記載しておいてほしかったなあ。

▼収録作品
「転校生」「シェルタープラン」「明日なき暴走」「情熱」「大密林のおかず」「デマコーヴァ」「キはキノコのキ」「よい子の日記」

【単行本】「猫のゆりかご」 あるまじろう フランス書院 B6 [bk1][Amzn]

 あれ? B6版コミックスだからてっきり旧作の再版かと思ってたけど、コレってもしかしてまったくの新刊かな。確かこの人って「Happy End」(フランス書院)しか単行本出てなかったと思うのだけど、確認してみたらダブり作品はないようだった。内容のほうはこの人独特の、スッキリと清潔感のある絵柄を生かした、ちょっとセンチメンタルだったりほのぼのしていたりするH漫画が集められている。そのどれも絵柄そのままにキレ味があって、サイダーみたいにシュワッと後味爽やかなのが特徴。この本の中では、とある少年が家出しようとしていたクラスメートの少女と出会い、学校では見られなかった彼女の素の姿を目にし、心を寄せる……という表題作「猫のゆりかご」がやっぱり一番いい出来かなと思った。甘く爽やかで、そしてほろ苦さもあり。ラストを前向きに締めくくってくれたのも好感が持てる。最近は小説とかの挿絵などをやってるようだけど、美しい絵柄には独自の味があるだけに、漫画のほうでももっと活躍してほしいところ。

▼収録作品
「アパートのガキ貸します」「ドレミのうた」「恋人よ帰れ!わが胸に」「猫のゆりかご」「Blue de HAPPY」「素晴らしき放浪者」「それは外宇宙からやってきた」「危(ヤバ)いことなら 銭になる!」「亀乃湯繁昌記」「ナミダ君さよなら」「ごっこ」


2/15(土)……巨海蟻

ダイソー ポーチ・99 ▼昨日書いたデジカメ、Optio 330GS用にポーチを購入。といってもお値段は100円。ダイソーで売ってるポーチ・99という商品名の小物入れである。写真ではデジカメがちと顔を覗かせているけど、実際はだいたいスッポリ入るピッタリサイズ。いちおう予備メディアくらいは入りそうなサブポケットが付いてるし、ベルト通しもある。クッションもそこそこ利いてるし悪くない。たぶん150〜200gくらいのコンパクトデジカメだったら使える機種はけっこう多いと思われる。ダイソーの売場にはほかにもデジカメに良さげな小物入れがいくつか置いてあって、なかなか使えそうな感じだった。それにしても最近はこういうものも100円均一で間に合っちゃうようになったんだなあ。デフレがスパイらるわけだ。

【雑誌】ビジネスジャンプ 3/1 No.6 集英社 B5中

 作:夢枕獏+画:谷口ジロー「神々の山嶺」。本当に素晴らしい。原作のストーリーのほうもいいんだろうけれども、谷口ジローの精密で揺るぎない作画にそれをしっかり受け止めるだけの力がある。今回の最終ページで引用された、マロリーとアーヴィンの最後の目撃者となったN・E・オデルの手記の引用のあたりとか読んでたら、本当にジーンと来た。感動した。それにしても谷口ジロー作品はクオリティに波がない。今回も素晴らしかったが、それが別に珍しいことでないというのは凄すぎる。

【雑誌】近代麻雀 3/15 Vol.433 竹書房 B5中

 おおつぼマキの新連載「貧民の雀卓 〜フリー雀荘で¥600円/G稼ぐ方法〜」(作:福地誠)がスタート。このタイトルはコミックバンチで連載されていた「貧民の食卓」を意識したもの。といってもキャラクターはさすがに別で、要は雀荘でセコセコと立ち回って小金をゲットしていくための打法を紹介する作品であるようだ。麻雀漫画には意外となかった視点だけにけっこう面白くなるかも。「金券ショップで図書券買って差額分お得〜」といった感じのチマチマしたテクニックともいえるので、実際に自分でやるとなるとショボショボした気分になるかもしれないが、作品のほうは非常に気楽に読めるところがおおつぼマキらしいところ。ちなみに連載のほうは、金がなくてピーピーいってる22歳のフリーター青年が、脳内の使われてない部分が生み出した美少女の幻影とかけ合い漫才みたいなことしながら麻雀やっていくという感じ。幻影相手なのにセックスまでできちゃうというあたりがなんか適当でよろしいなと思う。

【雑誌】ラブマニ 3月号 平和出版 B5平

 表紙に駕籠真太郎の名前があるけど漫画は載ってない。で、今号は加賀美ふみを「DREAM FITTER03」と、翻田亜流「キョウミアリ」の、ほのぼのラブラブHもの2作品が良かったと思う。どちらもソフトタッチでたいへんキュートな口当たりの良い絵で、女の子が意外と恥ずかしいことしちゃって、でも鬼畜とかではなくほのぼのと後味良く締めくくる。どちらも登場カップルのアツアツさに当てられるようなところがよろしいです。ぺるそな「よばれたの…」。なんとなく扉が小川甘藍チックなテイストだなとか思った。この人はエロ劇画調なハードなエロもOKだし、いかにも美少女漫画チックな作品でも描きこなす。しかもどの作品読んでも内容は一定レベル以上をクリア。本当に器用な人だ。


2/14(金)……新・鉄の乙女

▼この1か月くらいデジカメ買いたい欲に取りつかれていて製品選びにすごく悩んでいた。このデジカメ買いたい欲は1〜2年にいっぺんくらいやってくるのだが、ここしばらくはおもちゃデジカメややたらゴッツい奴といったクセの強い製品にばかり目が行っていて、日常的に使えるような製品を買ってなかった。で、今回は毎日持ち歩いて思いついたときにパッと使えるようなコンパクトな製品が欲しくなってきてしまったのだ。とはいえ実際のところデジカメというのはしばらくすると飽きるものだし、それなりのスペックのものでないと使わなくなることは目に見えている。というわけで飽きてしまった後でも、ふとした拍子に思い出したように引っ張り出してきてそこそこ使えそうな用途の広いものが望ましいと考えた。そこで光学3倍ズームと200万画素以上、200g台前半以下くらいならばわりと長く使えそうかなと考えて、その条件に合うものをいろいろ検討してみた。

 で、途中ミノルタ DiMAGE Xiみたいな超軽量のズーム機や、それよりはちょっと重いけど動画も撮れるし使い勝手も良さそうな三洋電機 DSC-MZ3を軸にいろいろ悩みまくったのだが、結局選んだのは最初はまったく考えてもいなかったPENTAX Optio 330GS。選んだ理由は安かったから。320万画素で3倍ズーム、そこそこコンパクトということで、スペック的にはこのクラスの製品としてはもう普通も普通。とくに目立った特徴のない地味なデジカメだ。あまりにもヒキとなる特徴がないので売れなかったから安くなってるんではなかろうかとか推測してみたりもした。出てからまだ4か月ちょいだというのに価格.comでの最安値は早くも3万円を割り込んでいる。これに加え、電池が単3×2なので自宅と会社に充電器がすでにあり、コンパクトフラッシュも手持ちのものがあるのでメディアなどへの追加投資が必要ない。飽きるかもしれないという前提で製品選びをしているので、追加投資はできるだけしたくなかったのだ。

 でもいちおうネットでいくつか検索してみたところ、評判は悪くない。メニュー画面のインタフェースは良好でマニュアル見ないでも一通り使えたし、スペック的にも過不足ない。200g以下のコンパクトデジカメだと最近は専用電池のものが多いので、案外貴重な機種なのかもしれない。画質については、ちょっとだけ室内で使ってみたが若干ノイジーに思えるし、手ブレもしやすいかなという印象。でもまあシビアに画質を要求してるわけでもないし……。とりあえず常時持ち歩いて、適当にいろいろ遊んでみたいと思う。

【雑誌】ヤングアニマル 2/28 No.4 白泉社 B5中

 短期集中連載だった川島よしおのOLモノ4コマ「くじごじ」が今号から連載化。このままアニマル系に定着するのかなあ。とりあえず雑誌カラーには合ってると思うし手堅い箸休めになれるタイプの作風なので、よろしいんではないかと。西川秀明「職業・殺し屋。」は増刊枠のヤングアニマル嵐から出張。エロが濃い、邪悪系な必殺仕事人。やっぱちょっと味付けが濃い目過ぎるし電車の中で読むにはエロ度が高すぎなので、増刊枠程度に止めておいたほうがいいような気はするなあ。あと単行本のときも書いたけど、殺し方が比較的アッサリしているのが少し物足りない。

 宮野ともちか「ゆびさきミルクティー」。女装趣味な少年と彼の妹分のひだりちゃん、同級生の黒川さんと三角関係が濃密に進行中。男心へのキラーパスを連発。なんかもうやりすぎなくらいに、甘さ切なさをどんどん募らせていっている。好調といってよろしいでしょう。そのほかのトピックとしては柴田ヨクサル「エアマスター」が4月からテレビアニメ化。それから作:蘭佳代子+画:かたやままこと「プロフェッショナル・スチュワーです!!」が次号から連載再開。これは意外だった。もしかしてけっこう人気あったんだろうか。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 2/28 No.5 小学館 B5中

 作:大西祥平+画:高橋のぼる「警視正大門寺さくら子」。今回はさくら子の表情がすごい。「とうふッとうふッ」と頭の中で念じているときの顔の歪みっぷりなんか邪悪そのもの。あとその直後のど派手極まりない恥ずかしいファッションにも笑った。まったく高橋のぼるのキャラクター作りは個性的すぎる。天晴れ。東陽片岡「お三十路の町」。なんとグチ聞き屋にライバルが出現。こんな特殊なことをする人間がほかにいるとは。しかしこういう商売が成り立ってしまう東陽片岡世界は、すごく居心地良さげでちょっと憧れる。

【雑誌】コミックバンチ 2/28 No.11 新潮社 B5中

 第2回世界漫画愛読者大賞のエントリー作3本め、作:茜色雲丸+画:KU・SA・KA・BE「摩虎羅」が掲載。これはけっこう面白かった。人間がほとんどいなくなり、魔物たちが地上の支配者である時代が舞台。主人公の摩虎羅は人間の女闘士であり、見世物として闘技場で巨人族の戦士らと闘わされることになる。というわけで彼女の闘いを描いたバイオレンスアクションもの。ハッタリが利いてるし、絵についても力強くて完成度が高め。第2回め組の中では今のところ一番いいかも。

【単行本】「ORANGE」7巻 能田達規 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 堅調に面白い。今回はムサシが代表に取られてコジローが奮闘したと思ったら、そのコジローが怪我をしてムサシがその不在の穴を埋めたりと、なかなかオレンジの両輪が揃わない展開。一筋縄では行かないプロサッカーの一部リーグ昇格の道程を、さまざまなドラマを埋め込みつつ描いている。この作品で素晴らしいなあと思うのは、ドラマ作りの切り口が豊富なこと。個人技とチームプレー、けが人が出たときのリカバリー、若手やベテラン、それから外国人との調和などなどが描かれてきて、ここで代表とクラブチームという問題も浮上。さらには資金繰りや地元のバックアップ、サポーターたちの想い……という具合にチーム運営に関するグラウンド外の動きも描いている。そういったディティールがしっかりしているので物語にも厚みが増そうというもの。今後は昇格を賭けてさらに熱く展開していくのだろう。とくに最後の3試合あたりになりギリギリの勝ち点勝負となってきたときに、どんなドラマを見せてくれるのか、とても楽しみ。

【単行本】「天使のおつとめ」1〜2巻 ながしま超助 双葉社 B6 [bk1][Amzn:1巻/2巻

 女ばかりの修道院においても、とくに色っぽさが際立つシスターのマリアンが主人公。念のために書いておくと舞台は現代日本で、マリアンも日本人。で、このマリアンは実は代々色情狂的な女ばかりを生み出す家の娘で、実家の家族たちの乱行ぶりに嫌気が指して修道院に入っていたのであった。でもマリアンにも痴女の血は色濃く流れており、そのフェロモンふりまきまくりな肉体で病める現代の男たちを次々と救済していくのであった……というお話。

 あらすじを見ただけでも分かるだろうが、内容はとにかく軽い。ながしま超助らしいあっけらか〜んとした馬鹿エロスワールドが展開される。修道院院長の服はなぜか乳首浮きまくりだし、そもそもマリアンの初登場シーンからしてパンツもろ見えのボディコン姿だ。そしてほとんどの話は、要約すると「イッパツ抜いてスッキリすれば救われちゃう〜」という感じ。ものすごく頭悪いんだけど、本当に素で描いてるんだなあということがうかがわれる、スコーンとした突き抜けっぷりを発揮している。でも比較してみると、「ジェット上司」などの近作のほうがハジケてて面白いかな。この人は「エロ」をやろうとしているときよりも、「スケベ」をやろうとしているときのほうが面白いような気がする。なんとなくだけど。


2/13(木)……ハメ込む推理

▼未読物
【単行本】「天使のおつとめ」1〜2巻 ながしま超助 双葉社 B6 [bk1][Amzn:1巻/2巻

【雑誌】モーニング 2/27 No.11 講談社 B5中

 佐藤マコトが「サトラレ」の前に描いた4作目の作品「箱入り娘」が掲載。生まれつき障害を抱えていた脳を身体と分離し、コンピュータの中の仮想空間で暮らしてきた少女・ヤヨイ。そんな彼女の思念に、天才的なプログラマの健一がアクセスし、外の世界のことを内緒で教え始めたことから起こった出来事を描く。64ページと読切としては長尺の作品ながら、描きたいことがいっぱいに詰め込まれているので、パッと読んですぐに理解はしにくかったりはする。実際にコマも小さいし。ただ、その読みにくさを補って余りある面白さが確かにある。健一、ヤヨイ、それから腕利きのオペレータで健一のことを気に入る清水京子とキャラの魅力は十分。肉体は機能しておらずコンピュータ内でしかアクセスできないヤヨイは人間といえるのか、それともコンピュータなのか。テーマ的にもけっこう深いし、一歩一歩進むお話は読みごたえがある。ちょっとサトラレにつながるような描写も出てきたりするし、ネタ的にいろいろおいしいものが含まれている栄養価の高い作品。単行本1巻分くらいのボリュームくらいに膨らませてみても面白いかもしれない。

 それから今号はもう一つ読切で注目作品が。渡辺大樹「リーマンスカイハイ」。第13回MANGA OPENで大賞を受賞した作品。昔スタントマンをやっていたが足を洗ったサラリーマン・川瀧が、たった1回という条件で、尊敬していた先輩が失敗して死亡したスタントに挑む。会社をリストラされそうな状況だが、妻は出産を控えており金がどうしても必要。でも失敗したら金どころの話じゃない。家庭人としての自分と、かつてスタントに賭けた自分、そして先輩の死にまだ割り切れぬものを残している自分との間で、男は揺れる。ちゃんと自分の絵を持ってるし、しっかりお話をまとめて後味良く仕立てる腕前も上々。漫画を描くのに必要と思われるいくつかの能力のうち、どれか一つが爆発的に優れているというタイプではないものの、どの能力も過不足なく備わっているという感じ。

【雑誌】ヤングサンデー 2/27 No.11 小学館 B5中

 北崎拓「なんてっ探偵アイドル」。トリコロールの新しいライバルは、まるで夢幻のごとき美少女だった。とかいう微妙な表現でネタバレを避ける私。なんとなくイメージ的には、宮崎美子って感じでしょうか。古くてすんません。最近のアイドルって知らないもんで……。

【雑誌】ヤングジャンプ 2/27 No.11 集英社 B5中

 尾玉なみえの読切「昆虫大作戦インセクトS」が掲載。相変わらずいい感じでじんわり面白い。カブトムシのダイゴロー、蝶のモンロー、バッタのサブ、ゲブラムシのツトムらが見せる昆虫の生活を意気揚々と描く「昆虫賛歌」な模様。尾玉なみえの描く漫画は、なんといってもキャラクターの表情が抜群にいいと思う。しつこい口元、不思議な目つき、ぴくぴく動く鼻の穴などなどなんとも形容しがたい。顔ギャグというのは一見ズルっぽいように映るかもしれないが、ギャグ漫画では外せない要素だと思う。それから会話のリズムや、言葉選びのセンスも非常に独特。登場人物の正確が歪んでいるのをあけすけに描いちゃうのもいい。こういうギャグの面白みは言葉で説明するのは難しい。まあ言葉で説明できるなら漫画で読む必要はないわけで。とにかくこの不思議なノリは一つの財産。再登場も激しく希望。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 2/27 No.11 秋田書店 B5

 今週号の表紙は八神健「ななか6/17」で雨宮さんがかわいい。たぶん嵐山の妹・五月のネタはそのうち来るのだろうなあと思っていたがやはり来た。あと今回は、雨宮さんのいかにも幸せそうな表情が心に沁みる。山本賢治の新連載「カオシックルーン」は巻頭カラーで連載スタート。飛行機事故からたった一人生き残った少年が、その人間の力に応じたモンスターをカードから呼び出して闘う、オカルト+カードバトルといった趣のアクションもの。雰囲気としてはかなり「デビルマン」な感じ? 主人公リョウガの目つきは不動明みたいなところがあるし、カイムっぽい姿形のモンスターも出てくるし。作:森高夕次+画:松島幸太郎「ショー★バン」では、満を持してショーバンが登板。多少成長の跡は見えるものの、野手に「また小沢の”お山の大将野球”が始まったかな??」とかいわれてるのに思わず笑ってしまった。まあ上を目指そうってピッチャーは、このくらい自分勝手なほうがよろしいんではないかと思います。

【雑誌】ネムキ 3月号 朝日ソノラマ A5平

 伊藤潤二「グリセリド−あぶら−」。いや〜怖い、というか気持ち悪い。主人公の少女の家は、父親が経営している焼肉屋の2階。そんな条件のため店から漂ってくる脂ぎった空気が常に充満し、壁といわず柱といわず、家の至るところが脂でギトギト。そんな中で暮らすうちに、彼女の兄がまずサラダ油を一気飲みするような、強烈な油人間となっていく。彼の描写がなんといっても不気味。陰湿な表情と、そのイヤさ加減に輪をかけるヌラついた油分。そして終盤の畳みかけるような油アタックに慄然とする。この人よくこんなこと考えつくよなー。相変わらず凄い。諸星大二郎「栞と紙魚子 魔術」。今回は珍しく普通にホラーっぽい。栞たちの学校の美術部員が描いた、悪魔的な獣が描かれた絵と、その魔術にとらわれた生徒たちの物語。いつもみたいな呑気な展開ではないけど、たまにはこういうシリアスなのもいいかな。

【雑誌】別冊マーガレット 3月号 集英社 B5平

 中原アヤ「ラブ★コン」。本当に隙がなく、コンスタントに面白いラブコメ。普通の生活シーン自体も賑やかで微笑ましいし、恋心の描き方も気持ちがいい。しかも健全。こういう安定株があると雑誌的には強いですな。河原和音「先生!」も面白かった。伊藤先生と響のほうが収まるべきところに収まったと思ったら、今度は千草と渚のほうに一波乱。少女漫画を読み始めたころは、この人の作品ってセリフがやたら多くてすげー読みにくいと思ってたんだけど、最近はずいぶん慣れた。というか明らかに画面的にも整理されて読みやすくなってると思う。そろそろこの作品にも一区切りつけて、新たな連載を始めてほしいような気もする。


2/12(水)……フッと去る

▼2月23日開催のコミティア63のカタログを入手。今回はいくつかの漫画雑誌の編集部が出張してきて持ち込み用窓口を開設するそうだ。カタログでも告知されているコミックビーム、ヤングキング、ヤングキングアワーズ、キングダム、ヤングコミック、コミックバンチ、コミック電撃大王、デザート、恋愛宣言ピンキッシュに加え、マンガ・エフ、マンガ・エロティクスFの参加も決定したとのこと。なんか一杯来るんですな。

【雑誌】コミックビーム 3月号 エンターブレイン B5平

 鮪オーケストラの読切「包帯ムスタング」が掲載。荒削りといったらこの人くらい荒削りな人もあんまりいないと思う。このお話は、とあるフィギュアマニアの青年が、幻の特撮ヒーロー「包帯ムスタング」の「生フィギュア」を購入するところから始まる。フィギュアのくせに生って何? そして包帯ムスタングとはどんなヒーローなのか。それはこの作品の中で語られるからネタバレはしないでおくけど、お話はパワフルで爆発力があって強烈にヘン。これくらいヘンなことしてくれるといっそ痛快でさえある。いやー、やっぱこの人いいわ。須田信太郎「ウルティモ・スーパースター」。大団体のイベントに乱入したるちゃの面々が、ショービジネスの世知辛い内幕を見せつけられて意気消沈する。でもそこは立ち直りの早い彼らのこと。思いもよらぬ反撃を仕掛ける。ハチャメチャに規格外な面々を描きつつも、全体としては人情味があふれている。須田信太郎の作品には、人間らしい暖かい血が通っている。いいねえ。

 志村貴子「放浪息子」。好調ですな。修一と同じクラスの女の子、高槻よしのさんが男装。そんなことをやっているうちにも、修一少年の女装への憧れはどんどん高じてきている。とある一線を踏み越えるか踏み越えないか、そのギリギリのあたりはふらふらしている状態がとても興味深い。といってもあんまり倒錯や耽美に偏るでなく、淡々と気持ち良く読ませちゃうあたりは志村貴子独特の呼吸だなと思う。森薫「エマ」。汽車でロンドンを去るエマに新しい出会い。今度出会った人物もなかなか魅力的で、エマの生活に新風を吹き込みそう。考えてみるとこの時代だと携帯電話とかあるわけじゃないから、いったん眼前から消えてしまった元メイドさんと連絡をとるなんてすごく難しいことなんだよな。というわけでどうするウィリアム。再会しないままでも、それはそれでこの時代のイギリスっぽい感じがしていいかもなと思ったりもした。

 岩原裕二「いばらの王」は表紙&巻頭カラー。この人のセルっぽい塗りはとても滑らかな質感があってパッと目を惹く。本編のほうもダイナミックに動いている。唐沢なをき「さちことねこさま」。バレンタイン・デー話。なんかさちこがすごくカワイイんですが。唐沢ギャルはやっぱり萌え度高いですよ。この人が本気で萌え漫画を描いたらいったいどうなるのかー……ってもしかしてこれってそういう漫画ですか? 羽生生純「青 オールー」。差能構造、区々、チルの三者が一堂に会する。それぞれに人格がぶっ壊れており、内に虚無を抱えている。というか差能は持っていたものをすべて失った男、区々は虚無から脱け出すためにすがるべきものを見つけた女、そしてチルは最初から持っていない少年、という構図か。彼らの姿を見ていると背筋がゾクリとしてくる。怖い漫画だ。

 福島聡「少年少女」。うーん、うまいなあ。今回は「音」がきっかけで出会った一組の少年少女の話。いわゆる絶対音感という奴ですな。それを巧みに、子供たちが出会い打ち解けるきっかえとなるアイテムとして使い、いっときの心暖まるシーンを演出してみせる手際は素晴らしい。あとこの人は、一人の人物の子供顔、大人顔、老け顔といった、年齢を重ねていったときの表情の描き分けとかすんごくうまいと思う。ていうか漫画のテクニックに関しては全般的にハイレベル。その技量を単純な分かりやすい快楽につなげず、表現的にちと抑えめにしてしまうあたりもこの人らしい。金平守人「カネヒラデスカ?」。この人もうまい。というかすごく器用だ。今回は10ページで抒情、そしてラブコメ! こういういい話っぽいときに限って反応があったりするときっと作者的には複雑な気持ちになるんだろうなあとか思いつつ、それでもやはりきっちり狙いどおり反応してしまう自分がここに。でもまあ面白いものは面白いんでまあ読者としては複雑に考えたりはすまい。

【雑誌】コミックバーズ 3月号 幻冬舎コミックス B5平

 あびゅうきょがバーズ初登場。影男シリーズの最新作「絶望期の終り」が掲載。今回はアワーズライトでやってたときほど暗黒ではないものの、自虐的なあびゅうきょ節はやはり健在。美少女が影男を日本男児としての誇りある使命へと導く。頻繁に描かれる鳥居、戦闘機、ミサイル、菊の御紋などが、神々しいイメージを読む者の心に次々と送り込んで来る。これはヤバい。幻冬舎コミックスからは2月24日にあびゅうきょの最新単行本「晴れた日に絶望が見える」[Amzn]が発売される。ますますもって激ヤバ。

 画:ゴハ+作:六月十三「ワンダバスタイル」(キャラクター原案:ごとP)は、今春オンエアのアニメ「ワンダバスタイル」の漫画版。13歳にして宇宙開発事業に関する特許99個を持つ天才少年・九十九科学(つくも・すすむ)が、助手のアンドロイド・キクと一緒に宇宙を目指すという感じ。第1回めではとりあえずススムとキクしか出てきてないけど、なんかアニメのほうのストーリー紹介では、ひまわり、ゆり、あやめ、さくらの4人の美少女も登場するらしい。とりあえずかわいいキャラが賑やかに動いて楽しそうな感じではある。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 3月増刊号 3/12 小学館 B5中

 たくまる圭「アニキ」。親に見捨てられた少女・ゆずと、みんなからアニキと呼ばれて頼りにされている遠縁のあんちゃんのお話。精密に描き込んでいるわけではないんだけど、線がなんとも気持ち良く暖かみがある。人情味があっていい感じだー。佐々木泉「墨戯王べいふつ」もしっかり面白い。ふてぶてしい中国の芸術マニアべいふつが、息子と皇帝陛下の間でバツが悪そうにしている様子が楽しい。上品な絵柄とキレのいいお話、適度なユーモアと非常によくまとまっている。いずれ単行本にしてほしい作品。

 秋山勇ニ「中年ジョージ秋山物語 WHO are YOU」。今回も得体の知れない凄味を発揮。街を歩いていていきなり涙を流し、若い編集者に一言。「ブスの悲しみが分かるかい?」。凄い。そして今回は脈絡もなくジョージ秋山が恋をして、あっという間に恋が終わる。「恋をする男は走らねば駄目だ。」とかいっていきなり走り出す行動原理とか、なんかすべてがジョージ流といった感じの作品。こりゃ編集者の人もたいへんだろうなあ。花輪和一「刑務所の中」。相変わらず面白い。昔話と銃話が突然入れ替わり、当然のごとく「チャカ大好きっ子」の話が始まったりと変幻自在。あといつもながら日常のちょっとしたことで、自分を捨てていった妻のことを思い出して暗黒に沈むお父さんが笑える。

【雑誌】スーパージャンプ 2/26 No.5 集英社 B5中

 岩田やすてるの読切「GUTS」が掲載。不良っぽいけど実はけっこういい奴な男・石松が、憧れていたサッカー好きの女の子にアピールするため、仲間とチームを組んでフットサルの試合に出場するというお話。しっかりまとまってはいるけど、読切ではちと物足らないかな。どっちかというと連載第1話って感じ。たなかじゅん「ナッちゃん」。なんだかナッちゃんの周りもだんだん男っ気が出て来ておりますな。

【雑誌】週刊少年サンデー 2/26 No.11 小学館 B5平

 井上和郎「美鳥の日々」。セイジが珍しく合コンに出席。うーん、ラブコメしてるなあ、面白い。微妙な三角関係もしっかりラブコメのドタバタを加速させるアイテムとしてうまく利用している。作:坂田信弘+画:万乗大智「DAN DOH!! Xi」。いや〜相変わらずスゴいよ、この漫画は。今回はキャディに女の子をつけることができない分、ダンドーを脱がし、その柔肌をゴースのトゲトゲが傷つけて……。なんとまあサービス精神旺盛なことか。

【雑誌】週刊少年マガジン 2/26 No.11 講談社 B5平

 表紙で「RAVE」の真島ヒロが「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」をイラスト化しており、レポート漫画も掲載。フランスでのワールド・プレミアの取材にも行っててけっこうしっかりレポートしている感じ。

【雑誌】うさまん Vol.3 リイド社 B5平

 みこくのほまれ「べびーしったぁ」が連載開始。コンパでお持ち帰りされて以来、主人公・広志の家に住みついちゃった女子高生・美羽。二人ともほかに遊ぶ相手がいたりしてふらふらしていたのだが、ある日美羽が交通事故に遭って幼児退行してしまい……というところから始まる物語。ある種「マイ・フェア・レディ」的なお話になるのかもしれないけど、「べびーしったぁ」というタイトルからしてそんな余裕ないか。ラブコメ、ラブストーリー、どちらの方向に行くにせよいじりようはいろいろありそうな出だしで面白くなりそう。みこくのほまれの明るく健康的な絵はけっこう好きで、今回のヒロインである美羽もイタズラっぽい表情が可愛い。中田ゆみ「混線弁天寮!!〜メルトダウン〜」。弁天寮に済む秋吉くんと、バイトでキャバ嬢をやってる女の子とのラブラブH。中田ゆみのラブラブものは、トロけるように甘い。


2/11(火)……深い鞍馬の特集

▼昨年の11月くらいからサボっていた分の作家別コミックスリストを遅ればせながら更新。表紙スキャンや収録作品の入力などの手間を惜しんでいるうちについずるずると先延ばしにしてしまっていたのだった。テキストは日記で書いたのをそのまま流用してるんで、やる気になればそんなに時間はかかんないんだけど。そういえば、単行本の表紙取り込み用にA5もしくはB5サイズくらいのスキャナがあったらちょっといいかもなとか以前から思っていたのだが、さすがにそんなヘンなものは出ていない模様。小型のフラットベッドスキャナといえば、以前NECがPetiScanという製品を出してたけど、これはA6までなんだよね。

【雑誌】ビッグコミック 2/25 No.4 小学館 B5中

 2月17日発売の3月増刊号に、久々に「アフター0」の新作が掲載される岡崎二郎だが、「ファミリーペットSUNちゃん!」も地道に面白い。SUNちゃんのキャラが生きてきてるし、居候先のご家族のほのぼのぶりもいい。あと欄外情報によると、この作品自体は3月10日発売のNo.6で第一部完結。ってことはそのタイミングで単行本化かな。で、4月10日発売のNo.8に、アトム誕生の日を記念して岡崎二郎版「鉄腕アトム」が掲載される予定だとか。こちらも楽しみ。

 なかいま強「黄金のラフ 〜草太のスタンス〜」は今回も堅調に面白い。草太の常識外れの攻めの数々に、同行のメンバーは調子を乱されまくり。ここまではすごく好調だが、きりたんぽの面々だけにこのままでは行くはずもなし。それにしても大風原野プロがいつもオチをつけてくれて笑える。

【雑誌】漫画アクション 2/25 No.8 双葉社 B5中

 ロドリゲス井之介「リーマン戦記独身3」。いつもの3人組が、出張先の森岡でお金持ちの娘さんに一目惚れ。それぞれアタックするが思わぬオチが。なるほど。3人のやってることが、いつまでたっても進歩しないのが楽しい。

【雑誌】漫画サンデー 2/25 No.7 実業之日本社 B5中

 作:倉科遼+画:勘崎順次「愛と復讐の挽歌」。村田恭平が、前回オトしたヤクザの親分の情婦を手駒にし、敵対する組をぶっつぶす準備を始める。ちゃんとフィリピンでの苦闘時代に得たものも生きている。ベタだけどいかにもありそうな展開で、ガッチリ読ます。


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