2003年8月中旬


8/20(水)……要製図官

【雑誌】九龍 Vol.5 河出書房新社 A5平 [bk1][Amzn]

 今号の特集はタカノ綾。おぼろではかなげな主線が特徴的で、なかなかにシャレている。漫画のほうもけっこうなボリュームが掲載されていて、これなら満足度は高い。掲載予定だった大越孝太郎「天國に結ぶ戀」については「様々な理由により掲載することが困難になりました」とのアナウンスがあって、これはすごく残念だったけれど、雑誌としては回を重ねるごとにこなれてきたかなという気はする。

 このほかでは、逆柱いみり「ネコカッパ 重工業風呂」、粟岳高弘「浸水殻」とのったりとしたマイペースな持ち味を発揮。粟岳高弘についてはインタビューが掲載されててちょっとびっくり。あと連載の内田雄駿「あの月の光のように」はけっこう盛り上がってて読ませる。次号で最終回らしいけど。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 9/5 No.17 小学館 B5中

 福本伸行「最強伝説黒沢」。ああ、黒沢さんがいい具合に殴る蹴るされている……。かわいそうだ。正直最初のころほどのインパクトは薄れてきてるけど、要所要所できちんと締めて盛り上げてくれるので飽きずに読める。福本伸行はこういうところうまいと思う。村上もとか「龍」。第二次世界大戦で日本が苦境に陥っていく様子がサクサクと描かれている。これまでの腰を据えた描きっぷりからすると、このあたりはあっさり描いちゃうのかな? 個人的には少し意外だった。

【雑誌】週刊少年サンデー 9/3 No.38 小学館 B5平

 作:七月鏡一+画:上川敦司「ロボットボーイズ」。いい具合に来てるんじゃないでしょうか。素直に好感を持ちやすい作画、少年漫画らしい応援したくなるようなキャラ、ロボットのギミックなど惹かれる要素が多い。

【雑誌】週刊少年マガジン 9/3 No.38 講談社 B5平

 小川悦司「フードハンター双雷伝」後編(原案強力:小笹和俊)。なんかオチのつけ方に笑ってしまった。食い物って美容に効くのだなあ。あとすでにWebで情報が出てるけど、野中英次「魁!クロマティ高校」が10月2日からアニメ放映開始とのこと(→Production IG)。出世したもんです。

【雑誌】花とゆめ 9/5 No.18 白泉社 B5平

 羅川真里茂「しゃにむにGO」。池田コーチの過去がらみの話も一段落してスッキリ。生徒たちのほうもそうだけど、ちゃんと脇キャラも丁寧に描写していくのは少女漫画誌のスポーツ漫画らしい。高尾滋「てるてる×少年」はたいへんシリアス。これまで怖いばかりだった松子おかあさんの意地らしさが見えてちょっと萌え〜。とかいってる場合じゃないか。才蔵のダークな部分も描写されていきそう。

【単行本】「水野純子の四畳半妖精図鑑」 水野純子 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 最初パラパラーっとめくってみて、「イラスト+ちょっとしたコメントの本なのかな?」とか思ってガッカリしかかったんだけど、ちゃんと読んでみたらそうじゃなかった。これは面白いです。内容的には4ページがひとまとまり。まずは浪人生活ののち東京に出てきて一人暮らしを始めた大学生、はじめのむさ苦しくわびしい日常が2ページで描かれる。実ははじめは気がつかないけど、彼が住むジメジメした四畳半のアパートの一室にはけっこうな数の妖精がいて、その妖精たちのイラスト+解説が次の2ページで描かれる。それを繰り返していく……という構成。

 妖精たちは水野純子らしい、キュートで色っぽいデザインの女性型のものが揃っていて華やか。それからはじめのわびしい生活を見ているうちに、どんどん親近感が沸いてくる。そして物語のラストでは、都会の厳しさを味わったはじめが出くわした光景が描かれる。一定のパターンをずっと繰り返し続けながらも、はじめの不器用で優しい人格はじょじょに伝わってきて、最後の展開でジーンと感動さえさせてくれる。ヤングマガジンUppersのホームページで月イチ連載された作品らしいけど、こうやってまとめて読めて良かったと思った。

【アンソロジー】MANA ver.HARD VOLUME.04 三和出版 A5平 [Amzn]

 わりと好きな作家さんが多い雑誌だったんだけど、次号からガラッとリニューアル。10月発売の次号から、ロリ系アンソロジー本にモデルチェンジするらしい。まあ単行本形式の装丁のわりにはエロ総合誌という感じで特徴があまり見えてこなったので、何かに特化するのはいいことなのかもしれない。ただ個人的にはロリより熟れてムチムチしてたほうが好きなんだけどね……。

 ロリアンソロになるのを控えてか、今回はあ〜る・こが「立ち入り禁止のえっち基地」が巻頭。外堀を埋めつつ、少女をじりじりエロ調教していくさまはなかなかエロい。BENNY’S「好きなヒト」。少年が一人旅して、親戚のウチへ。彼は母親の兄嫁できれいなお姉さんが大好きなのだが、遊びに行った先で彼女のエロシーンを目撃してしまう。大きなおっぱいとまぁるいお尻、肉感的でHだなあ。井ノ本リカ子「なつやすみ」は、弟がおねえさんに甘えるというお話。包み込んで来るようなおねえさんの優しいまなざしと大きなおっぱいがこれまたよろし。でも今回のBENNY’S、井ノ本リカ子みたいなのは次号からはなくなっちゃうのかな。


8/19(火)……無事食べる

▼あちこちでいわれてるけど、はてなアンテナの動作が調子悪いみたい。ウチについても2日くらい更新をきちんと拾ってくれなかった。たぶん動作がおかしいので不審に思った方がいたんでしょう、ウチのページに対する更新チェック範囲の設定をいじって間違えた指定にしちゃった人もいた模様。はてなアンテナはHTMLソースはチェックしないのだが、ソース内のコメント部分が範囲として指定されていた。知人がそれに気づいて、修正しといてくれました。はてなアンテナは一人が設定をいじると、そのURLを登録しているすべてのアンテナに影響しちゃうんでその点は困るときがある。設定をいじった人がコメントを残せるような機能でもついてるといいんだけどねー。

▼仕事帰りに新宿で軽く一杯。以前見かけて行ってみようかなーと思っていた、野菜系な居酒屋「ベジダイニング 芽」に行ってみる。普段の呑みはついつい肉!魚!とかなってしまいがちだったので、野菜をぱりぱりとかじりつつ酒杯を傾けるというのはけっこう新鮮な気分。キャベツはおいしいなあとか思った。こういうコンセプトの店もなかなか面白い。ただ「ベジダイニング」というわりには、メニューに並んでいる野菜の種類が驚くほど多いってわけではなかったのがちと残念。案外普通。個人的にはもっと青虫みたいに葉っぱを食いまくりたかった。もっと珍しい野菜をもりもり摂取したかった。あと酒で白ワインが1銘柄くらいしかなかったのも不満。ちとさっぱりしすぎな気がしないでもないが、白ワイン呑みながら生野菜をぽりぽり行くっていうのは、爽やかでいいかなと思ったのだ。ただ肉とかを食うときと比べて、「脂っこいものを食ってしまった……」という負い目がないのはいい。たまにはこんな飲み方も悪くはない。そんなふうに感じた夜だった。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 9/2 No.17 講談社 B5中

 新井英樹「SUGAR」、咲香里「やまとの羽根」と、スポーツものが好調。「SUGAR」は天才・中尾会長がいい味を出しててリンといいコンビになってきた。「やまとの羽根」はなんだかかなり熱血。やまと君が我を忘れてバドミントンにハマっていく様子が面白い。あとはやまと君の急成長に対する「好きだから」以外の理由づけが描かれてくるといいと思います。堂高たかし「全日本妹選手権!!」。今回の新作同人誌発表会編は面白かった。パロディの元ネタがなかなかイカす。倉上淳士「特撮天使」は楽しく爽やかにおしまい。

【雑誌】ウルトラジャンプ 9月号 集英社 B5平

 萩原一至「BASTARD!!」が復活。……だけど正直もうあんまり興味はないなー。荒木飛呂彦「変人偏屈列伝」。今回は20世紀初頭、アメリカ合衆国に実在した腸チフスの保菌者で勤める先々で人を感染させて社会問題となった賄い婦、人呼んで「腸チフスのメアリー」の物語。かわいそうな女性の物語ともいえるのだが、荒木飛呂彦の料理の仕方はやっぱりすんごく濃い。メアリーのキャラ造形は異様だけど、そのほかの登場人物もスタンドみたい。さすがの荒木節。なお単行本は今冬に発売することが決定したそうだ。

【雑誌】月刊サンデーGX 9月号 小学館 B5平

 花見沢Q太郎「●Rec」が連載再開。声優である恩田赤ちゃんと恋人同士になったけど、そこからいまいち関係が進まなくて松丸くんは悶々。そんな折り、赤に憧れのアニメ監督の作品での泊まり込み収録の仕事が降ってきて、さらにやきもきに拍車がかかるという展開。声優の仕事で1か月スタッフと合宿なんていうのが本当にあるのかどうかは知らないが、まあ楽しいのでよろし。なお単行本1巻は9月19日ごろ発売とのこと。やまむらはじめ「境界戦線」。やはり読切形式のほうがキレがいい。今回はカッコイイ女性戦士による華やかなアクション。お話としては今までより軽めだったかな。女戦士のけっこう乙女チックな内面が描かれていたのがいい感じ。

 イダタツヒコ「美女で野獣」。いよいよ茜の暗黒面が本格的に発動。圧倒的な暴力の振るいっぷりが怖いと同時になんだか気持ち良かった。というわけでマジモードでのリリカ戦が楽しみ。作:矢作俊彦+画:落合尚之「鉄人」は最終回。単行本が全部出たらまとめ読みしてみようかな〜。島本和彦「吼えろペン」。なんだか思わぬ展開に。炎尾先生の気分の変わりやすさが全開。

【雑誌】チャンピオンRED 10月号 秋田書店 B5平

 有川祐のシリーズ連載「N.S.Q」が始まってうれしい。今回はネットゲームの世界をさまよい歩いているつもりでいるうちに、戦地の不幸な少女に出会ってしまった少年の物語。バーチャルな世界での体験を通じて、現実世界で起こっている遠くの地での戦争の映像が、自分の身近なものとして感じられたその瞬間。短い作品だけれどもラストシーンでの感慨は深い。というわけで今後の連載も楽しみ。次回は10月発売号で登場とのこと。渡辺航「制服ぬいだら♪」。果実家の姉妹は二人揃って天然。頭がぽわぽわしてて、見ててたいへん愉快。作:南条範夫+画:山口貴由「シグルイ」。たいへんインパクトが強かった初回に比べると、今回は地味めな展開。でも御前試合に向けてのムードは高まっている。次が早く読みたい。

【雑誌】オースーパージャンプ 9月号 集英社 B5中

 なんかエンターブレインの漫画雑誌で巻末漫画を描いている作家さんに絵がよく似た人がラーメン漫画を描いている! というわけで作:武内伸のこだわりラーメン店漫画「一杯の魂」の作画担当が、新シリーズ開始とともに大泉孝之介にチェンジ。なるほど手堅い仕上がり。「巻末の作者コメントによれば」新人であるらしい。いや〜頑張って出世していただきたいものです。高見まこ「ホカ弁せんせいの恋」。あったかくていいですなあ。のんびりした学習塾を営んでいた岡本先生、通称:オカベン先生だが、隣に大手塾ができてしまったことで生徒が激減。ただ一人残った未来ちゃんという女の子の進学の世話をすることに……というお話。ほのぼのしたいいお話。オカベン先生が未来ちゃんのお母さんに引かれていく様子も微笑ましい。この人の描く女性はサラリと描いているようでもほのかに色っぽくて好きだなあ。甘露寺つぐむ「(F)」は少年少女の青春ラブコメ。まとまってはいるけど、今どきのラブコメものとしてはちと押しが弱いかなあ。何か一つ突出した部分が欲しいような気もする。

【雑誌】漫画サンデー 9/2 No.33 実業之日本社 B5中

 超大物新人登場!……というわけで、欽ちゃんこと萩本欽一が原作を担当し、車だん吉が絵を描くという新連載「欽ちゃんの4コマ漫画おまけ付き!」がスタート。4コマとかいってるけど実際は5コマ。つまり1コマがタイトルにもある「おまけ」であるらしい。内容は……えーと、正直なところ面白くないです。さすがにセンスが古い。ただあのお年で、あえて週刊漫画に挑戦してみようとする気概は立派なような気もします。

【雑誌】まんがくらぶオリジナル 10月号 竹書房 B5中

 まあいつもと同様。最近は学園コメディものの平岩功次「私立カルメン学園2の1組」が面白くなってると思う。ネタのヒネり方がなかなかうまい。あとは小坂俊史「ハルコビヨリ」、中嶋沙帆子「電脳やおい少女」あたりが安定して楽し。


8/18(月)……無法者に会うとろうが!

▼このサイトも18日で6周年。今さら特別な感慨があるわけでもないので、これからもまあ普通にやっていければと。

【雑誌】増刊ヤングジャンプ漫革 9/25 VOLUME-35 集英社 B5中

 巻頭カラーで山花典之「パパは単身赴任中」が掲載。妻子を残して単身赴任中のお父さんが、酔っ払って倒れていたマンションの隣の部屋に住む若い女性と知り合い急接近してしまうも、妻や子のことを考え自分を押しとどめるというお話。山花典之の甘くて肉感的な絵のおかげもあって、すごーく魅力的な女性を前に辛抱たまらんけど辛抱する……というギリギリ感がよく出てます。みやすのんき「桃香クリニック」。サイパンに遊びに来た桃香センセイとその助手ウララだが、日本人のスケベな医師につかまってピンチ。ウララが催淫剤を漏られて乳首ビンビンというシーンがHでいいな〜とか思った。

【雑誌】ヤングマガジン 9/1 No.38 講談社 B5中

 作:木内一雅+画:コウノコウジの新連載「アウト・ロー」がスタート。第一話はやたら金にうるさくて、モノ凄いやり手だが周囲からは嫌われているヤクザの若き組長・渡部淳の生活を描くところからスタート。まずはまんまヤクザものなんだけど実は少年野球漫画であるらしい。コウノコウジの濃い口の作風は好きだが、木内一雅の原作があるのでそっちの色が強めに出てる感じかな。次号では作:永井豪+脚本:原田重光+画:湊青樹で「けっこう仮面P」が始まるとか。原田重光といえば「イッパツ危機娘」の人。なんか凄い組み合わせだな。

【雑誌】ラブマニ 9月号 平和出版 B5平

 加賀美ふみを「song recycle」。いつもながらのラブラブカップルHモノでかわいく微笑ましいねえ。アツアツトロトロでアテられるくらいなんだけどイヤミがない。駕籠真太郎「日本地獄絵巻」。領民たちを好き勝手に弄んでいる姫様が、自分を閻魔大王に擬した一大地獄テーマパークみたいなモノを構築。姫様がしたたかでなかなかかっこいい。このシリーズはブラックなユーモアが利いててけっこう好き。

【単行本】「みんなはどぅ?ZOMBIE」 G=ヒコロウ コアマガジン A5 [bk1][Amzn]

 前半が日記漫画で、後半がフィクションのギャグ漫画という構成。正直なところ、G=ヒコロウは日記よりもフィクションのほうが断然面白いと思っている。この人の作風って、アップテンポな構成のほうが合ってると思う。それが日記だとスローテンポなんで、一番面白いときの味が出てないような気がする。テクノ風のピポピポ電子音でスローテンポな曲を演奏してるみたいな感覚。日記はさほど事件のない日常でも「ねえ聞いて聞いて」って感じでおもしろおかしく描ける人か、いっそのこと思いきってウソを描いちゃえる人のほうが向いている。というわけでいっそのこと、もっとばりばりウソ書いちゃって無理やりテンポ上げちゃえばいいのに、とか思った。後半のギャグものについてはとてもいい。いずれもけたたましくお話が進み、ギャグを畳みかけてきて楽しい。絵の魅力、言葉のセンスの良さもいかんなく発揮されている。最近は日記漫画的なのが多いG=ヒコロウだけど、個人的にはこういうギャグ漫画がまた読みたいなー。


8/17(日)……即、媒介

▼コミケに行って参りました。先日書いたとおり「ふぬけ共和国・マンガ」の新田五郎さんのサークル「WAIWAIスタジオ」にて、売り子さんをやっておりました。普段人とあんまり会わない仕事をしてるので、久しぶりの接客業務はなんだか新鮮。けっこう楽しくやらせてもらいました。あと日記に書いたおかげで、ネット関連でも何人かの人が訪ねてきてくださって、これもたいへんうれしかった。来てくださった方々、どうもありがとうございました。また機会があったらやってみたい。そういえば向かい側の机で、加藤賢崇本人が「いぬちゃん」の本やグッズを売っててちょっとびっくり。あと、今回のコミケは「面倒くさいので本はいいやー」とか思ってたので、ほとんど出歩いてません。入手した本はいただきものが3冊のみ。まだコミティアで買った本も読み終わってないし。コミケ終了後は飲み。楽しかったが、あまり寝ないで朝早くから出かけたこともあって、途中で電池切れして途中で居眠りモードに入ってしまったのがすごく残念。

2003年5月5日コミティア購入物件
【同人誌】「あすなひろし作品選集1 少年漫画(1)」 あすなひろし
【同人誌】「あすなひろし作品選集2 少女漫画(1)」 あすなひろし
【同人誌】「京晴美」 らいだゆず <HATAHATA>
【同人誌】「ほしはなんでもしっている」 らいだゆず <HATAHATA>
【同人誌】「Cotton」 紺野キタ <Sally Gardens>
【同人誌】「Cotton4」 紺野キタ <Sally Gardens>


8/16(土)……びつまぶし

▼お昼過ぎに仕事が一段落。というわけで日曜日は予定通りコミケに行ってきまーす。

【雑誌】近代麻雀 9/15 vol.449 竹書房 B5中

 なるほど、木村シュウジ「Mahjong Kings Fighters 覇王」(原作:朽葉狂介)に出てくる二階堂亜樹は無取材で描いてたのか。←というようなことが、有元美保「雀荘で遭った愉快な人々」に書いてある。まあそりゃそうでしょうな。二階堂亜樹はあのコスプレをして麻雀打つといいと思う。

【雑誌】ネムキ 9月号 朝日ソノラマ A5平

 「TONOちゃんの摩訶不思議ストーリー」というキャッチが似合わなくなって久しいTONO「チキタ★GUGU」は新展開。ペトラス皇帝編が終りチキタは妖しい屋の仕事に戻るも、ラー・ラム・デラルは今までのようではいられない。百年経ってチキタを失うことを考えると胸がふさがれてしまう。チキタとラーのつながりが深くなっていくにつれ、切なさはどんどん増してくる。面白いなあ。ラストのヒキも思わせぶりで、今後の展開が気になるところ。諸星大二郎「栞と紙魚子 何かが街にやって来る」後編。今回はわりと大事件でしたな。それにしてもきとらさんの何事にも動じない強さが楽しい。で、「栞と紙魚子」シリーズは今回をもってしばらくおしまい。近々新シリーズがスタートの予定とのこと。

【雑誌】コミックメガストア 10月号 コアマガジン B5平

 アツ〜い。今号は漫画部分がいつもに比べて96ページ増量とのこと。好調だなあ。実際、今エロ漫画雑誌でどれか1冊買うとなったら残ってくるのはここらへんかなあという気がする。多士済々で、かつ安定感もあるし。

 月野定規「♭38℃」。今回もしっかりエロい。前回でイッパツやってイジメ、イジメられの関係が逆転した先輩女子のメグミさんと後輩男子の水原くん。憑かれたようにやり狂う二人の姿はテンションがとても高い。しかもラブラブムードも濃厚に漂わせているし。次号ではもう一人の先輩女子いつきのほうもヒイヒイいわしそうな感じ。RaTe「Milk Maid」。男の子だけどメイドさん、でも女装ってわけでもないという変わった状況を描いた全10話。最後はくっつくべき二人がくっついてめでたしめでたし。なかなか微笑ましい締めくくりでありました。マーシーラビット「クズ★KUZU そうるふる」。作られてから長い年月を経て魂を持った古物「付喪神」を扱うお店をやっている女の子の奮戦記。久しぶりにこの人の新作を見たような気がするけど、今度はロリ系で攻めるのかな。

 竹村雪秀「Take On Me」は中学生みたいな身体をした26歳処女なおねえさまがなんか可愛かった。キャラの表情の変化がくるくる激しいのも見てて楽しい。玉置勉強は最近ストレートにエロい作品が目立つ。「家庭教師」。ラストはHの後の光景で3ページと含みがあってちょっとほろ苦さもあるけれど、エロシーンはぺちぺちした乳の揺れ具合とかがいい感じ。中上隆「恵と誠史」。締切直前の女性漫画家とその彼氏のラブラブH。サービス精神旺盛なエロシーンとか、愛情たっぷりなラストとか、なかなかイキのいい作風でけっこう気に入った。國津武士「Empress!!」。今回もロリロリほのぼの。幼い女帝ちゃんがいつもながらかわいくてよろし。

【雑誌】コットンコミック 9月号 東京三世社 B5中

 ああ、本当に終っちゃうのか……。というわけでエロ漫画雑誌における、ショートギャグ系を除いた作品としては現役最長連載だったのではないかと思われる渡辺ヒデユキ「SASEMAN」シリーズがついに最終回。この作品のC調極まる展開はすごく好きだった。たぶんもう単行本になることもないだろうから、雑誌ベースで末永く続いてほしいなーとか思っていたのだが。レイプ仮面編のエピソードは盛り上がったけど、最後はわりとあっさりしてたかな。このサバサバした幕引きはこの作品らしい、というかこの雑誌らしいような気もする。何はともあれご苦労さまでした。

【単行本】「美妻〜狙われた媚肉〜」 草津てるにょ エンジェル出版 A5 [Amzn]

 政治家である父の後妻となった、元家庭教師の義母に憧れる息子。謎の女の計略により、この二人が禁断の関係に堕ちていく……という人妻系エロ漫画。草津てるにょの特徴はなんといってもつやのある女体描写。熟れた女性の痴態を描かせるととてもエロくて実用度が高い。ただお話のほうは多少とっちらばったところもあって、この作品でも最初の話はなんかけっこう笑えるオチになったと思ったら、中盤エロエロで攻めて最後はなんかうやむやな感じで終っちゃったかなーという感じ。意外と天然なギャグセンスはあるので、作品の完成度を求めるのなら、ガチンコハードエロスよりも、エロをやりつつギャグで落とすといったタイプの作品が実は向いているのかもとか思った。でも需要はたぶんガチンコハードエロスのほうがあるだろうけれども。


8/15(金)……アミノシキー粒子

▼お休み……とは行かず、自宅で仕事。まったく外出しなかった分を補うべく、本日はアニメ3話分踏台昇降。さすがに75分もやると汗でべちょべちょ。私、濡れちゃったんです……。そういえば最近は運動後の水分補給用としてアサヒ飲料のアミノダイエットって奴をときどき飲んでるんだけど、コレって効くもんなんですかいね。とりあえずカロリーゼロらしいけど。

▼コミケが始まった本日、ようやく5月コミティアで買った本を読み始める。もう少しサクサク読みたいなーといつも思うんだけどねー。でも次のコミティアカタログが出てから感想書いたほうが、バイヤーズガイドとしては有効かもしれないしーとか言い訳してみたり。まあそんなわけで、読んだ本の感想はいつものごとく別ファイルのほうにまとめときます。

2003年5月5日コミティア購入物件
【同人誌】「ホモヨロン5」 <ドリー夢2003>
【同人誌】「ネア!」 守安啓行 <ドクキノコ>
【同人誌】「漫研」 守安啓行 <ドクキノコ>
【同人誌】「フィギュアモリヤス」 守安啓行 <ドクキノコ>
【同人誌】「Night-Marcheの幻想雑誌 2003.5.5版 〜チッペの物語VII〜」 村山慶
【同人誌】「ピストン江古田」 <地味頁>
【同人誌】「暴走セーラー服」 <ひまわりデザイン事務所>
【同人誌】「堰堤とプール」 粟岳高弘 <あわたけ>
【同人誌】「アフロOK?」 上原昭人 <ち>
【同人誌】「標識の街」 金子木村
【同人誌】「ぶっとびマンガ大作戦 Vol.7」 新田五郎 <WAIWAIスタジオ>
【同人誌】「応接間」 三五千波 <つくりもの>
【同人誌】「つゆくさ 10号」 <つゆくさ>
【同人誌】「ちなつのシュート!」 青木俊直
【同人誌】「夏の魔物」 袴田めら <逆ギレ刑事>
【同人誌】「SHORT HOPE LIGHTS」 <ぴこぴこ。>
【同人誌】「ひとりぼっちのお姫様」 果竜 <竜の子太郎>
【同人誌】「もののけアワー2」 <胡蝶社>
【同人誌】「彼女の願いと僕の我が儘」 川津典昭 <空飛ぶ河童>
【同人誌】「雛鳥と女の子」 川津典昭 <空飛ぶ河童>


8/14(木)……ホースと鞍部

▼この季節になると「コミケ、行きよるんか?」と聞かれることがある(友達が少ないので回数はあまり多くないけど)。例年は行ってなかったが今年は行くつもり。というか「ふぬけ共和国・マンガ」の新田五郎さんのサークルで売り子さんをやらせていただく予定です。同人誌即売会は今まで客として行ったことはあるけど、サークル側で参加するのは初めてなので楽しみ。またちゃんとお役に立てるかどうか若干不安。ちなみに8月17日(日曜日・3日め)、東地区ピ-49a「WAIWAIスタジオ」です。それまでに仕事終らせなくちゃ……。

【単行本】「ティーンズブルース」1〜4巻 コージィ城倉 小学館 B6 [bk1][Amzn:1巻/2巻/3巻/4巻

 コージィ先生はやり手だなあと強く思う作品。お話としては、要するに女子高生がホストにハマって転落していくさまを描いた作品。主人公の女子高生・久我アサミは母子家庭で貧乏。そのおかげで今どきのギャル的な遊びなどはまったく知らない女の子だったんだけど、実は磨けばすげー美人である素材を見込まれて、同級生の女の子に遊びに連れていかれる。そこで遭遇したホストクラブの楽しさが彼女をじょじょに夜の世界に引き込んでいく……という展開。

 実際のところストーリー展開自体はあんまり早くない。4巻が終わった段階でもアサミは処女のままだし、援交とかも「まとも」にはやってない。まあキャバクラでのバイトは始めてるけど、まだお試し段階。でもその間、彼女は絶えず転落している。浮上することはなく、一歩一歩、着実に夜の世界方面に向かって進んでいる。普通の漫画だと主人公がときどきいいところを見せたりしてカタルシスがあるもんだけど、この作品にはそういうのが全然ない。ゆっくりと転落しっぱなし。こういう作品もなかなか珍しい。手綱をゆるめることなく、でも急ぎすぎることもなく、お話にメリハリをつけながらじわりじわりとお話を進めていく。そのおかげで「この先、この娘さんはどうなってっちゃうんだろう……」という緊張感が常にある。こういう寝技的な呼吸がコージィ城倉は抜群にうまい。ストーリーだけみると、けっこうな嫌漫画なんだけど引き込まれちゃうしつい読んじゃう。スリリングで面白い。

 それにしてもこういう漫画を読むと、子供世界もつまるところお金で動いてるんだなあとか思う。今の世の中は金があればたいていの快楽は買えちゃうし、若者もそれは承知している。そして親を通さず、直接若年層から金を吸い取ろうとするビジネスモデルも増えた。昔は子供向けのおもちゃとかは親が買い与えるものだったので基本的に金は親の財布から出たんだけど、今の遊びはそうじゃないものが多い。プリクラにしろカラオケボックスとかにしろ、子供の財布を直接狙ってる。そりゃまあ欲しくなるよね、金。親のくれるおこづかいじゃ足りないもん。だから万引きだの援交だのがさかんになっちまったんでしょう。金がすべての世の中になって、男は盗人になり、女は売春婦になった。うーん世知辛いですのう。←えーと、このようなことを書いてますが、もちろんそういうイケちゃってる虚無的な方々は若い人の中でもごく一部で、たぶん非行少年少女率は今も昔もさほど変わるもんでもないんだろうなあということは承知しておりますんで。念のため。


8/13(水)……栗斧男

【雑誌】別冊マーガレット 9月号 集英社 B5平

 河原和音の新連載「高校デビュー」がスタート。タイトルどおり、高校デビューしてモテモテ女を目指す女の子のお話。主人公の晴菜は中学時代は熱心なソフトボール部活少女だったのだが、恋には縁遠く、高校では恋に熱中すると誓っていた。しかし意気込みが空回りしてなんだかモテない状態だったため、男ウケの秘訣をマスターするべく、同じ学校のイケメンのヨウに弟子入り志願するのであった……。最初はイヤがってたヨウも晴菜の勢いに押されて結局コーチをすることになるのだが、まあ最終的にこの二人がくっつくというのは鉄板であろうから、そこまでを焦らし焦らししながら持ってくラブコメになるんでしょう。「応援していただけなのにいつの間にか好きになってた」とかいうアレですよ。若いねコンチキショウ。「先生!」でたいそう腕を上げた河原和音だけに、コンスタントに楽しめる作品になるんではないかと思います。

 永田正実「恋愛カタログ」。ここしばらくは実果たちを離れて、お話は文芸部に入った種・隆司たちのほうへ。種ひとすじだった隆司くんだけど、なんか気になる女の子出現……という感じ。天然な感じの寒い若ポエムっぷりが微笑ましい。中原アヤ「恋愛カタログ」。あー面白い。浮き沈みがなくてうまいなあ。なんかこう、きちんと少女魂を燃え上がらせてくれますよ。木村文「問題のない私たち」(作:牛田麻希)。女子校でのイジメとかを描いたイヤ〜な後味の作品なのだが、これって映画化するんだ……。来春公開予定で、監督は森岡利行、主演は黒川芽以とのこと。

 アルコ「イノセントカラーズ」後編。うーんこじんまりとまとまっちゃったかな。男女4人、恋愛と友情の葛藤……という感じだけど、この人にはもう少し煎じ詰めてってほしかったような気はする。いくえみ綾「かの人や月」。爺婆父母兄妹妹家族のそれぞれの事情を描いていく話で、今回はやはりお兄ちゃんがメイン。前の話と時系列をちょっとズラしたり重ねたりしながら、視点を変えて描いていく呼吸はさすが。結論がズバッと示されるわけではないけれど、それでもいいかなと思わせるだけの抒情力がある。いや〜毎度うまいね〜。

【雑誌】comic天魔 9月号 茜新社 B5平

 なんだか最近のエロ漫画雑誌は、読む本読む本THE SEIJIが載っているような気がする……。精力的に仕事してるなあ。そうま竜也「ぴかち」。ひかるちゃん、通称ぴかちと、隣の家の男の子・学くんとの初体験というかセカンド体験ストーリー。ぴかちがスクール水着を着てみたり、なんかエロシーンが初々しかったりとかわいい作品。ラストもほんのりラブって感じの力加減で後味よろし。琴義弓介「情事のニュース」。女子アナもの。デカいお乳はもちろんのことだけど、最近の琴義弓介は厚ぼったい唇の描き方がエロいっす。ゆきやなぎ「エスケープ」。この人の絵は女の子の肌の白さが引き立つ感じ。なめらかな質感がいい。まぐろ帝國「妹夏」。今回はわりとスタンダードに妹モノ。おにいちゃんに振り向いてもらえなくて寂しい妹さんの健気さがいい感じでげすな。

【単行本】「クリオの男」 木葉功一 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 昨年の10月くらいに出ていたはずなのだが、スカッと買い忘れていたことをこの前突然気づいて勃然と購入。イブニングで連載された作品で、骨董品や美術品の中の情報世界に潜り込み、それらに宿る呪いを解く特殊能力を持った男、クリオダイバー・矢堂一彦の生き様を描く物語。古物の中に潜り込むという着想が面白いし、時を経てきた物件だけに宿っている記憶も壮絶なものが多く、なかなかに読みごたえがある。ハッタリの利かせ方が強力。ラストのエピソードには大量の殺戮の記憶を宿した銃が出てくるのだが、これは現在ビッグコミックスピリッツで連載されている「マリオガン」を思わせるものがある。あちらを読むうえでも読んでおきたい作品。


8/12(火)……やさしいカラザ

かまどさん【一合炊き】 ▼先日注文したごはん炊き専用土鍋「かまどさん」[楽天]が到着したので実戦投入。これまでの普通の土鍋と違って、火加減を途中で変える必要がなく中火のまま待ってるだけでいいので炊くのは楽。味のほうはさほど鋭敏な味覚を持っているわけではないので厳密なことはいえないんだけど、なかなかええ感じの炊き具合でおいしいごはんになり申した。これからももりもりごはんを食おう。

▼お盆前ってことで今日はたくさん雑誌が出ましたなー。でも片づいてない仕事がまだあるので全部読んでるわけにもいかぬ。いかぬのだ。

▼未読物
【雑誌】別冊マーガレット 9月号 集英社 B5平
【雑誌】comic天魔 9月号 茜新社 B5平
▼16日売り
【雑誌】コミックメガストア 10月号 コアマガジン B5平
【単行本】「美妻〜狙われた媚肉〜」 草津てるにょ エンジェル出版 A5 [Amzn]

【雑誌】コミックビーム 9月号 エンターブレイン B5平

 今号は志村貴子「放浪息子」が表紙。二鳥くん、高槻さんともにかわいい。二鳥くんの女装っぷりもずいぶん板に着いてきた。ちなみに今回は単行本1巻 [bk1][Amzn]用の特製コミックスカバーもついている。というわけで単行本を買った人はビームも買おう、ビームを買った人は単行本も買おう。←ってな具合に、雑誌・単行本どちらの販促材料にもなるので、特製コミックスカバーってのはいいおまけだと思う。

 安永知澄の新連載「やさしいからだ」がスタート。第1回めはいつもムッとした顔つきをしている女の子・えみこちゃんと、彼女の笑った顔が見たいとつきまとっている男の子のお話。なかなか微笑ましい青春模様とちょっぴりファンタジー。安永知澄の丁寧な作画、話作りはやはり好感が持てる。初連載だけど今後の展開も楽しみ。次回はこの男の子のほうがメインの話になるようだけど、学校を舞台にした少年少女定点観測漫画になるのかな? 福島聡「少年少女」。今回は読者としてもけっこう思い入れがあるんじゃないだろうか、例のヨシコとゴローシリーズの第4弾。ゴローの兄を死なせてしまった罪悪感を抱き続けたまま成長するヨシコに心強い味方(?)が登場。ヨシコさんはなんだかんだ強く育って来ている。将来はいいオンナになるでしょう。

 山川直人は読切で初登場。「モノクローム」。つき合っていた女の子にカメラを買ってあげたことがきっかけとして生まれた素敵な想い出とほろ苦い結末。あっという間に駆け抜けて行ってしまった彼女と、残されてしまった彼氏。後から見れば一瞬だったような気もする人生の交錯をセンチメンタルに描く。カケアミを駆使した暖かみのある絵柄と、詩情を感じさせるお話作りはこの人ならでは。独自の味をしっかり持っていてさすが読ませる。というわけでこの読切で山川直人に興味を持った人は、単行本「ナルミさん愛してる」 [bk1][Amzn]もぜひ。そちらのほうの感想は2002年2月のオスマンをどうぞ。

 竹本泉「よみきり♥もの 太陽から45センチ」。やたら暑がりな背の低い女の子の話。熱のせいで始終顔を赤くしているさまが、なんか恥ずかしがっているかのようでかわいらしきものよのう、とか思った。森薫「エマ」。今回はきっと「エテ公ぶっ殺す」と思ったエマファンも多いに違いない。でも珍しいエマのパニクり顔が見れたのは収穫でありましょう。奉公先の奥様が訪問したミセス・トロロープはなかなか素敵な老婦人。彼女の家のたたずまいは、エマのロンドンでの想い出を呼び起こし……という展開。エマの女心がほの見えて素敵でございます。羽生生純「青 オールー」。最近いい味を出していたおばさんスナイパーの思わぬ行動。これは予想してなかった。このキャラはもうしばらくお話にからんできそう。アクが強いキャラだけに物語にいいアクセントをつけてくれるんじゃないでしょうか。吉田戦車「武侠さるかに合戦」。猿太極拳の使い手である猿親父の表情の邪悪さがいい。渋さ、カッコ良さ、マヌケさが絶妙なバランスで配合されてて好調。

【雑誌】コミックバーズ 9月号 幻冬舎コミックス B5平

 南京ぐれ子「あかてん★ヒーロー!」はコンスタント。カラッと明るく非常にドタバタしてて面白い。戦隊のピンクである桃山さんが、まゆらに対してやきもちを焼くさまもいとおかし。山口譲司「BIRTH」はついに最終回。すんません、途中から話追えてませんでした。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 9月増刊号 9/12 小学館 B5中

 もりやまつる「おかん」前編が掲載。博打うちの夫を見捨て、女で一つで息子を育てる肝っ玉母さんの姿を描いた作品。凶悪な人相と破壊力で家族を守った「親父」とは対照的なアプローチだが、子を想う親心はどちらの作品でもしっかり描かれている。たくまる圭「アニキ」。毎度ほのぼのいいお話。いつもオドオドしているけど純朴でまっすぐなゆずがかわいいし、彼女を無愛想ながらも自分なりに優しく見つめるアニキの姿もいい。あと花輪和一「刑務所の前」はいつもながらマイペース。拾った拳銃のメンテナンスも、だいぶ進んで来ております。それにしても銃のことを描くときの花輪和一の語り口は、いつもよりワクワクしてる感じだ。

【雑誌】イブニング 8/26 No.12 講談社 B5中

 寺沢大介「ミスター味っ子」が期間限定で復活。というわけで読切作品「ミスター味っ子II」が掲載。今度の主人公は、初代味っ子・味吉陽一の息子である陽太。陽一が失踪しちゃってピンチに陥った日の出食堂を、ラーメン勝負の末に救うというお話。もう少し大仰でも良かったかな〜という気はしたけど、ちゃんと味っ子らしい料理になってたし、これはこれで手堅く読める。佐藤マコト「サトラレ」は、北海道の研究所に行ったは良いけれど不調を囲っている西山のエピソード。やはり最初から出ているキャラだけに読者側としても思い入れは深いキャラ。彼がバリバリ才能を発揮してる姿はぜひ見たい。小田原ドラゴン「妄想トラッカー8823」は次号が最終回ということで盛り上がって……ないというか、まあいつもどおり。最後まで8823は情けなくてホッとする。

【雑誌】ヤングチャンピオン 8/26 No.17 秋田書店 B5中

 葉月京「恋愛ジャンキー」。そろそろエイタローと地井さんがくっついたりするかなーという雰囲気。この作品に出てくる娘さんの中では彼女が一番良いと思う。エイタローとも最も素でぶつかり合ってるキャラだし。

【雑誌】漫画アクション 8/26+9/2 No.33 双葉社 B5中

 読切2作品。相原コージ「The King of Petネコ」は、作者が自らのネコ溺愛っぷりを語るエッセイ漫画。個人的にはネコは飼ったことがないので、あーんネコちゃんかわいーうにゃにゃにゃにゃーんとなった経験はないが、たまにはそういう状態になってみたいような気はしている。もう一つ、ジョージ秋山も登場。「きんぴら」はちょっとシブめな時代劇モノでまとめてきている。連載1回め的な感じでもあり。連載ではさそうあきら「マエストロ」がいい調子。食い詰めオーケストラの面々のエピソードを丁寧に描いていて、毎回読みごたえがある。うーん、これが休刊に伴って終わってしまったらなんとも惜しい。

【雑誌】スーパージャンプ 8/27 No.17 集英社 B5中

 平松伸二「マーダーライセンス牙&ブラックエンジェルス」。板垣総理の好敵手的な政治家のお話。なんだかむちゃくちゃなオヤジだなー。息子が罪を犯したさいの責任のとりっぷりがたいへんエキセントリック。平松伸二らしい豪快さで良かった。宮下あきら「暁!!男塾」。こっちも楽しい。相変わらずスゴいネタ使いますな。民明書房の本の内容も良かった。

【雑誌】ビジネスジャンプ 9/1 No.18 集英社 B5中

 尾玉なみえ「アイドル地獄変」。アイドルの労働組合をやってるヘンな女が出現。尾玉なみえ作品の中では比較的地味めだけど、だいぶヘンな味が出てきつつあるような。


8/11(月)……巧みにミニ宅

【雑誌】ヤングマガジン 8/31増刊 GT8 講談社 B5中

 山本マサユキ「MINI宅配便」。「ガタピシ車でいこう!!」の4冊め、山の巻に掲載された同タイトル作品の続編。ミニに載ったミニスカートの女の子の宅配便ストーリー。今回は宅配の途中で「ガタピシ車でいこう!!」のあの人が。ていうかまあアユちゃんが登場。なんかいつになくアユちゃんがいい娘さんに描かれてて良かった。あとちょっとHな味付けも良い。この人の女の子描写はなんだかパッと目を引く魅力がありますよ。

【雑誌】ヤングキング 9/1 No.17 少年画報社 B5中

 このところ元気がいいな〜と感じる雑誌。肩の凝らないエンターテインメントって感じの作品が多くて気楽に読めるし。最近では「シリーズぎゃるこめ」と題してエロ系作家の登用も行っているが、今回は北河トウタの読切「ジャーマネ!!」が登場。いろんな部活をサポートするマネージャー部の女の子が、サッカーボール恐怖症になってしまったサッカー部のエースを、サッカーボールのような巨乳を生かして癒してあげるというお話。明るいキュートな絵柄で、なおかつ実用性もそれなりにあるという北河トウタらしい持ち味はこちらでも発揮できている。

 小野寺浩二「それいけ!!ぼくらの団長ちゃん」。団長ちゃんの高校最後の夏。高校野球の夏の甲子園決勝でみんな燃える。馬鹿馬鹿しいっちゃ馬鹿馬鹿しいんだけど、意外と感動したりもする。何気にしっかり少年漫画テイストなんだよね、この人の作品は。と思っているところに今回は2本立てで、甲子園の感動を台無しにしてしまうオタクネタが。でもまあこれもこの作品らしいドタバタしたコメディ展開でいいんじゃないでしょうか。花見沢Q太郎「ももいろさんご」。今回は三悟を慕ってくる後輩女子ちゃんのお話。うん、こっちもかわいい。そして見事な生殺しっぷり。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 8/25+9/1 No.37+38 小学館 B5中

 小田扉「団地ともお」。今回はみんなで怪談話。ともおのピントの外れた怖がり方と、ダイナミックでしょうもない妄想ぶりが見てて楽しい。三宅乱丈「ペット」。ヒロキに対して司と悟の攻撃が迫る。緊迫してて面白いなー。ヒロキは単行本とかの人物紹介によると主人公であるらしいが、タッグ攻撃に対抗できるんだろうか。何はともあれ今後の展開が楽しみ。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 8/25+9/1 No.37+38 集英社 B5平

 鳥山明の読切「ネコマジンみけ」が掲載。ほのぼのとしたとある村の物語。派手なお話ではないけどきれいにまとまってる。それにしても鳥山明のペンタッチは相変わらずすごく美しいなあ。まったく乱れがない。作:稲垣理一郎+画:村田雄介「アイシールド21」。王城のアイドル男・桜庭が最近けっこう良いキャラになっている。最初は薄っぺらな色男キャラなのかなあと思っていたが、凡人は凡人なりに、しっかり成長させていってる点が好ましい。和月信宏「武装錬金」。斗貴子のショートパンツ姿がいい感じでげすな。妖怪退治系の作品としてはなかなか好調に推移しているのではないかと。あと今号は、ジャンプ作家がそれぞれ4コマ漫画を描く「Jオールキャラ大集合! サマーさまさまアッパレ4コママンガ!!」という特別企画もあり。こういうところでも鉛筆描きな冨樫義博にちょっと笑った。

【単行本】「満腹ボクサー徳川。」4巻 日高建男 新潮社 B6 [bk1][Amzn]

 しっかり面白い。元ウェルター級の日本チャンピオンだったボクサー徳川が、綿密な計画に基づいたウエイトアップによりヘビー級転向を目指す。で、今度は国内のヘビー級ボクサーや、K-1みたいな格闘技イベントの強豪たちを集めたトーナメントに参加。いよいよヘビー級としての実力が試されていく。徳川の人を食ったような態度と胸のすくようなファイトっぷりが痛快。ウエイトアップのための理屈面もシッカリしてると感じられるし、強くなる過程に説得力がある。


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