2003年12月上旬


12/10(水)……セーター貸そう

National 電気グリルなべ(NF-GC11) ▼小さめのホットプレートを買うべーという話になったので、ついでに鍋もできるタイプの奴を購入。NationalのNF-GC11[楽天]というグリル鍋。本当は土鍋タイプと鉄板タイプのプレートを使い分けられる機種のほうが良かったのだが、ちょうど立ち寄ったお店で4980円と安かったので深く考えずスパッと購入。さっそく鍋をやってみたけど、大きさも手軽だしまあ悪くないんじゃないすかね。鍋をやるなら土鍋+カセットコンロのほうが趣はあっていいんだけど、グリル鍋ならガスカセットをストックしておく必要がないし、調理器具をあんまり増やすと場所を食っちゃうんでとりあえずはこんなもんで。でも調理器具って見るとなんか欲しくなっちゃうんだよね。調理家電売場は、個人的には電器屋さんの売場の中でも屈指の物欲刺激系デンジャーゾーンだったりする。

▼食事といえば「美味しんぼ」(作:雁屋哲+画:花咲アキラ)が連載20周年&単行本1億冊突破記念ということで、豪華愛蔵版単行本「和」「酒」[bk1][Amzn]ってのが出るらしいんだけど、これ買う人ってどのくらいいるんですかのう。豪華装丁で初版限定特典として吉野杉箸(5膳)+しゃもじセットが付いてくるらしいけど、漫画のほうは再録なんだよね?コレ。何部くらい刷るんだろう……。

▼11日売り
【単行本】「ミヨリの森」 小田ひで次 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

【雑誌】エース桃組 2004 Winter 角川書店 B5平

 今回は桂遊生丸「姫恋人」がいいと思った。お嬢さま学校にて、後輩の女の子が憧れの翠先輩を聖夜祭に誘うが、実は先輩はあんまり裕福な家庭の出ではなくその誘いを断ろうとする。でも銭湯でバッタリ二人が出会ったことから打ち解けていい感じに、というお話。絵柄が華やかできれいに整ってるし、お話としても起承転結がしっかりしててよろしいんじゃないでしょうか。まだ数は多くないけど、百合系は流行りでもあることだし、今後この雑誌でもどんどん増えていきそうな気がする。

 剣康之「総理大臣のえる」(作:あすか正太)は最終回。明朗な絵柄とストーリーがマッチしていて、この雑誌の中ではわりと好き。あんまりちまちましてなくて読みやすいし。エース特濃で「時をかける少女」を連載中のツガノガクは読切で初登場。「騒々、背高草」。それまで幼なじみとしていつも一緒にいたけど、裸を見せ合ったことで男女の差を意識してしまった二人。その後、男の子のほうは東京に行き、7年後に再会を果たすことになる。ちょっとHなシーンをからませながら、青く甘い話を構築。雰囲気はなかなか良いが、やらないほうがかえって趣があったかも……という気も。

【雑誌】スーパージャンプ 1/1 No.1 集英社 B5中

 巻頭カラーでやまさき拓味「MARENGO ナポレオンが愛した馬」がスタート。ナポレオンの愛馬であったマレンゴの生き様を描くという作品。ナポレオンを扱った作品の中でも屈指の変わり種といっていいんじゃないだろうか。最近のやまさき巧味の、馬を描くことへの徹底ぶりはけっこう凄い。

【雑誌】ビッグコミック 12/25 No.24 小学館 B5中

 作:鍋島雅治+画:はしもとみつお「築地魚河岸三代目」。毎度勉強になります。今回は本格的な魚の干物の作り方のうんちく編。これはさすがに自分でやるわけにはいかない類の話だけど、こういうの見てるとすごく食いたくなってきちゃうなー。

【雑誌】週刊少年サンデー 12/24 No.2 小学館 B5平

 井上和郎「美鳥の日々」がアニメ化決定。来年の4月から千葉テレビほか全国U局系にて放送予定とのこと。たぶん見ると思います。今回の本編も非常にラブコメらしくて楽しかった。あとモリタイシ「いでじゅう!」が最近好調。絵も洗練されてきているのではないかと。万乗大智「カズマ来たる!!」は、アメリカの学校に生徒と同い年の少年が日本語の先生としてやってくる……というお話。身体はちっちゃいけど実は空手の達人な彼が、体当たり指導で生徒の信頼を得ていくというお話。きっちりまとまっているけど、最初のほうに出てきた女の子キャラとかは生かしきれてないので、もう少し長尺、っつーか連載のほうがいい話かもしれない。

 中井邦彦「楽ガキFighter」は最終回。んでもって次号から新連載攻勢がスタート。サンデーはいつもながら安定しているけど、ここ1年くらい、新規作品がいまいち軌道に乗り切れていない印象がある。新しめでイキのいい連載となると「金色のガッシュ!!」が141回め、「うえきの法則」が114回、「焼きたて!!ジャぱん」が94回、「史上最強の弟子ケンイチ」が80回、「いでじゅう!」が68回、「美鳥の日々」が59回。ということはこれらの作品は皆連載1年以上が経過。その後に続いた「ワイルドライフ」「ロボットボーイズ」「売ったれダイキチ!」「D-LIVE!!」「結界師」あたりはいまいち軌道に乗り切れてない気がする。今度の新連載攻勢で何かしらニューパワーが出てくることを期待したい。

【雑誌】週刊少年マガジン 1/1+6 No.2+3 講談社 B5平

 新連載、日向武史「あひるの空」がスタート。バスケット漫画らしい。なんか初っぱなから、井上雄彦「REAL」に出てくる野宮もどきのキャラが出てきてちと萎えた。宗田豪「天才料理人 味の助」は、あまりにいい加減かつ強引なドラマ展開に思わず笑ってしまう。1P医者が爺さんの死を宣告→2P味の助立つ→3P爺エビを所望→4P台風の中を味の助ひとっ走り→5P魚市場到着「生きたエビくれ!」→6P漁師一喝→7P冷凍エビゲット→8P料理3品完成→9P娘ダメ出し「死んだエビの味」→10P味の助浮き輪をつけて荒れ狂う海へ……もうスペクタクル過ぎる! 面白いけど、この作者、そしてこのネームを通す編集部は何を考えているのやらという感じ。

【雑誌】メガプラス Volume3 コアマガジン B5平

 みかん(R)「モータルLOVEりんこ♥」。おお、なんだか今回は苦くないお話だ。アダルト専門店にちょくちょくやってくるカワイイ女の子。それを虎視眈々と狙う店長をいさめるデブオタなバイト君だが、それもそのはず、実は女の子とバイト君はラブラブでつき合っている恋人同士だったのだ☆ という内容。いやあなんつーかドリームですなあ。皮肉がこもっているような気もするけど。鬼魔あづさは久々のエロ漫画誌登場。読切「たかこ」。兄のオナニーの現場に妹が出くわしてしまうが、兄はそれをまったく隠さずむしろ妹をその場でおかずにしてしまい……というところから始まる、兄妹Hコメディ。お兄ちゃんのふてぶてしいマイペースっぷりが見てて楽しい一作。天竺浪人「FLESH EATER」前編。とある少年の家庭教師にきているあんちゃんが、その家の奥様の発するエロい雰囲気にしだいに呑み込まれていく……といった感じの出だし。艶めかしいムードが漂っててなかなかにエロい。

 天竺浪人、すえひろがりがいて、鬼魔あづさが登場。みほとこうじやるりあ046がイラストを描き、次号は田沼雄一郎も掲載ってことで、わりと昔のホットミルクっぽさを出そうとしてるのかな?ちなみに次号は久々にわんぱくや船堀斉晃も登場予定。

【アンソロジー】「サンシャイン娘。危機一髪」 英知出版 A5平 [Amzn]

 へー、これ出てたんだー。まあ要するにモー娘。パロディー系のエロ漫画のアンソロジーだけど、その半分くらいが「ドレグラ」でやってたまだ子「ぬぞみちゃん嬉々一発!」で占められている。姫はじめ、柳生柳、月見大福、なお、そらのつばめもそれぞれ描いているけど、表紙もまだ子だし、実質的に「ぬぞみちゃん」を売るための本といっていいんじゃないかなー。

 で、「ぬぞみちゃん嬉々一発!」は、超人気アイドルグループ所属のぬぞみちゃんたちが、Hなごほうび目指して日々芸能活動に頑張るというお話。娘。系のエロパロディ作品としては、師走の翁「シャイニング娘。」が有名で、スケールとかストーリーの起伏とかについてはやっぱりあっちのほうが上だと思う。でもまだ子のこっちもイイっすよ。瑞々しくてまろやかさもあるまだ子の絵柄で描かれるアイドルグループの面々はちゃんとかわいいし、そこはかとなく似てる。明るいお話ではあるけどけっこうHだったりもするし。激烈にハードってタイプじゃないんだけど、なんかいやらしい雰囲気が漂っている。殺伐としたところがないのもお気に入り。なお「ぬぞみちゃん嬉々一発!」は「ドレグラ」に掲載されたのがたしか2本、で3話めと外伝の合わせて4本が収録されてます。あとそのほかの作品では、姫はじめ「頑張れ!コンコン」がわりと可愛く描けてて良かった。似ているかどうかはともかくとして。

【単行本】「内向エロス」3巻 陽気婢 ワニマガジン B6 [bk1][Amzn]

 そのときどきで、気の赴くままにいろいろ描いているな〜という感じ。陽気婢の場合は、お話的なまとまり自体はどの作品も概して弱い。でも絵がやっぱり魅力的だし、全体から醸し出されている甘酸っぱい雰囲気にもやられてしまう。今回の巻では、スナックを切り盛りしている従姉の恵さんと、彼女に憧れている高校生の和樹くんが、しだいしだいに距離を縮めていく21〜25話めが中心。年上の女性に少年が憧れるという得意のパターンで、さすがにここらへんは強い。普段着からさりげなく漂ってくる色気のくすぐりがたまらんですなあ。なかなか直接的なHシーンに持ち込まない焦らしぶりも心地いい。あとはかつては美少年だった親友が、大人になってデブになるも彼が脱皮してその中から美少女が出てくる……という、一部やおい風味も漂わせた「Inner Growth」あたりが面白く読めた。一時ほどスゴイって感じじゃあないけど、着実に仕事してるなーと思う。そういえばこの人のフォロワーは意外といないっすね。


12/9(火)……謀反来るす

▼未読物
【単行本】「サムライダー」2巻 すぎむらしんいち 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「史上最低のレガッタ」2巻 塀内夏子 講談社 新書判 [bk1][Amzn]

【雑誌】イブニング 1/1 No.1 講談社 B5中

 ラーメン漫画シリーズ「みんなのラーメン」枠で掲載された三宅乱丈「謀反 ラーメン説」が面白かった。信長の元を辞してラーメン屋をやろうとしている光秀が、「うまいと認めさせたら辞めさせてやる」という信長のために精魂込めた麺を作り上げるが……。妙に細部までこだわりまくる光秀の姿がユーモラスで、信長や森蘭丸とのかけ合いも楽しい。そういえば三宅乱丈は最近シリアスな作品が多かったけど、ギャグもうまい人なんだよなと再確認。あと、このシリーズではうえやまとちの「カップラーメン新発見」もけっこう面白かった。うえやまとちのアシスタントが提案した、お湯を入れた後30分くらいほったらかしにしてから食うという、新しいカップラーメンの食べ方を試してみるというお話。激しくマズそうだけど、モノによってはけっこうイケそうな気も……。なんだかついやってみたくなっちゃう危険な魅力。佐藤マコト「サトラレ」。白木がガンを患い、治療に訪れた本土の病院でサトラレを嫌悪する医師・山田と対峙。それぞれの目論見が交錯する展開はスリリングで面白かった。

【雑誌】ヤングチャンピオン 1/1 No.1 秋田書店 B5中

 駕籠真太郎が読切で登場しててちょっとびっくり。今回の「空想科学活劇巨編 大侵略」は、これまで宇宙人に侵略されてばかりいた地球人が高度な文明を獲得し、念願叶って他星の侵略に乗り出すが……という状況を描いたドタバタギャグ。どうしても、一度でいいから侵略ってものをしてみたいという欲求が、人々を奇行へと駆り立てていく様子を面白おかしく。一般誌ということで、駕籠真太郎にしてはちと大人しめに仕上げて来ている感じではある。葉月京「恋愛ジャンキー」は連載100回記念で番外編的な作品が掲載。栄太郎が「不思議の国のアリス」みたいなワンダーランドに迷い込んで、「恋愛ジャンキー」キャラみんなとすったもんだするというお話。いっぱい女の子が出て来ているのは楽しいけど、今回のラストって、もしかして最終的に誰を選ぶかというのをほのめかしてたりしませんかー?

【雑誌】漫画サンデー 12/23 No.49 実業之日本社 B5中

 藤平久子+郷力也の読切「人生航路」の前編が掲載。パチンコ依存症から借金を重ね、風俗で働くまでに身を落とした主婦を、桜黎明という精神科医が救うというお話。郷力也が原案を作画、藤平久子が原作を担当という体制。作画者が原案をやっていながら、原作者が別にいるという組み合わせはちょっと珍しいかも。お話は手堅くまとめてきている感じで、郷力也っぽさは若干薄めか。

【雑誌】FEEL YOUNG 1月号 祥伝社 B5平

 安野モヨコ「東京番外地」が最終回。とある女性の生まれ育った団地を舞台に、ミステリアスで息苦しい物語を展開。最後まで畳みかけるようで読ませるなあ。安野モヨコはやはり漫画うまいです。かわかみじゅんこ「パリパリ伝説」は連載化。なんかかわかみじゅんこは近くパリでの生活を始めるそうで、彼女の日常を描く4コマ漫画になるとのこと。この人の場合はフツーの漫画を描かないのはもったいないと思うんだけど……。IKARING「しまいもん」。最近すごくノッていて面白い。いつもの姉妹がクリスマスを迎えてアタフタ。クリスマスの飾りつけの最中に、タンスの下に手を突っ込んだら抜けなくなった……という状況からのお話の転がしっぷりがお見事。この人の天然パワーはかなり素晴らしい。今この雑誌の中で一番勢いあるかも。内田春菊「ほんとに建つのかな」。なんかともすれば不幸のかおりが漂ってきて、読んでてハラハラする。実話だけにであるだけにイヤだなあ。他人の不幸なんか知りたくないのに。

【雑誌】YOUNG YOU 1月号 集英社 B5平

 鴨居まさね「雲の上のキスケさん」はついに最終回。なんかずっと続くものだと思ってたのでちょっと意外だったけど、終わり方はなかなかきれいでありました。続けようと思えば続けられるだろうが、ここらへんで区切りをつけておくのも悪くない。何はともあれときどきの掲載だったが、コンスタントに楽しませていただきました。羽海野チカ「ハチミツとクローバー」。今回ははぐと森田が人面パンを作るあたりがかなりハジけたギャグとなってて面白かった。ただお話としてはいまいち先が見えないかなあ。面白いことは面白いんだけど、なんだか雑然としているような気はした。

 谷地恵美子「君住む夢都」は最終回。手堅くハッピーエンド。きっちりした作品作りはさすがだと思うが、なんとなくこの作品は印象薄めかなー。途中の展開があまり記憶に残ってない。榛野なな恵「パンテオン」は、時間がちょっと飛んで桃子や彰子たちが大学に入ってからのお話に突入。桃子と彰子は二人で同じ部屋に住むようになり、それぞれの日常を送っているという状態。なんかいろいろ事件が怒りそうな設定。それにしても桃子ちゃんがやけにテキパキ有能で、その完璧ぶりがちと小憎らしい。

【単行本】「SUGAR」6巻 新井英樹 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 面白い。すげーいい。今回はリンがプロテストを受験し、その計り知れない力を人々に見せつける。その軽快な動きがかっこいい〜。またジムの中尾会長の昔の試合のシーンが描かれるが、これがまたいいのだ。人間の体が高速でひゅんひゅん動き回り、拳が繰り出される描写は文句なしの快感。漫画でこれだけスピード感のある動きの描写ができちゃっているのは、本当にスゴイなあ。シビれる。まあ実際のボクシングでは、こんなファイトはあり得ないのかもしれない。でもいいじゃないですか。こんなスゴいシーンを見せてもらえるのだから。漫画ってのはあり得ないものも描けるから面白いわけだし。

【単行本】「やまとの羽根」1巻 咲香里 講談社 新書判 [bk1][Amzn]

 長きにわたった恋愛漫画「春よ、来い」が終わった後、咲香里が挑んだのは前作とは打って変わって熱血バドミントン漫画。作者自身かなりバドミントンには入れ込んでいるようで、かなり力の入った作品となっている。主人公の少年・鳥羽大和は中学1年生。妹の練習につきあってバドミントンをやってみるが、そこで出会った同年代のものすごくうまいヤツ、沢本翔に刺激を受けてバドミントンを始める。そしてその奥深い魅力にずんずんのめり込んでいく。この巻ではまったくの素人からスタートした大和が、バドミントンで頭が一杯になって練習しまくり、どんどんうまくなっていく過程が描かれる。やればやるほどうまくなるという成長の手応えが感じられる作品となっていて、けっこう面白い。やぱり若いモンが一つのことに入れ込んで努力を重ねていくさまは、見ていて頼もしいモノ。メキメキ実力をつけていく様子にはカタルシスがあるし、バドミントンのプレー自体もいい感じに描けていると思う。最近ではビッグコミックスピリッツでイワシタシゲユキが「バドフライ」を連載しているけれども、なんだかバドがちとアツくなっているんでしょうか。

【単行本】「THE大市民」3巻 柳沢きみお 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 今回も山形先生は相変わらずブイブイいわせておりますが、なんか最近その主張に納得できないことが増えて来ているような……。まあ「意外と浅い考えでモノをいっている」無邪気さが楽しいなとは思うんだけれども。あとちょっと美味しな料理ネタのパワーが落ちて来ているような気もする。日常ものであるだけに新らしいネタを仕入れてくるのはけっこう難しいのかも。


12/8(月)……かち合わず価値観

▼ラーメンの汁の上に浮かんでた脂を、ハシでつついてつなげていく作業に没頭していたので更新が遅れました。

▼未読物
【雑誌】FEEL YOUNG 1月号 祥伝社 B5平
【雑誌】YOUNG YOU 1月号 集英社 B5平

【雑誌】ヤングキング 1/5 No.1 少年画報社 B5中

 以前読切で掲載されたにわのまこと「ボンバーガールXXX」が連載化。セクシーなダイナマイトバディと凶悪な強さでもって、ブイブイいわす無敵の女賞金稼ぎ・羅生門エミーの活躍を描くというアクションもの。今回の作品はけっこう面白く読めて、底力を感じさせてくれた。テンポ良くしっかりエンターテインメントしてて、50ページの分量を長く感じさせない。メリハリもしっかり利いてるしけっこういいかも。佐野タカシ「イケてる2人」は今回も気持ち良いお話。佐次は情の厚いイイ男でございますなー。あと今回のシリーズぎゃるこめは峠比呂が登場。このシリーズはエロ系の中でもけっこう好みな作家さんが登場するので毎回楽しみ。ヤングキングらしく殺伐としないエロコメを描ける人が多いような気がする。で、今回の「それでもだ鉄丸!」は、無敵の女番長の下っ端として喧嘩に明け暮れている鉄丸に対して、カノジョのアカネがやきもちを焼くが……といった感じで始まる学園ドタバタコメディ。ちょっとエロシーンに入る流れが唐突すぎるような気もするけど、登場人物は愛敬があって、みんななかなかにカワイイ。カラリと明るいタッチも好感度が高い。

【雑誌】近代麻雀オリジナル 1月号 竹書房 B5中

 赤峰亮介「東風荘の鉄人」。企画モノだけど最近、漫画としてもけっこう面白くなっているような。今回登場する鉄人は渡辺洋香プロ。彼女が上がるたびになんかコスプレするという演出が馬鹿馬鹿しくて良かった。城埜ヨシロウ「ウラセン」。今回は城埜ヨシロウがヤクザ系な店でジャンピューターに挑戦させられるというお話。こちらも無謀なやり口が笑える。妙にアツいぜ。片山まさゆき「スーパーヅガン!アダルト」。今回はホストの世界を舞台に豊臣がツカンポ。こういうネタを扱うと本当にうまいなー。麻雀やりながら、いかにもホストモノの漫画っぽい展開をやってのける手際は実に鮮やか。

【雑誌】ヤングマガジン 1/8 No.2 講談社 B5中

 遠藤浩輝の読切「catch as catch can」が掲載。最近は「EDEN」が長期化してしまって話が掴みにくくなっているが、こちらは読切だけにスッキリ楽しめた。アマチュア時代は無敗だったけどプロに転向した途端負け続きの格闘家・柿崎と、出会い系だかなんだかで出会った地味な女の子の物語。淡々とした調子でお話は進むが、そこはかとなくユーモアや皮肉も漂わせて味のある青春モノに仕上げている。主役二人の関係、距離感も気持ち良くてまたこの人たちのお話は読んでみたいという気になれた。長編もいいけど、またちょくちょく読切も描いてほしいところ。福本伸行「賭博破戒録カイジ」。カイジ先生大喜びの巻。あまりにも喜びっぷりが無邪気でたいへん微笑ましい。とりあえず帰りがけに強奪されたりしないよう気をつけてくださいね。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 1/8 No.2 小学館 B5中

 伊藤潤二の読切「億万ぼっち」が巻頭カラーで掲載。人と人が糸で縫い合わされ、くっついた状態で死亡しているという奇怪な殺人事件が多発。そのパニック状況を描いていく作品。怖いというよりむしろ笑ったり感心したり。死に方のパターンや展開の仕方がいろいろぶっ飛んでいる。相変わらず着想がすごくユニーク。こういう絵ヅラをよく考えつくものだなあ。ヒラマツ・ミノル「アグネス仮面」。尾崎&吉井の大和プロレス残党編はクライマックス近し。毎回充実しております。柏木ハルコ「鬼虫」。火山活動で島がパニック状態になりつつあるが、そのなかでマナメが暗躍。怪しい雲行きになっていて面白い。単行本1巻は12月25日発売とのこと。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 1/8 No.2 集英社 B5平

 巻頭カラーで空知英秋の新連載「銀魂」がスタート。宇宙人だかなんだかが降りてきて以来、侍がすっかり力を失ってしまった江戸の町を部隊に、木刀ぶらさげてブイブイいわせているカブキモノな男・万事屋(よろずや)の銀が大暴れするという感じ。ツッコミ役で眼鏡くんな侍も登場。まあまとまってはいるけどギャグとか中途半端かなー。ちょっと弱い感じはします。作:大場つぐみ+画:小畑健「デスノート」。デスノートの持ち主である夜神月に挑戦するライバル「L」が登場。一気に面白くなってきた。オカルトものはそんなに好きじゃないのだが、それでもグイッと読ませる吸引力は素晴らしい。うまいなあ。作:稲垣理一郎+画:村田雄介「アイシールド21」。熱血してて面白い。今回は前半のデビルバッツのプレイがとても痛快だし、今後の展開がすごく楽しみになるヒキもあり。いい調子です。和月伸宏「武装錬金」も引き続きいいね。悪い奴に操られた妹ちゃんが、操られつつも天然ボケを発揮してて楽しい。ププッピドゥ。作:長谷川尚代+画:藤野耕平「サラブレッドと呼ばないで」は全13話で最終回。光るものはあったのでちょっと惜しいかな。

【雑誌】COMIC夢雅 1月号 桜桃書房 B5平

 冬長「AV女優」前編は、現役AV女優を彼女にしたメガネくんが主人公。目の前で自分の彼女が男優たちにヤラれているという状況がなかなかいやらしい。あと一見イイ話っぽい展開だけど皮肉にシメる呼吸も面白かった。THE SEIJI「大型犬とやる女。」。そのまんまなタイトルなんだけど、獣姦をやっても痛々しい話になってないのが良かった。オチの下らなさもいい味を出してる。ダーティ・松本「エロ魂!」。今回は村祖俊一で前半、中盤が高取英で、最後に中島史雄が出てくるという濃い展開。漫画エロジェニカの編集長を高取英がやり始めたころのエピソードとなっていて、これからどういう歴史が展開されていくのかすごく楽しみになってきた。あと例によって激しすぎる演出も健在。いや〜とても面白いっす。単行本1巻[bk1][Amzn]も引き続きオススメ。


12/7(日)……SANDSの川

▼ようやくコミティアで買った同人誌を読み終わる。といっても11月のじゃなくて8月の奴。11月コミティアの分はお正月休みに読むつもりです。

2003年8月31日コミティア購入分
【同人誌】「目蓋の裏に光」 甘夏柚子 <東京蜜柑亭>
【同人誌】「THE SKETCHES AND THE NOTES」 ニシムラリョウ <universal kidology>
【同人誌】「SANDS」 ニシムラリョウ <universal kidology>
【同人誌】「創 KIZ 最終号」
【同人誌】「stecca3」「stecca4」 natsume
【同人誌】「コワレタ」 <猫ラヂオ社>
【同人誌】「The Gate of a Spider」 朔 <LAPP>
【同人誌】「五月のトリック」 ein <空事象>
【同人誌】「ひゅーん(もわれ分)」 <ち>
【同人誌】「ふにゃふにゃはりせんぼん」 <ち>
【同人誌】「定型集(3) 学校演劇」 <つゆくさ>
【同人誌】「つゆくさ十一」 <つゆくさ>
【同人誌】「バージェスの乙女たち 単行本未収録集」 蜈蚣Melibe <海牛連合>
【同人誌】「コゼロサム」 <一賽舎/スタジオDNA>

▼学生時代の知人に「あいつは漫画読みを仕事でやっている」みたいなことをいわれてちょっと気になった。いや別に気分を害したとかじゃなくて、ここにアクセスしてくださっている方の中にも、そのように誤解されている人がいるんじゃないかなーとか思って。この機会にいちおう自分のスタンスを説明しておきますと、漫画を仕事で読んでるつもりはまったくないです。少なくともここのページで感想を書いている分については。とくに最近ではより仕事とは離れたところから読んだり書いたりしているつもりではあります。仕事と関係ない文章書いたり本読んだりするのってすごく楽しいので、そういう不純物みたいな要素はあんまり差し挟みたくない。たまに「これ書評してね」という仕事が来てそのために本読んだりすることもあるけど、そういう本の感想はここに書かないこともけっこうあるし、漫画関連の原稿仕事なんてそもそも絶対量が少ないんで。仕事のために読んでここで感想書いてる本なんて、年間10タイトル程度あるかないかじゃないすかね。昔はコミックジャンキーズの仕事でエロ漫画の単行本読んで感想アップしたりもしてたけど、それも2年以上前の話だしー。もちろん「金やるから漫画読め」といわれたら喜んで今の倍でも読むけど、漫画読んでるだけで金くれるような奇特な人はいないからなあ……。でも本当に仕事で強制的に読まされたりしたら、イヤになっちゃったりするかもしんない。


12/6(土)……山道管理か

【単行本】「愛しのアイリーン」全2巻 新井英樹 大都社 B6 [bk1][Amzn:1巻/2巻

 魂震える一作。この作品は新井英樹が「宮本から君へ」の後に、ビッグコミックスピリッツで連載したもので、かつて小学館から全6巻で出ていたものの新装版。「宮本から君へ」は希代の暑苦しさを誇る嫌漫画の傑作で、賛否両論物議を醸した。当時、嫌う人はもう鬼のように嫌っていた作品だ。そして「愛しのアイリーン」はそれをさらに激しくしている。以前コミック・ファンで作者インタビューをさせていただいたとき、「読者に嫌がらせをしてやろうという気持ちで描いてた」「当時のビッグコミクスピリッツが持ってた雰囲気を壊してやろう、読むのをジャマしてやろう」としていたのことだったけど、それだけにもう悪意バリバリ。1ページ1ページが読者に襲いかかってくるかのようで、ボコボコぶん殴られているみたいなインパクトがある。

 物語の主人公は北国の田舎町に住むパチンコ店の従業員・岩男。40歳を越えていながら独身で、彼を溺愛する老母とボケた老父と共に暮らしている。岩男は熊のごとき巨体の持ち主で、ブ男、口下手とモテる要素は一つもない。老母はそんな彼を結婚させようと画策するが、昔気質の彼女は中途半端な嫁を家に入れることを肯んじない。愚直な岩男は周囲の状況に対するいらだちと、たぎる性欲から強烈に伴侶を求め、謎の不在期間ののち連れてきたのがフィリピン出身の女性・アイリーンだった……。

 ここからの展開はまさに疾風怒濤。日本人でさえ身元不確かな女性は毛嫌いする老母のこと、外国人などを認めるはずもなく、猟銃を振り回して烈火のごとく怒る。処女であり岩男の巨大な男根を受け入れられずセックスを拒否するアイリーンに対し、岩男は「オマンゴー!!」と絶叫して暴れる。アイリーンはアイリーンでタガログ語と英語しかしゃべれないから、岩男や母とも満足に会話できず、最初はただギャハギャハはしゃぐ明るいだけの馬鹿なねーちゃんにしか見えない。もうすべての人物がそれぞれのエゴ丸出しで、てんでばらばらに動きまくるから手に負えない。しかも外見的に好感度の高い人物さえほとんど出てこず、猛烈な嫌展開が延々続いていく。現在連載中の作品だと、福本伸行の「最強伝説黒沢」の黒沢が、岩男と立場的には似ている。でもどこか愛敬のある黒沢に対し、岩男は生理的な嫌悪感さえ催しかねないヤバげな風貌をしている。黒沢は笑えるけど、岩男はとてもじゃないが笑えない。ちょっと近寄りたくない。それが「宮本から君へ」以上の暑苦しい姿を見せるのだから、その激しさは筆舌に尽くしがたい。

 正直なところ、肌合いの粗いモノ、乱暴なモノ、醜いモノ、ドロドロしたもの、汚いモノ、暑苦しいモノ……等々、読むのがつらくなるようなモノが苦手という人にはオススメしません。これは最上級の嫌漫画だから。1話読むだけでも本当にヘビータスク。とにかく濃厚。でもそれだけに、ひとたび向かい合ったら心をわしづかみにされるし、ぶんぶん振り回される。物語は本当に波瀾万丈。息苦しい展開が続きます。それを乗り越えて、すべてが終わった後にアイリーンが見せる包み込むような笑顔。これには感動します。久し振りに通読したけど、その激しさ、濃さにすっかりやられてしまった。長々と書いてしまったけど、何か感じるモノがあったらぜひ読んでみてくだされ。

【単行本】「いちご100%」8巻 河下水希 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 今年6冊めの「いちご100%」単行本だそうな。かわいい女の子に囲まれまくって延々生殺しという状態が続いている。もどかしくはあるけれどもやっぱり好きだ。この作品を読んでいて思うのは、「可愛い女の子を見るのは楽しいなー」ということ。まあ最終的には、普通に考えて東城さんとくっつくか、穴として西野司さんか……という感じだろうか。個人的イチオシは北大路さんだったが、最近は外村妹が実はいいんじゃないかなーと思うようにもなってきた。趣味が同じだと何かと便利だろうし。まあ他人事だからどうでもいいんだけどね……。

【単行本】「ピューと吹く!ジャガー」6巻 うすた京介 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 まったりしっかり楽しい。一時期よりは当たり回の出てくる頻度が弱まっているような気もするんだけど、回ごとにジャガーさんの顔が変わったりといった小ネタも面白いし、いろいろイイです。最初のころは結局ジャガーさんに付き合っちゃうピヨ彦はいい奴だなあと思っていたが、最近はかなりジャガーさんのぺースに慣れてきちゃって、自分からヘンなことをやっている。彼は成長した。ところでこの単行本は、お話とお話の間の空きページごとに作者コメントが入っているのだが、これはイマイチだなと思った。せっかくギャグ世界に浸っているというのに、作者コメントのところで冷静になってしまう。コメントではなくヘンな挿絵とかにしてほしかった。

【単行本】「かみちゃまかりん」2巻 コゲどんぼ 講談社 新書判 [bk1][Amzn]

 面白くなってきた。神さまパワーを宿した少女かりんと、同じく神能力を持った少年少女たちがなんか協力したり、争ったりするお話。2巻になってちょっとラブコメ色も増してきて、ほのぼの楽しい。あとコゲどんぼについては、きっちり描いた絵も悪くないけど、デフォルメ絵が好き。ストーリー面では本番はこれからって感じだけど、変幻自在な作画を見てるだけでも十分楽しい。「デ・ジ・キャラット」の漫画もそうだったけど、「なんかいろいろあるけどみんなけっこう仲良し」っていう感じがいいと思いますよ。

【雑誌】コミックPOT 1月号 メディアックス B5平

 このところ木静謙二やしろみかずひさが載ってなくて、個人的には勢いがちと弱まってるかなーという印象。でも次号には奴隷ジャッキーが登場するようなので期待。

 そんな中、EB110SSは巻頭漫画でコンスタントに実力を発揮。今回の「教えちゃえっ」も性への好奇心あふれるちっちゃい女の子をかわいく描いてます。ちょっとワンパターンに思えた時期もあったけど、それは安定感の裏返しでもある。このコンスタントな活躍ぶりは評価したい。あと安定しているといえば、猫玄もさすが。「ふにふにママ」は、お母さんに死んだ猫の霊が取りついちゃって……というお話。奥様なのに猫耳という、意外な取り合わせが新鮮。犬星「おにいちゃんは胸育係」。タイトルどおりな内容でございます。絵柄がキュートでちっちゃい妹さんをかわいく描けており、なかなかいい感じ。

【雑誌】MUJIN 1月号 ティーアイネット B5平

 きらら萌「罰ゲーム」。ものすごくたくさんの石段の上にある神社へ、罰ゲームとしてやってきた男が巫女さんとHするというお話。巫女さんがお人好しっぽいのがいい。この人にはTHE SEIJIあたりと同じ匂いを感じる。あと1月号らしく正月ネタをやっているのはなんかいいな〜と。最近では週刊漫画誌が季節ネタをやらなくなってきたけど、エロ漫画誌は月刊ベースなんで意外と季節感あるな〜とか思う。養酒オヘペ「憧れの律子先生」はMUJIN初登場。ちんちんの描き方が鬼ノ仁の影響を受けてるなあ……と思った。あのちんちんは独特の形をしているので、描くのはけっこう難しいような気はする。ところで今回の小邑紗希「情恋」の作者名の脇っちょに「巨乳人妻♥」って書いてあって、ちょっと心が華やいだ。


12/5(金)……ケチ用ブラ遺伝

【雑誌】コミックフラッパー 1月号 メディアファクトリー B5平

 連載陣では柳沼行「ふたつのスピカ」が良かった。今回は秋がメインの回だけど、むしろアスミの凄いところがいろいろ見えて、マリカがそれにハッとするという感じの展開。府中野くんがけっこう頭良くて萌え。あとケイちゃんもいい娘さんだと思う。この5人組はなかなかいいチームに育ってきてます。

 読切ではフラッパーの新人賞の第8回で奨励賞を受賞した山本明「MOONLIT −月光−」が掲載。ゲノム解析が発達して、遺伝子の検査で人の適正が判断されてしまう時代。検査により宇宙飛行士への道が閉ざされた女教師が、天才少年を受け持つことになり苛立つが……。シャープな絵柄はなかなかカッコ良く、お話もキレイにまとまっている。フラッパーはいい感じの新人がけっこう出てきますな。ただ遺伝子組み替えによるあだ花みたいな存在として「ポマト」を出してくるのはどうかなと思った。今さら陳腐な感じがするのと、名前の響きに緊張感がないんで……。たかぎ克彦「平安陰陽師」は、若き日の安倍晴明が主役のコメディ。ドタバタした雰囲気で楽しく読めた。

【雑誌】ヤングアニマル増刊 嵐 1/18 Vol.17 白泉社 B5中

 伊藤整が読切で登場。ていうか白泉社には初登場らしい。「慶長無頼伝」という作品で、徳川家康が天下をとったころの物語。貧乏でスケベな浪人モノの青空十兵衛が、甲賀の女忍者のねーちゃんを拾い、彼女とまぐわったり敵と戦ったり大暴れという痛快冒険活劇。派手なアクションは楽しく、エロシーンもふんだんで艶がある。しっかりエンターテインメントしてていい感じでございました。

 甘詰留太「年上ノ彼女」。幸せ感たっぷりでいいなあ。甘〜い。今回は主人公のあんちゃんと、見かけは少女のようだけど年上な小山内さんがお引っ越し。二人の新しい部屋で水入らずな生活を満喫するというもの。濃厚でトロけるような恋愛描写が快感。村山忍「小梅ちゃんのあさげ」。江戸の一膳飯屋の看板娘が、真心料理で江戸っ子たちに元気を注入。クライマックスではたいへん意外な料理が出てきてちょっと驚き。純然たる料理漫画というわけでもないけれど、料理レシピとかもあってなんか賑やか。けっこう面白かった。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 12/20 No.24 小学館 B5中

 決戦前夜、じゃなくて当日。福本伸行「最強伝説黒沢」では、黒沢がいよいよ決闘に臨もうとするが……。新しいTシャツをおろしたり、朝飯を食ったりする日常描写の細かさがたまらない。あとどこまでも気楽で勝手に盛り上がっている野次馬連中も面白い。頑張れ黒沢、目指せ勝ち組。でも勝ち組な黒沢さんはあんまり見たくないような気もする。

【雑誌】コミックバンチ 12/26+1/2 No.1+2 新潮社 B5中

 第2回世界漫画愛読者大賞で投票数1位だったが、信任投票で信任票数に届かず準グランプリという扱いになった作:茜色雲丸+画:KU・SA・KA・BE「摩虎羅」が読切で復活。「神格兵器」と呼ばれる武器を持つ女闘士の摩虎羅が、理想郷を目指して苦難の旅を続ける異世界バトルファンタジー。埃っぽい質感のあるざっくりした描線に独特の迫力があって、個人的には好印象。舞台設定はあんまり好みではないけど、読みやすいし画面にメリハリも利いてるし、漫画的な技量はけっこう高い。日高建男「満腹ボクサー徳川。」は形勢が逆転し、徳川が一気に攻勢。天才ぶりをいかんなんく発揮していてカッコイイ。

【雑誌】花とゆめ 1/1 No.1 白泉社 B5平

 読切、南マキ「キミはガ〜ルフレンド」。友達は欲しいんだけど話しかけられるとなぜか、意に反した他人を見下したような言葉ばかりが口をついて出てしまい、友達ゼロな女の子が主人公。彼女が学校のあらゆる部活から入部を拒否され、最後にたどりついたのが「乙女同好会」という謎部。そこはオカマの部長さんが仕切る麗しい世界でした……というお話。えーとこの人は新人さんなのかな? よく知らないけど、絵はうまいし、お話としても学園ドタバタコメディとしてちゃんとまとまってるしけっこう楽しく読めた。手堅く定着していけそうな感じ。高尾滋「てるてる×少年」。才蔵がしの姫の傷吸い。これは萌え萌えですな。ストーリーのほうはなんだか意外な事実もほのめかされて、緊迫の度合いを強めている。藤原規代「HELP!!」。医者を目指して頑張る女の子の物語で、口当たりのいい絵とまっすぐなお話が好印象。

【雑誌】桃姫 1月号 富士美出版 B5平

 最近この雑誌では、島本晴海の「ちゅ〜♥ぺっと」が楽しみ。風俗嬢のイチゴに恋をした藤川と、彼を慕う後輩、それから同級生の相澤さんをからめた恋愛模様を描いていく。ラブラブなシーンでは幸福感たっぷりで、この後この恋の行方はどうなっていくんだろうという展開的な興味も持たせる。Cuvie「手をつないで」。高校生になってなかなか素直になれなかった幼なじみ同士がふとしたきっかけで結ばれる。すっきりとした絵柄で、お話も好感が持てた。RaTe「青い姉」。最近流行りの姉モノ。個人的には妹モノより姉モノのほうが好きかなー。なぜかというと年上であるため、巨乳率が高いから。ひねもすのたり「歓迎♥香花飯店」。ヒロインが中華料理屋の看板娘。というわけでチャイナ服姿がかわいらしくてソソります。

 THE SEIJI「現場主任桜ちゃん」。あ〜なんかホッとするなあ。工事現場の主任をやっている女の子と、現場監督や作業員が、雨がざんざか降るなか作業小屋で一夜を過ごすことに。……とくると普通のエロ漫画だとすぐ作業員たちが獣になってとくるんだけど、この漫画はさにあらず。意外と監督さんがいい人でその一線は守ろうとする。人間模様に暖かみがあるし出てくるキャラがみんないい人っぽくて救われる。こういう殺伐としない作風は今日び貴重かもしれない。まあ結局はやるんですけどね。ワンクッション置くってのは重要なんすよ。


12/4(木)……精油穿つ坑

▼そういえば書き忘れてたけど、編集会議という雑誌の2004年1月号で「スポーツマンガベスト200」という特集をやっていて、その中でスポーツ漫画200本のカタログ部分の原稿を担当しました。分量にして20ページちょい。以前少女漫画のカタログをやったときは3人のライターさんで分担してたみたいだけど、今回はほぼ一人で全部書いた。1作品100文字ずつと短い紹介ではあるものの、さすがに200本やるとけっこう疲れる。この手の短い紹介文をいくつも書くという仕事はほかにもやってるけど、50本くらいぶっ続けで書いていると頭に血が登ってクラクラしてくる。でも原稿書きの最中にいろいろ調べてみて勉強になったし、けっこう面白かったりはしました。

▼5日売り
【雑誌】桃姫 1月号 富士美出版 B5平
▼6日売り
【雑誌】コミックPOT 1月号 メディアックス B5平
【雑誌】MUJIN 1月号 ティーアイネット B5平

【雑誌】キングダム 1月号 少年画報社 B5中

 佐野タカシ「イケてる刑事」。近藤くんの好男子ぶりが気持ち良い。今回はあんまりエロサービスはないけどそれでも楽しい。ヤングキングとキングダムは人情味のある作品が多くて好き。私屋カヲル「青春ビンタ!」もそういった人の良さを感じさせる漫画。ビンタを慕い続けるアミちゃんも、ときどき暴走するけど健気でいい娘さんだな〜と思う。米餅昭彦「けい×どろ」は、例のおまわりさんが小便をするときなんでズボンを尻のところまで下ろすのか、それだけで1話まるまる。それにしてもおまわりさんの髪型は若いころからスゴい。強烈的印象。

【雑誌】モーニング 1/1 No.1 講談社 B5中

 山本おさむ「Hey!!ブルースマン」。今回はメンバーの内山の若いころの物語。本当のブルースマンがどんな生活を送っているのかは知らないが、一人の音楽青年の物語として見てちゃんとアツい。うめ「ちゃぶだいケンタ」。日向子の策略によりサワに魔の手が迫っていて萌え……いやハラハラドキドキという展開。それにしても最近ケンタは毎度カッコイイ。

【雑誌】ヤングサンデー 1/1 No.1 小学館 B5中

 小田原ドラゴン「小田原ドラゴンくえすと!」。今回ドラゴン先生は声優学校に潜入するのだ。という内容のお話。汁男優編やストリッパーの追っかけ編と比べると今回はあんまり生臭くなくてちょっと物足りなかった。もっと声優に都合のいいドリームを抱いてわらわら集まってくる、むくつけき男たちの内面の吐露を見たかった。

【雑誌】ヤングジャンプ 1/1 No.1 集英社 B5中

 漫革でシリーズ連載されていた高野洋「国境を駆ける医師イコマ」が本格連載に昇格。紛争地でボランティアで活動する日本人医師イコマが、戦争の最前線の中で自分のやれること、そして人間の命というものを見つめていく。高野洋の絵柄自体は若干コミカルなところがあるものの、描かれていることはなかなかハードで読みごたえがある。初っぱなから戦地における命の無常を見せつけており、この調子で続いていけばけっこうな力作になりそう。あと最近みやすのんき「東京ナンパすとりーと」は、ザ・すっぽんズの面々が出世を遂げたりしてて思わぬ展開を見せている。なんだか意外と読んじゃう。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 1/1 No.1 秋田書店 B5平

 佐渡川準「無敵看板娘」。今回はめぐみが美輝の格好をして悪事を働き、美輝の悪評を広めようとするが、当然めぐみの悪だくみなど成功するはずがない。そんなことよりめぐみの美輝コスプレがけっこうイイ。そういうところに着目したい回だ。能田達規「ORANGE」。昇格へ向けてのクライマックス。最後にガルマンが意地を見せるか。いやー面白いです。

【雑誌】ポプリクラブ 1月号 晋遊舎 B5中

 井ノ本リカ子「プリティ♥サイズ」が最終回。毎回楽しみにしていた作品だが、今回も甘くラブラブでいい締めくくりだった。まあ要するに一目惚れから始まったカップルがいちゃいちゃするお話で、それだけっちゃそれだけなんだけど、女の子が初々しく徹頭徹尾甘ったるい。ピンチな局面もとくになくドラマチックというわけじゃないが、幸せたっぷりな物語は読んでて気持ちが良かった。井ノ本リカ子独特の白くてやわらかそーな女体描写も、読む者を包み込むような慈愛に満ちているし。分量も十分なんでそのうち単行本にまとまると思うけど、読み返してまた浸るのが楽しみ。

 宮崎摩耶「スパルタすもう部」。すもう部にただ二人だけ残された部長と女子部員が、土俵の上でHな特訓を繰り広げる。部長さんが九州弁でやたら勢いが良く、馬鹿馬鹿しいお話になってる。ノリがすごくくだらなくて好きだなー。へかとん「満月に満ちる想い」は、およめに行ったお姉ちゃんが夫婦喧嘩して弟のところに押しかけてきてH。めがねっ娘で優しそうなお姉さんがかわいーざんす。相変わらず滑らかでかわいい良い絵。頭身縮んだときの作画とかも愛敬があっていいなあ。一つひとつの線がつるりんとしてて、萌え系の絵の中でもかなりフレッシュな感触。


12/3(水)……スペシャル・バシュクテンタット・エディッション

▼Amazonで予約しておいたDVD「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔 スペシャル・エクステンデッド・エディッション」[Amzn]が到着。どうしようかな〜と思ったけど、本日は読む漫画も少なく比較的時間に余裕があったこともあり、我慢できずにすぐ見てしまう。今回のDVDでは劇場未公開映像が43分追加。223分と4時間近くなったがお話はサクサク進むのでさほど長くは感じなかった。さすがにこんなに長く踏台を踏んでるわけにも行かないので、最後の1時間だけ踏みながら見た。

▼スペシャル・エクステンドッド・エディッションでは、劇場版で省略されていたエントの飲み物とかのエピソードがちゃんと含まれてたし、ファラミアのディティールも詳しくなってて、原作ファンとしては満足感が高い。ローハンがらみの名前で、本来は男性名であるエオサインをちっちゃい女の子に当ててたり、黄金王ブレゴの名前を馬の名前にしてたりといった「ん?」と思うところもあるけど、これはむしろそういった固有名詞も出してやろうというピーター・ジャクソンなりの配慮なのかなーと思った。まあ映画に関しては、原作のように繰り返し繰り返し観賞するというタイプの作品ではない気はする。でも原作ファンも映画からの人も楽しめるように作ってあっていいんじゃないでしょうか。まあ細かなことはぐだぐだいってもしょうがないし。

▼どうでもいいことだけど、バシュク・テン・タット(表記はあやふや)は池上遼一のSF漫画「聖・少年戦士伝 星雲児」に出てくるキャラですよ。泣いてバシュクを斬る。

▼それにしても毎年書くけど、12/17号なのにNo.1というのはよく分からんのでやめてほしい。人間よ、もうよせ、こんなことは。

【雑誌】週刊少年サンデー 12/17 No.1 小学館 B5平

 目次のところに出ている高橋しん「きみのカケラ」の休載についての編集部コメントが、前号までは「体調不良のため」だったのに今回は「取材のため」になってた。作者のオフィシャルページによれば、単行本2巻もちゃんと18日に発売されるらしいんで、そろそろ活動再開も近いのかもしらんですな。まあ「きみのカケラ」はあんまり面白くないので別に再開しなくてもいいかなとは思うけれども。井上和郎「美鳥の日々」。セイジが初恋の想い出を美鳥に語るというエピソード。この初恋の君のめがねっ娘はきっと再登場すると見た。ていうかしないわけがないだろうという気がする。次号で「驚天動地のビッグニュース発表」があるらしいがアニメ化ですかね。そんなんで今さら天が驚き地が動いたりするとも思えないけれども……。あおやぎ孝夫「ふぁいとの暁」は最終回。悪くはないんだけど突出したモノもなく、あんまり印象には残らない作品という感じだった。

【雑誌】週刊少年マガジン 12/17 No.1 講談社 B5平

 翔丸組に入るんだ。というわけで能條純一が新連載。「奇跡の少年」。これが少年誌初登場だったのね。内容はなんか宙に浮かんだりする異常な能力の持ち主である少年が主人公の物語。マガジンは何を企んでるんだ……という感じがしないでもないけど、もともとオカルトものは多い雑誌だし意外に合ってるのかもしれない。ただどうも雑誌全体としての方向性はてんでばらばらで、利益を出そうと焦ってるように思えてしまう。H読切の目黒広治「招鳥」やら、板垣恵介らの起用といい、即効性のありそうな劇薬をいろいろ試してみてる感じ。でもこれが全体として300万部とかそれ以上を受け止める雑誌の内容かというと疑問。マガジンの迷走はしばらく続きそうな気がします。

 そんな迷走の中から生まれた異形の華、宗田豪「天才料理人味の助」は、毎回ポカーンとさせてくれる。今回はよく分かんないけど突如アジーたちが北海道へ。獲れたてイクラ山盛りサービスが出てくるシーンの「ドロ〜ッ」「ドロ」という擬音にやられた。なんでわざわざマズそうに描くかなー。あと相手がジジイってだけで「どこかで会ったことある気がする」とか言い出す電波っぷりも素敵。アジーはかわいい女の子に弱い。

【単行本】「遺伝子レベル剣」 おおひなたごう イースト・プレス A5 [bk1][Amzn]

 おおひなたごうがいろんなところで描いた作品を集めた単行本。内容は本当にさまざまなんだけど、あの飄々としたギャグテイストはどの作品でも一貫してて楽しく読める。そういえば今回も帯にゆらゆら帝国の坂本慎太郎、それから宮藤官九郎がコメントを寄せているけど、おおひなたごうほど有名人ウケするギャグ漫画家も珍しい。それもそんなに漫画を読んでなさそうな人にもウケる。漫画マニア層の人からもチェックされている。それだけ活動のフィールドが広いってこともあるけど、独特ながらも実は汎用性の高い作風なんでしょうな。個人的にこの作品の中で一番ウケたのは、ピッチャーが投げたボールがキャッチャーミットに収まるときの擬音が「ダ・パーンプ」だったり「デキャーンタ」だったりするところ。こういう細かいところがツボにハマります。


12/2(火)……不払い度

▼3日売り
【単行本】「遺伝子レベル剣」 おおひなたごう イースト・プレス A5 [bk1][Amzn]

【雑誌】ヤングマガジンUppers 12/16 No.24 講談社 B5中

 作:山田風太郎+画:せがわまさき「バジリスク」は特別番外編。伊賀と甲賀の戦いが始まる前の、警戒的平和の時代のお話。なんかみんなのんびりしててほのぼのするなあ。蓑念鬼と小豆蝋斎が人のいいじいやっぽくて笑える。新井英樹「SUGAR」。今回はボクシングシーンなしだけど楽しい。中尾会長のキャラクターが最高。デパガー!!

【雑誌】漫画サンデー 12/16 No.48 実業之日本社 B5中

 作:倉科遼+画:和気一作「女優」が巻頭カラー。一人の大女優の人生を描いていくという物語だがなかなか読ませる。ただコマ割りが独特で読みにくく感じることもある。見開き右上のコマが両ページにまたがり、左ページの上3分の2→右ページ下3分の1→左ページ下3分の1というヘンな順番で読み進めなきゃならないときがある。これはなかなか慣れない。

【雑誌】百合姉妹 VOL.2 マガジン・マガジン B5平

 百合モノアンソロジーの第2弾。漫画執筆陣は森永みるく、速瀬羽柴、作:影木栄貴+画:蔵王大志、林屋志弦、紺野キタ、明治カナ子、大塚ぽてと、森高明子、山田可南、ナヲコ。きれいでキュートな絵柄の人が揃ってて雰囲気あります。まあ物語的にガッツリ読ませるという作品は少ないけれども。この中ではとくに紺野キタ「いずこともなく」がいい。女子校で寄宿舎で、気に入った娘さんと同室になるべく策略を巡らす少女。作画からお話から非常に徹底して女の子世界を描いている。この執筆陣の中でもホンモノ度は屈指でしょう。あと読ませるという意味では、巻頭の森永みるく「キスと恋と王子様」がいい。演劇部でみんな憧れてるけど本当はかなり天然ボケっぽい先輩と、その後輩ちゃんのお話。ゆるやかな恋物語になっていて微笑ましい。

【雑誌】コミックメガストアH 1月号 白夜書房 B5平

 ゆきみ「GEMiNi」。胃之上奇嘉郎っぽいシャープな絵柄がカッコイイ。ただやってることのハードさのわりには、エロとしては淡白かなーという気もする。流木念「仕事と私と」。彼女が風邪ひいて彼氏がお見舞いに。SEXして風邪がうつって……というおなじみパターンだが、王道だけに強い。ラブラブな雰囲気は心地よいし絵柄のほうも甘くてええ感じ。

【単行本】「のらみみ」1巻 原一雄 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 これは面白いです。ドラえもん、Qちゃんみたいな居候キャラクターが世の中にあふれかえり、彼らをご家庭に派遣する業務がビジネスとして成立している時代。そんな中、分かりにくいパーソナリティのせいか、受け入れ先がなかなか決まらないで派遣会社に居着いている主役キャラの「のらみみ」くんが、さまざまなキャラの生き様を見つめていくというストーリー。シンプルだけど味のある絵柄同様、ストーリーのほうも噛めば噛むほど……という感じになってる。各キャラの、キャラ人生の機微をちゃんと描いてて味わい深い。

 このキャラクターたちがパッと見、そんなに分かりやすい媚びるようなかわいさではなく、なんか愛着の持てるルックスをしているのがいい。愛玩動物という感じではなく、身近にいて楽しくやれる友達という感じがよく出ている。これ見てると本当に一家に一キャラ、欲しくなったりします。こういうキャラたちがいたら楽しいだろうなー。あとお子様にめぐまれないご家庭にもよろしいと思います。実際、ウチも息子がいつまで経っても嫁や孫を連れてこないことでお嘆きの親御様に、キャラクターの一人もプレゼントしてあげたいところでありますよ……いかん、暗い話になってしまった。作品のほうはそんな重いことはやってないので、安心して読める。IKKI掲載作品の中では珍しく「IKKI育ち」という雰囲気の強い作家さんでけっこう期待してます。

【単行本】「バドフライ」1巻 イワシタシゲユキ 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 ヤンマガUppersでやってる咲香里「やまとの羽根」といい、最近バドミントンものの漫画がちとアツい。こちらはビッグコミックスピリッツ連載。一見変人っぽいけど一本気で凄い才能を秘めた少年・如月茂一が、上級生の鈴森明菜に一目惚れしてバドミントン部に入部。明菜と付き合うためと始めたバドだったが、茂一はしだいにその競技の魅力に目覚めていくといったお話。イワシタシゲユキといえば、おそらくそらみみくろすけと同一人物。個人的には「放課後戦隊ゴタッキー」がかなり好きだったので、スピリッツで活躍しているというのはうれしい限り。作品の内容自体も、技術的な描写自体は多少大ざっぱな気もするけれども、展開は熱血していてけっこう楽しめる。主人公が本気になって練習しメキメキ力をつけていく姿には胸のすくものがある。あと普段はクールな明菜が顔を赤らめる姿がかわいかったり。いやー、頑張ってほしいものです。

【単行本】「MOONLIGHT MILE」7巻 太田垣康男 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 この巻は沢村が遭遇した宇宙ステーションでの事故とその脱出劇から始まり、お手製のロケットを打ち上げようとする少年たちの物語、そして月の裏側での米国の暗躍……と続く。次々舞台が変わるのでこの巻単体で見ると若干まとまりがない感じはあるが、力強いペンタッチと演出でグイグイ読ます呼吸は健在。豪放磊落に見えて、けっこう緻密に手堅く作ってあるしクオリティもコンスタント。良い仕事です。

【単行本】「アグネス仮面」4巻 ヒラマツ・ミノル 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 この巻では大和プロレスの残党である尾崎と吉井の二人が暴れまくる。アグネス仮面=仁悟もその動きに心穏やかならぬ状態。相変わらず強力なストーリー運びで面白い。ヒラマツ・ミノル作品は、キャラクターがみんな強力な個性を持っていて、作品世界でイキイキ動き回っている。作画力、演出力も確かでいつ見ても面白い。ここからの展開としては、とにかく悪役ヅラだけど実力もある尾崎が、アグネスと繰り広げる丁々発止の試合が非常に楽しみ。あと虎嶋のやりたい放題ぶりも。


12/1(月)……死の音ですのう

▼週刊誌の号数表記が2004年度に突入。明けましておめでとうございます。

▼未読物
【単行本】「のらみみ」1巻 原一雄 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「バドフライ」1巻 イワシタシゲユキ 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「MOONLIGHT MILE」7巻 太田垣康男 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「アグネス仮面」4巻 ヒラマツ・ミノル 小学館 B6 [bk1][Amzn]

【雑誌】近代麻雀 1/1 竹書房 B5中

 2003年度までは号数の日付部分の脇っちょに「vol.xxx」って書いてあったんだけど、2004年度に入ってからそれは表記しなくなったみたい。「通巻xxx号」って部分を見れば分かるけど、面倒なんでこれからはここでも雑誌に合わせて日付号表記だけにしときます。

 福本伸行「アカギ」。今回も一手も進めずに乗り切った。それでも読ませちゃうんだから凄いけど。作:朽葉狂介+画:木村シュウジ「Mahjong King's Fighters 覇王」。「5枚目の牌だろうと引けるもんだな………ククク…」というセリフに笑ってしまった。このおっさんにはぜひ竜と対決してもらいたいもんですな。そして有名な「5枚めの白」を引いていただきたい。

【雑誌】ビジネスジャンプ 1/1 No.1 集英社 B5中

 原案:本宮ひろ志+作:田原成貴+画:能田茂というなんだが本宮グループ総がかりって感じの短期集中新連載「嘘」がスタート。現代生活のさまざまな局面に潜む嘘を描いたヒューマンドラマ。能田茂は「頭取 野崎周平」の連載も並行して描いており、なんだかパワフルに仕事してます。

【雑誌】ヤングマガジン 1/1 No.1 講談社 B5中

 作:大友克洋+画:ながやす巧み「沙流羅」の最終章が始動。といってもここまでの物語をきちんと追えてるわけじゃないので、正直いってよく分からんかったりもするんですが、いちおう情報ということで。平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」。ケンヂとゲンが温泉宿でおかみと……。なんかこの二人がそういうことするとは思ってなかったんで意外な展開だった。福本伸行「賭博破戒録カイジ」。坂崎のおっちゃんの「至福の雑用」と、遠藤の「至福の傍観」に笑った。やっぱこの人面白いよなー。言葉のセンスがいい。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 1/1 No.1 小学館 B5中

 作:宮藤官九郎+画:山田玲司の新連載「ゼブラーマン」がスタート。この作品は映画のプロジェクトも進行してるそうで、監督:三池崇史、主演:哀川翔で2004年2月14日に東映系全国ロードショーが封切られるとのこと。で、お話のほうは2010年の東京が舞台。家庭は崩壊、受け持っている学校のクラスも生徒が授業放棄。家庭でも職場でもやる気なく過ごしており、唯一の楽しみである趣味の特撮の世界に逃避していた小学校教師が主人公。で、彼がかつて見た特撮ヒーローであるゼブラーマンの姿で迫り来る怪物と戦うというストーリーになるのかな? とりあえず1話めは引き込まれる展開でけっこう面白く読めはした。小田扉「団地ともお」。今回はともおの馬鹿さ加減をいいように利用している友達の吉本が、良心の呵責に悩むも、ともおはそんなことまったく意に介していない……というエピソード。少年の葛藤を描き出しつつ、ともおの馬鹿さ加減になんだか救われるお話。なんかしみじみ味があって浸みこんできますわい。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 1/1 No.1 集英社 B5平

 作:大場つぐみ+画:小畑健の新連載「デスノート」がスタート。2003年8/18 No.36に読切掲載された作品が本格連載化。名前を書くとその相手を死に至らしめる「デスノート」が巻き起こす出来事を描いていくというお話。オカルトっぽいお話はそんな好きなほうじゃないけど、漫画としてしっかりしてるし、初回はまず興味深く読めた。次回以降、どんなふうに物語を転がしていくのか楽しみ。和月伸宏「武装錬金」は、ブラボーさんとカズキがなかなかいいコンビ。あとカズキ妹のボケっぷりや蝶野の行動も相変わらずいい味。笑わせたりほのぼのさせたり熱血したりとバランスが良い。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 1月号 少年画報社 B5中

 今号は長谷川哲也「ナポレオン〜獅子の時代〜」が表紙。なんかもう、パッと見アワーズがバンチになったみたいな印象。で、ページをめくると巻頭カラーで楠桂の新連載「イノセントW」がスタート。特殊な能力で探し物をする「捜し屋」という商売を営んでいた比良坂真琴が、魔女を探すという謎めいた依頼を受けるところからお話はスタート。「魔女」というモノを巡るオカルトっぽいお話になる模様。がぁさん「ハニハニハッ!」は第一部終了。単行本は年明けに発売とのことだが、第二部はあるのかなー。なさげな気配だけど。磯本つよし「東京クレーターのアカリ」。うーん、この人は見るたびに惜しいなーと思っちゃう。絵はうまいし気持ちのいい画面作りもする。だけど複雑なストーリーでもないのに、お話が頭に入ってこない。画面内での強調するべき部分がちょっと違う、つまり構図取りがあんまりうまくないんだと思う。ちともったいない。

【雑誌】デラックスマーガレット 1月号 集英社 B5平

 アルコの70ページ読切「ヤスコとケンジ」が掲載されていたので買ってみた。父母が死に、元ヤンで現在漫画化の兄と二人暮らしな女の子が、何かにつけて口を出してくる兄に苛立ちながらも彼氏を作るが……というお話。コメディタッチのドタバタ話。うーん、コメディタッチのアルコはあんまりピンと来ない。別に面白くないわけじゃないんだけど、飛び抜けた印象は受けない。そのほかの作品についてもあまり琴線に触れてはこなかった。全般に「この作家の影響受けてます」ってのが見えちゃう作風の人が多いような気がした。

【雑誌】COMICパピポ 1月号 フランス書院 A5中

 うろたん「Newmanoid CAM」の5話めが掲載。この人の描くおくち&ちんこはなかなかエロくて気に入っている。今回のお話ではロリっ娘ニャーマノイドが登場。個人的には乳の大きいほうが好きなんでキャムのほうがいいが、それでも舌の描き方とかがねちっこくて十分実用的に感じる。もう少し登場頻度が高まるといいんだけど。後藤羽矢子は、パピポ連続掲載100回記念ということで、通常の漫画のほかに記念漫画「100回記念日」も描いている。これは作者の創作裏話的な作品。4コマ方面で忙しくしつつもエロ方面でも欠かさず描き続けているのはご立派。ももんこーじ「おねがい。」。パピポの新人賞からデビュー。先生と肉体関係にある女の子が、その関係をバラされないために身代わりとして親友を男子に差し出す。ぷりぷりつやつやした肉感のかわいらしい絵柄はわりと好み。ただ絵柄に似合わずお話は案外殺伐としてるなあ。D.P「いっしょにイこうよ!」。すごく感じやすくていつも彼氏をほったらかしてイッてしまう女の子が、すぐにイカないようになろうと特訓するが……というお話。シャープな描線による作画が達者でヒロインの女の子さんもなかなかかわいい。


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