2003年1月下旬


1/31(金)……スクワットをしてスカッとしよう

OHP月極アンケートテーマ入れ替えで、2月は「学園モノ」に。まあ一口に「学園モノ」といっても、学校を舞台にした漫画は数多くなんでもかんでも入れちゃうと曖昧になってしまうので、「アマチュアスポーツモノ」とかそういうのは抜きにして、「いかにも学園モノ」「学園モノとしかいいようがない」的な作品を選んでみていただければと思います。

▼OHP月極アンケート1月分「ベスト漫画雑誌2002」が終了。こちらは以下のような結果に。

順位2000年2001年2002年
1コミックビームコミックビームコミックビーム
2アフタヌーンIKKIIKKI
3アワーズライトシーズン増刊
アワーズライト
週刊少年サンデー
4週刊少年ジャンプアワーズライト
5モーニングアフタヌーンシーズン増刊

▼ついでに過去3年分の上位5位をまとめてみた。このアンケート全体にいえることなんだけど、見事に売上と関係ない順位になっている。3年間の流れを見ると、アフタヌーンがじょじょにランクを下げて2002年は6位となっているのに対し、IKKIが2年連続2位と台頭。惜しくも昨年に続きビームに1票差でかわされたが、マニア層からの評価は固まりつつある。個人的には「またビームかよ」とかいわれるのもしゃくなので今回こそはIKKIが行ってほしいと心の中では思っていたりもした。このアンケートでは常連組だったアワーズライトとシーズン増刊が2002年中に休刊したので、来年やったらまた多少違った顔ぶれになってきそう。

▼さて、毎年このテーマでやっているのは自分の好きな雑誌が少しでも売れてくれればいいなあという想いからなんだけど、最近よく考えるのは「どうやったら人に雑誌を読んでもらえるだろう」ということ。なんでこんなことを書くかといえば、そりゃあもうちゃんと売れてくれないと自分の好きな雑誌がつぶれてしまうからにほかならない。どんな雑誌であろうと誰かが買わなきゃつぶれる。そして雑誌がつぶれると連載も止まる。単行本だって出なくなる。それは自分にとって損だから、ぜひ雑誌には売れていただきたい。

 ところでこういうサイトをやっていると痛感するんだけど、人に紹介したモノを読んでもらうってことはたいへん難しい。まあそれは自分の文章が良くないから、というのは多分にある。間違いなく。それはすぐどうにかできるもんでもないのでそのうち改善していくよう心がけるとして、それは別としてもそう簡単にはいかない。例えば身近な人に対し、その人の趣味に合いそうな本を渡してみてもそう簡単に読んではくれないもんである。ましてや相手が不特定多数の場合はなおさら。単行本ならまだしも掲示板とかで「オススメされていた本を読んでみました」とかいってもらえることはまれにあるし、Amazonやbk1のアソシエイトを見ててもある程度の手応えが得られることはある。でも雑誌の場合はそういうことが単行本に比べて少ない。

 まあ書店でもろくに見かけないような雑誌が消えていくのは仕方ないことだし、休刊するような雑誌には販売戦略や内容の面で何らかの原因があるのだろう。つまり、人に買わせるだけの力、方策をその本が持っていなかったということだ。また、雑誌というスタイルがすでにあまり流行らなくなっているのも事実だとは思う。それは分かっちゃいるんだけど、好きな雑誌が休刊するのを指をくわえて何もできず見ているだけってのはもうイヤだという気持ちがあるのも確か。読者がそんなことまで考えるのはさしでがましいことではあると分かってはいるけれども、何かできる範囲でいい方法はないもんすかね。まあとりあえず、みんなもっと雑誌買おうぜ〜、というか買ってください。

▼未読物
【単行本】「π」1巻 古屋兎丸 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「サユリ1号」4巻 村上かつら 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「SS」7巻 東本昌平 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「無敵看板娘」2巻 佐渡川準 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

【単行本】「ペット」1〜2巻 三宅乱丈 小学館 B6 [bk1][Amzn:1巻/2巻

 いや〜面白い。これは引き込まれる。他人の記憶の中に入り込み、その記憶の消去・変更を行うことのできる特殊能力者たちの物語。彼らは中国人マフィアによる「会社」の監視下にあり、過酷な任務を強いられている。

 この作品で描かれる超能力で面白いのが、記憶における「ヤマ」と「タニ」という概念。ヤマは「その人を支え続ける記憶が作った部位」、タニは「その人を痛め続ける記憶が作った部位」のことを指す。当然記憶におけるヤマの部分は幸福感に満ちており、タニは陰鬱で悪夢的である。このヤマの部分を破壊してしまえば人間の人格は崩壊する。この二つの部位と、通常のなんでもない記憶の部分を操作することで、人を思いのままに動かすのが特殊能力者たちの役目である。

 しかし能力者たちにも当然人格はあるし、能力者たち同士の絆は深い。この物語の時点だは、彼らの想いと会社の利害に齟齬が生じていきさまざまな事態が展開していく。この作品において、三宅乱丈の描写力は冴え渡っている。「記憶」というものは非常に抽象的で、漫画にして見せるのは非常に難しいと思うんだけど、それをしっかり具象化してさらにいろいろな形にこねくりまわして物語を構成していく手際は鮮やか。それから他人の精神に対する感応力がありすぎるという、普通だったら障害とさえいえるような能力を抱えて生きていく、能力者たちの生き様を描いた物語も非常に吸引力が強い。

 昔は超能力モノといえば念動力や透視能力といった物理的な能力を駆使したものが多かった。で、最近は(超能力モノ自体が減ってきてはいるものの)読心力を中心とした精神的なもののほうが増えてきているような気がする。「他人の記憶を操る」という能力は精神系のほうだが、漫画ではこれまでさほど扱われてこなかったジャンルであると思う。それだけにいろいろと新鮮な展開が生まれてきそう。三宅乱丈にはもっとガッツンガッツン、この路線を突き詰めていってほしい。すごく期待している。

【単行本】「ナイトクレイバー竜一」1巻 稲光伸二 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 対人恐怖症のせいで、お店に行ってもモノを買うこともできないがために万引きを繰り返し……という状態にあった内向的な少年・竜一が、その異常なまでの手さばきを見込まれて、ストリート麻雀の世界へと引きずり込まれ、そこでようやく自分の生きる場所を見出していくというお話。……とあらすじを書いてたら、なんか「ホーリーランド」みたいなストーリーだなとかちょっと思った。要するにストリートファイトが麻雀になっていると考えればOK。真夜中のストリートで手積みの卓を囲んでいる状況というのは考えてみると異様だが、演出にハッタリが利いているのでそんなに違和感なく読める。イカサマバリバリの麻雀模様は、刺すか刺されるかという緊張感があっていい。あとスリカエは必殺技っぽさが強くて、数あるイカサマ技法の中でもカッコイイと思う。まあ麻雀好きにとってはここまで何でもアリだとちとキビシイというのはあるかもしれないので、それを補うだけの演出を期待といったところ。少年が自分の殻を破って成長を遂げていくという物語でもあるので、読んでてけっこうカタルシスもあります。

【単行本】「しゅーまっは」7巻 伯林 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 これにて最終巻。途中いろいろなことがあった作品ではあったが、内容についてはまったくぺースを崩さず、最後まで面白く読めた。結局ずーっとおじいちゃん以外の男の子はほとんど登場せず、しゅーまっはと女の子たちがきゃいきゃいとドタバタ。その様子を見ているのは素直に楽しかった。ラストもオースルターキャストできっちりしてたし。この前チャンピオンREDでの連載も終わったことだし、そろそろ次回作にも期待が高まろうというもの。

【単行本】「ももいろさんご」4巻 花見沢Q太郎 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 連載途中から2色カラー化されたってことで、今回は1色/2色混合。しかも単行本の構成上2色カラーを前のほうに持ってくる必要があったため、前の方のモノクロパートが、単行本の後半部になっているという変則的な構成。でもなんとなくこういう作りも許せちゃうゆるゆるな空気が、花見沢Q太郎の単行本にはありますな。で内容のほうは2色になってからますますH度を高めている……というか、もうなんだかんだでやりまくり。2色になったから色を使いたいと思ったのか、トマトジュースまみれの泥レス状態〜みたいな回とかもあったり。そんな中、さんごはどんどん湊(および入江)のペースに流されていき、Hもうまくなっていってしまうのであった……という状態。ちなみにモノクロのころのヒロインであった百合子さんは、どんどん影が薄くなっており、もう見る影もなし。まあそれはともかくかわいくてHで楽しいです。

【単行本】「ケロロ軍曹」6巻 吉崎観音 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 相変わらず面白い。キャラクターも十分かわいいし、サービスシーンや細かなギャグを差し挟むタイミング、力加減も心得たもので、非常によくできたドタバタ日常モノとなっている。いや〜本当にうまいと思いますよ。そしてこの巻はすごくヒキの強いところで終わってて「そんな〜」ともちょっと思った。あと巻末には、ニュータイプ増刊「まるごと一冊!ポケットゲーム」に描き下ろしで登場した特別出張版の「ケロロぐんそう。」も収録されている。若干子供向けにアレンジされたバージョンという感じでしょうか。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 2/14 No.4 小学館 B5中

 高田靖彦「ボールパークへようこそ」。メジャーの野球場ってのはいいもんですなあ……と憧れを誘う回。と同時に、日本でこういう雰囲気を作るのはすごく難しいだろうと彼我の差も感じてしまう。画:土田世紀+作:滝直毅「ギラギラ」。ガッチリ面白く読ます。今回の公平はかなりピンチ。ここで引くわけにも行かないし、さてどうするのか楽しみ。

【雑誌】コミックバンチ 2/14 No.9 新潮社 B5中

 賞金総額1億円の漫画賞、世界漫画愛読者大賞の第2回分エントリー作品の掲載が今号からスタート。ということもあって、表紙は第1回組の日高建男「満腹ボクサー徳川。」と松家幸治「ガキんちょ強」が飾っている。「ガキんちょ強」のほうは微妙かなとも思うけど、いちおう10作品のうち2作品が連載として定着したんだから、まあまあというべきか。で、第2回めのほうのトップバッターは谷川淳「軍神の惑星」。火星に人類が移民してから半世紀以上が過ぎた西暦2118年。かつては幼なじみとして仲良くしていたアッシュ、ジーナ、クリフの3人が、地球・火星の双方に別れて戦火の中で相まみえる……というストーリー。別に宇宙モノが古いとはいわないが、絵柄は古い。途中まで読み進めていつ来るかいつ来るか、と思ってたらやっぱり来た。「パワードスーツ」!! パワードスーツが出てくる宇宙モノの漫画なんて久しぶりに見たような気がして、なんか嬉しくなってしまった。続きを読みたいかと聞かれたら……うーん、どちらでもいいって感じかなあ。

 渡辺保裕「ワイルドリーガー」。「山森雅文リスペクトなのサ」というセリフといい、相変わらず野球マニアにはたまらんネタを使ってくるなあ、とか思っていたら最終ページのあまりにも熱血な描写に爆笑。いろいろ面白い作品だ。ところで広島カープの応援には、「スクワット応援」なるものがあるらしい。要するに選手名を連呼しながらスクワットを続けるというもので、当然のことながらえらいハードであるらしい。恐ろしいチームだ……。


1/30(木)……諸苦行功労者

▼1月30日付けの新文化ニュースフラッシュによると、KKベストセラーズが3月25日に月刊で「手塚治虫マガジン」を創刊するとのこと。コンビニが65%で書店が35%。30万部も刷るのか……。買うかどうかは掲載作品しだいかなー。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 3月号 少年画報社 B5中

 表紙で「エクセル・サーガ」のエルガーラが持っているデジカメはCyberShot Uかな。ロゴが「AX Shot」となっているけど。裏表紙の「朝霧の巫女」の人(キャラ名知らない)もデジカメっぽいものを握っているが、こちらは機種判別はできず。さて、長谷川哲也「ナポレオン −獅子の時代−」。今回は「おフランスのォォォ大陸軍はァァァァ」といった感じの内容。男臭くてカッコイイぜ、皇帝陛下。脚本:余湖裕輝+画:田畑由秋「コミックマスターJ」。メジャー週刊誌の増刊系の雑誌で進行上のトラブルが発生し、アニメ化も決まっているメディアミックス作品がピンチに……というネタ。なんかいろいろ個人名が頭に思い浮かんだりしてちょっと笑った。

【雑誌】モーニング 2/13 No.9 講談社 B5中

 林明輝「Big Hearts」。保谷のボクシングシーンと、その彼女であるアイドルの新曲の売り込みをシンクロさせる演出はなかなかうまく、ストイックな作りで読ませる。堅実に面白い。ただ絵柄とか画面作りが淡々としているので、もう少し誇張とかしてもいいんじゃないかなあとは思う。作:西村ミツル+画:かわすみひろし「大使閣下の料理人」。今回から北朝鮮をモデルとしたN国シリーズが開始。ホットな題材でもあるし面白くなりそう。北朝鮮の料理というとあんまりおいしくなさそうなイメージがあるのだけど、そこらへんのイメージを覆すような料理を紹介してくれるとうれしい。

【雑誌】ヤングサンデー 2/13 No.9 小学館 B5中

 作:魚柄仁之助+画:大谷じろう「おかわり飯蔵」。今回出てきたウツボを使った料理の数々はなかなかうまそうで興味深かった。ウツボはともかくとして、この作品に出てくる料理はわりとすぐ実現できてかつ美味しそうなものが多く、料理漫画としてはかなり実践的な部類に入ると思う。絵はちょっと微妙なラインだが、じょじょにうまくなってきているような気もする。

【雑誌】ヤングジャンプ 2/13 No.9 集英社 B5中

 新連載、作:倉科遼+画:井上紀良「夜王」が巻頭カラーでスタート。「ネオン街の巨匠コンビ降臨………………!!」とか書いてあることからもうかがえるとおり、新宿歌舞伎町を舞台に、ホストの世界で成り上がろうとする青年のサクセスストーリー。なんか最近、ホストを中心に銀座や歌舞伎町などの夜の世界を扱った漫画が増えて来ている。ビッグコミックスペリオールの土田世紀「ギラギラ」、イブニングの富田安紀良「NIGHT BLOOD」など。「一見派手に見える世界だけど実は甘くない、泥臭い世界なのだ」という設定が容易に作れるので、けっこう漫画にしやすい世界といえるかもしれない。「夜王」もとくにアテもなく東京に出てきてイッパツ当てたいという主人公が、ホストとしてイチから修行して成長していく……というお話で、このジャンルとしてはスタンダードな作り。いかに男をカッコ良く描けるかがカギでしょう。

 山花典之「妹 あかね」。あかねのナイスバディを描きつつ、お兄ちゃんを生殺しにし続ける。そろそろこのお兄ちゃんもおかしくなっても不思議ではない。みやすのんき「東京ナンパすとりーと」。こちらはストレートにエロコメ。ドタバタしつつHなサービスをふんだんに取り入れ、面白おかしく展開させるあたりはやっぱうまい。カラッと明るく、健全にさえ思えてしまう。みやすのんきは素晴らしい。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 2/13 No.9 秋田書店 B5平

 上原に160km/h投げさせるのはどうかと思う。それはさておき、能田達規「ORANGE」がアツくて面白かった。今号でいちおう代表騒動に対してムサシが自分なりの答えを示す。個人技、チームプレー、どっちもバランス良く描いてていいですな。八神健「ななか6/17」。バレンタインデーということで、クラスの女子はソワソワ。でも風祭さんはヒロ(ななかの別人格)のことが忘れられない。最初は17歳ななかが風祭さんにちょっと夢を持たせてきれいに締めくくるのかと思いきや、意外とシリアスな展開が待っていた。次回が気になる。あと雨宮さんがチョコをどうするかも。

【雑誌】エンジェル倶楽部 3月号 エンジェル出版 B5平

 巻頭カラーは笑花偽の新連載「Menu」。母一人娘3人の女だらけの家の長女と、有名レストランのシェフだった男が結婚。……と書いた時点で「そのあんちゃんと家族の女たちがやりまくるのだろう」と思った人もいるかもしれない。もちろんその通り。今回は未亡人である色っぽい義母編。グラマー、かつ汁っ気の多い女体描写は実用度高め。この調子でやりまくりな連載になっていきそう。ただこのような設定でいつも思うのが、男1に対して女4というのはちと多すぎではないかということ。男は1回出すとすぐ次ってわけにも行かないので、4人同時に満足させるのは難しいと思うのだが。そこらへんで疑問を感じてしまうので、多人数モノでは男の数が若干多めなほうが個人的には好きだったりする。奴隷ジャッキー「A wish」。前回初詣の混雑の中でもみくちゃにされていた主人公憧れの彼女は、今度は電車内で痴漢されまくる。相変わらずテンション高い。それにしても奴隷ジャッキー語はいつもながら新鮮だ。今回の「お口ンポ(おくちんぽ)」というのもスゴいセンスだと思った。

【単行本】「弥次喜多 in DEEP」8巻 しりあがり寿 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

 ずっと発売延期が続いていた最終巻がついに終了。弥次喜多がお伊勢さんに到着した後は、彼らが不在のまま「リアル」という概念のみが、鳥息子のご託宣に乗って暴走を続けその混乱、狂騒がこの巻で最高潮を迎える。ラフな、ときに子供の落書きのようにさえ変化する描線が、ここぞというときに生み出す爆発力は相変わらずすごい。現実のような現実でないような世界は最後までゆらゆら揺らぎ続け、読者をどんどん予期しない方向へと導いていく。その牽引力の強さは恐ろしいほど。ラストシーンをどう取るかは読み手しだい。これだけあやふやで曖昧模糊とした世界を、これだけのスケールで描いた作品はまれだと思う。とにかく一度は読んでみる価値のある作品だということは間違いない。そして繰り返して読んでも得るものはきっとある。前シリーズに当たる「真夜中の弥次さん喜多さん」の第1巻が1996年発行。長きにわたったこの大作を、最後までしっかり描き切ったしりあがり寿に敬意を表したい。

【単行本】「職業・殺し屋。」 西川秀明 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 エロス!アーンドバイオレンス!! という感じでその2本柱がどちらもかなり強烈に展開されている作品。主人公は、普段はぬーぼーとしたサラリーマンだけど、裏では殺し屋をやっており「銀髪の蜘蛛」などと呼ばれている。彼はかなりクレイジーで、殺人淫楽症っぽいところがある。しかしその内面には哀しい真実も抱えていて……といった具合。とにかくエロも殺人も密度が濃い。エロシーンに関しては作者がまみやこまし名義でエロ漫画を描いていたころと同等レベル。いや絵がうまくなってる分、こっちのほうが濃いかもしれない。そしてゲラゲラ笑いながら人を殺しまくる主人公のキャラも凶悪で、大変味付けの濃い刺激の強い作品となっている。

 そんなわけで狂おしいセックス&バイオレンスに抵抗のない人には楽しめる作品となっているのだが、個人的には物足りない点が一つ。それは主人公の殺し方がちとアッサリしすぎに思われること。だって悪役の人たちはかなりヒドいことしてるんだよね。例えば第1話に出てくる男たちなんざ、さらってきた女を生きたまま切り刻んでファックするといったスプラッター系のビデオを撮ってて、事情もなんも知らないAV女優のおねーさんとかを金と引き換えに売り飛ばしちゃったりしている。それなのに殺し方が首をスパッと斬るだけというのはちともったいない。生皮を1枚1枚剥いでいくとか、鋸引きにするとか、もー少し苦しませて殺したほうが溜飲は下がったと思う。エロのほうがバリバリに濃いめであるだけに、殺し方もそれに見合ったものにしてほしかった。……なんかヒドいこといってるな、俺。

【単行本】「マウス」9巻 作:あかほりさとる+画:板場広志 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 ようやくメイさんと無事落ち着いたマウスだったが、しかしそうなってみて分かったのが彼は天然のヤリチンであったということ。あっちでもこっちでも、行く先々でやりまくるという繰り返しネタに思わず笑ってしまう。とくに良かったのがワンに負けて失意のマウスを慰めようと、奴隷軍団がご奉仕するシーン。やりまくった女体が累々としている中で、メイさんがシリアスになってるシーンとかすごく異様。よくこんな馬鹿馬鹿しいシーンを描くもんだなあと感心する。これはたぶん板場広志がけっこううまく漫画化してるんじゃないかって感じもする。で、単行本の後半からはマウスvs.蛭子編という、わりと長めでシリアスなエピソードに突入。

【単行本】「蛮勇引力」4巻 山口貴由 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 これで最終巻。神機力という万能エネルギーによってすっかり魂を失った日本の体制に、浪人者の由比正雪が単身立ち向かっていく……という設定は、なかなかハッタリが利いてて良かったんだけど、いまいちその後がノリきれないまま推移しちゃった印象。善玉悪玉ともに、もっとアクが強いほうが良かったかな。神機力を使った敵の場合、極論しちゃうと機械だから、少しクリーン過ぎたような気もする。


1/29(水)……愛と黒炭

▼Yahoo!ショッピングのバーゲンセールで、普通15万円以上はするNECのノートパソコンLavie L 550/4Dが9万9800円で出ていたので、買おうと思ってセール開始の正午にアクセスするもすでに品切れ。自宅用に3スピンドルノートが欲しかったので狙ってたんだが。くやしー。

【雑誌】週刊少年サンデー 2/12 No.9 小学館 B5平

 橋口たかし「焼きたて!!ジャぱん」。馬鹿馬鹿しくていいなあ。なんか最近、美味しいパンを作るためには奇人変人でなければいけないような気さえしてきた。雷句誠「金色のガッシュ!!」では、ガッシュに恋する魔物が登場。かなり天然系で、また一人、面白いキャラが加わった。ところで今号ではキャラクターの人気投票の結果も掲載。個人的にはウマゴンが魔物の王になるのがいいと思う。井上和郎「美鳥の日々」では新たなコス導入。乳あり。サービスいいねえ。

【雑誌】週刊少年マガジン 2/12 No.9 講談社 B5平

 巻頭カラーで始まった新連載、兼山臣「シチサンメガネ」は、イジメられっ子の少年が街で強引な男につかまえられてお笑い芸人の相方をやらされる……というところから始まる「芸人学校」漫画。なんというか非常に微妙なところを攻めてきたな、という印象。絵とかはけっこううまいと思う。

【雑誌】コーラス 3月号 集英社 B5平

 松田奈緒子「レタスバーガープリーズ.OK,OK!」。なんちゃって太宰と呼ばれた作家が綾に惚れてしまい、これまで鉄板だった稲造−綾ラインに一波乱。まあなんちゃって太宰が最終的に勝利を収めることはまずなさそうだが、展開としては面白い。読切、甘夏堂「ホースマン」。以前つき合っていた男と別れ、彼と一緒に始めた喫茶店も店じまいしようとしていた女性を、店の最後の日に現れた馬頭の着ぐるみをかぶった男と彼女の大学時代の仲間が励ますというお話。すごいインパクトがあるというタイプではないけど手堅く読めるし、絵柄もスッキリしていて後味のいい作品。

【雑誌】快楽天 3月号 ワニマガジン B5中

 SABE「阿佐ヶ谷腐れ酢学園」が!ついに3月中旬に!!単行本化されてしまうことが決定。バンザーイバンザーイ。いい加減まとめて読みたかったのだ。今回もなんか学園はヘンな方向にどんどん進んでいっている。ペンギン虐待女が日和っちまったせいで大量発生したペンギンたちが、無表情でヤリまくっている姿は得も言われぬ迫力。そんなわけで、メディアファクトリーも「串やきP」の3巻を出してください。お願いします。

 西安が初登場。「Sの苦悩」。巻頭カラー4ページだけなんもうちょっと読みたかったな〜という感じ。絵のほうは相変わらずキリリとシャープ、かつ肉感的でえらくうまい。朔ユキ蔵「檄!放尿少女隊」。なんというかもうタイトル見ただけで、少女たちが放尿しまくるんだろうなあということが伺い知れる作品。実際放尿してます。美しいなあ。陽気婢「内向エロス 愛のダイレクト迷宮」。相変わらず陽気婢は年上のお姉さんをとても魅力的に描く。包容力のある微笑みにメロメロになる。やっぱりこの絵には弱い。五十嵐寛和「喰乳王の長槍」。絵柄とかネタとか、ちょっと真弓大介っぽいかなと思った。馬鹿馬鹿しい内容はけっこう好み。そしてこの雑誌のラストはYUG「でりしゃすあどべんちゃーず」が締める。この問答無用で魂をとろかす可愛いモノが、最後の最後に控えているってのはやっぱりデカい。強烈な武器だ。

【雑誌】ヒメクリ 3月号 FOX出版 B5中

 なんだか「Vol.13より大増量ページ雑誌に生まれ変わります」との予告が。今号でさえ十分厚いので、さらに大増量となると平とじ化もあり得るかも。で、リニューアル前最後の号となった今号だけど、読みどころがけっこういっぱいあって面白かった。

 まず羽田としのり「よろしく!ワンルームちゃん」。一人暮らしを始めようという男が借りた部屋に入ったところ、そこにはなんだか一人の少女がちょこんと座っていた……というところから始まるお話。フレッシュな感触のツヤツヤした絵柄で描かれたこの女の子が、ちんまりしててなかなかに可愛らしい。ゴージャス宝田「アイコンタクト」は、正月早々、男の先生の部屋で教え子の女の子二人が鉢合わせ。お互いに勘づかれないように、同時並行Hをしなくちゃならないという、嬉しいような困ったような状態に。男ですな、先生。「そりゃ無理だろ〜」と思うシチュエーションではあるけれど、そこまで持っていく手順がうまい。

 小林王桂「御涙頂戴」は、クラスで孤立している秀才少女と、彼女に一人つきまとっている少年の子供Hもの。この秀才少女(めがねっ娘)が可愛い。強がってはいるけど素の状態ではやっぱりフツーの女の子。Hなことに戸惑っている様子が微笑ましい。あと「好きな娘ほどいじめたくなる」を地でいく少年とのやり取りも見てて楽しい。この人はヒメクリでずっといい感じの作品を描き続けているので、そろそろ単行本とかいう話が出てくるといいなーと思っている。パニックアタック「大人になる呪文」。おにーちゃんとデートするといって浮かれまくる未由の無邪気なしぐさもいいし、そんな妹に煩悩丸出しな兄とのコンビネーションも絶妙。なんか今回も素直に楽しい。

 近里みちる「Twilight」。流れ者の男と貧乏だけど情に厚い少女のラブストーリー。少女の想いが真っすぐで切なく、ラストシーンは暖か。絵柄も瑞々しくていい感じ。姫乃城あぽ「拘束通信」は、いよいよ佳境ってとこだったのにラストページに「結末は単行本にて!!」とか書いてあって「え〜、そりゃないよ〜」という状態に。これについてはさすがに勘弁してほしいと思った。

【単行本】「イナカナかれっじ」2巻 法田恵 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 山奥の大学にしか受からなくて、最初はなかなかそこでの生活になじめずにいた主人公・和樹も2年生に。今ではHな先輩のカリンさんらの力もあって、すっかりそのペースに慣れちゃっている。わりとこの大学は性にはオープンな気風があって、和樹もいろいろとHな体験をしていくという感じ。法田恵らしいヌルさが心地よい、ちょっとHなラブコメ。手慣れた作風で読みやすい。ただ全体で見るとお話のまとまりはいまいちか。和樹もわりとあっち行ったりこっち行ったりフラフラで、学業もHもラブコメもそれぞれ煮え切らない印象。

【単行本】「千景」 作:山咲まさと+画:艶々 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 いざとなったら作家さんとHすることも辞さない体当たり的なやり口で、つぶれかけだった大衆誌を業界No.1まで押し上げた敏腕女編集長・千景さんの活躍を描くという内容。まあ普通に気楽に読んで、ちょっとHな気分になって楽しめる作品。艶々の作画でいいと思うのは、淫猥なことをやっていつつもちょっとホッとする味わいがあること。イマ風ってわけじゃないんだけど、案外珍しいタイプではあると思う。ほのかに癒し系。

 あとどうでもいいんだけど、この単行本は内容がHなおねーさん大活躍みたいなことをやっているのに、裏表紙側のカバー折り返しの部分が「クレヨンしんちゃん」のiモード公式サイトの広告になっててちょっと笑ってしまった。

【単行本】「淫絶の薔薇」 山本よし文 エンジェル出版 A5 [Amzn]

 ははは、なんかやりたい放題やってます。「オッパイファンド」で有名(?)な山本よし文の最新単行本。後書きで「今回のマンガのテーマはパロディです」といっているとおり、Hな学園パロディものとなっている。で、何をパロディのネタに使っているかといえば昔の有名な少女漫画(一つまだ続いている作品もありますが)。なんといってもヒロインの名前からして岡ヒロミ。この娘さんはジャルジュ学園という全寮制のエリート校に通っているのだが、女子生徒を対象にしたSEXの授業が苦手。その彼女の目標となる存在が先輩の龍崎零香さん。さらに演劇部の北嶋真矢さんらも登場。で、学園の暗部ではカッコイイけど悪いヤツである藤堂先輩が女生徒を凌辱しているといった具合。まあストーリー的にはとっちらばってるといえばとっちらばってるんだけど「なんで今さらこれを……」というキャラたちが、あけすけにやりまくってるさまはけっこう笑っちゃうので一見の価値あり。相変わらず面白いことする人だなあ。


1/28(火)……ツイんてるねノッてるね

▼OHP月極アンケート1月「ベスト漫画雑誌2002」は、31日いっぱいで投票を締め切らせていただきます。投票お済みでない方はお早めにどうぞ。

▼未読物
【雑誌】ヒメクリ 3月号 FOX出版 B5中
【単行本】「淫絶の薔薇」 山本よし文 エンジェル出版 A5 [Amzn]
▼早売り(29日)
【雑誌】快楽天 3月号 ワニマガジン B5中

【雑誌】BJ魂 3/1 No.11 集英社 B5中

 本宮ひろ志「俺の空」の1〜3話が復刻掲載されている。安田一平ってこのころのほうがカッコイイような……。にわのまこと「THE MOMOTAROH PART2リアルファイト編」は復活して新連載。初回は、復活したモモタロウがプロレス界の期待を背負って総合格闘技イベントに殴り込み〜というお話。アクロバティックなファイトの中に、ガチンコな格闘技的要素を取り入れていくという感じになりそう。

【雑誌】漫画サンデー 2/11 No.5 実業之日本社 B5中

 新田たつお「静かなるドン」が連載700回に到達。雑誌を初見でもちゃんと楽しめる読みやすさはやはり大したものだと思う。とか書いている自分も単行本にして60巻分になろうかというくらいの未読があるわけだが、それでもついていけてるし。成田アキラの新連載「萬まんまん」は、成田アキラが読者の性の悩みにお答えしていくという人生相談漫画。「ワシな、この世に女がいること自体が楽しいんよ 幸せだと思うんよ」という言葉はこの人ならでは。ご立派。マジでこの人は大物だと思う。

【雑誌】ヤングチャンピオン 2/11 No.4 秋田書店 B5中

 ひのき一志「ツインテール」。2話めも不思議なぶっ飛び方をしてるなあ。アイドルのおっかけだった主人公(男)が、そのアイドルグループの新メンバーに選ばれた双子の妹と入れ替わって、女装してステージに上がる羽目に。今回はそのアイドルグループのメンバー紹介ページの見開きに得も言われぬ破壊力が。あと、次号からは井荻寿一の新連載が始まるとのこと。

【雑誌】フラワーズ 3月号 小学館 B5平

 今号から吉野朔実が5か月連続で読切で登場。今回の「霜柱の森」は、「記憶の技法」に出てきた穂刈くんの子供時代のお話。母親に溺愛され、神の使い的な妙ちきりんな服を着せられやりたいこともできずにいた穂刈くんが出会った不思議な少年と出来事。ミステリアスな雰囲気作りを作って読者をぐぐっとお話に引き込んで来る手際が巧みだなーと感心。キレの良い読切を楽しめるシリーズとなりそうで、次回も楽しみ。波津彬子「未亡人のお気に入り」。いいねえ。「うるわしの英国シリーズ」というシリーズ名に恥じないうるわしい出来。若くして未亡人になった女性と、彼女の甥の少年の心暖まるエピソード。波津彬子の上品な絵柄が英国風味とよくマッチしている。もうくらくらするくらいに英国っぽい。この前小学館漫画賞を受賞した渡辺多恵子「風光る」は、新撰組副長・土方の思いきった行動が楽しかった。いのまたゆうこ「日常スライド・ショー」は8ページのショートストーリーの2本立て。地味めだけど気が利いている。

【雑誌】メロディ 3月号 白泉社 B5平

 雁須磨子の新連載が始まっている。といってもストーリー漫画ではなくて、雁須磨子がカリスマになるべく本物のカリスマからアドバイスをいただくというルポ漫画。タイトルは「カリスマ探訪記」で初回の訪問先は魔夜峰央。締切は絶対守りつつもクオリティを保ち続けるプロ根性が素晴らしい。ところで雁須磨子の自分絵は、塀内夏子の自分絵に似ている。円井こと子「泣きむし竜神さま」はメロディまんがチャレンジ!で銅賞を受賞した作品。武家の跡取りとして父親に認めてもらうため、太郎丸という少年が森に住む竜神に会いに行く。しかし竜神は名前のわりに実は泣き虫。また太郎丸のほうにも実はヒミツがあった。絵柄はなかなかスッキリしてて気持ちいいし、お話のほうも楽しく後味がいい。でもとくに序盤のほうはセリフが多すぎな気がした。絵柄のわりに案外お話が頭に入ってきにくい。筋は良さげな人なので、セリフと画面構成を整理するとだいぶいい感じになりそう。

【雑誌】阿ウン 3月号 ヒット出版社 B5平

 巻頭カラーは師走の翁「精装追男姐」前編。女の子と見間違うくらいかわいい美少年が、学校で好き放題やってる名物娘3人組にさんざんにオモチャにされているうちに、おちんちんがタイヘンなことに……というお話。いやー、師走の翁はエンターテイナーだなあ。考えることがユニーク。この美少年のおうちの仏壇になぜかボブ・サップの写真が飾ってあったり、お母さんの勘違いが尋常でなく激しかったり、各所に楽しい仕掛けが凝らされていて端々まで楽しめる。もちろんエッチシーンも充実してて密度が濃い。しかもページ数は50と、ボリューム感もたっぷり。非常に勢いがあって、最初から最後までノリノリで読んでいける。いや大したもんだ。

 大井はに丸「lose」は第2話。学園内で繰り広げられるHなゲームが加熱中。この人の描く女の子は肉付きが良くてとても好き。汁気たっぷりでいやらしい。頬の赤らめ方とかにもソソるものが。今回のメインはショートカットの巨乳お嬢さまだが、本当にデッカいなあ。ボリューム感十分。高岡基文「まゆマテリアル」は次号で最終回。いつもながらエロシーンの充実度は高く、実用性十分。ただこの人の場合は長編だととっちらかった話になることが多いので、どっちかというと短編のほうがいいな、とは思う。わたんかづなり「ピーピングTABBY」。露出系のネタで1本。ずんずん突き上げるストレートなエロさが持ち味。この雑誌に定着してからもコンスタントに実用度高めな作品を描き続けている。村正みかどがペンネームを武礼堂に変更。「超高速タキオンブルマー」。韓国で少年漫画を描いていたというだけあって、非常に明るく元気良し。なんだかパッと見だけでもすごく楽しい気分になってくる。

【雑誌】リトルピアス 東京三世社 A5中

 ほりほねさいぞうの新シリーズがスタート。「パトラッシュ」。サブタイトルは「愛犬擁護週間〜第一週〜」。お話はゴミなどの散乱した一室に、くたびれたサラリーマン然とした男が入ってくるところから始まる。彼は背広を脱ぎ、犬のかぶりものを身につけ、「わん」といいながら少女の待つ部屋へと入る。そこから繰り広げられる犬となった男と、ご主人様である少女の痴態。散乱したゴミや汗、唾液などが相まって、濃密なけもの的臭いを感じさせてくれる作品となっている。今後の展開がどんどんキッツいものになってくることを期待したい。なおほりほねさいぞうは現在単行本を準備中だそうで、3月に最新刊「あたしたちのこと(仮)」が発売予定とのこと。となみむか「笑顔の魔法」。おっぱいが大きくなるよう魔法使いにお願いして本当にデッカくなった妹のお乳をしぼませるべく、兄が一生懸命乳搾りにいそしむというお話。ちょいとおばかさんな感じでほのぼの和む。

【アンソロジー】アイラDELUXE VOLUME.7 三和出版 A5平 [Amzn]

 スタンダードなエロ漫画はだいぶCOMICマナのほうで充実してきたので、こっちはフラミンゴ系のキッツいネタを強めてほしいな〜と思っていたら、今号はわりといい感じだった。アクの強い作品が多くてうれしい。なお次号では掘骨砕三「下水街」シリーズが復活とのこと。

 まずはMARO「凌辱山陽新幹線NOZOMI」が最終回。このタイトルだけでもうかなり笑えてしまうのだが、中身読んだらもっと笑った。内容のほうは人妻が新幹線の中でさんざん凌辱されて肉欲の虜になっていくというものなのだが、描写がいちいち大仰かつ間が抜けている。今回も奥さんを責め立てるナースのお姉さんの股間にイソギンチャクが生えててそれを凌辱の道具に使ったり、いろいろなネタが山盛り。「ナースの肛門の中に隠された無数の蛇」「それを望の肛門の中に挿れるとゆう恐ろしいものだった」というくだりは、あまりの恐ろしさに感動した。ラストシーンのぞんざいさもいい味を出してて、さすがMARO先生といった感じ。素晴らしすぎる。

 それから化物巨乳の描き手、正山小種「朝もまるだし」もかなり刺激の強い作品。この巨乳はかなり凄いですよ。一つで頭3個分くらいありそう。そんなものを二つぶら下げた女性に、とにかく恥ずかしい思いをさせるというのが正山小種の持ち味。ラストシーンなんかかなり怖い。氏賀Y太「まいちゃんの日常」は新連載。冒頭から全裸の少女の「みなさん私の死ぬ所を見て下さい」というセリフから始まり、メイドのまいちゃんのいろんな死に様がさらされていくという内容。もちろんこの人だけに内蔵とかドバドバなかなりひどい世界を展開している。いや〜参っちゃいますね。あと慈縛霊「start」も、昔の少年漫画っぽい絵柄に似合わぬ過激なことをしていて、最近わりと気に入っている。

【単行本】「TAG」 すえひろがり シュベール出版 A5 [Amzn]

 零式で連載された作品で、最終回は雑誌が休刊になってしまったため描き下ろしで収録。女子大生の瑞萌が、ある日、学園祭中のキャンパス内でとんでもない光景を目にする。それは同じゼミに属する女性が、全裸で構内を駆け抜けていく姿だった。それがきっかけとなり、やがて瑞萌自身も衆目の監視の中に自分の裸身を晒すゲームに巻き込まれていく……という内容。ストーリーの要約からも分かるとおり、いかにもすえひろがりらしい、露出・羞恥モノの作品であり「誰かが見ているかもしれない」「きっと見られている」、そういう感覚から来るドキドキをうまく生かしている。描写自体は現在のエロ漫画としては過激なほうではなく、むしろ上品っぽくさえある絵柄なのに、他人の視線というアイテムを活用することでHな気分を盛り上げている。ここらへんはやっぱりすごくうまいなと感心する。この人の絵はやっぱり好きだ。シンプルだけどいい感じに色気がある。男性向けエロ漫画に興味のある女性の人にも入門用としてオススメできるかもしれない。


1/27(月)……ハンミョウの蛮名 明晩のミョウバン

▼DVD-R/RWドライブを購入。ロジテックのATAPI内蔵型の「LDR-42AK」という奴。最初はUSB2.0/IEEE1394両装備の外付けタイプにしようかと思ったけど、価格差が1万5000円くらいあるんでこっちに。付属ソフトはWinCDR Lite。WinCDRシリーズは以前、CD-Rドライブが流行り始めたころに試してみて「使いにくいなー」と思って敬遠してたんだけど、久しぶりに使ったらフツーに使えた。よかよか。

▼録画してあった「オーバーマンキングゲイナー」18話を見る。17話の次回予告を見たときに「ん?」と思っていたのだが、案の定作画がダメだった。17話もこれまでの出来に比べると全然ダメだなあと思っていたが、今回はさらに3割増しくらいで良くなかった。DVDの9巻は17〜18話が収録されるであろうから、この巻だけ見たらちとガックリくるかも。で、まあそれについてはいいのだけど、ここでちょっと考えたのがアニメと漫画の違い。「キングゲイナー」の漫画版1巻を読んだときに、「アニメは落とすわけには行かないので作画がヘロヘロでも毎週放映され、とりあえずストーリーは進む」という点においてはアニメのほうがいいなあとか思った。でも実際にヘロヘロな回を目にすると、そのガックリ感は漫画よりアニメのほうが大きいし、そういう回を何度見てもあまり慣れない。

 それでふと、以前ふぬけ共和国の新田五郎さんが【雑記】・「まあ、いろいろ」のその1で書いていたことを思い出す。ここで新田さんが映画は漫画に比べて「日常からのジャンプ力がものすごい」と書いていたけど、アニメも漫画に比べると日常からジャンプしていると思う。そして見るほうとしてもちゃんとジャンプしてくれることを期待する。それだけに期待が悪いほうに裏切られたときのショックがデカい、ような気がする。漫画の場合はそこまでのジャンプを元々期待しないで読んでいるので、作画がヘロヘロなときは確かに好ましくないとは思うけど、アニメのときほどのショックは受けない。いやまあここらへんは個人差だと思うが、少なくとも自分の場合はそうだ。もちろん1話分だったらアニメのほうが拘束時間が長いから、「時間ムダにしたー」って感覚も当然働いているんだろうけどね。まあたぶんこのようなことはほかのところでもいい尽くされてることなのだろうから、今さら書くのもなんなんだけど。

▼未読物
【単行本】「完全版野望の王国」6巻 作:雁屋哲+画:由起賢二 日本文芸社 B6 [bk1][Amzn]

【雑誌】ヤングマガジン 2/10 No.9 講談社 B5中

 山本マサユキ「ガタピシ車でいこう!!」がついに巻頭カラー。出世したなあ。で、リニューアル本格連載とのこと。実は今まではずっと読切扱いだったらしい。単行本は4冊めの「林の巻」が最終巻と予告されてたけど、今号からタイトル部に「迷走編」という言葉がついたので、きっと林の巻以降は「ガタピシ車でいこう!!迷走編」で単行本が出ていくんでしょう。目次のタイトルは今までと一緒だけどで、内容のほうは「迷走編」などと付こうが付くまいがいつも迷走しているのだが、今回もこれまた。なんといってもこの時期に本栖湖行って初日の出を拝むという内容だったりするのだから。女の子も二人出てきて、カラーページらしい華やかさ。良いですのう。楽しいですのう。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 2/17 No.9 小学館 B5中

 浦沢直樹「20世紀少年」。いちおうお面はとれたけど、まだまだここから引っ張るんだろうなあ。このままで済ませるとはどうしても思えないし。村上かつら「サユリ1号」。こちらもゴタゴタがまだいっぱいありそう。でもだいぶ大橋ユキさんにも虚勢が見えて来ているような気がする。それにしても大橋さんは、普通の人がなあなあで済ましちゃっているあたりのところをズバズバいう。そのリアリストっぷりはけっこう痛快であったりもする。

【雑誌】漫画アクション 2/11 No.6 双葉社 B5中

 なぜか今週は月曜(いつもは火曜)に出ていたので。JRの駅のKIOSKで買ったので早売りとかではないと思う。

 江上鴻基「自動車部品メーカー電子営業物語」。新人賞入選作が3回連続で掲載されており、第4回もあるらしい。非常に手堅く読めるサラリーマンもので、まとまりもいいしけっこう面白い。新人っぽいフレッシュさはあんまりないけど……。押川雲太朗「ああ、猛虎軍」。今回の扉絵はカーネル・サンダースおじさん。1985年当時「バースに似てるで」ということで道頓堀にダイブさせられたアレだ。というわけで内容ももちろんそういうものに。別に阪神ファンではないけどけっこう面白く読んでいる。この人の作品はすごく読みやすいなあ。

【雑誌】ヤングキング 2/17 No.4 少年画報社 B5中

 吉野ケイイチ「CHICKEN DAYS」はやっぱり読むと和む。いかにも高校生っぽい、ラブコメらしいラブコメなところが気に入っている。今回は主人公の勇作が、同級生のタネ子とヘルス嬢のあおいさんの間で挟まれて、三角関係勃発かといった具合。主人公が頭は良くないけどまっすぐでお人好しなところも個人的には好感度が高い。佐野タカシ「イケてる2人」の佐次なんかも同様な理由で好きなタイプのキャラだ。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 2/10 No.9 集英社 B5平

 河下水希「いちご100%」。東城さんに一目惚れする転校生男子が登場。向こうはものおじしないで好意を剥き出しにしてくるだけに、真中も今までよりも一歩進んだアプローチをとらざるを得なくなりそう。どんどん多角関係の角の数が増えている。恋愛漫画ですなあ。

【単行本】「デ・ジ・キャラット劇場 ぴよこにおまかせっ!!」2巻 作:コゲどんぼ+画:ひな。 メディアワークス B6 [bk1][Amzn]

 1年ぶりの第2巻でこれが最終巻。でじこを誘拐して身代金をゲット、母星の貧乏を救おうとしているブラックゲマゲマ団の首領ピョコラ=アナローグIII世、通称ぴよこを主役としたお話。といってももうこの巻になるとほとんどでじこを誘拐なんてことはやってなくて、ぴよこたちの日常を楽しく描写。ちまちましたキャラクターたちがあっちゃこっちゃドタバタと動き回っている様子は見ていて単純に楽しい。ブラックゲマゲマ団にしろでじこたちにしろ、やることが全然デッカくなくってなんかすごく平和。ほのぼの。ひな。の絵も相変わらず可愛らしい。単行本については、おまけで付いてるアバウトなペーパーフィギュアとかがいい味。これも含めて全体の雰囲気がきちんと統一されてるのが素晴らしい。まあ面倒な話はどうでもいい。面白いよ。

【単行本】「楽園」 藤原薫 祥伝社 A5 [bk1][Amzn]

 相変わらず繊細で美しいねえ、この人の描く作品は。乱暴に触れたら壊れそうな硬質でデリケートな作風は、ハッと目を留めずにはいられないものがある。お話も絵の雰囲気そのままに息苦しいような緊張感がある。今回の単行本は全4話だが、それぞれが独立した話になっていて、3話めがまた#1〜#3に分かれている。この第3話がとくにいいなと思った。双子の兄弟、千昌と千紘。彼らは、千昌が人の隠された想念をイメージとして見ることができ、千紘がそのイメージの意味を感知してしまうという、不思議な感覚の持ち主。しかし彼らは他人の秘密が見えてしまうということでさまざまな嫌な思いをしてきており、千紘は千昌を守るため、家に引きこもる道を選んだ。千昌は千紘を再び外に連れ出そうとするが、いざ連れ出してみるとそれを後悔することになる。千紘を放置しておいても外に誘っても、千昌が苦しい想いをすることには変わらない。逃れようのない閉塞感。これはこの単行本掲載作品全体に共通して漂う雰囲気である。美しいガラスの箱に封じ込められた花みたいに、息苦しくも美しい1冊。

【単行本】「召喚の蛮名 学園奇覯譚」 槻城ゆう子 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

 ちょっと遅ればせながら。「素っ裸の幸せ。」がいまだ印象に残る、槻城ゆう子の久々の2冊目。といってもこの作品がRPGマガジンで連載されたのは1997年から1999年にかけて。お話のほうはとある学校の普通科から、魔法使いになるための勉強をする神智科に編入させられた少女・栃草緋不美が、クラスメートの天野と共にオカルト的で不思議な騒動に巻き込まれていくという学園ファンタジーといった趣。クトゥルーやタロット、錬金術など「その手の」アイテムがいろいろとからんできて怪しげ、かつ楽しくお話は展開していく。おどろおどろしくはあっても、どこかほのぼの、適度なヌルい均衡を常に保っているあたりがこの人らしいなと思った。クトゥルー関係の知識は多少持っておいたほうが面白く読めるかとは思うけど、さほど大それた知識量は必要ない。まあわりと気軽に読んでもOKなのではないかと。


1/26(日)……サザエさんは樹海だなー

【単行本】「天水」上巻 花輪和一 講談社 A5 [bk1][Amzn]

 完全版として復刻。めでたいめでたい。確かこの作品の連載中に例の逮捕事件が起こって18話以降が単行本未収録となっていたのだが、これでようやく全部読める。ちなみに上巻には17話までが掲載。内容は、平安時代とかかなといった感じの昔の日本の都で、一人暮らしている少女・棗が、ある日河童と出会い共に暮らすようになるところから始まる。それがきっかけで彼らにさまざまな怪異が起こる中で、棗は母親が生きていることを知り、彼女を探し始める。

 花輪和一の緻密なタッチはこの作品でも存分に発揮されていて、さまざまな怪異をとてもつぶさに描写している。例えば棗の背中に巨大ゴキブリがとりついたり、オロチのせいで河童さんが極悪な顔になっていったり……などなど。そのグロテスクでもありユーモラスでもある様子も魅力だが、やはり棗とお母さんが無事再会できるのかというストーリーの展開が気になるところ。下巻の発売[Amzn]は2月下旬。早く続きが読みたいよ〜ん。

【単行本】「樹海少年ZOO1」6巻 作:ピエール瀧+画:漫$画太郎 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 初っぱなから例の問題の回が。もうここまできたらギャグについてはなんでもできちゃう。制約がなーんもなくなったが、その回の後は今のところ意外と大人しい。これは何かの前触れであろうか……とかまあ適当なことを書いてるけど、漫$画太郎の漫画は次々と予想を上回ることをやってきてくれて、すごい刺激的であることは間違いない。これからもどんどんむちゃくちゃなことをやってほしいもの。

【単行本】「ブラックジャックによろしく」4巻 佐藤秀峰 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻も重い。でも読ます。内容は前巻に引き続き、NICU(新生児集中治療室)編。子供がどうしても欲しくて不妊治療も受けていた夫婦がやっと授かった赤ちゃんはダウン症であり、彼らの手術をするかしないかで親、そして医師たちが葛藤する。関わった人間は全員、誰も悪くはないだけに、突きつけられる判断もまた重い。手術をすれば子供は助かるかもしれない、しかしそれで親子が幸せになれるかどうかは別問題。自分がそういう状況になったらどのような判断を下せばいいかと考えても、なんとも答えが出しにくい。こういうテーマに挑むのは作者としてもしんどそう。でもしっかりと重い内容を逃げずに描き切るあたり、胆力のある作家だなと思う。

 ところで帯に「文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞」ということで「まずは1冠」と書いてあるところを見ると、講談社漫画賞あたりはすでに既定路線なのかなという気がした。

【単行本】「プラネテス」3巻 幸村誠 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 宇宙というモノを知ってしまったハチマキは、自分と宇宙との関わり、生きる理由について改めて考え続ける。そして彼の得た結論は、というふうにお話は展開する。この巻ではあまり「宇宙に行って何かする」という展開にならないので、ゴリゴリの宇宙生活モノを期待していた人は肩透かし的に感じるかもしれないけれども、ちゃんと読んでみるとなかなかにいいお話になってる。闇雲に宇宙に突き進んでいくという無鉄砲さもいいけど、自分なりに考えて考えて答えを出そうとしていくあたりのいかにも人間くさい振る舞いもこれはこれでまたいい。これで安心して宇宙には行けるだろう。でも行ったら行ったで、またハチマキはいろいろなことを考えていくことになるだろう。その過程でどのようなものを得ていくのか。これからも楽しみ。

【単行本】「G組のG」3巻 真右衛門 講談社 A5 [bk1][Amzn]

【単行本】「めもるは何もメモらない」1巻 真右衛門 竹書房 A5 [bk1][Amzn]

 両作品とも安定して笑える4コマ漫画。ごく当たり前のようにヘンなことをする、ナンセンスなギャグの連発はしばしばツボに入る。2作品を並べると、やっぱりキャラクターになじみのある「G組のG」のほうが読みやすくて面白いと思う。「めもる〜」のほうはこれからの伸びに期待。しかし4コマ漫画はやっぱり隅々まで読むと時間がかかるなあ。この人のギャグは知的なセンスを感じるものが多いだけになおさら。


1/25(土)……癌だ!無地織り人

▼親がいつの間にかアレに手を出していた!……といってもまあカスピ海ヨーグルトなんですがね。過ぎ越しの祭の日に全身にぬりたくって街に繰り出すと嫌がられるというアレ。そんなわけでちょっともらってきて食べてみる。なるほどこういうもんなのか。普通の飲むヨーグルトとかよりはだいぶネバネバしてて、そのまま食べるとあんまり味は強くないけどほのかな酸味が……という感じ。まあまあおいしいが、びっくりするほど、といった類のもんではないようだ。料理に使うといいらしいので、そのうちなんか試してみよう。

▼ぐっすり寝た。帰宅してメシ食って風呂入って漫画読んだ後は、もうコンコーンと、否、昏々と睡眠。ちょっと寝すぎたかも。

▼未読物
【単行本】「樹海少年ZOO1」6巻 作:ピエール瀧+画:漫$画太郎 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「ブラックジャックによろしく」4巻 佐藤秀峰 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「プラネテス」3巻 幸村誠 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「G組のG」3巻 真右衛門 講談社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「めもるは何もメモらない」1巻 真右衛門 竹書房 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「天水」上巻 花輪和一 講談社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「楽園」 藤原薫 祥伝社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「召喚の蛮名 学園奇覯譚」 槻城ゆう子 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]
▼早売り(28日)
【雑誌】リトルピアス 東京三世社 A5中
【雑誌】阿ウン 3月号 ヒット出版社 B5平
【単行本】「TAG」 すえひろがり シュベール出版 A5 [Amzn]

【雑誌】ガンダムエース 3+4月号 No.009 角川書店 B5平

 どうにも好調なようで、4月売り号から月刊化。やっぱりなんだかんだいって、安彦ガンダムは早く読みたいから雑誌で買っちゃうという層がけっこういるんだと思う。俺もその一人。3月売り号は特別版ということで、安彦ガンダムも特別編となるらしい。編集後記によると夏と秋には「驚くような新連載」も開始の予定だとか。「プラモ狂四郎」とかだったらいいなあ。

 で、今回の安彦良和「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」はランバ・ラル登場&ガルマの葬儀編で、ザクとは違うモビルスーツが登場。いや〜ランバ・ラルかっこいい〜。あとドズル。両者とも男が男に惚れるタイプの歴戦の勇士。ガルマの死に涙を流し続けるドズルは、この作品の中でも屈指のいい人だと思う。あ、そういえば今回はギレンの演説もあり。やっぱり鳥肌立ちますな。あのシーンは。それからハモンはいい女だなあと思った。今回はマチルダさんも出て来ているので、連邦・ジオンのイイ大人の女揃い踏み。そういえばアムロとガルマの両お坊ちゃま、ランバ・ラルとリュウというアムロに職業軍人の死に様を見せる二人、ギレンの演説に対照的な反応を示すシャアとブライト……という具合に、それぞれのキャラを強く印象づけるための対比構造が物語の各所に用意されてるんだなあ、とか今さらながら思った。それにしても毎号100ページ以上やっていることもあり、話の進行が早い早い。安彦良和はパワフルな人だから、きっと月刊化されても1号60ページくらいずつは描くのではなかろうか。以前月産枚数は60〜70枚といってたし。

 それからトニーたけざき「ガンダム漫画」も毎回面白いなあ。すでに俺内では安彦ガンダムに次ぐこの雑誌の2番手的位置づけ。まあ絵は安彦絵でやってるけど、ネタのヒネリっぷりが抜群。まだまだいろいろパロディしようはあるのだなあ。あと今号には、角川書店が新たに立ち上げるエース特濃という雑誌の予告もあり。vol.1は3月15日発売予定。

【雑誌】少年エース 3月号 角川書店 B5平

 読切、伊藤砕虎「ラブスピ」は、宇宙人と出会ったがゆえに僕はみんなの目の前で愛の告白をする羽目になってしまった、というお話。完成度の高いきっちりキュートにまとまった絵柄で、勢いのある楽しいお話を描いている。けっこういい感じ。ゴツボ×リュウジ「ササメケ」。雰囲気はいいんだけど、この人、サッカーの試合シーンを描くのはあんまりうまくないな。せっかくらくいちがサイドのアタッカーをやり始めたんだから、もっと引いた、上からの視点で描けばいいのに。サイドの醍醐味ってライン際近辺の空いたスペースにガーッとまっすぐ斬り込んでいくところにあると思うので、人間のアップばかりで構成してもなあという気がする。

 そのほか、吉崎観音「ケロロ軍曹」、竹内元紀「Dr.リアンが診てあげる」、天津冴「が〜でぃあんHearts」、西川魯介「なつめヴルダラーク!」などなど安定して面白い。今号は「ケロロ軍曹」が表紙だけど、吉崎観音の描く表紙は色鮮やかで元気があって良い。華がある。雑誌読みで面白い作品と単行本読みで面白い作品が、ちょうどいいくらいの割合で存在してていい雑誌だと思う。厚さのわりには楽に読める。

【雑誌】アフタヌーン 3月号 講談社 B5平

 岩明均の新連載「ヒストリエ」がスタート。「ヘウレーカ」のアルキメデスに続き、今度はアリストテレスをキーにしてお話を進めて行く。「寄生獣」的な爆発力はなさそうだけど、手堅く読める作品となりそう。熊倉隆敏「もっけ」は今号から本誌に引越。今回も気持ち良い手触りの絵で身近なところの怪異を丁寧に描写しており、相変わらず好感度は高い。ところでこの作品のキャッチフレーズとして「”萌え系”本格妖怪漫画」と書かれているけど、恋愛要素がほとんどないせいか、あんまり萌えって感じはしないんだよなー。でもそれでちょっとでも売上が上がるようならどんどん書くべきだ、とも思う。利用できるものは利用したほうがいい。

 田中ユキはアフタヌーン初登場。「paunding」という作品で、今回は前編が掲載。むさくて不器用な体育系男子の尾形が見つめる先には、いつも美しい一人の少女・桜井亜紀がいた。しかし彼女は同じクラスの優男・桂木のことが好きだったのだが、桂木は桂木で変わった趣味の持ち主であり……。いかにもいかついヌーボーとした外見の尾形が一番繊細で、センチメンタルな面を秘めている様子が眺めていて面白い。そしてそれよりも何よりも、田中ユキの作風はエロティックだ。少女がガムを噛み、それを銀紙にくるんで捨てるという何気ない動作も、すごーくHっぽく描いてしまう。その繊細なタッチ、描写の緊張感にシビれる。この人はやっぱりいいわ。ってなわけで後編にも期待。

 高橋ツトム「爆音列島」。実は今この雑誌の中で一番楽しみにしている連載。物語内では現在1981年。当時、暴走族という世界に集ってきた少年たちの生態が生々しく描かれていて興味津々。鶴田謙二「アベノ橋魔法☆商店街」(原案・設定:GAINAX)。うーん作画が荒れてますな。とはいえここまで鶴田謙二がずっと続けて描いているということのほうが珍しいことなのだ、ここまでよく頑張った……などというつもりはない。載せるからにはやっぱりちゃんとしたものを。四季大賞受賞作、貴道幸典「二等辺メルヘン」。うーん、あんまりネタバレして書いちゃうわけにも行かない内容だな。ダーク、かつ前向きでもある内容を落ち着いた描線で描く作風にはなかなか味がある。でもやっぱり最近の四季賞は閉塞気味だなーという印象を受けてしまう。「この人の連載作品を読んでみたいっ!」と思える作品があんまりない。ここ2〜3年の四季賞で、個人的に一番インパクトが強かったのは神原則夫「とんぼ」かなあ。

【雑誌】ビッグコミック 2/10 No.3 小学館 B5中

 なかいま強「黄金のラフ〜草太のスタンス〜」。面白いなあ。今回はなんといっても大風原野プロがいい。考えることがいちいち坂田信弘ゴルフ漫画口調なのが笑ってしまう。あの文体はネタとして使いやすそうなんでマスターしたいと思っているのだが……。

【雑誌】LaLa 3月号 白泉社 B5平

 津田雅美「彼氏彼女の事情」は、試練を乗り越えた有馬が素直になる。その変貌ぶりと周囲の反応を見るのが楽しい。渡辺祥智「坂本係」は新連載。それまでズッと好きだった女の子にフラれた男子が、高校に入って男子寮に入寮。ところがルームメイトが問題児、かつ好きだった女子に顔がそっくり……という状態で繰り広げられるドタバタコメディ。なんといっても扉ページに「もしキミが男子高生でこんあ美少年と寮で同室だったら眠れなくなっちゃうゼ…というお話」と書かれているくらいだから、つまりはそういう作品なのである。スッキリした絵柄で読みやすい。ドタバタ楽しい作品になりそう。

【雑誌】コミックピンキィ 3月号 オークラ出版 B5平

 こちらは今月から月刊化。そして判型もB5中とじから平とじに。発売日は今までの26日から25日に変更とのこと。

 今号ではなんといってもダーティ・松本の自伝漫画「エロ魂!」。正直言って感動してしまった。冒頭はいつもながらに編集ミスを犯した編集者の手土産を、長ドスか何かでぶった斬るというぶっ飛んだシーンで始まるのだが、最後のほうはかつてともに漫画を志し、その後夢破れた男に捧げる歌で締めくくられる。このシーンがすごく泣ける。ベテラン作家の見てきたものの重みが胸に迫ってきた。これ早く単行本にならないかなあ。すごく楽しみにしているんだけど。

 琴の若子「ふしぎマイ・メイド」は、タイトルどおりメイドさんが一人暮らしの男の部屋に住みついて……という押しかけ女房モノで第2話。この人のクセのない口当たりのいい絵は好き。けっこうHだし。舞登志郎「俺は男だ!」は、ピュアすぎる美少年がだんだんオナニーの味とかを覚えていく……という展開の第5話。焦らし焦らしでお話を進めていくさまがなかなか興味深い。でも「メジャー漫画家への道」はどうなってしまったのだろう。まあいいか。Gody「YES!ぷろぶれむ」は2話め。ひよひよみたいな感じの気持ちのいい絵柄による学園ラブコメっぽいことやってるんだけど、軽〜いノリながらヒロインはレイプされてるんだよなあ。見た目の印象とやってることがけっこうアンバランス。ピンキィはわりとそういう印象の、とっちらばった感じの作品が多いような気はする。

【単行本】「史上最強の弟子ケンイチ」1〜3巻 松江名俊 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

 前バージョンである「戦え!梁山泊 史上最強の弟子」のほうの感想は1月5日の日記を参照のこと。基本的な枠組みは変えずに、師匠に武器の達人のしぐれさんを加えてのリライト、というかバージョンアップ版といった感じ。さすがに同じ内容で2回目であるだけにこなれている。特徴でもある女の子の体のムチムチ度プリプリ度も若干アップしているといえるだろうか。まあそんなお楽しみも含めつつ、少年が頑張って強くなるというテーマで、厳しく明るく修行してて楽しいし読みやすい。修行の成果を試す機会も盛りだくさんなのでカタルシスもあるし。単純にぶん殴るシーンとかよりも、師匠たちの攻撃に慣れちゃったせいで不良たちの攻撃がやたら遅く見えるとか、そういうあたりの描写のほうに痛快さを感じたりもする。


1/24(金)……変種郵便

▼外出しなかったので本買えてないです。というわけで今日は少なめ。

【雑誌】ヤングアニマル 2/14 No.3 白泉社 B5中

 二宮ひかるの読切「ごめんなさい。」が掲載。う〜んさすがうまい。すでに出会い済みで一夜をともにしたことのある少年と年上の女性が、思わぬ形で再会。そして織り成されていく、とある男女関係のかたち。ストレートに「好きー」「嫌いー」ってな感じにはならなくて、両者が微妙な距離を置きつつ、間合いの取り合いをしているかのような気持ちのやり取りの様子を、実にうまいこと気持ち良く描いている。なかなか単純には行かさない、微妙に生殺し的な感覚がたまらない。文月晃「藍より青し」。今回はいいな。やっぱりなんだか唐突すぎる葵よりも、ストレートに乙女チックなティナのほうがずいぶん好感度が高い。それにしても薫は起きなさすぎ。鈍感極まりない男よの。

【雑誌】コミックバンチ 2/7 No.8 新潮社 B5中

 こせきこうじ「株式会社大山田出版仮編集部員山下たろ〜くん」。山下たろ〜はやっぱり最終的には野球選手に戻るのかなあというのが最近気になっている。タイトルでは「編集部員」となっているが、この作品の場合はすでに「タイトル変更はあり」ということになっているので、いつ「プロ野球選手山下たろ〜くん」にしても構わないはず。作:上之二郎+画:小野洋一郎「報復のムフロン」。もう49回めなので、そろそろ連載一周年となる。今回のネタはまたなんか強烈で面白かった。壁画ってあんた……。

【単行本】「人妻みつ江」 ペンネームは無い 東京三世社 A5 [Amzn]

 「少女調教録」シリーズでおなじみ、ペンネームは無いの5冊めの単行本。今回はタイトルどおり人妻メイン。夫が淡白で欲求不満状態に陥っていた人妻のみつ江を、同じマンションに住む奥さんがいかがわしげなマダム倶楽部へと誘う。それを契機としてみつ江の肉体は開発され、ドロドロな肉欲の日々が始まっていく……というお話。「少女調教録」のころよりも絵柄はだいぶアダルトな雰囲気に練れてきてはいるけれども、密度が高く熱量の多いハイテンションな作風、特徴でもある大仰なセリフは健在。「わ・私は…感じ…な・が・らそんあ…端無いぃ自分をぉ…男…達にぃ気づかれまいひ……と沸き上がるぅも・桃色の声…を必死に……押し殺すぅのですぅ…」。心内描写でさえこんな調子。昔に比べると肉体改造ネタは影を潜め、スタンダードでガチンコなエロスで責めようとしている感じ。個人的には「少女調教録」でファンになったクチなので、もっともっと肉体改造ネタとかは見たかったところだけど、まあその分実用度は上がっているとは思う。それにしてもエロシーンのない見開きが数えるほどしかないってくらいに、全編エロで埋め尽くすパワーはやっぱり凄い。どんな服着てようが最低限乳首くらいは浮かすし。


1/23(木)……六番目のロックメンバー

▼このところDVDで「六番目の小夜子」(原作:恩田陸)[Amzn:第一集/第ニ集/第三集]を観賞中。1日1時間ずつ見てて今全12話中の8話めを見終わったところ。NHK教育で放送されていたときも途中から見ていて、視聴者をお話にどんどん引き込んでいくような作りに感心していたんだけど、改めて見直してみてもやっぱりよくできてるし面白い。それにしてもこの作品における栗山千明はとても怖い。元気さが際立つ鈴木杏と対照的だが、どちらもはまり役だったと思う。

▼先週のヤングサンデーが合併号だったことを忘れててダブリ買い。シャキーン。

【雑誌】近代麻雀ゴールド 3月号 竹書房 B5中

 「OMEGA TRIBE」「IWAMAL」などの玉井雪雄が登場。読切で「ドサ健外伝 〜ラストエンペラーの秘牌」(原作:阿佐田哲也+脚本:梶川良)という作品を描いている。「麻雀放浪記」に登場するドサ健が、悪徳金貸しがとある公爵から巻き上げた満州国皇帝溥儀の牌の鑑定を頼まれ、その牌のスリカエに挑むという話し。なるほど、玉井雪雄の濃くて力強い絵柄は麻雀漫画誌にはよくマッチする。近代麻雀ゴールドでは次号から秋重学、今谷鉄柱の新連載も始まるが、近代麻雀系は本当にいろんなところから作家さんを引っ張ってくるなーと思う。あと今月号では六田登「眠り玉三郎」が最終回。

【雑誌】モーニング 2/6 No.8 講談社 B5中

 作:岡崎大五+画:岡村篤「プロテン」は、とある旅行会社のツアーコンダクターである青年・天満が、ツアーの最中に繰り広げられる人間ドラマを見つめていくというお話。今回はモロッコ編でサハラ砂漠に行ったりする。ビデオを撮影してばかりでろくに楽しもうともしない男の内面が、ある事件をきっかけに見えてくる……という筋立て。絵柄もストーリーもきっちりしててまとまっている。このシリーズは次号にも掲載されるとのこと。

【雑誌】ヤングジャンプ 2/6 No.8 集英社 B5中

 テレビはあんまり観ないのでよく知らないのだが、現在TV朝日系列でドラマが放映中であるらしい高橋ツトム「スカイハイ」の第二部がスタート。今回は有名な女性歌手の娘で、これから芸能界にデビューしようかという少女を中心としたエピソードからお話が始まっている。次号に続いているところを見ると、今回のシリーズは1話完結ではいかないのかな? 続き物のほうが読みごたえがありそうなので個人的にはそっちのほうがうれしい。山花典之「妹 あかね」。今回は乳出しまくり。この人の乳首描写はけっこうエッチいと思う。野部利雄「Monacoの空へ」。なるほど主人公の名字が「沖田」だとこういう手もあるか……。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 2/6 No.8 秋田書店 B5平

 八神健「ななか6/17」は今回巻頭カラー。ドミ子声優さんのエピソードの後編。ななかが本当にやってしまう……という展開であっても良かったとは思うけど、現実的には今回のようなアプローチのほうがまっとうではありますな。能田達規「ORANGE」は今回もアツい。あまり引っ張りすぎず、サクサクお話を進めている点も良い。


1/22(水)……パールライススパイラル

1月11日の日記の時点で全3巻のうち1冊だけ未着だった「THE HISTORY OF MIDDLE-EARTH」のPART TWO[Amzn]が到着。ところでAmazon見たら値段が15%オフになっている……。俺が購入手続きしたときより1500円、3冊合計で4500円くらい安い。ショック〜♥ そういえば最近は雑誌やWebなどで「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」の試写会プレゼントを見かけるたびに応募している。当たるといいな〜。

▼毎月19日発売のはずのアイラDELUXEが見つからないな〜と思ったら、三和出版の発行予定表によると1月28日に延期になっていた模様。

【雑誌】スーパージャンプ 2/12 No.4 集英社 B5中

 宮下あきら「暁!!男塾」。W男杯は最高潮。でも今回の見どころは日中両国による応援合戦。文字通り、男と男を激突させている。こういうダイナミックな発想はさすがだ。

【雑誌】週刊少年サンデー 2/5 No.8 小学館 B5平

 松江名俊「史上最強の弟子ケンイチ」は、ケンイチが梁山泊の内弟子になる、というかさせられてしまうというエピソード。カラーページにスクール水着&そこからの着替えシーンもあり、サービス精神旺盛。藤田和日郎「からくりサーカス」。また明かされる意外な真実。今回のネタはさすがに予想もしてなかった。やってくれるなあ。井上和郎「美鳥の日々」。こっちもこっちで予想外の展開。モテのインフレ状態。モテスパイラル。

【雑誌】週刊少年マガジン 2/5 No.8 講談社 B5平

 西山優里子「DRAGON VOICE」が最終回。最後までスゴかった……。この作品は、現代バンドモノの小っぱずかしさのすべてが詰め込まれているといえるかもしれない。「TO-Y」以来の「演奏シーンで歌詞や音符を書かない」という風潮に真っ向から逆行して歌詞を書きまくり、ダサカッコ良さを追求し続けた。ラストへ突進する日本列島総ダンス状態のあまりにも素晴らしいおめでたさにも身が震えた。立派だ。とても立派だ。久保ミツロウ「3・3・7ビョーシ!!」。フクもモテスパイラルのさ中に。

【雑誌】ドルフィン 3月号 司書房 B5中

 今回気になったのがドルフィン新人賞佳作作品の景えいじ「ヒーローマン子」。巨大怪獣に対し、正義のヒロイン・ヒーローマン子がその体を投げ出し、怪獣を性的に発散させることで鎮めるというお話。強弱のきいた柔らかいペンタッチに味があるし、女の子の表情とかも変化に富んでいる。和む味わいのある暖かな描線に惹かれるものがあった。あと、くどうひさし「Sentimental February」も、普通の女の子の恋模様がちょっぴり切なく最後は甘く描かれていていい具合。女の子のスラリと伸びやかな体と、はにかんだ表情の描き方がともに好ましい。

【単行本】「このまん○が凄い!」 摩訶不思議 ヒット出版社 A5 [Amzn]

 最近の摩訶不思議作品はエロくて良いなあ。昔からの柔らかく丸みのある描線に磨きがかかり、おちんちん描写とかもいやらしさを増している。汁気もたっぷり。19冊目の単行本とのことだが、まだまだ勢いがある。今回は短編集だが、人妻、ロリ、獣姦、近親相姦……と内容は盛りだくさん。あとがきによれば前作「雛迷宮」がロリだったので今回は違うことをやろうとしてたとのことでロリは少なめだが、その分汎用性は高いかも。掲載作品の中では人妻専門にセックス相談をやっている医学博士、人呼んで「人妻博士」の活躍を描いた「大月人妻相談室」あたりが好き。シリーズ化しても良いキャラのような気がした。それ以外の作品もそれぞれ芸がある。いい感じにキャリアを積んでるエロ漫画家さんだと思う。


1/21(火)……テドロトドクシン

小学館漫画賞決定(京都新聞)。小学館漫画賞らしく、いつもながらに手堅い選考。一般向け部門はそろそろ違う人に……と思ったりはするが、そうなるとかわぐちかいじになったりしそう。この中で注目は、集英社勢ながら受賞した矢沢あいと連載時の勢いそのままに小学館漫画賞まで駆け上がった「金色のガッシュ!!」かな。

【児童向け部門】樫本学ヴ「コロッケ!」(月刊コロコロコミック)
【少年向け部門】雷句誠「金色のガッシュ!!」(週刊少年サンデー)
【少女向け部門】矢沢あい「NANA−ナナ−」(月刊Cookie)、渡辺多恵子「風光る」(月刊flowers)
【一般向け部門】浦沢直樹「20世紀少年」

▼ビデオキャプチャーとか始めたら、なんか真剣にHDD容量が足りなくなってきたのでDVD-Rドライブ購入を検討中。近いうちに買いたい。

昨日の日記のビッグコミックオリジナルの項で、記述ミスがあったので訂正を入れておきました。

▼2月の購入予定はこんな感じで。リンク先はbk1の新刊予約コーナー。松本剛「甘い水」下巻はbk1の予定表に出てたので記載しておいたけど、別冊ヤンマガには連載終了後の6月くらいになると書いてあったので要注意。連載もまだ終わってないので2月6日に出ることはないはず。

2/上 「MUSHROOM」 森山塔 フランス書院
2/上 「猫のゆりかご」 あるまじろう フランス書院
2/1 「ケロロ軍曹」6巻 吉崎観音 角川書店
2/5 「なかよしちゃん」 ほしのふうた コアマガジン
2/6 「甘い水」下巻 松本剛 講談社
2/6 「踊る!クレムリン御殿」 駕籠真太郎 平和出版
2/7 「クローン5」3巻 すぎむらしんいち(相談:いとうせいこう) 講談社
2/7 「SUGAR」4巻 新井英樹 講談社
2/8 「ワイルドリーガー」7巻 渡辺保裕 新潮社
2/10 「少女、ギターを弾く」 朔ユキ蔵 ワニマガジン
2/12 「天使のおつとめ」1巻 ながしま超助 双葉社
2/12 「天使のおつとめ」2巻 ながしま超助 双葉社
2/13 「ORANGE」7巻 能田達規 秋田書店
2/17 「BECK」14巻 ハロルド作石 講談社
2/19 「Blue Heaven」3巻 高橋ツトム 集英社
2/19 「ハチミツとクローバー」4巻 羽海野チカ 集英社
2/19 「ニコニコ日記」4巻 小沢真理 集英社
2/19 「LET IT BE!!」3巻 こいずみまり 小学館
2/19 「美女で野獣」2巻 イダタツヒコ 小学館
2/19 「学園アリス」1巻 樋口橘 白泉社
2/20 「ぽっぷんLOVE」 たちばなとしひろ 大都社
2/20 「冴木さんってば…」 安田弘之 太田出版
2/20 「プチクリ」 ジェームスほたて 蒼竜社
2/21 「週刊石川雅之」 石川雅之 講談社
2/21 「暁星記」3巻 菅原雅雪 講談社
2/21 「バガボンド」16巻 井上雄彦 講談社
2/21 「(犬)ロッキー」1巻 杉作 講談社
2/21 「EDEN」8巻 遠藤浩輝 講談社
2/21 「なるたる」10巻 鬼頭莫宏 講談社
2/21 「空談師」2巻 篠房六郎 講談社
2/21 「夢使い」4巻 植芝理一 講談社
2/21 「天水」下巻 花輪和一 講談社
2/21 「Marking Algolagina」 どざむら 晋遊舎
2/22 「LUNO」 冬目景 エニックス
2/24 「エマ」2巻 森薫 エンターブレイン
2/24 「シャーリー」 森薫 エンターブレイン
2/24 「少年少女」2巻 福島聡 エンターブレイン
2/24 「BURAIKEN」 唐沢なをき エンターブレイン
2/24 「ファンシージゴロペル」1巻 水野純子 エンターブレイン
2/24 「晴れた日に絶望が見える」 あびゅうきょ 幻冬舎コミックス
2/24 「羊のうた」7巻 冬目景 幻冬舎コミックス
2/25 アックス Vol.31  青林工藝舎
2/27 「エイケン」9巻 松山せいじ 秋田書店
2/27 「セツナカナイカナ」 こがわみさき エニックス
2/27 「おうどうもん」1巻 せきやてつじ 竹書房
2/27 「ヘルシング」5巻 平野耕太 少年画報社
2/27 「完全版野望の王国」7巻 作:雁屋哲+画:由起賢ニ 日本文芸社
2/28 「ギャラリーフェイク」27巻 細野不二彦 小学館
2/28 「アグネス仮面」3巻 ヒラマツ・ミノル 小学館
2/28 「高校アフロ田中」4巻 のりつけ雅春 小学館
2/28 「キーチ!!」3巻 新井英樹 小学館
2/28 「アフター0」9巻 岡崎二郎 小学館
2/28 「独身寮空室あり」3巻 矢凪まさし 双葉社
2/下 「ワイルド7愛蔵版」6巻 望月三起也 実業之日本社
2/下 「女の生き方シリーズ」 河井克夫 青林工藝舎

【雑誌】ヤングマガジンUppers 2/4 No.3 講談社 B5中

 押川雲太朗「不死身のフジナミ」が最終回。勢いのある演出の数々で、最後まで一気に突っ走った。エンターテインメントだなあ。ラストページの欄外に「でもフジナミに会うのはこれが最後とは限らないぞ、と」と書いてあるのがちょっと気になるところ。どうせもう一度会うなら、いっそ実写で映画化とかしても面白いかも……と思った。キャラクターもそれぞれアクが強いし、2時間枠とかで面白く作れるのでは。巻頭カラーは村枝賢一「RED」。伊衛郎が不器用で男らしくていいなあ。こういうキャラクターは好きだ。

【雑誌】漫画アクション 2/4 No.5 双葉社 B5中

 作:川上健一+画:倉田よしみ「翼はいつまでも」。オーソドックスな少年成長物語を、ストレートに描いててけっこう面白い。今回は主人公の少年が、ラジオでビートルズの「プリーズ・プリーズ・ミー」を聞き、新しい音楽との出会いに強烈な衝撃を受け一気に感化されていくというお話。倉田よしみの素朴な絵柄が、その時代の素朴な少年を描くのにとてもよくマッチしている。アッパーズで「不死身のフジナミ」が完結したばかりの押川雲太朗が、今度はこっちで「ああ、猛虎軍」を再開。この作品ではキャラクターの名前に阪神タイガースの往年の名選手の名前が使われているのだが、今回は村山実が登場。次は誰が出てくるのか楽しみ。

【雑誌】漫画サンデー 2/4 No.4 実業之日本社 B5中

 作:田中誠一+画:千葉きよかず「剛球少女」。主人公が女子野球選手で非力というハンデがある分、一球一球の駆け引きを丁寧に描いていて読みごたえがある。あと今号では作:鷹匠政彦+画:片山誠「刺青刑事」が最終回。

【単行本】「てるてる×少年」4巻 高尾滋 白泉社 新書判 [bk1][Amzn]

 美しくかわいい。でも煩悩にも訴えかけてくる。今回は主であるお嬢さまのしのぶと、それに仕える忍者である才蔵、心の距離が近づいてしまったことで二人とも思い悩む。自分の才蔵に対する感情が恋であったと気づいたしのぶはむしろ喜んでいるかのようだが、才蔵は立場上、主と恋仲になるわけにはいかない。二人とも想い合っていながらくっつくことはできず、でも立場上、才蔵はしのぶを守りしのぶは才蔵を側に置く。いってみればものすごい生殺し状態が続いている。想いが通じていても叶えるわけにはいかないだけに、切なさが募る。心情描写が細やかで、かつ作画もとても美しい。それにしても才蔵は流し目がどんどん色っぽくなってるなあ。やっぱりショタ萌え属性は高いと思う。

【単行本】「鍵」 望月花梨 白泉社 新書判 [bk1][Amzn]

 短編6本、「鍵」「アルカロイド」「呼吸」「夜 夜中」「犬と夏服」「ノドアメイカガ」を収録。思春期の、自分も周囲も変わっていく中でギクシャクと、戸惑いを抱える男子女子の気持ちを描く繊細さは健在。いずれの短編もきれいにまとまっていて安定して読める。

【単行本】「独身者の化學」 まぐろ帝國 シュベール出版 A5 [Amzn]

 奥付によると発行日は2001年6月29日。そういえばまぐろ帝國の初単行本は買ってなかったな〜と思って購入。さすがに現在ほどこなれてはいないけど、まぐろ帝國ってデビュー時から絵がうまかったんだなあと改めて思った。そしてストーリーも、いずれもヒネリが利いている。最近のエロ漫画は以前よりもストレートに抜きに徹した作品の割合が高いような気がするけれども、そんな中で、常にエロ漫画を通して何かやってやろう、読者を驚かしてやろうと狙っているまぐろ帝國には常々好感を持っている。例えばこの作品集掲載作品でも「モーニングセット2001」なんかは、「あ〜んちこくちこく」的に女の子がパンを咥えて急いでるというところから始まる。しかしそれはエロ漫画家の持ち込んだ作中作であり、編集に突っ返されるたびに同じような出だしで違うストーリーになっていく……などというトリッキーなことをやっている。普通にエロ描いてもけっこういけそうな達者な絵柄をしているのに、あえて変化球を投げずにはいられない、芸人魂を持った作家さんである。


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