2003年10月下旬


10/31(金)……ロボボーボ・ボーボボ

▼エキサイトブックスに鈴木みそインタビューが掲載。インタビュワーやらせてもらってます。ちょっと固く書きすぎたかも……。

▼電車で「週刊ポスト」の車内吊り広告を見たら、作:小池一夫+画:神江里見「弐十手物語」が最終回と書かれていてへぇ〜と思った。単行本は100巻超、26年間続いた長期連載。後釜は「子連れ狼」になるとのこと。

OHP月極アンケートテーマ入れ替え。11月は「こわいまんが」でございます。まあタイトルどおりの内容ということで。10月分の「ナウいマンガ」は終了。現在、ナマの読者はどんな作品を「新しい」と捉えているか知りたくてやってみたアンケートだったんだけど、個人的にはけっこう興味深いモノとなりました。結果だけじゃなくコメントとか見ると、いろんな捉え方があるんだなあとか思えたし。まあそんなわけで今月もご投票のほど、よろしくおねがいしまーす。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 11/14 No.23 小学館 B5中

 高田靖彦「ボールパークへようこそ」。現監督のもと、2軍落ちを宣告されたファルコンズのベテラン望月が、OBをいろいろと策動するが事態は思わぬ方向へ……。門前にも現役復帰の話がちらついているし、なんか先が読めない展開になってきた。乃木坂太郎「医龍」(原案:永井明)は、看護士である里村ミキの口から、朝田の過去を聞き出そうとする。シリアスな話になっているところでなんだが、この人の描く女性はなかなか色っぽいっすね。

【雑誌】コミックガム 12月号 ワニブックス B5平

 宗我部としのり「あまえないでよっ!!」。なんかけっこうほのぼのラブコメしてて面白い。この人はストレートなエロ漫画で勝負するよりも、非エロ系雑誌でちょっとお色気シーンもあり……ってパターンのほうが映えるタイプかもしれない。健康的な絵柄とかはこっちでも十分目立つし。稲葉COZY「Cherry Season」。こちらも非エロの雑誌でも映えるという点では似ているかも。とある男子が、声を聞いて憧れていた放送部のおねえさんが、実は隣に座っている目立たないけど実は巨乳なめがねっ娘だったのでした……というところから、恋が芽生えたかな?という漫画。他愛ないけどこういうトロトロのラブコメは読んでて楽しくはある。かかし朝浩「ふぁにーふぇいす」は、新連載スタートなのに単行本1巻が11月25日発売という状況。ここまでのは読んでなかったけど、オタ男と彼に惚れてしまった女の子を中心に展開するドタバタコメディという感じっすか。読みやすいしドタバタのテンポもいいし、ちゃんと楽しめます。

 桑田乃梨子「豪放ライラック」。ほのぼのマイペースでいつもながらの味。この人は男性向けオタク雑誌でも意外と浮きませんな。きづきあきら「シロクロ〜願いをかなえたら〜」は短期集中連載の1回め。ある日突然、主人公に2人の妹が……と思ったら、それが実は天使と妖精。んでもってこの2人が彼の恋愛成就をサポートしようとするのだが、それぞれが別の相手とくっつけようとするものだからさあ大変……という展開。COMIC SEEDのほうもそうだったけど、「モン・スール」のころとはだいぶ絵柄変えてきてます。だいぶキャピキャピした感じだけど、冒頭のシーンから見る限りけっこうシビアなこともやってきそう。とりあえず次号以降もチェックしてみよう。ほかにも読む漫画はあるし、ガムはしばらく定期購読雑誌に入れておくといたしますかな。

【単行本】「BARレモンハート」19巻 古谷三敏 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 いつもながらのものすごい安定感。酒のウンチクと人間ドラマで手堅く読ます。今回出てきた酒の中では、ウォッカにグレープフルーツをつけ込んだベースを使った、レモンハート特製のソルティ・ドッグが飲んでみたいなーと思った。あとずっと昔のマツヤニの香りがバリバリに利いたジンと、キニーネ入りのトニック・ウォーターで作る、昔の製法を再現したジン・トニックも。

【単行本】「イナカナかれっじ」3巻 法田恵 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 田舎の農業大学で繰り広げられるキャンパスライフ。周りになんもないだけに娯楽といえば……ということで、校風はずいぶん性に対してオープン。主人公の和樹やそのほかの面々とかわいい子たちのエロシーンがもりだくさんで展開される。明るいノリの中、法田恵らしい柔らかい女体描写が生きる。まあ気楽に読めるんだけどストーリー性はもう少し欲しいかなー。あんまり田舎であるという設定は生きてないし、いくらやることがないとはいえユルすぎるだろうという感じでもあるし。いや、基本的にはエッチが楽しめて好きなんすけどね。

【単行本】「ロボットボーイズ」1巻 作:七月鏡一+画:上川淳志 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

 個人的には応援したいんだけど、ちと惜しいな〜という漫画。自分の手でロボットを作り、ロボット競技大会に挑戦し続ける高校生男子・迫水天馬が主人公で、その姿に打たれた仲間たちと一緒にロボット作りに青春を燃やしていくという作品。自分で創意工夫して手を動かして、何かを作り上げていく……という内容。最近は若年層の「理系離れ」が指摘されているけれども、こういう作品が少年誌に掲載され、何かの刺激になってくれたらそれはけっこういいことだと思う。まっすぐなお話作りも悪くない。ただ個人的にはもう少し「メカいじり」そのものの楽しさを漫画で見せてほしい。今のところ、わりとキャラクターがどう動くかということのほうが中心になっちゃってるんで。第2話で100円ショップで売ってるライトを改造して、動くプッシュライトを作るとか、そういった感じのエピソードをもう少し盛り込んでいってくれればなーといったところ。


10/30(木)……ガキんちょが緊張

▼Amazon.co.jpで注文しておいたDVD「ロード・オブ・ザ・リング 知られざる中つ国」の「旅の仲間」編「二つの塔」編が到着したので、さっそく踏台昇降しながら「旅の仲間編」のほうを見てみた。

▼内容のほうは「指輪物語」の内容を、有名人たちの証言や、ヒルデブラント兄弟による挿絵、3Dマップなどを交えながら解説していくというもの。小説のほうの内容に沿っているので、映画版では省かれていた古森、トム・ボンバディル、塚山などについても触れられている。でも個人的には正直なところ物足りないかな、という印象。基本的にはあらすじをなぞる形だし、深い解釈とかがあるわけでもなかった。「指輪物語」に精通している人には新しい発見はないのではないかと。まあ解説とかによく出てくる「ガンダルフを大統領に!」バッジを映像で見られたのはちょっとうれしかったけど。ただし、小説のほうを1〜2回しか通読したくらいの読者が、ざーっと流れを振り返って物語を再確認するのにはいいんじゃないかと思う。映画のほうを見る前に、全体の内容を復習しとこうかなーってときには好適。本編映像は各巻1時間程度なので見るのもそんなに手間じゃないし。映画公開前に発売されてたらより良かったかもしれませんな。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 12月号 少年画報社 B5中

 大石まさる「ピピンとピント★」は2回め。やっぱりこの人は女体を描きたくてたまらなかったんだろうなあと確信。すごく楽しそうだ。ちなみに今回はピントくんがぶち切れて桃音さんがタイヘンなことになってけっこうHであります。読切が何度か掲載された礒本つよしはシリーズ連載に挑戦。「東京クレーターのアカリ」。隕石墜落によって水没、復興中の東京で、ホバーバイクで駆けずり回る女性駐在アカリの活躍を描く。この人は女性や風景を気持ち良く描ける高い画力の持ち主でちょっと楽しみな存在だが、ストーリーのほうは微妙に読みにくい。単純な美女アクションものなんで、もう少しコマ割りとかはシンプルなほうがいいと思う。1コマごとの完成度は高いけど、コマとコマのつながりや大ゴマと小ゴマの配分には改善の余地あり。そこらへん鍛えられてくるとだいぶ違うような気がいたします。

【雑誌】モーニング 11/13 No.48 講談社 B5中

 山崎さやかの新連載がスタート。「はるか17」。就職活動で連戦連敗中のエリート女子大生・宮前遥が主人公。いつまでも就職が決まらない状況に焦った彼女は、切羽詰まって小さな芸能プロダクションを受験。マネージャーのつもりで申し込んだのだが、誤解した会社側は彼女をグラビアモデルとして雇おうとするけれども……。というわけで彼女がグラビアモデルとして奮闘していくって話になりそうな気配。遥はパッと見、地味ではあるけれども化粧とかしたら化けそう。女性を描くことについては一級品な作者だけに、今後の展開に期待。

 ショートギャグ枠の「Gスポット」で花輪和一が登場。「風化談」という4ページ読切を描いている。ページ数も少ないし掌編ではあるけれども、マイペースさが愉快な作品ではあります。ツジトモ「スリー・ストライクス」は2回めの登場。前回の掲載は5/29 No.24(掲載時の感想は5月15日の日記参照)。1回の打席の間に繰り広げられるプロ野球選手のドラマ、駆け引きをつぶさに描いていくという感じかな。今回は正々堂々と力勝負を挑む同期の投手とは対照的に、ずる賢く相手の虚をついて盗塁することに自分の道を見出した俊足選手の物語。エッジの利いた描線が個性的で、お話としても着眼点が面白くなかなか読ませる。才気は感じるし、うまい具合に定着してくれるといいですな。

【雑誌】ヤングサンデー 11/13 No.48 小学館 B5中

 作:魚柄仁之助+画:大谷じろう「おかわり飯蔵」は最終回。ヒロインがやけにグラビアアイドルポーズをとってたり、脇役の男の顔がやけに暑苦しかったりと、なんだか不思議なノリはあったが、料理漫画の中では実用度はかなり高いほうだったと思う。「この食材が安くて、こういう風に調理すると簡単でうまいよ」というのを見せてくれるのが良かった。平松真の前後編読切「ワンテク」は、亡き父の後をついで娘さんが支えている鉄工所の苦境を、父の一番弟子だったというスケベだけど腕利きな職人が救うというストーリー。職人の工夫で勝負……という点では、スーパージャンプでやってる「ナッちゃん」に近いものがあるが、こちらはお色気サービスがだいぶ多め。平松真の描く女体は妙にHっぽくて好きではあるけどね。

【雑誌】ヤングジャンプ 11/13 No.48 集英社 B5中

 山花典之の新連載「天使のルージュ」が開始。まっすぐな性格が禍して勤めていた会社をクビになった男が、女の子ばかりの化粧品会社の美人社長の秘書になる……ってな感じの、ビジネスシーンを舞台としたラブコメになるっぽい。女の子描くのはうまい人なんで手堅く行くのではないかと。遊人「学園天国」は2回め。前回ヒロインらしきキャラが「ラブひな」の成瀬川みたいだと書いたけど、今度は学校の校長さんが「サクラ大戦」の人みたいであることが判明。すごいなー遊人は。この人の開き直りっぷりには感心さえしてしまう。清野とおる「ハラハラドキドキ」は突然の展開。そして突然の最終回。これはちと唐突すぎて後味が良くないなあ。なお、11月18日発売予定の漫革vol.36に「特別編〜鎮魂歌〜」が掲載されるとのこと。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 11/13 No.48 秋田書店 B5平

阿部秀司「番長連合」は連載再開で2本立て。なんか番長連合がだいぶ大きくなってノしてきてます。この人もハッタリかましてぬるぬると読者を引き込んで来るような独特の語り口は、師匠のコージィ城倉譲りか。あと2本めのほうはギャグメインな話になってて、こちらはこちらでまた楽し。作:森高夕次+画:松島幸太朗「ショー★バン」。面白い。なんかショーバンくんとキャッチャーのノブちんの間で漫才やってるみたい。ゲームセットを目前にして、またしても「七分の力ァァァ」とか絶叫し始めるショーバン。そして「これは”まずいモード”だ!」とか心の中で呟いているノブちんの様子がとても笑える。桜井のりお「子供学級」。いい感じで推移中。授業参観が行われることになって、無法授業を繰り返していた梅子は愕然。そして彼女がどういう授業をするのか、同僚の雉原先生は気になってしょーがない。アンタ、それはきっと恋ですぜ。

【雑誌】コミックバンチ 11/14 No.48 新潮社 B5中

 松家幸治「ガキんちょ強」が最終回。両親を亡くしながら、妹を守りつつ健気、かつたくましく生きる強少年の成長物語。絵柄的にもストーリー的にも完成度は高く、ラストもきれいに締めくくった。ただこの人の場合はその完成度の高さが、逆にあざとさにもつながってて、損してる部分もあったと思う。読切「コンシェルジュ」(作:いしせきひでゆき+画:藤栄道彦)は、新しくできた大型ホテルに勤めることになったおねえちゃんが、世界でも有数の腕利きホテルマンである上司・最上の鮮やかな接客術を目撃するというストーリー。整った絵柄でまとまりが良い。単発読切というよりも連載向きな作品という感じ。

【単行本】「電脳やおい少女」2巻 中島沙帆子 竹書房 A5 [bk1][Amzn]

 趣味がやおいであることを彼氏に隠し続けながら、やおい本やネットでのチャットなどにハマり続けるオタク女子大生・美月ちゃんが主人公の日常コメディ4コマ。最近は男子のオタク系雑誌ではオタクネタ漫画がいっぱいあるけど、女子側の視点から描かれた作品ってのはあんまりなかったのでそういうところはけっこう新鮮。あと普通に絵がかわいいっていうのも魅力だと思う。ちょっと「私はやおいだから」ってのを意識しすぎなような気がして、そこがもどかしかったりはするのだが、オタク女子から一般に向けて描く作品としては微笑ましくて良いのではないかと。それはともかくとして美月ちゃんは、現在の彼氏である越村くんよりも、なんかやおい方面に魅せられつつある玉垣くんに乗り換えたほうがいいのではないかと思う。チャットを始めようとして、いきなり環境問題フォーラムのサイトに行っちゃう男なんてきっとろくなもんじゃないぞ……。


10/29(水)……ダメ男子の死んだ目だ

【雑誌】アックス Vol.35 青林工藝舎 A5平 [bk1][Amzn]

 みうらじゅん「アイデン&ティティ」の映画が12月中旬から公開されるということで(→公式サイト)、今回の特集はソレ。みうらじゅんと、映画の監督をした田口トモロヲの対談も掲載されている。漫画のほうはいつもながら青く、そして泣かす。岩本が残したものとは、そしてロックとは何なのか、そんなことを考えながら中島が歌う。清水おさむ「紅桜生首地獄編」の後編。前回もその異様な迫力に圧倒されたけど、今回も良かった。代々首切り役人をやっていた一家の末裔である男と、その妹の、数奇な愛の物語。たいへん艶めかしくて激しい絵柄と妄執漂うネームには鬼気迫るものが。大団円も壮絶。

 古泉智浩の新連載「死んだ目をした少年」。これはまずタイトルがいいね。そのものズバリ。とある学校の平凡な一少年。とくに得意なこともやりたいこともなく、話をしたい相手もいない。クラスの人間から話を振られれば適当にあいづちくらいはうつが、基本的に誰とも話したくない。そんな無気力な男子が主人公。最近の古泉智浩のダメ人間漫画のキレ味は凄いものがあるので、この作品にも当然期待してしまう。こちらもダメ人間漫画な福満しげゆき「僕の小規模な失敗」。なんだか自分の先が見えなくて、主人公はホームレスに憧れを抱くようになるという展開。しかし実際にその世界に身を投じたりはしない、「思いっ切りの悪さ」はいかにもこの主人公らしい。

【雑誌】週刊少年サンデー 11/12 No.48 小学館 B5平

 雷句誠「金色のガッシュ!!」。ここ2回はナゾナゾ博士&キッドのエピソードで盛り上がり。石版編になってからちょっと勢いが落ちてたと思うけれども、ここに来て泣かせるアツい展開を見せている。もっともっとカモーンという感じ。井上和郎「美鳥の日々」。美鳥の存在がコータにバレて、これからの二人の生活に大きな影響を与えるであろう大きなルールが呈示される。これによって二人の関係性に、新たな緊張感やら切なさが織り交ぜられてくるんでありましょう。物語的には大きなターニングポイントですな。よかよか。

【雑誌】週刊少年マガジン 11/12 No.48 講談社 B5平

 真島ヒロが今号は読切と「RAVE」の2本立て。この人は最近精力的に仕事してるなあ。こういうたくさんやる気のありそうな人は評価したい。で、読切「混合戦隊ミクスチャー」はなかなか面白かった。子供たちの支持率によって評価される戦隊モノのヒーローたち。数ある戦隊のうちの落ちこぼれ3人が集まって結成された新戦隊が、どん底から子供の支持率を得るために奮闘する。最初はギャグから入り、ヒーローってのは何かということを熱く叫ぶ中盤の展開に持っていく流れは読みごたえがあった。この人の短編はハズレなく読めます。で、12月中旬に短編集2冊が同時発売とのこと。

 宗田豪「天才料理少年味の介」第2回。コロッケ編。前回はまんま「味っ子」かと思ったら、今回は刃森尊的なヤンキーケンカ漫画テイストをぶち込んできた。うーむ。それにしてもこの漫画、なんでも肉汁出せばいいとか思ってはいまいか……。

【雑誌】快楽天 12月号 ワニマガジン B5中

 LINDA「女音 −あまおと−」。借金のカタに元グラビアアイドルの若奥様が、夫の知り合い数人に輪姦されるというお話。まあやってるだけ漫画ではあるんだけど、若妻さん好きにはしっかり実用的。たださすがにコンビニ売り雑誌だけあって消しがすごい。この人はモロでドロドロなエロがウリな人だけに、ちょっと痛いところ。かるま龍狼「でかいの」。弟の友達のおちんちんが、子供のくせに凄いデカいことを発見した姉が、彼を誘惑しちゃうというコメディタッチでちょっとショタっぽい風味もあるお話。エロとコメをしっかり共存させる腕前はさすが。鳴子ハナハル「U.F.O.」は主人公の女の子がグレイみたいな感じの宇宙人たちに捕らわれの身となっていて、最後に残った地球人として、一緒に連れてこられた男と交配させられる……というところから始まるお話。スッキリ上品な絵柄は相変わらず好印象。最後にちょっとしたヒネリも利いててセンスの良さが光る。三浦靖冬「とわにみるゆめ」は最終回。これは単行本でまとめ読みするのが良さげ。来年2月発売予定とのこと。

【雑誌】エンジェル倶楽部 12月号 エンジェル出版 B5平

 奴隷ジャッキー「コエがきこエる」。今回は読切だけど面白い。この人の魅力はエロ方面ではじゅくじゅく汁っ気たっぷりな女体描写やら、爆発力があってやりすぎ感あふれる作風。それとむちゃくちゃ特徴のある独自のセリフ回しも凄い。で、今回はそのセリフ回しの強烈さがいかんなく発揮されている。他人の心の声を聞くことのできる美人お嬢様のほのかたんが、自分を見てエロ妄想に浸る男子の思考に興奮するというストーリーなのだが、エロ妄想だけにむちゃくちゃな言葉が四方八方から降り注ぐさまが堪能できるんですな。「朝日にさんぜんと輝くほのか膜ライズオン! オールピンク!」「ち○ぽ!!ぽんち!!ぽぽんちん!!!」「ぽぽんちん体操が…できる!!」などなど。いやー、面白い人だなあ。あとどうでもいいことなのだが、作者あとがきで天馬ふぇみおが「学生時代、よくスーフリのパーティーでナンパしてました」と書いててちょっと笑ってしまった。


10/28(火)……チンタラですか

▼OHP月極アンケート10月分「ナウい漫画」の締切が近づいてまいりました。まだご投票お済みでない方は、ナウいうちにいっちょよろしくお願いします。

【雑誌】漫戦スピリッツ 11/24 小学館 B5中

 今回掲載された新人の中では、家永映三「楽園」が頭一つ抜けていた。トップの意向に左右されて真実を書くことのできない大新聞社の社風に不満を抱き続けていたベテラン記者が退社。そして彼は、過去と決別しジャーナリストとして再出発するために、28年前に自分の記者人生を変えることとなった因縁の地、カンボジアへと向かう。その彼が現地で知り合った日本人青年を伴って向かった場所は、かつてポル・ポト派の最高幹部だった男が住まう村だった。重みのある題材を真っ向から描いたストーリーは読みごたえがあった。腹の据わった良作。作画や構成なども含めて新人らしくない雰囲気がある。派手ではないけれど誠実なドラマを描いていけそうな人材だと思う。藤堂裕「そこに後藤がいます!」。クラスの中ではまったく目立たず一時は自殺も考えた少年が、馬鹿だけど奔放で毎日楽しそうに生きているクラスメートの後藤の導きで、新しい自分に目覚めるというお話。こちらは新人らしい爆発力が魅力。まだ荒削りだけど勢いは買い。非新人ではやっぱり吉田戦車「山田シリーズ」が面白い。あと今号には藤田和日郎のインタビューも掲載されてます。

【執筆陣】榎本ナリコ、吉田戦車、山口かつみ、家永映三、下平貴郁、赤松整、海座星、友寄勇一、宮田昭和、武田剛雄、田中健一郎、日高康一郎、浜崎智弘、宮原ひろむ、高田康太郎

【雑誌】イブニング 11/11 No.17 講談社 B5中

 吉田基已「恋風」。今回はかなり痛々しい展開。七夏が意を決しておにいちゃんのもとへ向かおうというそのころ、おにいちゃんは一体どうしていたのか……というのがメイン。いろいろあったがやっぱりおにいちゃんのほうも吹っ切れていたわけでは全然なかった。そして抑えられない気持ちがたいへん痛い形で噴出してしまってかなりしんどいことに。もう本当にどうしたらいいんだ……という展開で出口なし。吉田基已は口当たりのいい絵柄のわりに、登場人物を容赦なく追い込みますな。小田原ドラゴンの新連載「Let's 笹原」がスタート。いろいろダメで役に立たなそうなおっさんたちが繰り広げる、日常的なダメっぷりをまったり描くギャグといった感じ。2〜3ページ単位のオムニバス形式でお話は進行。いかにも小田原ドラゴンらしい一作。

 富田亜紀良のホスト漫画「NIGHT BLOOD」は、けっこうしっかりした成長物語となっていて手堅く読ます。今回は道に迷っていた亮が再び自分を取り戻すという展開でカタルシスたっぷり。古林海月の読切「米吐き娘」は、なぜか身体から米が湧いてきてしょっちゅうそれを吐き出しながらも、米を愛して生きている健気な少女の物語。妙な設定ながらもけっこう爽やかなストーリーを組み立てて好印象。絵柄的にはちょっと佐藤マコトを思わせるところがあり。試しに月イチ連載要員として抜擢しても面白いんじゃないすかね。

【雑誌】ヤングチャンピオン 11/11 No.22 秋田書店 B5中

 村生ミオの新連載「Xenos」がスタート。またしても女ストーカーものになりそうな予感。葉月京「恋愛ジャンキー」では新キャラ登場。後ろ姿がミホに似たコスプレキャバ嬢の人。そんなことしてないで地井さんのほうに行けとみんな思うだろうなあという展開でございます。まあしばらくエイタローの迷走は続くんでしょうな。

【雑誌】漫画サンデー 11/11 No.43 実業之日本社 B5中

 松三よぉ〜。と最近いつもいっている漫画サンデーだが、今号は「湯けむりスナイパー」はお休みです。末松正博「ザ・ビッグマン」。普段は気弱な大学教授カタギリ、マスクをかぶれば伝説の巨根AV男優ビッグマンという二重生活を送る男が主役のコメディ。いつの間にやら20話まで来たけど、ここまではけっこうコンスタントに楽しめている。

【雑誌】フラワーズ 12月号 小学館 B5平

 西炯子の新連載が開始。「双子座の女」は「STAY」の第3シーズンという位置づけ。何やらエキゾチックというか妙な雰囲気を漂わせた女の子・刈川エリと、彼女をじっと見つめる美男子な剣道部部長を中心としたエピソード。珍妙な取り合わせの二人の恋愛ストーリーになるのかなと思ったら、なるほどなかなか一筋縄では行かない。最後のページのコマの一言に思わず笑ってしまった。前作の「お手々つないで」も良かったけどこちらはまた違った感じで期待できそう。萩尾望都「バルバラ異界」は連載再開。やっぱりこの人が載ってるとプチフラワー風味がグンとアップ。読切、竹坂香利「カステラ・ダンチ」は団地住まいの少年たちの友情ストーリー。上品な絵柄で完成度は高い。少女漫画歴は浅いんでこの人は初めて見たんだけど、Googleで検索してみたところ、昔「竹坂かほり」名義で描いてた人のようで。絵柄的には吉野朔実に似た感じ。

【雑誌】コーラス 12月号 集英社 B5平

 佐野未央子「君のいない楽園」の別冊が付属。本誌掲載の本編を、別の視点から見たストーリーとかが載ってます。よしまさこ「うてなの結婚」は3回連続掲載の2回め、かつて生徒だった青年と交際中だったあのんさんのエピソードが続く。緊迫した感じではあるが、今どきかつての生徒と交際してるってくらいでこんなに騒がれるかなあという気もする。いやまあ、全体としてはとてもコンスタントに面白いんですが。そのだつくし「アフロマン」は3話めで最終回。アフロ男と元気娘の関係はいろいろゴチャゴチャあったのち新しい局面へ。この人の勢いある作風はけっこう好きで、この作品もなかなか楽しかった。

 芳成香名子「こむぎ日和」。なんかこむぎ(犬)が足の間に挟まったまま、むーむー動かないとかそういうことがあってちょっとうれしかったみたいなネタが描かれてたけど、それって年取って目が悪くなってきたからじゃないかなあ。以前ウチにいたお犬さまでもそういうことがあった。目が見えないから心細くなって飼い主にくっつこうとしてたらしい。……とか、ついマジメに考えちゃうので実話ペットモノは困るのだ。死んだりされたら後味悪いしさー。相手は一度も実物を触ったことも見たこともない動物だったりするのに。

【雑誌】メロディ 12月号 白泉社 B5平

 うーん、引っかかってくる作品がいまいちないなあ……。今この雑誌の中で個人的に一番面白く感じるのは魔夜峰央「パタリロ西遊記」。さすがにこの人は浮き沈みなく芸達者。プロだなあと思う。そういえば「羅漢酒切(らかん・しゅきる)」というキャラが出てきてるけど、コレってサッカー・トルコ代表のハカン・シュキルに引っかけてるんだよね? メロディでは気づかれそうなギャグをスルッと入れてるところが粋だ。

【雑誌】阿ウン 12月号 ヒット出版社 B5平

 暖かみのあるペンタッチがけっこう好きなおきた51。今回の「ナツキ危機一髪!」は、母の仇に復讐すべくエロ老師の元で修行していた女の子が主人公。だけど実はその老師こそが母の仇であったことが判明、かえって老師のエロテクの前に翻弄されちゃうというお話。ドタバタ風味ではあるけど、エロシーンはけっこう肉感的でいい。柔らかいタッチも奏効。真海「イライラ兄とムラムラ妹」は、カノジョにフラれた兄をからかっていた妹ちゃんが、ブチ切れた兄のテクニックによってメロメロにされちゃうというお話。身体の描き方に多少クセはあるが、ペンタッチに強弱がしっかり利いててなかなかナイスなムチムチ感。悪くない感触。あとは摩訶不思議、的良みらん、大井はに丸、牧部かたる、高岡基文、わたんかづなりといった安定どころがしっかりヌケる作品を描いている。師走の翁は今回お休みだけど満足感は高い。で、次号は新年特大号とのこと。

【アンソロジー】アイラDELUXE VOLUME.16 三和出版 A5平 [Amzn]

 柿ノ本歌麿「令嬢利々菜 狂気と復讐のBODY LANGUAGE」。今回もいい感じでお嬢さまが壊されている。特設ステージに吊るされて、学園中の男子に犯されまくり。だいぶ人間の領域から外れてきておりますが、柿ノ本歌麿ファックとしてはこれでもまだヌルく感じられてしまうところが、いやはやなんとも凄いですわい。掘骨砕三「ぞろぞろどろどろ」。ある日、とある女の子の股間から這い出してきたうねうねするヘンな虫。ちんこ型をしたそれは次第に大きさと数を増し、街中の穴という穴を席巻。いつもながら、すごい可愛い絵柄なのにとんでもないことをやってくる発想力に驚かされる。とても刺激的でエキサイティング。耐性があれば楽しくて仕方がない世界です。


10/27(月)……利潤吸い上げ構造

▼そういえば最近、特製コミックスカバーをおまけでつける雑誌が増えてきている。これは単行本も買っている読者としてはちょっとうれしいアイテムだし、単行本を買ってない読者にとってもあまりかさばらないので邪魔にならず、しかも単行本、雑誌双方の宣伝になるのでいいおまけだと思う。ただ、たいていのが掛け替えカバーなのがちょっと気になっている。掛け替え式だと、外した元のカバーの保管にちょっと困るのだ。できれば書店でつけてくれる紙のカバーみたいに、元のカバーの上からかぶせられるような方式にしておいてくれると、元のカバーもなくさないのでいいのになーとか思った。まあ折り目の位置を自分で変更すればいいんだけど、それだとちょっと汚くなっちゃうんで、あらかじめ大きめの位置に折り目を付けておいていただけると個人的にはありがたい。いっそ現在の掛け替えカバーみたいな豪華な奴でなく、書店の紙カバーみたいな感じでペラペラしたチープな感じの奴でも、それはそれで味があっていいかも。

【雑誌】ヤングキング 11/17 No.22 少年画報社 B5中

 巻頭カラーで新連載、永田晃一+高橋ヒロシ(原案)「Hey!リキ」。とんでもなく強くて人相が悪く、それに輪をかけて頭も悪いが、情には厚いイイ男・早乙女力の学園ライフを描いていくというヤンキーもの。曲がったところがなくて安心して読めてけっこう楽しい。吉野ケイイチ「チキンデイズ」。成田に恋する小町さんの登場で、小松との仲が危うい状態に。いやーいい感じでラブコメしておりますなあ。絵もうまくなってるしいいですわい。松本耳子の読切「たこ焼きなっちゃん」は、貧乏なたこ焼き屋の娘なっちゃんとその父ちゃんの人情物語。松本耳子らしい元気で暖かみのある絵柄とお話の内容がしっかりマッチしてて好感の持てるお話。長田裕幸「CHALMELLA」は後編が掲載。この前週刊少年マガジンに載った読切はページ数が多すぎたせいかテンポが悪くてイマイチだったけど、こっちのほうは適度なボリュームできれいにまとまったと思う。

【雑誌】ヤングマガジン 11/10 No.48 講談社 B5中

 村田ひろゆき「工業哀歌バレーボーイズ」。いつもながらこの作品に出てくるSEXびっくり人間的ギャルたちはなんかすごい。蜂女、エビ女などヘンなのばっか。そして今回はイカ姉妹が登場。ダジャレもりもりでいい具合に心がほぐれます。古谷実「シガテラ」。荻野くんに美人の彼女ができて、こんなにハッピーで良いのかしらという回。このままでは終わるまいと思えるだけにドキドキです。宮下英樹「ヤマト猛る!」は最終回。いい感じに盛り上がったし面白うございました。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 11/10 No.48 小学館 B5中

 村上かつらの新連載「純粋あげ工場」がスタート。とうふや油あげを作る工場で働く、素直すぎる女の子カヨちゃんの青春模様を描いていくという感じ。カヨちゃんは今どき珍しいくらいお人好しで、初っぱなから男にダマされそうになってますが……。今のところどういうお話になっていくかはまだ見えないけど、やっぱり読ませる力はある。期待しております。どうでもいいけどタイトルを見て、松井雪子の「絶望ハンバーグ工場」を思い出した。三宅乱丈「ペット」は最終回。ラストに向けて盛り上がったけど、記憶を操作する能力についてその起源・原理的な部分とかにも突っ込んで、より大きく展開しちゃっても良かったかもとは思った。小田扉「団地ともお」は毎度面白いなあ。単身赴任しているお父さんがとてもいい味を出している。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 11/10 No.48 集英社 B5平

 うすた京介「ピューと吹く!ジャガー」がヘンなところに載っている!……ということで珍しくセンターカラーで登場。「●●●化」と書いてあるからア●メにでもなるんかなーと思ったらゲ●ムでした。ゲノムじゃないよ。プレイステーション2用で来年春発売予定とのこと。河下水希「いちご100%」。ガーン。新キャラ登場ですか? でもこの時期になって出てくるということはどう見ても雑魚であろう。和月伸宏「武装錬金」はパピヨン編おしまい。盛り上がっているんだけど、そんな中でもビキニパンツの盛り上がりにどうしても目が行ってしまう。このバランス、面白い。読切ギャグの大亜門「超便利ロボ スピンちゃん」は9/15 No.40「超便利マシーン スピンちゃん」に続いての掲載。明るいドタバタギャグで個人的にはけっこう好き。

【雑誌】電撃コミックガオ! 12月号 メディアワークス/角川書店 B5平

 コゲどんぼが新作読切で登場。で、扉絵に和服姿の上品なおぜうさまが描かれていて、なんかいつもと違うけどいい雰囲気そうだったんで購入してみた。その読切「遥か……」は戦争で恋人を失って、親の勧めた見合いを前に「昔に戻りたい」と願うお嬢さまの物語。とここまでは和風のしんねりした話なのだが、途中でいきなり空展開。ヘンなことする人だなあ。でも締めはきれいでなかなか面白い1本。それから今号にはコミックフラッパーとかでときどき描いていた奥田圭悟が登場。第10回電撃ゲームコミック大賞で金賞を受賞した「くりから」が掲載されている。平安時代っぽい服装や建築と、宇宙船なんぞが自然に溶け合ったSF世界で、陰陽師と天魔がおっかけっこ。両方とも姿形は女の子で、派手なアクションを繰り広げる。コミカルな絵柄はすでにこなれているし、きっちりまとまってる。ただコマ割りがゴチャゴチャしすぎかなあというのと、追っかける側と追っかけられる側の女の子が両方とも長い黒髪で見分けがつきにくいのがちょっと気になった。

【雑誌】コミックミニモン 12月号 東京三世社 A5中

 ほしのふうた「まどろみの国ゆき すぺしゃるコース」。イトコのお兄ちゃんになついている女の子みおたんがかわいー。いつもながらに邪気のない可愛い絵柄でほのぼのH。11月28日には新刊「ひそひそ遊び」[Amzn]も発売予定。

【単行本】「少年少女」3巻 福島聡 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

 いつもながらすごくうまい。絵もそうだし話の進め方も実に巧み。目次を漫画式のコマ割りでやっちゃうのもそうだけど、この人は本当に漫画描くの好きそう。というか描かなければいられない人という感じもしてしまう。一話ごとに内容がガラリと変わるので一言では評しにくいのだけど、シリアスなもの、ミステリアスなもの、コミカルなもの、ほのぼのとしたもの、どんな話でもしっかり描きこなし自分なりの味付けができてしまうあたり素晴らしい。この巻でとくに好きなのが冒頭に掲載されている「ドレミファソラシド レミ ソラミ」。ある日地下鉄の駅で偶然知り合った少年ソラミと少女レミが、町中にあふれる音や言葉で遊ぶというお話。絶対音感と子供の遊び心をうまいことリンクさせたストーリーは新鮮な感触。多少分かりにくいかなと思える話もあったりはするけれども、作者の才気はビンビン感じられる。なお11月12日発売のコミックビームに特製コミックスカバーがつくそうです。


10/26(日)……もう相当落下しました

▼11月の単行本購入予定。注目は華倫変「デッド・トリック!」、ダーティ・松本「エロ魂!」、吉原基貴「U-31」あたり。単行本描き下ろしの卯月妙子「実録閉鎖病棟」あたりも面白そうだけど、11月25日にちゃんと出るかな?

11/1 「ササメケ」4巻 ゴツボ×リュウジ 角川書店
11/1 「ウルトラQ」1巻 藤原カムイ 角川書店
11/5 「目隠しの国」8巻 筑波さくら 白泉社
11/6 「ユキポンのお仕事」7巻 東和広 講談社
11/6 「アヴァンギャルド夢子」 押見修造 講談社
11/6 「さくらん」 安野モヨコ 講談社
11/6 「デッド・トリック!」上下巻 華倫変 講談社
11/7 「史上最低のレガッタ」1巻 塀内夏子 講談社
11/7 「おとぎのまちのれな」4巻 はっとりみつる 講談社
11/7 「ザードルマニア」 KASHIみちのく 平和出版
11/8 「エロ魂!」1巻 ダーティ・松本 桜桃書房
11/8 「スクナヒコナ」1巻 南Q太 祥伝社
11/12 「大人になったら」 星逢ひろ オークラ出版
11/13 「ORANGE」11巻 能田達規 秋田書店
11/13 「しあわせエッチ」 田中ユタカ 蒼竜社
11/14 「ヘルシング」6巻 平野耕太 少年画報社
11/18 「からくりサーカス」30巻 藤田和日郎 小学館
11/18 「史上最強の弟子ケンイチ」7巻 松江名俊 小学館
11/18 「ナイトミルク」 高岡基文 シーズ情報出版
11/19 「硫伽といた夏」4巻 外薗昌也 集英社
11/19 「つっぱり桃太郎」2巻 漫(もも)画太郎 集英社
11/19 「ネコの王」5巻 小野敏洋 小学館
11/19 「学園アリス」3巻 樋口橘 白泉社
11/20 「魔月館奇譚」1巻 井荻寿一 秋田書店
11/20 「バトル・ロワイアル」11巻 作:高見広春+画:田口雅之 秋田書店
11/20 「ジャイアント」5巻 山田芳裕 講談社
11/20 「U-31」1巻 吉原基貴 講談社
11/20 「バガボンド」18巻 井上雄彦 講談社
11/20 「ブラックジャックによろしく」7巻 佐藤秀峰 講談社
11/21 「喰いタン」3巻 寺沢大介 講談社
11/21 「EDEN」10巻 遠藤浩輝 講談社
11/25 「エマ」3巻 森薫 エンターブレイン
11/25 「青 オールー」3巻 羽生生純 エンターブレイン
11/25 「ファンシージゴロペル」2巻 水野純子 エンターブレイン
11/25 「実録閉鎖病棟」 卯月妙子 太田出版
11/25 「東陽片岡作品集」 東陽片岡 青林工藝舎
11/25 「ふぁにーふぇいす」1巻 かかし朝浩 ワニブックス
11/27 「灰色の乙女たち」2巻 加藤理絵 スクウェアエニックス
11/28 「日々そりゃ妄想」 なめぞう 桜桃書房
11/28 「イケてる2人」16巻 佐野タカシ 少年画報社
11/28 「ひそひそ遊び」 ほしのふうた 東京三世社
11/28 「藍より青し」12巻 文月晃 白泉社
11/28 「喜喜」 宇仁田ゆみ 白泉社
11/29 「MOON LIGHT MILE」7巻 太田垣康男 小学館
11/29 「アグネス仮面」4巻 ヒラマツ・ミノル 小学館
11/29 「ティーンズブルース」6巻 コージィ城倉 小学館
11/29 「バドフライ」1巻 イワシタシゲユキ 小学館
11/29 「のらみみ」1巻 原一雄 小学館
11/29 「ZODIAC LOVERS」 B.たろう ワニマガジン社

【単行本】「妄想トラッカー8823」1巻 小田原ドラゴン 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 小田原ドラゴンらしい風味がたっぷりつまったいい本。主人公の8823(ハヤブサ)は世界一のトラック野郎。世界最大のトラック「カリフォルニアビッグサンダース4号」を駆り、ハイウェイを力強く駆け抜ける伝説の男。……という妄想を心の拠り所として生きている冴えない高校生男子・早房くんの物語。もちろんただ妄想しているだけだから彼にはカッコ良いところなんかみじんもない。内気でオドオドしてて要領が悪く、クラスに友達の一人もいない。そんな少年の情けない日常が描かれていく。

 この情けなさが実にいい。ギャグなんだけどリアルでもあったりして絶妙な味を醸し出している。例えば8823の一番の悩み。それは学校で昼休みをどう過ごすか。一緒に弁当を食う友達のいない彼にとって、その1時間はまさに試練の時。クラスでみんなが談笑している中で、一人ポツンと弁当を食うのは耐えられない。だから彼は誰もこない体育館の裏で隠れるように食事をする。トラッカーになる妄想にふけりながらもそもそと弁当を食すその姿を、小田原ドラゴンは痛々しいものとしてではなく、ちゃんとユーモラスに描いてくれる。自分も高校時代、8823ほどじゃないけど友達の少ない、妄想にふけりがちな男子だったからこの感覚は分かる。分かるだけに痛くもあり面白くもある。あとこんな8823くんの姿が、学生生活編で終わらず、大人になってからのお話まで描かれたのがまた良かった。ラストシーンなんかも見事だと思った。終わらない妄想を胸に抱き続けながら生きる冴えない男。別に素敵ってほどでもないがそれはそれでいいじゃないですか。

【単行本】「爆音列島」2巻 高橋ツトム 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 やっぱこのお話はすごく好きだ。「暴走族」という現象の中で生きた若者たちの姿を、現実と地続きなものとしてしっかり描写できている。正義のヤンキーや伝説の走り屋といったファンタジーな存在ではなく、普通にそこにいたヤンキーたちの物語。この感覚は今までの暴走族漫画にはちょっとなかった。これまでの暴走族漫画はファンタジーな主人公とその他大勢のゾクたちの物語だったが、この作品の主人公はむしろその他大勢に属する少年だったりするわけだし。また、物語の端々に出てくる80年代的流行物も、現実との地続き感を出すキャッチーなとっかかりとなっている。リアリティがあるだけに暴力描写もダイレクトに怖い。「ああ、こんな怖いあんちゃんたちにはからまれたくないな」と素直に思える。しかもちゃんと、恋愛もあり、友達との馬鹿話とかもある青春ストーリーという性格も備えている。好調です。

【単行本】「蟲師」4巻 漆原友紀 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 問題なく面白い。自然界を漂う蟲たちの不思議と、それに関わった人間たちの物語を描写。どの物語も禍福があざなえる縄のごとく配合されていて、一口に悲劇とはいえないドラマとなっている。あと蟲たちの起こすさまざまな怪異も、実際にあるわけはないんだけど、うっすらリアリティがあるのがいい。その怪異が何かの目的や意志によって引き起こされてるというよりは、自然な蟲の習性に従って起きてるってのがいいのかな。上品で丁寧な絵柄もストーリーによくマッチしてるし。自然描写の美しさ、キャラクターたちの透明感など、いい感じに完成されてると思います。

【単行本】「えの素」9巻 榎本俊二 講談社 A5 [bk1][Amzn]

 これにて最終巻。最後のほうはちょっと勢いが弱まった感があるが、軽快なテンポで次々繰り出す下品ギャグの連続はエポックメーキングだった。「ロールミーロールユー」「バッバッ」など言葉のセンスも素晴らしく、榎本俊二の天才性が十分に発揮されていたし。というわけでいろいろ輝いていた作品でありました。

【単行本】「蒼天航路」29巻 王欣太 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 さようならジュンイク、こんにちは蜀な巻。そういえば物語をにぎわした群雄たちもずいぶん年をとってきた。だんだん死んでいく人たちも増えてきますな。曹操の死がどういうふうに描かれるかももうそろそろ気になってくる時期。

【単行本】「ふたつのスピカ」5巻 柳沼行 メディファクトリー B6 [bk1][Amzn]

 アスミたちの宇宙飛行士を目指す訓練が進む中で、それぞれのキャラクターたちのエピソードに触れていく展開。とくに宇喜多まりかさんにはいろいろありそうで気になるキャラ。宇宙を目指すロマンよりも、地上で空を見つめる人たちの心情を描いていくドラマといった捉え方をしたほうがいい気がする。ところでアニメ化を記念して、ライオンさんキーホルダーがもらえる応募券がついてるんだけど、先着2000名っていうのはなんか多すぎのような気がちょっとした。

【単行本】「ピルグリム・イェーガー」3巻 作:沖方丁+画:伊藤真美 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 実のところ、新しい巻が出るころには前の巻の話はけっこう忘れちゃっている部分が多い。物語的な引っかかりというのがいまいち弱いとは思う。でもカッコイイ。伊藤真美のシャープで華麗な絵柄は見るとやっぱり感心させられる。それから悲壮感の漂う物語も、ちゃんと前の巻の展開を思い出してくるとしっかり読みごたえあるし。

 それと中世キリスト教圏って舞台として魅力的だなとも思った。まず剣と魔法的ファンタジーがやりやすい。キリスト教という倫理観、制約があるため、それと対称となる背徳も描きやすい。ちょうどいい感じの腹黒い悪として教皇ってのがいるし、いざとなったら異教徒とか持ってこれる。スパイスとして、グノーシスだのなんだのオカルト的な要素も自然に混ぜ込める。それから世界史上の人物も扱いやすい。いちおう学校の授業とかで習うワールドワイドな名前だが、日本人的にはそんなに強硬な固定イメージはない人物たちだから、いろいろ勝手なキャラづくりも可能。下手を打つと安くなりがちだが、ちゃんと勉強してうまく扱えばいろいろ美味しそうな気はする。


10/25(土)……こんにちはあかしゃん

▼ちょっとおうちで仕事してたんで更新が遅れました。一段落したので漫画感想追加。仕事に関係ない文章書くのは楽しいな〜。

▼bk1はマンガ新刊予約が終わっちゃってから、新刊の到着が遅くて困る。荷物重いのがイヤなんで、発売日に注文入れて買ったりしてるけど、新刊本でも取り寄せ扱いになってることがけっこうあるので、なかなか到着してくんない。24時間以内発送になってる奴とかは相変わらず早いんだけど。ここらへんの事情を踏まえたうえで、今後の単行本買い体制を考えていかねばならないかな、とか思った。

▼少年エースとガンダムエースで告知が出てた、マンガ版「新世紀エヴァンゲリオン」9巻の初回限定付録「綾波アクション・フィギュア」(角川書店の告知ページ)はなかなかカッコイイすね。目がコワイけど。フィギュアにはあんまり興味なかったが、コレはモノとしてちょっと欲しいかも。

▼未読物
【単行本】「妄想トラッカー8823」1巻 小田原ドラゴン 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「爆音列島」2巻 高橋ツトム 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「蟲師」4巻 漆原友紀 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「えの素」9巻 榎本俊二 講談社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「蒼天航路」29巻 王欣太 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ふたつのスピカ」5巻 柳沼行 メディファクトリー B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ピルグリム・イェーガー」3巻 作:沖方丁+画:伊藤真美 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]
▼28日売り
【アンソロジー】アイラDELUXE VOLUME.16 三和出版 A5平 [Amzn]

【雑誌】月刊IKKI 12月号 小学館 B5平

 最近この雑誌読んでてあんまりワクワクしなくなってきた。面白げな人を集めてることは確かなのだけど、基本的に大体が他誌で描いていた人たちだし、新たな人を呼んで来ても「ああ、この雑誌ならこの人を呼ぶだろうな」と納得できる範囲に収まっていて意外性は少ない。その人たちがIKKIで新しいことにチャレンジしてるかっていうとあんまりそんな感じでもないし。なんか「この雑誌から生まれてきた」ってモノが欲しいところ。もう少し自由奔放にやっちゃってもいいんじゃなかろうか。今はスピリッツのほうがトンガったことやってると思う。

 とはいえ、個々の漫画はちゃんと読むと面白い作品が多いので、その点はちゃんと評価したい。てなわけで今号ではたくまる圭が初登場。新連載「アカシヤの星」。日本だけど外国籍の人が多く住むアカシヤ商店街。ここを舞台にした青春人情ストーリーという感じかな。主人公はラーメン屋さんの息子のリュウセイ。ガリゴリ描き込んでいるわけではないんだけど、ちょっとラフなところのある描線に爽快感があって気持ちいい。人物画もいいけど、この人は風景描写にも味があるのがいい。原一雄「のらみみ」。これはわりとこの雑誌オリジナルな感じがいたします。淡々とした語り口にほのかなおかしさがあってよろしいです。単行本も11月29日に発売することがきまってめでたい。

【雑誌】アフタヌーン 12月号 講談社 B5平

 アフタヌーンは調子上がって来ている。シーズン増刊の作家陣を取り込んで新しい空気が注入できたし。一時期はちょっと窮屈な感じがしてたんだけど、風通しが良くなってそれがだいぶ解消されたように思う。

 で、まずは鬼頭莫宏「なるたる」がついに最終回。この作品の締めくくりにふさわしく、世界は絶望で満ち満ちる。これは賛否両論ありそうだけど、今までやってきたことからしてこのようにしかなりようがなかったと思う。でも描写自体はうまくて、何かいろいろなモノが終わっていく様子にジーンとくるものはあった。これはきちんと単行本で全部読み直してみたほうが良さそう。赤名修の新撰組漫画「ダンダラ」は芹沢鴨暗殺のとこまでやって第一部完。単行本1巻は12月発売予定。けっこういい感じで来てたので、またそのうち第二部もやってほしい。ちなみに次は「勇午」が来年1月再開予定とのこと。高橋ツトム「爆音列島」はZEROSと極楽の戦争の火蓋が切って落とされた。ああ、なんかもうすごくいたそう。この作品に出てくるヤンキーは、ファンタジー世界の住民ではなく、今読んでる自分たちと地続きな世界にいるだけに体感的にくるものがある。この戦争も、そもそも正義がどうのこうの街を守るのだのじゃなくて、ただの小競り合いが抗争に発展しただけで別に大した理由がないあたりもリアル。

 木尾士目「げんしけん」は好調。ヌルいオタク部活青春ライフをたのし〜く描写。主人公のあんちゃんの影はどんどん薄くなり、大野さん、春日部さんの二人がすっかりメインに。ていうか最近春日部さんが主役だよね。とよ田みのる「ラブロマ」も高値安定。星野くん根岸さんを取材しまくる学校新聞の記者が見た、その恋愛の真実とは。読んでて笑いが素直に湧いてくるいい恋愛ぶり。もう今さら何いわれたってOKってな感じの腹の据わりようが羨ましい。ひぐちアサ「おおきく振りかぶって」は2回め。どうにもまとまらなさそうな野球部をどういっぱしのものに構築していくのか。キャラたちがふらふら頼りなさげで危なっかしいだけに、かえって引き込まれてしまう。

 漆原友紀「蟲師」。毎度しっかり作られてて読みごたえがある。今回は人の眼球にとりつく蟲と、その蟲を目に宿してしまったばかりに数奇な運命をたどった女性の物語。蟲の力は盲目だった彼女の目を見えるようにしたが、ただ見えるということをはるかに超える視力を彼女にもたらした。ただ幸福なばかりでもない、ただ不幸なわけでもない。どちらか一本槍ではなく、禍福をともに描写していく作風の落ち着きぶりはお見事。植芝理一「夢使い」は「鉱物の聖母」編が終了。黒いおはだの瑠瑠ちゃんがいい感じにかわゆうござった。読切の三浦名子「僕がブルマで学校に」も面白かった。四季賞2003年秋のコンテスト準入選作品。ブルマが大好きだった男子二人の情けなくもじんわり暖かい友情を、楽しく描いた作品。絵は垢抜けてないけどそこがまた味になってて良い。飄々とした味のある作風で、うまくツボにハマるとコンスタントにやってけそうな人という感じがした。

【雑誌】手塚治虫マガジン KKベストセラーズ B5平

 毎度のことながら読みやすいし、内容もしっかりしてるしいいなあ。いろいろな栄養分がたっぷり詰まってる感じがする。今回は「どろろ」の妖刀の巻編がとくに印象に残った。ここでようやく百鬼丸へ目を取り戻すが……。村娘さんとかがなんかすごくかわいいね。ちょっとしたタッチの違いで色気や可憐さをにじませるあの描線のこなれ方はやっぱ凄い。

【雑誌】少年エース 12月号 角川書店 B5平

 貞本義行「新世紀エヴァンゲリオン」(原作:GAINAX)。渚カヲルさんと碇シンジさんの裸体の回。すべすべしてそうでええんじゃないでしょうか。天津冴「がぁ〜でぃあんHearts」は新キャラ登場。なんか今回のはいつにも増してほかの娘さんと見分けがつきにくい〜。吉崎観音「ケロロ軍曹」。う〜ん、ウマイ。漫研所属の冬樹の悩みにからめて、ちょっと恐れ多そうなパロディをサラッと描いちゃう鮮やかさに感心。しかもギャグもやりつつちゃんといい話に仕上がってたりするあたり、すごく芸達者。吉崎観音は絵柄の華やかさもいいけど、この類まれなるバランス感覚も凄いと思う。

【雑誌】ガンダムエース 12月号 角川書店 B5平

 安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」。ランバ・ラル編がおしまい。ランバさんカッコイイなあ。とか思ってたら、最後のあたりがアニメ版よりもずいぶんあっさりしててびっくり。意外と変えて来ているなあ。トニーたけざき「トニーたけざきのガンダム漫画」はいつもながら面白い。今回はブライト艦長大暴れの回。文字通り大暴れします。そういえばブライトさんってリーゼントっぽい髪型してるし、眉毛細いし白目少ないし、ガクランとドカンでビシッと決めたらけっこうヤンキーかも。

【雑誌】ビッグコミック 11/10 No.21 小学館 B5中

 「高橋留美子劇場」が掲載……じゃないのか。ビッグコミック初登場、高橋留美子「可愛い花」が掲載。とある若奥様の周囲に奇妙な花が蔓延し始める。みないい匂いだというのに、彼女にはその花が放つ芳香が耐えられない悪臭に感じてしまう。そしてその花が蔓延し始めた背景に、若奥様につきまとう不気味な人物の影が見え隠れし始める。といった感じのミステリアスなお話。可愛い奥様と不気味な花との取り合わせでツカミを入れて、きっちりお話をコントロールしていく腕前はさすが。やっぱり漫画うまい人だなあと思いますよ。

【雑誌】LaLa 12月号 白泉社 B5平

 森生まさみ「おまけの小林クン」では、大和の家庭環境について描かれる。笑顔の裏にあった事情を見せただけに、今後はこれまでどおりではいられないと思うんで、どう展開させていくかは楽しみ。筑波さくら「目隠しの国」は最終章に突入とのこと。いろいろあったのち、かなでとあろうはますますラブラブではありますが。あろう君のモテ男子っぷりがなかなかステキ。


10/24(金)……思慮苦境制

【雑誌】ヤングアニマル 11/14 No.21 白泉社 B5中

 関崎俊三「ああ探偵事務所」。人が死なない探偵モノはいい。今回は探偵事務所の不穏な動きのお話。涼子さんカワイイなあ。文月晃「藍より青し」。ものの見事に九州である意味なし。ここまでやるともう潔いな〜とか思っちゃう。柴田ヨクサル「エアマスター」では皆口由起との対決が決着。緊張感もあるし痛快だしカッコイイっすよ。

【雑誌】コミックバンチ 11/7 No.47 新潮社 B5中

 松家幸治「ガキんちょ強」はいきなりバタバタお話を畳んで、次回最終回とのこと。でもまあこの作品はいつまでも続けようと思えば続けられるし、すぐ終わらそうと思えば終わらせられるタイプの作品だったので、まあこんなもんかなとも思う。日高建男「満腹ボクサー徳川。」は、身体を絞って華麗なフットワークが復活した徳川がとてもカッコイイ。

【単行本】「視力矯正少女日記〜めがねのおんなのこ〜」 へかとん 晋遊舎 A5 [Amzn]

 この人はいいねえ。たいへん可愛いくて、つい萌えてしまいがちなエロ漫画でございますよ。まず描線がいい。イマっぽく洗練されておりとても完成度の高い絵柄。丸みがあって柔らかい。そして出てくるキャラは単行本タイトルどおりめがねっ娘が大半なんだけど、それがほぼ全員ドジっ娘。もちろん天然。例えば自宅でも常にメイド服で町内名物になっている若奥様。例えばある日自分を助けてくれたあんちゃんが好きになっちゃってストーキングをかますドジ娘。猫耳ずきんで風邪引きの幼なじみに迫る女の子……なーんて具合。登場人物はみんな一本ネジが飛んでるみたいなんだけど、ラブラブなお話は多幸感たっぷり。可愛い絵柄でちょっとだけ逸脱しててというバランスが非常に心地よい。エロのほうも何気にけっこうしっかりやってたりするし。てなわけでちょっとヘンだけど、文句なくかわいいんでオススメしておきますですよ。

【単行本】「あ、ちっちゃいね」 EB110SS メディアックス A5 [Amzn]

 こちらも可愛いのだ。「SS」が付く前の昔からこの人の絵は好きだった。アゴがまったくとんがってない、平ぺったい丸顔の少女&幼女たちがとてもかわいい。最近絵柄はいろいろ思考錯誤してる感じけど、単行本タイトルどおり、ロリに徹した作風は潔い。お話の面ではちょっと弱い面もあるけど、全4話入ってる幼女売春宿の少女と半端者な主人公のラブストーリーである「碧サマが一番」なんかはけっこういい雰囲気を作り上げていた。愛しさと切なさと心強さがいい塩梅。碧ちゃんがいじらしくっていいですな。


10/23(木)……ドジョウ入れ

「ブルセラショップ」に罰則 東京都が条例検討(朝日)
 ブルセラショップはともかくとして、気になるのは『また、青少年へのポルノ本販売などを規制する「不健全図書指定」の制度も見直す。具体的には(1)性描写を一定の割合以上含めば、審査を経ず自動的に不健全図書に指定する(2)書店が不健全図書と一般書を厳格に分離して販売するよう規定する――などを検討している』というところ。とくに(1)の「自動的に」ってのはキナくさい。今後の動きには要注目。

【雑誌】近代麻雀ゴールド 12月号 竹書房 B5中

 画:中村毅士+作:安田潤司「牌の音」に出てくるショーイチ先生の爽やかな笑顔がどうにも怪しすぎてシビれる(参考:以前貼った画像)。とくに今回のラストのコマ。この雑誌に掲載されている数々の雀鬼漫画の中では最も似てるっちゃ似てるのだが……。せきやてつじ「おうどうもん」は後半が鉛筆描き。でもこの人の作風の場合、ちょっとラフなくらいのほうが映える作風だけにあんまり違和感ないなあ。

【雑誌】モーニング 11/6 No.47 講談社 B5中

 菅原雅雪「暁星記」。今回は38ページとボリュームもあり。第III部になって今までとは別の位相にいるキャラたちが出てきてどうなんかなと思ったけど、だんだんいい具合にハードな展開となり面白くなってる。神原則夫「ナゾの女マリー」は9/11 No.39以来の登場。どう見てもおばさんだけど26歳処女と語っていたナゾの女マリー、そして彼女にベタボレで結婚までしてしまったヤングマン。神原則夫はババ専好きですな。サラッと描いてるけど業は深め。続きもまだあるらしく、そのうちまた登場予定とのこと。ページ数ためて、アフタヌーン掲載作と併せて単行本になったりするといいんだけど。

【雑誌】ヤングサンデー 11/6 No.47 小学館 B5中

 守村大「パラダイス」。脇役同士の戦いだけど白熱。ぽっこりお腹のチャンピオンがカッコ良く見える。作:魚柄仁之助+画:大谷じろう「おかわり飯蔵」は次号で最終回とのこと。

【雑誌】ヤングジャンプ 11/6 No.47 集英社 B5中

 遊人の新連載「学園天国」がスタート。へぇーこれがヤンジャン初登場なのか。ちょっと意外。で、内容のほうは子供のころの初恋の想い出を胸に抱えたまま研究三昧の日々を送っていたメガネくんな青年が、教員本採用試験に落ちて、女子校の臨時講師をやることに。その赴任先でたぶん初恋のひとに再会したり、女生徒にモテたりする漫画。なんかヒロインっぽい女の子の髪型が「ラブひな」の成瀬川さんみたいですよ。これは絶対狙ってやってると見た。こういう「ウケたモンがち」な姿勢は敬遠されがちだけど、遊人の場合はいかにもこの人らしいな〜という気がして個人的には嫌いじゃなかったりする。ていうか遊人ってキャラクター的になんか好き。このAIはとまらないですよ。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 11/6 No.47 秋田書店 B5平

 作:森高夕次+画:松島幸太朗「ショー★バン」。パーフェクトピッチングを続けている番太郎だが、やっぱり調子に乗って、やっぱり予想されて展開となってきた。微笑ましくなるくらい分かりやすい。マリックにも好き放題いわれてるし。おおひなたごう「フェイスガード虜」。アンビリーバボー体操編はおしまい。ラストは女ちゃんの大胆な振る舞いにドッキドキ☆な〆。個人的にはもっとシュールな体操の数々を見たかったので、アン体編はまたそのうちやっていただきたいところ。佐渡川準「無敵看板娘」。今回は美輝が雨の中でビショビショになっているのでヌレスケ〜萌え〜となっても不思議じゃないのだが、そういうのはなし。つくづくセックスアピールのない娘さんだよう。


10/22(水)……毛使い師

【雑誌】週刊少年マガジン 11/5 No.47 講談社 B5平

 うーん。絶不調じゃないっすか? この雑誌。今号では作:七三太朗+画:川三番地「Dreams」が突如中断。次回からマガジンSPECIALに掲載誌が変わるとの予告が。12月20日発売号より移行。まあそれはいいんだけど、試合が始まったばかりのところでいかにもぶったぎりって感じになってて、読者としてはとまどうばかり。「空の昴」「コータロー」に続いての掲載誌変更となったが、何かギクシャクしたものを感じてしまう。そして今号始まった新連載、宗田豪「天才料理少年 味の助」。中学生ながら母親のやってる洋食屋さんの調理を一手に引き受ける料理少年が主人公。「ミスター味っ子」のモロ劣化コピーって感じなんですけど。しかも味皇みたいな人が出てきて、一発めに出した料理がカツ丼って……(注:「味っ子」の味皇さまが日之出食堂で初めて食った料理が「超厚カツ丼」)。これはいくらなんでも芸がなさすぎ。

 ここ10年くらい、マガジンは一本ヒット作が出ると同じような作品を何度も出し続けるという傾向があるけど、なんかもうずいぶん出がらしになってきた感はある。実際「マガジン面白くない」「一歩しか読んでない」という声はけっこう聞く。野中英次「魁!!クロマティ高校」もヒットはしたけど雑誌の表看板というタイプの作品ではないと思うし、コージィ城倉「おれはキャプテン」も面白いけど一般受けするかは微妙な気が。「はじめの一歩」が驚異的なくらいテンションの落ちない作品なのでまだいいけど、森川ジョージが体調崩したりでもしたら相当困るんじゃないかなー。新しい柱となり得る作家の登場が待たれる。

【雑誌】週刊少年サンデー 11/5 No.47 小学館 B5平

 田辺イエロウ「結界師」が新連載。5/7 No.21で読切として掲載された作品が連載化。結界を張ることで魔物を封じ込める「結界師」の家に生まれた少年が活躍するという妖怪退治モノ。少年誌らしい絵柄で整った作風。結界を張って魔物を封じ込めて……という基本ルール、手順がわりとしっかりしているのはいいのではないかと。雷句誠「金色のガッシュ!!」。今回は盛り上がった。おいしいキャラであるナゾナゾ博士の内面が明かされる泣かせの展開。なるほど、こういう人だったんすね。

【雑誌】スーパージャンプ 11/12 No.22 集英社 B5中

 小谷憲一「DESIRE」に磯山さやかが登場するという、漫画+グラビアのコラボレーション袋とじがすごい。なんの前触れもなく電車の中で野球拳をやりだすというシュールな展開。いやー、大したデスエロスっぷりだ。ちなみに漫画本編のほうでは兄妹モノですか。あと中西やすひろ「Oh!透明人間21」も再開してるゾ!

【雑誌】ひな缶Hi! Vol.01 茜新社 B5平

 16日に発売になってたのかな、これ。ちょっと入手が遅れたけど、ロリ系を中心になかなかいいメンツが揃っててのラインナップ。内容的にもライト鬼畜系的なのからコミカルなのまでそこそこバリエーションはあるし。

 まず変化球的な作品で、ゴージャス宝田「妹弾03」がいい。内容はえーと書いたらネタバレになっちゃうか。まあもちろん兄妹モノなのだけどネタにヒネリがきいてて、その後の展開も馬鹿馬鹿しくかつHでいいです。國津武士「妙薬」は主人公が風邪をひいてて、ロリキャラが見舞いにやってきて……というゴールデンパターン。オチももちろんアレ。でもキャラの表情がくるくる変わるノリのいいお話は見てて素直に楽しめる。猫玄「田舎へ行こう」は、田舎に住むあんちゃんと都会からやってきた従姉妹の娘さんが夏休みの間やりまくっちゃうというお話。ラブラブな様子が心地いいです。

 あとはストレートに萌え系でHもしっかりのあらきかなお「愛も恋も」、めがねっ娘な委員長にみんなで性教育・狂一郎「自習時間」、細い線による洗練された絵柄でイジメられている女の子ときゃしゃなめがね君男子のHを描いたベンジャミン「そーじ当番」、柔らかく爽やかな絵柄ながら内容はちと鬼畜気味なメラメラジェラシー「変態かなちゃん」あたりも好印象。次号は12月16日発売とのことだけどたぶん買うと思います。

【執筆陣】あらきかなお、瑞井鹿央、猫玄、華咲’03、ゴージャス宝田、巴天舞、巻田佳春、あらきあきら、國津武士、中野友貴、笹倉綾人、影乃いりす、狂一郎、ベンジャミン、武藤鉄、てるき熊、あ〜る・こが、メラメラジェラシー、おさわり先生

【雑誌】ドルフィン 12月号 司書房 B5中

 今号はけっこういい感じ。くどうひさし「兄妹カンケイ」は文字通り兄妹モノ。いつもながらこの人の絵はスタイリッシュでいい。普段エロ漫画に親しんでない人でもスッと入っていけるでしょう。あわじひめじ「ラジオのじかん」も兄妹モノ。この人はだんだん線がきれいになってきているような。天崎かんな「ハードル越えて」。運動音痴のめがねっ娘委員長と、不真面目な男子のほのぼの学園ラブコメという感じ。この人はエロもちゃんとやるけどけっこう和む作風の持ち主。BENNY’Sはそういえばドルフィンには久々の登場。「放課後〜たそがれの女〜」。学校でオナニーしているところを見られて、生徒たちに調教されている女教師さんのお話。柔らかい絵柄で熟れた女性を描いててしっかりエロい。


10/21(火)……髷軟膏

▼本日は本屋さんに行けなかったので読んだ本は少なめ。その分、思いついたことでも書きます。

大量の漫画原稿がもどる!(漫画原稿を守る会ニュース)
 生原稿流出事件で大きな前身。もちろんこれですべてが解決するわけではないけど、まずは良かったです。今後の進展にも期待。

▼ところで今回の生原稿流出事件の背景にあって、事態を複雑化しているのが、執筆者と出版契約をきちんと結ばない出版業界の慣習。生原稿をしっかり管理するのは出版社側に道義的責任はあるだろうけれども、契約自体があやふやなもんだから、責任の所在をハッキリさせにくい。例えば出版社が原稿を完全買い取りしたと解釈するならば、作者の許可なく生原稿を売っちゃってもそれは法的には問題ないはず。逆に作者が出版社に貸与したと解釈するなら、勝手に他人の所有物を売却するのはマズい。でもそもそも契約書がなんも存在しないので、所有権そのものがあいまいだったりする。自分もライターやっててけっこうな数の出版社と仕事したけど、今まで契約書を書いた回数はゼロ。全部「書いてねー」「書きますー」ってな感じの口約束レベル。原稿料さえ前もって呈示されないことが多い。

▼で、ちょっと考えたんだけど、この状況ってうまく利用できないもんだろうか。どの出版社も契約書を交わさないというのは周知の事実。じゃあ逆に「原稿料はいくら」「原稿の所有権はどうのこうの」といったしっかりした契約書を呈示する会社があれば、それは信用面でものすごいアドバンテージになるはず。ちゃんとやりさえすれば、出版社が新規に作家を獲得しようと思ったときの大きな材料にできるんじゃないだろうか。「ウチはきちんと契約書を交わしますよ、原稿もちゃんと返します、お金はいくらいくら払います」って明示してくれる企業があったら、たとえ結果的に原稿料が同じだったとしてもできればそっちで仕事したいと考える作家はけっこういると思う。少なくとも自分はそう。まあ実際には編集者との人間関係もあったりするからそう単純にコトが運ぶわけじゃないと思うけれども、どっか試しにやってみたりしませんかね。とくに業界新規参入の会社や、作家さん個人の人気が部数を如実に分けるマイナージャンルなんかだと効果がデカそうな気はする。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 11/4 No.21 講談社 B5中

 堂高しげる「全日本妹選手権!!」。今回はたかしげ宙が原作として入るという試み。といっても内容はいつもと一緒のオタウンチクがメイン。ただ個人的にはいつものほうが面白かったかなーと思った。βとかUマチックとか、なつかし映像メディアネタなんだけど、ハードの話だとちと内容がフツーになりますな。あと記録型DVDの規格の話とかは一般誌とかでもやってるネタだし。それから今号には、椎名高志が登場。「TIME SLIPPING BEAUTY」という読切で、今回は前編が掲載。「破時鬼虫」という虫の能力によりタイムスリップして歴史を変え、人々の命を救う少女の物語。さすがに実績のある人だけあって、作風はこなれていて安定感がある。アクションも派手だし。新井英樹「シュガー」。リン&中尾のコンビはいいね。両方ともヘンな人なので、取り合わせが絶妙。今後も面白いことをやってくれそう。

【雑誌】漫画サンデー 11/4 No.42 実業之日本社 B5中

 作:ひじかた憂峰+画:松森正「湯けむりスナイパー」。今回は本筋に戻って、松三の松茸バブルレポート。服装がオシャレになり、金を数えてニヤニヤする松三。どうしちまったんだ、松三よぉ! というわけで松三ファンにとっては衝撃の展開が続く。カムバック褌。


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